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ディープインパクト産駒を研究してPOGでの勝利を目指すシロウト競馬ファンの奮闘記

2017年01月

ハーツクライの近親

今回は、レッドルチアの勝ち上がった新馬戦を取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=ruiyiVBBDMw
http://db.netkeiba.com/race/201605040604/

レッドルチアとアルミレーナの2頭のディープ産駒が人気を分け、直線でも2頭が後続を引き離しての叩き合いとなりましたが、最後はレッドルチアが半馬身差で勝利を収めました。18頭フルゲートの大外枠でしたが、好スタートから中団につけ、上がり33秒8の末脚を披露しています。
レース内容は申し分なかったのですが、問題は、410キロの馬体重でしょう。全兄のレッドセインツ&レッドライジェルも馬格に恵まれませんでしたが、レッドルチアは牝馬ということで、さらにもう一回り小さいですね。馬体重を増やしていけるかが、今後の大きな課題となりそうです。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001190654/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母サセッティは、英5戦未勝利。産駒は、レッドルチアの2頭の全兄のレッドセインツ(15戦3勝、新潟2歳S3着)とレッドライジェル(16戦4勝、現役)や、半姉レッドセシリア(20戦5勝、阪神ジュベナイルフィリーズ3着)などがいます。
祖母マイポターズは、愛10戦1勝。産駒から、愛オークス馬ウィノナが出ました。
3代母マイビューパーズは、自身は未勝利に終わりましたが、産駒から2頭の重賞勝ち馬を出し、孫の代ではG1馬が2頭も出ました。日本では、ハーツクライの3代母として有名です。
母系は、米国の中堅どころの、ボナヴィア牝系。かつては全くパッとしない系統で、活躍馬が出るようになったのは、マイビューパーズの母プリンセスリヴォークトあたりからでしょうか。日本では、ハーツクライやミッキーアイルが出ました。

(1)一族の活躍馬との比較
マイビューパーズ一族の活躍馬を比較対照してみると、いくつかのパターンが浮かび上がってくるようです。

ミッキーアイル
http://www.jbis.or.jp/horse/0001141719/pedigree/
ウィノナ(愛オークス)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000444465/pedigree/
ハーツクライ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000722158/pedigree/
リファーズスペシャル(輸入種牡馬)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000333796/pedigree/

まず、ミッキーアイルの配合で目につくのは、ノーサードチャンスリヴォークト5×7(ブルーラークスパー、サーギャラハッド、ハイタイムが共通)と、ポカホンタスリヴァーレディ5×5(プリンスキロ、ローマンが共通)の相似クロスでしょうか
レッドルチアにも、ノーサードチャンス≒リヴォークト5×5ポカホンタス≒リヴァーレディ5×5のクロスがあります。
ウィノナの父アルザオは、ディープの母父であり、配合的には、ポカホンタス≒リヴァーレディ3×4のクロスが目立ちますね。
ハーツクライには、アルザオの父であるリファールの血があり、配合的には、ノーサードチャンス≒リヴォークト4×5のクロスがあります。
リファーズスペシャルは、ジェンティルドンナの母母父ですが、父がリファールで、ジェンティルドンナには、ノーサードチャンス≒リヴォークト5×6のクロスがあります。
以上をまとめると、大きな共通点として、リファールノーサードチャンス≒リヴォークトの相似クロス、ポカホンタス≒リヴァーレディの相似クロスの3点が注目されますが、レッドルチアには3つとも揃っています。
リファールについては、やはり、ウィノナの父がアルザオであるという点は示唆的です。ハーツクライやミッキーアイル、リファーズスペシャルなどの成功例もあり、この一族とリファールとの本質的な相性のよさが窺えます。
ノーサードチャンス≒リヴォークトの相似クロスは、もともとはサンデー産駒で成功した配合で、ハーツクライ、サイレンススズカ、ハットトリックなどが出ました。ディープ産駒でも、ジェンティルドンナ&ドナウブルー、ミッキーアイルなどが出ています
ポカホンタス≒リヴァーレディのクロスは、ふつうはリヴァーマン絡みで発生するものですが、たとえば、ミッキーアイルやフィエロ(マイビューパーズ一族ではありませんが)にリヴァーマンの血は無いにもかかわらず、それでもポカホンタス≒リヴァーレディのクロスが生じており、ディープ産駒における成功例は多いです(ディープブリランテ、ミッキーアイル、マリアライト、ミッキークイーン、ショウナンアデラ、タッチングスピーチ、アキヒロ、フィエロなど)。

(2)ハイインローの要素
成長力という観点からすると、ハイペリオンの血は欠かせないところですが、レッドルチアの母サセッティの場合、おもに父父セルカークに含まれており、単に含まれるだけはでなく、ディープ側と組み合わせのクロスを生じる形になっていて、より効果的であると言えるでしょう。

マウンテンフラワー(サンデーの祖母)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000393161/pedigree/
ハイライト(ディープの4代母)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000390923/pedigree/
シャーペンアップ(セルカークの父)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000336086/pedigree/

マウンテンフラワー&ハイライト&シャーペンアップは、ハイペリオンのクロス、サンインロー、アロペ(ディープの8代母)、テディ、スウィンフォード、マルコが共通する組み合わせのクロスになりますが、特に、ディープの母系の血(アロペ)を含んでいるところがポイントです。

(3)ヘイロー≒レッドゴッドとレディレベッカ≒リヴァーマン
レッドルチアには、ヘイロー≒レッドゴッド3×6の相似クロスがあります。このクロスは内回り向きですが、レッドルチアのデビュー戦にしても、2頭の全兄の戦績からしても、末脚の切れ味を活かす外回り向きのタイプのように思われます。
そうだとすると、その末脚の配合的根拠は何処にあるのでしょうか。

レディレベッカ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000394467/pedigree/
リヴァーマン
http://www.jbis.or.jp/horse/0000335664/pedigree/

望田潤氏によると、アルザオの母レディレベッカと、サセッティの母父父リヴァーマンとの間には、相似クロスが生じているとのことです(レッドルチアの場合、レディレベッカ≒リヴァーマン4×4)。共通するのは、ロイヤルチャージャー≒ナスルーラ、プリンスキロ、ローマン、マンノウォーなどです。
自分が知る限りでは、レディレベッカ≒リヴァーマンと考える研究者は望田氏だけですが、似たような例としては、ミッキークイーンのケースがあげられるでしょう。

ミッキークイーン
http://www.jbis.or.jp/horse/0001156953/pedigree/

ミッキークイーンにも、ヘイロー≒レッドゴッド3×5のクロスがありますが、タイプとしては、外回り向きの差し馬でしょう。そして、ミッキークイーンにも、レディレベッカ≒リヴァーマン4×6のクロスがあるわけです。
レディレベッカもリヴァーマンも、典型的なナスキロ配合ですから、レッドルチアとその全兄たちやミッキークイーンの末脚の根拠と考えることが出来そうです。
しかし、ヘイロー≒レッドゴッドの内回り向きの要素が、まったく表に出ていないかといえば、そうとは限らないかもしれません。ミッキークイーンの秋華賞のレースぶりや、レッドライジェルが中山コースも得意としているのは、ヘイロー≒レッドゴッドのクロスのおかげと考えられるでしょう。レッドルチアも、内回りのレースに出ることもあるでしょうが、意外な巧者ぶりを発揮する可能性があることは、念頭に置いておくべきかもしれませんね。

(4)まとめ
レッドルチアの配合は、ハーツクライやミッキーアイルを出したマイビューパーズ一族の成功パターンを踏襲したものです。全兄レッドセインツ&レッドライジェルもそこそこ走っているように、非常に成功しやすい配合と言えるでしょう。
ただ、血統表の印象は、いくらか地味さを感じさせるのも事実で、コンスタントに走るけれど、大物が出るかどうかは運次第といった配合でしょうか。
ちなみに、確実性より一発大物を狙うなら、サセッティの場合、やはりハーツクライということになるでしょう。すでに、レッドセシリアがいますが、マイビューパーズ4×3は実に魅力的で、是非もう1回くらい試してほしいと思います。

http://www.tokyo-tc.com/mng_h_img/org_kinkyo_Sasetti14_19.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていきましょう。
いかにもディープの牝馬産駒らしいシャープな体型ですね。全兄2頭とも似ているのですが、牝馬なので線の細い面があると思います。
今シーズンのディープの2歳産駒の馬体評価リストでは、あまりに馬体が小さいため選外としたものの、シルエット的には見どころがあったので、ウエイトアップすれば期待できる牝馬3頭の内の1頭として取りあげました。

レッドセインツ(2歳)
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/63/fd7c94067b63d3fd74acb7337b46ed89.jpg
レッドライジェル(2歳)
http://www.tokyo-tc.com/mng_h_img/org_kinkyo_Sasetti12_11.jpg

最後に、今後の展望について。
同じディープ産駒のアルミレーナとの叩き合いを制した新馬戦の内容は、よかったと思います。
血統的にも筋が通っていますし、やはり最大の問題は、馬体重ということに尽きるでしょう。
管囲が太い(20.8センチ)ので、もうすこし筋肉がついてくれば、あと10キロくらいは増えてくれるのではと期待しています。
この馬の将来は、1にも2にもウエイトアップ出来るかどうかにかかっていると思います。

未勝利戦ピックアップ~フローレスマジック

今回は、フローレスマジックの勝った未勝利戦を取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=m1qRh3CIu5I
http://db.netkeiba.com/race/201605040202/

デビュー戦は、ちぐはぐなレースで逃げ馬を鼻差とらえきれませんでしたが、今回は、ラスト2Fまで持ったままで、軽く追い出しただけで突き放す楽勝でした。
更新が遅れている関係で、3走目のアルテミスSの結果も判っていますが、大幅な馬体重減に悩まされながらも、勝ち馬のリスグラシューを追い詰めての2着でした。リスグラシューは、阪神ジュベナイルフィリーズでも、出遅れながら2着と好走、ソウルスターリングに次ぐ3歳牝馬ナンバー2の地位を固めているだけに、負けて強しといえるアルテミスS2着の価値は高いでしょう。
なお、アルテミスSでの馬体重減を受けて、年内は馬体回復のための休養にあてるという陣営の判断も、大正解だろうと思います。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001185754/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母マジックストームは、アメリカのダートG2(1800m)に勝っています。これまでの産駒は全て父親がディープですが、ラキシスはG1勝ち、サトノアラジンはG2を2勝、出遅れていたサトノケンシロウも強い勝ち方で2連勝中と、まったくハズレ無しの好成績です。
祖母フロッピーダンサーは、マジックストームが代表産駒ですが、その全妹キャットダンサーも、G1馬ドリルを出しました。
4代母ルイアナは、リトルカレント(米2冠馬)やプレイヤーズンプロミセズ(米G1戦2勝)を出した名繁殖牝馬です。
5代母バンケットベルは、米2冠馬シャトーゲイの母。
母系は、シャトーゲイ、リトルカレント、バーバロなどを出した、米国の名門タスカンレッド牝系。クモハタやゴールドシップの出た、日本の星旗牝系も、この母系から出ました。

(1)ストームバード≒ニジンスキー
ラキシスやサトノアラジンを取りあげた時にも指摘しましたが、母マジックストームが名繁殖牝馬たりえた最大の強味は、自身の持つストームバード≒ニジンスキー2×3の相似クロス(ノーザンダンサー、ブルページ、ギャラントフォックス、フェアプレイ、アルティマスが共通)にあると言ってよいでしょう。その証拠に、上述のように、全妹キャットダンサーもG1馬を出しています。マジックストームは、G2に勝った活躍馬ですが、キャットダンサーのほうは、ただの1勝馬にすぎないわけですから、基本的な配合が優れている証拠と考えられます。

マジックストーム(=キャットダンサー)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000719406/pedigree/

また、これも以前に指摘しましたが、ディープは、強めのクロスを持つ繁殖牝馬と相性がよいようです。具体的には、デニムアンドルビー(母馬にヌレイエフ4×2)、スマートロビン(母馬にノーザンダンサー2×3)、ハープスター(母馬にノーザンダンサー3×3)、ミッキーアイル(母馬にノーザンダンサー4・4×3)、ヴィルシーナ(母馬にヘイロー≒レッドゴッド3×4・4)、サトノダイヤモンド(母馬にヘイロー3×4)、ジェンティルドンナ&ドナウブルー(母馬にノーザンダンサー3×4)、トーセンラー&スピルバーグ(母馬にグフト4×4)、スマートレイアー(母馬にリファール3×4)、レッドオーヴァル(母馬にスマーテア4×3)など、あまり珍しくないノーザンダンサーのクロスはともかく、多くの成功例が見られます。

(2)サーアイヴァーとターリングアとセキロ
望田潤氏によると、ディープとファピアノ~アンブライドルド~アンブライドルズソングの相性がよいのは、ディープの持つサーアイヴァーの血と、ファピアノの3代母セキロの配合が似ているからだそうです(マームード、プリンスキロ、マンノウォー、サーギャラハッド=マルグリットドヴァロワが共通)。

サーアイヴァー
http://www.jbis.or.jp/horse/0000333957/pedigree/
ターリングア
http://www.jbis.or.jp/horse/0000393602/pedigree/
セキロ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000391086/pedigree/

この望田説にそって考えるなら、ストームキャットの母ターリングアもよく似た配合なので、フローレスマジックとしては、サーアイヴァーとターリングアとセキロの組み合わせのクロス(マームード≒マムタズビガム、プリンスキロ、マンノウォー、サーギャラハッド=マルグリットドヴァロワが共通)が生じていることになります。
ここで思い当たるのは、マジックストームの全妹キャットダンサーの出したG1馬ドリルの配合です。

ドリル
http://www.jbis.or.jp/horse/0001148262/pedigree/
ロードゲイロード
http://www.jbis.or.jp/horse/0000335914/pedigree/

ドリルの父母父父ロードゲイロードは、セキロの近親(セキロの祖母とロードゲイロードの3代母が同じ馬)で、配合にも共通性が見られます。したがって、ロードゲイロードとターリングアとセキロは、組み合わせのクロスの関係にあるわけです。
ドリルとフローレスマジック(=ラキシス&サトノアラジン)に同じようなクロスが生じていることは、おそらく偶然ではないでしょう。ディープ×ストームキャット×ファピアノ系の配合は、マジックストーム産駒以外でも、要注意のパターンと言えそうです。

(3)まとめ
ラキシス、サトノアラジン、サトノケンシロウに続き、フローレスマジックまでもが活躍したということで、ディープ×マジックストームの配合は、単なるディープとストームキャットのニックスといったレベルを超えた、抜群の好相性であることが明確になりました。
この配合の唯一の問題点は、本格化までに時間がかかるということでしたが、フローレスマジックは、すでに2歳の時点で同世代の牝馬の中でもトップクラスの素質を見せています。
今後の注目点としては、このままクラシックでも好走するのか、やっぱり本格化は秋以降なのか、ということでしょう。今年の3歳牝馬戦線は、ハイレベルな戦いが予想されるので、フローレスマジックの成長曲線がどのようなものになるのかが、重要なポイントになりそうです。

2歳
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/keiba/keiba/2016/assets_c/2016/07/6ffdad31eb6538a766848956e7a57caaf948d076-thumb-500xauto-166885.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていきましょう。
ディープの牝馬産駒らしいシルエットですが、やはりパワフルさを感じさせるのは、母マジックストームの影響でしょうか。
ラキシスやサトノアラジンに較べると、まとまりのよい体型ですが、サトノケンシロウほどコンパクトではないので、大きすぎず小さすぎず、バランスのよい馬体です。
今年シーズンのディープの2歳産駒の馬体評価リストでは、牝馬の2位に取りあげました。

ラキシス(2歳)
https://livedoor.blogimg.jp/umajin_pog/imgs/6/e/6e6dcb19.jpg
サトノアラジン(2歳)
http://www.jbis.or.jp/horse/images/0001137571_3/
サトノケンシロウ(2歳)
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/keiba/keiba/2016/assets_c/2016/01/satono%20kenshiro-thumb-500x377-116136.jpg

有馬記念回顧(編集中)

https://www.youtube.com/watch?v=e1K2vZJqx28
http://db.netkeiba.com/race/201606050910/

http://www.jbis.or.jp/horse/0001175221/pedigree/

http://www.keibado.com/keibabook/161226/photo01.html

(以下、編集中)
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