日付が変わってしまいましたが、東京スポーツ杯2歳S出走予定のディープ産駒の最後は、コントレイルを取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=YV_07CsH1WQ
https://db.netkeiba.com/race/201909040405/

コントレイルは、ノースヒルズの生産馬ですが、POGシーズンの人気は控えめなものでした。というのも、ノースヒルズの前田オーナーは、その年の期待馬をストーレートに包み隠さず仰るタイプで、その発言がそのまま生産馬のPOG人気に反映されるわけです。これは、生産馬を基本的に外部に出さないオーナーブリーダーならではでしょう。で、前田オーナーの今年の期待馬はというと、キズナの初年度産駒である、ビアンフェやリメンバーメモリーの名前が大々的にあがりましたが、牡牝あわせて3頭いるディープの2歳産駒は、牝馬のロニセラの名前がちらっと出たかなという程度でしたね。
しかしながら、調教の段階になると、なかなかの動きの良さを披露し、結局、デビュー戦では断然の1番人気に推されることになりました。レースは、抜群のスタートから好位につけ、持ったまま直線に入ると、最後は軽く気合をつけましたが、ほぼ持ったままで2馬身半差の楽勝でした。メンバーのレベルには疑問が残りましたが、レース内容は素晴らしかったと思います。
ただ、いきなり重賞挑戦、しかも東京スポーツ杯2歳Sというのは、正直、意外でした。一気に相手関係が強化されるので、どこまで対応できるかは、注目されるところですね。

https://www.jbis.or.jp/horse/0001237042/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母ロードクロサイトは、7戦未勝利。産駒は、まだこれというほどの活躍馬を出していません。
祖母フォークロアは、米8戦4勝2着3回3着1回、G1戦2勝、G2戦1勝。競争成績は、素晴らしいのですが、繁殖に上がってからの成績は、かなり物足りない感じです。
4代母ジーノは、米49戦10勝。G3重賞を2勝しています。
5代母バジーは、米31戦9勝。米G1・デラウェアH(ダート10F)に勝ちました。産駒は、ジーノがそこそこ活躍しましたが、それ以外はパッとせず、晩年は日本に輸入されましたが、これといった産駒は出ませんでした。
母系は、超名門ラトロワンヌ牝系。活躍馬は、あまりにも多すぎるので、ラトロワンヌの4番仔&コントレイルの9代母ベイビーリーグの分枝から出た馬に限ると、ナンバードアカウント、スマーティジョーンズ、マインシャフトなどがあげられます。日本におけるこの分枝の活躍馬は、スクリーンヒーローやダイナアクトレスが出ていますね。

(1)ディープ×アンブライドルズソング×ストームキャット
ディープ×母父アンブライドルズの配合は、レッドベルジュールを取りあげたさいに扱ったばかりですが、おさらいしておくと、20頭がデビューして、18頭が勝ち上がり(全て中央)、重賞勝ち馬は2頭、ダノンプラチナがG1に勝ちました。レッドベルジュールが、あらたに重賞ウイナーの仲間入りをしましたね。

レッドベルジュール
https://www.jbis.or.jp/horse/0001236815/pedigree/
ブレッシングレイン
https://www.jbis.or.jp/horse/0001236264/pedigree/

これもレッドべルジュールの投稿で触れたのですが、ディープ×アンブライドルズソング×ストームキャットの配合の産駒が、今年はすでにレッドベルジュール、ブレッシングレイン、コントラチェックと3頭もデビューしており、いずれも新馬勝ちを収め、レッドベルジュールはデイリー杯2歳Sを制しました。
トータルでも、8頭がデビューし、8頭すべて中央で勝ち上がっています。
ディープ×ストームキャットと、ディープ×アンブライドルズソングという、代表的な2つのニックスを組み合わせただけなのですが、それでも好成績というのは興味深いですね。

(2)祖母フォークロアの配合
望田潤氏の指摘によると、フォークロアの配合は、ダノンキングリーの母マイグッドネスの配合によく似ているそうです。

フォークロア(コントレイルの祖母)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000906032/pedigree/
マイグッドネス(ダノンキグリーの母)
https://www.jbis.or.jp/horse/0001157818/pedigree/
ティズワンダフル(アルジャンナの母父)
https://www.jbis.or.jp/horse/0001031113/pedigree/

この点に関しては、前々回のアルジャンナの投稿で、アルジャンナの母父ティズワンダフルとも絡めて検討したばかりですね。
フォークロアとマイグッドネスとは、ストームキャット、リローンチ、リファール、レイズアネイティヴが共通です。
フォークロアとティスワンダフルとは、ティズナウ、ストームキャット、ミスプロが共通しています。

コントライヴ(コントレイルの3代母)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000795543/pedigree/
マジックストーム(ラキシス&サトノアラジンの母)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000719406/pedigree/

さらに、コントレイルの3代母コントライヴは、ラキシス&サトノアラジンの母マジックストームの配合とよく似ています。ストームキャットとファピアノが共通しており、血量的には、4分の3同血になります。
これだけ似たような配合の成功例が続くと、パターン化が可能なようにも思われますが、もうすこし様子を見守ることにしましょう。

(3)リファールのクロス
コントレイルの母母父ティズナウには、リファールの血が含まれているので、コントレイルとしては、リファール4×6のクロスが生じます。
リファールのクロスは、単独では重苦しくなることも多いのですが、それを緩和してくれるミスプロの血が2本もあるので、問題ないでしょう。

(4)まとめ
レッドベルジュールやアルジャンナと比較すると、母ロードクロサイトの持つ、ファピアノ3×4や、インリアリティ5×5・5に代表されるように、より米国血脈的なパワフルさが前面に出ている配合です。インリアリティは、ウォーレリックの系統なので、ストームキャットの血とは相性がよいでしょう。母系がラトロワンヌ系ということも併せて、配合的には、アメリカンなパワーの要素が目につきます。
反面、成長力のカギとなるハイぺリオンの血は、ノーザンダンサーのクロスに頼ることになりそうです。そのあたりがどうなるかですね。

https://i.daily.jp/horse/toranomaki10/2019/05/06/Images/d_12296790.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていきましょう。
ディープ×アンブライドルズソング×ストームキャットの配合は、アンブライドルズソングが強く出るか、ストームキャットが強く出るかによって体型が変わってきます。
アンブライドルズソングが強く出ると、ダノンプラチナのような胴伸びのある体型となりやすく、代表的な例としては、レッドベルジュール&レッドベルディエスがあげられます。
ストームキャットが強く出ると、ダノンキングリーのようなしっかりまとまった体型となりやすく、代表例としては、コントレイルやレッドベルローズがあげられるでしょう。
ブレッシングレインは、両者の中間といった感じですね。
ぜひ、画像を見くらべてください。

ダノンキングリー
https://umanity.jp/image/horse/20161021794956.jpg
レッドベルローズ
http://www.tokyo-tc.com/mng_h_img/org_kinkyo_RedFantasia15_11.jpg

ダノンプラチナ
http://www.keibado.com/keibabook/141222/photo10.html
レッドベルジュール
https://www.tokyo-tc.com/mng_h_img/org_kinkyo_RedFantasia17_13.jpg
レッドベルディエス
http://www.tokyo-tc.com/mng_h_img/org_kinkyo_RedFantasia16_11.jpg

ブレッシングレイン
https://umatokuimg.hochi.co.jp/horseimages/2017/2017104315/2017104315_201904091421539.jpg

最後に、今後の展望について。
デビュー戦の内容は素晴らしかったのですが、アルジャンナやラインベックの新馬戦と同様に、出走馬のレベルはかなり低かったようです。というわけで、東京スポーツ杯2歳Sが試金石というのも同じですね。前日のオッズでは、3頭ほとんど差がなく、人気を分けあっています。
しかし、アルジャンナやラインベックに較べると、コントレイルは、ハイぺリオンの血の量で一歩も二歩も劣っているので、早い段階から結果を出す必要があります。3頭の中で、最も勝利を必要としているのは、コントレイルということになるでしょう。最低でも、好勝負に持ち込む必要があります。はっきり差をつけられて負けるようだと、今後の巻き返しは厳しくなりそうです。はたして、このメンバー相手に勝ち切ることは出来るのでしょうか。