長いこと更新できずに申し訳ありませんでした。雑務に追われて、どうしてもブログにまで手が回らない状況でしたが、ようやく何とか目途がつきました。
POGブログとして、ディープ産駒の新馬戦勝ち馬全頭&おもな未勝利戦勝ち馬のレビューを目標に更新してきましたが、すでにトライアルが始まっている現状ですので、かなり取捨選択で刈り込んでいかないと追いつかないでしょう。また、古馬については、後回しにせざるをえないケースも多くなりそうです。
ともかく、出来る範囲で更新していきますので、「あの馬が取りあげられていない」というケースもしばしばあるとは思いますが、なにとぞ御理解と御容赦をお願いしておきます。

前置きが長くなりましたが、土曜のアネモネSにリボンフラワーの出走が決まりましたので、リボンフラワーの勝ち上がった未勝利戦を取りあげておきましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=QKjPlVrMMVU
http://db.netkeiba.com/race/201509050104/

好位の3番手から、直線は抜群の手応えで追い出されましたが、追われてからのフォームは、なかなか馬体が沈んでいかない感じで、松田騎手が追いまくってようやく少しフォームが沈んできたかな、というあたりがゴールでした。
今回に限らず、道中はいい感じなのですが、追われてからの身体の使い方は、まだまだ子供っぽさが抜け切れていません。未勝利戦の後、年末の500万特別で3着し、休養を挟んでトライアルのアネモネSに挑戦という流れですが、2ヶ月半ほどの放牧の間にどれだけ身体を上手く使えるようになったかがカギとなりそうです。もし、直線でしっかり馬体が沈んでいくようになっていれば、格上挑戦のアネモネSでも、2着以内の桜花賞出走権に充分に手が届くと思います。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001175212/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母バディーラは、未出走。代表産駒は、リボンフラワーの全兄ダノンプラチナです。
祖母マジカルアルーアは、米国のダートのG1・ラブレアS(3歳牝馬限定)に勝ちました。しかし、繁殖牝馬としては、あまり成功していない感じです。
3代母レアレディは、米国で3戦1勝でしたが、孫にナリタトップトップロード、曽孫にマツリダゴッホとダノンヨーヨーが出ました。
4代母ダブルエージェントは、名繁殖牝馬で、子・孫・曽孫・玄孫と4代続けてG1馬が出ています。
母系は、米国の中堅どころの、ザスキマー牝系。日本では、ナリタトップロード、マツリダゴッホ、ダッシャーゴーゴー、ダノンヨーヨーなどが出ています。どちらかというと、日本でのほうが有名な系統かもしれませんね。

(1)母父アンブライドルズソング
ディープとアンブライドルド~アンブライドルズソング親仔の相性がよいことは、当ブログでも再三取りあげてきました。
ディープ×母父アンブライドルズソングは、4頭がデビューし、すべて中央で勝ち上がり、ダノンプラチナがG1に勝ちました。
ディープ×母父アンブライドルドは、8頭がデビュー、7頭が勝ち上がり(全て中央)、ダノンバラードとダコールが重賞勝ち。
この好相性の原因として、望田潤氏は、アンブライドルドの父ファピアノの3代母セキロと、ディープの母父アルザオの母父サーアイヴァーとが、組み合わせのクロス(マームード≒マムタズビガム、プリンスキロ、マンノウォー、マルグリットドヴァロワ≒サーギャラハッドが共通)となることによるものだろうと指摘されています。望田氏の指摘が正しいとすれば、アンブライドルズソングの場合、3代母インカンテーションも配合が似ている(マームード、プリンスキロ、ブルドッグ(マルグリットドヴァロワ&サーギャラハッドの全弟)、マンノウォーが共通)ので、より配合的に増幅されていると考えることができそうです。

(2)インカンテーションとシアトルスルー
アンブライドルズソングの3代母インカンテーションは、リボンフラワーの母バディーラの母父父シアトルスルーとも関連性があります。

シアトルソング
http://www.jbis.or.jp/horse/0000336450/pedigree/

シアトルソングは、シアトルスルー産駒ながら芝馬で、フランスの芝1400mのG1とアメリカの芝2400mのG1に勝ち、アイルランドの芝2000mのG1で2着しており、距離・コースを問わず活躍しました。
そのシアトルソングの配合は、見てのとおり、父シアトルスルー×母インカンテーションです。つまり、バディーラの配合の中に、シアトルソングの要素が丸ごと内包されていることになるわけです。
インカンテーションの血は、一方ではサーアイヴァーやセキロと結び付き、他方ではシアトルスルーと深い関係性があるということで、リボンフラワーの配合の大きなポイントとなっているわけです。
そして、よくよく見るならば、シアトルスルーにもマムタズビガム、プリンスキロ、サーギャラハッド、マンノウォーの血がありますから、バディーラ~リボンフラワー母娘の配合は、(1)の組み合わせのクロスの枠組を軸にしているとも言えそうですね。

(3)まとめ
サーアイヴァー、セキロ、インカンテーション、シアトルスルーの結びつきは、いかにもナスキロ的ですが、バディーラには、もう1つ見過ごせない要素があります。それが、バディーラの血統表に6本もあるラトロワンヌの血です。
たんに数が多いというだけでなく、バディーラの血統表においては、ベターセルフブサンダストライキングブッシャー7・7・7×7・7(ウォーアドミラル、ラトロワンヌ~テディ、ノーススターが共通)の相似クロスや、バイムレックビジネスライク8・8・8×6(ブラックトニー、ラトロワンヌ~テディが共通)の4分の3同血クロスが発生しているです。
したがって、バディーラの配合は、ナスキロ的というよりはナスキロラトロ的であり、ナスキロ的な切れにラトロワンヌ的な馬力を付加したものと考えられるわけです。
配合的には、いかにも桜花賞向きですが、はたして権利をもぎ取ることは出来るのでしょうか。

2歳
http://db.netkeiba.com/v1.1/show_photo.php?horse_id=2013104499&no=5694&tn=yes&tmp=no

引き続き、馬体のほうも見ていきましょう。ネット上にはあまり良い画像がありませんが、たいていのPOG本にはこの馬の画像が載っていると思います。
全兄ダノンプラチナは、母父アンブライドルズソングの影響がかなり出ていて、線の細い胴長な感じの馬体であるのに対して、妹のほうはディープをがっしりさせたような体型で、非常に大物感があります。
昨年のディープ2歳産駒の馬体評価リストでは、牝馬の3位に取りあげました。

ダノンプラチナ(2歳、朝日杯)
http://www.keibado.com/keibabook/141222/photo10.html
アンブライドルズソング
http://www.sporthorse-data.com/horse/10112872/446/Horse_Unbridleds_Song-_3big.jpg