DP-Blog

ディープインパクト産駒を研究してPOGでの勝利を目指すシロウト競馬ファンの奮闘記

2014年03月

ドバイシーマクラシック回顧(編集中)

(以下、記事の編集中です)

https://www.youtube.com/watch?v=IYFWI1iUzYc
http://www.jra.go.jp/news/201403/033003.html#3

http://www.jbis.or.jp/horse/0001110862/pedigree/

速報・ドバイシーマクラシック

ドバイシーマクラシックで、ジェンティルドンナが優勝しました。

https://www.youtube.com/watch?v=IYFWI1iUzYc
http://www.jra.go.jp/news/201403/033003.html#3
http://race.sanspo.com/keiba/news/20140330/ove14033002270002-n1.html

回顧記事については、また後ほど別投稿にて。

条件戦ピックアップ~ヘルデンテノール、ベステゲシェンク、ハッピーモーメント、フィエロ

条件戦の勝ち馬の中から、ヘルデンテノール、ベステゲシェンク、ハッピーモーメント、フィエロの4頭を取りあげます。
まず、ヘルデンテノールから。

https://www.youtube.com/watch?v=vVVW3WMOYrQ
http://db.netkeiba.com/race/201406010912/

腱鞘炎による休養で10ヶ月ぶりのレースとなりましたが、4角を回る時の手応えも抜群で、余裕を持っての快勝でした。サンカルロの半弟として期待されていましたが、以前は不器用さばかりが目立つ感じで、なかなか勝ち切れないレースが続いていましたが、今回は1000万条件とはいえ素晴らしい内容だったので、休養中の成長がうかがえました。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001119618/pedigree/

まず、血統のほうから見ていきましょう。
母ディーバは、14戦3勝で下級条件どまりでした。
祖母ミスセクレトは、イタリアで重賞を3勝し、G1で2着1回3着1回。
半兄サンカルロは、阪神C連覇など重賞4勝。
ただし、母系はそれほどでもなく、近親を見回しても、ミスセクレトとサンカルロの2頭の成績だけが突出している感じです。サンカルロの弟だから良血、とは一概に言えないかもしれません。
配合面では、ディーバのクラフティプロスペクター×セクレト(ノーザンダンサー×セクレタリアト)という配合が、トーセンホマレボシの母エヴリウィスパーやヒストリカルの母ブリリアントベリーを思い起こさせます。

エヴリウィスパー
http://www.jbis.or.jp/horse/0000316487/pedigree/
ブリリアントベリー
http://www.jbis.or.jp/horse/0000232975/pedigree/

見てのとおり、エヴリウィスパー&ブリリアントベリーの配合は、ノーザンテースト×クラフティプロスペクター×セクレタリアトですから、ミスセクレトと類似性の高い配合パターンになっています。
以前にも触れましたが、ディープ×ストームキャットのニックスは、ストームキャットのノーザンダンサー系×セクレタリアトという配合にあり、ディープ×ノーザンダンサー×ナスキロの成功パターンを踏襲しているだけでなく、サーゲイロード≒セクレタリアトの相似クロスが生じるところにポイントがありました。
そして、その成功パターンにクラフティプロスペクターを加えた形でも成功例が続いているわけですから、ヘルデンテノールの配合は、過去の成功パターンに則した配合と考えることが出来ます。
その他では、こうした配合の場合、出来れば母馬にラトロワンヌの血があるとよいのですが、ディーバには残念ながらありません。しかし、そのかわりに、ディーバには、ウォーレリック6・6×5があります。これは、パワーを付加して全体を引き締めるという点で、なかなか効果的なクロスだと思います。

2歳11月頃
http://stat.ameba.jp/user_images/20120711/15/junsaiki/f9/62/j/o0474038412073681340.jpg

続いて、馬体のほうに移りましょう。
最近の画像はないのですが、2歳時の画像が見つかりました。
ナスキロ的な伸びやかさと、米国血脈的な硬さとが融合した感じの馬体ですね。
兄サンカルロには、それほど似ていないようです。

続いて、ベステゲシェンクです。

https://www.youtube.com/watch?v=qMxIRiy7LKs
http://db.netkeiba.com/race/201407020311/

後方から外を回して、直線では突き抜ける強い勝ち方でした。
今回もそうですが、勝つ時は非常に強い内容で期待させるのですが、どうも好走する時とそうでない時の差が激しい感じです。
ただし、ここ3戦の凡走の原因は、太め残りだった可能性が高く、460キロ台まで絞ったことで、末脚が蘇ったという面もあるでしょう。
コンスタントに力を発揮できるようになれば、素材としては、優にオープン級だと思います。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001126132/pedigree/

まず、血統から見ていきます。
母スーヴェニアギフトは、米国で重賞に勝っており、G1でも2着に入ったことがあります。
全姉シュプリームギフトは、オープン特別に勝ち、函館スプリントS2着など。
母系は、ドクターデヴィアスやダンシングレインの出たアルバード牝系で、日本では、シンコウキングやスズカフェニックスが出ています。
ベステゲシェンクの配合では、栗山求氏が指摘されている、ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャルのパターンに当てはまっています。このパターンからは、ディープブリランテ、トーセンラー、ヴィルシーナ、デニムアンドルビー、パッションダンスなどが出ています。ミスプロではなくアリダーですが、ミッキーアイルも同じようなパターンと言えるかもしれません(ミスプロもアリダーも、レイズアネイティヴ×BMSナスルーラ系)。
その他では、ポカホンタス5×6や、当ブログでお馴じみ、ハイクレア(ディープの3代母)とフォルリ(ヌレイエフのBMS)の組み合わせのクロスなども効果的でしょう。
また、母スーヴェニアギフトにある、ウォーアドミラルとラトロワンヌをベースにした、ベターセルフ≒ストライキング≒ブッシャー6×6・6も、引き締めに効果があると思われます。

2歳
http://db.netkeiba.com/?pid=picture&type=o&id=25380

馬体のほうに移りますが、こちらも2歳時の画像があります。
ベステゲシェンクは牡馬ですが、ディープの牝馬産駒によく見られるような、いかにもバネのありそうな体型です。距離的には、1600~2000mあたりに向きそうです。
切れ味で勝負するマイラー~中距離馬でしょう。

次は、ハッピーモーメントです。

https://www.youtube.com/watch?v=SAHkXAlezw4
http://db.netkeiba.com/race/201409010707/

500万下の平場戦とはいえ、後方から大外に出しての差し切りは、豪快な内容でした。
4ケ月半ぶりの実戦で、プラス18キロと余裕残しの仕上げでしたが、まったく問題ありませんでしたね。
ディープ×トニービンにありがちな、勝ち味に遅いタイプですが、そのぶん古馬になっての成長に期待できると思います。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001120097/pedigree/

では、血統のほうから見ていきましょう。
母アドマイヤハッピーは、エアグルーヴの4分の3同血の姪にあたります。産駒としては、ウォータクティクスがダート重賞に勝ち、キタサンアミーゴは小倉記念で2着でした。
祖母カーリーエンジェルは、競走馬としては未勝利に終わりましたが、繁殖に上がってからは、オレハマッテルゼやエガオヲミセテなどの活躍馬を出しています。
ハッピーモーメントの配合は、ディープ×トニービン×ジャッジアンジェルーチ×ノーザンテーストですが、ディープ×トニービン×ノーザンテーストの組み合わせからは、グルヴェイグ(マーメイドS)、コティリオン(NHKマイル2着)、ラウンドワールド(オープン特別2勝)など出ました。とくに、グルヴェイグとは、8分の7同血の関係になります。
となると、間に挟まったジャッジアンジェルーチが、どういう種牡馬なのかということになるでしょう。社台Fが輸入した種牡馬のわりには成績はパッとしなかったのですが、BMSとしてはまずまずの成功で、3頭のG1馬を送り出し、とくにサンデー系との相性がよいようです。また、ノーザンテーストとの関係では、ヴィクトリアパークのクロスが発生するのは面白いです。
ジャッジアンジェルーチが挟まっている分、グルヴェイグと較べると、いくらかナスキロ色が強まっていると考えてよいでしょう。

2歳
http://ameblo.jp/rosadoheartscry/image-11278986019-12030781792.html

馬体のほうへ移りますが、またしても2歳の画像だけです。
しかし、いかにもディープ産駒らしい好馬体で、2010年産のディープ産駒の馬体評価リストでは、牡馬の9位にあげました。まだまだ成長の期待できる素材だと思います。

最後は、フィエロです。

https://www.youtube.com/watch?v=tZKXf3NBAfU
http://db.netkeiba.com/race/201408010210/

準オープンとしては、まずまずメンバーの揃った一戦でしたが、後方でじっくり構えて、最後は計ったようにきっちり前をとらえました。
2戦目で大敗した以外は、3着を外さない堅実派で、ついにオープン入りとなりましたが、今日の内容であれば、ハンデ戦のG3くらいなら即通用すると思います。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001110959/pedigree/

それでは、血統から見ていきましょう。
母ルビーは未出走で、ロックオブラルタルの全妹です。
3代母プッシュアボタンは、リヴァーマンの半妹にあたります。
母系は、リヴァーマン、イクスクルーシヴネイティヴ、デピュティミニスターなどが出た、名門コートドレス牝系。日本では、ショウワモダンやアスワンなどが出ています。
ルビーがロックオブラルタルの全妹ということは、変則的ではありますが、ミッキーアイルとは4分の3同血と言うことも出来るわけです。
ただ、血統表から受ける印象は、ずいぶん違います。
まず、ルビーの配合が、ノーザンダンサー(2本)×ナスキロラトロという、ディープと相性のよい形にまとまっている点が目につきます。
ディープ×ルビーでは、プリティウェイズレアトリート5×6(スタイミー、ブルドッグ=サーギャラハッド、ペナント=チェロキーローズが共通)、ポカホンタスリヴァーレディ5×4(プリンスキロ、ローマンが共通)、バークレアとフェアアリシアの組み合わせのクロス(ドナテロ、ハイペリオン、フェアトライアル~サンインローが共通)、エーデルワイスフラワーボウルの組み合わせのクロス(ハイペリオン、サンインロー+シナ、ロックサンド、スウィンフォードが共通)などが注目されるでしょう。
ルビー(=ロックオブジブラルタル)の、ノーザンダンサー×ハイインロー×ナスキロラトロという形が、ストレートに前面に出た配合だと思います。
ミッキーアイルに較べると、雑然とした部分が整理されており、素材の良し悪しが勝負という感じの配合でしょうか。

馬体については、使えそうな画像が無かったので、またの機会ということにします。

初心者向けの血統入門解説をお探しの方へ

POG対策として血統を活用したいと考えておられる方は多いと思いますが、ちまたで売られている血統本は、その大半が馬券本か事典のたぐいであり、それ以外のものというと、ハードルの高い専門的な書物となってしまいます。
ごくまれに、一般的な血統の見方を解説した本が出版されたとしても、すぐに絶版となってしまうのが通例です。
ネットにおける血統関連のサイトやブログも、すでに初歩的な知識が備わっていることを前提としているものが殆んどでしょう。
ビギナー向けの何かよい血統解説を推薦したいと常々思っていましたが、ようやく「これぞ」というものを見つけました。
雑誌「サラブレ」4月号から全6回で、あの笠雄二郎氏が、初心者向けの血統表の見方の講座を連載されるのです。第1回分を読ませていただきましたが、シンプルでビギナーにも分かりやすく、初歩の初歩から解説されており、これなら全ての方にお薦めできると思います。1回あたり3ページということのようですから、ついていけなくて脱落ということもないでしょう。
当ブログでは、シロウトであることを言い訳に、かなり大雑把な物の言い方をしていますが、なんのジャンルでもそうだと思いますが、ビギナーの方が入門しようという際には、正しい物の考え方を最初にきっちりマスターすることこそ、結局は一番の近道なのです。
笠氏といえば、日本の血統研究に革命的な進歩をもたらした伝説的な人物であり、その“レジェンド”から直々に血統・配合の基本を学べるわけですから、これを見逃す手はありません。お金がもったいないという方は、たった3ページですから、書店で立ち読みしましょう。
現在、日本の血統研究の第一線で活躍されている多くの研究者が、笠氏の大きな影響を受けています。当ブログに頻繁に名前の出てくる栗山求氏や望田潤氏も、笠氏の影響下で研究活動をスタートしました。
その笠氏から血統を教わるということは、イチロー選手から野球を習ったり、山中教授から生物学の指導を受けることに等しいとさえ言えます。
ステマと誤解されるのは嫌なので、リンクは貼りませんが、血統に興味があるけど、初心者向けの分かりやすい入門的な解説が見あたらないとお悩みの方々は、是非ともお読みになることを強くお薦めいたします

追記
笠氏の連載記事は、現在は『POG・クラブ馬選びに役立つ 走る馬の見方がわかる本』(KADOKAWAエンターブレイン)というムックにまとめて収録されています。
笠氏の血統論のためだけに購入されても、じゅうぶん元がとれることを保証いたします。

中日新聞杯戦評

マーティンボロが、中日新聞杯で重賞初制覇となりましたので、振り返っておきます。

https://www.youtube.com/watch?v=0wjvcc-BBfo
http://db.netkeiba.com/race/201407020111/

直線で中団から伸びた3頭の叩き合いとなりましたが、ディープ産駒のマーティンボロとラキシスのワンツーでした。
マーティンボロは人気薄でしたが、前走の準オープン特別の勝ちっぷりがよく、本格化近しをうかがわせており、今回の重賞制覇でその勢いが本物であることを証明した形となります。もともと、フレールジャックの全弟として期待されていたものの、異例の8月生まれという点がネックとなって出世が遅れていましたが、良血馬の本領を発揮しはじめたというところでしょうか。
惜しくも鼻差の2着に終わったラキシスは、エリザベス女王杯の時に触れたので、今回は、マーティンボロについて取りあげることにします。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001107309/pedigree/

まず、血統のほうから見ていきましょう。
上で触れたように、フレールジャックの全弟で、ヴィルシーナの叔父にあたり、ダノンバラードの近親です。
母系は、ディープと非常に相性のよいバラード一族。
単にディープと好相性というだけでなく、一族から、デヴィルズバッグ(G1戦2勝)、グロリアスソング(G1戦4勝)、セイントバラード(北米リーディングサイアー)、ラーイ、シングスピール(G1戦4勝)などが出ている、世界的な名門です。
栗山求氏によれば、ディープとバラード一族の相性のよさの原因として、バラードの母ミススワップスコーの配合が、マームード≒ミルザ2×3の強いクロスを持っていることを指摘されています。

ミススワップスコー
http://www.jbis.or.jp/horse/0000391584/pedigree/

これも栗山氏の指摘ですが、サンデーの父ヘイローの配合の核は、マムタズビガム≒マームード5×3にあり、ヘイローの代表産駒のほとんどは、このクロスを継続しており、もちろんサンデーも継続しています(マムタズビガム≒マームード6・4×5)。
このことから、ヘイロー~サンデーと、ミススワップスコーとは、配合的なポイントが同じであり、したがって、両者の相性がよいと考えられるようです。
同じような例としては、サンデーとホワットアプレジャーの相性のよさも、ホワットアプレジャーの持つマムタズビガム≒マームード3×2にあると考えられています。
栗山氏の指摘に付け加えるとすれば、ミススワップスコーの母ソアリングの配合も、なかなか興味深いということでしょうか。
ソアリングの配合は、ハイインロー+ミルザなので、ディープの祖母バークレアとは、ハイペリオン、サンインロー、ブレニム、レディジョセフィン、テディが共通しており、配合的に近いです。
また、ソアリングの父スワップスは、サンデーの3代母エーデルワイスと、ハイペリオン+エクレア、サンインロー+シナ、マンノウォー、サーギャラハッドが共通の組み合わせのクロスになっています。

さて、ディープとバラード一族が好相性なのは分かりましたが、ディープ×ハルーワソングというマーティンボロの配合はどうでしょうか。
まず、当ブログ的には、BMSヌレイエフの母スペシャルと、バークレア、ソアリングが、ハイペリオン、サンインロー、ブレニム、レディジョセフィン、テディの共通点があるという点でしょう。組み合わせのクロスとまで言えるかは微妙なところですが、類似性のある配合であることは確かです。
それから、ハルーワソングのBMSブラッシンググルームの祖母エイミーは、サンデーとミススワップスコーにあるカーレッドの血と相似クロスになっています(カーレッド≒エイミー7×5・8)。
もちろん、ハルーワソングにはヘイローの血があるので、ヘイロー≒サーアイヴァー3・5×4であることも重要です。
ハルーワソングの配合は、ナスルーラ、ラトロワンヌ、ハイインローの血はあるのですが、プリンスキロの血がないのも特徴的です。そのため、ハルーワソング自身は、内回り向きの機動力が売り物で、しかし、そこへプリンスキロの血を2本持つディープをあわせることで、適度な伸びやかさがプラスされることになるわけです。コーナーは4つあるものの、それなりに直線の長い中京2000mの舞台は、マーティンボロにうってつけのコースと言えるでしょう。

引き続き、馬体に移りたいのですが、残念ながら体型が分かるような画像がないので、今回は省略ということにします。

最初に触れたように、マーティンボロは、異例の8月生まれということで、未勝利脱出に6戦を要するなど、デビュー当初はかなり苦労したようです。しかし、古馬になってからは成績も安定し、遂に重賞制覇というところまで出世してきました。この勢いなら、まだ伸びしろがありそうなので、早世した全兄フレールジャックの分まで頑張ってほしいと思います。

参考動画

フレールジャック(ラジオNIKKEI賞)
https://www.youtube.com/watch?v=ker6b7q7hsw

未勝利戦ピックアップ~イサベル

今回は、イサベルを取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=HJqk8Z6Hg68
http://db.netkeiba.com/race/201409010604/

3月の中山&阪神開催は、新馬戦が組まれる最後の開催とはいうものの、その殆んどはダート戦であり、今年の芝の新馬戦は既に終了しています。
というわけで、芝のレースを求めて経験馬たちを相手の未勝利戦デビューとなりましたが、スタートで出遅れたものの、最後方から押し上げて、最後は3馬身半突き放す楽勝でした。
牝馬限定の未勝利戦とはいえ、一般に新馬戦と較べると、勝ちタイムは1秒以上速いのが通例です。それを、出遅れての圧勝ですから、素質はかなりのものと思われます。
デビューの時期的に難しいのは仕方ありませんが、なんとかオークスに間に合わないものかと考えてしまうような好内容のデビュー戦だったと言えるでしょう。
イサベルの全兄タブレットも、新馬戦を圧勝してクラシック候補と言われながらも、骨折で長期休養中ですが、妹のほうも鮮烈なデビューを飾ったとなると、血統面でも注目されるところです。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001141287/pedigree/

というわけで、血統のほうから見ていきます。
母スカーレットは、未出走のまま繁殖にあがりましたが、名牝グレースアドマイヤの娘で、半兄にヴィクトリー(皐月賞)やリンカーン(G2を3勝)のいる良血です。
母系は、欧州の名門ラヴオイル牝系ですが、特にジャマイカ~サニーヴァレイを経由する系統は日本と関係が深く、フサイチコンコルドやアンライバルドの出たバレークイーン一族(イサベルもこの一族です)、コンデュイットやエリンコートの出たダンシングシャドウ一族、ネオユニヴァースやレディパステルの出たサニーコーヴ一族などが繁栄しています。
ディープ×グレースアドマイヤの場合、これまでのところ3頭の産駒(シェイクスピア、トルストイ、ブルーダイアモンド)のいずれもさほどの成果をあげることができていないのに対して、娘のタブレットの場合は、イサベルも全兄タブレットも素晴らしいデビューを果たしたということで、母と娘にどういう違いがあるのかは気になる点でしょう。
もちろん、グレースアドマイヤの高齢化は、まず第一に考えるべきなのですが、立て続けに3頭も産駒が生まれたのなら、グレースアドマイヤの繁殖実績からしても、もう少し結果が出てしかるべきでしょう。
そうだとすると、疑われるのは、血統的な相性ということになります。しかし、グレースアドマイヤのトニービン×サドラーズウェルズという配合は、ハープスターの母ヒストリックスターとの類似性があり、ディープとの相性がそれほど悪そうにも思えません。しいて言うなら、グレースアドマイヤの血統は、欧州血脈に偏りすぎているということくらいでしょうか。
しかし、ヒストリックスターの血統表をよく見るならば、実は、グレースアドマイヤよりも、スカーレットのほうに似ているのではないかと思えてきます。

ヒストリックスター
http://www.jbis.or.jp/horse/0000882608/pedigree/

スカーレットとヒストリックスターは、トニービン、サドラーズウェルズ=フェアリーキング、シアトルスルーが共通しており、他にも細かなところでは、スパイソング=ミスターミュージックのような共通点もあるのです。
トニービン×サドラーズウェルズ(フェアリーキング)では、どうしても欧州血脈中心になってしまいますが、そこへナスキロラトロ配合のシアトルスルーが加わると、米国血脈が補給されるだけでなく、トニービン×サドラーズウェルズに潜むナスキロラトロの要素が増幅されることになり、そうした点がディープとの相性のよさにつながっているのかもしれません。
ヒストリックスターには無い、スカーレット独自の要素としては、スカーレットの持つぺティンゴの血が、ディープの祖母バークレアと組み合わせのクロスになる(ドナテロ、ハイペリオン+ローズレッド、フェアトライアル~サンインローが共通)という点が重要でしょう。
また、いくらか強引ではありますが、ぺテインゴは、トニービンの母セヴンブリッジ、サドラーズウェルズの祖母スペシャルと組み合わせのクロスになっている(ハイペリオン、フェアトライアル~サンインロー、ブレニム、ネアルコが共通)と考えることも出来ます。
イサベル全体としては、ナスキロラトロ主体の配合だと思いますが、ハイインロー血脈もしっかり入っており、欧州血脈と米国血脈とのバランスもよく、非常に期待できる配合でしょう。

続いて、馬体へ移りたいのです、ネット上にもPOG本にも適切な画像がないので、今回は省略ということにさせていただきます。

陣営によると、次走は、フローラSの予定だそうで、すでに浜中騎手を確保したとのこと。
今年は、牝馬路線のレベルが高いので、なかなか難しいとは思いますが、秋につなげるためにも、ぜひオークスに出してあげたい素材だと思います。

未勝利戦ピックアップ~マローブルー、アンヴェイルド

未勝利戦の勝ち馬から、マローブルーとアンヴェイルドを取りあげます。
まず、マローブルーから。

https://www.youtube.com/watch?v=BZ3E0UBxUL0
http://db.netkeiba.com/race/201406020405/

デビュー戦は前が詰まって不運な3着でしたが、今回は悠々と外を回して、直線も軽く気合をつけた程度の楽勝でした。
昇級しても即通用すると思いますが、オークスに間に合うかは微妙なところです。デビューが遅かったし、今年の3歳牝馬はレベルが高いですが、毎年かならず1~2頭はいるオークス向きの穴馬的な存在が、今年はあまり見あたりません。マローブルーがそのような存在として浮上できるかは、次走次第でしょう。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001142267/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきます。
母リラックススマイルは、デボネア(京成杯2着、弥生賞3着)の半姉。
祖母ヴェルヴェットクイーンは、ドバイワールドCに勝ったムーンバラッドの全妹。
リラックススマイルの配合は、キングマンボ系×サドラーズウェルズ系で、エルコンドルパサーを思い起こさせます。キングマンボとサドラーズウェルズはニックスで、おもに欧州でG1馬を多く出しています。キングマンボにあるスペシャルを継続したところへディープという観点では、サドラーズウェルズではなくヌレイエフですが、デニムアンドルビー&ヤマノフェアリー姉妹の例があります。
リラックススマイルで目につくのは、ホイストザフラッグ4×5という、リボー系の重厚感あふれるクロスでしょう。リボー関連のクロスは、当たれば大爆発も期待できますが、気性難に悩まされる可能性も高く、諸刃の剣というところでしょうか。ホイストザフラッグには、ポカホンタスの血が含まれているので、マローブルーとしては、ポカホンタス5×7・8となります。ポカホンタスのクロスは、ビューティパーラー(仏1000ギニー)、ヴィルシーナ、マルセリーナなどにありあす。
マローブルーの配合では、リファールのクロス+ミスプロと、ヘイロー≒サーアイヴァー3×5・5が目立ちます。
ディープ産駒におけるリファールのクロス+ミスプロのパターンは、当ブログではすっかりお馴じみになりました。リファールのクロスのデメリットである重苦しさを軽減し、メリットの粘りだけを享受しようとする狙いです。リファールのクロスを持つディープ産駒の重賞勝ち馬には、すべて、ミスプロやアリダーなどのレイズアネイティヴの血があります。
ディープの持つヘイロー≒サーアイヴァーの相似クロスを、ヘイロー×バラードから誕生したグロリアスソング、デヴィルズバッグ、エンジェリックソング、セイントバラードの4頭の姉弟のいずれかで継続するパターンは、ビューティパーラーヴィルシーナダノンバラードフレールジャックアダムスピークなど、非常に成功例が多いです。
こうして見てくると、マローブルーの配合は、ヴィルシーナやトーセンラーと類似点が多く、これまでの成功例に則った配合だと思います。

次に、馬体のほうへ移りたいところですが、ネット上にもPOG本にも適切な画像がないので、またの機会にというとにさせてください。

続いては、アンヴェイルドです。

https://www.youtube.com/watch?v=-YgI7L6YdtA
http://db.netkeiba.com/race/201406020105/

4~5番手から、直線の叩き合いを制して、4戦目での初勝利でした。
デビュー戦こそ大敗だったものの、2戦目からは堅実な走りで、そろそろというタイミングで勝ち上がりました。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001134835/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
コイウタ(ヴィクトリアマイル)の半弟で、ベールドインパクト(オープン特別2勝、菊花賞4着)の全弟にあたります。
母系は、アートレス牝系で、日本ではコイウタ、クィーンスプマンテ、ゴスホークケンの出たレジェンドラを経由する一族です。アートレス牝系では、エアシャカールやエアメサイアの出たサニーヴェイル一族も有名です。
BMSは、社台で供用されていたことがあり、輸出後はイタリアのリーディングサイアーとなった、英ダービー馬ドクターデヴィアス。父系は、ヘロド~トゥルビヨンの系統です。日本では、種牡馬としてよりもBMSとしてのほうが好成績のようです。
ディープ×BMSドクターデヴィアスは、いまのところ3頭がデビューして、いずれも中央で勝ち上がりました。以前にも触れましたが、トゥルビヨン系は、ナスルーラやロイヤルチャージャーの系統と相性がよいので、サンデー系のBMSとしても期待できるでしょう。
ディープとドクターデヴィアスの相性に限定すると、注目されるのは、ドクターデヴィアスの父アホヌーラの祖母クエイカーガールの配合でしょうか。ディープの4代母ハイライトと、ボレアリス(ブリュムー+ハイペリオン+ローズレッド)、サンインロー、フライアーマーカスが共通する組み合わせのクロスになっています(少々強引に考えれば、アホヌーラの母ヘレンニコルズとディープの祖母バークレアとの組み合わせのクロスと見ることも可能です)。
また、アンヴェイルドの血統から、アホヌーラの部分だけを除いてみると、ディープ×ノーザンダンサー×ナスキロラトロと、望田潤氏が重視されている、サンデー×ミスプロ×ウォーアドミラル×ラトロワンヌの、2つの成功例の多いパターンが浮かび上がってきます。基本的な配合の骨格も優れていると考えてよいでしょう。

2歳
http://umanity.jp/img_view_horse.php?code=2011104172

次に、馬体のほうへ移ります。
体型的には、全兄ベールドインパクトとよく似ています。
ただ、早い段階から素質をを発揮し、クラシック戦線でも善戦した兄と較べると、やはり弟のほうはパンチに欠けている感じがします。もう一段の成長が無いと、1000万条件あたりでウロウロということにもなりかねません。今後に期待しましょう。

ベールドインパクト(2歳7月頃)
http://banusitobakendou.up.n.seesaa.net/banusitobakendou/image/84039_00060995.jpg
ベールドインパクト(3歳12月頃)
http://banusitobakendou.up.n.seesaa.net/banusitobakendou/image/2012E5B9B412E69C8827E697A5.jpg

チューリップ賞戦評

ハープスターが、チューリップ賞を快勝したので、振り返っておきましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=7NlL7wc3tz4
http://db.netkeiba.com/race/201409010311/

本来、チューリップ賞は、桜花賞の最も重要なトライアルのはずなのですが、ハープスターが出てくるということで、まったくメンバーが揃いませんでした。したがって、レースに圧勝したこと自体は当然のことなのですが、注目されたのは、川田騎手がどう乗ってくるかということだったでしょう。
前走の阪神ジュベナイルFでは、内に突っ込む騎乗で松田博師からお目玉をもらったようですが、やはり、ハープスターの本領は、外を回してこそ発揮されるようです。思えば、昨年のキズナも、弥生賞で内を突いたことを、武豊騎手自ら後悔する発言をされていました。
しかし、ハープスターの阪神ジュベナイルFにしても、キズナの弥生賞にしても、本番でなくてよかったとも言えるでしょう。川田騎手も、これで迷いなく本番に臨めるという点で、理想的なトライアルだったと思います。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001141162/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきます。
まず目がいくのは、母ヒストリックスターが、名牝ベガの娘だということでしょう。
したがって、ベガのお相手として、ファルブラヴはどうなのかということが、最初のチェックポイントになります。ファルブラヴの父フェアリーキングは、サドラーズウェルズの全弟ですから、当ブログとしては、フェアリーキング&サドラーズウェルズの祖母スペシャルと、ベガの父トニービンとの関係に注目したくなるところです。スペシャル×トニービンという組み合わせからは、アヴェレージは高くないものの、ジャングルポケットや名繁殖牝馬グレースアドマイヤ、その全弟のミラクルアドマイヤなどが出ています。
望田潤氏によれば、トニービンの血統上のポイントは、ナスルーラ×ハイペリオンにあり、配合もそのポイントを活かせるようなものが好ましいそうです。スペシャルは、父ハイペリオン系×BMSナスルーラ系ですから、その条件を満たしています。
さらに、もう少し細かく見ていくと、スペシャルと、トニービンの母セヴンブリッジとは、ハイペリオン、ナスルーラ、フェアトライアル~サンインローが共通の組み合わせのクロスになっています。
その上、スペシャルの父フォルリは、ディープの3代母ハイクレアと組み合わせのクロス(ハイペリオン、フェアトライアルのクロスとライオット≒フェアトライアルの4分の3同血クロス、サンインロー+アロペが共通)の関係になっていますから、フォルリ~スペシャルの父娘関係を軸に、2つの組み合わせのクロスが結合されています。これが、ハープスターの配合の基本的な骨格となっていると考えてよいでしょう。
それから、ファルブラヴのBMSスルーピーのナスキロラトロが2本ずつ入っている配合も、注目されます。当ブログでは、ディープのお相手として、ナスキロラトロとハイインローの両方をしっかり持った繁殖牝馬が好ましいことを何度も指摘してきましたが、ヒストリックスターもそれに当てはまる配合だと言ってよいでしょう。
なお、ディープ×トニービン×アンティックヴァリュー一族からは、サトノノブレスも出ています。

http://www.keibado.com/keibabook/140310/photo08.html

では、馬体のほうへ移ります。
新しい画像が手に入りましたが、基本的に大きく変わったわけではないものの、阪神ジュベナイルF前の画像に較べると、それほど太め感はありません。しかし、当日の馬体重は、阪神ジュベナイルFと同じだったのは、どう考えればよいでしょうか。
阪神ジュベナイルFは、正直なところ、パドックでもかなり太め残りな馬体でしたが、今回は、トライアル仕様であるとはいっても、そう太くありませんでした。同じ馬体重でのこの違いは、締まり具合がどうこうという域を超えているのは明らかで、多少なりとも馬体の成長があったと考えるべきだと思います。

2歳・阪神ジュベナイルフィリーズ
http://www.keibado.com/keibabook/131209/photo02.html
2歳・新潟2歳S
http://www.keibado.com/keibabook/130826/photo10.html
2歳・POG本のころ
http://fujikai.up.d.seesaa.net/fujikai/image/E3838FE383BCE38397E382B9E382BFE383BC.jpg

楽なレースだったわりに、今回のチューリップ賞は時計が速かったようです。チューリップ賞の歴代2位(阪神改修後)の好時計というだけでなく、同じ日に同じコースで行なわれた準オープン特別の武庫川Sよりも、0.5秒も速かったのです。準オープンとはいっても、勝ち馬のマウントシャスタは宝塚記念5着、2着のオリービンはNHKマイル4着の実績があり、その両馬の叩き合いの末に出た時計よりも、ハープスターの楽勝の方が速いというのは、価値のあることだと思います。武庫川Sは、チューリップ賞と同週に行なわれることが多いですが、同じ馬場条件でチューリップ賞のタイムの方が速かったのは、わずかに1回(改修後)だけです。チューリップ賞のレースレコードであるウオッカの2007年は同タイム(レース名は、道頓堀Sでしたが)なので、いかに大変なことかが分かるでしょう。ちなみに、弥生賞は、同日・同コースの古馬500万条件のレースより0.3秒遅いタイムでした。
レース後の報道によると、陣営は凱旋門賞への登録を行なうとのこと(サンケイスポーツ)。世間的には、今年の牝馬クラシック路線はレベルが高く、3強対決とも言われているようですが、個人的には、1超2強だと考えています。気が早いかもしれませんが、ジェンティルドンナをも超えて、秋にはロンシャンで打倒トレヴに挑むような馬になってほしいと期待しています。

アーリントンC戦評

ミッキーアイルが、アーリントンCを制して重賞2連勝となりましたので、振り返っておきましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=ZV3HWQKM4YM
http://db.netkeiba.com/race/201409010111/

ここ3戦と同じく、抜群のスタートからの逃げ切りでした。相手が弱かったこともあり、最後は流していましたね。2着のタガノグランパは、前走のシンザン記念の3着馬です。
気になった点としては、まだ直線でまっすぐ走れないところが解消されていないことと、馬体重が減ってきていることでしょう。さいわい、次走の予定はNHKマイルですから、かなり間があくことになるので、少なくとも馬体の回復のほうは問題ないでしょう。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001141719/pedigree/

血統については、立て続けということもあるので、簡単に箇条書きスタイルでおさらいしておくに留めておきます。

(1)ディープ産駒のBMSとしての、ノーザンダンサー×ナスキロラトロ
ディープ産駒のBMSとしては、どうしてもノーザンダンサー系の種牡馬が多くなることは避けがたいのですが、なかでも実績をあげているのは、ストームキャット、カーリアン、フレンチデピュティ、ラストタイクーンなどの、ノーザンダンサー×ナスキロという配合パターンの馬たちです(カーリアンはロイキロですが)。
さらに、ストームキャット以外は、ノーザンダンサー×ナスキロラトロであることは注目されるところでしょう。
ミッキーアイルのBMSロックオブジブラルタルも、この配合パターンに該当しています。

(2)母スターアイルの配合
現在の欧州競馬で、最高の相性を誇るニックスといえば、ガリレオ×デインヒルでしょう。
では、その好相性の要因は、どのあたりにあるのでしょうか。

フランケル(ガリレオ×BMSデインヒル)
http://www.jbis.or.jp/horse/0001161935/pedigree/

代表例として、フランケルの血統表を見ると、まず、バックパサー5×5が目につきます。
しかし、このアメリカンなクロスだけでは、欧州で大成功していることの説明としては不十分です。
となると、このブログでもお馴じみなってきましたが、フラワーボウルスペシャル組み合わせのクロス(ハイペリオン、サンインロー、マームード≒マムタズビガムが共通)に注目すべきでしょう。
一方、スターアイルは、デインヒル系のロックオブジブラルタルが父で、BMSはスペシャル産駒のヌレイエフですから、同じようにフラワーボウルとスペシャルの組み合わせのクロスが生じています。また、スターアイルには、バックパサーの母ブサンダの6×6のクロスもあるので、ガリレオ×デインヒルのニックスのエッセンスを持っていることになるのです。

(3)ハイインロー関連のクロス
ディープとスペシャルの関係は、このブログにとっても馴じみ深いテーマですが、モンパルナス(サンデーの母のBMS)、ハイペリカム(ディープの5代母)、フォルリ(スペシャルの父)の3頭は、ハイペリオン、サンインロー、アロペ(ディープの8代母)が共通の組み合わせのクロスとなっています。
また、フラワーボウルは、エーデルワイス(サンデーの祖母)と組み合わせのクロス(ハイペリオン、サンインロー+シナ、ロックサンド、スウィンフォード、ガリニュールが共通)と見なすことが出来ます。
それから、望田潤氏によれば、ロックオブジブラルタルにあるフェアアリシアの血は、ディープの祖母バークレアと組み合わせのクロス(ドナテロ、ハイペリオン、フェアトライアル~サンインロー、ローズレッドが共通)をなしています。ディープ産駒では、ウリウリにあるクロスです。
母スターアイルのフラワーボウルとスペシャルの組み合わせのクロスを軸に、さまざまなハイインローの血が絡み合うことが、ミッキーアイルの持久力の源泉であり、いずれ古馬になる頃には、成長力の基盤となっていくものと思われます。

(4)実績ある様々な米国血脈のクロス
母スターアイルにあるブサンダ(ラトロワンヌの孫)6×6もそうですが、ミッキーアイルとしても、様々な米国血脈のクロスがあります。
主なものとしては、

ノーサードチャンスリヴォークト5×7(ブルーラークスパー、サーギャラハッド、ハイタイムが共通)→ジェンティルドンナにあり
ポカホンタスリヴァーレディ5×5(プリンスキロ、ローマンが共通)→ディープブリランテにあり
プリティウェイズレアトリート5×6(スタイミー、ブルドッグ=サーギャラハッド、ペナント=チェロキーローズが共通)→ワールドエースにあり

などで、いずれもディープ産駒できちんとした成功例のある、実績のあるものばかりです。とくに、ノーサードチャンス≒リヴォークトの相似クロスは、サンデー産駒でもハーツクライサイレンススズカハットトリックなどの活躍馬を出してきた定番の配合ですね。

(5)マイビューパーズ一族
ミッキーアイルの母系は、ハーツクライの出た、マイビューパーズ一族です。
マイジュリエット(米最優秀短距離馬)やウィノナ(愛オークス)など、海外の活躍馬もいるとはいえ、やはり日本での繁栄が目立つ系統でしょう。

3歳・シンザン記念
http://www.keibado.com/keibabook/140114/photo07.html
2歳
http://fujikai.up.d.seesaa.net/fujikai/image/E3839FE38383E382ADE383BCE382A2E382A4E383AB.jpg

では、馬体のほうへ移ります。
POGシーズンの頃は、ディープ×ダンジグ系らしい丸みを帯びた体型でしたが、最近は、かなりすっきりした馬体になっています。
シンザン記念の時には、サイレンススズカに似てきたのではないかと指摘しました。
今後、このままスマートな体型を維持するのか、それとも筋肉が付いていく方向にシフトしていくのかは、非常に重要な分岐点となるでしょう。スマートなままなら、将来的に秋の天皇賞や宝塚記念なども視野に入ってくるでしょうし、マッチョな方向に変化するなら、距離を伸ばすよりも海外のマイルG1に参戦という路線になるのではないかと思われます。

サイレンススズカ(天皇賞・4歳)
http://www.keibado.com/keibabook/981102/pp04.html

条件戦ピックアップ~サトノルパン

サトノルパンの勝った500万条件の平場戦を取りあげます。

http://www.youtube.com/watch?v=gK8S_pdMPQk
http://db.netkeiba.com/race/201405010606/

前走のきさらぎ賞は、帰厩が遅れたため、いわゆる10日競馬になってしまい、力を発揮できませんでしたが、今回の自己条件の平場は問題なく完勝でした。
ただ、このところスタートの出がよくなく、これから相手が強くなっていくわけですから、修正が必要でしょう。半兄レッドアリオンは、出遅れ癖で惜しいレースを幾つも落としているので、癖にならない段階で手を打っておくべきです。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001135666/

まず、血統から振り返っておきましょう。
栗山求氏が指摘されるように、やはり、アルザオ≒ダンシングブレーヴ3×2の強烈な相似クロスが、サトノルパンの配合の核となっています。

アルザオ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000339659/pedigree/
ダンシングブレーヴ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000336853/pedigree/

アルザオは、リファール×BMSサーアイヴァー、ダンシングブレーヴは、リファール×BMSドローンですが、サーアイヴァーとドローンの配合が似ている(サーゲイロード、ファラモンド、マームード、ブルリー=サーギャラハッド、ロックサンド、スプリームスが共通)ので、必然的に、アルザオ≒ダンシングブレーヴの相似クロスが生じていることになるわけです。
今回のレースや未勝利戦での、一気に後続を突き放す爆発的な末脚は、ダンシングブレーヴの影響を感じさせます。
さらに、この相似クロスには、2つの別のポイントが組み込まれています。
1つは、ディープ産駒で成功している、リファールのクロスが発生していること(リファール4×3)。
もう1つは、ディープ自身の配合の核である、ヘイロー≒サーアイヴァーの相似クロスを、ドローンで継続していること(ヘイロー≒サーアイヴァー≒ドローン3・5×4)。
アルザオ≒ダンシングブレーヴ3×2という大きな構造に、入れ子式にリファールのクロスとヘイロー≒サーアイヴァー≒ドローンが内包されている配合は、実に精妙な形になっていますが、ただし、3×2という強いクロスには、当たり外れが激しいという危険性もあります。しかし、現状を見る限りでは、よい方向に出ているのではないでしょうか。
その他では、ディープと相性のよいヴェイグリーノーブルの血があることや、母系もディープと好相性のエスカッシャン牝系であることも重要です。
とはいうものの、アルザオ≒ダンシングブレーヴ3×2の存在感が、あまりにも圧倒的なので、ともかくこの部分が上手く機能するのかどうかが最重要課題であり、今のところはちゃんと働いてくれているのではないかと思われます。

3歳・きさらぎ賞
http://www.keibado.com/keibabook/140210/photo04.html
2歳
https://umanity.jp/image/horse/20111029130708.jpg

次に、馬体のほうへ移りましょう。
3歳になってからの画像が手に入りましたが、ここに来て、リファール~ダンシングブレーヴ&アルザオの影響が強まってきたように感じられます。
そうした結果、ディープよりも、その全兄のブラックタイドに近い体型になってきているかもしれません。
もちろん、ブラックタイドも、故障さえなければG1に手が届いた可能性もありますし、馬体だけならディープより上との声もあったほどですから、それはそれで悪いことではないでしょう。

リファール
https://www.bazakoni.pl/photos/00002055/0000027674_Lyphard.jpg
ダンシングブレーヴ
http://www.blacktypepedigree.com/sites/default/files/field/image/Dancing_Brave3.jpg
アルザオ
http://www.sporthorse-data.com/horse/10005420/236/Horse_Alzao-big.jpg

ブラックタイド(スプリングS)
http://www.keibado.com/keibabook/040322/photo11.html
ディープインパクト(皐月賞)
http://www.keibado.com/keibabook/050418/photo09.html

陣営によると、このあとはファルコンSを予定しているとのこと。春の目標はNHKマイルということになりそうですが、今年のマイル路線は、ミッキーアイルという確固たる中心馬はいるものの、2番手以降はかなり手薄な気もします。スタートが改善されれば、ミッキーアイルに次ぐ存在に浮上してくることは、充分にありうるでしょう。
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