ディープ産駒が、東京スポーツ杯2歳Sに4頭も登録してきましたので、週末までにチェックしていきたいと思います。
まずは、ルヴォルグから。

https://www.youtube.com/watch?v=Rl70qnSMlH0
http://db.netkeiba.com/race/201805040905/

さっと好位につけると、直線は軽く気合をつけただけで後続を突き放し、最後は流して4馬身差の圧勝でした。
デビュー戦の内容は、パカパカFの先輩であるディープブリランテと比較しても遜色なく、立ち上げ2世代目のワラウカドとしても、待望の大物候補といえるでしょう。好メンバーの揃う東京スポーツ杯でも、人気の一角を占めることになりそうですが、ここで結果を出すことが出来れば、クラシックの有力候補として注目されることになるでしょう。

https://www.jbis.or.jp/horse/0001222590/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていくことに
母キトゥンカブードルは、米6戦1勝。唯一の勝利は、芝のG3重賞でした。
5代母モーゲイズは、米30戦10勝。重賞を3勝しています。
母系は、ややマイナーな、ケアレス牝系。コンスタントに重賞勝ち馬は出していますが、あまりG1馬の出ない系統です。日本では、メイショウドトウやローエングリンなどが活躍しました。

(1)アルザオ≒エルプラド
ルヴォルグの血統表を見て、まず目につくのは、アルザオエルプラド3×3の相似クロス(ノーザンダンサー、サーアイヴァーが共通)でしょうか。
このクロスを持つディープ産駒は、ジークカイザー&ヴェルテアシャフト、ブラゾンダムール、ジューヴルエール、カザンなど、そこそこいるのですが、まだはっきりとした成功例は出ていません。ヴェルテアシャフトなんかは、まずまず素質がありそうですし、いずれ活躍馬も出ると思いますが、現状では、サドラーズウェルズ的な、高速馬場への対応力に欠ける産駒が多い印象です。
しかし、ルヴォルグには、サドラーズウェルズの重苦しさを緩和するミスプロの血があり、初戦のレースぶりも、とくにスピード競馬に問題がありそうには見えなかったので、初の成功例ということになるかもしれません。

(2)ニジンスキーの活用
ニジンスキーは、小柄で短足な馬の多かったノーザンダンサーの産駒の中では、例外的に、大柄で脚が長く、胴伸びもありました。ディープとの相性もよく、コンパクトでスマートなディープ的体型に、サイズや筋肉量、胴伸びなどをプラスする効果があります。
ニジンスキーの血を活用するには、ニンジンスキーのクロスまたは相似クロスを持つ繁殖牝馬を、お相手に起用するのも有力な手法です。

マジックストーム(ラキシス&サトノアラジンの母)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000719406/pedigree/

マジックストームは、ストームバードニジンスキー2×3という強いクロスを持ち、これが産駒に活力をもたらし、ラキシスやサトノアラジンなど、ディープ産駒にしては大柄な活躍馬を出しました。
今年の2歳世代においても、グランアレグリアの母タピッツフライには、ニジンスキー6・4×4のクロスがあります。

キトゥンカブードル
https://www.jbis.or.jp/horse/0001209607/pedigree/

では、ルヴォルグの母キトゥンカブードルの場合は、どうでしょうか。血統表を見ると、ランジョルールエルグランセニョールニジンスキー4×4・4の相似クロス(ノーザンダンサー、バックパサーフレイミングペイジが共通)があります。ランジョルールは、ノーザンダンサーとバックパサーの位置が逆なので、うっかりしやすいかもしれません。
ルヴォルグの大柄な馬体は、母のニジンスキーの血が上手く活用された結果と言えるでしょう。

(3)ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャル
(1)で触れたように、ルヴォルグには、サドラーズウェルズとミスプロの血があるので、栗山求氏の指摘される、ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャルのパターンに当てはまっています。
具体的には、サクソンウォリアー、トーセンラー&スピルバーグ、ディープブリランテ、ワグネリアン、ヴィルシーナ&ヴィブロス、マリアライト、ミッキークイーン、ショウナンアデラ、デニムアンドルビー、アンビシャス、ヴァンキッシュランなど、大量の成功例があります。

(4)まとめ
ルヴォルグの母キトゥンカブードルの配合は、米国血脈主体ながらも、ノーザンダンサー4・6×5・5のクロスなどにより、ハイぺリオンの血も確保され、ナスキロラトロの血も豊富ということで、サドラーズウェルズの重ささえ緩和できれば、ディープ向きの配合の繁殖牝馬と言えそうです。
ルヴォルグ自身も、充分に大物が期待できる配合でしょう。

https://wims.waraukado.club/horse-images/4/aee93f31-a409-5cdf-8a01-0d5304df13d3.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていくことにします。 
リンクした画像は、今年の4月頃のもので、この頃から馬体は大きかったようですが、体型的にはディープ寄りで、皮膚の薄さも目につきます。米国血脈主体の大柄馬に見られるような無骨さもありませんし、なかなかの好馬体だと思います。
同じく大柄だったディープブリランテが、父親にはあまり似ていなかったのと対照的ですね。

ディープインパクト(3歳、皐月賞)
https://livedoor.4.blogimg.jp/jrdbjp/imgs/2/e/2e0bbb10.gif
ディープブリランテ(3歳、引退直後の画像)
https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/ca/9057eb94fa73798c772da0931552e515.jpg

最後に、今後の展望について。
東京スポーツ杯2歳Sでは、一気に相手が強化されますが、新馬戦の内容からは、じゅうぶん通用すると思います。あとは、勝ち切れるのか、それとも惜しかったとなるのかということでしょう。
内容次第では、サートゥルナーリアの独走に待ったをかける存在へと浮上してくることになります。
もちろん、ここを落としたとしても、成長力充分の配合なので、来年春に向けて巻き返しが期待できるはずです。