DP-Blog

ディープインパクト産駒を研究してPOGでの勝利を目指すシロウト競馬ファンの奮闘記

2018年10月

未勝利戦ピックアップ~シェーングランツ

ミディオーサに引き続き、今週末にアルテミスSに出走するもう1頭、シェーングランツを取りあげましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=6pvQqj_lv74
http://db.netkeiba.com/race/201801020102/

デビュー戦は、後方から押し上げていったものの、思いのほか伸びず、期待外れの5着に終わりました。
続く2戦目は、ルメール騎手に乗り替わったので、好位につけるのかと思いきや、前走同様の後方待機から、4角で捲っていく形となりましたが、直線では後続を突き放す一方の圧勝でした。かなりズブいところがあるようで、途中からルメール騎手も追い通しでしたが、エンジンがかかってからは、初戦の凡走ぶりが嘘のような末脚を披露してくれましたね。
となると、あのパッとしない新馬戦は何だったのかということになりますが、考えられることとしては、叩き良化型で、初戦からは動けないタイプということなのかもしれません。今週末のアルテミスSは、レース間隔としては2ヶ月ぶりという微妙なところですが、どうのような走りを見せてくれるのか、注目されますね。未勝利戦の内容からは、じゅうぶんに通用するのではないかと思いますが、先週の府中の馬場状態は、差しの効きにくい前残り馬場だったので、そのあたりがどうなるかでしょう。

https://www.jbis.or.jp/horse/0001221379/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていくことにします。
母スタセリタは、仏英米中18戦10勝。仏オークスなどG1戦5勝の大物競走馬でした。繁殖入り後も、ソウルスターリングを出して、ポテンシャルの高さを見せています。
3代母シュイヴェは、2頭の重賞勝ち馬を出しました。
5代母サザンシーズは、G1を4勝した、スタンランの母。
母系は、ドイツの名門、シュヴァルツゴルト牝系。サガス、スリップアンカー、スタンランなどが出ています。日本でも、マンハッタカフェ、ブエナビスタ、ソウルスターリングなどが活躍しました。

(1)母父モンズーン
モンズーンは、ドイツの大種牡馬で、長く低迷の続いたブランドフォード系にもう1度スポットライトを当てる役割も果たしました。
ディープ×母父モンズーンは、16頭がデビューして、11頭が勝ち上がり(すべて中央)、重賞勝ち馬はまだ出ていません。
個人的には、大いに期待していた配合パターンだったのですが、今のところ期待したような結果は出ていません。
その原因は、サドラーズウェルズの場合と同じで、あまりにも欧州色が強すぎて、日本の高速馬場への対応力に問題があるのだと思われます。解決策として考えられるのは、やはり、ミスプロの血を入れることでしょう。サドラーズウェルズにミスプロの血が加わったガリレオは、ディープとの掛け合わせでニックス級の成功をおさめています。

モンズーン
https://www.jbis.or.jp/horse/0000361091/pedigree/

ディープとの関連性という観点からモンズーンの配合を見ていくと、母母父オーティの配合に目がいきます。ディープの祖母バークレアと組み合わせのクロスをなすので、ここが機能するようなら、大物も期待できるのではないでしょうか。

(2)ディープ×モンズーン×ダッシングブレイド
シェーングランツの配合は、ディープ×母父モンズーン×母母父ダッシングブレイドですが、全く同様の配合パターンの馬が、これまでに4頭出ています。

ノーブルコロネット(=ノーブルプラネット=ステラスターライト)
https://www.jbis.or.jp/horse/0001126929/pedigree/
ゼーゲン
https://www.jbis.or.jp/horse/0001208303/pedigree/

シェーングランツと、ノーブルコロネット&ノーブルプラネット&ステラスターライトと、ゼーゲンとは、8分の7同血ということになりますが、3頭の異なる母馬から生まれた、8分の7同血の産駒5頭が、すべてが勝ち上がったということは、ディープ×モンズーン全体の勝ち上がり率に較べ、かなり優秀だと言えそうです。
この配合が、他のディープ×モンズーンのパターンよりどこが優れているのかは、まだはっきりしないのですが、今後の研究課題でしょう。

(3)シュヴァルツゴルト牝系
マンハッタンカフェやブエナビスタの活躍により、日本でも注目されることとなったドイツの名門シュヴァルツゴルト牝系ですが、ディープ産駒からも、トーセンレーヴ&ジョワドヴィーヴルの兄妹や、サラキア、メイショウメイゲツなどが活躍しています。
非常に活力のある牝系で、ディープとの相性も良好ということであれば、母系の面からも期待できそうですね。

(4)まとめ
非常に重厚な配合で、日本の高速馬場への対応には不安も残るところですが、当たればホームランも期待できると思います。デビューから2戦は、札幌の洋芝だったので、今回のアルテミスSが初の高速馬場ということになりますが、うまく対応できるようなら、クラシック路線に乗ってくるでしょう。

https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/keiba/keiba/2018/assets_c/2018/07/shen-grantu-thumb-550xauto-205681.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていきましょう。
見栄えのする馬体ではあるのですが、では何に似ているのかといわれると、ちょっと困ってしまいますね。
姉ソウルスターリングは、かなりモンズーン色が濃く、シェーングランツにもモンズーンの影響が見てとれますが、姉よりは影響度は小さいと思います。
今年のディープの2歳産駒の馬体評価リストでは、牝馬の6位に取りあげました。

ソウルスターリング(2歳)
https://i.daily.jp/horse/pog_toku/2016/05/03/Images/d_09048812.jpg
モンズーン
https://www.blacktypepedigree.com/sites/default/files/styles/articleimage-full/public/field/image/Monsun.jpg

未勝利戦ピックアップ~ミディオーサ

今週末にアルテミスSに挑戦することが決まった2頭を取りあげます。
まず、ミディオーサのほうから。

https://www.youtube.com/watch?v=32O_YUXnJDU
http://db.netkeiba.com/race/201804020301/

デビュー戦は、ポジション取りが後方すぎて、首差とどきませんでした。今春の東京開催は、ワグネリアンがダービーで先行策をとったように、後方一気では話にならない馬場状態だったので、乗り損ないと言われても仕方ないと思います。なお、勝ち馬のエメラルファイトのその後の成績は、札幌2歳S4着、アイビーS3着ということで、オープンでも通用しているようです。
2戦目の未勝利戦は、デムーロ騎手が好位のポジションを確保した時点で勝負ありという感じで、最後は流す余裕もありましたね。
その後、一息いれての重賞初挑戦ということになりますが、1番人気が予想されるグレイシアは、強い勝ち方でデビューから2連勝ということで、現時点での能力を計る一戦となりそうです。素質的には、じゅうぶん通用すると思いますし、鞍上がモレイラ騎手というのも頼もしいでしょう。来春を見すえて、出来れば賞金を加算しておきたいところですね。

https://www.jbis.or.jp/horse/0001221900/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていくことにしましょう。
母ミスエーニョは、米4戦2勝。2歳時にオールウェザーのG1に勝っています。代表産駒は、ミスエルテということになりますが、気性の悪さが出世の妨げになっているようです。妹のミディオーサは、今のところはそうした面を見せていないようですが、注意は必要でしょう。
祖母マッドキャップエスカペイドは、米9戦7勝。ダートのG1・アシュランドSに勝って、ケンタッキーオークスは3着。繁殖牝馬としても、ミスエーニョがG1馬になりました。
3代母サシーパンツは、米22戦8勝。産駒から、マッドキャップエスカペイドとドバイエスカペイドの2頭のG1馬が出ています。
母系は、米国中心に栄えている、ブルームフラワー牝系。マーリン、アイルハヴアナザー、ビホルダーなどが出ました。日本では、まだこれといった大物は出ておらず、重賞勝ち馬もミスエルテだけのようです。

(1)母父プルピット
プルピットは、いまや北米を代表する種牡馬タピットの父です。父系は、ナスルーラ~ボールドルーラー~シアトルスルー~エーピーインディという、ボールドルーラー系の本流ですね。母系は、ディープと同じ系統で、6代母がともにフェオラです。
ディープ×母父プルピットは、まだサンプルが少なく、2頭がデビューして、2頭とも中央で勝ち上がり、重賞勝ち馬はまだ出ていません。
ディープ×母父父プルピットということでは、アルアインやグランアレグリアが出ているので、基本的には好相性と考えてもよいでしょう。

(2)グランアレグリアとの類似点
ミディオーサの母ミスエーニョは、グランアレグリアの母タピッツフライと配合が似ています。

ミスエーニョ
https://www.jbis.or.jp/horse/0001192950/pedigree/
タピッツフライ
https://www.jbis.or.jp/horse/0001115215/pedigree/

具体的には、ニジンスキーのクロスを持つこと、セクレタリアトのクロスを持つこと、ディープの祖母バークレアと組み合わせのクロスになる血を持つこと(ミスエーニョはアービネラ、タピッツフライはオリオール)の3点です。
細かいことかもしれませんが、もう1つ付け加えれば、タピッツフライの母父マーリンは、前述のように、ミスエーニョと同じ母系ですね。

(3)母母父ヘネシー
ヘネシーは、ディープと相性のよいストームキャットの産駒ですが、ディープ×ヘネシーも、新たなニックスの候補として注目しておくべきかもしれません。
(2)でも触れたように、ヘネシーの持つアービネラの血は、ディープの祖母バークレアと組み合わせのクロス(ドナテロ、ハイぺリオン+ローズレッド、フェアトライアル~サンインロー、テディが共通)をなすので、この血を標準装備しているのは大きいと思います。
同様に、ヘネシー産駒のヨハネスブルグや、ヨハネスブルグ産駒のスキャットダディも、ニックス候補として今から注目しておくべきでしょう。

(4)まとめ
血統的には、ナスキロと米国血脈が強いのですが、適度にハイぺリオンの血もあり、バランスはとれていると思います。
外回り向きの差し馬である可能性が高いですが、機動力のあるアメリカンな血も豊富なので、案外、内回りも苦にしないかもしれません。
配合面で似たところのあるグランアレグリアも活躍しており、クラシック路線に乗ってくるものと期待しています。

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引き続き、馬体のほうも見ていきましょう。
ディープの牝馬産駒らしいスマートな体型ですが、馬体重はしっかりあり(未勝利戦では482キロ)、とくにトモの力強さは目につきます。
シルエット的には、父ディープと姉ミスエルテの良いところ取りといった感じで、非常に大物感がありますね。
今年のディープの2歳産駒の馬体評価リストでは、牝馬の1位に推しました。

ミスエルテ(2歳)
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/keiba/keiba/2016/assets_c/2016/09/miss-erute-thumb-550xauto-170395.jpg
ディープインパクト(3歳、皐月賞)
https://livedoor.4.blogimg.jp/jrdbjp/imgs/2/e/2e0bbb10.gif

菊花賞回顧(編集中)

https://www.youtube.com/watch?v=_XXVFsmFtyw
https://db.netkeiba.com/race/201808040711/

https://www.jbis.or.jp/horse/0001204307/pedigree/

https://www.keibalab.jp/img/upload/focus/201810/181013_fierement.jpg

(以下、編集中)

未勝利戦ピックアップ~トーセンカンビーナ

また時系列が前後しますが、今週のアイビーSに出走予定の、トーセンカンビーナを取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=hvu4YXEwcV0
http://db.netkeiba.com/race/201809040702/

デビュー戦は、道悪の超スローペースに巻き込まれて2着に敗れましたが、一息いれて2ヶ月半ぶりの未勝利戦は、軽く気合をつけただけで5馬身差の楽勝でした。
新馬戦は不運が重なった感じで、個人的には、取りこぼしに近いと考えていますが、勝ち馬のカテドラルは、続く野路菊賞も快勝しており、弱メン相手に負けたというわけではありません。未勝利戦の内容は素晴らしく、アイビーSでも人気になると思いますが、しっかりクリアーしてもらいたいところです。しいて注意点をあげるとすれば、関東遠征2連発ということで、馬体重がこれ以上減るとちょっと問題かもしれません。ともあれ、来年につながるレースを期待しています。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001221901/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母カンビーナは、愛米22戦6勝。芝のG1・アメリカンオークスに勝っています。産駒は、持ち込みの初仔が未勝利、2番仔になるトーセンカンビーナの全姉カーロバンビーナも7戦1勝(現役)ですが、初仔のほうは体質が弱く、わずか1戦で引退、カーロバンビーナは、400キロぎりぎりで馬格に恵まれませんでした。3番仔のトーセンカンビーナは、母の繁殖としての資質が問われることになりそうです。
4代母タフレディは、英9戦1勝。産駒から重賞勝ち馬が出ましたが、孫や曽孫の代からも活躍馬が出ています。
母系は、マイナーな、ファイアーフィンド牝系。あまりG1に縁のない系統で、オセアニアでG1を勝ちまくり、ジャパンCにも参戦した、ラフハビットあたりが一番の大物でしょうか。日本には、ほとんど入ってきていない系統で、これといった活躍馬も出ていないようです。

(1)ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャル
ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャルの配合は、栗山求氏が指摘された成功パターンです。具体的には、サクソンウォリアー、トーセンラー&スピルバーグ、ディープブリランテ、ワグネリアン、ヴィルシーナ&ヴィブロス、マリアライト、ミッキークイーン、ショウナンアデラ、デニムアンドルビー、アンビシャス、ヴァンキッシュランなど、大量の成功例があります。

(2)バークレア~ウインドインハーヘアとの組み合わせのクロス
ディープの祖母バークレアの血を活用した組み合わせのクロスは、望田潤氏が重視されているものですが、トーセンカンビーナの場合、母母母父グレンスタルの祖母フィッシュバーが該当します(ドナテロ、ハイぺリオン、フェオラ~サンインローが共通)。成長力や大レースでの底力に効果が期待できるでしょう。

ウインドインハーヘア(ディープの母)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000430846/pedigree/
グレンスタル(トーセンカンビーナの母母母父)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000337485/pedigree/

さらに、グレンスタルには、ノーザンダンサーやサーアイヴァーの血もあるので、ディープの母ウインドインハーヘアとの組み合わせのクロスと見なすこともできます。ウインドインハーヘアの血を活用した組み合わせのクロスの成功例として、望田潤氏は、ホワイトマズルを指摘されています。ディープ×母父ホワイトマズルの配合の活躍馬としては、スマートレイアーやカツジが出ており、岡田スタッドの得意とするパターンですね。

(3)ノーザンダンサーのクロスを持つ繁殖牝馬
ディープ、ハーツクライ、マンハッタンカフェなどは、母馬の配合が重厚なので、どうしても産駒の成長がゆっくりめな傾向があり、春のクラシックに間に合わせるには、多少の工夫が必要なようです。そうした工夫の1つとして、ノーザンダンサーのクロスを持つ牝馬をお相手に選ぶという手法があり、実績をあげているようです。
カンビーナの場合、ノーザンダンサー5×4・4ということで、パターンに当てはまっていますね。

(4)まとめ
ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャル、バークレアとの組み合わせのクロス、ノーザンダンサーのクロスを持つ母馬、この3つのパターンを併せ持つ例としては、トーセンラー&スピルバーグの兄弟があげられます。兄弟そろってG1馬ということですから、再現性もかなり高いと考えてよいでしょう。
トーセンカンビーナの配合は、さらに一歩進めて、ウインドインハーヘアとグレンスタルの組み合わせのクロスとなっており、その成否が注目されるところです。社台Fは、この配合に自信を持っているようで、4年連続でディープ×カンビーナの交配を行なっています。ノーザンFならともかく、社台Fが同じ繁殖牝馬に4年も続けてディープを付けるというのは、かなりのレアケースなので、それだけ期待も大きいということなのでしょう。個人的にも、この配合は大物が期待できると考えています。姉のカーロバンビーナは、馬格に恵まれませんでしたが、弟のほうは、大きすぎず小さすぎずということで、クラシック路線での活躍が望めるでしょう。

https://jra-van.jp/fun/pog2018y/imgs/07-02.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていくことにします。
馬格は中くらいのサイズですが、わりとがっちりしており、力強さも感じられます。大物感充分でしょう。
今年のディープの2歳産駒の馬体評価リストでは、牡馬の2位に取りあげました。

ジェンティルドンナの従弟

また間隔があいてしまい、申し訳ありません。
今回は、時系列は前後しますが、明日の特別戦に出走予定の、ロジャーバローズを取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=2oOwBc8j0pM
http://db.netkeiba.com/race/201804020705/

ジェンティルドンナの8分の7同血の従弟ということで注目されていた、ロジャーバローズですが、1番人気に応えて危な気ない勝利でした。生産は飛野牧場ですが、ノーザンFで育成されていたという点も、人気を集める要因になっていたと思います。
ドナウブルー&ジェンティルドンナの姉妹が立て続けに活躍したことで、一時は大いに注目されたものの、母ドナブリーニが高齢となり、そろそろ下火ではとの声も出始めていたのは事実でしょう。しかし、ジェンティルドンナの全妹ドナアトラエンテの新馬勝ちに続き、従弟のロジャーバローズも強い勝ち方でデビューを飾り、再び、この一族から目が離せなくなりそうですね。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001221464/pedigree/

それでは、血統の方から見ていくことにしましょう。
母リトルブックは、英10戦未勝利。4分の3同血の姉ドナブリーニはG1馬ですから、競走成績では雲泥の差がありますが、ロジャーバローズが新馬戦を快勝ということで、繁殖牝馬としては、かなりのポテンシャルがあることを証明しました。
祖母カルノーマズレディは、英愛17戦3勝。代表産駒は、もちろんドナブリーニですが、他にもG3重賞に勝った、マジカルを出しています。
5代母フェアアストロノマーは、アイルランドの最優秀2歳牝馬。
母系は、イギリスの中堅どころの、モリーマローン牝系。ただし、有力な活躍馬の殆んどは、フェアアストロノマーの分枝からしか出ていないようです。

(1)ジェンティルドンナと8分の7同血
ドナブリーニとリトルブックとは、4分の3同血の姉妹ですから、必然的に、ドナウブルー&ジェンティルドンナとロジャーバローズとは、8分の7同血の従姉弟ということになります。

ドナブリーニ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000906036/pedigree/
リトルブック
http://www.jbis.or.jp/horse/0001132814/pedigree/

見てのとおり、ドナブリーニもリトルブックも、父系は同じダンジグ系ですから、異なっているのは父の母である、アクウィリジアミステリアルの個所になるわけです。
2頭の相違点として、まず目につくのは、ミステリアルにリファールの血があることでしょう。ドナブリーニ&リトルブックの母カルノーマズレディには、リファールの血があるわけですが、リトルブックには、リファールの血が更にもう1本あるというわけです。この点だけに注目すれば、リトルブックのほうが、より粘っこいレースをする産駒を出しやすいということになるでしょう。
しかし、アクウィリジアとリトルブックのもう1つの相違点として、リトルブックの配合が、ノーザンダンサー×ナスキロラトロの形になっていることがあげられます。以前にも指摘しましたが、ドナブリーニの配合の大きな特徴は、プリンスキロの血を持たないことにあります。しかし、リトルブックのほうには、プリンスキロの血が3本もあり、外回り向きの末脚をもつ産駒を出す可能性も充分にあるでしょう。
ドナブリーニは、どちらかといえば、リファールの特徴の出やすい配合パターンですが、リトルブックのほうは、リファールの血が1本多いにもかかわらず、ナスキロ色の強い配合なので、どういったタイプの産駒が出るかは、やってみないと判らない面がありそうです。
また、リトルブックの父母ミステリアルと祖母カルノーマズレディとは、リファールを中心とした相似的な配合と考えることも可能で、その場合、リトルブックの配合は、4分の1異形配合(ミステリアル&カルノーマズレディが同質、ダンジグは異質)というパターンに当てはまります。これは、ドナブリーニには無い特徴と言えるでしょう。

(2)リファールの血の影響
(1)で見たように、リトルブックには、リファール5×3のクロスがあり、ロジャーバローズとしては、リファール4×6・4のクロスということになります。

アルザオ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000339659/pedigree/
ミステリアル
http://www.jbis.or.jp/horse/0000439185/pedigree/

ディープの母父アルザオの配合と、ロジャーバローズの母父母ミステリアルの配合を比較すると、そっくりとまでは言えないにしても、かなりの共通点(リファール、ロイヤルチャージャー×プリンスキロ、ポカホンタス、シンクアセプトが共通)があります。ちょっと強引かもしれませんが、アルザオとミステリアルとは、組み合わせのクロスと言えなくもないので、そう考えると、末脚の切れの強化に資する配合と見なすことも可能です。
リファール4×6・4のクロスと見るか、アルザオとミステリアルの組み合わせのクロスと見るかでは、大きく違ってくるので、どちらの要素が強く出ているのかは、実際のレース内容で判断していく必要がありそうです。

(3)まとめ
ジェンティルドンナの配合との類似点と相違点に絞って見てきましたが、ジェンティルドンナの場合、若い頃は末脚の切れ味を活かしたレースも見られたものの(オークスなど)、競走馬として完成に近づくにつれて、機動力を活かして好位で立ち回って粘りこむレースが増えていきました(有馬記念など)。
ロジャーバローズの血統は、ナスキロ的な外回り向きの末脚の側面も、リファールのクロス的な内回り向きの粘り強さの側面も、両方とも強化される配合パターンとなっており、どちらが前面に出てくるのかは、血統表からでは判断しにくいところがあります。繰り返しになりますが、今後のレースぶりを慎重に見きわめる必要があるでしょう。

パドック動画(11秒すぎから)
https://www.youtube.com/watch?v=JOJ1GOTv9cE

引き続き、馬体のほうも見ていくことにします。
ロジャーバローズの画像は、ネット上には見やすいものが無く、POG本も「最強のPOG」にしか掲載されていないようです。ここでは、新馬戦のパドック動画にリンクしておきました。
ジェンティルドンナをスマートにしたような体型ですが、馬体重は484キロとしっかりあるので、もうすこし筋肉がついて線の細さが解消してくれば、さらに力を発揮できるでしょう。
今年のディープの2歳産駒の馬体評価リストでは、番外編の大穴コーナーで取りあげました。

最後に、今後の展望について。
デビュー戦は、それほど強力なメンバーではなかったので、明日の紫菊賞が試金石となりそうです。
ジェンティルドンナの従弟という血統背景や、すこし線は細いものの大柄で伸びのある馬体は、かなりの大物感があります。
2戦目も簡単に突破するようなら、クラシック路線に乗ってくるでしょうし、たとえ敗れたとしても、見所のある内容であれば、いずれクラシック戦線に名乗りをあげる時が来るでしょう。
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