今回は、レッドソレイユを取りあげます。
http://www.youtube.com/watch?v=5guK-ey1PHo
http://db.netkeiba.com/race/201405010605/
道中は中団につけていましたが、ペースが遅いとみるや、3~4角からまくって、ゴール前では流す余裕もありました。
前半67秒ジャストの超スローペースながら、2着以下にきっちり差をつけたのは、力の証明でしょう。
先週の降雪による中止のあおりをくって、1週スライドすることになりましたが、問題ありませんでした。
http://www.jbis.or.jp/horse/0001139111/pedigree/
それでは、血統から見ていきましょう。
母リーチフォーザムーンは、芝とダートの二刀流でG1を6勝したアグネスデジタルの半妹。
3代母アリカンスは、ブラッシンググルームの半妹にあたります。
母系は、ミルリーフやブラッシンググルームの出た、名門レディブリリアント牝系で、日本では、キングカメハメハやフジキセキが出ています。
BMSプルピットは、いまやボールドルーラー系の大黒柱となったエーピーインディの産駒で、母系は、ナシュワンやラウンドテーブルの出たアロペ牝系ですが、日本では、なんといってもディープを出した母系として知られています。
リーチフォーザムーンについては、まず、その父のプルピットに注目したいところです。
ディープと同じ母系で、テールオブザキャットやヨハネスブルグの近親にあたり、ラウンドテーブル=モナーキー5×4の全兄妹クロスが目立っています。
モナーキーは、プルピットの4代母にあたり、その祖母フェオラは、ディープの6代母でもあります。
以前から触れてきたように、ディープは、自身の母系の血を持つ馬と好相性です。
とくに、6代母のフェオラの血を持つ馬の成功例は多いようです。あまり代が近すぎると、その血を持つ馬の数が限られてしまいますし、代が遠すぎると、血量的に威力が薄まっていきますから、6代母くらいが丁度いいのかもしれません。
例えば、ディープとの交配でハズレ無しといわれる、クロウキャニオン(カミノタサハラなどの母)の血統をチェックしてみましょう。
クロウキャニオン
http://www.jbis.or.jp/horse/0000738195/pedigree/
すると、ラウンドテーブルとオリオールの2頭のディープ牝系出身馬が見つかります。ラウンドテーブルもオリオールも、ともにフェオラの孫にあたります。ラウンドテーブルとオリオールは、ディープ産駒で最もよく見かけるフェオラの血を持つ馬です。
フェオラの血を持つ馬が含まれるディープ産駒は、G1勝ち馬に限っても、トーセンラー(オリオール)、マルセリーナ(ラウンドテーブル)、ジョワドヴィーヴル(ラウンドテーブル)、ビューティパーラー(ラウンドテーブル&オリオール)がいます。
しかし、フェオラ持ちの馬が2頭以上となると、ビューティパーラーの母バステットと、カミノタサハラなどの母クロウキャニオンが目立つわけです。
そして、特徴的なのは、全兄弟も成功しているという点。トーセンラーは全弟スピルバーグ、ジョワドヴィーヴルは全兄トーセンレーヴ、ビューティパーラーは全兄バロッチ(重賞勝ちはないものの、仏G3に2着、米G2で3着)など、いずれも活躍していますし、クロウキャニオンの息子たちについては言うまでもないでしょう(なお、マルセリーナには全兄弟はいません)。
プルピットの持つ、ラウンドテーブル=モナーキーの全兄妹クロスは、そうした意味で効果的だろうと考えられます。
リーチフォーザムーンの配合面では、BMSチーフズクラウンが目につきます。ノーザンダンサー系×セクレタリアトの配合は、ストームキャットやエヴリウィスパー(トーセンホマレボシの母)を思い起こさせます。ディープとストームキャットのニックス関係のポイントの1つは、サーゲイロード≒セクレタリアトの相似クロスが生じることにありますから、チーフズクラウンやエヴリウィスパーにも応用が効くことになるわけです。エーピーインディの母にも、セクレタリアト≒サーゲイロードの相似クロスがあるので、レッドソレイユ全体としては、サーゲイロード≒セクレタリアト6×5・7・5となります。
このクロスもそうですが、リーチフォーザムーンにはナスルーラ≒ロイヤルチャージャーの血が大量にあり、ミスプロの血もあるので、かなり柔らかめの要素が多いことになります。対して、硬めの血としては、エーピーインディの持つ、ストライキング≒ブッシャー≒ブサンダ5・5×4の4分の3同血クロス(3頭ともラトロワンヌの孫)がありますが、全体的には、ナスキロ主導の柔らかい血が優勢と考えられます。したがって、レッドソレイユは、外回り向きの大トビの差し馬で、場合によっては、完成するのが遅くなる可能性のあるタイプでしょう。
ハイペリオン関連の血は、多いとは言えませんが、ヒラリー≒エイミー6×5の相似クロス(ハイペリオン、サンインロー、サンソヴィーノ~スウィンフォード、エクレア~ブラックレイが共通)は目につきます。ヒラリーは、サンデーの祖母のBMS、エイミーは、レッドソレイユの5代母です。レッドソレイユの母系は、前述のようにレディブリリアント牝系ですが、ヒラリーには、レディブリリアント4×5というクロスがあり(ブラックレイはレディブリリアントの娘)、サンデーとレディブリリアント牝系の相性のよさは、フジキセキによって実証されています。
あとは、ガルフストリーム≒オーロラ≒ヘリオポリス6・7×9(ハイペリオン、スウィンフォード、マルコが共通)や、レディアンジェラ≒サブジー7×9・7・9(ハイペリオン、スウィンフォード、デズモンド、ガリニュールが共通)などがありますが、血量的にも効果は限定的でしょう(ちなみに、サブジーの父スターダストは、ディープの5代母ハイペリカムとの間に6×10の相似クロスが生じます(ハイペリオン、フライアーマーカス、ガリニュールが共通)が生じます)。
http://fujikai.up.n.seesaa.net/fujikai/image/2013.6.28.jpg
続いて、馬体のほうに移りましょう。
見た目には、わりとガッチリしたタイプで、パワーの方もそれなりに感じられる馬体です。
ナスキロ的な要素だけでなく、米国血脈の力強さも併せ持っているかもしれません。
最後に、今後の展望について。
除外や延期で、ただでさえ遅れたデビューが、さらに延びてしまったので、今後のローテーションは難しくなりました。藤沢厩舎のことですから、皐月賞には色気を持たず、まず自己条件で2勝目→青葉賞でダービー出走枠を狙うという形になりそうです。
ただ、ここまで遅いデビューですし、配合的にも本格化は古馬になってからというのが、自然の成り行きかもしれませんね。
例のごとくのダイジェスト版。
レース内容……差のつきにくい超スローペースでも、きっちり突き放す完勝。
血統……ナスキロ主体だが、母の持つラウンドテーブル=モナーキーのクロスに注目。
馬体……柔らかさだけでなく、アメリカンな馬力もありそう。
http://www.youtube.com/watch?v=5guK-ey1PHo
http://db.netkeiba.com/race/201405010605/
道中は中団につけていましたが、ペースが遅いとみるや、3~4角からまくって、ゴール前では流す余裕もありました。
前半67秒ジャストの超スローペースながら、2着以下にきっちり差をつけたのは、力の証明でしょう。
先週の降雪による中止のあおりをくって、1週スライドすることになりましたが、問題ありませんでした。
http://www.jbis.or.jp/horse/0001139111/pedigree/
それでは、血統から見ていきましょう。
母リーチフォーザムーンは、芝とダートの二刀流でG1を6勝したアグネスデジタルの半妹。
3代母アリカンスは、ブラッシンググルームの半妹にあたります。
母系は、ミルリーフやブラッシンググルームの出た、名門レディブリリアント牝系で、日本では、キングカメハメハやフジキセキが出ています。
BMSプルピットは、いまやボールドルーラー系の大黒柱となったエーピーインディの産駒で、母系は、ナシュワンやラウンドテーブルの出たアロペ牝系ですが、日本では、なんといってもディープを出した母系として知られています。
リーチフォーザムーンについては、まず、その父のプルピットに注目したいところです。
ディープと同じ母系で、テールオブザキャットやヨハネスブルグの近親にあたり、ラウンドテーブル=モナーキー5×4の全兄妹クロスが目立っています。
モナーキーは、プルピットの4代母にあたり、その祖母フェオラは、ディープの6代母でもあります。
以前から触れてきたように、ディープは、自身の母系の血を持つ馬と好相性です。
とくに、6代母のフェオラの血を持つ馬の成功例は多いようです。あまり代が近すぎると、その血を持つ馬の数が限られてしまいますし、代が遠すぎると、血量的に威力が薄まっていきますから、6代母くらいが丁度いいのかもしれません。
例えば、ディープとの交配でハズレ無しといわれる、クロウキャニオン(カミノタサハラなどの母)の血統をチェックしてみましょう。
クロウキャニオン
http://www.jbis.or.jp/horse/0000738195/pedigree/
すると、ラウンドテーブルとオリオールの2頭のディープ牝系出身馬が見つかります。ラウンドテーブルもオリオールも、ともにフェオラの孫にあたります。ラウンドテーブルとオリオールは、ディープ産駒で最もよく見かけるフェオラの血を持つ馬です。
フェオラの血を持つ馬が含まれるディープ産駒は、G1勝ち馬に限っても、トーセンラー(オリオール)、マルセリーナ(ラウンドテーブル)、ジョワドヴィーヴル(ラウンドテーブル)、ビューティパーラー(ラウンドテーブル&オリオール)がいます。
しかし、フェオラ持ちの馬が2頭以上となると、ビューティパーラーの母バステットと、カミノタサハラなどの母クロウキャニオンが目立つわけです。
そして、特徴的なのは、全兄弟も成功しているという点。トーセンラーは全弟スピルバーグ、ジョワドヴィーヴルは全兄トーセンレーヴ、ビューティパーラーは全兄バロッチ(重賞勝ちはないものの、仏G3に2着、米G2で3着)など、いずれも活躍していますし、クロウキャニオンの息子たちについては言うまでもないでしょう(なお、マルセリーナには全兄弟はいません)。
プルピットの持つ、ラウンドテーブル=モナーキーの全兄妹クロスは、そうした意味で効果的だろうと考えられます。
リーチフォーザムーンの配合面では、BMSチーフズクラウンが目につきます。ノーザンダンサー系×セクレタリアトの配合は、ストームキャットやエヴリウィスパー(トーセンホマレボシの母)を思い起こさせます。ディープとストームキャットのニックス関係のポイントの1つは、サーゲイロード≒セクレタリアトの相似クロスが生じることにありますから、チーフズクラウンやエヴリウィスパーにも応用が効くことになるわけです。エーピーインディの母にも、セクレタリアト≒サーゲイロードの相似クロスがあるので、レッドソレイユ全体としては、サーゲイロード≒セクレタリアト6×5・7・5となります。
このクロスもそうですが、リーチフォーザムーンにはナスルーラ≒ロイヤルチャージャーの血が大量にあり、ミスプロの血もあるので、かなり柔らかめの要素が多いことになります。対して、硬めの血としては、エーピーインディの持つ、ストライキング≒ブッシャー≒ブサンダ5・5×4の4分の3同血クロス(3頭ともラトロワンヌの孫)がありますが、全体的には、ナスキロ主導の柔らかい血が優勢と考えられます。したがって、レッドソレイユは、外回り向きの大トビの差し馬で、場合によっては、完成するのが遅くなる可能性のあるタイプでしょう。
ハイペリオン関連の血は、多いとは言えませんが、ヒラリー≒エイミー6×5の相似クロス(ハイペリオン、サンインロー、サンソヴィーノ~スウィンフォード、エクレア~ブラックレイが共通)は目につきます。ヒラリーは、サンデーの祖母のBMS、エイミーは、レッドソレイユの5代母です。レッドソレイユの母系は、前述のようにレディブリリアント牝系ですが、ヒラリーには、レディブリリアント4×5というクロスがあり(ブラックレイはレディブリリアントの娘)、サンデーとレディブリリアント牝系の相性のよさは、フジキセキによって実証されています。
あとは、ガルフストリーム≒オーロラ≒ヘリオポリス6・7×9(ハイペリオン、スウィンフォード、マルコが共通)や、レディアンジェラ≒サブジー7×9・7・9(ハイペリオン、スウィンフォード、デズモンド、ガリニュールが共通)などがありますが、血量的にも効果は限定的でしょう(ちなみに、サブジーの父スターダストは、ディープの5代母ハイペリカムとの間に6×10の相似クロスが生じます(ハイペリオン、フライアーマーカス、ガリニュールが共通)が生じます)。
http://fujikai.up.n.seesaa.net/fujikai/image/2013.6.28.jpg
続いて、馬体のほうに移りましょう。
見た目には、わりとガッチリしたタイプで、パワーの方もそれなりに感じられる馬体です。
ナスキロ的な要素だけでなく、米国血脈の力強さも併せ持っているかもしれません。
最後に、今後の展望について。
除外や延期で、ただでさえ遅れたデビューが、さらに延びてしまったので、今後のローテーションは難しくなりました。藤沢厩舎のことですから、皐月賞には色気を持たず、まず自己条件で2勝目→青葉賞でダービー出走枠を狙うという形になりそうです。
ただ、ここまで遅いデビューですし、配合的にも本格化は古馬になってからというのが、自然の成り行きかもしれませんね。
例のごとくのダイジェスト版。
レース内容……差のつきにくい超スローペースでも、きっちり突き放す完勝。
血統……ナスキロ主体だが、母の持つラウンドテーブル=モナーキーのクロスに注目。
馬体……柔らかさだけでなく、アメリカンな馬力もありそう。