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ディープインパクト産駒を研究してPOGでの勝利を目指すシロウト競馬ファンの奮闘記

2015年06月

今年のPOG1番人気馬が好発進

いよいよ2歳戦も開幕し、POGも新シーズンがスタートしました。
今シーズンのディープ産駒の新馬勝ち第1号は、POG人気ナンバーワンの、プロディガルサンでした。

https://www.youtube.com/watch?v=yuZkkqzF1z0
http://db.netkeiba.com/race/201505030505/

パドックを見るかぎり、まだゆるゆるの馬体でしたが、中団からしっかり伸びてデビュー戦を白星で飾っています。
国枝厩舎は、あまり新馬勝ちにこだわらないので、のちの活躍馬でもデビュー戦は取りこぼすケースも少なくない(アパパネなど)のですが、危なげのない勝利でしたね。
しいて不満をあげるとすれば、直線で追い出されてからも何か集中していない感じで、横を向きながら走っているあたりは、今後の改善点だと思います。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001175127/

それでは、血統のほうから見ていくことにしますが、新シーズンのスタートということで、2歳戦に関する投稿は、しばらくの間は基本的なことも復習しながら進めていきたいと思います。ちょっとくどいかなと思われたかたは、さらっと読み流してください。
母ラヴズオンリーミーは、未出走。産駒には、本馬の全兄のラングレー&リアルスティールなどがいます。
祖母モネヴァシアは、キングマンボの全妹ですが、競走馬としては未勝利に終わりました。産駒では、ランプルスティルツキンが、G1を2勝して欧州最優秀2歳牝馬に選ばれ、繁殖に上がっても、娘(モネヴァシアにとっては孫)のタペストリーがヨークシャーオークスに勝っています。
3代母ミエスクは、現役時代にはG1を10勝し、繁殖に上がってからも、キングマンボやイーストオブザムーンといった大物を出した名牝です。
母系は、アメリカの中堅どころの系統だった、ナウホワット牝系。ミエスクの登場以後は、中堅の域には収まらず、新たな名門としての地位を築きつつあります。日本では、これまではミエスクを経由しないラインから、トーヨーシアトルやローマンレジェンドなどのダートの活躍馬が出ていましたが、リアルスティールが、日本でのミエスク経由の重賞勝ち馬第1号となりました。

(1)ディープ×母父ストームキャット
ディープ×母父ストームキャットの配合は、ニックスと見なされていますが、ここでは基本に立ち返って、なぜ相性が良いのかということを、ざっとおさらいしておくことにしましょう。

ストームキャット
http://www.jbis.or.jp/horse/0000337102/pedigree/

ディープは、父系がロイヤルチャージャー系ということで、お相手の牝馬の父は、どうしてもノーザンダンサー系の種牡馬が多くなりがちです。ディープ産駒のブルードメアサイアーとして、もっとも多く重賞勝ち馬を出しているのは、やはりストームキャットの5頭で、それに続くのがフレンチデピュティの4頭、さらにカーリアンの3頭が続いています
ストームキャット、フレンチデピュティカーリアンの3頭に共通するのは、ノーザンダンサー×ナスキロの配合である点です。ナスキロというのは、ナスルーラプリンスキロのことで、20世紀のアメリカを代表するニックスでした。
ナスルーラの祖母マムタズマハルは、20世紀の競馬にスピード革命をもたらしましたが、そのスピードを最もよく受け継いだ種牡馬がナスルーラです。
プリンスキロは、19世紀最高の種牡馬であるセントサイモンの流れをくむプリンスローズ系の種牡馬で、正統派の欧州中~長距離血統です。
ナスキロ配合のポイントは、外回り向きのストライドの大きい末脚が武器であるということでしょう。ディープの豪快な末脚も、広い意味でのナスキロ的なものですが、ディープの場合、ナスルーラの血は無く、そのかわりに4分の3同血の甥ロイヤルチャージャーの血があるわけです。同じくカーリアンも、厳密にはナスキロではなく、ロイキロ(あまりポピュラーな言い方でがありませんが、ロイヤルチャージャー+プリンスキロ)です。
それでは、ディープ産駒の母馬として、なぜノーザンダンサー×ナスキロ配合の牝馬が実績をあげているのでしょうか。
ディープの配合の最大のポイントは、ヘイローサーアイヴァー2×4の相似クロスにあります。このナスキロ(厳密にはロイキロ)をベースにしたクロスは、体質的には、柔らかさとして表現されます。
血統と柔らかさの関係でいえば、押さえておくべきは、マムタズマハルです。この牝馬の影響力が強いと、体質的には、柔らかくなりやすいのです。とくに、孫ナスルーラ、曽孫ロイヤルチャージャー、ミスタープロスペクターの3頭は、マムタズマハルの柔らかい体質を受け継いでいるだけでなく、強く子孫に遺伝させるので、血統表にこの3頭の名前がたくさん含まれているなら、体質的には柔らかい馬なんだろうなという推測ができるわけです。
体質の柔らかさは、しなやかなスピードや切れといったメリットをもたらす一方で、馬体に芯が通って完成するまでに時間がかかるデメリットもあります。このデメリットは、時間制限のあるPOG(ダービールール)では、厄介な問題となってしまう場合もあるでしょう。
というわけで、完成が遅れるデメリットを回避するためには、硬めの血を入れてバランスを取るのが合理的です。
ディープ産駒の母馬として、スプリンター(ドナブリーニなど)やダート馬(クロウキャニオンなど)が実績をあげているという話を耳にしたことがあるかもしれませんが、いずれも、体質の柔らかいディープに対して、母馬に硬めの体質の馬をもってくることで、バランスをとっているという理屈になります。
しかし、ディープのお相手として、そうそうスプリンターやダート馬ばかりあてがうわけにもいきません。血統をベースとして、もうすこし普遍的で簡便な方法を考えるならば、ノーザンダンサー系の種牡馬の娘を配合相手にもってくるのが手っ取り早いでしょう。
なんといっても、世の中の繁殖牝馬の父馬の系統としては、ノーザンダンサー系が多いわけですが、ノーザンダンサーの血は、硬めの体質を伝えるので、ディープのお相手に起用しやすいということになります。
望田潤氏や黒山求氏は、単にノーザンダンサーの血を持つだけでなく、ノーザンダンサーのクロスを持つ牝馬のほうが、ディープの配合相手に適している(ドナブリーニ、プリンセスオリビアラヴアンドバブルズマジックストーム、クロウキャニオンなど)と指摘されています。ラヴズオンリーミーにも、ノーザンダンサー3×4のクロスがあります。
しかしながら、ディープ×母父ノーザンダンサー系の配合の産駒は、掃いて捨てるほどたくさんいるわけで、なにかプラスアルファがないと、そこから抜け出すことは出来ません。
そのプラスアルファが、ナスキロの血であるわけですが、うるさいことをいうなら、ノーザンダンサー系×ナスキロ配合の種牡馬も少なくないわけですから、さらなるセールスポイントが必要になってくるでしょう。
ストームキャット、フレンチデピュティ、カーリアンの3頭には、それぞれ独自のセールスポイントがあるのですが、ちょっと長くなってきたので、ここでは、ストームキャットについてだけ見ておくことにします。
ノーザンダンサー×ナスキロに加えての、ストームキャットの追加的なセールスポイントとは、母父がセクレタリアトだということでしょう。

セクレタリアト
http://www.jbis.or.jp/horse/0000333978/pedigree/
サーゲイロード
http://www.jbis.or.jp/horse/0000335850/pedigree/

先ほど、ディープの配合の核は、ヘイロー≒サーアイヴァー2×4の相似クロスにあると書きましたが、そのサーアイヴァーの父サーゲイロードは、セクレタリアトの半兄にあたります。
そして、単なる兄弟というだけではなく、セクレタリアトの父系は、ナスルーラ~ボールドルーラー系で、サーゲイロードの父系は、ロイヤルチャージャー系ということですから、配合的にも非常に近いということになります。
したがって、ディープ×母父ストームキャットの配合では、サーゲイロード≒セクレタリアト6×4の相似クロスが発生することになり、このクロスが、プラスアルファの役割を果たすわけです。
ヘイロー≒サーアイヴァーのクロスが、ディープの配合の核であるならば、サーアイヴァーの父サーゲイロードの血を補強することは、結果として、ヘイロー≒サーアイヴァーのクロスを増強することにつながると考えられるのです。

(2)ミエスクの配合

ミエスク
http://www.jbis.or.jp/horse/0000411358/pedigree/

ミエスクが20世紀有数の名牝であることは先ほど触れたとおりですが、その配合上の核は、どの辺にあるのでしょうか。

スペシャル
http://www.jbis.or.jp/horse/0000390581/pedigree/
フラワーボウル
http://www.jbis.or.jp/horse/0000387590/pedigree/

一番のポイントは、スペシャル(父ヌレイエフの母)とフラワーボウル(母父父グロースタークの母)の配合に共通点(ハイぺリオン、サンインロー、マムタズビガム≒マームードが共通)があり、組み合わせのクロス(弱い相似クロス)となっていることでしょう。
ハイぺリオンサンインローとは、ともにハンプトン系の種牡馬で、成長力、持久力、大レースでの底力などに寄与します。この2頭は相性も抜群で、望田潤氏は、ハイインローとセットで呼んでおられます(望田氏の造語で、ハイぺリオン+サンインローの略)。
スペシャルとフラワーボウルの組み合わせのクロスは、ミエスクを生み出しただけではなく、今日でも例えば、ガリレオとデインヒルのニックスの根拠の1つであるなど、影響力を発揮しつづけています。

フランケル(ガリレオ×デインヒルの代表例として)
http://www.jbis.or.jp/horse/0001161935/pedigree/

また、スペシャルとフラワーボウルは、ディープの側のハイインローの血とも密接な関係があります。
スペシャルの父フォルリは、サンデーの母母父モンパルナス、ディープの5代母ハイぺリカムと組み合わせのクロス(ハイぺリオン、サンインロー、アロペ(ディープの8代母)が共通)の関係になっています。
フラワーボウルのほうは、サンデーの3代母エーデルワイス(ハイぺリオン、サンインロー、シナ、スウィンフォード、ロックサンドが共通)と組み合わせのクロスとなっており、また、それとは別の形でディープの祖母バークレアとの間にも組み合わせのクロス(ブードワードナテロ、ハイぺリオン、サンインロー、レディジョセフィンが共通)が生じています。
スペシャルとフラワーボウルの組み合わせのクロスは、ミエスクの配合上の核であり、そのクロスがディープ側のハイインローの血とも影響しあうわけですから、かなりの効果が見込めるでしょう。具体的には、繰り返しになりますが、成長力、持久力、大一番での底力といった要素が強化されるわけです。

(3)まとめ
プロディガルサンの母ラヴズオンリーミーは、ディープの配合の核であるヘイロー≒サーアイヴァーのクロスを補強しつつ、ハイインローの要素もフォローし、適度に硬さも付与しており、欠点の少ない総合力の高い配合となっています。
また、栗山求氏が指摘される、ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャルという配合パターンにも当てはまっています。このパターンの成功例としては、ディープブリランテトーセンラー&スピルバーグ、ヴィルシーナショウナンアデラデニムアンドルビーなどがあげられるでしょう。
しいて不足気味の要素を探すとすれば、ラトロワンヌのようなパワー系の血がもっと多めにあれば、なお良さそうだというくらいでしょうか。
リアルスティールだけでなく、ラングレーのほうもそこそこ活躍しており、アヴェレージも飛距離も同時に狙える好配合だと思います。

http://sportiva.shueisha.co.jp/clm/keiba_fight/prody%20garzan.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていきましょう。
適度に胴伸びもあり、以前にも触れましたが、3歳になってからのリアルスティールに似ています。
欠点らしい欠点もなく、しいて言うなら、もう少し荒削りな要素があってもいいかなといった程度ですが、重箱の隅をつつくような話にすぎないでしょう。
この前に投稿した、新年度のディープの2歳産駒の馬体評価リストでは、牡馬の3位に取りあげました。

リアルスティール(2歳)
http://uma-jin.net/pc/horse_img/2012104889.jpg
リアルスティール(3歳)
http://www.keibado.com/keibabook/150601/photo04.html
ラングレー(2歳)
http://www.jbis.or.jp/horse/images/0001142765_3/

最後に、今後の展望について。
デビュー戦は仕上げも緩かったですし、相手もさほどではなく、ちょっとこれだけでは何とも言いにくいところではあります。
しかし、素質のあるところは見せてくれたと思いますし、全兄たちの実績や見栄えのする馬体からしても、将来有望であることは間違いありません。
昨年のPOG1番人気のポルトドートウィユは、いきなり新馬戦で取りこぼすという波乱の展開でしたが、それを思えば無難に好スタートを切ったという評価でよいでしょう。
今後の予定ですが、夏場は在厩で調整され、東京スポーツ杯2歳Sあたりから再始動とのこと。正直、在厩調整には多少の不安があるのですが(国枝厩舎がどうこうではなく、ディープ産駒のメンタリティ的な問題)、ひと夏を越してどれだけパワーアップしてくるのか、復帰戦が本当の意味での試金石となりそうです。

カーネーションC短評

ダービーが終わり、新馬戦もスタートということで、POGも新シーズンに入いりました。当ブログも2歳戦中心の更新へと移行していくことになりますが、ドラフトの準備&後始末のため、更新が大幅に遅れています。多少、簡略になったりすることもあるかと思いますが、遅れを取り戻すよう更新していきたいと思います。
というわけで、レトロクラシックが2勝目をあげたカーネーションCを取りあげましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=PwqllKECyeo
http://db.netkeiba.com/race/201505020909/

番手につけた積極策が功を奏したのは確かですが、3着ロッカフラベイビーや4着エバーシャルマンは重賞でもそこそこ走っており、これらを退けての勝利には価値があると思います。
レトロクラシックは、デビュー戦で16着と大敗したときには、どうなることかと思いましたが、ここでノーザンF天栄に放牧したのは、国枝師のファインプレーでした。というのも、レトロクラシックはノーザンFの生産馬ではなく、所属クラブも非社台系であるにもかかわらず、国枝師のコネで天栄に押し込んでもらったことで、立て直しというか、育成をやり直すことが出来ました。そのことが、今日の勝利につながっているといっても過言ではないでしょう。
今後は放牧に出し、秋は紫苑Sから始動の予定だそうです。ディープ産駒らしくない先行押し切り型なので、秋華賞の内回り2000mは、条件的にはピッタリでしょう。あとは、ひと夏を越して、どこまで成長するかにかかってきそうですね。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001151934/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母ウェルシュステラは、36戦3勝。産駒では、ステラリードが、函館2歳Sに勝っています。
祖母カタリストは、愛5戦1勝。全同血の半弟セカンドエンパイアは、G1に勝ちました。
3代母ウェルシュラヴは、愛11戦3勝。産駒から重賞勝ち馬が2頭出ており、上述のように、セカンドエンパイアはG1ウイナー。
4代母ウェルシュフレイムは、英10戦4勝。産駒では、フレイムオブタラが重賞勝ち。孫の代では、サルサビル、マルジュ、ノーザンスパーの3頭のG1馬が出ています。
母系は、ディープインパクトと同系の、アロペ牝系。海外でも、ラウンドテーブル、オリオール、ナシュワン、ゴーンウエスト、プルピットなど、多くの名馬を送り出してきた名門です。

(1)ショウナンアデラ&ティルナノーグとの配合的な類似性
レトロクラシックの血統表を見ていると、どうしてもショウナンアデラやティルナノーグの配合を思い出さざるをえません。

ショウナンアデラ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001157731/pedigree/
ティルナノーグ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001156924/pedigree/

共通点としては、ゴーンウエスト、ノーザンダンサー+スペシャル、ボールドリーズン≒ネヴァーベンドがあげられます。
ショウナンアデラのほうとだけ共通している点としては、エレクトリックフラッシュ≒オリオール、ティルナノーグのみとの共通点は、ザミンストレル≒ニジンスキー、母系がアロペ牝系です。
ディープ×母父ゴーンウエスト系の配合は、今年の3歳世代以前は、さほど活躍馬が出ていなかったのですが、ショウナンアデラがG1に勝ち、ティルナノーグとレトロクラシックも2勝をあげるなど、明らかにそれ以前とはレベルの違う馬が出ました。そして、その3頭の配合に共通点が多い(とくに、ショウナンアデラとティルナノーグは32分の27同血)ということは示唆的です。
とりあえず、ディープ×ゴーンウエスト系の配合では、母馬にヌレイエフかサドラーズウェルズがあるかどうかをチェックし、ディープ牝系関連の血があれば更に期待できると考えてよいでしょう。

(2)3代母ウェルシュラヴ
3歳春は2勝どまりだったレトロクラシックですが、今後も更なる成長が期待できます。とくに、3代母ウェルシュラヴの抱えている血は、成長力に富んでいると考えられます。

ウェルシュラヴ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000421473/pedigree/

まず、血統表を父父・父母・母父・母母の4つに分けてみると、その4頭のいずれもが、ドナテロ、ハイぺリオン、サンインローの血を持っているので、ディープの祖母バークレア4重の組み合わせのクロスが成立するという、ちょっと尋常ではない事態が生じています。
しかも、ウェルシュラヴは、バークレアと母系が同じですから、関係性の緊密さは凄まじいとさえ言えるかもしれません。
ここまでくると、考えようによっては、欧州的な重苦しさのほうを心配すべきかもしれませんが、ゴーンウエストが適度に軽い血なので、そこそこバランスがとれているのでしょう。
古馬になれば、より一層の成長が期待できると思います。

2歳2月
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/7b/b0bdc15f35dde1efc9e3c81f5e1662e0.jpg
2歳7月
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/b1/0a5a65cfd5976f20474d94baaa1d9cb6.jpg

引き続き、馬体のほうも見ておきましょう。
3歳になってからの画像はありませんが、2歳時の馬体を見ると、ディープ産駒らしく胸の深さが印象的です。
最近の画像がないので、はっきりしたことは言えませんが、それなりにディープの影響が表現された馬体だと思います。

エプソムC戦評(編集中)

エイシンヒカリが初重賞制覇した、エプソムCを振り返っておきましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=4jfWkzFBUhs
http://db.netkeiba.com/race/201505030411/

http://www.jbis.or.jp/horse/0001137511/pedigree/

http://www.keibado.com/keibabook/150615/photo08.html

(以下、記事を編集中です)

ディープインパクト2歳産駒の馬体評価・2015年版

ダービーも終わり、今週からPOGも新シーズンとなります。
今年の春のクラシックは、キングカメハメハ産駒が大暴れで、牡牝4冠のうち3つまでも制覇する活躍でした。
しかし、ディープ産駒も4冠で1勝2着3回の連対率100%ですから、存在感は見せたと言えるでしょう。POG期間内のG1ということでは、3勝2着3回3着2回ということで、やはりPOGに勝ち抜くためには、ディープ産駒で当たりを引くことが不可欠だと思います。
それでは、まず最初に昨年の馬体評価リストを振り返っておきましょう。

牡馬(2014)
(1)ラヴィダフェリース、(2)レゲンデ、(3)ティルナノーグ、(4)リアルスティール、(5)サトノシュプリーム、(6)モンドインテロ、(7)アヴニールマルシェ、(8)ポルトドートウィユ、(9)アンタラジー、(10)エイムハイorディープフォルツァ
牝馬(2014)
(1)タッチングスピーチ、(2)パラダイスリッジ、(3)マイスフォルテ、(4)ショウナンアデラ、(5)クルミナル、(6)デビュタント、(7)ステラスターライト、(8)サトノシャルマン、(9)コンテッサトゥーレ、(10)パピーラヴ

G1馬は、ショウナンアデラしか取りあげられませんでしたが、ダノンプラチナはPOG本などへの馬体画像の掲載が無かったため対象外、ミッキークイーンは番外編的に馬名をあげておきました。
それ以外では、クルミナルが桜花賞2着&オークス3着、リアルスティールが皐月賞2着&共同通信杯、コンテッサトゥーレが桜花賞3着、アヴニールマルシェがNHKマイル4着ということで、サトノラーゼンは馬体画像の掲載がありませんでしたから、シャイニングレイ以外の主要な活躍馬は、目配りすることが出来たのではないかと思います。
反省点としては2点あげたいのですが、1つは、シャイニングレイのOCD手術情報に踊らされて、ろくに検討すらしなかったこと、もう1つは、毎年のことなのですが、どうも牡馬の1位が不振であること。
シャイニングレイについては、以前のブログの投稿でもがっつり反省させていただきましたが、新シーズンの2歳馬にも同じような状況の馬がいるようなので、今度こそしっかりと検討して取捨を決めたいと思います。
牡馬1位不振問題のほうは、ずっと悩みの種なのですが、リストの顔的な存在ですから、なんとか打開できるよう善処してまいります。

毎年書いていることの繰り返しになりますが、当ブログのスタンスは、画像を種牡馬ごとに分別して見ることで、種牡馬ごとの活躍する2歳産駒のイメージを把握しよう、ということです。
我々はシロウトなのですから、細部にこだわってもプロのような見極めは不可能です。だからといって、画像なんて見ても役に立たないと諦めることはありません。種牡馬ごとに、こんな感じの2歳馬が将来活躍するんだというアバウトなイメージを持つだけでも、POGの指名馬選びの大きな武器になります。例えば、上記の昨年のリストでも、ポルトドートウィユとかアヴニールマルシェなどは、いちいち検討しなくても誰でも指名できるような人気馬でしたが、ショウナンアデラやクルミナルをプッシュしているメディアや専門家は、ほとんど存在しないに等しい状況でした。シロウトのほんの少しの努力でも、ショウナンアデラやクルミナルをピックアップすることは可能なのです。
そのためには、シーズンが終了して古くなったPOG本を捨ててはいけません。古いPOG本は、すでに結果が判っているのですから、この種牡馬はこういう体型の仔が走るのかと定期的に確認してください。古POG本は、あなたの貴重な財産です。けして安易に捨ててしまいませんように。

それでは、今年度版の馬体評価リストのほうに話を移しましょう。

牡馬(2015)
(1)リライアブルエース(ゴールデンドックエー13)、(2)ケイブルグラム(ジンジャーパンチ13)、(3)プロディガルサン(ラヴズオンリーミー13)、(4)ムーンレディ13、(5)ポルトフォイユ(ポルトフィーノ13)、(6)フォイヤーヴェルク(ナイトマジック13)、(7)アゼリ13、(8)レヴィンインパクト(ニキーヤ13)、(9)レーヴァテイン(レーヴドスカー13)、(10)ロードプラチナム(インディアナギャル13)

牝馬(2015)
(1)ラルク(ライラックスアンドレース13)、(2)パーシーズベスト(パーシステントリー13)、(3)リボンフラワー(バディーラ13)、(4)キャタリナ13、(5)アッパレドンキ(トレノトマト13)、(6)ミニョンレーヌ(ルンバブギー13)、(7)フォルテミニョン(ディラローシェ13)、(8)レッドアヴァンセ(エリモピクシー13)、(9)レッドアルカナ(シークレットジプシー13)、(10)ニシノハナムスメ(ニシノフジムスメ13)orパローマ(ソルティビッド13)orリーチザハイツ(ドバウィハイツ13)

まず、全体的な話ですが、今年のディープ産駒の2歳馬の馬体について、牡馬は良血で値段の高そうな馬に好馬体の持ち主が多いという感じなのに対し、牝馬はなかなかバラエティに富んでいて穴馬の探しがいがありそうです。
馬体を見る楽しみの1つは、話題になりそうな良血馬以外の掘り出し物を見つけるところにありますが、その意味では、ちょっと牡馬のほうは面白みに欠けるかもしれません。
牝馬のほうは、あまりメディアに注目されていない馬たちの中にも好馬体の持ち主が潜んでいるようなので、POG人気の盲点を狙うなら、今年は牝馬のほうが面白そうです。

では、牡馬のほうから1頭ずつ短めの寸評を付けておきます。
今年の1位は、リライアブルエース、ケイブルグラム、プロディガルサンの3頭で悩みましたが、最終的にはリライアブルエースに決めました。京都新聞杯3着のアルバートドックの全弟ですが、体型は全く違います。お兄さんの2歳時の馬体は、ヌレイエフの影響が全面的に出ており、ディープの要素は殆んど見当たりませんでした。弟のほうは、しいて言うなら、同厩の先輩のリアルスティールの2歳時に似ており、いかにもディープ産駒らしい体型でしょう。今年は、この馬に牡馬1位問題の解消を託すことにします。
2位のケイブルグラムは、半姉ルージュバックの活躍で一躍注目されましたが、所属クラブの会員の間では1歳時から好馬体が評判になっていたようです。デビュー前のルージュバックは、それほど話題になっていたわけではなく、むしろ、ケイブルグラムの姉だから走るかもといった感じで注目されていた面もあったのではないでしょうか。ケイブルグラムの体型は、ディープ×デピュティミニスター系の配合の典型でしょう。昨年の2歳馬でいえば、アヴニールマルシェと同じようなタイプだと思います。
3位のプロディガルサンは、全兄リアルスティールの活躍や、早期デビュー(6月の東京開催)が確定的な状況もあって、ディープ2歳牡馬のPOG人気ナンバーワンに浮上してきました。馬体面では、お兄さんの2歳時に似ていないことが引っかかっていたのですが、よく考えてみれば何のことはないというか、今のリアルスティールに似ていることに気付きました。というわけで、引っかかりも無くなりましたし、3位ということにしましょう。
4位のムーンレディ13は、先月の千葉サラブレッドセールにて、1億9000万円という同セールの歴代最高価格で落札されました。実は、POG本などに載っている画像は、ごくごく普通の出来としか思えなかったので、このリストにも加えるつもりはなかったのですが、セールで披露された馬体は、まったく別馬じゃないかというくらい素晴らしいものでした。もちろん、千葉セールはトレーニングセールですから、ある程度は動ける馬体に仕上げてこなければなりませんが、それでもPOG本の画像の撮影時期とは、せいぜい1ヶ月半くらいの違いしかないわけです。ともあれ、この馬体であれば1億9000万円も納得ですし、今年の社台F産のディープ2歳産駒の中でも出色の出来だと思います。
5位のポルトフォイユは、ポルトドートウィユの全弟。お兄さんは昨年のPOGでは大人気でしたが、弟のほうもかなりの人気を集めることになるでしょう。兄弟の比較では、トニービンの影響が強くスマートで上品な馬体の兄に対して、弟のほうはクロフネの影響も感じられ、荒削りながら大物感のある馬体です。品評会に出せば、上品なお兄さんのほうが高い評価を受けるかもしれませんが、個人的には、2歳馬には荒削りなところもほしいと考えるので、弟のほうを高く評価しての5位としました。
6位のフォイヤーベルクは、POG本の関係者コメントが絶賛の嵐で、一躍POGの注目馬に急浮上してきました。個人的には、母馬のナイトマジックの輸入が決まった時から目をつけていて、今年の冬くらいまではさほど注目もされていなかったので、こっそり3~4巡目くらいで一本釣りしようと狙っていたのですが、すべて台無しになってしまいました。なお、POG本などに掲載された馬体重は、426キロということでしたので、個人的な430キロ未満の馬は指名しないという原則に反しているのですが、1歳のクラブ募集時の管囲の数値が、20.4cmという充分すぎるものだったので、原則を破ってリストにも加えました。管囲とは、前脚の膝と球節の中間の周囲のことで、成長しても数値の変動が小さめなので、将来どのくらいの馬体のサイズになるのかの予測にも便利です。1歳時ということであれば、牡馬なら19.5cm以上、牝馬でも19cm以上はほしいところでしょう。もちろん、個体差によるバラつきはありますが、20.4cmもあれば馬体が小さすぎて困るということは無さそうなので、リストに加えることにした次第です。
7位のアゼリ13は、馬体がどうこうというより、母アゼリがアメリカの年度代表馬だという話題性が先行してしまうのは、仕方のないことでしょう。とはいえ、なかなかどうしてと言うべきでしょうか、馬体のほうもリライアブルエースに似た好馬体だと思います。現状では、いくらかトモの筋肉の発達が遅れている感じはありますが、逆に考えれば、トモがパンとしてくれば相当の活躍が見込めるでしょう。話題先行じゃないのかと躊躇されているかたも少なくないのかもしれませんが、馬体面からは、さほど心配はいらないと思っています。
8位のレヴィンインパクトは、リグヴェーダの全弟ですが、体型的には全く違ったタイプのようです。お兄さんのほうは、胸が浅くて個人的には苦手な体型でした。弟のほうは、いくらかヌレイエフが強めに出ていますが、上記のアルバートドックのようなヌレイエフ丸出しというほどではなく、ディープの要素も感じられます。母のニキーヤが20歳の時の産駒という点は気になりますが、ディープ産駒にはキズナの先例もありますし、なにより、ここは馬体中心に考える場なので、8位と評価することにしました。
9位のレーヴァテインは、名牝レーヴドスカーの仔ですが、なぜかPOG的にはあまり盛り上がっていません。それには理由があって、昨年末に皮下石灰沈着の摘出手術をしたからです。シャイニングレイに触れたさいに「同じような状況の馬がいる」と書きましたが、この馬のことを指してのものでした。カルシウムの塊が沈着する症状(人間にも起こります)で、手術をすれば問題ないのですが、今年の2月の終わり頃にようやく騎乗調教を再開したということなので、育成の大幅な遅れはいかんともしがたい状況です。現状では、年末にデビューできれば御の字で、年明けデビューの可能性も覚悟しておく必要があるでしょう。馬体の画像を見ても、まだまだ筋肉が全然ついていない状態で、昨年の同じ時期のシャイニングレイより遅れている感じです。しかし、体型はディープ産駒らしさが窺えますし、あえて指名する価値はあると判断して、リストに加えることにしました。
10位は、昨年に続いて悩みに悩みました。昨年版の投稿同様、悩んだ馬の一覧を見ていただくことにしましょう。
サトノダイヤモンドは、複数のPOG本(王道&青本&丸ごと)で巻頭画像に掲載されました。胴伸びがあって、なによりトモの張りが素晴らしい。しかし、個人的には苦手な体型で、ディープ産駒というよりジャングルポケット産駒(トーセンジョーダンとかジャガーメイルなど)のように見えてしまいます。
サトノケンシロウは、ラキシス&サトノアラジンの全弟。雄大な馬格で大物感満点だった姉兄たちとは異なり、コンパクトにまとまった馬体です。確かに、姉兄たちは大柄な馬体に芯が通るのに手間どって、POG期間内に本格化が間に合わなかったのは事実です。だとしても、この血統の魅力は、大物感あふれる馬体にあるわけで、弟のようにコンパクトにまとまってしまうと、あまり魅力を感じないのも人情というものでしょう。
マグナムインパクトは、1歳時から定期的にチェックしていたのですが、なんと現時点で550キロという超特大サイズになってしまいました。いくらなんでも大きすぎますし、POG本の取材は3月末から4月初め頃でしょうから、デビューまでに更に大きくなる可能性もあるわけです。ちょっと二の足を踏んでしまいますよね。
エルプシャフトは、ジョワドヴィーヴル&トーセンレーヴの全弟。体型は、ジョワドヴィーヴルのほうに似ていますが、シルエットだけなら姉をも上回る素晴らしい出来だと思います。しかし、問題は、あまりにも馬格が無さすぎることです。POG本に掲載された馬体重は、427キロでしたから、これだけならフォイヤーヴェルクより1キロ上回っていますが、1歳のクラブ募集時の管囲の数値は、18.7cmしかありませんでした。さすがに、これでは不安のほうが大きいと思います。ただし、これからサイズアップして、430キロ台の体重を維持して走れるようなら、クラシック戦線でも活躍できるでしょう。ちなみに、牧場からトレセン入りしてデビューするまでには、20~25キロは体重が減ると言われています。エルプシャフトの場合、現状のままなら、400キロ台で走らざるをえません。したがって、430キロ台で走るためには、25~30キロのウエイトアップが必要になる計算です。
ロードプレミアムは、いくらか母父インティカブの要素が強めなものの、うまくディープの要素とミックスされていると思います。具体的には、スノーフェアリーの脚を長くしたような感じでしょうか。
ダノンシャルマンは、ダノンバラードの全弟。馬格にも恵まれていて、よほどこの馬を10位にしようかと思ったのですが、どのPOG本を見ても、馬体の斜め後ろから撮影したような変な画像ばかりで、どうしても踏ん切りがつきません。もう少しましな画像はないものかと探したのですが、現時点までに見つけることは出来ませんでした。2年前のラングレーの時にも同じような問題にぶつかり、その時はリストに取りあげるのを断念しました。
シルバーステートは、恵まれた馬格をしていますが、母父シルヴァーホークの影響が強すぎるように思います。
ディーマジェスティは、現時点での完成度は非常に高いのですが、そのぶん伸びしろという点ではどうでしょうか。
ヴァンキッシュランとラグルーラには、同じことが指摘できます。母父ガリレオの要素が前面に出すぎていて、あまりディープ産駒らしさが感じられないということです。いまや世界最高の種牡馬の地位を不動のものとしたガリレオに似ているのであれば、それはそれで結構なことなのかもしれませんが、日本の高速馬場への適性は判然としないところがあります。
キングオブアームズは、上品な馬体ですが、ディープ産駒というよりブラックタイド産駒といった感じです。こういう体型での成功例として、まずフィエロが思い浮かびますが、それ以外の活躍馬はちょっと思い付きません。
以上の中から、最終的には、ロードプレミアムを10位としました。完成度はまだまだですが、将来性に期待ということで。

続いて、牝馬のほうにも一言ずつ。
牝馬の1位は、ラルクにしました。非常に美しい好馬体で、体型的にはクルミナルの2歳時に似ています。昨年のセレクトセールでは、1億4500万円で落札(その年の牝馬の最高価格)されました。
2位に選んだパーシーズベストは、昨年のPOG最大の問題児であるトーセンゲイルの全妹。お兄さんは、セレクトセールで1億7000万円の高額で落札され、POG本でも巻頭に取り上げられたり表紙の毛に抜擢されたりしましたし、関係者コメントも絶賛につぐ絶賛でしたが、現在のところ未勝利にとどまっています。痛い目にあった人も少なくないと思いますし、その妹なんか真っ平御免だというかたもいるでしょう。しかし、当ブログにとっては、この兄妹ほど馬体の説明に打ってつけのケースはありません。

トーセンゲイル(2歳)
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/keiba/keiba/2014/assets_c/2014/10/torsen%20geil-thumb-500x415-83094.jpg
パーシーズベスト(2歳)
http://www.silkhorseclub.jp/detail_gallery/city/download/0240/d_02400028.jpg

当ブログでは、胸が浅いとか深いとかいう言い方をよくしていますが、この兄妹の画像を比較してみれば、その言わんとすることは一目瞭然でしょう。もちろん、胸が浅いのがトーセンゲイルで、胸の深いのはパーシーズベストです。
ディープ産駒の馬体を見るさい、いろいろチェックポイントはあろうかと思いますが、まずは胸の深さに注目してください。胸の深さは、心肺機能に直結します。ディープ自身も非常に胸の深い馬で、ここからは推測になりますが、ディープの胸の深さは、母ウインドインハーヘアがダブルコピー牝馬だと推定されている(「サラブラッド」第3号)ことに関係していると思います。
ダブルコピー牝馬というのは、マリアンナ・ホーン氏の提唱するXファクター理論に出てくる用語です。かいつまんで言えば、Xファクター理論とは、心臓の大きさを決める遺伝子が、性染色体のX染色体上にあるとする仮説で、大きな心臓を持つ遺伝子のあるX染色体を1本持つ牝馬をシングルコピー牝馬、2本持つ牝馬はダブルコピー牝馬と呼ばれます。2本のX染色体とも大きな心臓の遺伝子があるダブルコピー牝馬は、シングルコピー牝馬や、まったく持たない牝馬にくらべて、大きな心臓を持つ産駒を産む確率が高いのは、容易に予測できることでしょう。
母馬にダブルコピー牝馬を持つ種牡馬は、牝馬の大物産駒が出やすいとされています。母馬の2本のX染色体がともに大きな心臓の遺伝子を持つということは、その息子である種牡馬の持つX染色体は、必ず大きな心臓の遺伝子を持っています。そして、その種牡馬の産駒の性別が牝であれば、その仔の2本のX染色体のうちの父馬由来のほうには、確実に大きな心臓の遺伝子があるわけです。もし、その牝馬の母馬がダブルコピー牝馬ならば、娘もダブルコピー牝馬である確率は100%ですし、母馬が大きな心臓の遺伝子を持たないケースでも、娘はシングルコピー牝馬として50%の確率で大きな心臓を持つ可能性があるわけです。逆に、種牡馬の産駒が牡であれば、父馬からはY染色体のほうを受け継ぐので、すくなくとも父親から大きな心臓の遺伝子を受け継ぐことはありません。X染色体に関係する遺伝は、産駒の性別が遺伝の有無に影響するので、伴性遺伝と呼ばれます。伴性遺伝は、フィリーサイアーの理論的な根拠とされています(ただし、ディープについては、牡馬の産駒も活躍しているのだから、フィリーサイアーと呼ぶのは賛成できません)。
胸の深さが心臓の大きさと関係あるのだとすれば、見た目でも判別のつくケースも少なくないでしょう。有名な牝馬で、見た目からダブルコピー牝馬だろうと推測できるのは、エアグルーヴです。

エアグルーヴ(5歳・エリザベス女王杯)
http://www.keibado.com/keibabook/981116/images/pp05.jpg

この一族は、エアグルーヴに限らず、深い胸をしている馬が多いので、牝系の活力の要因がXファクター理論と関係ありそうだということは、個人的には、ほぼ確実だと思っています。
一言コメントといいながら長くなってしまいましたが、トーセンゲイルとパーシーズベストの胸の深さの違いは、誰の目にも明らかでしょう。むしろ、お兄さんのせいでPOG人気が無いのであれば、一本釣りしやすくて有難いくらいだと思います。
3位のリボンフラワーは、ダノンプラチナの全妹。面白いことに、昨年のディープ産駒の牡牝の2歳チャンピオンの弟と妹が、性別を入れ替えて今年の2歳世代に揃いました。ダノンプラチナの妹リボンフラワーと、ショウナンアデラの弟アフェクテューズです。世間的な注目度はアフェクテューズのほうが高いようですが、馬の出来はリボンフラワーのほうが上だと思います。生産者の千代田牧場は、今年からPOG取材が解禁ということで、昨年のこの時期のダノンプラチナの画像は無いのですが、朝日杯の画像で代用して妹と比較するなら、個人的には妹のほうが出来が良いと思います。
4位のキャタリナ13は、エイシンヒカリの全妹。栄進牧場は、先代のオーナーが亡くなったため、昨年はPOG取材を受けることを自粛しており、エイシンヒカリの2歳時の画像と比較はできませんが、ディープ×母父ストームキャットの配合によく見られる体型でしょう。遠縁のディープジュエリーの2歳時にも似ています。
5位のアッパレドンキは、あまり注目されていないようですが、いかにもディープ×母父デピュティミニスター系らしいパワフルな体型です。一発があっても不思議じゃないでしょう。
6位のミニョンレーヌは、1つ上の全姉が未勝利でくすぶっており、非社台系の中小クラブの所属ということもあって、アッパレドンキ以上に注目度は低そうです。しかし、これは掘り出し物でしょう。母系もディナーパートナー一族と筋が通っており、なにより伸びのある馬体が素晴らしい。桜花賞よりはオークス向きかもしれませんが、おそらく放っておけば何処からも指名の声はかからないでしょうから、下位で一本釣りが可能だと思います。
7位のフォルテミニョン(9月頃に追加した画像ですので、POGの時期よりは成長しています)は、先頃、未出走のまま引退が決まったマイスフォルテの全妹。姉は、あまりにも馬体が大きくなりすぎて、調教のピッチを上げるとすぐ脚元に異常が発生するような感じでしたが、馬体の出来は素晴らしく、昨年のこのリストでも牝馬の3位に取りあげました。妹は、現時点では姉に一歩譲る感じですが、基本的にはよく似ていますし、なにより姉よりも二回りほど小さいので安心です。姉の無念を晴らす活躍を期待しています。
8位のレッドアヴァンセは、お馴じみのエリモピクシーの産駒で、サトノルパン&レッドベルダの全妹です。姉は調教中の故障で亡くなりましたが、兄のほうは重賞制覇まであと一歩のところまできています。POG本などの画像を見ると、妹は現状ではかなりの腰高で、まだまだ成長の余地が大きそうです。エリモピクシーの仔が、このレベルの馬体ということであれば、間違いなく走ってくるでしょう。
9位のレッドアルカナは、POG本などに掲載された画像はそれほどでもないのですが、クラブのサイトにアップされている最新の画像では進境いちじるしく、リストに加えることにしました。
10位は、牡馬と同じく悩まされたのですが、どうしても甲乙つけがたく、牡馬のようにすっきりと決められず、申し訳ありませんが以下の3頭を10位タイとさせていただきます。
ニシノハナムスメは、当初は配合を面白がっていたのですが、POG本に掲載された画像を見ると、馬体のほうも垢抜けて品の良い体型をしていて感心させられました。
パローマは、アパパネの半妹。レッドアヴァンセ同様、こちらも現時点では、かなりの腰高なのですが、そのぶん伸びしろがあるとも言えるでしょう。母ソルティビッドは、なまじアパパネが大活躍したものだから、立てつづけにキングカメハメハが付けられましたが、個人的にはサンデー系向きの繁殖牝馬ではないかという気がしています。
リーチザハイツは、レッドアルカナと同じような状況で、POG本の画像は平凡なのですが、最新の画像では大きな成長が窺えます。もう少しウエイトアップしてくれれば、なお良いでしょう。
最後に、馬体が小さすぎてリストに加えるのは断念したものの、出来そのものは素晴らしい牝馬を補足としてあげておきます。あまりこの時期の馬体重を気にしないというかたは、突撃する価値は大いにあるでしょう。
シンハライトヴィブロスラベンダーヴァレイの3頭は、いずれも活躍馬の全妹(シンハライト→アダムスピーク、ヴィブロス→ヴィルシーナ、ラベンダーヴァレイ→カミノタサハラ)ですが、サイズの問題を除けば、シンハライトとラベンダーヴァレイは全兄より出来がよいと思います。ヴィブロスは、ヴィルシーナによく似ていますね。
なお、ミッキークイーンがオークスに優勝したので、その全妹ルールブリタニアにも触れておきますが、産地馬体検査の不確かな画像しかなく、馬体重情報も無いので、リストに加えるのは断念しましたが、体型的にはミッキークイーンの2歳時に似ているのではないかと思います(産地馬体検査の画像だけで判断するのは無理がありますが)。

参考・2011~2013年版

牡馬(2011)
(1)ダノンドリーム、(2)ディープブリランテ、(3)エックスマーク、(4)アーカイヴ、(5)トーセンホマレボシ、(6)モンテエクリプス、(7)ワールドエース、(8)ディサイファ、(9)アーデント、(10)ロードアクレイム
牝馬(2011)
(1)マトゥラー、(2)ジョワドヴィーヴル、(3)ジェンティルドンナ、(4)アンチュラス、(5)ヴィルシーナ、(6)エポキシ

牡馬(2012)
(1)カレンバッドボーイ、(2)キズナ、(3)アドマイヤキンカク、(4)トルストイ、(5)コメットシーカー、(6)ラウンドワールド、(7)ケイティープライド、(8)サトノノブレス、(9)ハッピーモーメント、(10)ジューヴルエールorサトノプレステージorラストインパクト
牝馬(2012)
(1)ラキシス、(2)ラストグルーヴ、(3)ファイアマーシャル、(4)ミライエ、(5)デニムアンドルビー、(6)バリローチェ、(7)レッドオーヴァル、(8)シュぺトレーゼ

牡馬(2013)
(1)ローハイド、(2)トーセンマタコイヤ、(3)キミノナハセンター、(4)トーセンスターダム、(5)サトノアラジン、(6)オリハルコン、(7)サトノルパン、(8)ベルキャニオン、(9)パリーアーク、(10)エーデルグランツorガリバルディ
牝馬(2013)
(1)レッドメイヴ、(2)ハープスター、(3)カノーロ、(4)エルノルテ、(5)キュリオスティー、(6)スナッチマインド、(7)サンドラバローズ、(8)サトノエカテリーナ、(9)クイーンズシアター、(10)ポーシアorディープラヴ

追記
見やすい画像が入手できた場合、画像の追加や差し替えは随時行なう予定です。
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