多少前後するのですが、諸般の事情から、今回は、ハートレーの勝った新馬戦を取りあげます。
https://www.youtube.com/watch?v=YrQHEaCPosQ
http://db.netkeiba.com/race/201505050306/
後方のインコースでじっくり脚をためていましたが、直線は前があっさり開いたため、詰まることもなくすんなり抜け出して快勝でした。
気になった点としては、直線を向いても頭が高い走りで、ムーア騎手が強引に押しまくって、ゴール前でようやく頭が下がったという点ですが、それ以外は特に問題もなく勝ち上がったと言えるでしょう。まあ、あそこまでインががらっと開くことは珍しいかもしれませんが、それはハートレーの責任ではありませんからね。
なお、次走は、ホープフルSの予定だそうです。
http://www.jbis.or.jp/horse/0001175214/pedigree/
それでは、血統のほうから見ていくことにしましょう。
母ウィキッドリーパーフェクトは、米G1・アルシバイアディズS(ダート8.5F、2歳牝馬)の勝ち馬。
4代母ショウオフは、米国で2歳牝馬重賞を3勝。
母系は、名門フライバイナイト牝系。ノーザンダンサー、ヘイロー、デインヒルなど、数多くの名馬が出ています。日本では、意外に大物が少なく、ノボトゥルーやレッドリヴェールが目立つ程度。
(1)セクレタリアトを中心とした配合
母ウィキッドリーパーフェクトの配合を見ると、まず目につくのは、セクレタリアトのクロスでしょうか。半兄サーゲイロードの血もあるので、ウィキッドリーパーフェクトとしては、セクレタリアト≒サーゲイロード4・6×5・4の兄弟クロスとなります。ディープの側にもサーゲイロードの血があるので、ハートレーとしては、セクレタリアト≒サーゲイロード6×5・7・6・5のクロスということになります。
セクレタリアトは、典型的なナスキロ配合ですが、ウィキッドリーパーフェクトには、やたらにナスルーラ(≒ロイヤルチャージャー)の血が目立ちます。具体的には、ナスルーラが7本、ロイヤルチャージャーが3本です。そして、プリンスキロは5本あるので、ウィキッドリーパーフェクトの血統表は、ナスキロだらけであることが分かります。
コングラッツ(ウィキッドリーパーフェクトの父)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000851583/pedigree/
ストームキャット(ウィキッドリーパーフェクトの母父父)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000337102/pedigree/
コールドレセプション(ウィキッドリーパーフェクトの母母父)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000341695/pedigree/
また、ウィキッドリーパーフェクトには、ノーザンダンサーの血が2本ありますが、ノーザンダンサーと4分の3同血のコールドカンフォートという血もあり、それらの血が、いずれもセクレタリアトの血と結び付けられています。具体的には、コングラッツ(ウィキッドリーパーフェクトの父)、ストームキャット(ウィキッドリーパーフェクトの母父父)、コールドレセプション(ウィキッドリーパーフェクトの母母父)です。
つまり、ウィキッドリーパーフェクトは、ノーザンダンサー(≒コールドカンフォート)+セクレタリアトの配合の種牡馬が3代にわたって交配されたものと考えることもできるわけです。
(2)柔らかさと硬さのバランス
ノーザンダンサーの血もしっかり入っているとはいえ、これだけナスキロの血が多いと、どうしても柔らかすぎる心配が出てきます。
そこで、ノーザンダンサー以外の硬めの血を探すことになりますが、ここでは、ウィキッドリーパーフェクトの血統表を、父コングラッツと母ウィキッドリーワイズとに分けて考えてみると判りやすいでしょう。
コングラッツのほうには、ラトロワンヌの血が4本あり、それをベースに、ストライキング=ブッシャー≒ブサンダ≒サーチング6・6・5×5の4分の3同血クロス(ウォーアドミラル、ラトロワンヌが共通)が生じています。
したがって、コングラッツの配合は、ナスキロ主体というよりは、ナスキロラトロ中心の配合と考えたほうがよく、硬めの血もしっかり持っていると言えそうです。
ウィキッドリーワイズ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001142865/pedigree/
一方、ウィキッドリーワイズで目立つのは、エイトサーティ≒ウォーレリック≒グッドエグザンプル7・7×6の相似クロスでしょう。ストームキャットやデピュティ―ミニスターとの併用で威力を発揮するクロスです。ウィキッドリーワイズは、父タクティカルキャットが、ストームキャット産駒ですから、非常に有効でしょう。
以上のように、ウィキッドリーパーフェクト両親を個別に検討してみるなら、それなりに硬めの血もしっかりあり、トータルでは、それでもいくらか柔らかめだと思いますが、柔らかすぎて困るということはなさそうです。
(3)まとめ
母ウィキッド―リーパーフェクトの配合は、ノーザンダンサー+セクレタリアトを中心に、大量の米国血脈をプラスしたものです。
その母にディープということですから、外回り向きの末脚をベースに、米国血脈由来の馬力を付け加えたものと言えるでしょう。
そのぶん、欧州血脈は不足気味ですから、成長力という点では、ノーザンダンサーの血に頼らざるをえないと思われます。
とにかく、方向性のはっきりした配合と言ってよいでしょう。
http://uma-jin.net/pc/images/pc_pog_column_100323.jpg
パドック動画(0分50秒~)
https://www.youtube.com/watch?v=bOxiUu1Nzpo
引き続き、馬体のほうも見ておきます。
POG本などに掲載された画像は、胴長で線の細い馬という印象を受けますが、デビュー戦のパドック動画を見ると、がっしりとした堂々たる馬体に成長しており、サトノダイヤモンドあたりと同傾向のアメリカンな馬力型胴長体型だと思います。
米国ダート競馬向きの胴長体型は、主に3つのルーツがあります。具体的には、マンノウォー系、レイズアネイティヴ系、シアトルスルー系の3つで、ハートレーの場合は、母父コングラッツが、シアトルスルー系の種牡馬であることによるものでしょう。
同じ胴長でも、ステイヤー体型とは似て非なるものであることは、常に頭の片隅に置いておいたほうがよさそうです。
シアトルスルー
http://cs416225.vk.me/v416225045/3280/PidDuUAGOu0.jpg
エーピーインディ
http://www.thoroughbredvillage.com.au/wordpress/wp-content/uploads/2013/05/apindy.jpg
コングラッツ
http://www.winstarfarm.com/Domains/www.winstarfarm.com/CMSFiles/Photos/PhotoGalleries/131219-Congrats-TDN_resized2013-5-24-11-53-722.jpg
最後に今後の展望ついて。
上でも少し触れましたが、血統は典型的な外回り向きであるにもかかわらず、いくらか直線でも首の高い走りで、しっかり馬体が沈み込むまでには至っていない点は気になりましたが、それを除けば、申し分ないデビュー戦だったと思います。
次走は、ホープフルSということなので、最初の試金石になりそうです。中山2000mのコースは、典型的な内回りですから、血統表的にはあまり向いていない感じもしますが、デビュー戦の走りを見ると、上述のように、必ずしも純然たるストライド走法とまでは言えず、ピッチ走法的な要素もあるので、それなりに対応できるのではないでしょうか。
あとは相手関係ですが、こればかりは、やってみないと分かりません。なかなかの出走メンバーが揃ったので、ここでいい競馬をするようなら、クラシック路線に乗ってくるでしょう。
https://www.youtube.com/watch?v=YrQHEaCPosQ
http://db.netkeiba.com/race/201505050306/
後方のインコースでじっくり脚をためていましたが、直線は前があっさり開いたため、詰まることもなくすんなり抜け出して快勝でした。
気になった点としては、直線を向いても頭が高い走りで、ムーア騎手が強引に押しまくって、ゴール前でようやく頭が下がったという点ですが、それ以外は特に問題もなく勝ち上がったと言えるでしょう。まあ、あそこまでインががらっと開くことは珍しいかもしれませんが、それはハートレーの責任ではありませんからね。
なお、次走は、ホープフルSの予定だそうです。
http://www.jbis.or.jp/horse/0001175214/pedigree/
それでは、血統のほうから見ていくことにしましょう。
母ウィキッドリーパーフェクトは、米G1・アルシバイアディズS(ダート8.5F、2歳牝馬)の勝ち馬。
4代母ショウオフは、米国で2歳牝馬重賞を3勝。
母系は、名門フライバイナイト牝系。ノーザンダンサー、ヘイロー、デインヒルなど、数多くの名馬が出ています。日本では、意外に大物が少なく、ノボトゥルーやレッドリヴェールが目立つ程度。
(1)セクレタリアトを中心とした配合
母ウィキッドリーパーフェクトの配合を見ると、まず目につくのは、セクレタリアトのクロスでしょうか。半兄サーゲイロードの血もあるので、ウィキッドリーパーフェクトとしては、セクレタリアト≒サーゲイロード4・6×5・4の兄弟クロスとなります。ディープの側にもサーゲイロードの血があるので、ハートレーとしては、セクレタリアト≒サーゲイロード6×5・7・6・5のクロスということになります。
セクレタリアトは、典型的なナスキロ配合ですが、ウィキッドリーパーフェクトには、やたらにナスルーラ(≒ロイヤルチャージャー)の血が目立ちます。具体的には、ナスルーラが7本、ロイヤルチャージャーが3本です。そして、プリンスキロは5本あるので、ウィキッドリーパーフェクトの血統表は、ナスキロだらけであることが分かります。
コングラッツ(ウィキッドリーパーフェクトの父)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000851583/pedigree/
ストームキャット(ウィキッドリーパーフェクトの母父父)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000337102/pedigree/
コールドレセプション(ウィキッドリーパーフェクトの母母父)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000341695/pedigree/
また、ウィキッドリーパーフェクトには、ノーザンダンサーの血が2本ありますが、ノーザンダンサーと4分の3同血のコールドカンフォートという血もあり、それらの血が、いずれもセクレタリアトの血と結び付けられています。具体的には、コングラッツ(ウィキッドリーパーフェクトの父)、ストームキャット(ウィキッドリーパーフェクトの母父父)、コールドレセプション(ウィキッドリーパーフェクトの母母父)です。
つまり、ウィキッドリーパーフェクトは、ノーザンダンサー(≒コールドカンフォート)+セクレタリアトの配合の種牡馬が3代にわたって交配されたものと考えることもできるわけです。
(2)柔らかさと硬さのバランス
ノーザンダンサーの血もしっかり入っているとはいえ、これだけナスキロの血が多いと、どうしても柔らかすぎる心配が出てきます。
そこで、ノーザンダンサー以外の硬めの血を探すことになりますが、ここでは、ウィキッドリーパーフェクトの血統表を、父コングラッツと母ウィキッドリーワイズとに分けて考えてみると判りやすいでしょう。
コングラッツのほうには、ラトロワンヌの血が4本あり、それをベースに、ストライキング=ブッシャー≒ブサンダ≒サーチング6・6・5×5の4分の3同血クロス(ウォーアドミラル、ラトロワンヌが共通)が生じています。
したがって、コングラッツの配合は、ナスキロ主体というよりは、ナスキロラトロ中心の配合と考えたほうがよく、硬めの血もしっかり持っていると言えそうです。
ウィキッドリーワイズ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001142865/pedigree/
一方、ウィキッドリーワイズで目立つのは、エイトサーティ≒ウォーレリック≒グッドエグザンプル7・7×6の相似クロスでしょう。ストームキャットやデピュティ―ミニスターとの併用で威力を発揮するクロスです。ウィキッドリーワイズは、父タクティカルキャットが、ストームキャット産駒ですから、非常に有効でしょう。
以上のように、ウィキッドリーパーフェクト両親を個別に検討してみるなら、それなりに硬めの血もしっかりあり、トータルでは、それでもいくらか柔らかめだと思いますが、柔らかすぎて困るということはなさそうです。
(3)まとめ
母ウィキッド―リーパーフェクトの配合は、ノーザンダンサー+セクレタリアトを中心に、大量の米国血脈をプラスしたものです。
その母にディープということですから、外回り向きの末脚をベースに、米国血脈由来の馬力を付け加えたものと言えるでしょう。
そのぶん、欧州血脈は不足気味ですから、成長力という点では、ノーザンダンサーの血に頼らざるをえないと思われます。
とにかく、方向性のはっきりした配合と言ってよいでしょう。
http://uma-jin.net/pc/images/pc_pog_column_100323.jpg
パドック動画(0分50秒~)
https://www.youtube.com/watch?v=bOxiUu1Nzpo
引き続き、馬体のほうも見ておきます。
POG本などに掲載された画像は、胴長で線の細い馬という印象を受けますが、デビュー戦のパドック動画を見ると、がっしりとした堂々たる馬体に成長しており、サトノダイヤモンドあたりと同傾向のアメリカンな馬力型胴長体型だと思います。
米国ダート競馬向きの胴長体型は、主に3つのルーツがあります。具体的には、マンノウォー系、レイズアネイティヴ系、シアトルスルー系の3つで、ハートレーの場合は、母父コングラッツが、シアトルスルー系の種牡馬であることによるものでしょう。
同じ胴長でも、ステイヤー体型とは似て非なるものであることは、常に頭の片隅に置いておいたほうがよさそうです。
シアトルスルー
http://cs416225.vk.me/v416225045/3280/PidDuUAGOu0.jpg
エーピーインディ
http://www.thoroughbredvillage.com.au/wordpress/wp-content/uploads/2013/05/apindy.jpg
コングラッツ
http://www.winstarfarm.com/Domains/www.winstarfarm.com/CMSFiles/Photos/PhotoGalleries/131219-Congrats-TDN_resized2013-5-24-11-53-722.jpg
最後に今後の展望ついて。
上でも少し触れましたが、血統は典型的な外回り向きであるにもかかわらず、いくらか直線でも首の高い走りで、しっかり馬体が沈み込むまでには至っていない点は気になりましたが、それを除けば、申し分ないデビュー戦だったと思います。
次走は、ホープフルSということなので、最初の試金石になりそうです。中山2000mのコースは、典型的な内回りですから、血統表的にはあまり向いていない感じもしますが、デビュー戦の走りを見ると、上述のように、必ずしも純然たるストライド走法とまでは言えず、ピッチ走法的な要素もあるので、それなりに対応できるのではないでしょうか。
あとは相手関係ですが、こればかりは、やってみないと分かりません。なかなかの出走メンバーが揃ったので、ここでいい競馬をするようなら、クラシック路線に乗ってくるでしょう。