DP-Blog

ディープインパクト産駒を研究してPOGでの勝利を目指すシロウト競馬ファンの奮闘記

2014年10月

アイルランドT短評

重賞ではなくオープン特別ですが、エイシンヒカリが、アイルランドTを制してデビューから5連勝を飾ったので、振り返っておきます。

https://www.youtube.com/watch?v=TSSv6kD90TU
http://db.netkeiba.com/race/201405040511/

後続を大きく引き離しての逃げといい、直線で外ラチすれすれまで膨れたことといい、一躍その名が全国区となりました(競馬とは関係のない普通のニュースサイトでも話題になっていました)が、陣営からすれば不本意な競馬だったかもしれません。とくに、主戦の岩田騎手がヌーヴォレコルトの秋華賞騎乗のため、ピンチヒッターを引き受けた横山典騎手とすれば、多少ばつの悪い思いをしたのではないでしょうか。
とはいえ、デビューから5連勝というのは、ダート戦ではよく見かけるものの、芝のレースでとなると、概ねG1を狙える大物に限られるでしょう。これほど外に膨れながら、けっきょく3馬身半差をつけての楽勝だったことも、この馬の能力の高さを窺わせます。
サイレンススズカの再来との声も出てきましたが、サイレンススズカの3歳時というのは、手の付けられない気性の激しさを見せていました。対して、エイシンヒカリは、今回こそ乗り替わりや初の左回りで粗相をしてしまいましたが、サイレンススズカにくらべれば、ずっと扱いやすい馬だと思います。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001137511/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母キャタリナは、15戦3勝の平凡な競争成績でしたが、伯父サービューフォートは、サンタアニタH(米G1・ダート2000m)など重賞3勝をあげました。
母系は、ミスワキ、サザンヘイロー、セントニコラスアビーなどの出た、オーヴァル牝系です。

配合的には、まず目につくのが、ディープ×BMSストームキャットのニックスですが、望田潤氏によれば、ストームキャットの持つエイトサーティの血を活かすと更によく、なかでも、ディープ×ストームキャット×ウォーレリックの形は、キズナアユサンヒラボクディープなど、成功例が多いようです。もちろん、エイシンヒカリもこのパターンに当てはまっており、母キャタリナには、エイトサーティウォーレリック6×6があります。
また、栗山求氏によれば、ストームキャットは、ほぼ米国血脈で固められているので、それ以外の部分にハイぺリオンや欧州血脈などが必要だと指摘されています。母キャタリナにあるキートゥザミントは、米国産馬ではありますが、良質なスタミナの血を抱えており、栗山氏の指摘にピッタリでしょう。
キートゥザミントとの関係で注目されるのは、近親のG1馬サービューフォートの配合です。

サービューフォート
http://www.jbis.or.jp/horse/0000339893/pedigree/

見てのとおり、ヒズマジェスティ=グロースターク2×4という、強烈な全兄弟クロスがあります。グロースタークは、キートゥザミントの父ですから、単にストームキャットに不足している要素を補うというだけでなく、キートゥザミントの血は、キャタリナという繁殖牝馬の配合上のツボになっている可能性が高いと考えられます。
キートゥザミントの父グロースタークの母フラワーボウルは、当ブログではお馴じみの存在ですが、ディープとの間では、ディープの祖母バークレアと組み合わせのクロス(ドナテロ≒ブードワー、ハイぺリオン、サンインロー、レディジョセフィン、ガリニュールが共通)をなし、サンデーとの間では、エーデルワイスと組み合わせのクロス(ハイぺリオン、サンインロー+シナ、ロックサンド、スウィンフォードが共通)を生じています。つまり、サービューフォートの場合と同じく、ディープ×キャタリナの配合は、キャタリナの配合上のツボである可能性の高いキートゥザミントの血を上手く活用していることになるわけです。

さて、引き続き馬体のほうに移りたいのですが、相変わらず、これといった画像がネット上にはありません。
重賞に出るようになれば、馬体画像が入手できるようになると思うので、馬体の話はその時にさせていただくことにします。
参考までに、三木特別のときのパドック動画にリンクしておきます(画質は良くないです)。

三木特別のパドック動画(0分27秒~)
https://www.youtube.com/watch?v=oGvtFRrftiw

レース後、陣営のほうから、年内は休養に充てるとのコメントが出されました。デビューが遅れたことからも判るように、もともと完成度の高いタイプではなく、5月生まれということもあり、本領発揮は古馬になってからだろうと見られていたとはいえ、潔く休養に踏み切った理由は、今回の破天荒なレースぶりにあったことは、想像に難くないところです。
今回のレース内容は、このまま逃げ馬として育てていくべきなのかという問いを、あらためて陣営に突き付けた形になりました。個人的には、もう腹をくくって逃げ馬として育てるのもありだと思いますが、デビュー戦のような好位から進める競馬に未練の残る気持ちも理解できます。この休養をいい機会として、陣営の方針の意思統一を図ることになりそうです。
脚質のことは横に置くとしても、ここまでの一連のレース内容は、明らかに重賞級という水準を超えるものであり、来年は、G1の大舞台でその勇姿を見ることになるのでしょうね。

参考

アイルランドTのパトロールフィルム
https://www.youtube.com/watch?v=tly_dK5mLXM
ムーンライトH
https://www.youtube.com/watch?v=_fEO3hzfn2Y

秋華賞回顧

ショウナンパンドラが、秋華賞を制覇したので、振り返ることにしましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=39rBIKnJ38c
http://db.netkeiba.com/race/201408040511/

レッドリヴェールの調子が上がってこないということで、オークス馬ヌーヴォレコルトに人気が集中することになりました。
レースは、馬群が真っ二つに分かれて進み、その第2集団の先頭がショウナンパンドラ、直後にヌーヴォレコルトという位置取りでしたが、3コーナーすぎで内に張りついたショウナンパンドラに対して、ヌーヴォレコルトは外へ持ち出します。結局、このコース取りの差が、勝敗を分けることになったのですが、大本命のヌーヴォレコルトには、内でドン詰まりになるリスクを負うわけにはいかないので、仕方なかったと思います。ヌーヴォレコルトの直線での伸びは本命馬に相応しいもので、その追撃を凌ぎきったショウナンパンドラを褒めるべきでしょう。
前走の紫苑Sは、不良馬場に泣かされての2着でしたが、ひと夏を越しての成長には素晴らしいものがありました。やや展開に恵まれたのは否めないところですが、まだまだ成長の見込める馬だと思います。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001140190/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母キューティゴールドは、ステイゴールドやグレースランド(ドリームパスポート&ラウンドワールドの母)の半妹です。
母系は、セキュリティ牝系ですが、海外ではかなり衰退しており、系統の中心は、日本で繁栄しているロイヤルサッシュ一族ということになりそうです。サッカーボーイ、ステイゴールド、スノードラゴンなど、多くの活躍馬が出ています。

ショウナンパンドラの血統において、まず注目されるのは、母キューティゴールドの配合だと思います。ヴァイスリージェント≒ノーザンテースト3×3の強い相似クロスは、繁殖牝馬にとっての活力源になりますし、スマートな産駒が出やすいディープに、馬力を補給することになるでしょう。
しかし、もう一歩踏み込んでみるなら、フレンチデピュティと、キューティゴールドの祖母ダイナサッシュの配合に、共通性が見てとれそうです。

フレンチデピュティ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000362799/pedigree/
ダイナサッシュ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000115357/pedigree/

相似クロスとか組み合わせのクロスというほど近くはないかもしれませんが、父ノーザンダンサー系×母ナスキロ牝馬(ダイナサッシュは厳密には、プリンスキロではなくプリンスシャブリエですが)という大まかな方向性は共通しています。ディープ産駒のBMSとして、ノーザンダンサー系×ナスキロの配合の種牡馬(ストームキャット、フレンチデピュティ、カーリアンなど)が好相性であることは、当ブログでも度々取りあげてきましたが、話はそこで終わりません。
フレンチデピュティとダイナサッシュの配合の方向性が似ているだけでなく、キューティゴールドの血統の残りの部分のディクタスが全く違った配合なので、キューティゴールドは、4分の1異系配合というパターンに該当することになります。4分の1異系配合というのは、笠雄二郎氏の提唱した配合パターンで、血統表の4分の3が何らかの共通性のある配合で、残る4分の1が異質な配合となっているものを指します。以前にも触れましたが、同質な血による増幅効果と、異質な血による雑種強勢効果の一石二鳥を狙った配合ということになるわけです。

ディクタス
http://www.jbis.or.jp/horse/0000333664/pedigree/

さて、ノーザンダンサー×ナスキロに対して、ディクタスは、かなり異質な血でしょう。
父系は、ハイぺリオンの父ゲインズボローから出た、ファイントップ系というマイナー系統です。
注目すべきは、母ドロニックで、ディープの祖母バークレアの父バステッドとの間に、4×4の相似クロス(ドナテロ、ワイルドリスク、ドゥルセが共通)をなしています。
バステッド関連のクロスを持つディープ産駒の例としては、ディープブリランテ(バステッド4×5)やワールドインパクト(バステッド4×6)などがいます。
バステッドは、バークレアの父というだけでなく、その4分の3妹ハイトオブファッションの祖父でもあり、ディープ牝系との相性も抜群です。
つまり、ディクタスは、キューティゴールドにおいては異系の血として働きつつ、その母ドロニックは、ディープの側とクロスをなすという、ショウナンパンドラの配合における縁の下の力持ちのような役割を演じているわけです。
こうして見ていくと、キューティゴールドの配合は、なかなかよく出来ており、その父フレンチデピュティが、ディープ産駒のBMSとして成果を出していることも含めて考えれば、ディープ×キューティゴールドの配合は、成功しても全く不思議のない好配合と考えてよいと思います。

http://www.keibado.com/keibabook/141020/photo07.html

続いて、馬体のほうへ話を移しましょう。
体型的には、ディープ×フレンチデピュティの配合の牝馬によく見られるもので、ウリウリなどとも共通点のある馬体でしょう。胸が深くて、牝馬としてはガッチリしているものの、ディープ的なスマートさも兼ね備えていると思います。

ウリウリ(秋華賞)
http://www.keibado.com/keibabook/131015/photo06.html

おそらく、次走はエリザベス女王杯ということになるでしょう。
今回は、なにもかもが上手くいったレースでしたが、毎回そういう展開になるわけではないのも当然です。
現時点では、古馬の一線級やヌーヴォレコルトを相手にする場合、正直なところ、展開などの助けが必要だと思います。
しかしながら、晩成傾向のあるロイヤルサッシュ一族ですから、古馬になってからも更なる成長が期待できますし、一族のステイゴールドの戦績を見ても、敗戦を重ねながら強くなっていく血統ではないでしょうか。


紫菊賞短評

ティルナノーグが、紫菊賞を制してデビュー2連勝を飾ったので、振り返っておきましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=_Ak2y5nwAYo
http://db.netkeiba.com/race/201408040409/

新馬戦に続き、再びトーセンバジルとの対戦となりましたが、あちらが2ヶ月ぶりで馬体重も増減なしだったのに対して、ティルナノーグは4ヶ月ぶりでプラス16キロということで、1番人気は僅差ながらトーセンバジルとなりました。
レースは、まず予想外だったのが、ティルナノーグの最後方待機策で、まるで牧場の先輩キズナのようでしたが、新馬戦では好位で危なげなく進めていただけに、意表を突かれた感じです。
直線に向いて、トーセンバジルの岩田騎手のファインプレーと言ってよいと思いますが、ティルナノーグの進路を巧みに消す形で追い出したので、ティルナノーグは外に出さざるをえず、一瞬にして差をつけられてしまいました。しかし、体勢を立て直して追い出すと、しっかりトーセンバジルを捕えたのは、非凡な能力の現われと言えそうです。
岩田騎手の騎乗は完璧でしたし、ローテーション的にもトーセンバジルが有利でしたが、結果を見るかぎり、ティルナノーグの力は、かなり上だったと考えてよいでしょう。
ただし、馬体重に関しては、プラス16キロのわりに太め感はなく、ほとんど成長分だったと思います。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001156924/pedigree/

それでは、血統から見ていきましょう。
母バイコースタルは、米英仏で15戦2勝に終わりましたが、祖母オーシャンクイーンは、アメリカで芝のG3重賞に勝っています。
6代母モナーキーは、ラウンドテーブルの全妹にあたり、8代母フェオラは、ディープの6代母でもあります。
母系は、ディープでお馴じみ、英国の名門アロペ牝系。世界的にも、ナシュワン、ラウンドテーブル、オリオールなど、数多くの名馬を出しています。
BMSゴーンウエストは、ミスタープロスペクター産駒で、3代母ミクストマリッジは、名種牡馬シャーペンアップの父エタンの母でもあります。

新馬戦のさいにも触れたのですが、ティルナノーグの配合の最大の特徴は、父ディープ、母バイコースタル、BMSゴーンウエストの母系が、いずれも同じアロペ牝系だということです。
当ブログで継続して追いかけているテーマの1つですが、ディープは、自身の母系と同じ系統の馬と相性がよい傾向があります。オリオールとラウンドテーブルは、その代表的な存在ですが、ティルナノーグのように、父&母&BMSが、同一の母系で揃えられているとなると、その重みは尚更のことでしょう。
母系の研究は、父系にくらべて大幅に遅れていますが、母から娘にのみ遺伝する母性遺伝や、性染色体にともなう伴性遺伝などの存在から考えても、母系の重要性は明らかです。
最近、マリアンナ・ホーン氏のXファクター理論が注目されていますが、これはX染色体が心臓の大きさを決めるという仮説で、おそらく、ディープの母ウインドインハーヘアは、大きな心臓を伝えるダブルコピー牝馬だろうと推定されています(「サラBLOOD」第3号による)。ディープの母系には、ダブルコピー牝馬が多数いると考えられており、5代母ハイペリカムや6代母フェオラも、ダブルコピー牝馬と推定されています。
ややこしい理屈はさておき、当ブログでは、胸の深さに注目してきましたが、胸の深い馬は、心肺機能に優れていると考えられるでしょう。

ディープインパクト
https://livedoor.4.blogimg.jp/jrdbjp/imgs/2/e/2e0bbb10.gif

ディープの馬体画像を見ても、スマートな胴回りや小さめのトモにくらべて、不釣り合いなほど大きな胸をしているのは、誰の目にも明らかです。
ディープというと、飛ぶような走り方ばかりが注目されますが、それと同じくらい、大きな胸による卓越した心肺機能も重要であり、その心肺機能の高さがあればこそ、春の天皇賞や菊花賞などの3000m級のレースでも強さを発揮できるわけです。
そうした心肺機能を支える心臓の大きさが、X染色体によって決まるのだとすれば、やはり母系というのは重要な要素なのだと考えざるをえません。
これで、ティルナノーグが牝馬なら、Xファクター理論を考える上での恰好の素材なのですが、もちろん、母系の重要性は、Xファクター理論だけによるものではありませんし、父&母&BMSを同一牝系で揃えた試みは、注目に値するものでしょう。

これも新馬戦のときに触れましたが、ティルナノーグとショウナンアデラの配合は、きわめてよく似ています(32分の27同血)。そのショウナンアデラが未勝利戦を素晴らしい内容で勝ち上がり、その翌週には、ティルナノーグが紫菊賞を快勝したわけで、やはり、両馬の配合の共通性には、何らかの優れた点があるのは確実でしょう。

ショウナンアデラ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001157731/pedigree/

配合的な骨格としては、栗山氏の指摘される、ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャルのパターンに当てはまっています。
そのパターンに当てはまる中では、ティルナノーグと配合的に似ているのは、ディープブリランテでしょうか。ミスプロやヌレイエフ(ノーザンダンサー+スペシャル)だけでなく、リヴァーマンやバックパサーも共通しており、配合の枠組みに共通点が多いようです。

ディープブリランテ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001110554/pedigree/

これも、たびたび指摘していますが、トレヴ(凱旋門賞2連覇)、ヴァダウィナ(サンタラリ賞)、リーディングライト(英セントレジャー)などとの配合的な類似も見逃せません。

トレヴ
http://www.pedigreequery.com/treve3
ヴァダウィナ
http://www.pedigreequery.com/vadawina
リーディングライト
http://www.jbis.or.jp/horse/0001182091/pedigree/

リーディングライトは近親で、お互いの母馬どうしが4分の3同血ですから、似ていても当然ですが、トレヴの場合、ゴーンウエスト、ノーザンダンサー+スペシャル、リヴァーマン、レディビーグッド、ヘイルトゥリーズン、リファール、バックパサー、カミーニー≒サンルスー、フェオラ(ディープの6代母、モナーキーとオリオールの祖母)が共通ということで、トレヴの血統表のかなりの部分が、ティルナノーグとの共通馬によって占拠されているのが見てとれます。
ヴァダウィナとは、バークレア≒ハイトオブファッション、ゴーンウエスト、ヘイロー、リファールが共通ですが、これらの血は、ティルナノーグにとってもヴァダウィナにとっても、配合上の骨組みをなすものであり、両馬の配合的な類似性は明らかでしょう。
おぼろげではありますが、ティルナノーグを軸に、ショウナンアデラ、トレヴ、ヴァダウィナ、リーディングライト、ディープブリランテなどの配合的な共通点が浮かび上がってきており、そうした共通点の組合わせの中に、大物を生み出す何らかのパターンが潜んでいるのではないかと思います。

http://uma-jin.net/pc/images/pc_pog_column_100055.jpg

それでは、馬体のほうも見ておきましょう。
血統を見ていくさいに、ディープの画像をリンクしましたが、やはり、走るディープ産駒に共通しているのは、胸が深いということです。それは、とりもなおさず、ディープの心肺機能の高さを受け継いでいる(可能性が高い)ということにつながります。
ディープ自身もそうですが、胸が深くてトモが小さめの体型の馬は、慣れないうちはアンバランスのような気がするかもしれません。しかし、ディープ産駒については、それで構わないのです。
むしろ、POG的に危険なのは、胸の深さに欠けて、真横から見たときに長方形のように見える馬です。他の種牡馬の産駒であれば、別にどうということもないのですが、ディープ産駒の場合は、指名を避けたほうが無難でしょう。
ディープのこうした体型というのは、そもそも何に由来しているのでしょうか?
体型的には、ディープが、父サンデーにもBMSアルザオにも似ていないのは有名です(全兄ブラックタイドは、アルザオ似でしょう)。とすれば、ディープの体型は、母系から引き継いだ可能性が高いのですが、個人的には、

ハイぺリオン→ハイペリカム(ディープの5代母)→ディープインパクト

という流れではないかと思います。ハイぺリオンの持久力は、画像から推測するかぎり、深い胸に納められた大きな心臓によるものだろうと考えられます。Xファクター理論の検証は、アメリカやオーストラリアを中心に進められており、欧州の馬については研究があまり進んでいないようですが、ハイぺリオンの場合、画像をパッと見ただけでも、なんとなく「心臓が大きそうだな」という雰囲気を醸し出しているような気がします。
顔立ちや表情だけ見ると、ディープとハイペリカムが似ていて、ティルナノーグはハイぺリオン似ですね。

ハイぺリオン
http://futuresporthorses.co.uk/wp-content/files/Hyperion5.jpg
ハイペリカム
http://www.sporthorse-data.com/horse/507389/454/Horse_Hypericum-big.jpg
ディープインパクト
https://livedoor.4.blogimg.jp/jrdbjp/imgs/2/e/2e0bbb10.gif

サンデーサイレンス
http://www.pharlap.net/wp-content/uploads/2012/06/sundaysilence2.jpg
アルザオ
http://www.sporthorse-data.com/horse/10005420/236/Horse_Alzao-big.jpg
ブラックタイド
http://www.jbis.or.jp/horse/images/0000722797_1/

紫菊賞のレース直後、はやくも前田幸治オーナーから、次走は京都2歳Sという発表がありました。今年から重賞に昇格ということで、かなりメンバーも揃いそうです。東スポ杯2歳Sという選択肢もあったと思いますが、紫菊賞に続いての内回り2000mということは、ダービーだけでなく皐月賞をも狙っていこうという思惑があるのではないでしょうか。4世代で2勝しているダービーに対して、皐月賞には縁のないディープ産駒ですが、ティルナノーグの挑戦に期待しましょう。

追記
ブラックタイドの体型に、リファール~アルザオの影響が強いという判りやすい画像があったので、追加でリンクしておきます。是非くらべてみてください。

ブラックタイド
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/22/dfbbfd7bf5b288d7ff4f3fd9a8688620.jpg
リファール
https://www.bazakoni.pl/photos/00002055/0000027674_Lyphard.jpg

京都大賞典戦評

ラストインパクトが、京都大賞典を勝ちましたので、振り返っておきましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=ADf0v__1CgA
http://db.netkeiba.com/race/201408040311/

レースは、人気薄だったトゥザグローリーが引き離しての逃げとなったので、有力馬が後方で牽制しあう展開となり、2番手のタマモベストプレイと3番手のラストインパクトの2頭に向いた流れとなりましたが、直線もその2頭の叩き合いとなり、ラストインパクトが競り勝って、重賞2勝目をあげました。
トーセンラーは、勝負どころでインに包まれて動けず、馬群をさばいて追い込んできたときには、すでに勝負が終わっていた感のある3着。
まあ、トーセンラーは、いかにも次が本番というレース運びでしたし、今回は、ラストインパクトのみ取りあげることにしましょう。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001120507/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきます。
母スペリオルパールは、3冠馬ナリタブライアンの半妹で、祖母はパシフィックプリンセスです。
母系は、フェアタームズ牝系ですが、日本でのほうが有名な系統でしょう。
ディープ×パシフィックプリンセス一族の配合からは、すでにキズナが出ていますが、繁殖牝馬としてファレノプシスを出して、すでに成功を収めていたキズナの母キャットクイルと異なり、スペリオルパールのほうは、ラストインパクト以前にこれといった産駒を出していないので、ディープとの相性という側面が大きいようです。
以前にも触れたのですが、パシフィックプリンセス一族は、お相手の種牡馬を選り好みするようなところがあります。まず、ブライアンズタイムをパートナーとして黄金時代を築きましたが、ブライアンズタイムの失速とともに、パシフィックプリンセス一族の勢いもピタッと止まってしまい、あのサンデーでさえ大きな結果を残すことが出来ませんでした。
そこへ現われたのが、ディープというわけで、ディープとのコンビで一族の第2の黄金時代が到来する可能性が出てきました。
なぜ、ブライアンズタイムやディープは良くて、サンデーでは駄目なのでしょうか?
そのポイントは、パシフィックプリンセスの母フィジーの配合にあると考えられます。

ナリタブライアン
http://www.jbis.or.jp/horse/0000249114/pedigree/

ブライアンズタイムのBMSグロースタークの母フラワーボウルと、3代母フィジーの間に、組み合わせのクロス(ブードワードナテロ、ハイぺリオン、サンインローボンゴが共通)が生じているのが見てとれます。これも以前に触れましたが、望田潤氏によれば、ブライアンズタイムの配合の鍵は、フラワーボウルの血の活用にあります。ナリタブライアンは、見事にツボを押さえた好配合と言えるでしょう。
そして、ブライアンズタイム×パシフィックプリンセス一族の配合なら、必ずこの組み合わせのクロスが発生することがポイントです。

キズナ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001120570/pedigree/

それでは、ディープの場合は、どうなのでしょうか。やはり、ディープの祖母バークレアとフィジーの組み合わせのクロス(ドナテロ、ハイぺリオン+ローズレッド、サンインロー≒ボンゴが共通)が生じています。
つまり、ブライアンズタイム×パシフィックプリンセス一族と、ディープ×パシフィックプリンセス一族とでは、配合上のキーポイントが同じであると見なすことが出来るわけです。
繰り返しになりますが、ディープというパートナーが得られたことで、パシフィックプリンセス牝系の第2次黄金時代が到来する可能性は、かなり高いのではないでしょうか。

ディサイファ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000880824/pedigree/

その他では、ラストインパクトの配合は、ディサイファとかなりの共通性があるようです。
まず、両馬のBMSであるティンバーカントリーとドバイミレニアムは、叔父と甥の関係にあり、その父の配合も、ミスプロ×BMSバックパサーと同じパターンになっています。
図式化するなら、「ミスプロ×バックパサー×フォールアスペン」となります。

ティンバーカントリー
http://www.jbis.or.jp/horse/0000333901/pedigree/
ドバイミレニアム
http://www.jbis.or.jp/horse/0000372664/pedigree/

また、ディサイファの母ミズナには、フラワーボウルの血があるので、バークレアとの間に組み合わせのクロス(ブードワー≒ドナテロ、ハイぺリオン、サンインローが共通)が発生するのも、ラストインパクトと同様です。
ディサイファもラストインパクトも、成長がゆっくりなタイプで、ナスキロ的な切れ味よりも、ハイインロー的な地力で勝負するところも似ています。
ここ1~2年ではっきりしてきた点の1つに、ディープ産駒の成長力のエンジンは、やはりハイインローの血にあるということです。この血を大量に抱えていれば、例えば、トーセンラーのような、ディープ×BMSリシウスという一見すると早熟っぽく見える配合でも、古馬になって大きく成長していくことが可能になるわけですね。

http://www.keibado.com/keibabook/141014/photo03.html

続いて、馬体のほうも見ていくことにしましょう。
以前は、かなりゴツゴツした感じの体型でしたが、ここにきて、随分とすっきりしてきたように見受けられます。4歳秋を迎えたということで、そろそろ円熟期に入ってきたのかもしれませんね。

3歳(神戸新聞杯)
http://www.keibado.com/keibabook/130923/photo04.html

ディープインパクト
https://livedoor.4.blogimg.jp/jrdbjp/imgs/2/e/2e0bbb10.gif
サンデーサイレンス
http://www.pharlap.net/wp-content/uploads/2012/06/sundaysilence2.jpg
ティンバーカントリー
http://www.jbis.or.jp/horse/images/0000333901_1/

未勝利戦ピックアップ~ショウナンアデラ、ダノンプラチナ

今回は、ショウナンアデラとダノンプラチナの2頭が勝ち上がった未勝利戦を取りあげます。
まず、ショウナンアデラのほうから。

https://www.youtube.com/watch?v=N0dPQJnuqrg
http://db.netkeiba.com/race/201405040202/

ゴール手前100mくらいまで持ったままで、そこから軽く気合をつけただけで抜け出し、すぐに流してしまうという、まるで公開調教のような楽勝でした。
新馬戦は2着だったとはいえ、勝ったナヴィオンは、先々週にオープン特別を快勝しており、その馬にクビ差でしたから、未勝利戦では役者が違ったということでしょう。
内容的には非常に優秀で、初戦でナヴィオンと接戦を演じていることも考えあわせると、クラシック路線に乗ってきそうな印象を受けました。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001157731/pedigree/

それでは、血統から見ていきましょう。
母オールウェイズウィリングは、3戦しただけで引退しました(1勝)が、祖母オールウェイズロイヤルは、仏1000ギニー馬、3代母バルボネラは、ロベールパパン賞(仏G1・芝1100m)に勝っています。バルボネラは、繁殖牝馬としても優秀で、アナバー(欧州最優秀短距離馬)を出しました。
母系は、ボボリンク牝系ですが、勢いが出てきたのはバルボネラの3代母ベルガムあたりからでしょうか。日本ではあまり見かけない系統で、ワンカラットが目につく程度です。
BMSイルーシヴクオリティは、ゴーンウエスト産駒で、北米リーディングサイアーにも輝きました。代表産駒のスマーティジョーンズは、米2冠を制したものの、最後の1冠のベルモントSは2着で、惜しくも3冠の大魚を逸しました。イルーシヴクオリティ産駒の特徴としては、意外と産駒に芝馬も多いということでしょうか。アメリカの芝レースだけでなく、欧州やオーストラリアでも活躍馬が出ています。ゴーンウエストも、たまには芝でも活躍馬が出ますが、あくまで基本はダートなので、このあたりは父親との相違点ですね。

(1)トレヴとヴァダウィナ
ショウナンアデラの配合は、以前にも触れたのですが、ティルナノーグと非常によく似ています。

ティルナノーグ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001156924/pedigree/

血量的には、32分の27同血ですね(4分の3<32分の27<8分の7)。
ショウナンアデラ&ティルナノーグは、凱旋門賞2連覇のトレヴとも共通点が多いです。

トレヴ
http://www.pedigreequery.com/treve3

トレヴと2頭の共通点としては、ゴーンウエスト、ノーザンダンサー+スペシャル、リヴァーマン、レディビーグッド、ヘイルトゥリーズン、ラトロワンヌ、カミーニー≒サンルスー、フェオラ(ディープの6代母、モナーキーとオリオールの祖母)などがあげられますが、トレヴの血統表を2頭との共通馬で塗りつぶしていくと、全体の8割くらいになってしまうほどです。
別の例としては、サンタラリ賞(仏G1・芝2000m)に勝ったヴァダウィナのケースも注目されます。

ヴァダウィナ
http://www.pedigreequery.com/vadawina

父アンフウェインは、その母ハイトオブファッションが、ディープの祖母バークレアと4分の3同血です。
BMSザフォニックは、ゴーンウエスト産駒。
祖母ヴァドラミクサは、リファール系×ヘイローの配合。
配合的には、ハイトオブファッションアルサイドの組み合わせのクロス(ドナテロ、ハイぺリオン+ローズレッド、サンインロー+アロペが共通)があります。
やはり、ショウナンアデラやティルナノーグとの共通性が見てとれるでしょう。
ティルナノーグの時にも触れましたが、配合上の共通性は明らかではあるものの、それが何を意味するかとなると、必ずしもはっきりしないところがあります。
しかし、ディープとゴーンウエストの母系が同じであるだけでなく、他にも同じ母系に属する馬が見受けられるので、牝系の活力を上手く活用した配合と考えられそうです。具体的には、オリオール(トレヴとショウナンアデラに有り)、エタン(トレヴ)、バイコースタル(ティルナノーグ)が、ディープ&ゴーンウエストと同じ牝系です(ヴァダウィナの場合は、ハイトオブファッションとアルサイドが該当しますが、ハイトオブファッションは単に同じ母系というだけでなく、フェオラ(ディープの6代母)5×4です)。

(2)硬さと柔らかさのバランス
ティルナノーグやトレヴから離れて、ショウナンアデラ単独で考えると、まず目に付くのは、バークレアとオリオールの組み合わせのクロス(ドナテロ、ハイぺリオン、サンインロー+アロペが共通)と、ヘイロー≒サーアイヴァー3×5・5サーゲイロード≒セクレタリアト6×5・6・6あたりでしょうか。
バークレアとオリオールの組み合わせのクロスは、成長力、持久力、大レースでの底力などに寄与してくれそうです。
ヘイロー≒サーアイヴァーやサーゲイロード≒セクレタリアトの相似クロスは、ナスキロ的な外回り向きの切れを増幅しますが、体質が柔らかくなって完成が遅れる危険性もあります。
そこで、バランスをとるような硬い血を探してみると、母オールウェイズウィリングには、ノーザンダンサー4×4やウォーアドミラルとエイトサーティの組み合わせのクロスがあり、祖母オールウェイズロイヤルには、ラトロワンヌの血が2本あります。それでも、やや柔らかさ寄りですが、クラシックに間に合わないというほどではないでしょう。

(3)まとめ
ショウナンアデラの配合は、バークレアとオリオールの組み合わせのクロスと、ヘイロー≒サーアイヴァー3×5・5で、ディープの配合の核の部分を継続しています。母オールウェイズウィリングは、ナスキロラトロとハイインローのバランスがよく、欧州血脈も米国血脈もあり、いかにもディープ向きの繁殖牝馬です。
(1)と(2)で触れた以外では、オールウェイズウィリングにある、セクレタリアト≒ボールドラッド4×5の4分の3同血クロスや、フラワーボウルとスペシャルの組み合わせのクロスは、いずれも効果があるでしょう。
また、一見すると外回り向きに偏った配合のように思えますが、ショウナンアデラには、アテニア≒メノウ7×8・7や、ボールドルーラーとヘイルトゥリーズンが2本ずつあるなど、内回り向きの要素も無いわけでもないので、まったくの外回り専用ということにはならないと思います。
こうして見ていくと、あからさまに不足している要素はなく、デイープの配合のポイントをしっかり継続し、なかなか良く出来た配合と言ってよいでしょう。

新馬戦のパドック動画
https://www.youtube.com/watch?v=cePK3ia1EI8

続いて、馬体のほうも見ていきたいのですが、残念ながら、ネット上には適切な画像がありません。リンクした動画は、デビュー戦のパドックのものですが、画質はよくないです。
ほとんどのPOG本には、この馬の画像が載っているので、お持ちのかたは参照してほしいのですが、馬格にも恵まれ、胴伸びもあり、筋肉もしっかりしていて、非常に大物感があります。
ティルナノーグは、ディープ似の馬体でしたが、ショウナンアデラのほうは、セクレタリアトあたりの影響が感じられますね。
今年のディープの2歳産駒の馬体評価リストでは、牝馬の4位に取りあげました。

では、ダノンプラチナのほうへ話を移しましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=M4AQssJMpMs
http://db.netkeiba.com/race/201405040302/

道中は好位を進み、直線半ばまで持ったままできたところは、ショウナンアデラと同じような感じ(鞍上も同じ蛯名騎手)でしたが、今回は残り300mからしっかり追い出し、後続を4馬身突き放しての快勝でした。
新馬戦は、太め残りで力を充分には発揮できず2着に敗れましたが、今回は、マイナス12キロときっちり絞ってきて勝ち上がりました。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001157776/pedigree/

まず、血統のほうから見ていきましょう。
母バディーラは、未出走でしたが、祖母マジカルアルーアは、米国でダートのG1(ラブレアS、3歳牝馬限定)に勝っています。
母系は、ザスキマー牝系ですが、ナリタトップロード、マツリダゴッホ、ダッシャーゴーゴー、ダノンヨーヨーなどが出て、むしろ日本で有名な系統です。ダノンプラチナは、ナリタトップロード、マツリダゴッホ、ダノンヨーヨーの3頭とは近親といってよいでしょう。

(1)アンブライドルドとアンブライドルズソング
BMSアンブライドルズソングは、ミスプロ~ファピアノ~アンブライドルドの系統ですが、いまやミスプロの後継系統の中でも最も勢いのあるものの1つです。
アンブライドルズソングの祖父ファピアノの配合上のポイントは、母馬がナスキロラトロの血を持つことと、BMSがヒムヤー系のドクターフェイガーだということの2点でしょう。
ドクターフェイガーは、父ラフンタンブル×母アスピディストラですが、その血を両方ともクロスさせたのが、アンブライドルドです。アンブライドルドは、ラフンタンブル4×5、アスピディストラ4×4ということで、ドクターフェイガーの要素を増幅した配合になっています。
一方、アンブライドルズソングは、母馬が典型的なナスキロ配合ということで、ファピアノのナスキロラトロを継続しています。
以前、この親仔孫3代の関係を図式化しましたが、再掲すると、

ファピアノ→ミスプロ+ドクターフェイガー+ナスキロラトロ

アンブライドルド→ドクターフェイガーの要素を増幅

アンブライドルズソング→ナスキロラトロの要素を増幅

という関係になっています。
興味深いのは、親仔といっても、がっちり型のアンブライドルドと、スマートなアンブライドルズソングとでは、体型が全く違うことです。アンブライドルドはレイズアネイティヴ似で、アンブライドルズソングはミスプロ似ですね。

アンブライドルド
http://www.sporthorse-data.com/horse/10005148/404/Horse_Unbridled-big.jpg
アンブライドルズソング
http://www.sporthorse-data.com/horse/10112872/446/Horse_Unbridleds_Song-_3big.jpg

レイズアネイティヴ
http://www.sporthorse-data.com/horse/100589/519/Horse_Raise_a_Native-_2big.jpg
ミスタープロスペクター
http://galeon.hispavista.com/harascapricornusstar/img/mr%20prospector.jpg

ディープは、アンブライドルドと相性がよく、2歳馬は除くと、ディープ×BMSアンブライドルドの配合の産駒は、これまでのところ4頭がデビューし、3頭が中央で勝ち上がり、ダノンバラードやダコールが活躍しています。
ディープ×BMSアンブライドルズソングは、まだ大物は出ていませんが、2歳馬は除くと、2頭デビューして2頭とも中央で勝ち上がっており、ダノンプラチナが3頭目になります。
ディープは、ナスキロラトロの血と相性がよく、また、望田潤氏が指摘される、サンデー×ミスプロ×ウォーアドミラル×ラトロワンヌのパターンにも当てはまっているので、アンブライドルド&アンブライドルズソング親仔とも相性がよいと考えてよさそうです。

(2)ひたすらナスキロラトロ
では、BMSアンブライドルズソング以外の部分は、どうなっているでしょうか。
母のBMSジェネラルミーティングは、ナスキロラトロ×レイズアネイティヴ系、祖母のBMSネヴァーベンドは、ナスルーラ×ラトロワンヌですから、基本的には、アンブライドルズソングの要素を増幅させています。
しかし、それ以外に目ぼしい特徴が無く、米国血脈一辺倒の配合と言えるでしょう。
常識的には、もっと欧州血脈のサポートがほしいと感じられる配合です。タイプとしては、ダコールが近いでしょうか。

ダコール
http://www.jbis.or.jp/horse/0001094302/pedigree/

ダコールの配合は、一見、ディープ×BMSアンブライドルドに思えるのですが、母馬はアンブライドルズソングの全妹なので、実質的には、ディープ×アンブライドルズソングと見なしうるのです。
やはり、米国血脈に偏った配合で、大事な場面で地力負けしてしまうようなところがあります。
ただ、こうした偏った配合は、たまに一点豪華主義的な大物が出ることもあります。例えば、サイレンススズカなどは、ひたすら米国血脈で固められていましたが、スピードの塊のような馬でした。
そうはいうものの、やはり確率的には、サイレンスズカよりダコールのようなタイプになる可能性が高いのは当然でしょう。

サイレンススズカ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000282236/pedigree/

さて、続いては馬体に移りたいところですが、ネット上にも各種POG本にも、ダノンプラチナの画像は掲載されていません。
残念ですが、馬体については、またの機会にということにさせてください。

凱旋門賞レース結果

ハープスターなど日本から3頭が挑戦した凱旋門賞でしたが、結果はトレヴの2連覇となり、今年も悲願達成はなりませんでした。

https://www.youtube.com/watch?v=VHjjdUV6Ajo
http://www.jra.go.jp/news/201410/100604.html

ハープスターは6着、ジャスタウェイは8着、ゴールドシップは14着でした。
ハープスターは、もうすこし早めの仕掛けなら、掲示板はあったと思います。
こういう結果でしたので、今回は回顧は行わず、結果だけ掲載しておくことにします。
3頭とも、お疲れ様でした。

トレヴ
http://www.pedigreequery.com/treve3

参考動画・昨年の凱旋門賞
https://www.youtube.com/watch?v=JjBwncqAHdU

ディープ×モンズーンの可能性

今回は、ステラスターライトを取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=-_G_-CBnwKY
http://db.netkeiba.com/race/201404030505/

道中は、中団後方につけていましたが、ご覧のとおり、直線の行く先々で前が詰まる苦しい状況だったものの、最後に割って出る脚は速く、ゴール前では手綱を押さえる余裕も見せました。
しかし、これほど酷い展開をあっさり差し切ってしまうのですから、このメンバーでは力が2~3枚上だったと思います。
ディープ×ノーブルステラは、これで3頭目で、いずれも中央で勝ち上がっていますが、初勝利の内容は、ステラスターライトが最もよかったですね。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001156897/pedigree/

では、血統のほうから見ていきましょう。
母ノーブルステラは、ドイツ産馬で、北米の芝1800~2400mで重賞を4勝しました。
母系は、一見ドイツ牝系のようですが、6代母ノーブルがフランスからの輸入馬です。このノーブルが、まずまずの繁殖成績で系統を拡げましたが、もともとはそれほど繁栄しているとは言い難い系統でした。
BMSモンズーンは、3度の独リーディングサイアーに輝く、ドイツを代表する種牡馬です。父系は、現在はすっかり衰退してしまったブランドフォード系ですが、モンズーンが中興の祖になれるのか、期待のかかるところですね。

(1)ディープ×モンズーン
栗山求氏によると、ディープは、ドイツ血統と相性がよいそうです。
個人的には、とくにモンズーンとの配合に期待しています。その理由は、モンズーンの母のBMSオーティの配合にあります。

オーティ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000336195/pedigree/

なんといっても目につくのが、フェオラ(ディープの6代母)3×4のクロスでしょう。ディープは、自身の母系の血を引く馬と相性がよいということは、当ブログで継続している追いかけているテーマの1つですが、なかでも有力なのは、フェオラの血を引いているパターンです。そのフェオラの強いクロスを持つオーティには、注目せざるをえません。
そして、フェオラの孫であり、オーティの父でもあるオリオールですが、オリオールとディープの相性のよさは、広く知られたところでしょう。ディープの祖母バークレアとの間に、組み合わせのクロス(ドナテロ、ハイぺリオン、サンインロー~アロウ~フェオラが共通)が生じています。
モンズーンとディープの相性がよさそうだということは、別の角度からも推測できます。モンズーン産駒のG1勝ち馬には、BMSがナシュワンアンフウェインだという馬が3頭もいます。アンフウェインとナシュワンは兄弟で、その母ハイトオブファッションは、バークレアの4分の3妹にあたります。アンフウェインとナシュワンとは、父親の系統が異なりますが、それでもモンズーンとの間に活躍馬が出るということは、やはり、モンズーンとディープ牝系との相性のよさと考えざるをえないでしょう。

(2)祖母の父ダッシングブレイド
ダッシングブレイドは、ミルリーフ系の種牡馬で、ディープとミルリーフの相性のよさは、今さら言うまでもありません。
しかし、それよりも、モンズーン×ダッシングブレイドの相性のよさのほうが注目されます。この配合からは、スタセリタ(仏オークスなどG1を6勝)やソベラニア(独オークス2着)が出ており、もちろん重賞4勝のノーブルステラも含まれます。モンズーンは名種牡馬ですが、ダッシングブレイドは二線級の種牡馬だけに、やはり相性の問題だと思われます。
また、ダッシングブレイドのBMSの父の母ミクストマリッジは、モンパルナス(サンデーの母のBMS)、ハイペリカム(ディープの5代母)、オリオールと組み合わせのクロス(ハイペリオン、サンインロー+アロペが共通)をなしています。ややこしい話ですが、オリオールは、ハイペリカムの4分の3同血の甥でもあるのです。

(3)ドイツ三銃士
母ノーブルステラの繁殖牝馬としての優秀さを示す配合上のポイントとして、ネッカル5×5と、アルヒミスト6×6の2つのクロスの複合関係が指摘できます。
ネッカルは、独リーディングサイアーに5度も輝いた名種牡馬ですが、その配合上の核は、アディティ≒アルジャマン3×2の相似クロスにありました。
一方、アルヒミストは、2度の独リーディングに輝いている大種牡馬ですが、第二次大戦に巻き込まれて悲運の最期を遂げました。アディティの4分の3同血の弟であり、アルジャマンの4分の3同血の叔父でもあります。
つまり、ネッカルとアルヒミストが出会う時、アディティ≒アルジャマン≒アルヒミストの相似クロスが発生することになるわけです。

アルヒミスト
http://www.jbis.or.jp/horse/0000335128/pedigree/
アディティ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000336280/pedigree/
アルジャマン
http://www.jbis.or.jp/horse/0000335391/pedigree/

この3頭の相似クロスは、非常に威力を発揮し、ドイツで多くの活躍馬を生み出す原動力となったため、尾林奉之氏が「ドイツ三銃士」と仇名をつけて注意を喚起したりしました。
この三銃士クロスの威力は、現代においても有効です。キングジョージ6世&クイーンエリザベスSを5馬身差でレコード勝ちし、のちに社台SSへ種牡馬として輸入された、モンズーン産駒のノヴェリストには、リテラート4×4というクロスがあります。リテラートは、アルヒミスト≒アルジャマン≒アディティ2×4・5ですから、この三銃士クロスを、さらに丸ごとクロスしたのが、リテラート4×4ということになります。
同じような例は、ジャパンCを制したランドにも見られ、リテラート=リベルティ3×3という強烈な全兄妹クロスがあります。

ノヴェリスト
http://www.jbis.or.jp/horse/0001178418/pedigree/
ランド
http://www.jbis.or.jp/horse/0000237716/pedigree/

ただでさえ強力な三銃士クロスを、さらに丸ごとクロスした威力は素晴らしいものがありますが、ノーブルステラの父も母も、アルヒミストとネッカル(アディティ≒アルジャマン3×2)の血を持ち、父側にはリテラートの血もあるので、こちらの三銃士クロス×三銃士クロスも、なかなか威力がありそうです。
この強力な三銃士がらみのクロスがある以上、ノーブルステラは、純粋に繁殖牝馬として相当なポテンシャルを持っていると考えてよく、おそらく、どんな種牡馬がお相手でも活躍馬を出せる高い能力があると思われます。まだ重賞ウイナーは出ていませんが、いずれ大物が出ても不思議ではない繁殖牝馬でしょう。

(4)まとめ
(1)と(2)で検討したクロスは、ハイインロー+ディープ牝系のクロスと整理することができます。また、(2)で触れたダッシングブレイドの祖父ミルリーフは、ナスキロラトロ配合です。したがって、ノーブルステラは、ディープのお相手として成功しやすい、ハイインローとナスキロラトロを併せ持つ繁殖牝馬と言ってよいでしょう。
また、(3)で見てきたように、ノーブルステラは、そもそも繁殖牝馬としてのポテンシャルが非常に高いと考えられます。
ステラスターライトは、わかりやすく目につくようなポイントのある配合ではありませんが、牝系の血を上手く絡めた、ドイツ的な発想の配合と言うことができるでしょう。全姉や全兄は、いくらか伸び悩んでいる感じもありますが、いつ大物が出てもおかしくない配合だと思われます。

http://blogs.yahoo.co.jp/satorusasan/GALLERY/show_image_v2.html?id=http%3A%2F%2Fblogs.c.yimg.jp%2Fres%2Fblog-c9-87%2Fsatorusasan%2Ffolder%2F1859620%2F42%2F67879142%2Fimg_0%3F1409213937&i=1

引き続き、馬体のほうも見ていきましょう。
全姉や全兄にくらべて、こちらの妹の体型は、かなりディープの影響が強いと思われますが、皮膚の感じなどモンズーンゆずりの要素もあります。
今年のディープの2歳産駒の馬体評価リストでは、牝馬の7位にあげました。
全姉や全兄は、なんといってもモンズーンの要素が強すぎて、あまりディープらしさが感じられません。
ぜひ、画像を見くらべてください。

ノーブルコロネット(2歳)
http://blog-imgs-70.fc2.com/4/0/p/40polaris/s_coronet0829.jpg
ノーブルプラネット(2歳)
http://platini96.on.coocan.jp/img/Shadai/86002_00091008.jpg

ディープインパクト
https://livedoor.4.blogimg.jp/jrdbjp/imgs/2/e/2e0bbb10.gif
モンズーン
http://www.sporthorse-data.com/horse/10065040/253/Horse_Monsun-big.jpg

最後に、今後の展望について。
冒頭にも触れましたが、これだけ厳しい展開になりながら、最後は力の違いを見せつけた内容は、同じく新馬勝ちした全姉のデビュー戦と比較しても、数段上の内容だったと思います。
次走は、アルテミスSを使う可能性もあるようですが、そうなれば最初の試金石ということになるでしょう。
ともあれ、デビュー戦の内容は申し分なく、血統や馬体も含めて、クラシック路線に乗ってほしい馬だと思います。

例によって例のごとくなダイジェスト版。
血統……フェオラ7×8・9と、ノーブルステラのポテンシャルの高さに期待。
馬体……ディープの体型をベースに、モンズーンの影響も加味した好馬体。
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