今年度のディープ産駒の新馬勝ち第1号は、グランアレグリアでした。
この時期としては途方もない勝ちタイムで、いきなり桜花賞の有力候補登場といった感じですね。

https://www.youtube.com/watch?v=JcjSDS0bTLg
http://db.netkeiba.com/race/201805030205/

好発からすんなり好位につけると、抑えきれない手応えで直線に向くや早々に先頭に立ち、同じディープ産駒のダノンファンタジーが追いすがってきたので、一発だけ鞭を入れましたが、終始余裕のあるまま押し切りました。
勝ちタイムの1分33秒6は、いかに馬場状態が良いといっても、ちょっと途轍もない時計で、この時期の新馬戦では目にしたことがないものですが、あとで判明したとことでは、東京競馬場の新馬戦レコードだそうです。
時計の速さもさることながら、その時計を余裕たっぷりに出してしまう内容が素晴らしく、気が早いようですが、この時点で桜花賞の有力候補と言っても、けっして大袈裟ではないと思います。
なお、同じディープ産駒の2着ダノンファンタジーも、グランアレグリアさえいなければ、ニューヒロインの登場と称賛されていたことでしょう。いかにも相手が悪かった感じですが、まだまだ本番まで時間はたっぷりあるので、今後の成長次第では、逆転だって充分ありうるかもしれませんね。

https://www.jbis.or.jp/horse/0001220947/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母タピッツフライは、米24戦7勝。芝のG1を2勝しています。初仔は登録される前に亡くなったようで、グランアレグリアは2番仔になります。
5代母パーフェクトピジョンは、ジャパンCを制したゴールデンフェザントの母。
母系は、カロ、シャーラスタニ、メディシアンなどの出た、ジーンズフォリー牝系。日本では、これといった大物は出ていないようで、帝王賞に勝ったコンサートボーイが目立つ程度でしょうか。

(1)母タピッツフライの配合
グランアレグリアの母父タピットは、2014年から3年連続で北米リーディングサイアーの座に就き、いまや全米ナンバーワンの種付け料で供用されており、アメリカを代表する種牡馬です。父系は、ボールドルーラー系ですが、一時期かなり衰退しつつあったこの系統を支えてきたのが、シアトルスルー~エーピーインディ~プルピット~タピットの系統です。現在では、ボールドルーラー系といえば、このラインを指すといっても過言ではありません。
タピットの配合的特徴として、まず目につくのは、ミスプロ3×4のクロスと、ニジンスキー5×3のクロスでしょう。

タピッツフライ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001115215/pedigree/

母タピッツフライは、その父タピットの持つクロスを継続しているのが特徴で、ミスプロ4・5×5のクロスと、ニジンスキー6・4×4のクロスとなっています。
さらに、セクレタリアト5×5のクロスもありますが、タピットの父プルピットは、ボールドルーラー系の多重クロスが特徴(ボールドルーラー5・4×5)なので、その点も継続しているわけです。
したがって、タピッツフライの配合は、タピットの特徴をそのまま継続している点にあると言えるでしょう。
ディープ×母父タピットの配合は、これまで6頭がデビューして、4頭が勝ち上がり(全て中央)、まだ重賞勝ち馬は出ていませんが、現3歳のアルーシャは、クイーンCで3着に入るなど、6戦2勝2着1回3着2回とまずまずの活躍を見せています。

(2)バークレアの組み合わせのクロス
ディープの祖母バークレアの血の活用を重視されているのは、望田淳氏ですが、タピッツフライにはオリオールの血があるので、バークレアとの組み合わせのクロス(ドナテロ、ハイぺリオン、フェオラ~サンインローが共通)が生じています。
成長力や大レースでの底力などが期待できるでしょう。

(3)フェオラのクロス
母タピッツフライの配合の特徴として、当ブログ的には、フェオラ(ディープの6代母)8×9・7のクロスを持つことも指摘しておきたいところです。フェオラのクロスを持つ繁殖牝馬は、ディープと好相性というのは、当ブログ独自の主張ですが、具体例としては、モシーン(プリモシーンの母)、ドリームオブジェニー(ファンディーナの母)、クロカミ(カミノタサハラの祖母)、ターピテュード(サトノラーゼンの祖母)、ペンカナプリンセス(ワールドインパクトの母)、ブルーミンバー(トーセンブレスの母)などがあげられます。

(4)まとめ
母タピッツフライは、タピットの要素を増幅したシンプルな配合ですが、(2)や(3)で見た通り、ディープとの相性のよさも確保されており、なかなかの好配合でしょう。大物も狙える配合だと思いますが、しいて言うなら、ナスルーラやロイヤルチャージャー、ミスプロなどの柔らかい血が多めで、馬体に芯が通るまでに時間がかかる面があるかもしれません。しかし、現時点でもこれほどの走りが出来るのですから、さほど心配はいらないかもしれませんね。

https://ameblo.jp/gurigurikun1/image-12357864218-14143799229.html

引き続き、馬体のほうも見ていきましょう。
馬体画像は、自分が見た範囲では、「POGの王道」にしか載っていないようです。いかにもディープ産駒の2歳牝馬という体型で、あまり母方の要素は表に出ていないように思われます。
POG本に記載されていた馬体重は、452キロでしたが、デビュー戦の馬体重は、458キロでした。ふつう、北海道から本州の育成場に移り、トレセンに入厩し、デビュー戦を迎えるまでには、20~30キロは馬体重が減るものです。しかし、僅かとはいえ馬体重が増加しているということは、ほんの2ヶ月ちょっとの間に、大幅に馬体重が増えたことを意味します。そうした成長力も、今回の圧勝劇につながっているのでしょう。

最後に、今後の展望について。
現時点では、とくに言うことは何もありません。故障さえ無ければ、ふつうに桜花賞の有力候補でしょう。
あとは、距離が伸びてのオークスがどうかということですが、この時期にそれを考えるのは、時期尚早ですよね。まずは、暮れの阪神ジュベナイルフィリーズを目標に進めていくことになるでしょう。