DP-Blog

ディープインパクト産駒を研究してPOGでの勝利を目指すシロウト競馬ファンの奮闘記

2014年02月

ディープとディープ牝系

今回は、レッドソレイユを取りあげます。

http://www.youtube.com/watch?v=5guK-ey1PHo
http://db.netkeiba.com/race/201405010605/

道中は中団につけていましたが、ペースが遅いとみるや、3~4角からまくって、ゴール前では流す余裕もありました。
前半67秒ジャストの超スローペースながら、2着以下にきっちり差をつけたのは、力の証明でしょう。
先週の降雪による中止のあおりをくって、1週スライドすることになりましたが、問題ありませんでした。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001139111/pedigree/

それでは、血統から見ていきましょう。
母リーチフォーザムーンは、芝とダートの二刀流でG1を6勝したアグネスデジタルの半妹。
3代母アリカンスは、ブラッシンググルームの半妹にあたります。
母系は、ミルリーフやブラッシンググルームの出た、名門レディブリリアント牝系で、日本では、キングカメハメハやフジキセキが出ています。
BMSプルピットは、いまやボールドルーラー系の大黒柱となったエーピーインディの産駒で、母系は、ナシュワンやラウンドテーブルの出たアロペ牝系ですが、日本では、なんといってもディープを出した母系として知られています。
リーチフォーザムーンについては、まず、その父のプルピットに注目したいところです。
ディープと同じ母系で、テールオブザキャットやヨハネスブルグの近親にあたり、ラウンドテーブル=モナーキー5×4の全兄妹クロスが目立っています。
モナーキーは、プルピットの4代母にあたり、その祖母フェオラは、ディープの6代母でもあります。
以前から触れてきたように、ディープは、自身の母系の血を持つ馬と好相性です。
とくに、6代母のフェオラの血を持つ馬の成功例は多いようです。あまり代が近すぎると、その血を持つ馬の数が限られてしまいますし、代が遠すぎると、血量的に威力が薄まっていきますから、6代母くらいが丁度いいのかもしれません。
例えば、ディープとの交配でハズレ無しといわれる、クロウキャニオン(カミノタサハラなどの母)の血統をチェックしてみましょう。

クロウキャニオン
http://www.jbis.or.jp/horse/0000738195/pedigree/

すると、ラウンドテーブルオリオールの2頭のディープ牝系出身馬が見つかります。ラウンドテーブルもオリオールも、ともにフェオラの孫にあたります。ラウンドテーブルとオリオールは、ディープ産駒で最もよく見かけるフェオラの血を持つ馬です。
フェオラの血を持つ馬が含まれるディープ産駒は、G1勝ち馬に限っても、トーセンラー(オリオール)、マルセリーナ(ラウンドテーブル)、ジョワドヴィーヴル(ラウンドテーブル)、ビューティパーラー(ラウンドテーブル&オリオール)がいます。
しかし、フェオラ持ちの馬が2頭以上となると、ビューティパーラーの母バステットと、カミノタサハラなどの母クロウキャニオンが目立つわけです。
そして、特徴的なのは、全兄弟も成功しているという点。トーセンラーは全弟スピルバーグ、ジョワドヴィーヴルは全兄トーセンレーヴ、ビューティパーラーは全兄バロッチ(重賞勝ちはないものの、仏G3に2着、米G2で3着)など、いずれも活躍していますし、クロウキャニオンの息子たちについては言うまでもないでしょう(なお、マルセリーナには全兄弟はいません)。
プルピットの持つ、ラウンドテーブル=モナーキーの全兄妹クロスは、そうした意味で効果的だろうと考えられます。

リーチフォーザムーンの配合面では、BMSチーフズクラウンが目につきます。ノーザンダンサー系×セクレタリアトの配合は、ストームキャットやエヴリウィスパー(トーセンホマレボシの母)を思い起こさせます。ディープとストームキャットのニックス関係のポイントの1つは、サーゲイロード≒セクレタリアトの相似クロスが生じることにありますから、チーフズクラウンやエヴリウィスパーにも応用が効くことになるわけです。エーピーインディの母にも、セクレタリアト≒サーゲイロードの相似クロスがあるので、レッドソレイユ全体としては、サーゲイロード≒セクレタリアト6×5・7・5となります。
このクロスもそうですが、リーチフォーザムーンにはナスルーラ≒ロイヤルチャージャーの血が大量にあり、ミスプロの血もあるので、かなり柔らかめの要素が多いことになります。対して、硬めの血としては、エーピーインディの持つ、ストライキングブッシャーブサンダ5・5×4の4分の3同血クロス(3頭ともラトロワンヌの孫)がありますが、全体的には、ナスキロ主導の柔らかい血が優勢と考えられます。したがって、レッドソレイユは、外回り向きの大トビの差し馬で、場合によっては、完成するのが遅くなる可能性のあるタイプでしょう。

ハイペリオン関連の血は、多いとは言えませんが、ヒラリーエイミー6×5の相似クロス(ハイペリオン、サンインロー、サンソヴィーノ~スウィンフォード、エクレア~ブラックレイが共通)は目につきます。ヒラリーは、サンデーの祖母のBMS、エイミーは、レッドソレイユの5代母です。レッドソレイユの母系は、前述のようにレディブリリアント牝系ですが、ヒラリーには、レディブリリアント4×5というクロスがあり(ブラックレイはレディブリリアントの娘)、サンデーとレディブリリアント牝系の相性のよさは、フジキセキによって実証されています。
あとは、ガルフストリームオーロラヘリオポリス6・7×9(ハイペリオン、スウィンフォード、マルコが共通)や、レディアンジェラサブジー7×9・7・9(ハイペリオン、スウィンフォード、デズモンド、ガリニュールが共通)などがありますが、血量的にも効果は限定的でしょう(ちなみに、サブジーの父スターダストは、ディープの5代母ハイペリカムとの間に6×10の相似クロスが生じます(ハイペリオン、フライアーマーカス、ガリニュールが共通)が生じます)。

http://fujikai.up.n.seesaa.net/fujikai/image/2013.6.28.jpg

続いて、馬体のほうに移りましょう。
見た目には、わりとガッチリしたタイプで、パワーの方もそれなりに感じられる馬体です。
ナスキロ的な要素だけでなく、米国血脈の力強さも併せ持っているかもしれません。

最後に、今後の展望について。
除外や延期で、ただでさえ遅れたデビューが、さらに延びてしまったので、今後のローテーションは難しくなりました。藤沢厩舎のことですから、皐月賞には色気を持たず、まず自己条件で2勝目→青葉賞でダービー出走枠を狙うという形になりそうです。
ただ、ここまで遅いデビューですし、配合的にも本格化は古馬になってからというのが、自然の成り行きかもしれませんね。

例のごとくのダイジェスト版。
レース内容……差のつきにくい超スローペースでも、きっちり突き放す完勝。
血統……ナスキロ主体だが、母の持つラウンドテーブル=モナーキーのクロスに注目。
馬体……柔らかさだけでなく、アメリカンな馬力もありそう。

小倉大賞典戦評

ラストインパクトが、小倉大賞典で初重賞制覇を飾りましたので、振り返っておきましょう。

http://www.youtube.com/watch?v=N3S--m2T3h0
http://db.netkeiba.com/race/201410010611/

スタートで出負けしたものの、向こう正面で一気に先頭に立つと、そのまま押し切りました。
菊花賞4着の後、準オープン特別を快勝し、ここも危なげなく1番人気に応えています。
本来、ローカルG3を獲りにいくようなレベルの馬ではないと思いますが、オーナーサイドの意向もあるようで、手堅く初重賞制覇となりました。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001120507/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきます。
母スペリオルパールは、ナリタブライアンの半妹で、祖母はパシフィックプリンセス。
前にもキズナがらみの投稿で触れたのですが、ディープ×パシフィックプリンセス一族の相性は、抜群だと思います。キズナの母キャットクイルは、実績のある繁殖牝馬でしたが、スペリオルパールは、これまでさほどの活躍馬を出しておらず、それでも重賞勝ち馬が出るわけですから、今後もディープ×パシフィックプリンセス一族の配合には、大いに期待してよいでしょう。
ディープ×パシフィックプリンセス一族の配合の優れている点は、パシフィックプリンセスの母フィジーが、ディープの祖母バークレアと組み合わせのクロスになる(ドナテロ、ハイペリオンのクロスとハイペリオン&オールムーンシャインの4分の3兄妹クロス、ローズレッド、ボンゴ≒サンインロー、フェアウェイが共通)、あるいはディープの4代母ハイライトと相似クロスをなす(ハイペリオンのクロスとハイペリオン&オールムーンシャインの4分の3兄妹クロス、ローズレッド、ボンゴ≒サンインローが共通)ということにあります。バークレアとのクロスと見るのは望田潤氏の説で、ハイライトとのクロスと見るのは栗山求氏の説ですが、どちらにしても、ディープ牝系とパシフィックプリンセス~フィジーとの関係性は強力です(最大限に拡大解釈すれば、パシフィックプリンセスとバークレアの組み合わせのクロスとさえ見なすことも出来なくもありません)。
また、望田潤氏によると、パシフィックプリンセスの父ダマスカスは、ディープと好相性で、その血を持つ産駒としては、キズナ、カミノタサハラ、ファイナルフォームなどがあげられます。スマートなディープに、アメリカンな馬力をプラスしてくれる血です。また、ダマスカスの配合の核は、バイジミニーブレイドオブタイム3×2の4分の3同血クロス(ファラリス、セレーネ、ブルーラークスパーが共通)にありますが、サンデーの父ヘイローのBMSコズミックボムも同じ配合パターンなので、ラストインパクトでは、コズミックボム≒バイジミニー≒ブレイドオブタイム5×7・6の4分の3同血クロスとなります。
ディープと、パシフィックプリンセス~フィジーとの、こうした密接な関係を考えるならば、ディープ×パシフィックプリンセス牝系の配合は、何度やっても成功する鉄板配合だと思います。

BMSティンバーカントリーについては、菊花賞のさいの投稿でも触れたように、その母のフォールアスペンの血が重要です。
フォールアスペンは、G1勝ち産駒を4頭も出し、孫の代になってもドバイミレニアムのような超大物が出た、20世紀を代表する繁殖牝馬の1頭です。
その配合のポイントは、ハイペリオン3×4とサンインロー5×5という、ハイインローを両方ともクロスさせたところにあります。ディープの4代母ハイライトはハイペリオン3×2+サンインロー、フィジーはハイペリオン≒オールムーンシャイン3×3+ボンゴ(サンインローとは、ダークロナルド、ドノヴァン、マグダレン≒レティセンスが共通)ですから、フォールアスペン、ハイライト、フィジーの3頭のハイぺリオンのクロスを軸にしたつながりの配合は、かなりの威力があるでしょう。
また、ティンバーカントリーとしては、ハイインロー配合のスワップス4×3のクロスがありますが、サンデーの3代母エーデルワイスは、スワップスと配合が似ている(ハイペリオン+エクレア、サンインロー、マンノウォー、サーギャラハッドが共通)ので、ラストインパクトとしては、エーデルワイス≒スワップス5×6・5の相似クロスとなっています。

ディープ×BMSティンバーカントリーという見た目とは異なり、ラストインパクトの配合は、ハイインロー絡みでまとめられています。さらなる成長力にも期待できるでしょう。

神戸新聞杯・3歳
http://www.keibado.com/keibabook/130923/photo04.html
2歳
http://stage-sykes.c.blog.so-net.ne.jp/_images/blog/_dce/stage-sykes/E383A9E382B9E38388E382A4E383B3E38391E382AFE38388EFBC889E69C88E4BC9AE5A0B1EFBC89.jpg

続いて、馬体のほうに移りましょう。
といっても、新しい画像が手に入らなかったので、以前のもので代用しますが、ディープとサンデーとティンバーカントリーを足して3で割ったような体型かなという、やはり以前と同じ感想になってしまいますね。

ディープインパクト
https://livedoor.4.blogimg.jp/jrdbjp/imgs/2/e/2e0bbb10.gif
サンデーサイレンス
http://www.pharlap.net/wp-content/uploads/2012/06/sundaysilence2.jpg
ティンバーカントリー
http://www.jbis.or.jp/horse/images/0000333901_1/

このあと、ラストインパクトは、日経賞から天皇賞を目指していくようですが、天皇賞に関しては、折り合い面に不安があるとのコメントも出ています。さしあたり、日経賞の結果を見てから、正式なローテーションが決まりそうな雰囲気です。

春菜賞短評

春菜賞をヤマノフェアリーが快勝したので、振り返っておきましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=mYhC9YsNCGQ
http://db.netkeiba.com/race/201405010409/

クイーンCを除外され、こちらに回ってきましたが、降雪の影響の残る重馬場で、不確定要素が多かったのですが、2~3番手から危なげなく抜け出しました。
距離は1F短かった印象ですが、ここでは負けられないというところでしょう。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001142085/pedigree/

では、血統のほうから見ていきます。

(1)BMSキングカメハメハ
前にも触れたように、個人的には、ディープ×BMSキングカメハメハにニックス級の成功の期待をかけています。これまでのところ、この配合からは3頭がデビューして、2頭が勝ち上がっていますが、その2頭はヤマノフェアリーと全姉デニムアンドルビーですから、まだまだサンプル不足です(残りの1頭は、ナイトジャスミンという3歳牝馬ですが、386キロしかないので勝ち上がりは難しいかもしれませんが、デビュー戦では5着と悪くない内容でした)。
望田潤氏によれば、サンデー系とミスプロ系の成功しやすい配合パターンは、サンデー×ミスプロ×バックパサーの形ですが、キングカメハメハにはバックパサーの血があるので、サンデー系と相性がよいと考えられます。
さらに、キングカメハメハの母マンファスには、レッドレイ≒エイミー6×4の相似クロスがあるので、ディープ×キングカメハメハの配合では、カーレッドレッドレイエイミー7×8・7の相似クロス(ハイペリオン、エスナーク、ブラックレイが共通)が生じるのも効果的でしょう。
キングカメハメハのBMSラストタイクーンは、栗山求氏がディープとの好相性と指摘されていますが、ノーザンダンサー×ナスキロラトロの配合の種牡馬は、フレンチデピュティやカーリアン(こちらは厳密にはロイキロラトロですが)など、ディープとの間に実績を残しています。
他にも、ヌレイエフやニジンスキーといった、サンデーともディープとも相性のよい血を抱えているのも、キングカメハメハの強みでしょう。

(2)母の持つヌレイエフ4×2のクロス
母ベネンシアドールには、ヌレイエフ4×2という強いクロスがありますが、こうした強いクロスを持つ牝馬は繁殖向きです。こうした強いクロスは、大きな爆発力を秘めています。
それだけでなく、ヌレイエフのクロスがあるということは、その母スペシャルもクロスされているということになります。ラングレーの投稿のさいに触れましたが、キングマンボの母ミエスクの配合の核は、スペシャルフラワーボウルの組み合わせのクロス(ハイペリオン、サンインロー、マムタズビガム≒マームードが共通)にありますが、スペシャルが更にもう1本追加される効果は大きいでしょう。実際、キングマンボ×サドラーズウェルズ(祖母スペシャル)は有名なニックスで、日本でもエルコンドルパサーが出ています。

(3)母方に蓄積された大量のハイペリオンの血
未勝利戦のさいの投稿でも触れましたが、ベネンシアドールに積み重ねられたハイペリオンの血は、たんに量が多いというだけでなく、あちこちで絡み合っています。
すでに(1)や(2)でも、カーレッド≒レッドレイ≒エイミーの相似クロスやスペシャルとフラワーボウルの組み合わせのクロスがあがっていますが、最大のポイントは、モンパルナスハイペリカムフォルリ(2本)、ミクストマリッジの組み合わせのクロス(ハイペリオン、サンインロー、アロペが共通)でしょう。ただのハイインローつながりではなく、ディープの母系の血(アロペはディープの8代母)も巻き込んだところが重要で、それらが、父父・父母・母父・母母に満遍なくあることも大事です。
そして、フォルリとスペシャルは、父と娘の間柄ですから、その親仔関係の下に、モンパルナスとハイペリカムとフォルリ(2本)とミクストマリッジの組み合わせのクロスと、スペシャルとフラワーボウルの組み合わせのクロスとが結び付けられていることの意味は、きわめて大きいと考えざるをえません。
その他にも細々とした関係がいろいろあって、フラワーボウルユアホストの4分の3同血クロスであるとか、ガルフストリームオーロラヘリオポリスハイペリオン、スウィンフォード、マルコが共通)の相似クロス、エーデルワイススワップスの相似クロス(ハイペリオン+エクレア、サンインロー+シナ、マンノウォー、サーギャラハッドが共通)などがあります。細々としたなどと書きましたが、単独でもそれなりに威力のあるものばかりで、それらが細々としているように見えてしまうということなのです。
もちろん、ノーザンダンサーの血が5本あることも、ハイペリオンの観点から重要でしょう。

(4)エスカッシャン牝系
ディープとベネンシアドールの母系(エスカッシャン牝系)の相性は抜群で、マルセリーナ、アユサン、エタンダールなどが出ており、もちろん全姉のデニムアンドルビーも含まれます。今年の3歳世代にも、ヤマノフェアリーやサトノルパンといった素質馬がおり、ますます好相性といったところですね。いずれ、ディープ×アパパネの産駒も、このラインアップに加わることになるわけです。

以上、見てきたように、ディープとベネンシアドールの相性は、鉄板級だと思われます。何度やっても成功する可能性が高いという点で、クロウキャニオンやラヴアンドバブルズとも遜色ないといっても過言ではないでしょう。

続いて、馬体のほうに移りたいのですが、相変わらず参考になるような画像が手に入りません。今回は、省略ということにさせていただきます。

陣営によると、次走はフィリーズレビューとのことですが、おそらくハープスターが出走予定のチューリップ賞を避けたものと思われます。今年は、3歳牝馬戦線の水準が高いので、ヤマノフェアリーといえども、どれだけ通用するのか、はっきりしたことは分かりません。しかし、普通の年ならば、立派な桜花賞候補でしょう。先行力を武器に、どのくらいかき回せるかに注目したいと思います。

未勝利戦ピックアップ~ノーブルプラネット、メイショウチギリ、リーサルウェポン

未勝利戦の勝ち馬がたまってきたので、ノーブルプラネット、メイショウチギリ、リーサルウェポンの3頭を取りあげます。
まず、ノーブルプラネットから。

https://www.youtube.com/watch?v=kD2wlkyBhCE
http://db.netkeiba.com/race/201405010405/

あいにくの不良馬場でしたが、中団から進んだノーブルプラネットが、ゴール寸前で差し切りました。
ご存じのかたも多いと思いますが、ノーブルプラネットは、1歳時に右後肢のボーンシストを発症し、クラブでの募集が一旦は中止になった馬です。ボーンシストとは、化骨の段階で骨に小さな空洞が出来る症状で、位置や大きさによって対処法が異なります。軽度のものなら、空洞にコルチコステロイドを注入して様子を見ることになりますが、より重度のものは、手術で骨を削ることになります。手術となると回復に時間がかかるので、3歳9月までのデビューは絶望的ですし、場所によっては手術が出来ないケースもあり、さらに再発も少なくないという厄介な病気です。
今年の社台TCおよびサンデーTCでは、それぞれのクラブのディープ産駒のエースと見られていたノーブルプラネットとポルトフィーノ11がボーンシストを発症し、ポルトフィーノ11は重症のため即引退、ノーブルプラネットはコルチコステロイド注入で様子を見る措置がとられました。
さいわい、ノーブルプラネットは、デビューの目処がたったので、値下げしての再募集となりました。しかし、状態が安定したとはいえ、手術をしなかったので、空洞が完全に無くなったというわけではありません。今後も、様子を見ながら慎重に進めていく必要があるでしょう。
ちなみに、ボーンシストを発症しながらもデビューに漕ぎ着けた馬というと、最近では、ソロルがあげられます。つい先月、ダートのオープン特別に勝つなど、元気に競走生活を送っています。ノーブルプラネットも、ソロルに続いてほしいものですね。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001142392/pedigree/

では、血統のほうから見ていきましょう。
母ノーブルステラは、1800~2400mで重賞を4勝しました。
ノーブルプラネットの半姉ノーブルジュエリーは、京都牝馬S3着などがあります。
全姉ノーブルコロネットは、現在1勝。
BMSモンズンは、3度の独リーディングに輝いた、ドイツを代表する種牡馬です。父系は、現在はすっかり衰退してしまったブランドフォード系。
ノーブルプラネットの配合では、祖母モセラのBMSオーティがオリオール産駒なので、オリオールとディープの祖母バークレアが、組み合わせのクロス(ドナテロ、ハイペリオン、フェオラ~サンインローが共通)になっています。このクロスは、望田潤氏が重視されているものです。
そのオーティの配合は、ディープの6代母であるフェオラの3×4のクロスも注目されます。オリオールとバークレアの組み合わせのクロスもあるので、オーティとディープの相性は抜群だと思われます。
ノーブルステラのBMSダッシングブレイドの配合も面白く、父はナスキロラトロのミルリーフの系統で、BMSシャーペンアップの父エタンは、ディープ牝系の出です。エタンの母ミクストマリッジは、ディープの側にあるモンパルナス(サンデーの母のBMS)やハイペリカム(ディープの5代母)と組み合わせのクロス(ハイペリオン、サンインロー+アロペが共通)になっています。
ノーブルステラの、モンズン×BMSダッシングブレイドという配合からは、仏オークスなどG1を6勝したスタセリタや、独オークス2着のソベラニアが出ており、ダッシングブレイドが中堅種牡馬であることを考えると、非常に成功している配合パターンだと思います。
ディープ×モンズンということでは、やはりオーティ~オリオールが注目で、ディープとモンズンの相性には期待してよいと思います。そのことは、モンズン産駒のG1勝ち馬の中に、ナシュワンアンフウェインといった、ハイトオブファッションが母である種牡馬をBMSに持つ馬が3頭もいる(ロイヤルハイネスゲットアウェイグアダルーペ)ことからも類推できるでしょう。前にも触れましたが、ハイトオブファッションは、ディープの祖母バークレアの4分の3妹にあたります。モンズンとハイトオブファッションの相性がよければ、バークレアとの相性にも期待できますし、ひいてはディープとの相性もよいのではないかと考えられるわけです。ちなみに、ディープ×BMSモンズンは、今のところ4頭がデビューして、3頭が勝ち上がっています(すべて中央)。

2歳
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/09/23886ab4e6f5d5d549b7498c3477f3d8.jpg

続いて、馬体のほうも見ていきます。
かなりBMSモンズンの影響が濃いですが、それよりは幾分スマートなのは、ディープの影響でしょう。

モンズン
http://www.sporthorse-data.com/horse/10065040/253/Horse_Monsun-big.jpg

デビュー戦こそ凡走したものの、ひと息いれての2走目を快勝したことで、ゆっくり成長を待ちながら仕上げていくことが出来るのは大きいです。
ガリバルディとともに、社台TCの世代ナンバーワンと言われた素質が開花するのか、ボーンシストに負けずに頑張ってほしいところですね。

次は、メイショウチギリです。

https://www.youtube.com/watch?v=nM1tIn6nsmQ
http://db.netkeiba.com/race/201410010305/

道中は中団につけましたが、3~4コーナーの中間あたりから外をまくって、直線の入口で早々と先頭に立つと、そのまま押し切って、4戦目で未勝利を脱出しました。
過去3戦は、3→2→3着と惜しいレースが続いており、今回は小倉に遠征しての負けられない1戦でした。ちなみに、デビュー戦の3着は、2着のトゥザワールドと半馬身差でした。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001142451/pedigree/

母スクービドゥーは、ドイツで生産され、重賞1勝。
母系は、ビワハイジでお馴じみ、ドイツの名門シュヴァルツゴルト牝系です。
BMSヨハンクライフは、ダンジグ~デインヒルの系統ですが、ブサンダブルーアイドモモ5×5の全同血クロス(ラトロワンヌの孫で従姉妹の関係)があり、かなりパワフルな配合です。
スクービードゥーのBMSは、ノーブルプラネットのところでも出てきたダッシングブレイド。ヨハンクライフとの間に、ビジネスライクビッグイベントバイムレック7・7×9のラトロワンヌ産駒の兄妹による相似クロスが生じています。
また、スクービドゥーの祖母のBMSの母メルドは、ディープの祖母バークレアと組み合わせのクロス(ドナテロ、ハイペリオン+ローズレッド、フェアトライアル~サンインロー、フライアーマーカスが共通)になっています。
スクービドゥーには、ラトロワンヌやマンノウォー関連のクロスがしっかりあり、ナスルーラ≒ロイヤルチャージャーの血やハイインローの血も豊富で、ディープのお相手としては、やや重厚な感じもしますが、まずまずの相性だと思います。

パドック画像(新馬)
http://www.hebokei.com/18th_pog/horse_picture/20130928_meisho_chigiri_01.jpg

馬体のほうに移りますが、ネット上にはあまりよい画像がなく、POG本の画像の印象でいうと、非常にがっしりした馬体です。ディープ×デインヒル系に見られるような丸みのある馬体ではなく、どちらかと言えば、ディープ×フレンチデピュティ系によく見られるような体型でしょう。POG本の段階では、ステファノスなんかが体型的には近いと思います。

ステファノス(2歳)
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/53/edce500ac598763b89b00264274b9741.jpg

ステファノスの名前を出しましたが、レースぶりも似たような感じで、スパッと切れる脚はないものの、しぶとく伸び続けるタイプでしょう。
現状では、先行しても差しても2着3着といったタイプで、もう一段の地力強化が望まれます。
母系のドイツの血の成長力に期待したいところです。

最後は、リーサルウェポンです。

https://www.youtube.com/watch?v=9PGom850-jY
http://db.netkeiba.com/race/201405010504/

中団からのレースとなりましたが、直線では持ったままで先頭に並びかけ、軽く気合をつける程度の快勝でした。
昨秋にデビューして、2戦連続2着のあと、ひと息入れての復帰戦でしたが、ここでは力が違いましたね。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001141701/pedigree/

母系は、ヒシアマゾンやアドマイヤムーンの出た、ケイティーズ一族。
母クイックコマンドは、ナスキロラトロ+レイズアネイティヴ+米国血脈でまとめられており、非常にパワフルな半面、ハイペリオンや欧州血脈には欠けています。
ちょっと面白いのは、BMSゴールドレジェンドにある、ラウンドテーブル4×4のクロスでしょうか。ラウンドテーブルの祖母フェオラは、前にも何度も触れたように、ディープの6代母にあたります。リーサルウェポンとしては、フェオラ7×8・8となりますが、まずまず効果的だと思います。
総じて、リーサルウェポンの血統は、アメリカンなスピードと馬力で圧倒するようなタイプだと思いますが、ケイティーズ一族の母系と、フェオラのクロスが上手く機能すれば、かなりの活躍も見込めるでしょう。

2歳
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/8d/46b2918dd913af3522a3109318585a5d.jpg

続いて、馬体のほうも見ていきます。
POG本には画像が載っていなかったので、画像は見られないと決め付けていましたが、探せばあるものですね。
ディープ牝馬らしいスマートな体型ですが、胴の長いのは、母クイックコマンドにあるレイズアネイティヴのクロスの影響だと思います。
非常に見栄えのする馬体で、POGの頃に画像が見つかっていれば、馬体評価リストに加えたかもしれません。
レイズアネイティヴやマンノウォーの血があると、胴長な体型になることがありますが、ステイヤー的な胴の長さとは全く異なるので、気を付けたほうがよいでしょう。
レイズアネイティヴ的な胴の長さを持つディープ牝馬の例としては、アユサンが代表的です。

アユサン(2歳)
http://www.jbis.or.jp/horse/images/0001126009_2/

レイズアネイティヴ
http://www.sporthorse-data.com/horse/100589/519/Horse_Raise_a_Native-_2big.jpg

今回のレース内容は非常によかったので、牝馬どうしなら、昇級しても即通用するでしょう。
問題は、桜花賞路線に間に合うかですが、これは次走のレースぶり次第ですね。

バレークイーン一族とディープ

今回は、プリモンディアルの新馬戦を取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=jisADCvSmkg
http://db.netkeiba.com/race/201408020605/

好発から先手をとったプリモンディアルが、そのまま押し切り、断然の1番人気に応えました。
2着には、同じディープ産駒のインターンシップが、出遅れから巻き返して突っ込んでいます。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001139819/pedigree/

まず、血統から見ていきましょう。
なんといっても、祖母が、名繁殖牝馬のバレークイーンであることが目につきます。
バレークイーン一族とディープということでは、バレークイーン最大の後継馬であるグレースアドマイヤとの間に3頭の産駒(シェイクスピア、トルストイ、ブルーダイアモンド)がありますが、グレースアドマイヤが高齢になってきているということもあり、成果が出ていません。
プリモンディアルの母フレンチバレリーナは、グレースアドマイヤの9歳下の半妹で、ディープとの間に2頭の産駒がいます。プリモンディアルの全姉アンレールは、初勝利までに時間がかかりましたが、ポンポンと2連勝して今後が期待されるところです。
グレースアドマイヤは、バレークイーンに優るとも劣らぬ名繁殖牝馬ですが、ディープのお相手としては、やや欧州血脈に偏っているきらいもあります。
フレンチバレリーナは、実績では偉大な姉グレースアドマイヤに遠く及ばないものの、父親がトニービンからフレンチデピュティに替わったことで、欧州血脈と米国血脈のバランスはとれているでしょう。
手始めにフレンチバレリーナの配合を見ると、フレントデピュティが、ノーザンダンサー×ナスキロラトロの形になっているのに対し、バレークイーンは、ノーザンダンサー×ロイヤルチャージャー(ナスルーラの4分の3同血)×プリンスシャブリエプリンスキロと配合が似ています)×ラトロワンヌとなっており、配合のベースには共通性があります。とくに、バレークイーンの父サドラーズウェルズは、ナスキロラトロの血が大好物です。
配合のベースは同じでありながら、フレンチデピュティは米国血脈主体、バレークイーンは欧州血脈中心というのが、フレンチバレリーナという繁殖牝馬の面白いところということになるでしょう。

では、ディープ×フレンチバレリーナでは、どういうことになるでしょうか。
BMSがフレンチデピュティで、サドラーズウェルズにもヘイルトゥリーズンの血があるということで、ノーサードチャンス(ヘイルトゥリーズンの母)≒ブルームーン5×5・6の相似クロス(ブルーラークスパー、マンノウォー、サーギャラハッド、ハイタイムが共通)が生じています。
フレンチバレリーナには、スウィートラヴェンダーローズレッド7×8・8の全姉妹クロスがありますが、ディープの側にもその全姉妹クロスがあるので、プリモンディアルでは、スウィートラヴェンダー=ローズレッド8・9・8×8・9・9ということになります。血量的には薄いですが、なかなか効果的なクロスで、キズナなどでも存在感を発揮しています(キズナでは8・9・8×8・6)。
それから、望田潤氏によれば、ディープの祖母バークレアと、バレークイーンのBMSの父ペティンゴとは、組み合わせのクロス(ドナテロ、オーロラ~ハイペリオン、フェアトライアル~サンインローが共通)になっています。
プリモンディアルの配合は、ディープ×ノーザンダンサー×ナスキロラトロを軸に、欧州血脈と米国血脈のバランスがとれていて、なかなかの好配合だと思います。ディープ×グレースアドマイヤは、当たれば大物が出そうですが、確実性という点では、ディープ×フレンチバレリーナのほうが手堅いのではないでしょうか。

続いて、馬体のほうに移りたいのですが、ネット上にもPOG本にも適当な画像が見あたりませんでした。
しかたなく、パドック中継の印象でいうと、全姉アンレールに似たタイプのように思われます。
ディープの馬体に、フレンチデピュティのパワーをプラスしたような感じでしょうか。

アンレール(2歳)
http://banusitobakendou.up.n.seesaa.net/banusitobakendou/image/EFBE8CEFBE9AEFBE9DEFBE81EFBE8AEFBE9EEFBE9AEFBE98EFBDB0EFBE85.JPG

最後に、今後の展望について。
逃げる馬がいなかったため、押し出されるように先頭に立ちましたが、逃げなければ駄目というタイプではないでしょう。さっと前につけられる脚があるようなので、競馬のしやすいタイプだと思われます。
今回はスローの逃げになったので、ちょっと能力の見きわめにくいレースでしたが、陣営の雰囲気からは、桜花賞のトライアルのどれかに使ってきそうなので、そこで現時点での力がはっきりするでしょう。

恒例のダイジェスト版
レース内容……押し出されての逃げも完勝。
血統……バレークイーン一族で、欧州血脈と米国血脈のバランス良好。
馬体……ディープ×フレンチデピュティらしい体型。

つばき賞短評

つばき賞がディープ産駒のワンツーで決まったので、振り返っておきましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=0F7GiDr8C2A
http://db.netkeiba.com/race/201408020509/

内をこじ開けるゼウスバローズと、大外回しで差してくるステファノスとの勝負になりましたが、ステファノスが差し切って2勝目をあげました。
ローテーションの順調さと道悪適性の差で、ステファノスに軍配があがりましたが、上位2頭の力は、ほぼ互角ではないでしょうか。
今回は、ステファノスを取りあげます(ゼウスバローズについては、未勝利戦のさいの投稿をご覧ください)。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001141375/pedigree/

まず、血統から見ていきましょう。
母ココシュニックは、ゴールドティアラ(南部杯)の娘で、母系は、リヴァーマン、デピュティミニスター、イクスクルーシヴネイティヴなどの出た、米国の名門コートドレス牝系。
5代母イクスクルーシヴダンサーは、イクスクルーシヴネイティヴ(北米リーディングサイアー)の4分の3妹です。
ココシュニックの配合では、グッドエグザンプルエイトサーティ7・6×6の相似クロス(パイラト、フェアプレイ、コマンドーが共通)と、バイムレックビジネスライク6・8×6の相似クロス(父のブラックトニーとブルーラークスパーが祖父と孫の関係で、母は同じラトロワンヌ)が、なんといっても目につきます。
グッドエグザンプル≒エイトサーティの相似クロスは、フレンチデピュティにあるクロスを継続したもので、クロフネ産駒の成功パターンの1つ。とくに、ココシュニックの6代母がグッドエグザンプルなので、より効果的でしょう。
ステファノスには、ノーサードチャンスブルームーン5×6・8の相似クロス(ブルーラークスパー、マンノウォー、サーギャラハッド、ハイタイムが共通)が生じていますが、父エイトサーティと娘ブルームーンの親仔関係によって、グッドエグザンプル≒エイトサーティと、ノーサードチャンス≒ブルームーンの2つのクロスが連結されているのがポイントです。
バイムレック≒ビジネスライクの3本の相似クロスは、ジェンティルドンナの母ドナブリーニにあるパターンです(ドナブリーニでは、バイムレック≒ビジネスライク7×6・7)。ラトロワンヌの血は、サンデーやミスプロなどの柔らかいに血に、硬さとパワーを補うには最適でしょう。
また、ココシュニックは、ミスプロの血が挟まっているとはいえ、父母ともに、ノーザンダンサー×ナスキロラトロという、ディープと相性のよい配合になっています。
ハイペリオンの血が不足気味なのは気になるところですが、ココシュニックには、ノーザンダンサーが2本ありますし、ヘリオポリスの血があるので、ガルフストーリームオーロラヘリオポリス6・7×7の相似クロス(ハイペリオン、スウィンフォード、マルコが共通)は、それなりに効果があると思われます。
やや米国血脈に偏ってはいるものの、ステファノスの配合は、ディープと米国血脈を合わせるさいの定石に則ったものだと考えられるでしょう。

2歳
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/53/edce500ac598763b89b00264274b9741.jpg

続いて、馬体のほうに移りましょう。
基本的には、がっちりしたタイプだと思いますが、ここにきて柔らかみも感じられるようになってきました。
ダート向きとの声もあるようですが、個人的には、芝でいけるところまで突き進むべきだと思います。

デビューから4戦連続でマイル戦を使ってきて、今回が初の1800mのレースでしたが、レース内容をみるかぎりでは、1800~2000mくらいのほうが現状では良いと思います。というのも、白梅賞なんかは典型的ですが、マイルだとスピードタイプの馬にかき回されて、けっきょく勝ち切れないというレースになる可能性が高いと考えられるからです。将来的に、さらに筋肉量が増えた場合には、マイルに再挑戦ということもよいと思いますが、当面は中距離路線が無難ではないでしょうか。
今回のつばき賞は、まずまずメンバーも揃っていたので、そのレースに快勝したわけですから、次は皐月賞のトライアルのどれかというのが、自然な流れだと思います。

ゆりかもめ賞短評

ゆりかもめ賞をラングレーが勝ったので、簡単に振り返っておきます。

https://www.youtube.com/watch?v=69j8xMFnY48
http://db.netkeiba.com/race/201405010310/

終始インコースを進んだラングレーでしたが、直線では前が壁になりかけたものの、割って出て2勝目をあげました。この時期の3歳の2400m戦にありがちな超スローペースの展開となりましたが、メンバー最速の上がり33.8秒の末脚で、1番人気に応えました。
前走の京成杯は、序盤に被せられたりぶつけられたりの不利があり、参考外のレースと言ってよく、仕切り直しの一戦をきっちりものにしたのは、大きいと思います。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001142765/pedigree/

まず、血統のほうから見ていきましょう。
新馬戦のときにも触れたように、3代母ミエスクが、なんといっても目につきます。G1を10勝し、繁殖牝馬としても、キングマンボ(仏2000ギニー&ムーランドロンシャン賞などG1を3勝)やイーストオブザムーン(仏牝馬2冠&ジャックルマロワ賞)などの大物を出しました。
祖母モネヴァシアは、キングマンボの全妹で、産駒のランプルスティルツキン(マルセルブサック賞などG1を2勝)は、欧州最優秀2歳牝馬に選出されています。

ミエスク
http://www.jbis.or.jp/horse/0000411358/pedigree/

ミエスクの配合は、スペシャルフラワーボウルの組み合わせのクロス(ハイペリオン、サンインロー、マムタズビガム≒マームードが共通)が、配合の核となっていると思われます。
一方、ディープの配合は、ヘイロー≒サーアイヴァーの相似クロスと、モンパルナスハイペリカムの組み合わせのクロス(ハイペリオン、サンインロー、アロペが共通)が核になっています。
ようするに、両馬とも、マムタズマハルに由来するスピードと、ハイインローの持久力とが、配合のベースになっていると考えてよいでしょう。
スペシャルの父フォルリは、モンパルナスやハイペリカム(ディープの5代母)と組み合わせのクロスと見なせるので(ハイペリオン、サンインロー、アロペが共通)、フォルリ~スペシャルの父娘関係によって、スペシャルとフラワーボウルの組み合わせのクロスと、フォルリとモンパルナス&ハイペリカムの組み合わせのクロスとが結び付けられていると考えることも出来ます。

そうしたディープとミエスクとの関係の間に、ストームキャットとミスプロが挟まっているわけですが、ディープ×BMSストームキャットは、もはやニックスと見なしてもいいくらいですし、ミスプロについては、栗山求氏が指摘される、ディープ×ミスプロ×スペシャルの相性のよさが当てはまっています。
総じて、ラングレーの血統は、よく出来た配合だと言ってよいでしょう。

2歳
http://www.jbis.or.jp/horse/images/0001142765_3/
1歳
http://i.imgur.com/88HwkUY.jpg

パドック動画(新馬)
https://www.youtube.com/watch?v=RbsGX6Jsxvo

続いて、馬体のほうに移ります。
現時点では完成度が高いとは言えないものの、上の動画を見ると、筋肉の感じにハイペリオン的なものを感じます。実が入ってくれば、馬体重が増加し、内側から膨れ上がってくる、例えばトーセンラーのような、いかにもハイペリオンの血といった成長をしてくれるのではないかと期待しているところです。

陣営によると、このあとは若葉Sか毎日杯とのことなので、どうやら皐月賞はパスして、ダービー一本に狙いを絞っているようです。あとは、ダービーまでにどれだけ完成度が上がってくるかでしょう。しかし、たとえ春に結果が出なくても、長い目で見ていれば、やがてハイペリオン的な成長力で開花してくれると思います。

きさらぎ賞戦評

きさらぎ賞をトーセンスターダムが勝ちましたので、簡単に振り返っておきましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=6zdzgYyTlxo
http://db.netkeiba.com/race/201408020411/

人気を分けたトーセンスターダムとバンドワゴンが、ともに出遅れるというスタートになりましたが、バンドワゴンがハナに立ち、トーセンスターダムは中団から追い上げる展開から、ゴール前でトーセンスターダムが差し切りました。
戦前の予想通りの2強対決となったわけですが、両馬ともに手の内を充分には見せなかった(トーセンスターダムは見せる気がなく、バンドワゴンは見せることが出来なかった)レースだったのではないでしょうか。
トーセンスターダムは、明らかに太め残りでした。レース当日は、なんとかプラス10キロで収めてきましたが、あとで見ていただく10日ほど前の画像は、お腹がポッコリとしていて、はたしてこれで大丈夫なのかという状態でした。本番はまだ先であり、ここできっちり仕上げる必要をまったく感じていないような仕上げだったと思います。
一方、バンドワゴンは、出遅れを取り返そうとしたさい、すっかり引っかかってしまいました。これまで、さほど速いペースで逃げたことがなく、けっきょく直線で失速してしまいます。おそらく、生粋の逃げ馬というよりも、ペースが速ければ2~3番手でいいというタイプだと思いますが、意外な気性の激しさを見せたのは、陣営にとっても誤算だったでしょう。
両馬は、いずれも皐月賞直行を表明しましたが、2度目の対決は、今回とはかなり違った形で展開されるのではないかという気がしています。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001139037/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母アドマイヤキラメキは、トーセンジョーダンやトーセンホマレボシの半姉なので、トーセンスターダムは、トーセンホマレボシ(および、その全同血のヒストリカル)とは4分の3同血の間柄になります。
母系は、トーセンジョーダンやサイレンススズカの出たトガリー牝系。
前にも触れましたが、アドマイヤキラメキは、その父エンドスウィープと母エヴリウィスパーとが、ミスプロ×ノーザンダンサー×ナスキロという点で共通しており、父母相似的な配合です。
ディープとエヴリウィスパーの交配でトーセンホマレボシが出て、エヴリウィスパーの全姉ブリリアントベリーとディープとの間からもヒストリカルが出ているので、ディープ×エヴリウィスパー(=ブリリアントベリー)の相性は鉄板といってよいでしょう。
エヴリウィスパーとエンドスウィープの配合に共通点が多いのなら、ディープ×アドマイヤキラメキの配合も、成功する可能性が高いと考えられるわけです。
エンドスイープは、代表産駒のアドマイヤムーンやラインクラフトのBMSがサンデーなので、サンデー系と好相性と思われますが、笠雄二郎氏によれば、エンドスウィープにあるヘリオポリスの血と、サンデーにあるガルフストリームの血が、4分の3同血クロスをなす(ハイペリオン、ドリフトが共通)ことが主な要因だそうです。さらに、ディープにあるオーロラの血も、ヘリオポリス&ガルフストリームとよく似ている(ハイペリオン、スウィンフォード、マルコが共通)ので、トーセンスターダムとしては、ガルフストリーム≒オーロラ≒ヘリオポリス6・7×7の相似クロスになっています。
あとは、ポカホンタス5×6も効果がありそうです。ビューティパーラー(仏1000ギニー)、マルセリーナ、ヴィルシーナなどにあります。

続いて、馬体のほうへ移りましょう。

きさらぎ賞
http://www.keibado.com/keibabook/140210/photo02.html
2歳
http://www.jbis.or.jp/horse/images/0001139037_3/

きさらぎ賞前の新しい画像が手に入りましたが、最初に触れたように、かなり太めな状態です。
まだまだ成長することを見込んで、目先の勝利よりも、将来の成長を重視した仕上げと言えるでしょう。
逆に言えば、そうした状態でも勝ってしまうところに、この馬の勝負強さがあると思います。

バンドワゴンとの無敗対決を制して、現段階での3歳牡馬路線の先頭に立った形となりましたが、勝ち方が地味なせいか、断然の中心馬といった雰囲気にはなっていません。
ただ、地味な勝ち方であるにしても、前走の京都2歳Sは、2歳のコースレコードに0.1秒差でしたし、今回も、稍重の馬場ながら、レースレコードに0.6秒差ですから、時計の裏付けはしっかりしています。どちらも出遅れてのものであることを考慮に入れれば、レコードと同等の価値があると言うこともできるでしょう。
これといった傑出した点は見あたらないものの、オールラウンダーな平均点の高い馬で、能力以上に勝ち星に恵まれるタイプかもしれません。しかしながら、この馬の母系には晩成傾向があるので、これからの成長とともに個性が表面化してくることも考えられるでしょう。
いまの時点では、はっきりしたことの言いにくいタイプであり、あれよあれよという間にどんどん勝ち星を積み重ねていく可能性もありますし、意外と簡単に底が見えてしまう可能性もあります。
とはいえ、今年の3歳牡馬戦線のレベルを考えると、中心馬の1頭であることは間違いない状況だと思います。

受け継がれる名牝の血

今回は、ブロンシェダームを取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=csh9apFepFk
http://db.netkeiba.com/race/201410010106/

レースは、見てのとおり、さっと2番手につけると、直線もあっさり抜け出して快勝でした。
問題は、384キロという馬体重でしょう。陣営としては、400キロ前後での出走を見込んでいたようですが、輸送で思いのほか減ってしまったようです。いずれにしても、馬体重が最大の課題になることは間違いないでしょう。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001140692/pedigree/

まず、血統のほうから見ていきます。
母スリープレスナイトは、スプリンターズSに勝って、2008年の最優秀短距離馬に選ばれましたが、2012年に亡くなっており、ブロンシェダームが唯一の産駒です。
母系は、ヒシアマゾンやアドマイヤムーンでお馴じみのケイティーズ一族。
ディープ×BMSクロフネは、まだ重賞勝ち馬はいないものの、6頭がデビューして全て中央で勝ち上がっています。ディープ×BMSフレンチデピュティも勝ち上がり率が高いので、基本的に相性がよいのでしょう。
以前にも触れたように、サンデー系とフレンチデピュティの相性のよさは、ノーサードチャンスブルームーンの相似クロス(マンノウォー、ブルーラークスパー、サーギャラハッド、ハイタイムが共通)が生じることによると考えられます。
望田潤氏によると、クロフネ産駒の配合のポイントは、不足気味のハイペリオンの血の補給と、フレンチデピュティの持つグッドエグザンプル≒エイトサーティの相似クロスの継続の2点ですが、スリープレスナイトは、母側からハイペリオンの血が補充され、グッドエグザンプルエイトサーティウォーレリック7・6×6と継続されています。クロフネ産駒の教科書といってもよい配合でしょう。

ディープ×スリープレスナイトでは、まず、BMSクロフネが、ディープと相性のよいノーザンダンサー×ナスキロラトロの配合になっている点が目に付きます。
このブログでもお馴じみになってきましたが、ノーサードチャンス≒ブルームーン5×6・8と、スリープレスナイトにあるグッドエグザンプル≒エイトサーティ≒ウォーレリック7・6×6が、エイトサーティ~ブルームーンの父娘関係を利用して結合されている点も重要です(リアルインパクトカミノタサハラにあるパターンです)。
それから、ディープとヌレイエフの血も好相性でしょう。
また、栗山求氏によれば、ディープのお相手として、スプリンターは非常に向いているとのこと。
総じて、ディープとスリープレスナイトの相性は良好と言ってよく、血統面からは大物も期待できる配合だと思います。

http://www.jbis.or.jp/horse/images/0001140692_1/

続いて、馬体のほうも見ていきましょう。
馬体重を別とすれば、胸が深く、いかにもディープ産駒の牝馬らしい整ったシルエットです。
ただし、がっちり体型の母スリープレスナイトには、まったく似ていません。

スリープレスナイト(スプリンターズS・4歳)
http://www.keibado.com/keibabook/081006/photo08.html

最後に、今後の展望について。
非常にセンスを感じさせるレース内容で、最初に戻りますが、とにかく馬体重に尽きるでしょう。レース動画を見ると、1頭だけ仔馬が紛れ込んで走っているようで、心配を通り越して、気の毒な感じすらします。輸送で減らした馬体の回復はもちろんのこと、さらなるウエイトアップが望まれます。
この馬体であれだけのレースが出来るのですから、素質はかなりのものがあると思われ、馬体重さえ増えれば重賞も狙える素材でしょう。逆に言えば、馬体重がこのままならば、素質を活かしきれずに条件級でウロウロすることも覚悟する必要があると思われます。
ただし、それなりに素質があることは証明されたので、スリープレスナイトの唯一の産駒であるということを考慮するならば、競走馬としてよりも繁殖牝馬としての価値のほうが、はるかに大きい馬であるということも念頭に置いておくべきでしょう。

いつもいつものダイジェスト版。
レース内容……短距離戦で番手からさっと抜け出すセンス充分の内容。
血統……ディープ×BMSクロフネの、お手本となるような好配合。
馬体……とにかく、馬体重に尽きる。

梅花賞短評

梅花賞は、ディープ産駒のワンツーとなりましたので、振り返っておきます。

https://www.youtube.com/watch?v=Amz0wyhaihg
http://db.netkeiba.com/race/201408020109/

勝ったヤマノウィザードは、道中は後方3番手から、大外を回して差し切りました。
2着のワールドインパクトほうは、中団の内ぴったりを進みましたが、なかなか馬群が捌けず、惜しい敗戦でしたね。
勝ち馬は大外を回すコースロスがあり、2着馬は前が壁になってしまいましたが、それでも2頭での決着ということは、このメンバーでは両馬の力が上だったということでしょう。
今回は、ヤマノウィザードについて扱います(ワールドインパクトについては、未勝利戦のさいの投稿を参照してください)。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001133809/pedigree/

まず、血統のほうから見ていきましょう。
母ランフォザドリームは、重賞2勝で、エリザベス女王杯2着の実績があり、繁殖牝馬としても、オウケンサクラ(フラワーC)とフィーユドゥレーヴ(函館2歳S)の2頭の重賞勝ち馬を出しています。
新馬戦の時にも触れましたが、ランフォザドリームの祖父ロベルトとBMSスルーザドラゴンは、それぞれ父母相似配合になっています。ロベルトは、ロイヤルチャージャー≒ナスルーラ、ブルーラークスパー、サーギャラハッド=ブルドッグが共通で、スルーザドラゴンは、ボールドルーラー、プリンスキロ、ストライキングが共通です。
さらに、スルーザドラゴンの父ボールドリーズニングの配合は、ロベルトとよく似ており、ロイヤルチャージャー≒ナスルーラ、ブルーラークスパー、サーギャラハッドが共通の父母相似配合となっています。
また、リアルシャダイのBMSインリアリティも米国血脈主体ですから、トータルとして、ランフォザドリームの父とBMSは、ナスキロラトロ+米国血脈(特に、ブルーラークスパーとサーギャラハッド=ブルドッグ)という配合になっています。
これに対して、ランフォザドリームの祖母スピードキヨフジの部分のみ欧州血脈主体で、スピードキヨフジの父チャイナロックは、ディープの5代母ハイペリカムと相似クロス(ハイペリオン、サンインロー、フライアーマーカスが共通)をなしています(4×6)。
それから、サンデーの3代母の父ヒラリーと、ランフォザドリームの側にあるモズレムチーフは、6×5の相似クロスの関係になっています(ハイペリオン、ジャコポ、サーギャラハッドが共通)。
ヤマノウィザード全体としては、ディープのナスキロ的な要素とハイインロー的な要素の双方をフォローしており、硬さと柔らかさのバランスもとれているでしょう。
ただ、BMSのリアルシャダイは、配合だけでは理解しきれない不思議な長距離適性を持っている種牡馬です。そうした要素は、フィーユドゥレーヴにはあまり伝わっていませんが、オウケンサクラにはある程度まで伝わっており、おそらくヤマノウィザードにも受け継がれているものと思います。リアルシャダイの影響力の強さも考慮しておく必要があるでしょう。

続いて、馬体のほうへ移ります。
新馬のときのパドック動画が見つかりましたが、これを見るかぎりでは、リアルシャダイ~ランフォザドリームの影響が強い馬体のように思われます。

パドック動画(新馬戦、パドックの映像は1分過ぎから)
http://www.youtube.com/watch?v=6TRpld5znCo

これは個人的な見方かもしれませんが、リアルシャダイの影響を強く受けると、脚質は、先行~好位差しに適し、後方からの差し~追い込みには向かなくなる傾向があります。ヤマノウィザードは、現状では後方一気のようなレースをしていますが、どこかで中団につけるようなレースも試しておくべきだと思います。

ランフォザドリーム
http://www.keibado.com/keibabook/981116/pp07.html
リアルシャダイ
http://www.sporthorse-data.com/horse/10176463/964/Horse_Real_Shadai-big.jpg

ディープ×ヌレイエフ×ミスプロ×ブラッシンググルーム

今回は、トーセンマタコイヤを取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=dKftVzoWN9w
http://db.netkeiba.com/race/201408020206/

中団から、直線は外に持ち出し、差し切って突き放す好内容でした。
調教では目立たない馬ですが、レースになるとしっかり走りますね。
加藤征厩舎は、ついこの前もチョコレートバインを関西で新馬勝ちさせたばかりですが、立て続けの関西デビューとなりました。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001142441/pedigree/

では、血統から見ていきましょう。
母ミュージカルウェイは、フランスで重賞3勝し、おもに2000m前後で活躍しました。
母系は、セクレタリアトやアレッジドが出た、名門ビルアンドクー牝系。日本では、ロードカナロアが、この母系の出身です。
ミュージジカルウェイの配合は、ヌレイエフ、ブラッシンググルーム、ミスプロの血を持っていますが、栗山求氏によると、この3つの血を持つ牝馬とディープの間からは、ヴィルシーナやアトムが出ています。

ヴィルシーナ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001107937/pedigree/
アトム
http://www.jbis.or.jp/horse/0001142400/pedigree/

となると、ディープ×ヌレイエフ×ミスプロ×ブラッシンググルームの配合から活躍馬が続いているのは、はたして偶然なのかどうかという点が問題になりますが、それについては、凱旋門賞馬バゴが参考になるでしょう。

バゴ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000849057/pedigree/

バゴと、トーセンマタコイヤ、ヴィルシーナ、アトムとは、ヘイロー、ハイトオブファッションバークレア、ブラッシンググルーム、ヌレイエフ、ミスプロ、ポカホンタスが共通しています。
バゴは、凱旋門賞などG1を5勝し、日本に輸入されてからも、菊花賞馬ビッグウィークなどを出していますが、そうした大物と配合的に似たパターンの活躍馬が続いているということは、この組み合わせに何らかの優れた点があるということになりそうです。ただ、それでは何がどうのように優れているのかということについては、まだまだ今後の研究課題のようですね。

その他では、ミュージカルウェイにある、ネヴァーベンド5×5のクロスは重要でしょう。ディープは、ネヴァーベンドと相性がよく、ネヴァーベンドの持つラトロワンヌの血は、柔らかくなりやすいディープ産駒の引き締め役に最適です。
ハイペリオン関連では、ちょっと強引ですが、マウンテンフラワー(サンデーの祖母)、ハイライト(ディープの4代母)、フォルリグラマーが組み合わせのクロス(ハイペリオン、サンインロー、テディ、アロペが共通)になっていると見なせないこともありません。すくなくとも、共通点の多い類似性のある血だということは確かです(フォルリの配合は興味深く、ディープの3代母ハイクレア、4代母ハイライト、5代母ハイペリカムのいずれとでも、組み合わせのクロスと見ることが出来るのですが、そのあたりは補足として後述します)。
また、ハイペリオン絡みでは、やや細かいですが、トーセンマタコイヤには、カーレッドテューダーグレアムエイミー7×7・6の相似クロス(ハイペリオン、エクレアが共通、テューダーグレアム&エイミー姉妹と伯父カーレッドという関係)もあります。
母ミュージカルウェイは、ナスキロラトロとハイインローが共存する、ディープ向きの繁殖牝馬と言えるでしょう。

https://umanity.jp/image/horse/20111040830860.jpg

続いて、馬体に移りましょう。
いかにもディープ産駒らしい好馬体で、今年のディープ産駒の馬体評価リストでは、牡馬の2位にあげました。
今年の3歳世代は、リストの牡馬の方はデビューが順調で、リスト11頭中、すでに10頭がデビューしてくれました(うち9頭が勝ち上がり)。毎年、このくらい故障なくデビューしてくれれば有難いのですが。

最後に、今後の展望について。
加藤征師が指摘されるように、まだまだ未完成な状態ですが、それでもあっさり勝ってしまうのは、素質の高さの証明でしょう。
あとは、デビューの遅れをどこまで取り返せるかですが、本格化は秋以降かなという気もします。春は、間に合えば御の字くらいの感じでいいのでは。

恒例のダイジェスト版。
レース内容……仕上がり途上も、センスのよさを感じさせる内容。
血統……ディープ×ヌレイエフ×ミスプロ×ブラッシンググルームの組み合わせに注目。
馬体……ディープ産駒らしい柔らかみのある好馬体。

補足・フォルリとハイクレア~ハイライト~ハイペリカムの関係について

おかしな話のようですが、上述のように、フォルリの血統は、ディープの3代母ハイクレア、4代母ハイライト、5代母ハイペリカムのいずれとも、組み合わせのクロスと見ることが出来ます(以前にも触れましたが、組み合わせにクロスとは、血量的に相似クロスほどの共通性ではないけれども、お互いが何頭か共通の祖先を持っている関係のことで、大雑把にいえば「弱い相似クロス」のようなものです)。

フォルリ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000334262/pedigree/

ハイクレア
http://www.jbis.or.jp/horse/0000390924/pedigree/
ハイライト
http://www.jbis.or.jp/horse/0000390923/pedigree/
ハイペリカム
http://www.jbis.or.jp/horse/0000401598/pedigree/

まず、フォルリとハイクレアを較べてみましょう。
ハイペリオン、サンインロー、アロペ(ディープの8代母)、テディ、ハイライトの父クイーンズハザーにあるフェアトライアルのクロスとフォルリにあるライオット≒フェアトライアルの4分の3姉弟クロスが共通しています。
次に、フォルリとハイライト。
ハイペリオン、サンインロー、アロペ、テディが共通です。
最後に、フォルリとハイペリカム。
ハイペリオン、サンインロー、アロペが共通。

いいかげんに見えるかもしれませんが、フォルリの配合が、ハイクレア~ハイライト~ハイペリカムの代々の配合の流れと対応していることに注目してみてください。
ディープ産駒の母馬にフォルリの血があったら、ちょっと立ち止まって周囲を見まわしてみると、さまざまなしがらみが発見できるかもしれませんよ。

未勝利戦ピックアップ~ショウナンパンドラ、ヤマノフェアリー、ホクラニミサ

未勝利戦の勝ち馬がたまってきたので、ショウナンパンドラ、ヤマノフェアリー、ホクラニミサの3頭を取りあげます。
まず、新年の開催初日に勝ち上がったショウナンパンドラから。

http://www.youtube.com/watch?v=npb34mOCcLw
http://db.netkeiba.com/race/201408010105/

スタートで出遅れたものの、外を回して豪快に差し切りました。
前走は、いくらか余裕のある馬体でしたが、2戦目で絞れたのも勝因の1つでしょう。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001140190/pedigree/

それでは、血統から見ていきます。
母キューティゴールドは、未勝利に終わりましたが、ステイゴールドや、ドリームパスポートラウンドワールドの母グレースランドなどの半妹にあたります。
ラウンドワールドとは、4分の3同血の従兄妹になるわけですが、配合的にはかなり違った印象を受けます。BMSトニービンのラウンドワールドは、ハイペリオンや欧州血脈が強調されるのに対し、BMSフレンチデピュティのショウナンパンドラは、欧州血脈と米国血脈のバランスがとれています。
キューティゴールドには、フレンチデピュティの祖父ヴァイスリージェントノーザンテーストとの間に、3×3の強い相似クロスが生じています。とくに、両馬の米国血脈の部分が強調されているので、パワーを補う効果が期待できますが、これまで何度も触れたように、こういう強いクロスのある牝馬は繁殖向きでしょう。
BMSフレンチデピュティは、ノーザンダンサー×ナスキロラトロの配合ですが、ショウナンパンドラの3代母ダイナサッシュも、ノーザンダンサー×ナスルーラ×プリンスシャブリエなので、ラトロワンヌの血は無いものの、おおむねフレンチデピュティと同じ方向性の配合と言えそうです。
また、フレンチデピュティは、サンデー系との配合では、ノーサードチャンス≒ブルームーンの相似クロスが生じます(5×5)。
キューティゴールドの持つ血の中では、ディクタスだけが異質な感もありますが、栗山求氏が指摘されるように、ディクタスの母ドロニックは、ディープの祖母バークレアの父バステッドと相似クロスをなしています(4×4)。欧州的なスタミナと底力に期待できるでしょう。
こうして見ていくと、欧州血脈と米国血脈のバランスがとれているといっても、かなり馬力型寄りの配合だと思います。スマートなディープにパワーを補う方向性の配合でしょう。

http://race.sanspo.com/keiba/images/20140107/pogb14010712540000-p1.jpg

馬体のほうに移りますが、ネット上にもPOG本などにも画像は無いようです。
ここにあげたのはレース写真ですが、小柄な牝馬のわりにはがっちりしていて、トニービンそっくりのラウンドワールドとは全く似ていません。
ディープ×BMSフレンチデピュティの配合でよく見られるタイプの馬体だと思います。

スパッと切れるというより、力で捻じ伏せるような馬で、母系にも活気があり、成長が期待できそうです。
ただ、やや晩成傾向のある母系なので、本格化は秋になってからという気もします。
気長に応援していれば、徐々に力をつけていってくれるのではないでしょうか。

続いて、ヤマノフェアリーを見ていきます。

https://www.youtube.com/watch?v=lQIORZZhvMI
http://db.netkeiba.com/race/201408010905/

新馬戦は、3着以下を9馬身離しての一騎討ちの末、2着に終わりましたが、今回は順当勝ちでしょう。
軽く気合をつける程度の楽勝でしたね。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001142085/pedigree/

血統から見ていきますが、デニムアンドルビーの全妹です。
以前にも触れましたが、デニムアンドルビーとトゥザグローリーとは、4分の3同血の従兄妹の間柄ですが、ヤマノフェアリーもトゥザグローリーの全弟トゥザワールドも素質を見せており、本質的に優れている配合だと考えてよいでしょう。
母ベネンシアドールは、ヌレイエフ4×2の強いクロスがあり、繁殖牝馬向きです。
ベネンシアドールには、大量のハイペリオンの血がありますが、ただ量が多いというだけでなく、その複雑かつ有機的な絡み合いは、検討してみると実に興味深いです。
まず、ヌレイエフのクロスがあるということは、その母スペシャルのクロスがあるということでもあるのですが、他にフラワーボウルの血もあるので、スペシャル2本とフラワーボウルの組み合わせのクロス(ハイペリオン、サンインロー、マムタズビガム≒マームードが共通)が生じています。
さらに、ベネンシアドールには、ユアホストの血もあるので、フラワーボウル≒ユアホスト7×6の4分の3同血クロスになっています。
一方、スペシャルの父フォルリは、ハイインロー×アロペ(ディープの8代母)の配合ですが、エタンの母ミクストマリッジもハイインロー×アロペであり、ディープの側にも、モンパルナスハイペリカム(ディープの5代母)が、やはりハイインロー×アロペです。つまり、ヤマノフェアリー全体では、モンパルナス、ハイペリカム、フォルリ2本、ミクストマリッジが、組み合わせのクロスを形成していることになるのです(フォルリのアロペは見つけにくいかもしれませんが、フォックスローの母がアロペです)。
この他にも、ベネンシアドールには、サンデーとの相性のよさで知られるヘリオポリス、ハイインローのスワップス、ハイペリオン×ナスルーラのホーンビームなど、まだまだハイペリオンの血があります(ちなみに、スワップスと、サンデーの3代母エーデルワイスとは、ハイぺリオン、サンインロー、サーギャラハッド、マンノウォー、エクレアが共通の組み合わせのクロスになっています)。この多量のハイペリオンの血が、ベネンシアドールの繁殖牝馬としてのポテンシャルの源泉となっていると考えられるのです。

ハイペリオンだけでも特筆に価するベネンシアドールですが、ウォーアドミラル≒エイトサーティ8・9×7・8のような相似クロスもあり、ラストタイクーンの血は、ディープと相性のよいノーザンダンサー×ナスキロラトロの形で、しかもラトロワンヌの血が3本も入っています。米国血脈のほうも充分でしょう。

さらに、牝系は、ディープと相性のよいエスカッシャン牝系です。ディープ×エスカッシャン牝系からは、デニムアンドルビーの他にも、マルセリーナ、アユサン、エタンダールなどが出ています。

こうして見てくると、ディープ×ベネンシアドールは鉄板の配合といっても過言ではなく、何回でも成功する確率の高い抜群の相性だと思います。POGでは、よほどのことがない限り、逆らわないほうがよいでしょう。

http://kura3.photozou.jp/pub/76/646076/photo/195499103_624.jpg

さて、馬体のほうも見ていきたいのですが、こちらも、ネットやPOG本などに画像がありません。リンクした画像は、申し訳ないのですが、またしてもレース画像です。
おおむね、姉と同じようなタイプだと思いますが、もっと見やすい画像が出回るようになれば、その時にきちんと検討したいと思います。

さて、姉デニムアンドルビーとの最大の違いは、妹のほうには先行力があるということでしょう。
デニムアンドルビーは、乗り難しいことで定評があり、実力を充分に発揮できないケースも多いのですが、ヤマノフェアリーのほうは、そういった難しさは全く無さそうです。
能力以上に勝ち星に恵まれるタイプという可能性もあるでしょう。

最後に、ホクラニミサを取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=YCv2PirWAEw
http://db.netkeiba.com/race/201405010205/

夏場にデビューした時は、馬格のなさが目立ちましたが、休養を挟んで一回り大きくなったと思います。
馬体の成長が、未勝利脱出の最大の要因になったのではないでしょうか。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001135612/pedigree/

血統から見ていきますが、ニュージーランドT2着のセイクリッドレーヴの半妹にあたります。
祖母シンコウエルメスは、英ダービー馬ジェネラスの半妹&英オークス馬イマジンの半姉。
母系は、トレヴ、トリプティク、ギャラントフォックスなどを輩出し、日本でもフリオーソやカミノタサハラなどが出る、名門マーガリート牝系です。
母エルメスティアラは、ブライアンズタイム×サドラーズウェルズですが、この配合は、望田潤氏がダートで成功する配合パターンとされている、ブライアンズタイム×ヌレイエフに似ています。望田氏によれば、ブライアンズタイム×ヌレイエフがダートで成功しやすいのは、ナシュアナンタラの相似クロス(ナスルーラ、サーギャラハッド、フランベットが共通)が根拠になっているようです。しかし、ブライアンズタイム×ヌレイエフの場合と異なり、ブライアンズタイム×サドラーズウェルズではこれといったダートの大物は出ておらず、最も有名なのは、トニービンが挟まっているものの、芝で活躍した皐月賞馬ヴィクトリーでしょう。海外では、ヌレイエフよりもサドラーズウェルズの系統のほうがダート適性が高いのですが、日本のダートに限っては、圧倒的にヌレイエフがリードしています。そもそも、アメリカのダートと日本のダートは、まったくの別物ですから、こういう現象が起きても不思議ではありません。
ちょっと脱線しましたが、ブライアンズタイム×サドラーズウェルズでは、ナシュア≒ナンタラの相似クロスよりも、むしろフラワーボウルスペシャルの組み合わせのクロスのほうを重視したいところです。ヴィクトリーの成功も、フラワーボウルとスペシャルとトニービンの相性のよさに原因を求めたほうがよいでしょう。
ただ、トータルとしては、母エルメスティアラは、重厚な血に偏っているきらいもあり、ディープの軽さでどこまでカバーできるかということが焦点になりそうです。

http://db.netkeiba.com/?pid=picture&type=h&id=2011102452

またしても、馬体のいい画像がなく、返し馬の画像しか見つかりませんでした。
馬体の検討は、またの機会にさせてください。

ホクラニミサは、先行力があり、末脚もしっかりしていると思いますが、もうワンパンチほしいところです。
ここにきて馬体が成長しているようなので、そのあたりから活路が開けてくるかもしれません。
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