東京スポーツ杯2歳Sを簡単に振り返っておきます。
コントレイルの配合についても、前回の投稿内容に補足しておきたいことがあるので、追加したいと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=ckjgX_XFZx8
https://race.netkeiba.com/?pid=race&id=c201905050511&mode=result
http://keiba.radionikkei.jp/keiba/post_19347.html
ディープ産駒3頭による三つ巴のレースだと思っていましたし、その3頭によるワンツースリーで決着したわけですが、ここまで着差が開くとは予想もしていませんでした。
レースは、ラインベックが先行し、コントレイルは中団、アルジャンナは後方2番手から進めましたが、直線でコントレイルが抜け出すと、追いすがるアルジャンナとの差がみるみる開いていき、最後は5馬身差のレコード勝ち。ラインベックは、さらに4馬身遅れての3着でした。
着差も驚きでしたが、1分44秒5という勝ち時計は、いくら馬場状態が良いということを考慮したとしても、2歳馬離れしたものと言わざるをえません。ちなみに、2着アルジャンナの1分45秒3の走破タイムも、従来のレコードを更新するものでした。
今回の圧勝劇により、コントレイルは、クラシックの最有力候補に浮上したわけですが、しいて問題点をあげるとすれば、距離が延びてどうかということでしょう。2000mまでは問題ないとして、ダービーの2400mがどうなるか、注目されるところですね。
なお、レース後、矢作師より、次走は年末のホープフルSに向かうとのコメントがありました。
https://www.jbis.or.jp/horse/0001237042/pedigree/
引き続き、コントレイルの配合について、前回の補足です。
(1)サーアイヴァー≒セキロ≒インカンテイション
ディープ×アンブライドルズソングのニックスの根拠は、、望田潤氏によれば、サーアイヴァー&セキロ&インカンテイションの組み合わせのクロス(プリンスキロ、マームード、サーギャラハッド=マルグリットドヴァロア=ブルドッグ、マンノウォーが共通)にあるということですが、コントレイルの場合、そのニックス要因のクロスが増幅されているとも指摘されています。どういうことなのか、母ロードクロサイトの配合を検討してみましょう。
ロードクロサイト(コントレイルの母)
https://www.jbis.or.jp/horse/0001157855/pedigree/
ロードクロサイトには、さまざまなクロスがありますが、ここでは、ファピアノ3×4のクロスと、インカンテイション4×5のクロスに注目です。
ファピアノ(アンブライドルズソングの祖父&ロードクロサイトの母母母父)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000336225/pedigree/
血統表を見ると、ファピアノ3代母がセキロであることが判ります。つまり、ファピアノ3×4のクロスがあるということは、自動的に、セキロ6×7のクロスも生じているわけです。
ということは、ロードクロサイトの配合は、セキロとインカンテイションの両方の血を、クロスにより増幅させていることになります。
コントレイルとして図式化してみると、サーアイヴァー&セキロ(×2)&インカンテイション(×2)の組み合わせのクロスということになるわけですね。
(2)父母相似配合
(1)の内容をさらに発展させると、ロードクロサイトは、広い意味での父母相似配合と見なすことが出来そうです。
アンブライドルズソング(ロードクロサイトの父)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000361396/pedigree/
フォークロア(ロードクロサイトの母)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000906032/pedigree/
アンブライドルズソングとフォークロアは、ファピアノ~セキロの血と、インカンテイションの血を持っていることは、(1)で確認した通りです。
ロードクロサイトにあるクロスの内、さらに注目すべきは、インリアリティ5×5・5のクロス、オリンピア5×7のクロス、ベターセルフ≒ブサンダ≒ストライキング=ブッシャー7・7・7×9・9・8・7の相似クロスの3つです。
インリアリティのクロスが重要なのは、父系がウォーレリックの系統だからです(さらに、ウォーレリック3×3という強いクロスになっています)。ディープ×ストームキャット×ウォーレリックは、望田氏が指摘される成功パターンの配合で、そのウォーレリックの血が、インリアリティのクロスによって増幅されているわけですね。
オリンピアは、父がヘリオポリス、祖父はハイぺリオンです。ファピアノ~アンブライドルドの系統は、ハイぺリオンの血を持っていないことが弱みでした。しかし、アンブライドルズソングの代で、オリンピア経由でハイぺリオンの血が入り、弱点が解消されたため、一転してG1に強い系統へと生まれ変わったのです。祖父ファピアノと父アンブライドルドが出したG1馬は、それぞれ12頭ずつでしたが、アンブライドルズソング産駒のG1馬は、22頭と大幅に増加しています。アンブライドルズソングにG1馬量産を可能にした要因こそ、オリンピア~ヘリオポリス~ハイぺリオンの血なのです。
ちなみに、オリンピアの父ヘリオポリスは、サンデーと好相性なことで有名です。その理由は、サンデーの持つガルフストリームの血にあり、ガルフストリーム≒ヘリオポリスの相似クロスが生じることにあります。ディープの母ウインドインハーヘアにも、似たような配合のオーロラという血があるので、ディープ×アンブライドルズソングの配合では、ガルフストリーム≒オーロラ≒ヘリオポリスの相似クロス(ハイぺリオン、スウィンフォード、マルコが共通)が発生するわけですね。
ベターセルフ、ブサンダ、ストライキング、ブッシャーの4頭は、いずれも、ラトロワンヌとウォーアドミラル絡みの配合です。ロードクロサイトが、超名門牝系であるラトロワンヌ系の出身であることは、前回も触れたとおりですが、アンブライドルズソングの側にもかなりのラトロワンヌの血があります。とくに、ウォーアドミラルの血とは好相性で、望田潤氏がサンデー時代にプッシュしていた配合として、サンデー×ミスプロ×ウォーアドミラル×ラトロワンヌというパターンがありましたね。
たんに、父母それぞれにラトロワンヌの血があるというだけでなく、ロードクロサイトが、ラトロワンヌの直系であることが重要で、それを、アンブライドルズソング側のラトロワンヌの血が増幅させているわけです。
ロードクロサイト
https://www.jbis.or.jp/horse/0001157855/pedigree/
さて、最後にもう一度、ロードクロサイトの血統表を眺めてみましょう。父アンブライドルズソングと、母フォークロアとは、パッと見ではさほど似ているようにも思えないのですが、配合のキーポイントとなる、ファピアノ~セキロ、インカンテイション、インリアリティ~ウォーレリック、オリンピア~ヘリオポリス、ラトロワンヌ+ウォーアドミラルの血を共有していることが判ります。父母の双方がキーとなる血を持つことで、クロスが形成され、それらの血が増幅されていくわけです。これが、父母相似配合が効果的であることの原理になります。
以上が前回の補足になりますが、それ以外のことについては、前回の投稿を参照してください。
コントレイルの配合についても、前回の投稿内容に補足しておきたいことがあるので、追加したいと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=ckjgX_XFZx8
https://race.netkeiba.com/?pid=race&id=c201905050511&mode=result
http://keiba.radionikkei.jp/keiba/post_19347.html
ディープ産駒3頭による三つ巴のレースだと思っていましたし、その3頭によるワンツースリーで決着したわけですが、ここまで着差が開くとは予想もしていませんでした。
レースは、ラインベックが先行し、コントレイルは中団、アルジャンナは後方2番手から進めましたが、直線でコントレイルが抜け出すと、追いすがるアルジャンナとの差がみるみる開いていき、最後は5馬身差のレコード勝ち。ラインベックは、さらに4馬身遅れての3着でした。
着差も驚きでしたが、1分44秒5という勝ち時計は、いくら馬場状態が良いということを考慮したとしても、2歳馬離れしたものと言わざるをえません。ちなみに、2着アルジャンナの1分45秒3の走破タイムも、従来のレコードを更新するものでした。
今回の圧勝劇により、コントレイルは、クラシックの最有力候補に浮上したわけですが、しいて問題点をあげるとすれば、距離が延びてどうかということでしょう。2000mまでは問題ないとして、ダービーの2400mがどうなるか、注目されるところですね。
なお、レース後、矢作師より、次走は年末のホープフルSに向かうとのコメントがありました。
https://www.jbis.or.jp/horse/0001237042/pedigree/
引き続き、コントレイルの配合について、前回の補足です。
(1)サーアイヴァー≒セキロ≒インカンテイション
ディープ×アンブライドルズソングのニックスの根拠は、、望田潤氏によれば、サーアイヴァー&セキロ&インカンテイションの組み合わせのクロス(プリンスキロ、マームード、サーギャラハッド=マルグリットドヴァロア=ブルドッグ、マンノウォーが共通)にあるということですが、コントレイルの場合、そのニックス要因のクロスが増幅されているとも指摘されています。どういうことなのか、母ロードクロサイトの配合を検討してみましょう。
ロードクロサイト(コントレイルの母)
https://www.jbis.or.jp/horse/0001157855/pedigree/
ロードクロサイトには、さまざまなクロスがありますが、ここでは、ファピアノ3×4のクロスと、インカンテイション4×5のクロスに注目です。
ファピアノ(アンブライドルズソングの祖父&ロードクロサイトの母母母父)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000336225/pedigree/
血統表を見ると、ファピアノ3代母がセキロであることが判ります。つまり、ファピアノ3×4のクロスがあるということは、自動的に、セキロ6×7のクロスも生じているわけです。
ということは、ロードクロサイトの配合は、セキロとインカンテイションの両方の血を、クロスにより増幅させていることになります。
コントレイルとして図式化してみると、サーアイヴァー&セキロ(×2)&インカンテイション(×2)の組み合わせのクロスということになるわけですね。
(2)父母相似配合
(1)の内容をさらに発展させると、ロードクロサイトは、広い意味での父母相似配合と見なすことが出来そうです。
アンブライドルズソング(ロードクロサイトの父)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000361396/pedigree/
フォークロア(ロードクロサイトの母)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000906032/pedigree/
アンブライドルズソングとフォークロアは、ファピアノ~セキロの血と、インカンテイションの血を持っていることは、(1)で確認した通りです。
ロードクロサイトにあるクロスの内、さらに注目すべきは、インリアリティ5×5・5のクロス、オリンピア5×7のクロス、ベターセルフ≒ブサンダ≒ストライキング=ブッシャー7・7・7×9・9・8・7の相似クロスの3つです。
インリアリティのクロスが重要なのは、父系がウォーレリックの系統だからです(さらに、ウォーレリック3×3という強いクロスになっています)。ディープ×ストームキャット×ウォーレリックは、望田氏が指摘される成功パターンの配合で、そのウォーレリックの血が、インリアリティのクロスによって増幅されているわけですね。
オリンピアは、父がヘリオポリス、祖父はハイぺリオンです。ファピアノ~アンブライドルドの系統は、ハイぺリオンの血を持っていないことが弱みでした。しかし、アンブライドルズソングの代で、オリンピア経由でハイぺリオンの血が入り、弱点が解消されたため、一転してG1に強い系統へと生まれ変わったのです。祖父ファピアノと父アンブライドルドが出したG1馬は、それぞれ12頭ずつでしたが、アンブライドルズソング産駒のG1馬は、22頭と大幅に増加しています。アンブライドルズソングにG1馬量産を可能にした要因こそ、オリンピア~ヘリオポリス~ハイぺリオンの血なのです。
ちなみに、オリンピアの父ヘリオポリスは、サンデーと好相性なことで有名です。その理由は、サンデーの持つガルフストリームの血にあり、ガルフストリーム≒ヘリオポリスの相似クロスが生じることにあります。ディープの母ウインドインハーヘアにも、似たような配合のオーロラという血があるので、ディープ×アンブライドルズソングの配合では、ガルフストリーム≒オーロラ≒ヘリオポリスの相似クロス(ハイぺリオン、スウィンフォード、マルコが共通)が発生するわけですね。
ベターセルフ、ブサンダ、ストライキング、ブッシャーの4頭は、いずれも、ラトロワンヌとウォーアドミラル絡みの配合です。ロードクロサイトが、超名門牝系であるラトロワンヌ系の出身であることは、前回も触れたとおりですが、アンブライドルズソングの側にもかなりのラトロワンヌの血があります。とくに、ウォーアドミラルの血とは好相性で、望田潤氏がサンデー時代にプッシュしていた配合として、サンデー×ミスプロ×ウォーアドミラル×ラトロワンヌというパターンがありましたね。
たんに、父母それぞれにラトロワンヌの血があるというだけでなく、ロードクロサイトが、ラトロワンヌの直系であることが重要で、それを、アンブライドルズソング側のラトロワンヌの血が増幅させているわけです。
ロードクロサイト
https://www.jbis.or.jp/horse/0001157855/pedigree/
さて、最後にもう一度、ロードクロサイトの血統表を眺めてみましょう。父アンブライドルズソングと、母フォークロアとは、パッと見ではさほど似ているようにも思えないのですが、配合のキーポイントとなる、ファピアノ~セキロ、インカンテイション、インリアリティ~ウォーレリック、オリンピア~ヘリオポリス、ラトロワンヌ+ウォーアドミラルの血を共有していることが判ります。父母の双方がキーとなる血を持つことで、クロスが形成され、それらの血が増幅されていくわけです。これが、父母相似配合が効果的であることの原理になります。
以上が前回の補足になりますが、それ以外のことについては、前回の投稿を参照してください。