重賞ではなくオープン特別ですが、エイシンヒカリが、アイルランドTを制してデビューから5連勝を飾ったので、振り返っておきます。
https://www.youtube.com/watch?v=TSSv6kD90TU
http://db.netkeiba.com/race/201405040511/
後続を大きく引き離しての逃げといい、直線で外ラチすれすれまで膨れたことといい、一躍その名が全国区となりました(競馬とは関係のない普通のニュースサイトでも話題になっていました)が、陣営からすれば不本意な競馬だったかもしれません。とくに、主戦の岩田騎手がヌーヴォレコルトの秋華賞騎乗のため、ピンチヒッターを引き受けた横山典騎手とすれば、多少ばつの悪い思いをしたのではないでしょうか。
とはいえ、デビューから5連勝というのは、ダート戦ではよく見かけるものの、芝のレースでとなると、概ねG1を狙える大物に限られるでしょう。これほど外に膨れながら、けっきょく3馬身半差をつけての楽勝だったことも、この馬の能力の高さを窺わせます。
サイレンススズカの再来との声も出てきましたが、サイレンススズカの3歳時というのは、手の付けられない気性の激しさを見せていました。対して、エイシンヒカリは、今回こそ乗り替わりや初の左回りで粗相をしてしまいましたが、サイレンススズカにくらべれば、ずっと扱いやすい馬だと思います。
http://www.jbis.or.jp/horse/0001137511/pedigree/
それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母キャタリナは、15戦3勝の平凡な競争成績でしたが、伯父サービューフォートは、サンタアニタH(米G1・ダート2000m)など重賞3勝をあげました。
母系は、ミスワキ、サザンヘイロー、セントニコラスアビーなどの出た、オーヴァル牝系です。
配合的には、まず目につくのが、ディープ×BMSストームキャットのニックスですが、望田潤氏によれば、ストームキャットの持つエイトサーティの血を活かすと更によく、なかでも、ディープ×ストームキャット×ウォーレリックの形は、キズナ、アユサン、ヒラボクディープなど、成功例が多いようです。もちろん、エイシンヒカリもこのパターンに当てはまっており、母キャタリナには、エイトサーティ≒ウォーレリック6×6があります。
また、栗山求氏によれば、ストームキャットは、ほぼ米国血脈で固められているので、それ以外の部分にハイぺリオンや欧州血脈などが必要だと指摘されています。母キャタリナにあるキートゥザミントは、米国産馬ではありますが、良質なスタミナの血を抱えており、栗山氏の指摘にピッタリでしょう。
キートゥザミントとの関係で注目されるのは、近親のG1馬サービューフォートの配合です。
サービューフォート
http://www.jbis.or.jp/horse/0000339893/pedigree/
見てのとおり、ヒズマジェスティ=グロースターク2×4という、強烈な全兄弟クロスがあります。グロースタークは、キートゥザミントの父ですから、単にストームキャットに不足している要素を補うというだけでなく、キートゥザミントの血は、キャタリナという繁殖牝馬の配合上のツボになっている可能性が高いと考えられます。
キートゥザミントの父グロースタークの母フラワーボウルは、当ブログではお馴じみの存在ですが、ディープとの間では、ディープの祖母バークレアと組み合わせのクロス(ドナテロ≒ブードワー、ハイぺリオン、サンインロー、レディジョセフィン、ガリニュールが共通)をなし、サンデーとの間では、エーデルワイスと組み合わせのクロス(ハイぺリオン、サンインロー+シナ、ロックサンド、スウィンフォードが共通)を生じています。つまり、サービューフォートの場合と同じく、ディープ×キャタリナの配合は、キャタリナの配合上のツボである可能性の高いキートゥザミントの血を上手く活用していることになるわけです。
さて、引き続き馬体のほうに移りたいのですが、相変わらず、これといった画像がネット上にはありません。
重賞に出るようになれば、馬体画像が入手できるようになると思うので、馬体の話はその時にさせていただくことにします。
参考までに、三木特別のときのパドック動画にリンクしておきます(画質は良くないです)。
三木特別のパドック動画(0分27秒~)
https://www.youtube.com/watch?v=oGvtFRrftiw
レース後、陣営のほうから、年内は休養に充てるとのコメントが出されました。デビューが遅れたことからも判るように、もともと完成度の高いタイプではなく、5月生まれということもあり、本領発揮は古馬になってからだろうと見られていたとはいえ、潔く休養に踏み切った理由は、今回の破天荒なレースぶりにあったことは、想像に難くないところです。
今回のレース内容は、このまま逃げ馬として育てていくべきなのかという問いを、あらためて陣営に突き付けた形になりました。個人的には、もう腹をくくって逃げ馬として育てるのもありだと思いますが、デビュー戦のような好位から進める競馬に未練の残る気持ちも理解できます。この休養をいい機会として、陣営の方針の意思統一を図ることになりそうです。
脚質のことは横に置くとしても、ここまでの一連のレース内容は、明らかに重賞級という水準を超えるものであり、来年は、G1の大舞台でその勇姿を見ることになるのでしょうね。
参考
アイルランドTのパトロールフィルム
https://www.youtube.com/watch?v=tly_dK5mLXM
ムーンライトH
https://www.youtube.com/watch?v=_fEO3hzfn2Y
https://www.youtube.com/watch?v=TSSv6kD90TU
http://db.netkeiba.com/race/201405040511/
後続を大きく引き離しての逃げといい、直線で外ラチすれすれまで膨れたことといい、一躍その名が全国区となりました(競馬とは関係のない普通のニュースサイトでも話題になっていました)が、陣営からすれば不本意な競馬だったかもしれません。とくに、主戦の岩田騎手がヌーヴォレコルトの秋華賞騎乗のため、ピンチヒッターを引き受けた横山典騎手とすれば、多少ばつの悪い思いをしたのではないでしょうか。
とはいえ、デビューから5連勝というのは、ダート戦ではよく見かけるものの、芝のレースでとなると、概ねG1を狙える大物に限られるでしょう。これほど外に膨れながら、けっきょく3馬身半差をつけての楽勝だったことも、この馬の能力の高さを窺わせます。
サイレンススズカの再来との声も出てきましたが、サイレンススズカの3歳時というのは、手の付けられない気性の激しさを見せていました。対して、エイシンヒカリは、今回こそ乗り替わりや初の左回りで粗相をしてしまいましたが、サイレンススズカにくらべれば、ずっと扱いやすい馬だと思います。
http://www.jbis.or.jp/horse/0001137511/pedigree/
それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母キャタリナは、15戦3勝の平凡な競争成績でしたが、伯父サービューフォートは、サンタアニタH(米G1・ダート2000m)など重賞3勝をあげました。
母系は、ミスワキ、サザンヘイロー、セントニコラスアビーなどの出た、オーヴァル牝系です。
配合的には、まず目につくのが、ディープ×BMSストームキャットのニックスですが、望田潤氏によれば、ストームキャットの持つエイトサーティの血を活かすと更によく、なかでも、ディープ×ストームキャット×ウォーレリックの形は、キズナ、アユサン、ヒラボクディープなど、成功例が多いようです。もちろん、エイシンヒカリもこのパターンに当てはまっており、母キャタリナには、エイトサーティ≒ウォーレリック6×6があります。
また、栗山求氏によれば、ストームキャットは、ほぼ米国血脈で固められているので、それ以外の部分にハイぺリオンや欧州血脈などが必要だと指摘されています。母キャタリナにあるキートゥザミントは、米国産馬ではありますが、良質なスタミナの血を抱えており、栗山氏の指摘にピッタリでしょう。
キートゥザミントとの関係で注目されるのは、近親のG1馬サービューフォートの配合です。
サービューフォート
http://www.jbis.or.jp/horse/0000339893/pedigree/
見てのとおり、ヒズマジェスティ=グロースターク2×4という、強烈な全兄弟クロスがあります。グロースタークは、キートゥザミントの父ですから、単にストームキャットに不足している要素を補うというだけでなく、キートゥザミントの血は、キャタリナという繁殖牝馬の配合上のツボになっている可能性が高いと考えられます。
キートゥザミントの父グロースタークの母フラワーボウルは、当ブログではお馴じみの存在ですが、ディープとの間では、ディープの祖母バークレアと組み合わせのクロス(ドナテロ≒ブードワー、ハイぺリオン、サンインロー、レディジョセフィン、ガリニュールが共通)をなし、サンデーとの間では、エーデルワイスと組み合わせのクロス(ハイぺリオン、サンインロー+シナ、ロックサンド、スウィンフォードが共通)を生じています。つまり、サービューフォートの場合と同じく、ディープ×キャタリナの配合は、キャタリナの配合上のツボである可能性の高いキートゥザミントの血を上手く活用していることになるわけです。
さて、引き続き馬体のほうに移りたいのですが、相変わらず、これといった画像がネット上にはありません。
重賞に出るようになれば、馬体画像が入手できるようになると思うので、馬体の話はその時にさせていただくことにします。
参考までに、三木特別のときのパドック動画にリンクしておきます(画質は良くないです)。
三木特別のパドック動画(0分27秒~)
https://www.youtube.com/watch?v=oGvtFRrftiw
レース後、陣営のほうから、年内は休養に充てるとのコメントが出されました。デビューが遅れたことからも判るように、もともと完成度の高いタイプではなく、5月生まれということもあり、本領発揮は古馬になってからだろうと見られていたとはいえ、潔く休養に踏み切った理由は、今回の破天荒なレースぶりにあったことは、想像に難くないところです。
今回のレース内容は、このまま逃げ馬として育てていくべきなのかという問いを、あらためて陣営に突き付けた形になりました。個人的には、もう腹をくくって逃げ馬として育てるのもありだと思いますが、デビュー戦のような好位から進める競馬に未練の残る気持ちも理解できます。この休養をいい機会として、陣営の方針の意思統一を図ることになりそうです。
脚質のことは横に置くとしても、ここまでの一連のレース内容は、明らかに重賞級という水準を超えるものであり、来年は、G1の大舞台でその勇姿を見ることになるのでしょうね。
参考
アイルランドTのパトロールフィルム
https://www.youtube.com/watch?v=tly_dK5mLXM
ムーンライトH
https://www.youtube.com/watch?v=_fEO3hzfn2Y