なかなか思うように更新できませんが、今回は、サトノフェラーリの新馬戦を取りあげます。
https://www.youtube.com/watch?v=HPc58Er2VaE
http://db.netkeiba.com/race/201302020505/
前半5F65.8秒の超スローペースでしたが、さっと2番手につけ、直線では楽に抜け出し、最後は流しての快勝でした。
相手も強くなかったようですが、先行力や折り合いのよさなど、見るべき点も多かったと思います。
母サトノアマゾネスは、550キロオーバーの超大型馬で、わずか3戦(1勝)で引退となりました。
全兄サトノヒーローも、520キロ台のビッグサイズで、現状では体を持て余しているようです。
しかし、サトノフェラーリは、デビュー戦の馬体重が462キロでしたから、ちょうどよいサイズに収まったといえるでしょう。
http://www.jbis.or.jp/horse/0001142352/pedigree/
さて、まず血統から見ていきます。
ディープ×BMSデインヒルの配合は、まだ重賞勝ち馬こそいませんが、エバーブロッサムがオークス2着です。他では、ディープサウンドが共同通信杯3着、ラスヴェンチュラスがローズS3着の実績があります(ディープサウンドとラスヴェンチュラスは全兄妹)。
勝ち上がり率では、14頭がデビューして11頭が勝ち上がっている(地方含む)ので、まずまずのアヴェレージでしょうか。
前にも書いたと思いますが、ディープ×BMSダンジグ系は、大物も出るのですが、活躍馬とそうでない馬とにはっきり分かれる傾向があると思います。当たり外れが明瞭に表れる配合でしょう。
その意味では、サトノフェラーリの勝ちっぷりはなかなかだったので、ある程度の出世は期待できそうです。
ついでに、デインヒルの血統について、ちょっと掘り下げておきましょう。
父ダンジグは、ノーザンダンサー系の中でもスピードに定評のある種牡馬です。ノーザンダンサーに、米国血脈のパワーとフェアトライアルのスピードをプラスして生まれたのが、ダンジグです。
デインヒルは、ダンジグ+リボーの底力+フラワーボウルのスタミナ+バックパサーの米国血脈といった配合ですが、なんといっても目立つのは、名牝ナタルマ3×3の強いクロスでしょう。
ナタルマは、ノーザンダンサーの母として知られていますが、デインヒルの3代母、マキャベリアンの4代母、バゴの5代母でもあり、子孫も大いに栄えています。
また、ナタルマの祖母アルマームードは、ヘイロー(サンデーの父)の祖母でもあります。
父ダンジグとの比較では、距離に融通性が出たことが大きいのですが、スプリント大国のオーストラリアで9回もリーディングサイアーに輝いたことからも分かるように、スピード面でも引けは取りません。
シャトル供用(日本にも1年だけリースされています)され世界中で成功をおさめてきたデインヒルですが、日本とアメリカではそれほど実績があがっていないようです(父ダンジグは米国でも多くの活躍馬を出しています)。また、自身が英仏豪でリーディングサイアーに輝いているだけでなく、産駒からも英仏豪それぞれでリーディングサイアーを送り出しています(英→デインヒルダンサー、仏→ダンシリ、豪→フライングスパー&リダウツチョイス)。
洋芝向きのスピードとパワーが武器だと考えておけばよいでしょう。
ディープとの配合では、ぺティションのクロスが発生するので、意外に素軽い先行力を見せるケースもありますが、その一方で日本の高速馬場に不向きの重苦しい感じになる場合も多いです。
デインヒルもダンジグも、スピードはあるのですが、ナスキロやそれに類する血がないので、日本の馬場への適応を考える場合、そのあたりの血をどう補っていくかもポイントでしょう。
サトノフェラーリの、ディープ×デインヒル以外の血統は、ナスキロ+米国血脈でまとめられています。
ダンジグ~デインヒルの米国血脈をフォローしつつ、不足がちのナスキロを補っているので、配合のバランスはとれていると思われます。
さて、ここまでもきても表題のストームキャットの話が出ていないのですが、いよいよここからです(大げさですね)。
母サトノアマゾネスが、ストームキャットやロイヤルアカデミーといった大種牡馬の近親であることは、すでに様々なメディアで取りあげられているので、ご存じの方も多いでしょう。具体的には、サトノアマゾネスの母プラウンカクテルが、ストームキャットの叔母&ロイヤルアカデミーの半妹にあたります。
ストームキャット
http://www.pedigreequery.com/storm+cat
ストームキャットとサトノアマゾネスの配合は、そこそこ似ているとも言えます。両馬の父は、ともにノーザンダンサー系+米国血脈といった血統ですし、BMSはナスキロ配合、祖母は同じクリムゾンセイントですから。
しかし、ディープの母系とストームキャットの母系には、そうした配合の類似性を超えた相性のよさがあるように感じられるのです。
わかりやすいように、例をあげてみましょう。
まず、ストームキャット産駒の種牡馬テイルオブザキャットです。日本では、ニュージーランドTなど3重賞に勝ったエーシントップの父として知られています。
http://www.pedigreequery.com/tale+of+the+cat
血統表を見ていただくと分かりますが、6代母がフェオラです。
フェオラは、ディープの6代母でもあります。
つまり、テイルオブザキャットの配合は、ストームキャット×ディープ牝系というわけです。
別の例もお目にかけましょう。
日本に輸入された種牡馬ヨハネスブルグです。G1を4連勝し、アメリカとヨーロッパの2つの地域で最優秀2歳牡馬に選ばれました。
http://www.pedigreequery.com/johannesburg
父ヘネシーはストームキャット産駒ですが、7代母にフェオラの名前があります。こちらも、ストームキャット系×ディープ牝系となっています。
さらにもう一例、スカイメサをあげておきましょう。
http://www.pedigreequery.com/sky+mesa
父プルピットはシアトルスルー産駒、BMSはストームキャットです。
ディープと何の関係があるかというと、父プルピットの母系がディープと同じ系統なのです(プルピットの6代母がフェオラ)。
ちなみに、スカイメサの代表産駒ジェネラルクォーターズ(米G1を2勝)は、先ほどのエーシントップの半兄にあたります。
こうした様々な例を見て、どうのように思われるでしょうか。
以前に、ディープとストームキャットの相性のよさは、サーゲイロード≒セクレタリアトの相似クロスが最大の要因であると書きましたし、その考えは今も変わりません。
しかし、テイルオブザキャットなどの例や、あるいはサトノフェラーリの例なども見ると、ディープ牝系とストームキャット牝系には、本質的な相性のよさがあるのではないかと思わざるをえないのです。
こうした関係が、血統研究の専門家からはどう見えるのか、興味をそそられるところですが、種牡馬の研究に較べて、牝系の研究は遅れています。その原因として、研究の前段階である血統資料の整理・分類の時点で膨大な手間暇がかかって、容易には研究が先に進まないということがありそうです。
いずれ、ディープ牝系とストームキャット牝系の関係にも、研究のメスが入るものと期待しています。
血統の話が長くなりましたが、馬体のほうにも触れておきましょう。
体型的には、デイープ×ダンジグ系によく見られる、丸みのあるまとまった馬体をしています。
走法的にもデインヒルの影響が見られ、ややピッチ寄りの走りだと思います。
最後に、今後の展望についても一言しておきます。
血統面ではディープとの相性がよさそうな配合ですが、なんぶんレースが超スローの凡戦だった(サトノフェラーリのせいではないのですが)ので、次走を見てみないと何とも言えないところもあるでしょう。
しかし、かなりの素質を秘めていると思われ、次走の内容次第ではクラシック戦線でも期待できるかもしれません。
例のごとくのダイジェスト版です。
レース内容……レースのレベルは高くないが、ともかく完勝。
血統……ディープ×BMSデインヒルということと、母系がストームキャットと同系ということの2点に注目。
馬体……ディープ×ダンジグ系によくある丸みのある馬体で、走法はピッチ寄り。
https://www.youtube.com/watch?v=HPc58Er2VaE
http://db.netkeiba.com/race/201302020505/
前半5F65.8秒の超スローペースでしたが、さっと2番手につけ、直線では楽に抜け出し、最後は流しての快勝でした。
相手も強くなかったようですが、先行力や折り合いのよさなど、見るべき点も多かったと思います。
母サトノアマゾネスは、550キロオーバーの超大型馬で、わずか3戦(1勝)で引退となりました。
全兄サトノヒーローも、520キロ台のビッグサイズで、現状では体を持て余しているようです。
しかし、サトノフェラーリは、デビュー戦の馬体重が462キロでしたから、ちょうどよいサイズに収まったといえるでしょう。
http://www.jbis.or.jp/horse/0001142352/pedigree/
さて、まず血統から見ていきます。
ディープ×BMSデインヒルの配合は、まだ重賞勝ち馬こそいませんが、エバーブロッサムがオークス2着です。他では、ディープサウンドが共同通信杯3着、ラスヴェンチュラスがローズS3着の実績があります(ディープサウンドとラスヴェンチュラスは全兄妹)。
勝ち上がり率では、14頭がデビューして11頭が勝ち上がっている(地方含む)ので、まずまずのアヴェレージでしょうか。
前にも書いたと思いますが、ディープ×BMSダンジグ系は、大物も出るのですが、活躍馬とそうでない馬とにはっきり分かれる傾向があると思います。当たり外れが明瞭に表れる配合でしょう。
その意味では、サトノフェラーリの勝ちっぷりはなかなかだったので、ある程度の出世は期待できそうです。
ついでに、デインヒルの血統について、ちょっと掘り下げておきましょう。
父ダンジグは、ノーザンダンサー系の中でもスピードに定評のある種牡馬です。ノーザンダンサーに、米国血脈のパワーとフェアトライアルのスピードをプラスして生まれたのが、ダンジグです。
デインヒルは、ダンジグ+リボーの底力+フラワーボウルのスタミナ+バックパサーの米国血脈といった配合ですが、なんといっても目立つのは、名牝ナタルマ3×3の強いクロスでしょう。
ナタルマは、ノーザンダンサーの母として知られていますが、デインヒルの3代母、マキャベリアンの4代母、バゴの5代母でもあり、子孫も大いに栄えています。
また、ナタルマの祖母アルマームードは、ヘイロー(サンデーの父)の祖母でもあります。
父ダンジグとの比較では、距離に融通性が出たことが大きいのですが、スプリント大国のオーストラリアで9回もリーディングサイアーに輝いたことからも分かるように、スピード面でも引けは取りません。
シャトル供用(日本にも1年だけリースされています)され世界中で成功をおさめてきたデインヒルですが、日本とアメリカではそれほど実績があがっていないようです(父ダンジグは米国でも多くの活躍馬を出しています)。また、自身が英仏豪でリーディングサイアーに輝いているだけでなく、産駒からも英仏豪それぞれでリーディングサイアーを送り出しています(英→デインヒルダンサー、仏→ダンシリ、豪→フライングスパー&リダウツチョイス)。
洋芝向きのスピードとパワーが武器だと考えておけばよいでしょう。
ディープとの配合では、ぺティションのクロスが発生するので、意外に素軽い先行力を見せるケースもありますが、その一方で日本の高速馬場に不向きの重苦しい感じになる場合も多いです。
デインヒルもダンジグも、スピードはあるのですが、ナスキロやそれに類する血がないので、日本の馬場への適応を考える場合、そのあたりの血をどう補っていくかもポイントでしょう。
サトノフェラーリの、ディープ×デインヒル以外の血統は、ナスキロ+米国血脈でまとめられています。
ダンジグ~デインヒルの米国血脈をフォローしつつ、不足がちのナスキロを補っているので、配合のバランスはとれていると思われます。
さて、ここまでもきても表題のストームキャットの話が出ていないのですが、いよいよここからです(大げさですね)。
母サトノアマゾネスが、ストームキャットやロイヤルアカデミーといった大種牡馬の近親であることは、すでに様々なメディアで取りあげられているので、ご存じの方も多いでしょう。具体的には、サトノアマゾネスの母プラウンカクテルが、ストームキャットの叔母&ロイヤルアカデミーの半妹にあたります。
ストームキャット
http://www.pedigreequery.com/storm+cat
ストームキャットとサトノアマゾネスの配合は、そこそこ似ているとも言えます。両馬の父は、ともにノーザンダンサー系+米国血脈といった血統ですし、BMSはナスキロ配合、祖母は同じクリムゾンセイントですから。
しかし、ディープの母系とストームキャットの母系には、そうした配合の類似性を超えた相性のよさがあるように感じられるのです。
わかりやすいように、例をあげてみましょう。
まず、ストームキャット産駒の種牡馬テイルオブザキャットです。日本では、ニュージーランドTなど3重賞に勝ったエーシントップの父として知られています。
http://www.pedigreequery.com/tale+of+the+cat
血統表を見ていただくと分かりますが、6代母がフェオラです。
フェオラは、ディープの6代母でもあります。
つまり、テイルオブザキャットの配合は、ストームキャット×ディープ牝系というわけです。
別の例もお目にかけましょう。
日本に輸入された種牡馬ヨハネスブルグです。G1を4連勝し、アメリカとヨーロッパの2つの地域で最優秀2歳牡馬に選ばれました。
http://www.pedigreequery.com/johannesburg
父ヘネシーはストームキャット産駒ですが、7代母にフェオラの名前があります。こちらも、ストームキャット系×ディープ牝系となっています。
さらにもう一例、スカイメサをあげておきましょう。
http://www.pedigreequery.com/sky+mesa
父プルピットはシアトルスルー産駒、BMSはストームキャットです。
ディープと何の関係があるかというと、父プルピットの母系がディープと同じ系統なのです(プルピットの6代母がフェオラ)。
ちなみに、スカイメサの代表産駒ジェネラルクォーターズ(米G1を2勝)は、先ほどのエーシントップの半兄にあたります。
こうした様々な例を見て、どうのように思われるでしょうか。
以前に、ディープとストームキャットの相性のよさは、サーゲイロード≒セクレタリアトの相似クロスが最大の要因であると書きましたし、その考えは今も変わりません。
しかし、テイルオブザキャットなどの例や、あるいはサトノフェラーリの例なども見ると、ディープ牝系とストームキャット牝系には、本質的な相性のよさがあるのではないかと思わざるをえないのです。
こうした関係が、血統研究の専門家からはどう見えるのか、興味をそそられるところですが、種牡馬の研究に較べて、牝系の研究は遅れています。その原因として、研究の前段階である血統資料の整理・分類の時点で膨大な手間暇がかかって、容易には研究が先に進まないということがありそうです。
いずれ、ディープ牝系とストームキャット牝系の関係にも、研究のメスが入るものと期待しています。
血統の話が長くなりましたが、馬体のほうにも触れておきましょう。
体型的には、デイープ×ダンジグ系によく見られる、丸みのあるまとまった馬体をしています。
走法的にもデインヒルの影響が見られ、ややピッチ寄りの走りだと思います。
最後に、今後の展望についても一言しておきます。
血統面ではディープとの相性がよさそうな配合ですが、なんぶんレースが超スローの凡戦だった(サトノフェラーリのせいではないのですが)ので、次走を見てみないと何とも言えないところもあるでしょう。
しかし、かなりの素質を秘めていると思われ、次走の内容次第ではクラシック戦線でも期待できるかもしれません。
例のごとくのダイジェスト版です。
レース内容……レースのレベルは高くないが、ともかく完勝。
血統……ディープ×BMSデインヒルということと、母系がストームキャットと同系ということの2点に注目。
馬体……ディープ×ダンジグ系によくある丸みのある馬体で、走法はピッチ寄り。