年明けから所用でバタバタしておりまして、また間隔があいてしまいました。
フェアリーSに勝ったプリモシーンは、まだ取りあげていなかったので、振り返っておきましょう。

フェアリーS
https://www.youtube.com/watch?v=KWbALxPcm08
http://db.netkeiba.com/race/201806010211/

未勝利戦
https://www.youtube.com/watch?v=JP7iAow8jbg
http://db.netkeiba.com/race/201705040302/

デビュー戦は渋った馬場を気にして2着に終わったプリモシーンですが、続く未勝利戦できっちり勝ち上がり、3戦目に重賞のフェアリーSを選択しました。
前走の未勝利戦で負かしたテトラドラクマが1番人気に推され、プリモシーンは何故か2番人気にとどまりましたが、レースは見ての通りの快勝でした。
なお、3着にもディープ産駒のレッドベルローズが入りましたが、中山のマイル戦では致命的な出遅れを巻き返してのものですから、こちらも大いに期待できそうですね。
プリモシーンは、1戦ごとにレース内容が良くなっているだけでなく、馬体重のほうも、470キロ→474キロ→482キロと増加してきており、順調に成長しているようです。
府中でも中山でも結果を出しており、現時点では特に注文を付けるところは何もなく、あとは本番まで無事に進めていければ、好勝負を期待してよいでしょう。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001208432/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきます。
母モシーンは、豪18戦8勝。G1戦4勝2着2回の大物競走馬で、4勝したG1の距離も、1600m~2500mと幅広く活躍しており、1200mのG1でも2着に入っています。産駒は、プリモシーンの全姉キャリコが初仔でしたが、初仔特有の体質の弱さがあり、5戦未勝利に終わりました。
3代母ミスプライオリティは、自身は1勝止まりでしたが、産駒から香港マイルに勝ったラッキーオーナーズが出ています。
4代母ベネディクションは、豪州でG1を6勝した、マイトアンドパワーを出しました。孫の代からは、ディープ産駒として初の海外国際G1を制した、ビューティパーラーが出ています。
母系は、ハイぺリオン、ファラモンド、リナミックスなどの出た、ゴンドレット牝系。日本では、活躍馬は出ているものの、長らくG1馬が出ていない状況が続いていたのですが、シンハライトがオークスに勝って、その流れに終止符を打ちました。

(1)ミッキーアイルとの類似点
プリモシーンの配合は、以前からミッキーアイルとの類似を指摘されてきました。

ミッキーアイル
http://www.jbis.or.jp/horse/0001141719/pedigree/

「以前から」というのは、プリモシーンの全姉キャリコのデビュー前からということです。ディープ×母父デインヒル産駒が共通で、ミッキーアイルは、母母父がヌレイエフですが、プリモシーンは、母母父父がヌレイエフ。また、詳しくは(4)で触れますが、バークレアの組み合わせのクロスがある点も同じですね。

サトノアーサー
http://www.jbis.or.jp/horse/0001192768/pedigree/

また、サトノアーサーの配合も、ディープ×デインヒル×ヌレイエフで、ニジンスキーの血を持つ点でプリモシーンと共通しています。
ディープ×デインヒル×ヌレイエフの掛け合わせで活躍馬が続出しているということで、今後さらに注目されていくことになりそうな配合パターンでしょう。

サクソンウォリアー
http://www.jbis.or.jp/horse/0001208401/pedigree/

もうひとつ付け加えると、ヌレイエフをサドラーウェルズに置き換えた場合でも、サクソンウォリアーやセプテンバーの成功例があります。サクソンウォリアーとは、ミスプロの血を持つ点でも共通しており、セプテンバーとは、ブラッシンググルームの血も共通ですね。

(2)ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャル
ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャルの配合パターンは、栗山求氏の指摘されたもので、トーセンラー&スピルバーグ、ディープブリランテ、ヴィルシーナ&ヴィブロス、ミッキークイーン、サクソンウォリアー、ショウナンアデラ、マリアライト、デニムアンドルビー、アンビシャス、ヴァンキッシュラン、ワグネリアンなど、大量の成功例があります。
また別のパターンとして、ディープ×ヌレイエフ×ブラッシンググルームにも当てはまっています。こちらも栗山求氏の指摘されたもので、ヴィルシーナ&ヴィブロス、ミッキークイーン、アンビシャス、フレールジャック&マーティンボロ、ベストディールなどの成功例があります。

(3)ヘイロー≒サーアイヴァーのクロスの継続
ディープの配合の核として、ヘイロー≒サーアイヴァー2×4の相似クロスがあり、産駒の配合でも、このクロスの継続を試みる例は多いのですが、ヘイローとサーアイヴァーの両方を継続しようという例は珍しく、それが上手く機能して重賞勝ちにつながった例は初めてかもしれません。
プリモシーンには、ヘイロー≒レッドゴッド3×6の相似クロスと、サーアイヴァー5×7・6のクロスがあります。ヘイローのクロスは内回リ向きの機動力の向上に、サーアイヴァーのクロスは外回り向きの末脚の伸びに、それぞれ効果が期待できるでしょう。

(4)バークレアの活用
ディープの祖母バークレアの血の活用は、望田潤氏が重視されるものです。プリモシーンには、なかでも最も実績のある、オリオールの血があります(プリモシーンの4代母ベネディクションの父母母父)。
成長力や大レースでの底力に効果が期待できそうです。

(5)フェオラのクロス
当ブログ独自の主張になりますが、ディープの6代母フェオラのクロスを持つ繁殖牝馬は、ディープと相性がよいと考えられます。

モシーン
http://www.jbis.or.jp/horse/0001177842/pedigree/

母モシーンには、フェオラの血が4本もあるので(フェオラ9×8・8・9)、ディープとの相性は抜群でしょう。

(6)ベネディクション
前述のように、プリモシーンの4代母ベネディクションは、ディープ産駒として、初の海外クラシックのタイトル(仏1000ギニー)を獲得した、ビューティパーラーの祖母にあたります。

ビューティパーラー
http://www.jbis.or.jp/horse/0001110884/pedigree/

ベネディクション以外にも、クリムゾンセイント(ロイヤルアカデミーの祖母&ストームキャットの母)や、ブラッシンググルームも共通ですね。

(7)まとめ
プリモシーンの配合は、ディープ産駒の成功パターンが満載されており、栗山求氏や望田潤氏が早い段階から注目し推奨されてきたのも当然でしょう。おそらく、ディープ×モシーンの配合は、何度やっても成功する可能性が高いと思われます。
キャリコは初仔で配合的なよさを発揮できませんでしたが、プリモシーンは実際に活躍しており、ディープの牝馬産駒としては馬格にも恵まれていますから、順調ならば、クラシック本番でもよい走りが出来ると思います。

2歳
https://www.silkhorseclub.jp/detail_gallery/city/download/0264/d_02640003.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていきましょう。
いかにもディープの牝馬産駒らしい体型で、非常に見栄えがします。ただ、こういう体型のディープ牝馬産駒は、往々にして馬格に欠けるケースが多いのですが、プリモシーンは大きめのサイズですから、大物感という点でも高評価ですね。
昨年のディープの2歳産駒の馬体評価リストでは、牝馬の10位タイに取りあげました。