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ディープインパクト産駒を研究してPOGでの勝利を目指すシロウト競馬ファンの奮闘記

2014年06月

ディープ牝系×ディープ牝系×ディープ牝系

今回は、ティルナノーグを取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=sGZlP3IbYIs
http://db.netkeiba.com/race/201409030805/

乾きつつあったとはいえ、稍重の渋い馬場となりましたが、外から捻じ伏せにいく横綱相撲で、2着トーセンバジルの追撃も抑え込み、初陣を飾りました。
馬場状態は、トーセンバジル向きだったと思いますが、しっかり勝ち切ったことに意味があるでしょう。
2年連続ダービー制覇で勢いに乗るノースヒルズ軍団ですが、今年の牡馬の一番手と評判のティルナノーグもデビュー戦を順当勝ちし、しばらく快進撃は止まりそうにありませんね。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001156924/pedigree/

それでは、血統から見ていきましょう。
母バイコースタルは、米英仏で15戦2勝。
祖母オーシャンクイーンは、アメリカで芝9FのG3重賞に勝ちました。
6代母モナーキーは、ラウンドテーブルの全妹にあたります。
母系は、ディープと同じ、英国の名門アロペ牝系。ナシュワン、ラウンドテーブル、オリオールなど、多くの名馬を出しました。
BMSゴーンウエストは、ミスタープロスペクター×セクレタリアトの配合で、3代母ミクストマリッジは、エタン(名種牡馬シャーペンアップの父)の母にあたり、母系は、こちらもアロペ牝系。

(1)ディープ牝系×ディープ牝系×ディープ牝系
当ブログで継続して追いかけているテーマの1つですが、ディープは、自身と同じ母系の馬と相性がよい傾向にあります。
最も頻繁に目にするのは、ラウンドテーブルオリオールですが、もちろん、ディープと同じ母系出身の馬は、探せばたくさん見つかります。例えば、サンデーの母馬のBMSモンパルナスの血統表の中には、フォックスローという馬が含まれていますが、これは先ほどから名前の出てるアロペの息子になります。
とはいえ、血統表のどこかにディープと同じ牝系の出身馬が含まれているということと、母馬とかBMSとか重要なポジションにある馬がディープ牝系出身ということとでは、当然のことながら、その意味の重さは大きく違ってくるでしょう。
ティルナノーグは、父ディープ、母バイコースタル、BMSゴーンウエストの3頭ともが、同じ牝系の出身で揃えられているという、偶然の一致なのか計算された配合なのかは分かりませんが、ディープ一族どうしの組み合わせですので、相性の悪かろうはずはありません。
実際問題としては、ディープ産駒の場合、こういうケースは前例がないと思われるので、なにかを断言するのは難しいのですが、ディープと自身の牝系出身馬との相性のよさを拡大して考えるなら、大きな効果をもたらす可能性もあるということは指摘しておきたいと思います。

(2)リーディングライトとトレヴ
ティルナノーグに対してのネット上の意見や感想をみると、BMSゴーンウエストに懸念を持たれているかたが多いのには、ちょっと驚かされます。
たしかに、ディープ×ゴーンウエストの配合では、これまでのところ、準オープンのダノンウィスラーあたりが出世頭ですから、これといった大物はまだ出ていません。
しかし、ゴーンウエストは、まがりなりにもミスプロ系の一流種牡馬ですから、何故そこまで心配するのか疑問なところもあります。
例えば、ディープ×ミスプロ×セクレタリアトという配合は、柔らかすぎるんじゃないかという懸念については理解できますし、その点はあとで検討しますが、多くの方々は、そこを心配されているわけではないようです。
ようするに、ゴーンウエストは、G1馬も数多く出してはいるものの、これといえるほどの大物は出ていないし、とくにBMSにまわった時に大物が出にくい、ということのようなのです。つまり、中堅G1馬を量産しているだけで、いかにも大物感に欠ける種牡馬ではないかという心配なのでしょう。
しかし、これも不思議な話で、では、ジェンティルドンナのBMSバートリーニはどうなのか、トーセンラーのBMSリシウスはどうなのか、といったことを考えれば、ゴーンウエストを心配するのは、贅沢な悩みというべきではないでしょうか。
こうした問題については、以前に当ブログで詳しく検討しました。その時の結論は、「種牡馬ディープの面白い特徴として、血統表に二線級の種牡馬の名前があっても、そこで使われている血が一流のものであれば、個々の一流の血のよさを引き出すことが出来る」というものでした。ジェンティルドンナのBMSバートリーニを例として、バートリーニ自体は二流種牡馬だけれど、バートリーニを構成する血は一流のものばかりであり、そういう場合、ディープは、バートリーニを構成する一流の血の良さを引き出す力があるということを見ていきました。
ゴーンウエストもまたしっかりした血で構成されており、そもそもバートリーニのような二流種牡馬でもありません。したがって、心配しすぎであるとあっさり結論づけてもよいのですが、ここでは、もっと違った角度からゴーンウエストの影響について考えてみたいと思います。

リーディングライト
http://www.jbis.or.jp/horse/0001182091/pedigree/
トレヴ
http://www.pedigreequery.com/treve3

前ふりが長くなりましたが、小見出しにあげた、リーディングライトとトレヴについて見ていくことにしましょう。
トレヴは、昨年の凱旋門賞で日本の競馬ファンに忘れがたい印象を残しましたが、リーディングライトのほうは、それほど馴じみがないかもしれません。
リーディングライトは、ティルナノーグの近親で、英セントレジャーとアスコットゴールドCの2つのG1に勝っています。トレヴと同い年の現役バリバリで、現在の欧州の3000m級の長距離では、トップを争う1頭です。
リーディングライトの血統表を見ていただくと、BMSがゴーンウエストであることは、すぐ気付かれるでしょう。さらに、リーディングライトの母ダンスパレードと、ティルナノーグの母バイコースタルとが、4分の3同血の叔母と姪の間柄であることも目につきます。
ゴーンウエストと、バイコースタル&ダンスパレードは、(1)で見たとおり同じ一族であるため、かなりの相性のよさを発揮していると考えるべきでしょう。BMSとしてはさほどの大物を出していないゴーンウエストの、数少ない大物が、バイコースタルの4分の3同血の叔母から出ている意味は大きいと思います。
BMSとしてのゴーンウエストで、リーディングライトと並ぶ大物は、トレヴの父モティヴェーターです。競走馬としては、英ダービーとレーシングポストTの2つのG1に勝ちましたが、なんといっても、種牡馬としてトレヴを出したことで注目されました。
しかし、ここでは、モティヴェーターではなく、娘のトレヴの血統表のほうに目を向けてください。そして、ティルナノーグの血統と比較してみてほしいのです。パッと見では、それほど似た配合のようには思えないかもしれません。ですが、トレヴとティルナノーグの血統表に共通して登場する馬を探してみてください。驚くほど、同じ名前が次々に見つかるのではないでしょうか。ゴーンウエストをはじめとして、リヴァーマン、サドラーズウェルズ≒ヌレイエフ、リファール、ヘイルトゥリーズン、バックパサー、レディビーグッド、カミーニーサンルスー、フェオラ(ディープの6代母、モナーキーとオリオールの祖母)など、実に多くの共通の血があるのです。
ティルナノーグ&母バイコースタルと、トレヴやリーディングライトとの配合の共通性は、ゴーンウエストの血の活用について、なにかしらの方向性を示している可能性が高いと思います。産駒に大物感を欠くゴーンウエストから、なんとか配合によって大物を出させるには、どうしたらよいのか。そのヒントが、リーディングライトや、トレヴとその父モティヴェーターの血統表の中に潜んでいるのかもしれません。
現時点では、それ以上のことは言えませんが、(2)の項の最後に、もう1例だけ血統表を見ていただきましょう。

ショウナンアデラ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001157731/pedigree/

まだデビュー前のディープ産駒の2歳牝馬です。どういう馬なのかも、まったく分からないわけですが、血統表を見ていただければ、ティルナノーグと非常によく似た配合であることは一目瞭然です。そして、先ほどのように、トレヴの血統表と共通の馬を探してみてください。同じく、多くの共通点が見つかると思います。
もし、ショウナンアデラもそれなりの活躍を見せるようなら、間違いなく、これらの配合に何らかのキーパターンがあるのだと考えられます。ショウナンアデラの名前も、ちょっとだけ頭の片隅にとどめておいてください。

(3)硬さと柔らかさのバランス
上の(2)で少し触れましたが、ディープ×ミスプロ×セクレタリアトの配合は、柔らかすぎるかもしれないという点について検討しておきましょう。
ミスタープロスペクター系は、現代の米国ダート競馬における主流血脈の1つなわけですが、望田潤氏によれば、体質的には、ナスルーラやロイヤルチャージャーの系統同様に柔らかいタイプであるとされています。
祖父ネイティヴダンサーも、父レイズアネイティヴも、いかにもパワフルな重戦車のような馬でしたし、レイズアネイティヴの他の後継馬たち――アリダー、イクスクルーシヴネイティヴ、マジェスティックプリンスなども、レイズアネイティヴ譲りのパワーが売り物です。
なぜ、ミスプロだけが、スマートで柔らかい体質に出たのでしょうか。望田氏によれば、母ゴールドディガーの持つ、ザテトラーク5×6のクロスが前面に出てきたからではないか、とのことでした。ザテトラークは、マムタズマハル(ナスルーラの祖母&ロイヤルチャージャーの3代母)の父です。

ミスタープロスペクター
http://www.sporthorse-data.com/horse/10005075/857/Horse_Mr_Prospector-big.jpg
レイズアネイティヴ
http://www.sporthorse-data.com/horse/100589/519/Horse_Raise_a_Native-_2big.jpg
ネイティヴダンサー
http://i805.photobucket.com/albums/yy340/MUDMONT/RACE%20HORSES/NativeDancer-1954200.jpg
アリダー
http://www.sporthorse-data.com/horse/620900/552/Horse_Alydar-big.jpg
ザテトラーク
http://1.bp.blogspot.com/-bMGAUXKU1KU/TjlaH1LGO_I/AAAAAAAACAI/QgttYZEP63E/s1600/the%2Btetrarch.jpg

ということで、ディープもミスプロもセクレタリアトも柔らかいタイプとすれば、それらに硬さを付与する血のほうはどうでしょうか。
ティルナノーグの祖母オーシャンクイーンに、硬い血がかなりあります。オーシャンクイーンは、ノーザンダンサー3×4で、ラトロワンヌも3本あります。
それでも、全体としては、いくらか柔らかめかもしれませんが、クラシックに全く間に合わないというほどではないと思います。

(4)その他
それ以外で目立つところでは、ハイペリカム(ディープの5代母)、モンパルナス(サンデーの母のBMS)、ミクストマリッジ(ゴーンウエストの3代母)、フォルリ(ヌレイエフのBMS)の組み合わせのクロス(ハイぺリオン、サンインロー、アロぺ(ディープの8代母)が共通)でしょう。この組み合わせのクロスは、当ブログではお馴じみですが、ハイインローをベースに、ディープ牝系の血も巻き込んでいるところがポイント。ハイペリカムとミクストマリッジは、(1)の延長線上にあるものですが、モンパルナスとフォルリは、別のルートですから、さらにもう2本ディープ牝系の血が入りこんでいることになります。
なお、組み合わせのクロスとは、血量的に相似クロスほどの共通性ではないけれども、お互いが何頭か共通の祖先を持っている関係のことで、大雑把にいえば「弱い相似クロス」のようなものです。

(5)まとめ
ティルナノーグの配合は、硬い血と柔らかい血、欧州血脈と米国血脈、ナスキロラトロとハイインローが、いくらか多い少ないはあるにせよ、バランスよく含まれています。
しかし、この配合のポイントとなる(1)と(2)については、未解明な部分があまりにも多すぎます。一番大事な部分がブラックボックスになっているため、はっきりと何かを言うことが極めて難しい状況なのです。
しかし、あえて言うなら、(1)も(2)も上手く機能すれば特大のホームランになる可能性があると思います。当たり外れはありそうですが、夢のある魅力的な配合ではないでしょうか。

http://uma-jin.net/pc/images/pc_pog_column_100055.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていきましょう。
前にも触れたのですが、非常に父のディープによく似た馬体だと思います。毎年POGシーズンには大量の2歳馬の画像を見ることになるわけですが、ディープ産駒がデビューして今年で5世代目となり、ずいぶん画像のストックも増えてきました。過去5世代分のディープ産駒のPOG資料画像の中で、もっとも父ディープに似ているものはと尋ねられたら、個人的には、ティルナノーグのリンク先の画像をあげたいと思います。
これも以前に触れましたが、元騎手の安藤勝己氏によれば、ディープ産駒は、かならずしも父親似が走るとは限らないとのことですが、ここまで似ていると、どうしても高く評価せざるをえません。
今年のデイープ2歳産駒の馬体評価リストでは、牡馬の3位に取りあげました。
そこまでディープに似ているのかどうか、是非ご自身の目で比較してみてください。

ディープインパクト(皐月賞)
https://livedoor.4.blogimg.jp/jrdbjp/imgs/2/e/2e0bbb10.gif

最後に今後の展望について。
早い時期に新馬勝ちできたので、このあとはいったん夏休みで、復帰は秋ということになります。
個人的には、ディープの2歳産駒を夏場にガンガン使うのは反対なので、理想的なローテーションが組めそうです。
ともかく、前評判どおりの力を見せてくれたことは確かで、一足先に勝ち上がったアヴニールマルシェともども、クラシックを狙う存在になってくれるのではないかと期待しています。

例によっての例のごとくのダイジェスト版。
血統……父・母・BMSが同じディープ牝系ということと、トレヴとの類似性に注目。
馬体……ディープそっくり。

ディープ×キングカメハメハの可能性

今年度の牝馬のディープ産駒の新馬勝ち一番乗りは、テンダリーヴォイスでした。

https://www.youtube.com/watch?v=W-ep3iDByVQ
http://db.netkeiba.com/race/201405030605/

道中は、中団のインでしっかり脚をためて、直線で外に持ち出して差し切りました。ちょっと外へ膨れる感じでしたが、この時期の新馬戦ですから、許容範囲内だと思います。
牝馬限定戦とはいえ、優等生的な勝ち方でセンスを感じさせましたが、問題は、414キロしかなかった馬体重でしょう。まだまだ線が細いので、もう10キロ、欲を言えば20キロくらい増やしたいところではあります。
なお、POG本などでは、バロックオペラという馬名で登録される予定として紹介されていましたが、最終的には、テンダリーヴォイスに決まったようですね。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001156340/pedigree/

まず、血統のほうから見ていきましょう。
アヴニールマルシェの投稿でも書いたのですが、新シーズンのスタートということで、しばらくの間は基本的なことの復習も含めて、じっくり検討していくことにします。
母ミスアンコールは、9戦1勝に終わりましたが、祖母ブロードアピールは、ダートの重賞を6勝しました(芝でもスプリンターズS4着の実績があります)。
4分の3同血の姪ブロードピークは、14戦1勝。
母系は、ハビタットやダンサーズイメージの出た、ロイヤルメッセージ牝系です。
では、配合のほうも順を追って検討しましょう。

(1)ディープ×BMSキングカメハメハ
“金子配合”とでもいうべき、ディープ×キングカメハメハの組み合わせは、以前から触れているように、ニックスの可能性まであるのではないかと考えています。
その根拠ですが、まず第1に、キングカメハメハの、ミスプロ×ナスキロラトロ×ハイインローという配合の形にあります。
ディープ産駒の活躍馬の母の配合パターンを見ていくと、ナスキロラトロの血とハイインローの血の両方を、しっかり持っている場合が多いようです。ナスキロラトロは、アヴニールマルシェのときにも触れたように、ナスルーラ+プリンスキロ+ラトロワンヌの相性のよい血の組み合わせの略称です。ハイインローのほうは、ハイぺリオンサンインローの組み合わせで、持久力、成長力、大レースでの底力などに効果があるとされています。
BMSがミスプロ系のディープ産駒のG1馬は、トーセンラーヴィルシーナの2頭がいますが、ヴィルシーナの母の配合は、ミスプロ×ナスキロラトロ×ハイインローの形に当てはまっていますし、トーセンラーの母も、プリンスキロの血はありませんが、それに準ずる形と考えられます。
ニックスの可能性に期待する根拠の第2は、ラストタイクーン、ヌレイエフ、ニジンスキー、ミルリーフ、バックパサーなど、ディープと好相性とされている血が数多く含まれていることです。個々についての検討は別の機会に譲りますが、1頭の種牡馬の中にこれだけ相性のよい血が詰め込まれていたら、その種牡馬自体もディープと好相性なのではないかと考えるのは、ごく自然なことでしょう。
根拠の第3は、栗山求氏の指摘される、ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャルという成功パターンに当てはまっていること。ディープ×キングカメハメハの配合は、個々の要素に分解すれば、ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャルという形になるのは、血統表からも確認されるでしょう。
その他にも、こまごまとした根拠は、まだたくさんありますが、大まかには以上の3点で充分だと思います。

(2)ハイぺリオン×レディブリリアントの組み合わせが4組
レディブリリアント牝系といえば、現代を代表する牝系の1つで、ミルリーフ、ブラッシンググルーム、ケーレッドなどが出ました。日本では、キングカメハメハやフジキセキが出ています。
20世紀の4大牝系といえば、ラトロワンヌ牝系、フリゼット牝系、レディジョセフィン牝系、プリティポリー牝系のことですが、あえて5大牝系という言い方をするなら、そこにプラスされるのがレディブリリアント牝系です。
さて、フジキセキに象徴されるように、サンデーは、このレディブリリアント牝系と相性が抜群です。
その好相性の理由は、サンデーの祖母のBMSヒラリーの特徴的な配合にあります。

ヒラリー
http://www.jbis.or.jp/horse/0000334297/pedigree/

見てのとおり、ブラックレイ(レディブリリアントの娘)3×4というクロスがあるのです。
ヒラリーの父ケーレッドは、レディブリリアント牝系出身の代表的な名馬の1頭ですが、父はハイぺリオン、母エクレアはレディブリリアントの孫にあたり、この例からも分かるとおり、レディブリリアントはハイぺリオンの血と相性がよく、血統表にもしばしばセットで登場します。

レッドレイ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000389385/pedigree/
エイミー
http://www.jbis.or.jp/horse/0000386829/pedigree/
モズレムチーフ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000391528/pedigree/

レッドレイとエイミーは、キングカメハメハに含まれており、モズレムチーフは、祖母ブロードアピールに含まれています。
サンデーにあるヒラリーと合わせて、ハイぺリオン系×レディブリリアント牝系の配合の馬が4頭も含まれるというのは、ちょっと珍しいケースかもしれません。とにかく、ここまで数が揃った以上、かなりの威力があるだろうということは、容易に想像のつくところでしょう。
ちなみに、レッドレイは、ケーレッドの全同血の従妹です。

(3)ノーサードチャンス≒リヴォークト
以前にも触れましたが、ディープの曽祖父ヘイルトゥリーズンの母ノーサードチャンスは、よくクロスに活用され成果をあげてきました。アヴニールマルシェの場合は、ノーサードチャンス≒ブルームーンの相似クロスでしたね。
ノーサードチャンスのクロスが有効なのは、ブルーラークスパー、マンノウォー、サーギャラハッドといった、いわゆる米国血脈といったときに、すぐに名前の挙がるような種牡馬3頭が、ノーサードチャンスの血統表の中に集合している点にあります。
そして、なかでも最も大きな成果をあげているのは、ノーサードチャンスリヴォークトの相似クロス(ブルーラークスパー、サーギャラハッド、ハイタイムが共通)です。
サンデー産駒では、ハーツクライサイレンススズカハットトリックなどを出し、ディープ産駒では、ジェンティルドンナミッキーアイルが出た、定番中の定番のクロスです。
テンダリーヴォイスの場合、ヘイルトゥリーズンの血が母馬の側にもあるので、ノーサードチャンス≒リヴォークト5×7・7ということになります。

(4)まとめ
母ミスアンコールの血統には、ナスキロの血もハイインローの血も米国血脈も、しっかり含まれています。したがって、ディープとの配合的な相性は、非常によい繁殖牝馬だと考えてよいでしょう。
テンダリーヴォイスの最大の問題点は、やはり、血統とは無関係な部分(馬体重の軽さ)にあると思われます。

http://cache2.nipc.jp/race/news/img/hr-ta-6-P20140423-ns-big.jpg

続いて、馬体のほうに移ります。
見てのとおり、しっかりと胸の深さがあり、スマートで皮膚が薄く、いかにもディープ牝馬らしい美しいシルエットをしています。
しつこいようですが、問題は、馬体重の軽さに尽きるでしょう。

最後に、今後の展望について。
血統も馬体も申し分なく、最終的には、馬体がどこまで成長するかに懸かっていると思います。
目安としては、430キロ台で競馬が出来るようになるなら、重賞路線に乗ってくるでしょう。
反対に、あまり馬体重が増えないようなら、500万条件は勝てても、その先は苦労することになると予想されます。

お終いは、マイナーチェンジしたダイジェスト版です。
血統……ディープ×キングカメハメハにはニックスの可能性あり。
馬体……好馬体も、馬体重の軽さが最大の問題。

エプソムC戦評

ちょっと雑用が重なってブログが更新できませんでしたが、平常運転に戻ります。
ディサイファの勝ったエプソムCを振り返っておきましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=2tohCteZqSw
http://db.netkeiba.com/race/201405030411/

オープンに昇級してから惜しいレースが続いていましたが、今回はインぴったりを回って、直線もスムースに抜け出し、ついに重賞初制覇となりました。
とにかく成長のゆっくりなタイプで、その点は半兄アドマイヤタイシと同じです。あとで見ていきますが、大量に抱えているハイインローの血の成長力でしょう。まだまだ、秋に向けて更なる成長も期待できそうです。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001110648/pedigree/

では、血統から見ていきましょう。
母ミズナは未出走も、祖母トリビュレーションはG1勝ち馬。
3代母グレイスフルタッチは、グラスワンダーの祖母にあたります。
母系は、デヴィルズバッグ、ラーイ、 カルドゥンなどの出た、名門リンドスオホス牝系。日本では、グラスワンダー、ダノンシャンティ、ノースフライトなどが出ました。
BMSドバイミレニアムは、芝とダートの二刀流で活躍した名馬でしたが、種牡馬としては、僅かに1世代の産駒しか残せず、若くして亡くなりました。
ディープ×BMSミスプロ系の配合の活躍馬には、トーセンラーヴィルシーナダノンバラード、デニムアンドルビー、トーセンスターダム、ラストインパクトなどがいますが、1つのパターンとして、母馬にしっかりハイぺリオンの血がある活躍馬が多いという点が指摘できるでしょう。トーセンラーやデニムアンドルビーの母馬は、ハイぺリオンの塊のような馬ですし、ラストインパクトやヴィルシーナにも、かなりのハイぺリオンの血があります。また、ヴィルシーナとダノンバラードは、ディサイファと母系が同じですし、ラストインパクトのBMSティンバーカントリーは、ドバイミレニアムの近親で、配合も似ています。

ドバイミレニアム
http://www.jbis.or.jp/horse/0000372664/pedigree/
ティンバーカントリー
http://www.jbis.or.jp/horse/0000333901/pedigree/

そうした血統上の類似からは、ディサイファは、活躍する可能性の高い配合だったと言えるでしょう。
最初のほうでも触れましたが、母ミズナの特徴は、ハイインロー血脈の豊富さにあります。ハイぺリオンもさることながら、サンインローの血の多さは、ちょっと珍しいレベルかもしれません。結果的に、ディサイファも半兄アドマイヤタイシも、兄弟そろっての超晩成タイプとなりました。2頭とも500万条件をうろうろする期間が長すぎて、もうこのままなんだろうかと思われたところからの成長ですから、やはり大量のハイインローの血は頼りになりますね。

http://www.keibado.com/keibabook/140616/photo01.html

続いて、馬体のほうを見ていきましょう。
2歳の頃から好馬体で、3年前のディープ2歳産駒の馬体評価リストでも、牡馬の8位に取りあげましたが、その頃はスマートなタイプで、もっと筋肉があればいいのになぁ、といった体型でした。
それから3年、しっかり筋肉が付き、ディープ産駒のわりには、荒れ馬場も苦にしないタイプへと成長しました。これも、ハイぺリオン的な成長力と考えてよいと思います。

兄アドマイヤタイシは、重賞2着が6度もありますが、まだ勝利には手が届いていません。弟のほうが先に重賞ウイナーになったわけですが、兄はつい先日の鳴尾記念でも2着に突っ込み、7歳にしてまだまだ衰えていないところを見せました。弟のディサイファも、さらなる成長が期待できますし、秋にはもう一回り強くなった姿がみられることでしょう。

今年度のディープ産駒の新馬勝ち第1号

POGも新シーズンを迎えましたが、ディープ産駒の今年度の新馬勝ち第1号は、アヴニールマルシェでした。

https://www.youtube.com/watch?v=PhHUrj5vESU
http://db.netkeiba.com/race/201405030405/

今春のクラシックで早期デビュー馬たちが大活躍したように、使えるなら待たずにデビューさせようというのが最近の傾向となっているようです。
今回の新馬戦も、アヴニールマルシェだけでなく、ロジチャリス、ベルラップ、ディープフォルツァなどの評判馬が顔を揃え、6月の新馬戦としては、以前には考えられなかったようなレベルの高いメンバー構成になりました。
レースは、この時期の1800mの新馬戦らしく、前半5Fが65.3秒の超スローペースとなりましたが、アヴニールマルシェの北村宏騎手は、変な癖がつかないようにとの配慮から、あえて後方でしっかり我慢させる乗り方を選択したようです。展開的には、3番手の好位につけたロジチャリスに向いた流れで、直線でも他馬の追い出しを待つ余裕がありましたが、そこへアヴニールマルシェが並びかけ、2頭によるマッチレースの末、クビ差でアヴニールマルシェが勝利をもぎ取りました。
ロジチャリスは、調教でも好時計を連発し、レースでも展開に恵まれました。一方、アヴニールマルシェは、超スローの流れで外を回される厳しい展開だっただけに、着差は僅かでも、それ以上の力の差があったと考えてよいでしょう。
POGでも人気の高い評判馬が、前評判に違わぬ素質を見せてくれた一戦でした。
なお、3着のディープフォルツァも同じくディープ産駒ですが、こちらは馬体減が響いたと思います。今回の馬体重は、426キロでしたが、現時点での適正体重は、おそらく430キロ台半ばくらいでしょう。馬体が回復すれば、今回のレース内容からして、すぐに勝ち上がれるものと思われます。
今回は、勝ち馬のアヴニールマルシェに絞って取りあげましょう。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001153336/pedigree/

まず、血統のほうから見ていきますが、新シーズンのスタートということで、最初は基本的なところから復習していくことにします。ちょっと回りくどいと思われたかたは、軽く流し読みしていただければよいでしょう。
母ヴィートマルシェは、現役時代は1勝に終わりましたが、繁殖牝馬としては、オープン特別勝ちのサンブルエミューズを出しました。
祖母キョウエイマーチは、桜花賞に勝ち、マイルCS&秋華賞&南部杯で2着、繁殖牝馬としても、皐月賞2着のトライアンフマーチが出ています。
母系は、日本土着の系統である、シュリリー牝系。なんといっても、オグリキャップ&オグリローマン兄妹が有名でしょう。オグリキャップもキョウエイマーチも、天皇賞を制した名牝クインナルビーの子孫にあたります。
それでは、配合について、順を追って検討してみましょう。

(1)アルザオ≒ダンシングブレーヴ3×3
ディープとダンシングブレーヴの組み合わせは、スマートレイアーサトノルパンの活躍で、このところ注目度が高まっています。パッと見では、リファールのクロスが目につくかもしれませんが、この場合、ディープのBMSであるアルザオと、母ヴィートマルシェのBMSのダンシングブレーヴの配合の形が似ている点に注目です(BMSはブルードメアサイアーの略で、訳せば「母の父」となります)。

アルザオ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000339659/pedigree/
ダンシングブレーヴ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000336853/pedigree/

両馬の血統表を見くらべると、父は同じリファールですが、それぞれのBMSであるサーアイヴァーとドローンの配合に共通点が多いことに気付かれるでしょう。

サーアイヴァー
http://www.jbis.or.jp/horse/0000333957/pedigree/
ドローン
http://www.jbis.or.jp/horse/0000336070/pedigree/

こちらの2頭は、父が同じサーゲイロードで、両馬の母には、ファラモンド、アルシバイアディズ、マームード、サーギャラハッド=ブルドッグ、ロックサンドなど、多くの血が共通しています。
したがって、サーアイヴァー≒ドローンという相似な血の関係にある考えてよいでしょう。
話を元に戻すせば、アルザオとダンシングブレーヴとは、父が同一馬で、BMSが相似の関係となっていることが判明したというわけです。
つまり、アルザオとダンシングブレーヴも相似な間柄となり、アルザオ≒ダンシングブレーヴ3×3の相似クロスが成り立っているということになります。

次に、このアルザオ≒ダンシングブレーヴ3×3のクロスには、どのような効果があるのかを考えてみましょう。
このクロスの効果を考える場合、以下の2つの点が注目されます。1つは、リファールが共通していること、もう1つは、サーアイヴァー≒ドローンの相似な関係です。
リファールのクロスは、このクロスを持つディープ産駒から活躍馬が続出(ジェンティルドンナディープブリランテトーセンラーなど)したため、いちやく注目を集めました。粘りが増す効果のあるクロスですが、以前は、日本の高速馬場に不向きの鈍重なクロスと考えられていた時期もありました。
サーアイヴァーとドローンの血統は、大雑把にいえばナスキロ主体の配合で、末脚の切れ味に効果のある血です。ナスキロというのは、ナスルーラとプリンスキロの有名なニックスのことです。厳密には、サーアイヴァーもドローンも、ナスルーラではなく、その4分の3同血のロイヤルチャージャーの血を引いているわけですが、原理的には同じことですので、広義のナスキロと見なしてもよいでしょう(あくまでも正確さに拘れば、ロイキロとでも表記すべきですが)。
ナスルーラは、20世紀の血統にスピード革命をもたらした名牝マムタズマハルの孫で、ロイヤルチャージャーは、ナスルーラの4分の3同血の甥にあたります。種牡馬として、最もよくマムタズマハルのスピードを受け継いだのがナスルーラです。
一方、プリンスキロは、大種牡馬セントサイモンの父系の出身で、現役時代はアメリカで活躍し、種牡馬としても2度にわたり北米リーディングサイアーになりましたが、もともとはアイルランドの生産馬で、血統的にもガチガチの欧州血脈です。アメリカへ渡ったのは、第2次大戦の戦火を避けるためでした。
スピードの権化のようなナスルーラと、正統派の欧州中~長距離血統のプリンスキロというのは、見た目はさほど相性がよいようにも思えないのですが、実際に試してみると爆発的な大成功をおさめ、アメリカの生産馬の水準を劇的に向上させるほどの威力を持っていました。今でもアメリカ史上最強馬の座を譲らないセクレタリアトは、ナスルーラ産駒のボールドルーラーとBMSプリンスキロの組み合わせから誕生した、ナスキロ配合の最高傑作です。

セクレタリアト
http://www.jbis.or.jp/horse/0000333978/pedigree/

ナスキロの血は、前述のとおり、大とびで外回り向きの末脚の伸びとして表現されます。ディープの末脚の切れも、基本的には、ナスキロ的なものと考えてよいでしょう。

そうしたナスキロ的なドローンの血と、粘っこい欧州の重厚な競馬向きのリファールとの出会いが、1980年代の最強馬といわれるダンシングブレーヴを生み出しました。
ドローンの末脚の切れに、粘りのリファールの血が加わると、スパッと切れるというよりも、追えば追うほど何処までも伸びるヨーロピアンな末脚という形で表現されることになるわけです。

ダンシングブレーヴ(凱旋門賞、大外から追い込んでくる赤い帽子の馬)
http://www.youtube.com/watch?v=f5XaH1F1eII

アルザオのほうは、競走馬としては遥かに格下です。しかし、例えば、ダンシングブレーヴ3×3のようなクロスを作ると、強すぎる近親交配のデメリットにも注意が必要となります。ところが、アルザオ≒ダンシングブレーヴ3×3ならば、似たような血ではあるものの、基本的には別の馬どうしなわけですから、近親交配のリスクを下げることが出来ます。近親交配のデメリットを回避しつつ、ちゃっかりメリットのほうは有難くいただいてしまおうというのが、相似クロスの基本的な考え方になります。
血統表の配列に従って、アルザオ≒ダンシングブレーヴという順番で表記していますが、やはりダンシングブレーヴのような強烈な個性の名馬に較べると、アルザオは影が薄いので、実際の効果についても、ダンシングブレーヴの血の増幅という形で表れやすいでしょう。
典型的なのは、スマートレイアーが大きく出遅れながら豪快に追い込んで勝った阪神牝馬Sです。あの圧倒的な末脚は、デイープ的な切れ味の鋭さというよりも、ダンシングブレーヴ的な爆発力と見るべきです。しかし、スマートレイアーは、ときどき不可解な負け方をします。ダンシングブレーヴの血の特徴なのですが、前に行くにせよ後ろに控えるにせよ、思い切った乗り方が必要で、好位~中団で器用に立ち回るレースでは、真価が発揮されにくいのです。その悪い方の典型例は、スマートレイアーのヴィクトリアマイルでしょう。
ダンシングブレーヴの血は、恐るべき破壊力を秘めていますが、一方では取扱いに注意が必要な難しい面のある血でもあるです。

(2)ディープ×BMSフレンチデピュティ
ディープの父系が、ロイヤルチャージャーの系統なので、ディープ産駒のBMSとしては、どうしてもノーザンダンサー系の種牡馬が多くなるのは、必然的な現象でしょう。
ディープ産駒のBMSとして成功しやすいノーザンダンサー系種牡馬のパターンは幾つかありますが、その1つは、ノーザンダンサー×ナスキロという配合パターンの種牡馬です。
代表的なのは、ストームキャットフレンチデピュティカーリアンラストタイクーンなどです。これらのうち、ストームキャット以外の3頭は、ノーザンダンサー×ナスキロラトロの形をしています。
ナスキロラトロというのは、ナスキロにラトロワンヌの血を加えたものです。スピードのナスルーラ、スタミナのプリンスキロ、パワーのラトロワンヌという、互いに異なる個性の3頭なのですが、これが抜群の相性のよさなのです。
まず、ディープにとってのノーザンダンサーの血の意味について、おさらいしておきましょう。
ノーザンダンサーは、20世紀を代表する大種牡馬ですが、その最大の特徴は、産駒の多様性にあります。短距離から長距離まで、芝もダートも、軽い馬場でも重い馬場でも、さまざま状況に対応できるのです。
とてつもない万能種牡馬ですが、その万能さの根拠は、やはり血統に求められます。

ノーザンダンサー
http://www.jbis.or.jp/horse/0000334002/pedigree/

ノーザンダンサーの血統は、大雑把にいえば、欧州血脈の父と、スピード+パワーの母とに分けられます。父系は、現代の種牡馬界を牛耳る、ストックウェル~ファラリスの系統ですが、父系のライン以外の部分は、セントサイモンやハイぺリオンの血が濃厚です。母馬のほうは、ネイティヴダンサーに代表される米国パワー血脈と、マムタズマハルのスピードとで構成されています。ストックウェル、セントサイモン、ハイぺリオン、ネイティヴダンサー、マムタズマハルは、いずれも種牡馬のタイプに重大な影響を与える血ばかりですが、それらが奇跡的にバランスよく共存しているところに、ノーザンダンサーの万能さの秘密があるのです。
さて、そうした万能タイプのノーザンダンサーですが、体型という点においては、1つのはっきりした特徴が見られるので、かならずしも多様なタイプではありません。その体型的特徴とは、コンパクトにまとまっているということです。もちろん、例外もあるのは当然で、雄大な馬体のニジンスキーとか、やたらに胴長なサドラーズウェルズなど、探せばいろいろ見つかるでしょう。しかし、一般的にはノーザンダンサーの血は、体型的には引き締める力として働くのです。

ノーザンダンサー
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こうしたノーザンダンサーの血の引き締め力は、ともするとナスキロ的な柔らかくて緩い体型に出やすいディープ産駒にとって、非常に有効であることは明らかです。
しかし、引き締めばかりに気を取られていると、ディープ本来のナスキロ的な伸びやかさが損なわれる危険性もあります。したがって、ノーザンダンサー×ナスキロの形は、その両方をフォローするという意味では有効なのですが、よくよく考えると、プラスとマイナスとを合わせて、けっきょくゼロになってしまっているという気もしないでもありません。
そこで、ナスキロではなく、ナスキロラトロの出番となるわけです。ノーザンダンサーの血が、引き締める形で柔らかさを補うのだとすれば、ラトロワンヌの血は、馬力をプラスする形で柔らかさ支えるようなイメージです。

以上が、ディープ×ノーザンダンサー×ナスキロラトロの基本的な仕組みですが、ノーザンダンサー×ナスキロラトロの種牡馬の中での、フレンチデピュティの独自性についても触れておきましょう。
フレンチデピュティは、さまざまなタイプの存在するノーザンダンサー系種牡馬において、米国のダート競馬に向いたパワー型の種牡馬です。
もちろん、輸入されてからも、日本の高速芝に対応するような活躍馬も出しており、単なるダート種牡馬ではありませんが、パワーとスピードとがセールスポイントであることは確かでしょう。
以前にも当ブログで触れましたが、フレンチデピュティの配合のツボは、フレンチデピュティの持つブルームーン(フレンチデピュティのBMSの母)の血を活用することで、フレンチデピュティの日本での重賞勝ち馬は、1頭を除いてブルームーン関連のクロスがあります。とくに多いのは、ブルームーンノーサードチャンス(マンノウォー、ブルーラークスパー、サーギャラハッド、ハイタイムが共通)の相似クロスです。これは、日本だけでなく、フレンチデピュティが輸入前に残してきた海外のG1勝ち馬の3頭(レフトバンクメイオウオンザサイドハウスパーティ)にもあるクロスなのです。
そして、フレンチデピュティとサンデー系の血が出会うと、自動的にブルームーン≒ノーサードチャンスの相似クロスが発生するのが、フレンチデピュティとサンデーとの好相性の主な原因であると考えられるのです。

(3)それ以外の部分
アヴニールマルシェの血統表において、ダンシングブレーヴとフレンチデピュティの存在感は圧倒的ですが、それ以外の部分についても見ておきましょう。それ以外とは、具体的には、祖母インターシャルマンに含まれている血です。
注目されるのは、ネヴァーベンドの血でしょうか。ネヴァーベンドや、その弟のボールドリーズンは、多くのディープ産駒の活躍馬の血統表の中に顔を出しています。
ディープとナスキロラトロの相性のよさは(2)で見たとおりですが、ネヴァーベンドにはナスルーラとラトロワンヌの血がある(ボールドリーズンはロイヤルチャージャーとラトロワンヌ)ので、ナスキロラトロの形を作るベースとして利用しやすいのでしょう。とくに、ネヴァーベンドの代表産駒であるミルリーフとリヴァーマンは、あらかじめナスキロラトロの形になっているので、ディープとの相性はばっちりです。

(4)まとめ
ダンシングブレーヴもアルザオも、基本的には欧州血脈寄りですが、フレンチデピュティは、米国血脈で固められています。
しかし、ダンシングブレーヴやアルザオは、分解すればリファール×ナスキロの形をしています。その点では、ノーザンダンサー×ナスキロラトロのフレンチデピュティや、ナスルーラ×ラトロワンヌのネヴァーベンドと、それなりに親和性があると考えられます。
また、欧州血脈と米国血脈のバランスも良さそうでしょう。
したがって、母ヴィートマルシェは、個々の要素もさることながら、トータルとしてもノーザンダンサー×ナスキロラトロの枠組みにおさまっていると考えられます。
その中でアクセントになるのが、アルザオ≒ダンシングブレーヴ3×3なのだと思います。今回の北村騎手のような乗り方は、ダンシングブレーヴの血を活かす理にかなった騎乗でしょう。
ただし、配合的にやや不足している要素もあって、母ヴィートマルシェには、ハイぺリオンの血が少なめなのです。ヴィートマルシェは、ノーザンダンサー4×4なので、ハイぺリオン不足というほどではないのですが、理想を言えば、もうすこしハイぺリオンの血があったほうがいいんだけどなぁ、ということです。

以上、ここまでの話をまとめると、アルザオ≒ダンシングブレーヴの爆発力をベースに、フレンチデピュティのアメリカンな馬力もプラスしたのが、アヴニールマルシェの配合の特徴です。
レース運びのスタイルは、力で捻じ伏せるタイプであり、器用に立ち回って白星を稼ぐタイプではありません。不器用さから取りこぼすケースも、ちょいちょいあるかと思います。
地力勝負のタイプということは、どこまで成長するかが鍵になるということですが、こればかりは、実際にやってみないと分からないことでしょう。

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続いて、馬体のほうに移ります。
以前にも触れましたが、1歳のクラブ募集時から馬体のよさは評判になっていました。

1歳(クラブ募集時)
http://lockon-winner.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/2013/09/25/12_first.jpg

その後も順調に成長し、見栄えのする好馬体に育ちました。適度に胴伸びがあり、胸の深さも充分ですし、力強さもしっかり感じられる馬体です。
体型的には、ディープ×フレンチデピュティのパターンだと思いますが、フレンチデピュティの血が入っているのに、ここまで胴伸びがある馬というのは、あまり見かけないかもしれません。
今年のディープ2歳産駒の馬体評価リストでは、7位に取りあげました。

最後に、今後の展望について。
この後はいったん夏休みをとり、秋から再始動の予定です。早めに1つ勝っておいたことで、今後のローテーションは余裕のあるものになるでしょう。
基本的には、外回りの東京コース向きですが、馬力もあるタイプなので、パワーで中山コースを克服してしまう可能性もありそうです(カミノタサハラの弥生賞のイメージです)。
ともかく、仕上がりの早さで勝ったというわけではなく、本格的なクラシック狙いのタイプなので、この先も大いに期待できるでしょう。

締めくくりは、マイナーチェンジしたダイジェスト版です。
血統……アルザオ≒ダンシングブレーヴ3×3とBMSフレンチデピュティに注目。
馬体……フレンチデピュティの影響が大きいものの、胴伸びがあるのがよい。

未勝利戦ピックアップ~スナッチマインド、レッドメイヴ、キングナポレオン

3歳馬の未勝利戦ピックアップは、いちおう今回で終了とし、今後は2歳馬に移行する予定です。
もちろん、注目すべき勝ち馬が出た場合は、3歳馬でも臨時で取りあげます。
今回は、スナッチマインド、レッドメイヴ、キングナポレオンの3頭を取りあげますが、まずは、スナッチマインドから。

https://www.youtube.com/watch?v=eUUEi0j-umA
http://db.netkeiba.com/race/201408031103/

デビューから3戦連続2着と、勝ち味に遅いタイプですが、対戦相手に恵まれなかったという運の悪さもあったでしょう。2戦目の勝ち馬ブランネージュは、フローラS2着→オークス5着の実力馬ですし、3戦目の勝ち馬ワードイズボンドも、すでに2勝目をあげています。
というわけで、あきらかに今の未勝利では力が上で、順当に勝ち上がったということでしょう。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001142723/pedigree/

まず、血統のほうから見ていきます。
母スナッチドは、未出走。
母系は、もともとはアメリカのマイナーな系統だったのですが、スナッチマインドの5代母ブライトンヴューが突然変異的に現われた優秀な繁殖牝馬で、それ以降、活躍馬が続出する活気のある牝系になりました。
輸入種牡馬のパイロは、近親にあたります。
BMSキャットシーフは、ストームキャット産駒ですが、種牡馬成績はそれほどではありません。
母スナッチドは、多少のハイインローの血はありますが、全体的には、ほぼ馬力型の米国血脈で固められています。ディープ×ストームキャットの相性のよさは、よく知られているところですが、スナッチドの場合、他にこれといったセールスポイントがないので、ディープとストームキャット系の相性のよさだけに頼ってしまっている面もあるかもしれません。
ただ、スナッチドにある、クリムゾンサタン5×4のクロスは、なかなか面白そうです。というのも、クリムゾンサタンの父スパイソングの配合は、ヘイルトゥリーズン(サンデーの祖父)のBMSブルーソーズと似ており、組み合わせのクロスが生じている(バラディアー≒ブルーラークスパー、マンノウォー、ドミノが共通)からです。サンデーにあるブルーソーズの血を活用した代表例としては、ダンスインザダークのブルーソーズ=ブルーヘイズ5×5の全兄妹クロスが有名ですが、ダイワメジャーダイワスカーレット兄妹には、かなり目立つ形でブルーソーズとスパイソングの組み合わせのクロスがあり、配合の中心となるような存在というわけではありませんが、いぶし銀的な縁の下の力持ちとしての働きが期待されるでしょう。

2歳
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/10/c59ae7adeee05e42614a67da8ac20426.jpg

続いて、馬体のほうへ移ります。
最近の画像がないので、2歳時のものを使いましょう。
スマートで胴伸びがあり、なかなかの好馬体だと思います。昨年のディープ2歳産駒の馬体評価では、牝馬の6位にあげました。
スマートなのはディープ譲りですが、全体的にはBMSのキャットシーフの影響が濃いと思います。

キャットシーフ
http://www.bchorserace.com/catthief.jpg

続いては、レッドメイヴです。

https://www.youtube.com/watch?v=BK715qutI2s
http://db.netkeiba.com/race/201408030801/

デビューから5戦で2着3回3着2回と、運に見放されたような感じでしたが、とにかくまず1勝をということで、ダートに初めて挑戦した結果、3馬身半差の圧勝で初勝利となりました。
しかも、このレースの2~6着馬は、すべて次走で未勝利を勝ち上がったので、この時期の未勝利戦としては、屈指のハイレベルなメンバー構成だったと言えるでしょう。
ただし、だからといって、この先もダートで続戦というのは、時期尚早だと思います。ディープ産駒は、いくら未勝利戦で鮮やかな勝ち方をしても、ダートでは割とあっさり頭打ちになりやすい傾向があります。芝で全く通用していないというのなら、ダートに活路を求めるのも当然ですが、レッドメイヴはまだまだ芝で底を見せたとは思いません。長い目で見れば、芝路線に戻したほうがよいでしょう。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001141694/pedigree/

では、血統から見ていきます。
母シンディは、1勝に終わりましたが、祖母ダンスデザインは、愛オークスの勝ち馬です。
母系は、スナッチマインド同様、以前はマイナーな系統でしたが、レッドメイヴの4代母アリオーラから急に活気が出てきて、現在そこそこ勢いのある牝系となっています。アリオーラの成功の原因は、ナスルーラ3×3とソラリオ4×4の強いクロスにあると考えてよいでしょう。
輸入された種牡馬クリエイターは、近親にあたります。
配合的には、サーゲイロード≒セクレタリアト6×4・6・5が目立ちますが、これに代表されるように、母シンディには大量のナスルーラやロイヤルチャージャーの血が、これでもかと詰め込まれています。硬さを付与するラトロワンヌの血もそれなりに入っているとはいえ、そうした要素は霞んでしまうほど、ナスルーラ&ロイヤルチャージャーだらけという状況です。
というわけで、馬体に芯が入るには、かなりの時間を要する配合でしょう。ただ、あとで触れますが、馬体的にはまとまりがあり、外回り専用的な緩さは感じられません。おそらく、ナスキロ的な外回り向きの末脚の切れより、ボールドルーラー的な内回り向きの機動力が前面に出ているのではないかと考えられます。
ともかく、血統的には、これからようやく実が入ってくる段階を迎えるのだ思われます。

3歳(2月ごろの画像)
http://www.tokyo-tc.com/mng_h_img/org_kinkyo_redmaeve_74.JPG
2歳(6月ごろの画像)
http://www.tokyo-tc.com/mng_h_img/org_kinkyo_redmaeve_26.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていきましょう。
2歳の時点では、そこそこ完成度が高いかと思ったのですが、3歳になっても、さほど変わってきている感じはしません。
とはいっても、早熟で伸びしろに乏しいというのではなく、成長のスピードが遅いという感じです。何故そのように感じられるかというと、3歳の画像を見ても、腰高でキ甲が抜けきっていないからです。血統のほうで触れたとおり、見た目以上に完成に時間がかかるタイプなのでしょう。
馬体自体は、非常に見栄えのするもので、昨年のディープ2歳産駒の馬体評価では、牝馬の1位に推しました。素材的には、見どころ充分だと思うので、成長の遅さに諦めずに、長い目で見てあげたい馬だと思います。

最後は、キングナポレオンです。

http://db.netkeiba.com/race/201408030504/

ネット上にはレース動画があがっていないようですが、豪快に差し切って、さらに突き放す強い内容でした。
ただ、続いて同じ1200mの条件戦に出たところ、まったく通用せず14着と大敗してしまいました。1200mで勝ち上がったのは事実ですが、これを見るかぎり、スプリンターとは言えないようです。
1800mのデビュー戦で敗れたのは、いまから振り返ると、距離よりも太め残りが敗因だったように思われます。当面、マイル前後で走ることになるのではないでしょうか。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001135978/pedigree/

では、血統から見ていきましょう。
母アイルドフランスは、重賞を2勝し、仏G1・マルセルブサック賞でも2着に食い込みました。マルセルブサック賞はマイル戦ですが、勝った2つの重賞のうちの1つである仏G3・ミネルヴ賞は2500mの長丁場で、距離的な融通性は高かったようです。
祖母ステラマドリッドは、G1を4勝した強豪で、繁殖牝馬としてもダイヤモンドビコー(重賞4勝、エリザベス女王杯2着)を出しています。
母系は、ハーツクライでお馴じみ、マイビューパーズ一族です。
さて、配合的にまず目につくのは、ミッキーアイルの4分の3同血の叔父であるということでしょう。
しかし、血統表から受ける印象は、かなり異なります。
ミッキーアイルの母スターアイルを考えるさいには、これまでにも触れてきたように、フラワーボウルとスペシャルの組み合わせのクロスや、ブサンダ6×6のクロスを重視してきましたが、キングナポレオンの母アイルドフランスには、そうしたクロスはありません。
また、ミッキーアイルが持つ、バークレアとフェアアリシアの組み合わせのクロスも、ポカホンタス≒リヴァーレディ5×5やプリティウェイズ≒レアトリート5×6のクロスもありません。
ミッキーアイルは、どちらかといえば、クロスが過剰でうるさめなタイプでしたが、キングナポレオンは、それに較べると、かなりシンプルな配合になっています。
アイルドフランスの配合は、整理するならば、ノーザンダンサー×ナスキロラトロの形になっていると言ってよいでしょう。ディープ×ノーザンダンサー×ナスキロラトロは、基本的に相性のよい形なので、ディープとアイルドフランスの相性も、まずまず良好であると考えられます。
また、ミッキーアイルにあったクロスは、かなりの部分が無くなってしまいましたが、ノーサードチャンスリヴォークト5×6(ブルーラークスパー、サーギャラハッド、ハイタイムが共通)は残っています。ディープ産駒ではジェンティルドンナにある相似クロスですが、それまでにもハーツクライサイレンススズカハットトリックなどの活躍馬を出してきた定番のクロスです。
トータルでは、アメリカンな馬力型の要素の強いマイラーという感じでしょうか。

2歳
http://www.jbis.or.jp/horse/images/0001135978_1/

それでは、馬体のほうも見ておきます。
最近の画像がないので、2歳時のものを使用します。
皮膚が薄く、スマートで胴伸びもあり、セレクトセールの高額馬らしい見栄えのする馬体です。
ただ、なんといっても、胸が浅いのは惜しい。こういう胸の浅い体型のディープ産駒は、良血馬であっても高額馬であっても、POGでは避けたほうが無難でしょう。もちろん、例外的に活躍するケースもあるでしょうけれど、確率的には可能性は低いのです。

参考画像

ミッキーアイル(2歳)
http://fujikai.up.n.seesaa.net/fujikai/image/E3839FE38383E382ADE383BCE382A2E382A4E383AB.jpg

三木特別短評

ドラフト準備に気を取られているうちに、エイシンヒカリが、500万下の平場戦に続き、1000万下の三木特別にも快勝し、デビューから無傷の3連勝を飾りました。
平場戦の動画はネット上にあがっていないようなので、三木特別を中心に振り返ります。

三木特別
https://www.youtube.com/watch?v=tCRiuTpnmBk
http://db.netkeiba.com/race/201409030110/

3歳500万下
http://db.netkeiba.com/race/201408030806/

2戦目も3戦目の三木特別も、好スタートからかかり気味でハナに立つところまでは同じでしたが、終始かかったままの2戦目に対して、3戦目は途中から折り合いがしっかりつき、進境のうかがえる内容だったと思います。これで、デビュー戦のように好位にかまえられるようになれば、さらに安定感が出てくるでしょう。
3連勝は、いずれも圧勝といってよい内容でしたが、この時期に古馬の1000万クラスの相手を問題にしないということは、オープン級の素質があることを意味します(もちろん、ぎりぎりの辛勝とかでは駄目ですが)。
昨年秋のディープ産駒についていえば、サトノノブレスは、1000万特別で取りこぼした後、トライアルで権利をとって、菊花賞では2着に健闘しました。
逆に、ラストインパクトは、トライアルは落鉄の影響で凡走したものの、その前の1000万特別の勝利により菊花賞に出走し、こちらも4着と善戦しました。
スマートレイアーは、1000万特別を快勝し秋華賞で2着、ラキシスも、同じく1000万特別を勝ってエリザベス女王杯で2着に突っ込んでいます。
これらの例を見ても、今回のエイシンヒカリの勝利が高く評価されるべきなのは明白でしょう。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001137511/pedigree/

それでは、血統から見ていきます。
母キャタリナは、平凡な競争成績に終わりましたが、伯父サービューフォートは、米G1・サンタアニタHなど重賞3勝をあげました。
母系は、ミスワキやサザンヘイロー、セントニコラスアビーなどの出た、オーヴァル牝系です。
配合的に目につくのは、やはり、ディープ×BMSストームキャットのニックスでしょう。
デビュー戦のさいにも紹介しましたが、ディープ×ストームキャットは好相性としても、それ以外の部分にも重要なポイントがあるというのが、最近の血統研究の流れになっているようです。
望田潤氏は、ストームキャットの持つエイトサーティの血を重視し、それと相似クロスをなすことが出来る、ウォーレリック、グッドエグザンプル、ウォーアドミラルなどの血があることが大事であるとされています。特に好成績なのは、ウォーレリックがあるパターンで、過去3頭の該当馬は、キズナアユサン、ヒラボクディープですから、いずれも重賞に勝ち、そのうち2頭はG1馬になりました。
栗山求氏は、ストームキャットが米国血脈で固められているので、母馬のそれ以外の部分には、ハイぺリオンなど持久力のある欧州血脈がしっかり入っていることが望ましいとされています。その意味では、エイシンヒカリの祖母のBMSキートゥザミントは、生まれこそアメリカですが、良質な持久力系の欧州血脈が集められており、栗山氏のあげる条件にピッタリでしょう。
エイシンヒカリの配合は、望田氏の説にしても栗山氏の説にしても、まったく申し分ないということになるわけで、ディープ×BMSストームキャットの、お手本のような配合と言えそうですね。

パドック動画
https://www.youtube.com/watch?v=oGvtFRrftiw

続いて、馬体のほうに移りたいのですが、あいかわらず画像がありません。そのかわりに、画質はよくないのですが、パドック動画を見つけました。
画質が悪いので何とも言いにくいところですが、馬格があるわりには、がっちりしすぎていませんし、適度に胴伸びがあるのもよいと思います。
マイラーというよりは中距離馬という体型で、引っかかりやすい気性は心配なものの、馬体的には2400mくらいまでは問題ないと言ってよいでしょう。

さて、3連勝のあとは夏休みということで、秋に備えることになりました。問題は、秋にどういう路線に向かうのかということでしょう。前回の投稿のステファノスと同じで、どの路線もピッタリしない感じで、選択が難しいところです。
これまた前回と同じ結論になりますが、とりあえず神戸新聞杯かセントライト記念を使ってみて、その結果で路線を決めるのが穏当ではなかろうかと思います。
素質は、現時点でも優に重賞級ですが、この馬には、そのもう一段先の大舞台で活躍できるような成長を見せてほしいと期待しています。

白百合S短評

先週の金曜日に身内のドラフトも終わりましたが、すっかりブログの更新が遅れ、さらに新シーズンの2歳戦もスタートしてしまいました。
更新ペースを元に戻していきたいと思います。
今回は、ステファノスの快勝した白百合Sを振り返っておきましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=Ky0970q1nD8
http://db.netkeiba.com/race/201408031110/

皐月賞では、ディープ産駒の中で最先着の5着と健闘したものの、賞金不足によりダービーの裏の白百合Sにまわることになりました。トライアルを使ったり、ダービーの抽選に賭けたりといった選択肢もありましたが、昨年11月から休みなしの連戦が続いたということで、こちらに確勝を期してという選択になったようです。
とはいえ、桜花賞5着のレーヴデトワール、京都新聞杯5着のミヤジジャスパー、スプリングS4着のモーリス、共同通信杯4着のピオネロなど、簡単に勝てるとは言えないような重賞好走組が揃ったのも事実です。
スタートがもうひとつだったため、道中は後方2番手の位置取りとなりましたが、直線では馬群を割って豪快な伸びを見せました。
以前のステファノスは、どちらかと言えば鋭い脚に欠けるタイプだっただけに、ここにきての成長がうかがえる走りだったと思います。皐月賞5着は、伊達じゃなかったですね。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001141375/pedigree/

では、血統から見ていきましょう。
母ココシュニックは、ゴールドティアラの娘で、母系は、リヴァーマン、デピュティミニスター、イクスクルーシヴネイティヴなどの出た、米国の名門コートドレス牝系。
5代母イクスクルーシヴダンサーは、イクスクルーシヴネイティヴ(北米リーディングサイアー)の4分の3妹にあたります。
ディープ×BMSクロフネは、これまで6頭がデビューして、すべて勝ち上がっています(いずれも中央)。まだ重賞勝ち馬は出ていませんが、今回のステファノスがオープン特別に勝ち、メデタシは桜花賞4着の実績があります。
勝ち上がり率の高さは、クロフネの父フレンチデピュティとディープとの配合も同様で、ノーサードチャンスブルームーンの相似クロス(ブルーラークスパー、マンノウォー、サーギャラハッド、ハイタイムが共通)が発生することが、1つのポイントになっていると思われます。
以前にも触れましたが、フレンチデピュティの持つグッドエグザンプルエイトサーティ5×4(パイラト、フェアプレイ、コマンドーが共通)の相似クロスを継続していると、エイトサーティとブルームーンが父娘であるため、さらに効果的です。このパターンが効果的なのは、ディープ×BMSクロフネの場合も、ディープ×BMSフレンチデピュティの場合も、同様であると思われますが、フレンチデピュティの血が無くても成功してしまっているリアルインパクトのようなケースもあるほどです(リアルインパクト自身はノーサードチャンス≒ブルームーン5×4・5、母トキオリアリティーはエイトサーティ≒ウォーレリック4×5・5)。
ステファノスの場合、自身はノーサードチャンス≒ブルームーン5×6・8、母ココシュニックがグッドエグザンプル≒エイトサーティ7・6×6となっています。
ココシュニックで他に目に付くのは、バイムレックビジネスライク6・8×6の相似クロス(父のブラックトニーとブルーラークスパーが祖父と孫の関係で、母は同じラトロワンヌ)でしょう。このラトロワンヌ関連の3本クロスは、ジェンティルドンナの母ドナブリーニにもありました(バイムレック≒ビジネスライク7×6・7)。
これらの米国血脈のクロスは、非常にパワフルで、ともすると柔らかさに傾きがちなディープの血に、適度な硬さを付与することに役立っているでしょう。一方、フレンチデピュティやクロフネは、米国血脈に偏っているため、ハイぺリオンなどの欧州血脈を補うことが重要ですが、ディープの母系は、ハイインローをベースにした欧州血脈なので、ディープとクロフネとは、相互に不足するものを補完しあう関係であると考えられます。

2歳
http://www.jbis.or.jp/horse/images/0001141375_1/

続いて、馬体のほうに移りましょう。
新しい画像が手に入らないので、昔の画像で代用しますが、ステファノスの体型は、ディープ×フレンチデピュティ系の配合の牡馬によく見られるもので、ディープ的なラインの美しさと、フレンチデピュティのパワーとが、うまく融合したような馬体です。
2歳の時点の馬体としては、カレンバッドボーイあたりと同傾向の馬体だと思います。

カレンバッドボーイ(2歳)
http://www.jbis.or.jp/horse/images/0001124792_1/

さて、オープン特別を勝って3勝目ということで、賞金面の不安を解消し、ようやく久々のお休みをとることが出来ます。
問題は、夏休みを終えたあと、どういう路線を選択するかでしょう。菊花賞は、やや距離が長いと思いますが、秋の天皇賞やマイルCSなどは、時期尚早な気もします。また、ダート路線は、芝で頭打ちになってからでも遅くないでしょう。かといって、せっかく賞金を加算したのに、裏街道路線というのももったいない話です。
とりあえず、神戸新聞杯とかセントライト記念などで、ひと夏を越しての成長度合を確認してから、それ以降の路線を考えるというのが、現実的ではないかと思われます。夏場の成長がどの程度のものになるのかが、進路の選択にも重要な指針となりそうですね。

ディープインパクト2歳産駒の馬体評価・2014年版

昨年、1つの試みとして、ディープの2歳産駒の馬体評価リストを投稿してみました
ディープ産駒単独の馬体リスト自体は、2世代目の2009年産のドラフトから作り始めています。
まずは、今年のクラシックを振り返りつつ、昨年のリストの反省から始めましょう。

牡馬(2013)
(1)ローハイド、(2)トーセンマタコイヤ、(3)キミノナハセンター、(4)トーセンスターダム、(5)サトノアラジン、(6)オリハルコン、(7)サトノルパン、(8)ベルキャニオン、(9)パリーアーク、(10)エーデルグランツorガリバルディ
牝馬(2013)
(1)レッドメイヴ、(2)ハープスター、(3)カノーロ、(4)エルノルテ、(5)キュリオスティー、(6)スナッチマインド、(7)サンドラバローズ、(8)サトノエカテリーナ、(9)クイーンズシアター、(10)ポーシアorディープラヴ

ハープスターを上位で押さえることが出来たのはよかったのですが、ミッキーアイルをきちんと評価できなかったのは残念です。
また、牡馬は現段階で未勝利1頭ですが、牝馬のほうに未勝利&未出走が多く、今後の検討課題ですね。
今年のクラシックは、春の5つの3歳G1レースのうち、ハープスターの桜花賞とミッキーアイルのNHKマイルの2勝にとどまり、むしろハーツクライ産駒のほうが勢いがあったかもしれません。
重賞についても、ミッキーアイルとハープスターで荒稼ぎしましたが、その2頭以外ではトーセンスターダムのきさらぎ賞だけという結果に終わりました。
谷間の4年目ということで、ある程度の予想はできたことですが、やや物足りない印象はあったかもしれません。
しかし、よく言われる谷間の3~4年目世代ということについては、父サンデーサイレンスにも当てはまっているのであり、3~4年目世代の3歳G1勝ちは、4年目のスペシャルウィークのダービー1勝だけです。
ディープのほうは、キズナ、アユサン、ハープスター、ミッキーアイルの4頭でG1を4勝(まだ今秋の3歳G1が残っていますし)ですから、実際には大健闘と言ってもいいと思います。
今年は、血統の谷間から抜け出しての5世代目ということで、おおいに期待したいところです。

ところで、当ブログに馬体評価リストを載せてみようと考えた理由は、「シロウトが馬体を見ても何の役にも立たないだろ」という意見に対して、シロウトにはシロウトなりの馬体画像の活用法があるのだということを示したかったからです。
昨年も書きましたが、種牡馬ごとに分別して産駒の画像を見よう、ということです。
まずは、種牡馬が違えば、走る体型のパターンも違うんだという実例を見ていただきましょう。

ジャスタウェイ(新潟2歳S)
http://www.keibado.com/keibabook/110905/photo07.html

この春に大ブレイクしたハーツクライの代表産駒といえば、もちろんジャスタウェイですが、リンク先のジャスタウェイの体型を見て、どういう感想を持たれるでしょうか。
もし、ジャスタウェイがディープ産駒だったとしたら、皆さんはこの馬を指名するでしょうか?
もちろん、血統などの要素もありますから一概には答えられないでしょうけれど、すくなくともディープ産駒の走る体型からズレていることだけは事実でしょう。
しかし、ハーツクライ産駒としては、この体型は走るパターンの代表的なものの1つなのです。
ネット上に2歳時の画像がないので、最近のもので代用しますが、先日ダービーを勝ったワンアンドオンリーの馬体画像を見てください。

ワンアンドオンリー(ダービー)
http://www.keibado.com/keibabook/140602/photo06.html

基本的には、ジャスタウェイと同じ系統の体型であることは、誰の目にも明らかでしょう。スマートで胴長で、ちょっと背中のラインが伸びすぎな気もしますが、これらはトニービンの血の影響だと思われます。
馬体チェックは、種牡馬ごとに分別して、それぞれまとめて見るようにしようと、当ブログでしつこく推奨する理由は、この例からもお分かりいただけるのではないでしょうか。

さて、前置きはこのくらいにして、今年度版の馬体評価リストを載せておきます。

牡馬
(1)ラヴィダフェリース(アドマイヤハッピー12)、(2)ドナブリーニ12、(3)ティルナノーグ(バイコースタル12)、(4)リアルスティール(ラヴズオンリーミー12)、(5)サトノシュプリーム(スカイディーバ12)、(6)モンドインテロ(シルクユニバース12)、(7)アヴニールマルシェ(ヴィートマルシェ12)、(8)ポルトドートウィユ(ポルトフィーノ12)、(9)アンタラジー(プリティカリーナ12)、(10)エイムハイ(サンドリオン12)orディープフォルツァ(チナンテガ12)
牝馬
(1)タッチングスピーチ(リッスン12)、(2)パラダイスリッジ(クロウキャニオン12)、(3)マイスフォルテ(ディラローシェ12)、(4)ショウナンアデラ(オールウェイズウィリング12)、(5)クルミナル(クルソラ12)、(6)デビュタント(モアザンベスト12)、(7)ステラスターライト(ノーブルステラ12)、(8)サトノシャルマン(サクラサク12)、(9)コンテッサトゥーレ(エアトゥーレ12)、(10)パピーラヴ(ラヴアンドバブルズ12)

まず、全体的な話からいくと、今年のディープ産駒の馬体については、牝馬の水準が高く、牡馬は平均的かと思います。
昨年の牝馬は、ハープスターの活躍に目を奪われて気付きにくいのですが、ハープスター以外は非常に低調だったと言わざるをえません。桜花賞&オークスにもハープスター1頭しか出ていませんし、重賞を勝ったのもハープスターだけ、2勝馬も少なく、ヤマノフェアリー以外はクラシックにつながらない駆け込み的な2勝目でした。昨年版でも牡馬が粒揃いと書きましたが、牝馬のほうは予想以上にハープスターの一極集中で終始することになりましたね。
一方、今年の2歳牝馬は、全体に層が厚いだけでなく、他の種牡馬の産駒と較べても目立つような馬が多いと思います。前人未到の桜花賞5連覇に向けて、まずは幸先よしと言えるのではないでしょうか。
牡馬のほうですが、今年は飛び抜けて好馬体という馬が少なく、まずまずの好馬体という馬が多いと思われます。昨年は、馬体的には粒揃いでしたが、血統の谷間の壁を打ち砕くまでには至りませんでした。今年は、血統水準が上がりましたが、そのあたりがどう出るかが注目されるところです。

それでは、1頭ずつ短い寸評を付けておきましょう。
まず、牡馬のほうから。
1位に推したラヴィダフェリースですが、馬体的には自分の好みにドンピシャです。最近のPOG戦術としては、ディープ×BMSトニービンは晩成傾向という見方が主流ですが、ここは馬体のみで考える場なので、この馬以外の1位は考えられません。全兄ハッピーモーメントもよい馬で、一昨年の9位にあげましたが、弟はスケールが遥かに大きいと思います。
2位と3位は、馬体の出来としてはほぼ互角なので、どっちが上で下でも構いません。いずれも、父ディープ似という特徴があります。元騎手の安藤勝己氏は、ディープに似ている産駒は、アヴェレージは高いけどホームランになりにくいと仰っています。たしかに、ディープ産駒のG1馬で多少なりともディープに似ているのは、トーセンラーくらいで、あとは似ても似つかないと言われても仕方ありません。しかし、ディープ産駒は、もともとディープ似の割合自体が低いので、一概には言えないという気もします。どちらにしても、この場ではアンカツさんの指摘されたような要素は、当然ながら考慮しません。

ディープインパクト(皐月賞)
https://livedoor.4.blogimg.jp/jrdbjp/imgs/2/e/2e0bbb10.gif
ディープインパクト(種牡馬入り後)
http://www.jbis.or.jp/horse/images/0000742976_1/

種牡馬の画像をチェックする際には、なるべく若いころのもの、可能であれば現役時代のものを参照するようにしてください。ディープの現役時代と種牡馬時代の2枚の画像にリンクしましたが、ぜんぜん印象が違うのではないでしょうか。ドナブリーニ12もティルナノーグも、現役時代の画像には似ていますが、種牡馬時代の画像には似ていません。
2位にあげたドナブリーニ12は、全姉ジェンティルドンナに似ていないという点ばかりが話題にされますが、父ディープ似であることは意外にスルーされているようです。とにかく、好馬体であることは間違いないので、2位ということにしましょう。
3位のティルナノーグは、2年連続ダービー制覇で勢いに乗るノースヒルズ軍団の今年の牡馬の一番手と評価されているようです。毛色のせいもありますが、いかにもディープに似ています。ドナブリーニ12もそうですが、ここまではっきりディープ似という馬がリスト入りするのは珍しく、結果に注目したいところです。
4位リアルスティールは、ラングレーの全弟です。馬体的にもよく似ていますが、個人的には、弟のほうがメリハリが効いているように見えます。お兄さんもよい馬でしたが、弟のほうを高く評価しての4位としました。
5位サトノシュプリームは、同じ馬主だからというわけではないのですが、サトノアラジンに体型も配合も似たところがあると思います。サトノアラジンには、期待外れの厳しい声もあるようですが、全姉ラキシスの春の成績はもっと残念なものでしたが、その後の活躍はご存じのとおりです。ちょっとした完成度の早い遅いで明暗が分かれるのが怖いところですが、ほんのわずかな違いだとも言えます。サトノシュプリームには、サトノアラジンのぶんまで走ってもらいましょう。
6位と7位の馬は、非常に体型が似ています。モンドインテロのほうが少し脚が長いくらいの違いでしょうか。2位と3位の場合と同じく、どっちが上でもかまわないのですが、アヴニールマルシェのほうがPOG人気が遥かに高いようなので、天邪鬼的に人気薄のモンドインテロのほうを上にしてみました。
6位モンドインテロが不人気なのは、ちょうどPOG本の取材期間中に、捻挫のリハビリでマシン運動に終始していたからでしょう。頓挫があったのは事実ですが、大きな故障ではないのですから、不当に人気落ちするようであれば、逆に狙っていくのも面白いかと思います。
7位アヴニールマルシェは、ここにきてPOG人気が急上昇で、ディープ2歳牡馬の中では、ポルトドートウィユに次ぐ2番人気にまで浮上してきました。たしかに好馬体ですし、早期デビューが予定され、不安点は厩舎がPOG向きじゃないことくらいでしょう。今春のクラシックは、早期デビュー馬の天下だったので、ただ早いというだけではなく、早くて強い馬を探すのが、1つのトレンドとなっていきそうです。
8位ポルトドートウィユは、上述のとおり、今年のディープ2歳牡馬のPOG人気第1位といってよいでしょう。馬体的にも、皮膚が薄くて胴伸びがあり、非常に見栄えがします。個人的には、もう少し胸が深いほうが好みなので、8位ということにしましたが、好馬体であることは確かです。以前にも触れましたが、体型的には、父ディープにも母ポルトフィーノにもBMSクロフネにも祖母エアグルーヴにも似ておらず、エアグルーヴの父トニービンの血が強く出ています。過去のディープ産駒では、ラウンドワールドやフェルメッツァに似ていますが、クロフネが挟まっている分、背中のラインに締りがあるのがよいと思います。
9位アンタラジーは、今年でいえばガリバルディに似ています。母方に馬力型の米国血脈が多めで、がっしりとしています。
10位は、帯に短し襷に長しといった候補が多く、9位まででリストを打ち切ろうかと思ったのですが、それももったいないと思いなおし、候補の絞り込みを行ないました。
エイムハイは、馬格に恵まれていますが、いくらか首が短いのが気になります。
ディープフォルツァは、ディープ産駒にしてはトモに力強さがありますが、すこし胴の寸が詰まっている感じです。
レレオーネは、スマートで上品ですが、やや線が細いでしょうか。
ルートヴィヒコードは、半姉リトルアマポーラ(エリザベス女王杯)そっくりなのはいいのですが、ディープらしさがあまり感じられません。
アドマイヤスカイは、見栄えのする好馬体ですが、BMSのロベルト系の血が前面に出すぎのような気もします。
レッドライジェルは、すっきりとしてキレのある馬体ですが、コンパクトにまとまりすぎています。
ジェネラルゴジップは、ここにきての良化が顕著ですが、あまりにもがっちりしすぎているのが気になるところ。
サトノダイレンサは、好馬体なのですが、ついに馬体重情報が入手できず、リストに入れるのは断念。
以上の中から1頭には絞りきれず、エイムハイとディープフォルツァを10位タイとしました。

続いて、牝馬についても一言ずつ。
1位タッチングスピーチは、個人的なディープ2歳牝馬の理想に近く、人気だろうとなんだろうと、これを1位にしないのは自分に嘘をつくことなります。ちょっと母方の血統は重めですが、1位の座は揺るぎません。
2位パラダイスリッジは、今年のディープ2歳牝馬の中では、馬体的にタッチングスピーチに対抗できる唯一の馬でしょう。カミノタサハラやベルキャニオンの全妹ですが、2歳の時点にかぎれば、カミノタサハラもベルキャニオンも上回る好馬体だと思います。
3位マイスフォルテは、追分Fの一番馬の呼び声も高いですが、胸の深さが印象的な馬体です。当ブログでは、よく胸が深いとか浅いとか言ってますが、分かりやすく画像で比較してみましょう。

リグヴェーダ(2歳)
http://www.jbis.or.jp/horse/images/0001120635_1/
ラストグルーヴ(2歳)
https://livedoor.blogimg.jp/umajin_pog/imgs/9/1/914a9b02.jpg

リグヴェーダは、ゴールアリュールの半弟で、POGでも人気がありましたが、胸の浅いのが気になってスルーしました。
ラストグルーヴは、セレクトセールで3億6000円万円の超高額で落札され話題になりましたが、過去のディープ産駒のなかでも、胸の深さという点でトップクラスです。
たしかに、POG期間内に2勝をあげたリグヴェーダに対して、ラストグルーヴは1戦1勝のまま引退したので、賞金的にはリグヴェーダの勝ちです。しかし、目先の賞金ではなく、これからのPOGライフを長い目で見た場合、リグヴェーダよりラストグルーヴを指名するのが正解ではないでしょうか。ディープ産駒は、胸の浅い馬は避けるべし、ということです。
4位ショウナンアデラは、あまり話題になっていないようですが、非社台系のディープ2歳牝馬では、馬体的にはナンバーワンでしょう。POG人気が低いのであれば、下位でこっそり一本釣りするのがいいかもしれません。
5位クルミナルは、母系が貧弱なのは気になりますが、馬体は素晴らしい。POG的には、メディアの注目度は低いのですが、ネット上では穴馬として注目されているようです。
6位デビュタントは、ノースヒルズ軍団の牝馬の一番馬と評判の馬です。タイセイドリームの全妹ですが、セレクトセールでは、4400万円の兄に対して、妹のほうは7000万円でした。
7位ステラスターライトは、ノーブルコロネット&ノーブルプラネットの全妹。姉は伸び悩み、兄はボーンシストで出遅れということで、POG的に迷うところかもしれません。しかし、姉も兄も奥手なタイプなのか、この時期はもっさりした馬体で、ひと夏を越して晩秋頃になってようやく良化していきましたが、こちらは現段階で既にまずまずの好馬体です。3度目の正直は、充分にありうると思います。
8位サトノシャルマンは、エバーブロッサムの全妹。姉はただいま謎のスランプ中ですが、クラシックでは活躍しました。妹も姉似の馬体なので、期待できそうです。
9位コンテッサトゥーレは、サトノオー&クランモンタナの全妹。これまた、兄たちの成績からはPOGでの指名を迷うところです。メディアも、クランモンタナの時は大騒ぎをしたのに、コンテッサトゥーレには冷淡なものです。しかし、クランモンタナは、なぜあれだけ大絶賛されたのか、いまだに個人的には意味不明です。ディープらしさが全く感じられず、当時の馬体評価リストにも取りあげませんでした。馬体派を名乗る専門紙記者が「ディープそっくり」という記事を書いているのを読んで、思わず「どこがじゃ」と独り言をいってしまったのを覚えています。この母系の馬は、母方の血の自己主張が強すぎて、どの種牡馬を付けても、同じような産駒が出来てしまうのですが、コンテッサトゥーレは、デイープらしさも表現されていると思います。コンテッサトゥーレもパッとせずに終わったなら、ディープ×スキーパラダイス牝系の配合は、もう諦めたほうがいいかもしれません。
10位パピーラヴは、ディープブリランテやハブルバブルの全妹。この兄弟は、みんな体型が違っているので、特徴を絞り込めなくて困るのですが、パピーラヴは、ディープ2歳牝馬によく見られるような体型です。正直、一昨年のセレクトセールでの当歳時の馬体は迫力満点で、3年後のクラシックは総なめかもしれないとすら思ったのですが、2歳になってみると、やや小さくまとまってしまった気がしないでもありません。ヴィーヴル&トラストニーケーと10位を迷ったのですが、まだまだ馬体は変化していきますし、セレクトセールの時の迫力を取り戻してくれる可能性に期待して、ラストの10位はパピーラヴとしました。
最後に、馬体重が軽すぎてリストから外しましたが、デビュー時に430キロ以上なら出世間違いなしの牝馬3頭に触れて、お終いにしましょう。その3頭は、ミュージカルウェイ12、カーラパワー12、レッドベルダです。個人的な縛りとして、POGの時点で430キロ未満の馬は、よほどのことがない限り、問答無用で指名しないことにしています。これまでの例外は、ジョワドヴィーヴルだけでした。

参考・2011年版&2012年版

牡馬(2011)
(1)ダノンドリーム、(2)ディープブリランテ、(3)エックスマーク、(4)アーカイヴ、(5)トーセンホマレボシ、(6)モンテエクリプス、(7)ワールドエース、(8)ディサイファ、(9)アーデント、(10)ロードアクレイム
牝馬(2011)
(1)マトゥラー、(2)ジョワドヴィーヴル、(3)ジェンティルドンナ、(4)アンチュラス、(5)ヴィルシーナ、(6)エポキシ

牡馬(2012)
(1)カレンバッドボーイ、(2)キズナ、(3)アドマイヤキンカク、(4)トルストイ、(5)コメットシーカー、(6)ラウンドワールド、(7)ケイティープライド、(8)サトノノブレス、(9)ハッピーモーメント、(10)ジューヴルエールorサトノプレステージorラストインパクト
牝馬
(1)ラキシス、(2)ラストグルーヴ、(3)ファイアマーシャル、(4)ミライエ、(5)デニムアンドルビー、(6)バリローチェ、(7)レッドオーヴァル、(8)シュぺトレーゼ

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