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ディープインパクト産駒を研究してPOGでの勝利を目指すシロウト競馬ファンの奮闘記

2015年12月

セクレタリアトの影響力

多少前後するのですが、諸般の事情から、今回は、ハートレーの勝った新馬戦を取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=YrQHEaCPosQ
http://db.netkeiba.com/race/201505050306/

後方のインコースでじっくり脚をためていましたが、直線は前があっさり開いたため、詰まることもなくすんなり抜け出して快勝でした。
気になった点としては、直線を向いても頭が高い走りで、ムーア騎手が強引に押しまくって、ゴール前でようやく頭が下がったという点ですが、それ以外は特に問題もなく勝ち上がったと言えるでしょう。まあ、あそこまでインががらっと開くことは珍しいかもしれませんが、それはハートレーの責任ではありませんからね。
なお、次走は、ホープフルSの予定だそうです。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001175214/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていくことにしましょう。
母ウィキッドリーパーフェクトは、米G1・アルシバイアディズS(ダート8.5F、2歳牝馬)の勝ち馬。
4代母ショウオフは、米国で2歳牝馬重賞を3勝。
母系は、名門フライバイナイト牝系。ノーザンダンサー、ヘイロー、デインヒルなど、数多くの名馬が出ています。日本では、意外に大物が少なく、ノボトゥルーやレッドリヴェールが目立つ程度。

(1)セクレタリアトを中心とした配合
母ウィキッドリーパーフェクトの配合を見ると、まず目につくのは、セクレタリアトのクロスでしょうか。半兄サーゲイロードの血もあるので、ウィキッドリーパーフェクトとしては、セクレタリアト≒サーゲイロード4・6×5・4の兄弟クロスとなります。ディープの側にもサーゲイロードの血があるので、ハートレーとしては、セクレタリアト≒サーゲイロード6×5・7・6・5のクロスということになります。
セクレタリアトは、典型的なナスキロ配合ですが、ウィキッドリーパーフェクトには、やたらにナスルーラ(≒ロイヤルチャージャー)の血が目立ちます。具体的には、ナスルーラが7本、ロイヤルチャージャーが3本です。そして、プリンスキロは5本あるので、ウィキッドリーパーフェクトの血統表は、ナスキロだらけであることが分かります。

コングラッツ(ウィキッドリーパーフェクトの父)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000851583/pedigree/
ストームキャット(ウィキッドリーパーフェクトの母父父)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000337102/pedigree/
コールドレセプション(ウィキッドリーパーフェクトの母母父)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000341695/pedigree/

また、ウィキッドリーパーフェクトには、ノーザンダンサーの血が2本ありますが、ノーザンダンサーと4分の3同血のコールドカンフォートという血もあり、それらの血が、いずれもセクレタリアトの血と結び付けられています。具体的には、コングラッツ(ウィキッドリーパーフェクトの父)、ストームキャット(ウィキッドリーパーフェクトの母父父)、コールドレセプション(ウィキッドリーパーフェクトの母母父)です。
つまり、ウィキッドリーパーフェクトは、ノーザンダンサー(≒コールドカンフォート)+セクレタリアトの配合の種牡馬が3代にわたって交配されたものと考えることもできるわけです。

(2)柔らかさと硬さのバランス
ノーザンダンサーの血もしっかり入っているとはいえ、これだけナスキロの血が多いと、どうしても柔らかすぎる心配が出てきます。
そこで、ノーザンダンサー以外の硬めの血を探すことになりますが、ここでは、ウィキッドリーパーフェクトの血統表を、父コングラッツと母ウィキッドリーワイズとに分けて考えてみると判りやすいでしょう。
コングラッツのほうには、ラトロワンヌの血が4本あり、それをベースに、ストライキングブッシャーブサンダサーチング6・6・5×5の4分の3同血クロス(ウォーアドミラル、ラトロワンヌが共通)が生じています。
したがって、コングラッツの配合は、ナスキロ主体というよりは、ナスキロラトロ中心の配合と考えたほうがよく、硬めの血もしっかり持っていると言えそうです。

ウィキッドリーワイズ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001142865/pedigree/

一方、ウィキッドリーワイズで目立つのは、エイトサーティウォーレリックグッドエグザンプル7・7×6の相似クロスでしょう。ストームキャットやデピュティ―ミニスターとの併用で威力を発揮するクロスです。ウィキッドリーワイズは、父タクティカルキャットが、ストームキャット産駒ですから、非常に有効でしょう。
以上のように、ウィキッドリーパーフェクト両親を個別に検討してみるなら、それなりに硬めの血もしっかりあり、トータルでは、それでもいくらか柔らかめだと思いますが、柔らかすぎて困るということはなさそうです。

(3)まとめ
母ウィキッド―リーパーフェクトの配合は、ノーザンダンサー+セクレタリアトを中心に、大量の米国血脈をプラスしたものです。
その母にディープということですから、外回り向きの末脚をベースに、米国血脈由来の馬力を付け加えたものと言えるでしょう。
そのぶん、欧州血脈は不足気味ですから、成長力という点では、ノーザンダンサーの血に頼らざるをえないと思われます。
とにかく、方向性のはっきりした配合と言ってよいでしょう。

http://uma-jin.net/pc/images/pc_pog_column_100323.jpg
パドック動画(0分50秒~)
https://www.youtube.com/watch?v=bOxiUu1Nzpo

引き続き、馬体のほうも見ておきます。
POG本などに掲載された画像は、胴長で線の細い馬という印象を受けますが、デビュー戦のパドック動画を見ると、がっしりとした堂々たる馬体に成長しており、サトノダイヤモンドあたりと同傾向のアメリカンな馬力型胴長体型だと思います。
米国ダート競馬向きの胴長体型は、主に3つのルーツがあります。具体的には、マンノウォー系、レイズアネイティヴ系、シアトルスルー系の3つで、ハートレーの場合は、母父コングラッツが、シアトルスルー系の種牡馬であることによるものでしょう。
同じ胴長でも、ステイヤー体型とは似て非なるものであることは、常に頭の片隅に置いておいたほうがよさそうです。

シアトルスルー
http://cs416225.vk.me/v416225045/3280/PidDuUAGOu0.jpg
エーピーインディ
http://www.thoroughbredvillage.com.au/wordpress/wp-content/uploads/2013/05/apindy.jpg
コングラッツ
http://www.winstarfarm.com/Domains/www.winstarfarm.com/CMSFiles/Photos/PhotoGalleries/131219-Congrats-TDN_resized2013-5-24-11-53-722.jpg

最後に今後の展望ついて。
上でも少し触れましたが、血統は典型的な外回り向きであるにもかかわらず、いくらか直線でも首の高い走りで、しっかり馬体が沈み込むまでには至っていない点は気になりましたが、それを除けば、申し分ないデビュー戦だったと思います。
次走は、ホープフルSということなので、最初の試金石になりそうです。中山2000mのコースは、典型的な内回りですから、血統表的にはあまり向いていない感じもしますが、デビュー戦の走りを見ると、上述のように、必ずしも純然たるストライド走法とまでは言えず、ピッチ走法的な要素もあるので、それなりに対応できるのではないでしょうか。
あとは相手関係ですが、こればかりは、やってみないと分かりません。なかなかの出走メンバーが揃ったので、ここでいい競馬をするようなら、クラシック路線に乗ってくるでしょう。

2億円ホース対決

今回は、サトノダイヤモンドの勝った新馬戦を取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=4-0F9xfKHB8
http://db.netkeiba.com/race/201508050205/

2013年のセレクトセールで、ともに2億円オーバーで落札された超高額ディープ産駒の2頭、サトノダイヤモンド(2億4000万円)とロイカバード(2億3000万円)の激突で注目された新馬戦は、サトノダイヤモンドが、2着のロイカバードに2馬身半の差をつけての完勝でした。
パドックを見ても、堂々たる体格のサトノダイヤモンドに対して、ロイカバードはまだ線の細さが残っており、現状ではサトノダイヤモンドの完成度が一歩も二歩もリードしているようです。
ただし、ロイカバードのほうも、まだまだ伸びしろがありそうですし、レースも4角でサトノダイヤモンドに上手く進路を閉められてしまっているので、この一戦で悲観する必要は全くないでしょう。
今回は、サトノダイヤモンドに絞って検討します。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001175221/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母マルペンサは、アルゼンチンのG1で3勝2着5回3着2回の実績を残した名牝。
祖母マルセーラは、競走馬としては未勝利に終わりましたが、繁殖にあがると、マルペンサの他にもG3重賞勝ち馬を出し、今も現役で繁殖生活をおくっています。
3代母リビエールは、自身は未出走ですが、産駒からアルゼンチン1000ギニーに勝ったラコスタアスールが出ています。
母系は、南米で栄えている、ロイヤルアーチ牝系。ロイヤルアーチ自身はイギリス生まれで、のちにアルゼンチンへ輸出されました。日本では、マルペンサ以外の輸入馬はいないようです。
母父オーペンは、G1・モルニー賞(芝6F)に勝つなど、6戦2勝。種牡馬としても、まずまずの成績です。父系は、ダンジグ~ノーザンダンサーの系統。

(1)ヘイローの多重クロス
配合面でまず目につくのは、ヘイロー≒サーアイヴァー3・5×5・4の相似クロスでしょう。ヘイローの血が3本ということで、サーアイヴァーの外回り向きの切れ味よりも、ヘイロー的な内回り向きの機動力が強く出る可能性があります。

ヴィルシーナ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001107937/pedigree/

似たようなケースとしては、ヴィルシーナが、ヘイロー3本による、ヘイロー≒サーアイヴァー3・5×4・5でした。ヘイロー3本のうちの1本が、ヘイロー×バラードの形になっている点も同じです。
ヴィルシーナは、先行タイプということで、ディープ産駒によく見られる末脚の切れ味はありませんでしたが、ヴィクトリアC2連覇やオークス2着から分かるように、外回りにも充分に対応できました。このあたりは、サーアイヴァーの血のおかげでしょう。

(2)8分の1異系配合
ヘイローの3本クロスに注目すると、そのいずれもが、ヘイロー系×ノーザンダンサー系の形になっていることに気付きます。つまり、ディープと母母父サザンヘイローは、父ヘイロー系×母父ノーザンダンサー系の配合で、母父オーペンは、父ノーザンダンサー系×母父ヘイロー系の配合なのです。

マルペンサ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001144170/pedigree/

ということは、母マルペンサの配合は、父オーペンと母父サザンヘイローが似たような配合パターンで、母母マルセーラが全く異質である、4分の1異系配合のパターンであり、サトノダイヤモンドは、ディープ&オーペン&サザンヘイローが同質で、マルセーラが異質である、8分の1異系配合ということになります。
4分の1異系配合とは、笠雄二郎氏が提唱された配合パターンで、血統表の4分の3が何らかの意味で同質な血であり、残り4分の1が全く異質な血であることを言います。同質の血を掛け合わせることで、効果を増幅しつつ確実性を担保し、残りの4分の1の異質な血で雑種強勢効果も狙おうという、欲張った配合パターンです。
さて、8分の1異系配合という用語は存在しないのですが、4分の1異系配合の考え方を応用するならば、同質の血の増幅度が高く、異質な血の雑種強勢効果はやや後退していると言えそうです。ヘイロー×ノーザンダンサーの組み合わせを、3代にわたって掛け合わせるわけですから、狙いのはっきりした確実性の高い配合と見ることができるでしょう。

(3)まとめ
サトノダイヤモンドの配合は、ヘイロー×ノーザンダンサーの3本掛けに、大量の米国血脈をプラスしたもので、方向性の明確な配合です。
その反面で、欧州血脈に関しては、やや不足気味かもしれません。
ヘイローの機動力とノーザンダンサーの頑健さと米国血脈のパワーの掛け合わせということで、デビュー戦のように早め早めに動いていって、あとは身体能力で圧倒するようなタイプの血統だろうと思います。

http://sportiva.shueisha.co.jp/clm/keiba_fight/satono%20daiyamondo.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていきましょう。
胴長でありながらも、かなりがっしりとしており、アメリカンな馬力型胴長体型だと思われます。胴が長いのは、おそらく、母父オーペンに含まれるアリダーの血の影響が強く出ているものでしょう。
だとすると、胴長だからステイヤーだと早合点するべきではなく、2000m前後に向いた馬体だと考えたほうがよさそうです。
今年のディープ2歳産駒の馬体評価リストでは、10位候補として検討しましたが、最終的には選外としてしまいました。アメリカンな馬力型胴長体型というと、リアルインパクトやアユサンがそうですが、ディープの要素に乏しいので、個人的には、ついつい敬遠してしまうタイプで、正直、ちょっと苦手意識があるのも事実です。

アリダー
http://www.hitak.com/home/alydar/a.jpg

最後に、今後の展望について。
新馬戦の内容については、文句のつけどころのない素晴らしい内容だったと思います。
今後、確認しておきたい点としては、ハイペースの前崩れの展開になった時の対応でしょうか。
基本的に、体力で圧倒するタイプなので、実力の上下関係が着順にストレートに反映しそうで、自分より弱い相手に取りこぼすことは少なく、自分より強い相手に一泡吹かせることもあまり無さそうです。
そういう意味では、一度対戦すれば、実力差が判りやすい馬だと思います。
ようするに、戦ってみれば強いか弱いかが見極めやすいので、トライアルの段階でもある程度の判断ができるでしょう。
次走は、意表をついて、年末最終週の自己条件の平場戦とアナウンスされましたが、これは有力馬を数多く抱える厩舎ならではの使い分けの側面が大きいと思われます。
ここはすんなり通過してほしいところで、最初の試金石はその次のレースということになりそうですね。

ミッキーアイルとトーセンラーとジェンティルドンナ

今回は、ラルクの勝った新馬戦を取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=nb4zv_dxIK8
http://db.netkeiba.com/race/201508050106/

結果的に逃げる形となりましたが、行く馬がいれば行かせたと思いますし、逃げにこだわったわけではないでしょう。直線でも後続を突き放し、最後は流す余裕がありました。素質の高さをうかがわせる内容だったと思います。
レース後、陣営から年内は休養として、年明けからの再始動がアナウンスされました。
同じディープ産駒でアパパネの半妹パローマは、2番人気で2着でしたが、今日は相手が悪かったという感じでしょう。すぐに勝ち上がるとは思いますが、もうすこし馬体の成長が欲しいところです。
今回は、ラルクに絞って検討します。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001175186/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母ライラックスアンドレースは、米G1・アッシュランドS(ダート8.5F)に勝つなど、9戦3勝。産駒には、ヘンリーザナヴィゲーターを父に持つ、ライラックローズ(3戦未勝利)がいます。
3代母ステラマドリッドは、G1を4勝した名牝。産駒も、アイルドフランスとダイヤモンドビコーが重賞に勝ちました。アイルドフランスは、ミッキーアイルの祖母。
4代母マイジュリエットは、アメリカで重賞に6勝しました。産駒は、ステラマドリッド以外にも、その全姉のティズジュリエットがG1に勝っています。
5代母マイビューパーズは、その母プリンセスリヴォークトとともに、パッとしない一族をグレードアップさせた立役者です。ただし、競走成績は、13戦未勝利と全く走りませんでした。
母系は、もともとはアメリカのローカルな系統である、ボナヴィア牝系。上述のとおり、プリンセスリヴォークト~マイビューパーズ母娘によって、活気のある牝系へと変貌を遂げました。日本では、ハーツクライ、ミッキーアイル、ノンコノユメの3頭が、G1を制しています。
母父フラワーアリーは、米G1・トラヴァーズSに勝ち、ブリーダーズCクラシック2着。種牡馬としても、米2冠馬アイルハヴアナザーを出すなど、成功しています。トーセンラー&スピルバーグは半弟。

(1)ミッキーアイルとトーセンラー

ミッキーアイル
http://www.jbis.or.jp/horse/0001141719/pedigree/
トーセンラー
http://www.jbis.or.jp/horse/0001096885/pedigree/

血統表を見て、まず目につくのは、ミッキーアイルの近親(お互いの祖母が姉妹)であり、母父フラワーアリーがトーセンラーの半兄であるということでしょう。
ミッキーアイルも、トーセンラー&スピルバーグもG1馬ですから、ディープと母ライラックスアンドレースとの相性は、深く考えるまでもなく抜群であると見なしてよさそうです。
具体的には、ミッキーアイルとは、ステラマドリッド、サドラーズウェルズ≒ヌレイエフ、ダンジグ、ボールドルーラーなどが共通です。
トーセンラー&スピルバーグの場合、構成する血は全てラルクに含まれることになります。

(2)リファールのクロス+ミスプロ
個々の配合上の要素についても検討していきましょう。
まず、当ブログでもお馴じみ、リファールのクロス+ミスプロのパターンが目につきます。
リファールのクロスは、単独では重苦しさが表面化する場合もあるので、ミスプロなどの血が一緒にあることが望ましいでしょう。リファールのクロス+ミスプロなどのレイズアネイティヴ系の血のパターンでは、トーセンラー&スピルバーグ、ジェンティルドンナ、ディープブリランテ、スマートロビン、パッションダンスなどの成功例があります。

(3)ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャル
栗山求氏の提唱される、ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャルのパターンも、当ブログではお馴じみになってきました。
トーセンラー&スピルバーグ、ディープブリランテ、ミッキークイーン、ヴィルシーナ、ショウナンアデラ、マリアライト、デニムアンドルビー、アンビシャスなどが該当します。

(3)バークレアの血の活用
ディープの祖母バークレアの血の活用を重視されるのは、望田潤氏です。
一番多いのは、バークレアとオリオールの組み合わせのクロス(ドナテロ、ハイペリオン、フェアトライアル~サンインロー、フェオラ(ディープの6代母)が共通)のパターンですが、フラワーアリーの母プリンセスオリビアにオリオールの血があります。
また、プリンセスオリビアの父母リパティアの血は、見ようによっては、ディープの母ウインドインハーヘアと組み合わせのクロス(リファール、ドナテロ、ハイペリオン、ナスルーラ≒ロイヤルチャージャーが共通)をなしていると考えることも出来ます。
バークレアとプリンセスオリビアの関連性は、かなり強固だと言えるでしょう。

(4)フェオラのクロス
フェオラ(ディープの6代母)のクロスを持つ繁殖牝馬は、ディープと好相性であるというのは、他所ではあまり見かけない当ブログ独自の主張かもしれません。
ビューティパーラーの母バステット、カミノタサハラの母クロウキャニオン、ワールドインパクトの母ペンカナプリンセス、サトノラーゼンの母トゥーピーなどの例があります。

(5)ノーサードチャンス≒リヴォークト
ノーサードチャンス(ヘイルトゥリーズンの母)≒リヴォークトの相似クロスは、もともとはサンデー産駒で実績をあげたクロスで、ハーツクライサイレンススズカ、ハットトリックなどにありますが、ディープ産駒においても、ジェンティルドンナ&ドナウブルーやミッキーアイルの成功例があります。
ラルクの場合、母ライラックスアンドレースのほうにもヘイルトゥリーズンの血が更に3本あるので、ノーサードチャンス≒リヴォークト5×8・9・7・7となっています。

(6)まとめ
ミッキーアイルやトーセンラーとの配合上の類似性は自明ですが、ジェンティルドンナとの類似性を指摘したのは望田潤氏です。

ジェンティルドンナ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001110862/pedigree/

具体的には、リファールのクロス、ダンジグ、アリダー、マイビューパーズ、ボールドリーズン≒ネヴァーベンド、ボールドルーラーなどが共通しています。ジェンティルドンナを構成する要素のかなりの部分は、ラルクに含まれていることになりますね。
トーセンラーやジェンティルドンナは、その全兄弟も活躍していることから分かるように、非常に再現性の高い配合です。ラルクは、こうした実績のある配合パターン数多く受け継いでおり、きわめて成功する確率の高い配合だと言えるでしょう。

http://sportiva.shueisha.co.jp/clm/keiba_fight/raluk.jpg

引き続き、馬体のほうも見ておきます。
非常に美しい馬体で、クルミナルによく似ていると思います。
今年のディープの2歳産駒の馬体評価リストでは、牝馬の1位に推しました。
現時点では、まだ多少の線の細さも感じられますが、これから筋肉がしっかり付いてくれば、さらに良くなっていくと思います。
また、適度に胴伸びもあるので、距離の延長にも対応できるでしょう。

クルミナル(2歳)
http://sportiva.shueisha.co.jp/clm/keiba_fight/kuruminal.jpg

最後に今後の展望について。
新馬戦のあと、とくに何処も悪いところもないのに、早々と年内全休を発表したのには驚かされました。
その後、年明けのシンザン記念か、その翌週の白梅賞から始動とのアナウンスがありましたが、シンザン記念ならば、ジェンティルドンナやダイワスカーレットのローテーションとなります。
もちろん、1勝馬ですから、除外の可能性も見きわめていく必要がありますし、自己条件の白梅賞でも問題ないでしょう。
しかし、現段階でシンザン記念を視野に入れているということは、陣営が相当の手応えを感じている証拠だと考えることもできるわけで、血統・馬体・レース内容の3拍子そろったデビュー戦だったと言えそうです。
次走が試金石となりそうですが、クラシック戦線での活躍を期待できる馬だと思っています。

速報・香港C

香港C(国際G1・芝2000m)で、エイシンヒカリが、レースレコードで逃げ切り勝ちをおさめました。
日本勢の優勝は、アグネスデジタル以来、14年ぶり4頭目の快挙です(G1昇格後に限れば2頭目)。
ディープ産駒の海外国際G1勝ち馬は、ビューティパーラー(仏1000ギニー)、ジェンティルドンナ(ドバイシーマクラシック)、リアルインパクト(ジョージライダーS)に続き4頭目となり、父サンデーの最多記録(ステイゴールド、サンデージョイ、ハットトリック、ハーツクライ)に並びました。
詳細は、また改めて。

https://www.youtube.com/watch?v=X5Mw5N_HKHs
http://www.jra.go.jp/news/201512/121303.html#04
http://race.sanspo.com/keiba/news/20151213/ove15121317410005-n1.html

http://www.jbis.or.jp/horse/0001137511/pedigree/

ディープ×バラード一族

今回は、ダノンシャルマンの勝った新馬戦を取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=n06iYg-85pc
http://db.netkeiba.com/race/201508040905/

好発からさっと2番手につけ、持ったままで4角を回ると、あっさり抜け出して押し切りました。あまり強力ではないメンバーだったので、かなり楽な勝ち方になりましたが、レースセンスの良さは充分にうかがえました。
ダノンバラードの全弟になりますが、これで全兄弟4頭すべてが中央での勝ち上がり、そのうち3頭は新馬勝ちということで、非常にアヴェレージの高い配合と言えそうです。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001167175/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母レディバラードは、ダートの交流重賞を2勝。ダノンシャルマンの全兄は3頭おり、アメリカジョッキーズクラブCとラジオNIKKEI杯2歳Sの2重賞に勝ち、宝塚記念2着、皐月賞3着のダノンバラードが出世頭。他の2頭は、ロードハリケーン(16戦2勝)と、ロードユアソング(1戦1勝)です(ともに現役)。
祖母エンジェリックソングは、グローリアスソング(G1戦4勝)&デヴィルズバッグ(北米最優秀2歳牡馬)の全妹、セイントバラード(北米リーディングサイアー)の全姉ですが、自身は未出走。産駒には、ハリウッドターフカップS(米G1)に勝ったスライゴベイがいます。
3代母バラードは、競争成績は平凡でしたが、繁殖牝馬としてはヘイローとの交配で素晴らしい成功を収めました。
4代母ミススワップスコーは、アッシュランドSに勝っています(グレード制導入前ですが、導入後はずっとG1の格付けを守っているレースです)。
5代母ソアリングは、ミススワップスコー以外にも、ファービヨンドやピーピーギャル(グラスワンダーの3代母)が系統を広げています。
母系は、シングスピール、デヴィルズバッグ、ラーイなどの出た、名門リンドスオホス牝系。日本でも、グラスワンダー、ノースフライト、ダノンシャンティなどが出ています。

(1)ディープ×バラード一族
ディープ×バラード一族の掛け合わせからは、ヴィルシーナ、ダノンバラード、フレールジャック&マーティンボロの4頭が重賞に勝っています。ディープと特定の一族との交配では、最も成功しているケースでしょう。
相性のよさの原因は、バラードの母ミススワップスコーの配合にありそうです。

ミススワップスコー
http://www.jbis.or.jp/horse/0000391584/pedigree/

ミススワップスコーの配合の核は、マームード≒ミルザ2×3という強力な4分の3同血クロスにあります。一方、デヴィルズバッグなどの4姉弟の父ヘイローは、マームード≒マムタズビガム5×3が配合の核なので、配合上のポイントが同じであり、そのことが好相性の原因と考えられるでしょう。

スワップス
http://www.jbis.or.jp/horse/0000333977/pedigree/
エーデルワイス
http://www.jbis.or.jp/horse/0000393160/pedigree/

また、ミススワップスコーの母父スワップスは、サンデーの3代母エーデルワイスと配合が似ています(ハイペリオン+エクレア、サンインロー+シナ、マンノウォー、サーギャラハッドが共通)。以前にも触れたように、サンデーの血統のポイントは、マムタズビガム≒マームード6・4×5の4分の3同血クロスと、母馬の持つハイペリオンの血にあります。ミススワップスコーの配合も、マームード≒ミルザ2×3の4分の3同血クロスと、母父スワップスのハイペリオンの血がポイントですから、配合上の構成に共通性があります。
ミススワップスコーと、ヘイロー~サンデーの配合的類似性が、両者の相性のよさをもたらしていると言えるでしょう。

(2)ヘイローの血量
ダノンシャルマンの血統表で、まず目につくのは、ヘイロー≒サーアイヴァー3・5×3の相似クロスですが、血量的な観点からすると、ヘイローの血は全体の25%を占めており(サーアイヴァーは3.125%)、支配的な影響力を持っていると考えられそうです。
ダノンバラードは、ディープ産駒としては、さほど末脚が切れるわけではなく、好位からの立ち回りの上手さで白星を積み重ねてきました。その原因となるのが、ヘイロー3×3の内回り向きのクロスということになります。
全弟のダノンシャルマンも、デビュー戦の内容を見るかぎり、ヘイローの影響の強い、機動力で勝負するタイプだと考えてよいのではないでしょうか。

(3)母父アンブライドルド
ディープと、アンブライドルド~アンブライドルズソングとの相性のよさは、当ブログでも何度も触れてきたとおりです。
ディープ×母父アンブライドルドの配合は、7頭がデビューして、すべて中央で勝ち上がり、ダコールとダノンバラードが重賞に勝っています。他にも、ディープ×母母父アンブライドルドのブランボヌールも重賞勝ち馬ですから、相性のよさは疑問の余地なしでしょう。
この相性のよさの原因として、望田潤氏は、サーアイヴァーセキロ(アンブライドルドの父ファピアノの3代母)の組み合わせのクロス(マームード、プリンスキロ、マンノウォー、サーギャラハッド=マルグリットドヴァロワが共通)を指摘されています。

(4)まとめ
ダノンバラード、ロードユアソングに続く新馬勝ちということで、非常に再現性の高い配合でしょう。ディープ×バラード一族も、ディープ×母父アンブライドルドも、それぞれ単独でも強力ですが、それが両方ともあるわけですから、高い再現性もうなづけるところです。
レースぶりは、ヘイローの血が強く出ているようで、ダノンバラードと似たタイプと考えてよさそうです。
安定して活躍してくれそうですが、あとは、どこまで出世できるかが鍵となりそうですね。

パドック動画(2分2秒~)
https://www.youtube.com/watch?v=zhzbQK2RLaI

引き続き、馬体のほうも見ておきましょう。
ネット上には良い画像がありませんが、たいていのPOG本にはこの馬の画像が載っていますし、新馬戦の画質の良いパドック動画がありました。
ダノンバラードもロードユアソングも、デビュー戦の馬体重はともに464キロでしたから、ダノンシャルマンは一回り大きいサイズ(492キロ)ですね。
3頭の全兄との比較では、ダノンシャルマンが、胸の深さもしっかりあって、最も大物感のある馬体だと思います。ダノンバラードとロードユアソングは、同じようなまとまりの良さを感じさせる体型でしょう。ロードハリケーンは、力馬という判断です。
今年のディープの2歳産駒の馬体評価リストでは、「よほどこの馬を10位にしようかと思ったのですが、どのPOG本を見ても、馬体の斜め後ろから撮影したような変な画像ばかりで、どうしても踏ん切りがつきません」ということで、残念ながら選外としました。

ダノンバラード(2歳)
http://www.jbis.or.jp/horse/images/0001090769_3/
ロードハリケーン(2歳)
http://blog-imgs-46.fc2.com/s/h/a/shady123/0902-1105.jpg
ロードユアソング(2歳)
http://platini96.on.coocan.jp/img/Lord/Lord%20Your%20Song_140430.jpg

最後に、今後の展望について。
デビュー戦は非常に強い勝ち方でしたが、上述のように相手が弱かったのも事実です(ダノンシャルマンの責任ではありませんが)。ということで、次走が試金石になるでしょう。そこでも強い勝ち方を見せるようなら、クラシック路線に乗ってくるはずです。
血統も馬体も申し分ないので、あとは、実際のポテンシャルがどうかということだけでしょう。

富士S戦評(編集中)

https://www.youtube.com/watch?v=ryQqgv9qUbs
http://db.netkeiba.com/race/201505040611/

http://www.jbis.or.jp/horse/0001157776/pedigree/

皐月賞
http://www.keibado.com/keibabook/150420/photo04.html

(以下、記事を編集中です)
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