DP-Blog

ディープインパクト産駒を研究してPOGでの勝利を目指すシロウト競馬ファンの奮闘記

2018年04月

菜の花賞短評

フローラS出走予定の2勝馬シリーズ、最後は、オハナです。

新馬戦
https://www.youtube.com/watch?v=KDA_O2C6sdc
http://db.netkeiba.com/race/201705040503/

菜の花賞
https://www.youtube.com/watch?v=nnkEgVQ3WKU
http://db.netkeiba.com/race/201806010409/

デビュー戦は、あいにくの重馬場でしたが、中団から差し切って快勝でした。
続く、菜の花賞も、好位からしっかり抜け出して2連勝とします。
陣営は、3戦目に、クイーンCを選択しましたが、中間は馬体重の維持に苦労したようで、結果は4着でした。とはいえ、マウレアには先着しているので、悪くはない内容だったと言えるでしょう。
このまま桜花賞を目指すことも考えられましたが、馬体重も考慮して、いったん放牧に出され、オークス狙いに切り替えられました。
全姉ハナレイムーンもそうなのですが、やはり、馬格に欠けるのが最大の問題点でしょう。いずれは、もうすこし増えてくるものと思いますが、現状は、この体重で勝負せねばなりません。素質は高いと思うのですが、この馬体でどこまで戦えるかですね。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001205118/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母ハウオリは、12戦3勝。これまでの産駒には、本馬の全兄キロハナ(8戦4勝、現役)&全姉ハナレイムーン(7戦3勝、現役)がいます。
祖母ノースフライトは、安田記念とマイルチャンピオンシップに勝ちました。
3代母シャダイフライトは、直仔のノースフライトだけでなく、孫の代からも重賞勝ち馬が出ています。
母系は、デヴィルズバッグ、セイントバラード、ラーイなどの出た、リンドスオホス牝系。日本でも、グラスワンダー、ヴィルシーナ&ヴィブロス、ノースフライトなどが出ました。ただし、ノースフライトの属する分枝は、主流派ではない傍流になります。

(1)母父キングカメハメハ
キタノコマンドールの投稿でも触れましたが、今年の3歳世代は、ディープ×母父キングカメハメハの配合の当たり年のようで、7頭すべてが勝ち上がっています。ワグネリアン、キタノコマンドール、ジナンボー、オールフォーラヴなど、素質馬揃いですね。
トータルでは、これまでに22頭が出走し、19頭が勝ち上がり(うち1頭は地方)、デニムアンドルビーとワグネリアンが重賞に勝っています。そろそろ、ニックスとして認知されるのではないでしょうか。

(2)ディープ×母父キングカメハメハ×母母父トニービン
母父キングカメハメハの産駒は、すでに400頭以上がデビューしていますが、重賞勝ち馬は7頭で、そのうちディープとブラックタイドの産駒が2頭ずつということですから、半数以上がこの兄弟の仔ということになります。
まあ、ディープのほうは当然という気もするのですが(社台グループにキングカメハメハ牝馬が多い上に、金子オーナーのアシストもあるので)、ブラックタイドも結果を出している以上、ディープ&ブラックタイド兄弟とキングカメハメハとの相性のよさは、誰もが認めざるを得ないでしょう。
なかでも、個人的に注目しているパターンが、ディープorブラックタイド×母父キングカメハメハ×母母父トニービンです。
ディープ産駒のほうは、キロハナ&ハナレイムーン&オハナの兄妹3頭だけですし、ブラックタイド産駒も、タガノエスプレッソだけですから、まだサンプル数は少ないのですが、全てが勝ち上がっているだけでなく、いすれも重賞級の素質を見せている点は注目されます(タガノエスプレッソは、すでに重賞に勝っています)。

(3)まとめ
ディープ×ハウオリの配合は、欧州血脈と米国血脈のバランスがよく、大物も期待できる配合だと思います。しかし、やや晩成寄りの配合であるのも事実で、本領発揮は古馬になってからという気もしないでもありません。
現状、まだまだ馬体も小さいですし、あとは素質でどこまでやれるのかというところでしょう。

http://www.keibado.com/keibabook/180423/photo02.html

引き続き、馬体のほうも見ていきます。
馬体は小柄ですが、しっかりと胸の深さもありますし、ディープとキングカメハメハの中間ぐらいの体型でしょう。
あとは、やはり、410キロ台の馬体重を、いかに増やしていけるかに懸かっていると思います。

キロハナ(3歳、神戸新聞杯)
http://www.keibado.com/keibabook/150928/photo02.html
ハナレイムーン(3歳、9月の自己条件の表彰式)
https://www.keibalab.jp/img/horse/2014105608/2014105608_06.jpg

ディープインパクト(3歳)
https://livedoor.4.blogimg.jp/jrdbjp/imgs/2/e/2e0bbb10.gif
キングカメハメハ(3歳)
https://livedoor.blogimg.jp/keiba100bai/imgs/0/5/05d4a195.jpg

ミモザ賞短評

フローラS出走予定の2勝馬シリーズ、第2弾は、レッドベルローズです。

新馬戦
https://www.youtube.com/watch?v=N_mMA0MCeXk
http://db.netkeiba.com/race/201705050506/

ミモザ賞
https://www.youtube.com/watch?v=KLspKW5ewoY
http://db.netkeiba.com/race/201806030109/

デビュー戦で特筆すべきは、上がり2Fのタイムです。レース全体では、11秒2-11秒1ですから、後方から追い込んできたレッドベルローズは、どちらも10秒台でまとめている可能性が高く、スローな展開だったとはいえ、素晴らしい末脚の切れ味でした。
2戦目は、フェアリーSを選択しましたが、中山のマイル戦で出負けした時点で、勝ち負けに持ち込むのは難しい展開となってしまいました。それでも、よく追い込んでの3着ですから、まずまずの内容だったと言ってよいでしょう。
引き続き、クイーンCで重賞再挑戦となりましたが、またもや出遅れた上に、直線で他馬に弾かれる不利もあり、まったく競馬になりませんでした。
自己条件に戻してのミモザ賞では、珍しくスタートが決まり、そのまますんなり先行するという、過去3戦とは全く異なる展開でしたが、ここでは力が一枚上という感じの完勝でしたね。
とにかく、スタートが決まるかどうかが最大の関門で、すんなりゲートを出てくれれば、牝馬どうしなら重賞級の力があるのは間違いないでしょう。フローラSも、スタート次第ですね。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001208625/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母レッドファンタジアは、9戦未勝利。本馬は、初仔になります。
祖母キャットチャットは、米7戦3勝。ダートのG2に勝っています。産駒は、インランジェリーが、米G1に勝ちました。インランジェリーは、レッドファンタジアの4分の3姉にあたりますが、こちらも輸入されています。
3代母フォンチャッターは、米15戦5勝。ダートG1を2勝しています。
5代母フープラーは、米35戦7勝。産駒から、G1勝ち馬が出ています。
母系は、タピット、リローンチ、サマーバードなどが出た、ブラックブロウケイド牝系。主に、アメリカで栄えています。日本では、まだこれといった大物は出ていないようですね。

(1)ディープ×アンブライドルズソング
ディープ×母父アンブライドルド&アンブライドルズソング親仔の配合パターンは、ニックスと言ってもよいでしょう。
ディープ×母父アンブライドルドは、8頭がデビューし、7頭が勝ち上がり(全て中央)、重賞勝ち馬は2頭。
ディープ×母父アンブライドルズソングは、10頭がデビューし、8頭が勝ち上がり(全て中央)、ダノンプラチナはG1勝ち。
1600m~2000mくらいで活躍する馬が多い印象ですね。

(2)ディープ×ファピアノ系×ストームキャット
ファピアノは、アンブライドルドの父&アンブライドルズソングの祖父です。
ディープ×ストームキャットもニックスとして知られていますが、レッドベルローズのように両方の血を持つ場合は、どうなのでしょうか。
ディープ×ファピアノ系×ストームキャット(アンブライドルド&アンブライドルズソング&ストームキャットのいずれかが母父の場合)は、9頭がデビューして、9頭すべてが中央で勝ち上がり、3頭が重賞に勝ち、ラキシス&サトノアラジンはG1勝ち。
数字は素晴らしいのですが、特定の繁殖牝馬(マジックストーム、レディバラード、レインデート)の産駒に限定されており、レッドベルローズは久しぶりの御新規さんとなります。しかし、レッドベルローズも重賞級の素質を見せているということであれば、なにかしらの原因があると考えるべきでしょう。

サーアイヴァー(ディープの母父母父)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000333957/pedigree/
セキロ(ファピアノの3代母)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000391086/pedigree/
ターリングア(ストームキャットの母)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000393602/pedigree/

望田潤氏によれば、ディープとファピアノ系の好相性の理由は、サーアイヴァーとセキーロの組み合わせのクロスが生じるからということでした。マームード、プリンスキロ、マンノウォー、サーギャラハッド=マルグリットドヴァロワが共通しています。
一方、ストームキャットの母ターリングアも、同じような血を持っています(マームードではなく、4分の3同血のマムタズビガムになりますが)。ということは、ディープ×ファピアノ系×ストームキャットの配合パターンの好成績の理由は、サーアイヴァー&セキロ&ターリングアの組み合わせのクロスが生じるからと考えてもよいでしょう(マームード≒マムタズビガム、プリンスキロ、マンノウォー、サーギャラハッド=マルグリットドヴァロワが共通)。

(3)まとめ
レッドベルローズの配合は、ディープ×アンブライドルズソングと、ディープ×ストームキャットの2つのニックスを、サーアイヴァー&セキーロ&ターリングアの組み合わせのクロスで連結させたものです。
欲を言えば、もうすこしハイぺリオンの血が多めならという気もしますが、ヒラリー6×6のような面白いクロスもあり、最低ラインはクリアしていると思います。

3歳(フローラS)
http://www.keibado.com/keibabook/180423/photo01.html
2歳
https://www.tokyo-tc.com/mng_h_img/org_kinkyo_RedFantasia15_11.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていきましょう(フローラSの画像の馬名が間違っていますので要注意)。
体型的には、2歳の時点では、アンブライドルズソングとストームキャットの影響が、相半ばしていたようですが、最近の画像では、ストームキャットの血の影響のほうが優位になってきているようです。
したがって、過去のディープ×アンブライドルズソングのケースを思い浮かべるよりも、ディープ×ストームキャットとして考えたほうがよいと思われます。

ゆきやなぎ賞短評

なかなか更新の時間が取れず、申し訳ありません。今週のフローラSの出走を予定している馬の中で、まだ取りあげていない2勝馬の3頭、サトノワルキューレ、レッドベルローズ、オハナについて、レースの前に触れておきたいと思います(出来れば、1勝馬の2頭も扱っておきたいのですが、ちょっと時間的に厳しいかも)。
まず、サトノワルキューレから。

新馬戦
https://www.youtube.com/watch?v=iEtgSMJLbg8
http://db.netkeiba.com/race/201708050505/

ゆきやなぎ賞
https://www.youtube.com/watch?v=2-b0P0u_Br0
http://db.netkeiba.com/race/201809010509/

デビュー戦は、牡馬相手に断然の1番人気に推されましたが、やや道悪を気にするところもあって接戦となったものの、最後は頭差で制して人気に応えました。
当然、その後は桜花賞を目指していくのかと思われましたが、陣営はオークス一本に狙いを定め、2戦目は年明けの梅花賞を選択しました。レースは、中団から徐々に押し上げていきましたが、直線でエタリオウに上手く進路を閉められての3着。
3戦目のゆきやなぎ賞は、4番人気にとどまりましたが、前走でしてやられたエタリオウとの一騎討ちの展開となり、最後は強引に外から捻じ伏せて、2勝目をマークしました。
この時期に、牡馬相手に2400mでキャリアを重ねる牝馬というのも、なかなか見かけない光景ですが、オークスに出走することになれば、貴重な経験として活きてくるでしょう。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001208461/pedigree/

それでは、血統のほうから、見ていくことにします。
母ヒアトゥウィンは、ブラジルで生産され、南アフリカでデビューしてG1を2勝した後、アメリカに移籍して、最終的には日本へ輸入されました(ちなみに、ブラジルも南アフリカも、国際セリ名簿基準委員会認定のパート1国です)。タピット産駒の持ち込み馬であるサトノファイヤー(12戦1勝、現役)が初仔で、本馬は2番仔になります。輸入後は、ずっとディープが交配されているので、牧場側の期待は大きいようですね。
5代母バンティングは、自身は1勝止まりでしたが、産駒のフォーベイシズが米G2に勝ち、G1でも2着1回3着1回と活躍しました。
母系は、ケルソ、アリシーバ、リアファンなどの出た、マカルーン牝系。日本では、大物と言えるのは、イシノサンデーくらいでしょうか。

(1)リファールのクロス
サトノワルキューレの配合で、まず目につくのは、リファールのクロスでしょうか。当ブログの立場として、単独のリファールのクロスは、やや重苦しいとの見方で、レイズアネイティヴの血とのセットで活用するのがお薦めです。母ヒアトゥウィンは、レイズアネイティヴの血を持つので、問題ありませんね。

(2)バークレアとの組み合わせのクロス
ディープの祖母バークレアの血の活用を重視されているのは、望田潤氏ですが、ヒアトゥウィンには、最も実績のあるオリオールの血があります。
バークレアオリオールの組み合わせのクロスでは、ドナテロ、ハイぺリオン、フェオラ~サンインローの血が共通しています。効果としては、成長力や、大レースでの底力などが期待できるでしょう。

(3)ウインドインハーヘアとアスコットベル
ディープの母ウインドインハーヘアと、サトノワルキューレの祖母アスコットベルとは、組み合わせのクロスとまで言ってよいかは微妙ですが、配合の方向性が似ています。

ウインドインハーヘア
http://www.jbis.or.jp/horse/0000430846/pedigree/
アスコットベル
http://www.jbis.or.jp/horse/0001179468/pedigree/

具体的には、リファール、サーゲイロード、バークレア≒オリオールが共通しています。組み合わせのクロスと言えるかどうかはともかく、ウインドインハーヘアの要素が増幅されていることは確かでしょう。

(4)まとめ
サトノワルキューレの母父ロワノルマンは、フランスでデビューして、アメリカに移籍、最後はブラジルで種牡馬になりましたが、配合面も含めて、日本ではかなり異色の存在でしょう。しかし、そこにとらわれすぎるよりも、(3)で検討したように、ウインドインハーヘアとアスコットベルの類似性に着目すれば、ロワノルマンは、広い意味での4分の1異系的な存在として、配合のメイン要素ではなく、雑種強勢的な補助要因と見なすほうが妥当と考えられます。
ディープの母ウインドインハーヘアの要素を増幅し、母父ロワノルマンが雑種強勢的な趣きを添えているというのが、サトノワルキューレの配合ということになりそうです。

3歳(フローラS)
http://www.keibado.com/keibabook/180423/photo05.html
2歳
https://umatoku.hochi.co.jp/images/pog/mod_images/horse_p42_3.jpg

引き続き、馬体のほうも見ておきましょう。
2歳の段階から、牝馬としてはがっちりした体型でしたが、3歳になってみると、馬名や性別を伏せて、画像だけを見せられたら、牡馬と勘違いしてしまいそうなスケールの大きい馬体に成長しました。
馬体も配合も、マイル戦が不向きのようには思えないのですが、角居師のトータルの判断を信頼すべきでしょうね。
昨年のデイープの2歳産駒の馬体評価リストでは、牝馬の5位に取りあげました。

POG新シーズン、いよいよ始動

桜花賞&皐月賞が終わりましたが、はやくも来期のPOGが動き始めています。
各種POG本の発売も、例年より多少早めのようですし、ネットでは、すでに2歳馬の馬体画像の公開を始めたところもあるようです。
今回は、馬トクとウマニティの2歳馬画像特集を紹介します(ウマニティのほうは無料登録が必要)。ぜひチェックしてみてください。

馬トクPOG 2歳馬 牧場別特集&一口クラブ特集
https://umatoku.hochi.co.jp/pog_pickup2018

ウマニティPOG カラーパドック
http://pog.umanity.jp/2018/search/special/paddock.php

つわぶき賞短評

クラシック第一弾、桜花賞ウイークになりましたが、出走可能性のある馬の中で、アンコールプリュだけは、まだ取りあげていませんでしたので、さっそく見ていきましょう。

新馬戦
https://www.youtube.com/watch?v=aRYgTZWiF8Y
http://db.netkeiba.com/race/201709050205/

つわぶき賞
https://www.youtube.com/watch?v=k2jGpGBIOHE
http://db.netkeiba.com/race/201707040510/

フィリーズレビュー
https://www.youtube.com/watch?v=ACeKg8cYkM8
http://db.netkeiba.com/race/201809010611/

デビュー戦は、好位から抜け出す危なげないレースでしたが、続く、つわぶき賞では、大外枠のうえに出負けする厳しい展開となるものの、直線では素晴らしい切れ味を見せての快勝でした。
2連勝の内容が評価され、フィリーズレビューでは2番人気に推されましたが、前走以上の出遅れで、直線で巻き返したものの、あと一歩とどかずの2着。
レースを重ねるごとに、スタートが悪くなっているのは心配ですが、どんどん相手が強化されていっても、末脚の切れは全く見劣ることがないので、本番でも、スタートさえ決まれば、チャンスもゼロではないでしょう。
むしろ気になるのは、420キロ台の馬格の無さです。こればかりは、急に増えるものでもないので仕方ありませんが、当日の馬体重の発表には注意が必要だと思います。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001200882/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母オイスターチケットは、11戦2勝、ファンタジーSでは3着でした。代表産駒は、NHKマイルC2着&ダービー3着のブラックシェル。ディープとの間には、アンコールプリュも含めて、5頭の産駒がいますが、オープン級の実績を残したのは、アンコールプリュが初めて。
4代母モンテホープは、天皇賞馬リキエイカンの母。孫の代からも、宝塚記念馬スズカコバンが出ました。
5代母トサモアーは、阪神3歳Sに勝ち、桜花賞と菊花賞では2着でした。
母系は、日本を代表する牝系の1つ、フローリスカップ牝系。数多くの名馬が出ていますが、本場の属する、第九フローリスカップ~スターリングモアの分枝では、カツラノハイセイコが代表格でしょうか。

(1)ディープ×トニービン系
ディープ×母父ウイニングチケットの配合は、5頭いますが、すべて母がオイスターチケットなので、あまり参考になりません。いちおう、5頭すべてがデビューして、4頭が勝ち上がり(すべて中央)、アンコールプリュが出世頭ということになります。唯一の未勝利馬バジンガも、新馬戦で2着するなど、無事ならいずれ勝ち上がっていたのではないでしょうか。
ちなみに、ディープ×母父トニービンでは、40頭がデビューし、26頭が勝ち上がり(うち2頭は地方)、重賞勝ち馬は3頭、G1馬はまだ出ていません。勝ち上がり率が今ひとつですが、地方での勝ち上がり馬が2頭しかいないことから判るように、ダートが苦手なことが勝ち上がり率に影響しているようです(念の為ですが、地方で勝ち鞍をあげた馬が2頭しかいないという意味ではありません)。
なお、ディープもトニービンも、リーディングサイアーになっていますが、ダート重賞(中央&交流)の勝ち馬が、ディープ産駒は2頭、トニービン産駒は1頭しかいません。歴代のリーディングサイアーの中でも、ここまで実績が芝に偏っているのは、ディープとトニービンぐらいではないでしょうか。

(2)オイスターチケットとシェルズレイ
トニービンの血統は、望田潤氏の造語でいえば、ナスぺリオン配合ということになるでしょう。

トニービン
http://www.jbis.or.jp/horse/0000161740/pedigree/

ナスルーラ=リヴァズ5・5×4の全兄妹クロスと、ハイぺリオン5×3・5のクロスとが、配合の核になっているわけです。
ディープ×トニービンということで考えると、やや欧州血脈に片寄っている感じで、そのあたりが勝ち上がり率の伸び悩みにつながっていると考えられます。

ウイニングチケット
http://www.jbis.or.jp/horse/0000230809/pedigree/

その意味で、ウイニングチケットの配合は、母父マルゼンスキー経由で、ニンジンスキーやバックパサーなど、良質な米国血脈が供給されていますが、母母父テスコボーイは、トニービン同様、典型的なナスぺリオン配合なので、ディープ×ウイニングチケットの掛け合わせは、やはり欧州血脈寄りと見られるでしょう。
この問題の解決策として、今のところ成果をあげているのは、ディープ×母父クロフネ×母母父トニービン系の配合パターンです。

シャイニングレイ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001153992/pedigree/
ポルトドートウィユ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001155448/pedigree/

ディープ×母父クロフネ×母母父トニービン系の配合では、7頭がデビューし、6頭が勝ち上がり(すべて中央)、シャイニングレイが重賞に勝ちました。たんに勝ち上がり率が高いというだけでなく、全体的に素質の高い馬が多く、再現性の高さがうかがえます。
ディープ×オイスターチケットと、ディープ×シェルズレイの結果を比較しても、先に大物を出したのは、娘のシェルズレイのほうでした。
しかし、それでは、ディープ×母父トニービン系の配合は駄目なのかというと、そうとも限りません。
以前にも触れたことがある話題ですが、トニービン×ノーザンテーストは、ニックス配合と言ってもよく、重賞勝ち馬が6頭、うちG1に勝ったのは3頭もいます。一方、トニービン×ヌレイエフの配合からは、ジャングルポケットという大物が出たものの、オープンで活躍したのは、そのジャングルポケット1頭きりでした。
欧州血脈主体のトニービンに対して、ノーザンテーストは米国血脈中心の配合なので、相互補完的な関係にあり、安定度が高いと考えられます。それに対して、ヌレイエフの配合は、トニービン同様に欧州血脈主体で、ナスぺリオン配合でもあります。したがって、トニービンの長所を伸ばすのには役立つかもしれませんが、トニービンの短所を補うことは出来ません。
確率論で言えば、成功しやすい配合は、トニービン×ノーザンテーストですが、最大の後継種牡馬であるジャングルポケットは、確率が低いはずの、トニービン×ヌレイエフから誕生したのです。
笠雄二郎氏は、常々、配合論は確率が全てではないと仰られていますが、その意味するところは、確率は低くても、大物が期待できる配合は、優れた配合と見なさなければならないのだということなのです。
では、ディープ×母父トニービン系は、大物が期待できるのかということですが、個人的には、充分に期待できると考えています。ディープとナスぺリオンとは、非常に相性がよいというのが、その根拠です。

(3)テスコボーイのクロス
母オイスターチケットには、テスコボーイ4×3のクロスがあります。

オイスターチケット
http://www.jbis.or.jp/horse/0000326014/pedigree/

そもそも、トニービンがナスぺリオン配合であるうえに、さらに、同様のナスぺリオン配合のテスコボーイをクロスさせた、オイスターチケットの配合は、良く言えば、方向性がはっきりしているのですが、悪く言えば、少々くどい感じもします。
ディープは、強いクロスを持つ牝馬を得意にしているので、ディープ×オイスターチケットの交配による5頭の産駒には、まったくの外れという馬はいませんが、欧州血脈と米国血脈のバランスが悪いので、どうしても、当たりの確率も低めになりがちです。しかし、その少数の当たり馬は、大物に育つ可能性を秘めていると言えるでしょう。

(4)まとめ
ナスぺリオンが目につくアンコールプリュの配合は、どちらかといえば晩成寄りの配合で、本領発揮は古馬になってからという気もしますが、その点では、馬格の無さが逆にプラスに働き(仕上がりが早い)、クラシックに間に合ったとも考えられます。
しかし、やはり体格が小さいというのは、ビッグレースでは有利とは言えません。そのあたりをどうカバーするのかについて、次に馬体を検討しながら考えてみることにしましょう。

桜花賞
http://www.keibado.com/keibabook/180409/photo02.html
フィリーズレビュー
http://www.keibado.com/keibabook/180312/photo02.html

引き続き、馬体のほうも見ていきます。
ディープの牝馬産駒らしく、コンパクトにまとまりながらも、胸の深さが特徴的な体型です。
気になるのは、フィリーズレビューと桜花賞の画像を比較すると、前走の画像は、非常に薄手な馬体の造りなのですが、桜花賞のほうは、胸前やトモの筋肉が盛り上がって見えることです。
桜花賞に向けて、小柄な馬体を補うべく、筋力アップに重点を置いた調整をしてきたことが窺えます。急にウエイトを増やすことは不可能ですから、小さなサイズをカバーする方法としては、ベストの選択でしょう。あとは、当日の馬体重が、ほんの少しでもいいので、プラス体重であってほしいですね。

ヴィジャイ(2歳)
http://www.jbis.or.jp/horse/images/0001091073_2/
サングヒーロー(2歳)
https://livedoor.blogimg.jp/umajin_pog/imgs/2/1/21561393.jpg
バジンガ(2歳)
https://livedoor.blogimg.jp/keiba100bai/imgs/c/c/ccdfa29e.jpg
ゲットアテープ(2歳)
http://umanity.jp/img_view_horse.php?code=2011103807
アンコールプリュ(2歳)
http://race.sanspo.com/keiba/images/20170711/etc17071119380009-p1.jpg
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