また前後しますが、更新が遅れて取りあげないうちに、ファンディーナが2連勝を飾ったので、2レースまとめて扱うことにします。

新馬戦
https://www.youtube.com/watch?v=fHMQQq1elbY
http://db.netkeiba.com/race/201708010706/


つばき賞
https://www.youtube.com/watch?v=00HhIsRHb10
http://db.netkeiba.com/race/201708020809/

まず、新馬戦ですが、ご覧の通り、持ったままでの9馬身差の圧勝でした。しかも、2歳戦が始まったばかりの時期ならともかく、年明けの除外ラッシュ真っ盛りの牡馬との混合戦で、持ったままの圧勝劇ですから驚きです。
以前に、ディープ産駒の新馬戦ベスト3として、マカヒキディープブリランテシャイニングレイの3頭をあげましたが、ファンディーナのデビュー戦も、これらと充分に匹敵する内容で、今後はベスト4ということになりそうですね。もちろん、牝馬では、断然のトップでしょう。


続いて、2戦目のつばき賞ですが、陣営のレース後のコメントによると、逃げずに控えるレースを試すことに決めていたそうで、タガノアスワドが前半5F64秒1の超スローペースに持ち込みましたが、ファンディーナは、上がり33秒フラットの末脚を繰り出し、あっさり差し切りました。
特筆すべきは、レースの上がり2Fのラップが、10秒7-11秒0ということなので、ファンディーナは、ラスト2Fをいずれも10秒台で走っており、しかもノーステッキで最後は流す余裕があったことです。2月の京都開催は、降雪などの影響で馬場が荒れており、いくらスローペースの展開とはいえ、ちょっと規格外の内容だったのではないでしょうか。
レース後、次走はフラワーCに向かうことがアナウンスされましたが、陣営としては、必ずしもローテーションが詰まる桜花賞にこだわっていないような雰囲気もあるようです。桜花賞なのか、オークス一本なのか、場合によっては牡馬路線なのか、陣営の選択が注目されるところですね。

http://www.jbis-1.jp/horse/0001191679/pedigree/


それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母ドリームオブジェニーは、未出走。産駒には、ヴィクトワールピサ産駒のナムラシングンがいます(11戦3勝、現役)。ちなみに、ナムラシングンも、つばき賞の勝ち馬です。
祖母ジラは、米仏10戦3勝。重賞で2着が2回あります。産駒には、これといった大物はいませんが、孫の代では、米G1戦4勝のエモリエントが出ました。
3代母クードジェニーは、マキャヴェリアンの全妹。G1馬デネボラを筆頭に、重賞勝ち馬3頭を出した名繁殖牝馬で、孫からも、凱旋門賞馬バゴやG1を2勝したマキシオスが出ています。
4代母クードフォリーは、マキャヴェリアンとエグジットトゥノーホウェアの2頭のG1馬を出しました。セントライト記念に勝ったシンコウカリドは、孫にあたります。
5代母レイズザスタンダードは、ノーザンダンサーの半妹。サトノダイヤモンドの母父オーペンは、孫になります。
母系は、名門フライバイナイト牝系。活躍馬は大量にいますが、ドリームオブジェニーの属する分枝は、ノーザンダンサー、ヘイロー、デインヒル、マキャヴェリアン、バゴなどの出た主流派の系統です。

(1)ヘイローのクロス
ファンディーナの配合は、注目すべき点がたくさんありますが、まずは目につきやすい、ヘイロー≒サーアイヴァー3・5×5の相似クロスから。ファンディーナの母母母母父がヘイローなのですが、サトノダイヤモンドマカヒキの活躍によって、ヘイローのクロスへの関心が高まっているようです。
ディープ産駒におけるヘイローのクロスの成功例は、ほぼ3つのパターンに集約されます。具体的には、ヘイロー×バラード、マキャヴェリアン、サザンヘイローの3つですが、ここでは、マキャヴェリアン(=クードジェニー)のケースに絞って見ていきましょう。

マキャヴェリアン(=クードジェニー)
http://www.jbis-1.jp/horse/0000337496/pedigree/

マキャヴェリアンの母父がヘイローですが、そのヘイローの血を活用したクロスは、ネオユニヴァース産駒のロジユニヴァースヴィクトワールピサが立て続けに活躍したことで、注目を集めました。
ディープ産駒では、ヴィルシーナ&ヴィブロス姉妹が代表例ですね。
マキャヴェリアンとヘイローとは、上述のように母系が同じで、マキャヴェリアンの母クードフォリーには、アルマームード(ヘイローの祖母&マキャヴェリアンの4代母)3×3という強いクロスがあります。このクロスの威力が、そのままマキャヴェリアン経由のヘイローのクロスが効果的である根拠となっているわけです。
ヘイローのクロスの効果としては、機動力の向上があげられます。ヴィルシーナやファンディーナが、ディープ産駒のわりに先行力があるのは、ヘイローのクロスのおかげでしょう。

(2)サーゲイロード≒セクレタリアト
ヴィルシーナの配合は、ヘイロー≒レッドゴッド3×4・5・5の内回り向きの機動力アップのクロスが支配的でしたが、ファンディーナの場合、外回り向きのナスキロの血も多く含んでおり、内回り向きか外回り向きかは、一概には言えません。
とくに、サーゲイロードセクレタリアト6×7・5・7の兄弟クロスや、レディレベッカライドザトレイルズ4×5の相似クロスは、ナスキロ配合のクロスで、血量的にも存在感があります。
つばき賞での豪快な末脚は、ナスキロの血に由来するものと考えられるでしょう。

(3)ステュフィダ~バスティノ~バステッド
ファンディーナにあるクロスでは、バステッド4×6の重厚なクロスも目を引きます。スタミナや重馬場適性の向上に効果が期待できるクロスです。
バステッドのクロスを持つディープ産駒としては、ディープブリランテや、ダノンジェラート&ワールドインパクトなどがあげられます。とくに、ダノンジェラート&ワールドインパクト兄弟は、母父ピヴォタル経由という点で共通していますね。
ピヴォタルに含まれるバステッドの血は、さらにバスティノからステュフィダへと展開していくのですが、これがディープとの関連性を深めていくことにもつながっています。

バスティノ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000336185/pedigree/

バスティノで注目すべきは、その母父母母フェオラが、ディープの6代母でもあるという点です。ファンディーナの母ドリームオブジェニーには、ラウンドテーブル(祖母フェオラ)の血もあるので、フェオラ8×8のクロスが生じます(ファンディーナとしては、フェオラ7×9・9)。ちなみに、ダノンジェラート&ワールドインパクトの母ペンカナプリンセスは、同じピヴォタル産駒というだけでなく、フェオラ8×9のクロスを持つという点においても、ドリームオブジェニーと共通しています。
フェオラの血を持つ馬は、ディープとの相性がよいというのは、当ブログ独自の主張になりますが、とくにフェオラを2本以上持つ場合、カミノタサハラの母クロウキャニオンや、ペンカナプリンセス、サトノラーゼンの母トゥーピーなど、高い確率でディープとの間に活躍馬を出しています。
ドリームオブジェニーも、ディープを付ければ、何回でも成功する確率の高い繁殖牝馬だと思われます。

ステュフィダ(ピヴォタルの祖母)
http://www.jbis-1.jp/horse/0000410547/pedigree/
バークレア(ディープの祖母)
http://www.jbis-1.jp/horse/0000394655/pedigree/

ディープの祖母バークレア絡みの組み合わせのクロスは、望田潤氏が重視されているものです。ピヴォタルの祖母であるステュフィダも、バークレアとは、バステッド~ドナテロ、ハイペリオン、フェアトライアル~サンインロー、フェオラ、ローズレッドなどが共通しており、組み合わせのクロスが生じています。
このクロスは、成長力に大きく寄与することが期待できるでしょう。

ピヴォタル(ドリームオブジェニーの父)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000365118/pedigree/
ウインドインハーヘア(ディープの母)
http://www.jbis-1.jp/horse/0000430846/pedigree/

この項の最後に、いくらか無理があるのは承知で、ピヴォタルとウインドインハーヘアとの共通性について見ておきます。具体的には、ノーザンダンサー、ライドザトレイルズ≒レディレベッカ、バステッド~ドナテロ、ハイペリオン、フェアトライアル~サンインロー、フェオラなどが4共通しています。
両馬の配合は、単純化すれば、ノーザンダンサー×ナスキロ×ハイインローという図式ですが、非常に共通する血が多いので、組み合わせのクロスと見なすことも不可能ではありません。
ウインドインハーヘアとピヴォタルの組み合わせのクロスと考えた場合、血量的にも非常に強力だと言えるでしょう。

(4)ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャル
ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャルは、栗山求氏の指摘されたパターンで、成功例としては、トーセンラー&スピルバーグ、ディープブリランテ、ミッキークイーン、ヴィルシーナ、ショウナンアデラ、マリアライト、デニムアンドルビー、アンビシャス、ヴァンキッシュランなどがあげられます。
もちろん、ファンディーナも当てはまっています。

(5)まとめ
ファンディーナの血統は、ディープの配合の二本柱である、ヘイロー≒サーアイヴァーのクロスと、バークレア周辺のハイインロー関連の血を、両方ともフォローしたものと考えられます。
しかも、ディープ産駒の成功したパターンをしっかり踏襲しているので、非常に成功しやすい配合だと言えるでしょう。
血統的には、大きなレースも狙える本格的な配合だと思います。


2歳
http://keiba-news.tv/system/item_images/images/000/018/433/medium/151c7610-a658-43e5-b841-a980b4374757.jpg


引き続き、馬体のほうも見ていきましょう。
牝馬にしては、非常に大柄ですが、シルエット的には、ディープ産駒らしさもうかがえます。しかしながら、それ以上に、兄ナムラシングンによく似ているのではないでしょうか。また、首差しから胸前にかけてのラインは、祖父サンデーにそっくりです。
大物感充分ですが、パドックを見るかぎり、現状ではまだまだ緩さが残っています。そのあたりがどこまで解消されてくるのかが、1つのポイントになってきそうですね。

ナムラシングン(3歳、皐月賞)
http://www.keibalab.jp/img/upload/focus/201604/160410_namurashingun.jpg

サンデーサイレンス
http://www.pharlap.net/wp-content/uploads/2012/06/sundaysilence2.jpg
ディープインパクト(3歳、皐月賞)
https://livedoor.4.blogimg.jp/jrdbjp/imgs/2/e/2e0bbb10.gif