PCの修理が長引いての遅れを取り戻していきたいです。
今回は、ダノングレースの新馬戦を取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=mF_qtJlEZbw
http://db.netkeiba.com/race/201701020105/

ミスエルテの妹ミカリーニョが一本被りの人気を集め、ダノングレースは2番人気でしたが、直線は2頭のマッチレースとなり、ダノングレースが首差で競り勝ちました。
ダノングレースもミカリーニョも、420キロ台の馬体重は、もうすこし増えてほしいところですが、レースの水準は高かったと思います。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001208426/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母チェリーコレクトは、伊オークス&伊1000ギニーの牝馬2冠を制しました(伊オークスはG2、伊1000ギニーはG3)。
祖母ホーリームーンは、伊12戦5勝。チェリーコレクトの半妹チャリティライン&ファイナルスコアも、伊オークスに勝っています(2頭の妹は、伊G1・リディアテシオ賞も制していますが、チェリーコレクトも同レースで2着しています)。
4代母ニュージェネレイションは、牝馬G1を2勝した、ブライトジェネレイションを出しました。
5代母マディーナは、モルニー賞(グループ制の導入後の格付けはG1)の勝ち馬。
母系は、ややマイナーな、ナイク牝系。G1馬が出るのは、マディーナの分枝に限られているようです。日本では、あまり見かけない系統で、リキアイノーザンが牝馬G3を4勝したのが目立つくらいでしょうか。
また、ニュージェネレイションの曽孫で、ハットトリック産駒のダビルシムが、仏G1を2勝し、2011年の仏年度代表馬に選出されています。種牡馬入りして、今年が初年度産駒のデビューの年ですが、非常に好調で注目されているようです。

(1)ディープ×ダンジグ×アリダー
母チェリーコレクトは、ディープと相性のよい配合パターンをいくつも抱えています。
まず、栗山求氏の指摘されているパターンとして、ダンジグ、アリダー、ノーザンダンサーのクロスを併せ持つ繁殖牝馬は、ディープとの相性が非常によいようです。具体的な成功例としては、ジェンティルドンナ&ドナウブルー、サトノダイヤモンドミッキーアイルなどですね。わりと条件の多いパターンですが、これだけ大物が出ているということで、再現性はかなり高いと考えてよいでしょう。

(2)リファールのクロス
ダノングレースには、リファール4×6のクロスがあります。ディープ産駒のリファールのクロスは、有名な成功パターンではありますが、当ブログでは、単独でのリファールのクロスは重苦しいという立場で、レイズアネイティヴの血や、ディープの持つヘイロー≒サーアイヴァーのクロスの継続などのサポートがあることが望ましいでしょう。ダノングレースは、レイズアネイティヴの血を持つので、問題ありません。このパターンの成功例としては、トーセンラー&スピルバーグ、ジェンティルドンナ&ドナウブルー、ディープブリランテ、パッションダンスなどがいます。
とくに、ジェンティルドンナ&ドナウブルーとは、(1)のほうでも共通しているのが注目されますね。

(3)バークレアとの組み合わせのクロス
ディープの祖母バークレアとの組み合わせのクロスは、望田潤氏が重視されているパターンです。なかでも、成功例が多いのは、オリオールの血を利用するもので、トーセンラー&スピルバーグ、ビューティパーラー、ショウナンアデラ、カミノタサハラ、サトノラーゼン、ヴァンセンヌなどですね。
トーセンラー&スピルバーグとは、(2)でも共通していました。

(4)ノーダンサーのクロス
(1)でもありましたが、ノーザンダンサーのクロスを持つ繁殖牝馬は、ディープとの交配で春のクラシックに間に合いやすい傾向にあるようです。
ディープ産駒だけでなく、マンハッタンカフェやハーツクライの産駒にも当てはまるようですが、2歳時から活躍していても、なんとなく思うように成長してくれず、春のクラシックでは中途半端な成績に終わり、古馬になって本格化というタイプは、意外に多いのです。というより、むしろそちらのタイプのほうが本質的であり、ディープ、マンハッタンカフェ、ハーツクライの産駒を3歳春のクラシックに間に合わせるためには、一工夫が必要になってくるようです。
最初に考え出されたのは、繁殖牝馬に早熟のスピード馬をもってくるケースで、なかなかの成果をあげました。
それに続いて上手くいったのが、ノーザンダンサーのクロスを持つ繁殖牝馬です。マンハッタンカフェ産駒では、レッドディザイア&ヒルノダムール&クイーンズリングの母、ハーツクライの産駒では、ワンアンドオンリー&ヌーヴォレコルト&ウインバリアシオンの母には、ちゃんとノーザンダンサーのクロスがあります。一方、ショウナンマイティ、ルージュバック、ジャスタウェイなどの母には、ノーザンダンサーのクロスがありません。
ノーザンダンサーのクロスを持つ母馬は、ともすると成長のゆっくりな産駒を出しやすいディープ、マンハッタンカフェ、ハーツクライなどの種牡馬との交配で、春のクラシックに間に合わせてしまう作用があるようです。
ダノングレースの母チェリーコレクトの場合、ノーザンダンサー4×5・6・5の4本クロスですから、充分ですね。

(5)意外とパワフル?
ダノングレースは、初仔ということもあり、420キロ台の小柄な体格ですが、配合面から考えると、意外にパワフルなタイプかもしません。
母チェリーコレクトは、バックパサー5×6・6のクロスがあり、それだけでも充分パワフルな配合ですが、ニジンスキーの母フレイミングペイジは、バックパサーと配合が似ているので、バックパサー≒フレイミングペイジ5×5・6・6・5と見ることも出来るでしょう。

(6)ポカホンタスのクロス
あと、目につくところでは、ポカホンタス5×8・7のクロスでしょうか。ポカホンタスは、父ローマン×母父プリンスキロの配合ですが、プリンスキロは、ナスルーラの血とセットで外回り向きの末脚を伝え、ローマンは、望田潤氏によれば「北米最強のパワー」を伝えます。
このクロスの成功例としては、サトノダイヤモンド、マカヒキ&ウリウリ、ヴィルシーナ&ヴィブロス、ビューティパーラー、トーセンスターダム、マルセリーナなどですが、今年の2歳馬でいうと、ワグネリアンやヘンリーバローズ、海外で活躍中のサクソンウォリアーも該当しますね。

(7)まとめ
ダノングレースは、ディープ産駒の成功した配合パターンを数多く持っており、血統面では申し分ないと言ってよいでしょう。
やはり、問題は、420キロ台の馬体重ということになりそうです。

http://jra-van.jp/fun/pog2017y/catalog/imgs/p037-01.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていきましょう。
体型的には、典型的なディープの牝馬産駒で、シルエット面では問題ありません。繰り返しになりますが、問題はサイズ面ですね。

最後に、今後の展望について。
新馬戦の勝ちっぷりは良かったですし、配合のほうも文句なしということで、くどくて申し訳ないのですが、今後のカギは馬体の成長にあります。
シンハライトの例(422キロの馬体重でオークス制覇)があるとはいえ、せめて、430キロ台までは増えてほしいところです。配合は素晴らしいと思うので、馬体重さえ増えてくれれば、クラシック路線に乗ってくるでしょう。