引き続き、京都2歳Sの出走予定馬の2頭目、トゥデイイズザデイを取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=qjiXsiJ3beA
https://db.netkeiba.com/race/202107050405/

デビュー戦は、7頭立ての少頭数となりましたが、断然の1番人気を集め、レースも余裕のある逃げ切り勝ちでした。しいて気になった点をあげるとすれば、前半5Fが65秒8の超スローペースにもかかわらず、最後は2着馬に詰め寄られたことですが、これについては後ほど触れることにします。
2か月の間隔をとっての2戦目には、京都2歳Sを選択してきました。京都2歳Sといえば、重賞に昇格してからの7年間では、武豊騎手が3勝をあげて得意にしていますね。前売りの人気では、同じディープ産駒のキャンデセントを抑えて、堂々の1番人気に推されました。他にも有力馬はいるようですが、この2頭での一騎討ちを期待したいですね。
ノースヒルズ軍団のディープ産駒の期待馬に、武豊騎手が騎乗するとなると、やはり、キズナが思い起こされます。トゥデイイズザデイがキズナに続けるのか、注目されるところでしょう。

https://www.jbis.or.jp/horse/0001312189/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていくことにします。
母キトゥンズクイーンは、米22戦5勝。重賞には勝っていませんが、G1で3着に入った実績があります。産駒は、ハーツクライ産駒のヴィヴァンが初仔(4戦1勝、現役)で、トゥデイイズザデイは2番仔になります。ヴィヴァンは、現状、やや伸び悩んでいるようですが、デビュー戦ではシャフリヤールと接戦を演じたように、それなりに素質はありそうです。
5代母ネヴァースキームは、自身は未出走でしたが、産駒からはG1戦を3勝した、ヴェリーサトルが出ています。
母系は、ややマイナーな、ザスキマー牝系。日本では、意外に活躍馬が出ており、ナリタトップロード、マツリダゴッホ、ダノンプラチナが、G1に勝っています。ダノンプラチナの4代母ダブルエージェントが、トゥデイイズザデイの7代母ですね。

(1)母父キトゥンズジョイ
キトゥンズジョイは、サドラーズウェルズの系統を米国に根付かせた、エルプラドの産駒になります。競走馬時代には、G1戦を2勝し、種牡馬としても、北米リーディングサイアーのタイトルを2度も獲得する成功を収めました。
ディープ×母父キトゥンズジョイの配合の産駒は、5頭がデビューし、3頭が勝ち上がり(全て中央)、重賞勝ち馬はまだ出ていません。未勝利の2頭も、ともに中央で2着に来たことがあり、まったくの空振りだったというわけではありません。

(2)アルザオ≒エルプラド
トゥデイイズザデイの配合で、まずまず目につくのは、アルザオエルプラド3×3の相似クロス(ノーザンダンサー、サーアイヴァーが共通)でしょうか。
このクロスの活躍馬としては、今のところ、サンクテュエールくらいですが、類似の例として、アルザオ≒タッチオブグレイトネスの相似クロスは、3頭のG1馬を送り出しています(フィアスインパクト、ケイアイノーテック、ショウナンアデラ)。

(3)ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャル
ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャルの配合パターンは、栗山求氏の推奨されているものです。主な活躍馬としては、サクソンウォリアー、スノーフォール、トーセンラー&スピルバーグ、ディープブリランテ、ワグネリアン、ヴィルシーナ&ヴィブロス、マリアライト、ミッキークイーン、アカイトリノムスメ、ジュールポレール、ショウナンアデラなど。
トゥデイイズザデイの場合、ミスプロの血が、やや奥の方にあるので、あまり綺麗な形とは言えないかもしれませんが、とにかく成功例の多いパターンですからね。

(4)母キトゥンズクイーンの配合
これも、あまりピタッとした形ではないのですが、母キトゥンズクイーンの血統は、父母相似配合のパターンになっていると思います。

キトゥンズクイーン
https://www.jbis.or.jp/horse/0001223219/pedigree/

キトゥンズジョイと母ハイチャントは、ノーザンダンサー、ロベルト、ボールドリーズン≒ネヴァーベンド、ナスキロラトロなどが共通です。
同じような配合パターンの父と母の掛け合わせで、さらなる増幅を図るのが、父母相似配合の原理となります。
ディープは、こうした強いインブリード配合の母馬とは好相性ですからね。

(5)まとめ
配合的には、大物を出しうるポテンシャルがあると思いますが、しいて言うなら、母キトゥンズクイーンの配合が、やや米国血脈に偏っている点は心配です。ディープという種牡馬は、お相手の母馬が、米国血脈に偏りすぎていても、欧州血脈に偏りすぎていても、アヴェレージが下がる傾向にあります。ただ、キトゥンズクイーンの場合、そこまで偏っていると言ってよいかは微妙なところ。このあたりがどう出るのかが、今後の注目点になりそうです。

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引き続き、馬体のほうも見ていきます。
体型的には、ディープよりも、全兄ブラックタイドのほうに似ています。
ブラックタイドの体型は、母父アルザオに由来するものなのですが、トゥデイイズザデイにある、アルザオ≒エルプラドの相似クロスの血量が大きい(3×3)ので、体型面にも影響が及んだのでしょう。
さらに遡れば、アルザオの体型は、その父リファールに由来します。したがって、リファール~アルザオ~ブラックタイドの体型を受け継ぐということは、リファール的な粘っこいレース振りも引き継ぐということになるので、ディープ的な末脚の切れという点には、あまり期待できないかもしれません。そのあたりが、新馬戦においてゴール前で末脚が鈍ったことと関係している可能性もあります。それならそれで、ブラックタイドの代表産駒のキタサンブラックのように、先行タイプで活躍すればいいだけの話です。武豊騎手が、デビュー戦で逃げの選択をしたことにも、こうした意味が背景にあったのかもしれませんね。

ブラックタイド
https://www.jbis.or.jp/horse/images/0000722797_1/
アルザオ
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リファール
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ディープインパクト
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最後に、今後の展望について。
ここまで見てきた通り、トゥデイイズザデイは先行押し切り型の可能性が高いように思われるのですが、もしその見方が正しいのなら、内回り2000mの京都2歳Sは、まさに打ってつけの舞台ということになりそうです。
武豊騎手が、今回はどういう乗り方を選択するのか、そして、キャンデセントとの現時点での力関係はどうなのか、さまざまなことが、京都2歳Sのレース内容によって明らかになるものと思われます。
今後の行方を占う一戦になりそうですね。