明日のデイリー杯2歳Sに、レッドベルジュールが出走を予定していますので、取りあげておきましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=s9E1DFqQYS8
https://db.netkeiba.com/race/201909030805/

レッドベルジュールのデビュー戦で注目されていたのは、シルヴェリオとリメンバーメモリーのPOGで人気の高かった2頭でした。とくに、シルヴェリオは、今年のPOGでも一二を争う評判馬で、netkeibaでは未だに全体1位の座をキープしつづけています。
レースは、レッドベルジュールが番手につけ、シルヴェリオは中団、リメンバーメモリーは最後方からという展開となりますが、直線を向いてもいっこうに伸びないシルヴェリオとリメンバーメモリーを尻目に、逃げたメイショウボサツとレッドベルジュールの一騎討ちとなり、後続を引き離した叩き合いの末、レッドベルジュールが首差で接戦を制し、デビュー勝ちを収めました。シルヴェリオは、離された4着、リメンバーメモリーは、ブービーの8着に終わっています。
レッドベルジュールは、メイショウボサツにかなり抵抗されましたが、あちらは3キロ軽い減量騎手で、おまけにスローの単騎逃げと展開にも恵まれてのものなので、まずは完勝と言ってよいでしょう。
レース後は、いったん休養を挟んで、アイビーSに向かう予定だったのですが、帰厩後、どうも息遣いが芳しくないことから検査をしたところ、喉鳴りの兆候が見られることが判明しました。このため、アイビーSを回避、目標をデイリー杯2歳Sに切り替えましたが、今はまだそれほどではないもの、将来的には手術となる可能性が高いようです。おそらく、デイリー杯の勝敗に関係なく、レース後は休養→手術となるのでないでしょうか。素質の高い馬なので、残念ではあるのですが、手術を乗り越えて大成したダイワメジャーのような例もあるので、諦めずに頑張ってほしいと思います。

https://www.jbis.or.jp/horse/0001236815/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母レッドファンタジアは、9戦未勝利。産駒は、本馬の上にレッドベルローズ(13戦3勝、現役)&レッドベルディエス(6戦3勝、現役)の2頭の全姉がおり、1歳下に全弟、2歳下に父ハーツクライの半弟がいます。
祖母キャットチャットは、米7戦3勝。ダートのG2に勝ちました。産駒は、インランジェリーが、米G1に勝っています。インランジェリーは、レッドファンタジアとは4分の3同血の姉で、こちらも日本に輸入されています。
3代母フォンチャッターは、米15戦5勝。ダートG1を2勝しました。
5代母フープラーは、米35戦7勝。産駒から、G1勝ち馬が出ています。
母系は、タピット、リローンチ、サマーバードなどが出た、ブラックブロウケイド牝系。日本では、まだこれといった大物は出ていません。

(1)ディープ×アンブライドルズソング
ディープ×母父アンブライドルズソングは、有名なニックスで、これまでに20頭がデビューして、18頭が勝ち上がり(全て中央)、ダノンプラチナがG1勝ち。未勝利の2頭のうちの1頭は、デビューしたばかりでキャリア1戦の2歳馬なので、まだまだこれからでしょう。
とくに、今年は、レッドベルジュールを皮切りに、ブレッシングレイン、コントレイル、ルナシオンと次々に勝ち上がっており、ちょっとした当たり年になりそうな勢いです。

(2)ディープ×アンブライドルズソング×ストームキャット
ニックスといえば、ディープ×ストームキャットも有名ですが、この2つのニックスを掛け合わせた、ディープ×アンブライドルズソング×ストームキャットのパターンも徐々に増えてきました。
今年は、レッドベルジュール、ブレッシングレインコントレイルの3頭がデビューして、すべて新馬勝ち。通算でも、8頭がデビューして、8頭すべてが中央で勝ち上がっています。まだ重賞勝ち馬は出ていませんが、要注目の配合パターンでしょう。

(3)ハイインロー関連
レッドベルジュールの配合は、どうしても米血に偏りがちですが、ハイインロー関連での面白いクロスとしては、ヒラリー6×6、または、そのヒラリーのクロスを絡めて、エーデルワイス≒フープラー5×5の相似クロス(ヒラリー、サーギャラ八ッド=ブルドッグ、マンノウォー、ダーバーが共通)があげられるでしょう。

エーデルワイス(サンデーの3代母)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000393160/pedigree/
フープラー(レッドベルジュールの5代母)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000391810/pedigree/

エーデルワイスを活かしたクロスというと、これまでは、スワップスやフラワーボウルの血を利用したものが殆んどで、ヒラリーを軸にしたフープラーのようなケースは、母レッドファンタジアの産駒を除けば、あまり見かけないものです。しかし、エーデルワイスは、サンデーの配合において重要な位置を占めているので、その血を活用したクロスであれば、それなりの効果を見込んでもよいでしょう。

(4)まとめ
レッドベルジュールの配合は、ディープ×アンブライドルズソングと、ディープ×ストームキャットの2つのニックスを軸にしたもので、(2)で検討したように、再現性の高い配合と言えそうです。
あとは、大物が出るかどうかということですが、個人的には、レッドベルジュールにはかなりの期待をしていました。そこへ、喉鳴り問題が浮上ということで、ちょっと残念な事態となってしまいましたね。なんとか、ディリー杯2歳Sで賞金を加算して、余裕をもって手術へ臨めるとよいのですが。

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引き続き、馬体のほうも見ていきましょう。
ディープ×アンブライドルズソングの配合でよく見かける体型で、基本的には、ディープよりもアンブライドルズソングの影響が強く出ています。
2頭の全姉では、レッドベルディエスのほうに似ており、ダノンプラチナともよく似ています。このニックス配合の出世頭であるダノンプラチナと比較しても、馬体面では甲乙つけがたいレベルでしょう。
レッドベルローズは、かなりストームキャットの影響が出ているので、それほど似ていないようです。
今年のディープの2歳産駒の馬体評価リストでは、牡馬の10位タイに取りあげました。

レッドベルローズ(2歳)
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レッドベルディエス(2歳)
http://www.tokyo-tc.com/mng_h_img/org_kinkyo_RedFantasia16_11.jpg

ダノンプラチナ(2歳)
http://www.keibado.com/keibabook/141222/photo10.html

ディープインパクト
https://livedoor.4.blogimg.jp/jrdbjp/imgs/2/e/2e0bbb10.gif
アンブライドルズソング
https://www.paulickreport.com/wp-content/uploads/2013/02/unbridleds-song-th.jpg

最後に、今後の展望について。
素質の高さは疑いようがないと思いますが、すべては、喉鳴りの手術の成否にかかっています。現時点では、それ以上のことは何も言えないでしょう。