明日のデイリー杯2歳Sには、もう1頭、ライティアも出走を予定していますので、こちらも取りあげておきましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=d50HybbJJOo
https://db.netkeiba.com/race/201909040505/

牝馬限定戦ということもあり、オークス馬シンハライトの全妹というネームバリューから、一本被りの人気を集めました。スタートすると後方に控え、4角では大外を回す形になりましたが、直線に向くと危な気なく抜け出して、新馬勝ちを収めています。
とりたてて強力な相手もいなかったので、この1走だけでは何とも言えませんが、2戦目にデイリー杯2歳Sを選んだのは、期待の大きさの表れでしょう。
レース内容は申し分なかったと思いますが、やはり、418キロという馬体重は気になります。姉のシンハライトも小柄な馬でしたが、妹のほうは、測尺的に更に小さいので、今後の馬体の成長がカギとなってくるでしょう。

https://www.jbis.or.jp/horse/0001231743/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきます。
母シンハリーズは、米G1・デルマーオークス(芝9F)に勝ちました。繁殖牝馬としても優秀で、ライティアの全兄アダムスピークは、ラジオNIKKEI賞2歳Sに勝ち、全姉シンハライトは、オークスに勝ちました。他の種牡馬の産駒でも、、ゼンノロブロイの仔の半姉リラバティが、重賞に勝っています。
祖母ベイズは、米英24戦5勝。シンハリーズ以外の産駒としては、シンハリーズの全弟キングエドワードが、G2で2着1回3着1回とまずまずの成績を残しています。
母系は、ハイペリオン、サートリストラム、リナミックスなどの出た、名門ゴンドレット牝系。ただ、日本では、それほど活躍馬は多くなく、G1馬は、シンハライトだけのようです。ディープ産駒では、仏1000ギニー馬ビューティパーラーや、ヴィクトリアマイル2着のプリモシーンが、この牝系の出身になります。

(1)ディープ×シングスピール
ディープ×母父シングスピールの配合は、以前からニックス候補として期待していたもので、これまでに7頭がデビューして、7頭すべて中央で勝ち上がり、重賞勝ち馬は2頭、シンハライトがオークスに勝っています。
成績は素晴らしいのですが、いかにもサンプル数が少なく、配合が優れているのか、たんにシンハリーズが繁殖牝馬として優れているだけなのか、判然としません。
シングスピールが、ディープと相性がよいのでは推測する根拠は、シングスピールの祖母がバラードである点にあります。バラードは、20世紀を代表する名繁殖牝馬の1頭で、とくに、ヘイローとの好相性で知られていました。ヘイローは、サンデーの父ですから、当然、サンデー系との相性がよいと考えられます。
さらに、ディープ×バラード一族の配合から、5頭もの重賞勝ち馬(ダノンバラード、フレールジャック、ヴィルシーナ、マーティンボロ、ヴィブロス)が出ており、ヴィルシーナ&ヴィブロス姉妹はG1に勝っています。ディープが、特定の一族との交配でこれほど多くの重賞勝ち馬を出した例は、他にはパシフィックプリンセス一族くらいしか思い付きません。
というわけで、ディープ×シングスピールの配合は、もっと試してほしかったのですが、今となっては仕方ありませんね。

(2)ヘイロー≒サーアイヴァーの継続
母シンハリーズは、ヘイローの血を持っており、ライティアとしては、ヘイロー≒サーアイヴァー3・5×4の相似クロスということになります。
シングスピールの祖父サドラーズウェルズの血の重さを緩和するのにも役に立つでしょう。

(3)まとめ
ライティアの配合は、ディープ×バラード一族の相性のよさをベースに、サドラーズウェルズの底力を重苦しくならない形で付け加えたものです。
全兄姉がともに活躍していますし、妹も新馬勝ちということで、何度やっても外れのない配合でしょう。
そうなると、問題となってくるのは、馬格の無さとということになります。そのあたりを、次の馬体のコーナーで検討してみましょう。

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引き続き、馬体のほうも見ていきます。
コンパクトにまとまった、ディープの牝馬産駒らしい体型でしょう。
全兄アダムスピークは、体型がまったく異なるので、比較する対象は、全姉シンハライトになります。
シンハライトも小柄な馬でしたが、1歳時のクラブ募集のさいの測尺では、さらにライティアのほうが数値的に小さかったようです。デビュー戦の馬体重も、シンハライトが430キロで、ライティアは418キロ。やはり、ウェイトアップは緊急の課題と言わざるをえません。
体型的には、シンハライトは小さいなりに胴伸びがあったのに対し、ライティアはまとまった体型なので、妹のほうは、オークスよりも桜花賞向きだと思われます。

シンハライト(2歳)
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最後に、今後の展望について。
デビュー戦は、パッとしないメンバー構成だったので、デイリー杯2歳Sが、試金石の一戦となります。前日のオッズでは、3番人気に推されていますが、紅一点で牡馬をまとめて負かすようだと、前途は一気に開けてきます。負けた場合でも、上位争いが出来れば、充分でしょう。
ただ、目先のことはともかく、来春のクラシックということでは、しつこいようですが、馬体の成長が重要です。この点がどうなるかで、この馬の将来も決まってくるでしょう。