今回は、レプランシュの新馬戦を取りあげます。
https://www.youtube.com/watch?v=PVypTk26o4k
http://db.netkeiba.com/race/201504020505/
スタートがもう一つだったうえに、道中の行きっぷりもよくなく、スローペースにもかかわらず、いつの間にやら最後方まで下がる展開で、4角を回るときには早くもステッキが入いり、どうなることかと思われたのですが、そこから豪快に伸びてまとめて差し切ったのには驚かされました。上がり3F32秒4は、いくらスローとはいえ、素晴らしい数字です。
逃げたのは、同じくディープ産駒のサンセットトウホクで、こちらは持ったままの抜群の手応えで直線に向かい、上がり3Fも33秒5でまとめたにもかかわらず、ゴール前で捕まってしまいました。今回は、相手が悪かったとしか言いようがなく、次走は確勝だと思います。
レプランシュは、パドックでも太めが目につき、道中の行きっぷりの悪さも含めて、まだまだ仕上がり途上なのは明らかでしたが、それでも上がり32秒4の末脚ですから、ポテンシャルはかなりのものと考えてよいでしょう。
ただし、上がりのタイムについては、今開催の前に大規模な馬場改修が行われた影響は考慮に入れておくべきです。すでに、アストラエンブレムやイモータルなど、2歳戦でも32秒台の上がりが連発されているので、例年よりもやや割り引いて見ておく必要があるでしょう。しかし、少々の割り引きくらいでは、レプランシュの末脚の破壊力の価値は揺るがないだろうと思います。とくに、太め残りでもこれだけの脚が使えた点は評価されるべきでしょう。
http://www.jbis.or.jp/horse/0001174442/pedigree/
それでは、血統のほうから見ていきます。
母レディドーヴィルは、ファビラスラフインの半妹。英仏愛独25戦6勝で、G3重賞に勝っています。
祖母メルカルは、仏英28戦8勝で、仏G1・カドラン賞(芝4000m)に勝ちました。産駒では、やはりファビラスラフインの活躍が突出しています。
母系は、中堅どころの、バロネスラフレシュ牝系。サンデーサイレンスやインディアンリッジを輩出した牝系ですが、近年は、欧米よりもオセアニアのほうで栄えている感じです。日本では、ファビラスラフインとその周辺が実績を残しています。
(1)母父ファスリエフ
ディープ×母父ファスリエフの配合は、レプランシュが2頭目のデビューで、初の勝ち上がりとなります。他にマーシフルハートという3歳馬がいますが、現時点で未勝利とはいえ、380キロあるかないかの小柄な馬体ながら、新馬戦でも2着とそこそこ頑張っているので、じきに勝ち上がる可能性もあるでしょう。
ファスリエフは、ノーザンダンサー~ヌレイエフの系統で、G1を2勝したものの故障で無敗のまま引退しました。種牡馬としては期待されたほどには成功せず、のちに日本に売られましたが、日本の馬場に適性が無かったのか、輸入前とは比較にならないほど散々な成績に終わりました。
種牡馬実績は残念なものでしたが、個人的には、ディープ×母父ファスリエフの配合は、なかなか相性のよさそうな掛け合わせだと考えています。
というのも、ディープとの交配では、栗山求氏の指摘されているディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャルの配合パターンが、他の部分に関係なく自動的に成立するからです。
また、ファスリエフにはネヴァーベンドの血もありますが、ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャル×ネヴァーベンドということでは、ディープブリランテやショウナンアデラが該当します。
繰り返しになりますが、こうしたパターンが、母馬の他の要素とは無関係に、ファスリエフ単独で成り立つところがセールスポイントというわけです。
また、ファスリエフには、ドナテロ、ハイぺリオン、サンインロー、アロペ(ディープの8代母)の血があるので、ディープの母ウインドインハーヘアとは、組み合わせのクロスとまでは言えないかもしれませんが、相互に増幅しあう関係にあるとは考えてもよいでしょう。
以上のような特徴から、ファスリエフ自身は種牡馬としては二流で終わったものの、ディープ産駒の母父として成功する可能性は、それなりに高いのではないかと思います。
(2)まとめ
母父ファスリエフの配合が、ディープと好相性な要素でまとめられているのに対し、母母メルカルの配合は、ディープとの関連性という点では、あまりはっきりした特徴がありません。
しいて言えば、メルカルには、ウォーレリック≒エイトサーティ6・6×5があるので、柔らかいディープに硬さの補給が出来ることと、ワイルドリスクの血を持つので、レプランシュとして、ワイルドリスク7×7のクロスが生じることなどでしょうか。
しかし、メルカルの娘&レディドーヴィルの半姉であるファビラスラフインの血統表を見ると、ディープとメルカルとは別の意味で好相性ではないかということが浮かび上がってきます。
ファビラスラフイン
http://www.jbis.or.jp/horse/0000275639/pedigree/
ファビラスラフインの父ファビュラスダンサーと、ディープの母ウインドインハーヘアとは、もし交配された場合、組み合わせのクロス(ノーザンダンサー、ドナテロ、ハイぺリカム(ディープの5代母)が共通)が発生する関係にあります。(1)では、ファスリエフとウインドインハーヘアの関係性について触れましたが、それとは桁違いに強い関係となります。なぜなら、ファビュラスダンサーとウインドインハーヘアは母系が同じ(両馬の4代母はハイペリカム)だからです。
このことが意味することは、ウインドインハーヘアとメルカルの相性のよさは、すでにファビラスラフインによって実証済みだということです。
レプランシュの血統を考えると、残りはサンデーとファスリエフになりますが、ファスリエフとウインドインハーヘアの関係は(1)で触れたばかりですし、ファスリエフ×メルカルのレディドーヴィルは、重賞勝ち馬ですから、相性に問題ありません。
では、サンデーの血との相性はどうかということですが、上述のように、もともとレプランシュの母系は、サンデーを出した母系ですから、相性の悪かろうはずがありません。念のため、ファビュラスラフインの代表産駒である、ギュスターヴクライ(父ハーツクライ)の配合を検討しておきましょう。
ギュスターヴクライ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001088382/pedigree/
ギュスターヴクライには、ファスリエフと関連のある血はないのですが、リファールの血があるので、ギュスターヴクライ+ファスリエフ≒レプランシュと言えなくもない配合です。
ともかく、サンデー系とメルカル一族の相性のよさも、これで確認されたと考えてよいでしょう。
以上の検討から、ディープ×ファスリエフ×メルカルの配合は、なかなかの好相性であると言えそうです。(1)で見てきたとおり、ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャルの大枠がしっかりしていますし、全体的にも好配合と見なしてよいと思います。
https://livedoor.blogimg.jp/yubu0506/imgs/4/7/47ad3176.jpg
引き続き、馬体のほうも見ておきましょう。
画像を見るかぎり、ディープよりもファスリエフ寄りの体型だと思います。
特徴としては、ディープ産駒らしからぬパンとしたトモの張りが目につきます。
スピードタイプかもしれませんが、すくなくとも2000mくらいまでは問題なさそうです。それ以上の距離は、やってみないと分からないという感じでしょうか。
ファスリエフ
http://www.jbis.or.jp/horse/images/0000372610_1/
ディープインパクト
https://livedoor.4.blogimg.jp/jrdbjp/imgs/2/e/2e0bbb10.gif
最後に、今後の展望について。
最後方一気のゴボウ抜きは、非常に大物感を感じさせますが、その一方で道中の走りには課題が残りました。
まだまだ仕上がり途上で、最終的にどのように完成されるのか予測が難しいところです。
血統的なポテンシャルは充分なので、あとはもう少しスムースなレース運びが出来るかでしょう。
もちろん、条件戦でうろうろするようなレベルじゃないのは当然で、クラシックに出るだけなのか好勝負するのかというところが問われていくでしょう。
また、来春の進路をダービー路線とするのかNHKマイル路線とするのかも注目されます。
なお、レース後は、秋に備えて放牧となりました。
https://www.youtube.com/watch?v=PVypTk26o4k
http://db.netkeiba.com/race/201504020505/
スタートがもう一つだったうえに、道中の行きっぷりもよくなく、スローペースにもかかわらず、いつの間にやら最後方まで下がる展開で、4角を回るときには早くもステッキが入いり、どうなることかと思われたのですが、そこから豪快に伸びてまとめて差し切ったのには驚かされました。上がり3F32秒4は、いくらスローとはいえ、素晴らしい数字です。
逃げたのは、同じくディープ産駒のサンセットトウホクで、こちらは持ったままの抜群の手応えで直線に向かい、上がり3Fも33秒5でまとめたにもかかわらず、ゴール前で捕まってしまいました。今回は、相手が悪かったとしか言いようがなく、次走は確勝だと思います。
レプランシュは、パドックでも太めが目につき、道中の行きっぷりの悪さも含めて、まだまだ仕上がり途上なのは明らかでしたが、それでも上がり32秒4の末脚ですから、ポテンシャルはかなりのものと考えてよいでしょう。
ただし、上がりのタイムについては、今開催の前に大規模な馬場改修が行われた影響は考慮に入れておくべきです。すでに、アストラエンブレムやイモータルなど、2歳戦でも32秒台の上がりが連発されているので、例年よりもやや割り引いて見ておく必要があるでしょう。しかし、少々の割り引きくらいでは、レプランシュの末脚の破壊力の価値は揺るがないだろうと思います。とくに、太め残りでもこれだけの脚が使えた点は評価されるべきでしょう。
http://www.jbis.or.jp/horse/0001174442/pedigree/
それでは、血統のほうから見ていきます。
母レディドーヴィルは、ファビラスラフインの半妹。英仏愛独25戦6勝で、G3重賞に勝っています。
祖母メルカルは、仏英28戦8勝で、仏G1・カドラン賞(芝4000m)に勝ちました。産駒では、やはりファビラスラフインの活躍が突出しています。
母系は、中堅どころの、バロネスラフレシュ牝系。サンデーサイレンスやインディアンリッジを輩出した牝系ですが、近年は、欧米よりもオセアニアのほうで栄えている感じです。日本では、ファビラスラフインとその周辺が実績を残しています。
(1)母父ファスリエフ
ディープ×母父ファスリエフの配合は、レプランシュが2頭目のデビューで、初の勝ち上がりとなります。他にマーシフルハートという3歳馬がいますが、現時点で未勝利とはいえ、380キロあるかないかの小柄な馬体ながら、新馬戦でも2着とそこそこ頑張っているので、じきに勝ち上がる可能性もあるでしょう。
ファスリエフは、ノーザンダンサー~ヌレイエフの系統で、G1を2勝したものの故障で無敗のまま引退しました。種牡馬としては期待されたほどには成功せず、のちに日本に売られましたが、日本の馬場に適性が無かったのか、輸入前とは比較にならないほど散々な成績に終わりました。
種牡馬実績は残念なものでしたが、個人的には、ディープ×母父ファスリエフの配合は、なかなか相性のよさそうな掛け合わせだと考えています。
というのも、ディープとの交配では、栗山求氏の指摘されているディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャルの配合パターンが、他の部分に関係なく自動的に成立するからです。
また、ファスリエフにはネヴァーベンドの血もありますが、ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャル×ネヴァーベンドということでは、ディープブリランテやショウナンアデラが該当します。
繰り返しになりますが、こうしたパターンが、母馬の他の要素とは無関係に、ファスリエフ単独で成り立つところがセールスポイントというわけです。
また、ファスリエフには、ドナテロ、ハイぺリオン、サンインロー、アロペ(ディープの8代母)の血があるので、ディープの母ウインドインハーヘアとは、組み合わせのクロスとまでは言えないかもしれませんが、相互に増幅しあう関係にあるとは考えてもよいでしょう。
以上のような特徴から、ファスリエフ自身は種牡馬としては二流で終わったものの、ディープ産駒の母父として成功する可能性は、それなりに高いのではないかと思います。
(2)まとめ
母父ファスリエフの配合が、ディープと好相性な要素でまとめられているのに対し、母母メルカルの配合は、ディープとの関連性という点では、あまりはっきりした特徴がありません。
しいて言えば、メルカルには、ウォーレリック≒エイトサーティ6・6×5があるので、柔らかいディープに硬さの補給が出来ることと、ワイルドリスクの血を持つので、レプランシュとして、ワイルドリスク7×7のクロスが生じることなどでしょうか。
しかし、メルカルの娘&レディドーヴィルの半姉であるファビラスラフインの血統表を見ると、ディープとメルカルとは別の意味で好相性ではないかということが浮かび上がってきます。
ファビラスラフイン
http://www.jbis.or.jp/horse/0000275639/pedigree/
ファビラスラフインの父ファビュラスダンサーと、ディープの母ウインドインハーヘアとは、もし交配された場合、組み合わせのクロス(ノーザンダンサー、ドナテロ、ハイぺリカム(ディープの5代母)が共通)が発生する関係にあります。(1)では、ファスリエフとウインドインハーヘアの関係性について触れましたが、それとは桁違いに強い関係となります。なぜなら、ファビュラスダンサーとウインドインハーヘアは母系が同じ(両馬の4代母はハイペリカム)だからです。
このことが意味することは、ウインドインハーヘアとメルカルの相性のよさは、すでにファビラスラフインによって実証済みだということです。
レプランシュの血統を考えると、残りはサンデーとファスリエフになりますが、ファスリエフとウインドインハーヘアの関係は(1)で触れたばかりですし、ファスリエフ×メルカルのレディドーヴィルは、重賞勝ち馬ですから、相性に問題ありません。
では、サンデーの血との相性はどうかということですが、上述のように、もともとレプランシュの母系は、サンデーを出した母系ですから、相性の悪かろうはずがありません。念のため、ファビュラスラフインの代表産駒である、ギュスターヴクライ(父ハーツクライ)の配合を検討しておきましょう。
ギュスターヴクライ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001088382/pedigree/
ギュスターヴクライには、ファスリエフと関連のある血はないのですが、リファールの血があるので、ギュスターヴクライ+ファスリエフ≒レプランシュと言えなくもない配合です。
ともかく、サンデー系とメルカル一族の相性のよさも、これで確認されたと考えてよいでしょう。
以上の検討から、ディープ×ファスリエフ×メルカルの配合は、なかなかの好相性であると言えそうです。(1)で見てきたとおり、ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャルの大枠がしっかりしていますし、全体的にも好配合と見なしてよいと思います。
https://livedoor.blogimg.jp/yubu0506/imgs/4/7/47ad3176.jpg
引き続き、馬体のほうも見ておきましょう。
画像を見るかぎり、ディープよりもファスリエフ寄りの体型だと思います。
特徴としては、ディープ産駒らしからぬパンとしたトモの張りが目につきます。
スピードタイプかもしれませんが、すくなくとも2000mくらいまでは問題なさそうです。それ以上の距離は、やってみないと分からないという感じでしょうか。
ファスリエフ
http://www.jbis.or.jp/horse/images/0000372610_1/
ディープインパクト
https://livedoor.4.blogimg.jp/jrdbjp/imgs/2/e/2e0bbb10.gif
最後に、今後の展望について。
最後方一気のゴボウ抜きは、非常に大物感を感じさせますが、その一方で道中の走りには課題が残りました。
まだまだ仕上がり途上で、最終的にどのように完成されるのか予測が難しいところです。
血統的なポテンシャルは充分なので、あとはもう少しスムースなレース運びが出来るかでしょう。
もちろん、条件戦でうろうろするようなレベルじゃないのは当然で、クラシックに出るだけなのか好勝負するのかというところが問われていくでしょう。
また、来春の進路をダービー路線とするのかNHKマイル路線とするのかも注目されます。
なお、レース後は、秋に備えて放牧となりました。