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ディープインパクト産駒を研究してPOGでの勝利を目指すシロウト競馬ファンの奮闘記

2014年産

速報・マカイビーディーヴァS

フィアスインパクトが、豪G1・マカイビーディーヴァS(芝1600m)に優勝しました。
これで、G1戦3勝目ですね。

https://www.youtube.com/watch?v=NQIkQFVFrdg
https://www.racingpost.com/results/297/flemington/2020-09-12/766704

https://www.jbis.or.jp/horse/0001189921/pedigree/

昨年、カンタラS&トゥーラックHでG1戦を2勝した、フィアスインパクトでしたが、今年はハンデを背負わされるケースも多く、G1戦では4走して2着1回3着2回と惜しいレースが続いていました。
今回のマカイビーディーヴァSも、トップハンデの59キロを背負いましたが、実績が評価されて、1番人気に推されました。
僅差の2番人気は、豪G1・サウスオーストラリアンダービー(芝2500m)に優勝した、3歳馬のラシアンキャメロット。マイル戦でも優勝経験があり、3歳馬なのでハンデも控えめの57.5キロにとどまりました。
さらに僅差の3番人気は、6歳牝馬のパーフェクトジュウェル。G1未勝利ながらも、重賞5勝のタフな牝馬で、57キロのハンデが魅力だったようです。

レースでは、これまで後方から大外ブン回しがパターン化していたフィアスインパクトが、珍しく5~6番手の先行策をとりました。直線に向くと、馬群を割って抜け出しを図り、いったんははっきりと先頭に立ったのですが、ラシアンキャメロットがハンデ差を活かして追い上げます。ラシアンキャメロットは、頭差まで追い詰めましたが、フィアスインパクトが振り切って、G1戦3勝目を飾りました。
今年に入って、惜しいレースの続いていたフィアスインパクトでしたが、3度目のG1制覇ということで、昨年の活躍がまぐれでないことを証明し、種牡馬入りに向けて大きく前進したと言えるでしょう。
なお、このあとの予定が既に公表されており、コーフィールドS→コックスプレートという2000m路線へ挑戦するようです。新たな挑戦でどのような走りを見せてくれるのか、要注目ですね。

速報・カンタラS

フィアスインパクトが、豪G1・カンタラS(芝1600m)を制し、先日のトゥーラックHに続き、G1戦2連勝を飾りました。

https://www.youtube.com/watch?v=kdRrk0fJ3CA
https://www.racingpost.com/results/297/flemington/2019-11-02/744055

https://www.jbis.or.jp/horse/0001189921/pedigree/

カンタラSは、オーストラリアの古馬マイル路線のシーズン前半(南半球なので)を締めくくる重要なレースで、同じG1とはいっても、賞金総額ではトゥーラックHの4倍にもなります。1881年創設という、オーストラリアでも屈指の伝統を誇り、事実上、トゥーラックHは、カンタラSのトライアル的な位置付けのレースとなっているのです。
フィアスインパクトは、前走でトゥーラックHに勝っているとはいえ、ハンデに恵まれた側面もあり、3番人気にとどまりました。スタートすると後方に控え、4角ではかなり外を回らされますが、直線では馬群を割って3頭の叩き合いとなり、最後は短頭差で接戦を制し、2つ目のG1勝利となりました。
この勝利は、フィアスインパクトの将来にとっても、大きな意味を持つことになります。正直、G1としては格の低いトゥーラックHに勝っただけでは、引退後の種牡馬入りは微妙でしょう。しかし、トゥーラックHとは比較にならないビッグタイトルでG1戦2勝目となれば、種牡馬入りはほぼ確実です。全弟のケイアイノーテックもG1馬という点も、プラスに働くと思われます。今回の勝利は、自力で運命を大きく切り開いた勝利と言ってよいでしょう。

速報・トゥーラックH

フィアスインパクトが、豪G1・トゥーラックH(芝1600m)に優勝しました。
ディープインパクト産駒の海外G1勝ち馬は、これで10頭目となり、二桁の大台に乗りました。日本の種牡馬では、ダントツの数字ですね(2位は、サンデーの4頭)。

https://www.youtube.com/watch?v=RaV59-MelzU
https://www.racingpost.com/results/469/caulfield/2019-10-12/742422
https://world.jra-van.jp/news/N0005945/

https://www.jbis.or.jp/horse/0001189921/pedigree/

フィアスインパクトは、NHKマイルCの勝ち馬であるケイアイノーテックの全兄。2016年にイギリスでデビューしましたが、2018年にオーストラリアへ移籍し、同年12月には、豪G3・サマーC(芝2000m)を制して重賞初勝利。
今回は4度目のG1挑戦となりましたが、54.5キロと手頃なハンデに恵まれたこともあり、見事にG1初制覇となりました。
トゥーラックHは、2017年にトーセンスターダムも勝利しており、ディープ産駒と好相性のレースと言えそうですね。

追伸
海外G1を勝ったディープ産駒は、ビューティパーラー、ジェンティルドンナ、リアルインパクト、エイシンヒカリ、リアルスティール、ヴィブロス、トーセンスターダム、サクソンウォリアー、スタディオブマン、フィアスインパクトの10頭です。

速報・メシドール賞

ジェニアルが、仏G3・メシドール賞に優勝しました。
母サラフィナの血が騒いだのでしょうか。

https://www.youtube.com/watch?v=jUo-bUUSPck
http://www.paris-turf.com/programme-courses/2018-07-22/reunion-maisons-laffitte/resultats-rapports/prix-messidor-1086189
https://www.hochi.co.jp/horserace/20180722-OHT1T50324.html

http://www.jbis.or.jp/horse/0001191664/pedigree/

回避馬が続出し、最終的には4頭立てとなってしまいましたが、ターレーフとジミートゥータイムズの2頭は、かなりの実績馬で、オッズ的にも人気を二分しました。ターレーフは、昨年のメシドール賞の勝ち馬で、重賞を通算5勝(G2×2、G3×3)、G1での実績としては、昨年のムーランドロンシャン賞で2着になりました。ジミートゥータイムズは、重賞3勝(G2×1、G3×2)、G1では一昨年のモーリスドゲスト賞で3着にきています。人気の2頭に対して、2勝馬のジェニアルと1勝馬のザラメアは、戦績的にはかなり差がありました。
レースは、ジェニアルが押し出されて逃げる形となりましたが、本職の逃げ馬ではないので、ペースはスローに落ち着き、上がり勝負の叩き合いとなります。いったんは、ジミートゥータイムズが前に出る場面もありましたが、最後はジェニアルが差し返し、半馬身差をつけて優勝しました。
ジミートゥータイムズやターレーフは、ここが目標ではないので、メイチの仕上げでなかったのは当然ですが、そうはいっても、重賞を幾度も勝ち、G1でも上位争いをしている2頭を破ったのは、価値ある勝利と言えるでしょう。
ジェニアルは、日本では未勝利と500万条件を勝っただけの2勝馬にすぎませんが、やはり、サドラーズウェルズの血が入っているので、日本の高速馬場よりも、欧州の競馬場のほうに適性があるようです。母は、仏オークスなどG1戦3勝のサラフィナですが、息子も頑張っているというところを、フランスの競馬ファンに見せることが出来て良かったと思います。
なお、陣営の戦前のコメントでは、メシドール賞に勝つようなことがあれば、G1挑戦もありうるということでしたので、そちらのほうも楽しみですね。

スイートピーS短評

また雑用に追われて、更新が滞ってしまいました。
今年は、POG本の発売が前倒しになっているので、新シーズンの予習も始めないといけませんね。
今回は、ブラックスビーチの勝った、スイートピーSと未勝利戦をまとめて取りあげます。

未勝利戦
https://www.youtube.com/watch?v=glQ60MNWleA
http://db.netkeiba.com/race/201709020303/

スイートピーS
https://www.youtube.com/watch?v=8YXEaD_pWzY
http://db.netkeiba.com/race/201705020411/

初勝利をあげたのは、デビューから4戦目と遅かったのですが、未勝利戦の勝ちっぷりが上々という評価で、スイートピーSでは3番人気に推されました。中団から、直線では外に持ち出して追い込み、ゴール前の大混戦を制して、オークス最終便の切符をつかみました。
正直、トライアルとはいえ、スイートピーSのメンバーはお世辞にも強いとは言えず、今年の牝馬クラシックのレベルの高さを考えると、オークスでは厳しい戦いを強いられることになるでしょう。しかし、レースを使うごとに内容が良くなっているように、ここにきての成長は注目されるところです。ごちゃごちゃした紛れのありそうな展開になれば、あるいはチャンスもあるかもしれませんね。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001191241/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母ビジュアルショックは、13戦未勝利。産駒には、ブラックスビーチの全姉レッドカルディアがいます(7戦1勝、現役)。
祖母リーチフォーザムーンは、英愛2戦1勝。負けたレースは、フィリーズマイルというイギリスの2歳G1戦での3着だったので、かなりの素質馬だったと考えてよいでしょう。アメリカで繁殖入りした後、日本に輸入されましたが、これといった活躍馬は出ていません。
3代母チャンシースコーは、米9戦1勝。繁殖牝馬としては、芝にダートに海外にと、さまざまなG1レースを勝ちまくった(6勝)、アグネスデジタルを出しています。
5代母ランナウェイブライドは、名種牡馬ブラッシンググルームの母。
母系は、超名門レディブリリアント牝系。活躍馬は大量にいますが、日本でも、キングカメハメハ、アグネスデジタル、フジキセキ、ビリーヴなど、大物を数多く出しています。

(1)母ビジュアルショックの配合
母ビジュアルショックは、キングマンボ×レディブリリアント牝系という配合なので、キングカメハメハの配合と類似性があります。

ビジュアルショック
http://www.jbis.or.jp/horse/0001100858/pedigree/
キングカメハメハ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000729458/pedigree/

ビジュアルショックもキングカメハメハも、5代母はエイミーです。また、両馬の母のリーチフォーザムーンとマンファスの配合は、ともにノーザンダンサー×ナスキロラトロの配合となっています。
サンデー系とキングカメハメハの相性がよい要因の1つとして、サンデーの母母母父ヒラリーの配合を指摘できるでしょう。

ヒラリー
http://www.jbis.or.jp/horse/0000334297/pedigree/

見てのとおり、ブラックレイ3×4という特徴的な牝馬クロスがありますが、ブッラクレイは、先ほどのエイミーの3代母にあたります。このブラックレイのクロスがあるので、サンデーは、キングカメハメハやミルリーフと相性がよく、フジキセキ(8代母がブラックレイ)のような馬が出る下地ともなっているわけです。

ビジュアルショックの配合で目につくのは、やはり、ミスタープロスペクター2×4のクロスでしょう。当ブログでも、強いクロスを持つ繁殖牝馬は、ディープと好相性であると指摘してきましたが、ミスプロのクロスを持つ繁殖牝馬となると、あまり成功例がありません。ミスプロは、柔らかい体質を伝えるので、ディープとの掛け合わせでは、柔らかすぎるのかもしれません。

トーセンスターダム
http://www.jbis.or.jp/horse/0001139037/pedigree/

ディープ×ミスプロのクロスの配合で、最も成功したのは、トーセンスターダムだと思います。オーストラリアに移籍するという珍しい競走馬生活をおくっていますが、現地でもG1戦2着2回とまずまずの成績をおさめています。トーセンスターダムの母アドマイヤキラメキとビジュアルショックの共通点は、ミスプロとノーザンダンサーのクロスを併せ持っていることで、ノーザンダンサーのクロスが、柔らかすぎることへの歯止めになっていると考えられるでしょう。
ただし、ビジュアルショックのように、2×4という強いクロスを持つことは、クロスされた馬が何であるかということ以上に、強いクロスそのものがもたらす活力に注目すべきです。もちろん、それは両刃の剣でもあり、ギャンブル的な側面もありますが、ディープという種牡馬は、そうした強いクロスを持つ牝馬との間に実績をあげてきたのも事実でしょう。

(2)プルピット
ビジュアルショックの母父プルピットは、産駒のタピットが北米リーディングサイアーとなりましたが、そのおかげで、ボールドルーラー系は、一時の低迷を完全に脱却し、再びノーザンダンサー系やミスプロ系に対抗できるだけの存在へと浮上してきました。タピットの種付け料は、いまや北米ナンバーワンです。ボールドルーラー~シアトルスルー~エーピーインディ~プルピット~タピットの流れの中で、個人的に注目しているのが、プルピットです。

プルピット
http://www.jbis.or.jp/horse/0000337958/pedigree/

注目する理由は、母系がディープと同じだからであり、両馬とも6代母がフェオラなのです。
プルピットの血を持つディープ産駒というと、今年の皐月賞を制したアルアインが代表的でしょう。しかし、アルアインとブラックスビーチとは、あまり配合的な関連が強いとはいえません。
とはいえ、ディープ×プルピットの配合から、成功例が出始めているのは事実なので、今後も注目する必要があると思います。
ちなみに、同じ母系という観点では、ディープ×テイルオブザキャットや、ディープ×ヨハネスブルグも要注意な配合でしょう。

(3)まとめ
ディープ×母父キングマンボの配合は、あまり成功例がないので、どうしても側面から攻めるような考察になってしまいました。母ビジュアルショックは、ミスプロやナスキロの血が濃いので、馬体に芯が通るまでに時間がかかると予想されますが、その点は、4戦目の初勝利や、初勝利の次走でいきなりオークストライアルを制した急上昇ぶりに表れていると言えそうです。
本格化は、まだ先のことだと思いますが、オークスでは気楽に一発狙いという姿勢でよいでしょう。

引き続き、馬体のほうも見ていきたいのですが、ネットにもPOG本などにも、適当な画像が見あたりません。オークスでは、フォトパドックなどに取りあげられる可能性もあると思うので、馬体については、また別の機会にということにさせてください。

青葉賞戦評(編集中)

https://www.youtube.com/watch?v=YRxl8UVzyoY
http://db.netkeiba.com/race/201705020311/

http://www.jbis.or.jp/horse/0001188522/pedigree/

https://www.keibalab.jp/img/horse/2014105979/2014105979_01.jpg

(以下、編集中)

皐月賞回顧(編集中)

https://www.youtube.com/watch?v=2bsOV8jyWTA
http://db.netkeiba.com/race/201706030811/

http://www.jbis.or.jp/horse/0001191607/pedigree/

http://p.nikkansports.com/goku-uma/photo/news/00000001/2016/04/06/1627652-1.jpg

(以下、編集中)

君子蘭賞短評

カワキタエンカが、抽選を突破して桜花賞への出走が決まったので、取り急ぎ、デビュー戦から君子蘭賞までを振り返っておきます。

新馬戦
https://www.youtube.com/watch?v=VADae9RYL5E
http://db.netkeiba.com/race/201608050805/

君子蘭賞
https://www.youtube.com/watch?v=h1Gu9FjyA7w
http://db.netkeiba.com/race/201709020109/

デビュー戦は、同じディープ産駒のスパークルメノウと人気を分け、直線も2頭での叩き合いになりましたが、首差抑えて勝利をおさめました。重馬場で時計のかかる展開でしたが、力強い走りでしたね。
2戦目は、牡馬との混合戦の千両賞でしたが、アルアインの3着に終わりました。とはいえ、勝ったアルアインは毎日杯を制し、2着のキョウヘイはシンザン記念に勝ち、7着のオールザゴーもマーガレットSに勝って3勝目をあげるなど、条件戦らしからぬハイレベルのメンバーだったので、むしろ大善戦と言ってもよいでしょう。
休み明けの3戦目は、桜花賞トライアルのチューリップ賞に出走し、ソウルスターリングの5着。勝ち馬には離されましたが、3着のリスグラシューとはコンマ2秒差でしたから、ここまでの実績からすれば、悪くないレースだったと思います。
続く、君子蘭賞では、はじめて逃げるレースを試みましたが、後続をしっかり振り切って快勝しました。千両賞やチューリップ賞で戦ったメンバーを考えれば、ここは順当勝ちでしたが、この勝利によって桜花賞への道が開けたわけです。
本番の桜花賞は、相手も強力ですし、中1週のローテーションもあって、厳しい戦いが予想されます。しかし、あえて有利な条件を探すとするなら、金曜から土曜にかけての降雨により、桜花賞当日もパンパンの良馬場は期待できないという点があげられるでしょう。デビュー戦と千両賞では重馬場で好走した実績がありますから、時計のかかる馬場になれば、チャンスがあるかもしれません。前売りオッズでは、12番人気の低評価ですが、なんとか馬場を味方につけて、引っかき回したいところですね。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001189560/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母カワキタラブポップは、28戦1勝。産駒は、他にサムライハート産駒のカワキタピリカがいます(9戦1勝、現役)。
4代母ベラドラは、米ダートG3勝ち馬。直仔にこれといった大物はいませんが、孫の代からは、南アフリカのG1馬オールウィルビーウェルが出ました。
5代母プレイヤーベルは、グレード制導入前ですが、G1相当のシャンペインSとアーリントンワシントンフューチュリティS(現在はG3まで降格)を勝った、サイレンレントスクリーンを出しました。
母系は、米国の名門アイドルファンシー牝系。メダグリアドーロ、ジャヴァゴールド、インディアンスキマーなどが出ています。日本では、まだG1馬が出ておらず、アイポッパーあたりが出世頭です。タッチングスピーチ&ムーヴザワールドもこの母系の出身で、5代母がプレイヤーベルになります。

(1)ステファノスとの共通点
カワキタエンカの配合は、ディープ×母父クロフネです。この配合の産駒は、これまでに18頭がデビューして、17頭が勝ち上がり(うち2頭は地方)、ステファノス&シャイニングレイが重賞勝ち。G1馬は、まだ出ていませんが、抜群の勝ち上がり率をあげており、唯一の未勝利馬ゴールデンバイオも中央で2着1回3着1回の実績があるので、まだ地方で現役ですから未勝利脱出の可能性も残されています。ディープ×母父フレンチデピュティの配合も、勝ち上がり率が高く、基本的に好相性の配合と言ってよいでしょう。

ステファノス
http://www.jbis.or.jp/horse/0001141375/pedigree/

カワキタエンカは、過去のディープ×クロフネの配合の成功パターンを、数多く踏襲しています。
まず、ステファノスとの共通点を見ていきましょう。大きなものとしては、ディープ×母父クロフネ×母母父ミスプロ産駒×母母母父ノーザンダンサー系×バックパサーの枠組みと、母馬がフレンチデピュティの持つエイトサーティ≒グッドエグザンプルの相似クロスを継続していることの2点が目につきます。
サンデー系×クロフネの配合と、ミスプロやニジンスキーが好相性なのは、クロフネロベルトの血を持つことに起因するようです。そのメカニズムについては、前回のアドミラブルの投稿で詳しく解説したように、サンデーとロベルトの間で発生する、フリーフランスジョンズタウンの相似クロスを、ミスプロはジョンズタウン、ニジンスキーフレイミングトップで継続することによるものです。クロフネ×母父サンデー系の配合では、フサイチリシャールクラリティスカイ、ホワイトフーガなど多数の成功例があります。ホエールキャプチャは、一見すると該当しないように思えますが、実はロベルトとは別にもう1本ナシュアの血がある(4代母チヨダマサコの父母父)ので、ジョンズタウンが追加されており、やはり当てはまっているのです。
ディープ×母父クロフネの場合も、ステファノス(ミスプロ)、シャイニングレイ(ニジンスキー)、アドマイヤダイオウ(ミスプロ)など、活躍馬はいずれも該当しています。
エイトサーティ≒グッドエグザンプルの継続のほうは、ディープ×クロフネの配合ではステファノス、ディープ×フレンチデピュティの場合はマカヒキ&ウリウリが当てはまっています。フレンチデピュティの配合の核は、エイトサーティ≒グッドエグザンプル5×4なので、それを継続した繁殖牝馬は、好配合と言えるのです。

(2)シャイニングレイとの共通点
次に、シャイニングレイとの配合上の共通点を確認していきましょう。

シャイニングレイ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001153992/pedigree/

ディープ×クロフネ×マルゼンスキー(父ニジンスキー)が共通です。マルゼンスキーを、ノーザンダンサー×バックパサーと考えるなら、(1)のパターンとも類似性があります。また、(1)で見たように、サンデー系×ロベルトとの配合において、ニジンスキーの血は好相性です。
それから、クロフネは、ノーザンダンサー×ナスキロラトロ配合ですが、カワキタエンカ&ステファノス&シャイニングレイの祖母も、広い意味でのノーザンダンサー×ナスキロラトロ配合です。したがって、ディープ×(ノーザンダンサー×ナスキロラトロ)×2と見なすことも可能です。

(3)アドマイヤダイオウとの共通点
アドマイヤダイオウは、まだ重賞には勝っていませんが、皐月賞トライアルの若葉Sを制して、全弟のアドマイヤロブソンも素質を見せていることから、配合そのものは優れていると考えられます。

アドマイヤダイオウ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001174277/pedigree/

こちらは、ディープ×クロフネ×ミスプロ×マルゼンスキー(≒ワンフォーオールが共通。(1)と(2)の中間のようなパターンですね。
(1)~(3)まで見てきて判ることは、ディープ×クロフネの成功例は、お互いにかなり似たような配合だということでしょう。

(4)まとめ~アドマイヤミヤビとの共通点
明日の桜花賞には、サンデー系×クロフネ配合の馬が、もう1頭出走します。そのアドマイヤミヤビは、人気薄のカワキタエンカとは対照的に、前売りで2番人気の高評価を受けています。

アドマイヤミヤビ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001190477/pedigree/

注意して見れば、ディープの近親馬であることに気付きますが、サンデー×ウインドインハーヘア(ディープの母)×ノーザンダンサー×バックパサーが共通です。
母の父がクロフネの重賞勝ち馬は、現時点で4頭いますが、そのうちの3頭のステファノス&シャイニングレイ&アドマイヤミヤビの配合は、カワキタエンカそっくりであり、お互いもよく似ています。このことが意味するところを究明するには、もうすこし時間がかかりそうですが、1つだけはっきりしているのは、カワキタエンカの配合が、典型的な成功パターンに該当しているということです。

新馬戦の表彰式
http://www.keibalab.jp/img/horse/2014101058/2014101058_02.jpg

カワキタエンカの見やすい画像は、ネット上にもPOG本にも無いようです。上記のリンク画像は、新馬戦で勝った時の表彰式の模様ですが、これを見るかぎりでは、典型的なディープの牝馬産駒よりもいくらかガッチリしているようです。
また、血統を検討したさいに、アドマイヤミヤビとの共通点について触れましたが、体型的にも似たところがありますね。
詳しいことは、もうすこし良い画像が入手できたらということにさせてください。

アドマイヤミヤビ(3歳、桜花賞)
http://pc.keibalab.jp/img/upload/focus/201704/170402_admiremiyabi.jpg

アザレア賞短評

また前後しますが、アドミラブルの勝ったアザレア賞と未勝利戦を、あわせて取りあげます。

未勝利戦
https://www.youtube.com/watch?v=QRrJiqBpqNY
http://db.netkeiba.com/race/201709010405/

アザレア賞
https://www.youtube.com/watch?v=S5SbwHrVegc
http://db.netkeiba.com/race/201709020309/

アドミラブルは、POGでも人気がありましたが、昨年9月のデビュー戦は、期待を大きく裏切るブービーの9着でした。惨敗の原因は、喉鳴りでしたが、陣営は素早く決断を下し、手術に踏み切りました。この判断は、称賛に価すると思います。喉鳴りは、あくまでも症状を示すもので、実際には様々な病気の総称なのですが、比較的はやく復帰できたということは、正式発表は無いものの、DDSP(軟口蓋背方変位)と考えてよいでしょう。ベルシャザールのように手術に成功し、復帰後も活躍している例も多いです。ちなみに、最も症状が深刻なのは、喉頭片麻痺です。ダイワメジャーのように手術が成功する場合もありますが、屈腱炎なみに厄介な病気で、ハーツクライやゴールドアリュールのように一気に引退へと追い込まれるケースも少なくありません。なお、DDSPと喉頭片麻痺とは喉の鳴る音に違いがあり、DDSPは「ゴロゴロ」、喉頭片麻痺は「ヒューヒュー」という音がするそうです。

さて、手術から復帰して5ヶ月半ぶりの実戦となる未勝利戦は、この馬の本来の素質の高さを見せつけるレースとなりました。前半5Fが、58秒5というハイペースのなか、豪快に差し切りましたが、注目すべきは、1分45秒8という勝ち時計です。これは、同日の古馬オープン特別の大阪城Sの1分47秒1よりも速いものでした。それだけなら、ペースの違いで片付けることも出来ますが、距離が1800mに短縮されて以降の良馬場で行われた大阪城Sは9回あり、そのうち、アドミラブルのタイムより速い時計で決着したのは、たったの3レースしかありません。しかも、そのうちの2レースは、1分45秒7でしたから、ほとんど同じようなものでしょう。さらに、付け加えるなら、過去の毎日杯の勝ち時計で、アドミラブルのタイムを上回るレースは、1つもありませんでした。まさに、衝撃の復帰戦といっても過言ではないと思います。

途轍もない好タイムでの勝利をうけて、アザレア賞では断然の1番人気に推されましたが、3馬身差の楽勝でした。ハイペースから差し切った前走に対して、今回は前半5F65秒ジャストのスローペースとなりましたが、向正面から早めに動いて、直線の入口では先頭に並びかけるレースということで、様々な距離やペースにも対応できることを証明しました。2着のアドマイヤロブソンもかなりの素質馬ですが、これに何もさせずに完勝ということですから、ポテンシャルの高さは疑いようがないでしょう。
レース後、陣営から、次走は青葉賞とのアナウンスがありました。これにより、青葉賞を回避して、プリンシパルSや京都新聞杯に方向転換する陣営が続出するのではないでしょうか。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001188522/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきます。
母スカーレットは、未出走。産駒には、アドミラブルの全兄姉が2頭います(タブレットとイサベル)が、ともに素晴らしい内容でデビュー戦を勝利したものの、脚元が弱くて大成できませんでした。
祖母グレースアドマイヤは、皐月賞馬ヴィクトリーの母。
3代母バレークイーンは、フサイチコンコルドとアンライバルドの2頭のG1馬を出した名繁殖牝馬です。
4代母サンプリンセスは、G1戦3勝の活躍馬で、繁殖にあがってからも、G1勝ち馬を出しています。
5代母サニーヴァレイは、サンプリンセスとサドラーズホールの2頭のG1馬を出しました。
母系は、欧州の名門ラヴオイル牝系。サンプリンセス、ストリートクライ、コンデュイットなどが出ています。日本では、ネオユニヴァース、フサイチコンコルド、レディパステルなどが出ました。

(1)サンデー系×ロベルト系
ディープ×母父シンボリクリスエスの配合の馬は、これまでに、13頭がデビューして、9頭が勝ち上がり(すべて中央)、重賞勝ち馬はまだ出ていません。未勝利の4頭のうち、1頭は3歳馬で新馬戦2着、他にも2頭が2着の実績がありながら僅か1~2戦で引退ということですから、実際の数字よりも勝ち上がり率は優秀ですが、まだ大物と呼べる馬がおらず、アドミラブルは、待望の大物候補ということになります。ちなみに、ディープ×母父ストームキャットの配合は、今でこそニックスと認定されていますが、最初はなかなか重賞勝ち馬が出ず、はじめて重賞を制したのは、13頭目にデビューしたキズナでした(毎日杯)。
シンボリクリスエスは、当初はサンデー系との配合が期待されましたが、シンボリクリスエス×母父サンデー系も、サンデー系×母父シンボリクリスエスも、活躍馬は出ているものの、期待ほどではないと考える人も多く、やはりサンデー系×ロベルト系の相性は微妙という見方もあるようです。
ディープ産駒の場合も、母父シンボリクリスエスや母父ブライアンズタイムなどのロベルト系との配合は、POGでは狙うべきでないという声もありましたが、ディーマジェスティやゼーヴィントの活躍で、見直しの動きも出ているところです。
当ブログでも、サンデー×ロベルトの相性問題を検討してきましたが、辿りついた結論は、他所では全く指摘されていない或る一族についてでした。

フリーフランス(サンデーの母母母母父)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000336897/pedigree/
ジョンズタウン(ロベルトの母父ナシュアの母父)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000335540/pedigree/
ラフランス(フリーフランス&ジョンズタウンの母)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000387957/pedigree/

サンデーとロベルトとは、同じロイヤルチャージャー~ヘイルトィリーズンの父系なので、多くのクロスが発生する間柄ですが、なかでも怪しいように思われたのが、フリーフランスとジョンズタウンの相似クロスです。両馬は、血量的には、68.75%同血の兄弟ということになります。
ただし、この相似クロス単独では、さほど効果が無いようで、何らかの補強がなされた時、サンデー×ロベルトの配合が成功するケースが多いようです。特に、サンデー系と、シンボリクリスエスやブライアンズタイムの掛け合わせでの活躍馬は、非常に高い確率(というか、それぞれ例外が1~2頭しかいないレベル)で、この補強パターンに当てはまっています。

ミスタープロスペクター
http://www.jbis.or.jp/horse/0000335975/pedigree/
ニジンスキー
http://www.jbis.or.jp/horse/0000333996/pedigree/
フレイミングトップ(ニジンスキーの3代母)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000387576/pedigree/

さて、フリーフランス≒ジョンズタウンの相似クロスの補強方法ですが、パターンは2つあります。
1つ目のパターンは、フリーフランスやジョンズタウンと相似な血を追加する方法。ミスプロ(母父ナシュア)の血が入ると、ジョンズタウンがもう1本追加されますし、ニジンスキーの3代母フレイミングトップは、フリーフランスやジョンズタウンと相似な血なので、ニジンスキーや近親のザミンストレル(フレイミングトップは4代母)を入れるのも当てはまります。

エスポワールシチー
http://www.jbis.or.jp/horse/0000888832/pedigree/
エピファネイア
http://www.jbis.or.jp/horse/0001124297/pedigree/
ハタノヴァンクール
http://www.jbis.or.jp/horse/0001103563/pedigree/
サクセスブロッケン
http://www.jbis.or.jp/horse/0000890568/pedigree/

実例を4頭ほど挙げてみました。
エスポワールシチーは、父ゴールドアリュールがニジンスキーの血を持つので、フリーフランス≒フレイミングトップ≒ジョンズタウン7・8×7。血量的には大したことないのですが、相性の問題なのです。
エピファネイアは、ジョンズタウン≒フリーフランス≒フレイミングトップ7×8・8。
ハタノヴァンクールは、母馬がサンデー×ブライアンズタイムで、そこへミスプロ系の父を持ってくることで、ジョンズタウンの血を1本追加して、ジョンズタウン≒フリーフランス7×7・8。
サクセスブロッケンは、非常に特殊なケースです。シンボリクリスエス×母父サンデーはともかく、他には、ニジンスキーもミスプロもありません。しかし、6代母ジョアンの父が、ジョンズタウンなのです。

エーデルワイス(サンデーの3代母)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000393160/pedigree/
ラランブラ(ラフランスの従姉&サンデーの母母母父ヒラリーの3代母)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000392358/pedigree/
ブラックデヴィル(ディープインパクトの母母父バステッドの母父ヴィミーの母父)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000335411/pedigree/

オマハ(ニジンスキーの3代母フレイミングトップの父)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000335615/pedigree/
スペシャル(ヌレイエフの母&サドラーズウェルズの祖母)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000390581/pedigree/
フレアズ(オマハの全弟&スペシャルの母父ナンタラの母父)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000335057/pedigree/

続いて、2つ目の補強パターンですが、フリーフランス&ジョンズタウンの母ラフランスの血を利用するものになります。
フリーフランス≒ジョンズタウンの相似クロスがあれば、自動的にラフランスのクロスもあるはずですが、話はそこで終わりません。上記リンク先のサンデーの3代母エーデルワイスの血統表を見てください。ラフランス~フリーフランス母仔の他にも、ラランブラという牝馬の名前があるはずです。ラランブラは、ラフランスの8分の7同血の従姉になります。したがって、エーデルワイスの配合の核は、ラランブラ≒ラフランス4×3の8分の7同血クロスということになるでしょう。このクロスが強力なことに疑問の余地は無く、このクロスがあればこそ、フリーフランス絡みのクロスにも威力があるわけです。
しかし、この話には、さらなる続きがあります。ディープの場合には、ラフランスとラランブラに加えて、もう1頭の近親馬が登場するのです。それが、ディープの母母父バステッドの母父ヴィミーの母父である、ブラックデヴィルになります。ラフランス&ラランブラの祖母ラフランベと、ブラックデヴィルの祖母パセニスが、全姉妹の間柄ですね。というわけで、ディープには、ラランブラ≒ラフランス≒ブラックデヴィル8・7×7の相似クロスが、標準装備されていることになります。
で、サンデー×ロベルトなら、ラランブラ≒ラフランス(2本)、ディープ×ロベルトなら、ラランブラ≒ラフランス(2本)≒ブラックデヴィルの相似クロスを補強することが、サンデー系とロベルト系の相性問題を解決する第2のパターンということになります。

ディーマジェスティ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001167517/pedigree/
アーザムブルー
http://www.jbis.or.jp/horse/0001186574/pedigree/

せっかくなので、ここではディープ産駒の例を使ってみましょう。
ディーマジェスティの母馬は、サドラーズウェルズの血を持つので、祖母のスペシャルにフレアズの血があります(母父母父)。したがって、ラランブラ≒ラフランス≒ブラックデヴィル≒フレアズ9・8・8×8・9となるわけです。血量はかなり薄まっていますが、そのぶん手数で勝負ですね。
アーザムブルーは、まだ新馬勝ちしただけの実績しかありませんが、解説に便利なので取りあげてみました。ここでは、ストームバードにフレアズの血があります(母母父父)。フレアズは、ヌレイエフ、サドラーズウェルズ、ストームバード、ノーザンテーストナイトシフトなどに含まれており、非常に使い勝手のよい血です。ラランブラ≒ラフランス≒ブラックデヴィル≒フレアズ9・8・8×8・8
アドミラブルの母馬には、サドラーズウェルズの血があるので、ディーマジェスティと同じパターンということになりますね。

(2)シンボリクリスエス的
シンボリクリスエスは、ロベルト系のクリスエスを父に持つので、内回りに強く、それは有馬記念2連覇という結果にも表れています。しかし、典型的なナスキロ配合のシアトルスルーの血もあるので、秋の天皇賞2連覇のように、外回りコースでも強いわけです。また、自身は芝でしか走りませんでしたが、アメリカンな血も豊富なので、産駒にはダートの活躍馬も多いです。
内回りでも外回りでも走り、芝にもダートにも対応できるということで、いかにも万能タイプなのですが、そのことが弱点にもなっており、絶対的な得意パターンの無い、相撲でいえば、なまくら四つのような面があるのも事実のようです。
では、シンボリクリスエスを母父に持つアドミラブルの適性は、どのように考えればよいでしょうか。
あとで詳しく触れますが、アドミラブルは、外見的にはシンボリクリスエスそっくりです。体型もサイズも走法も、何から何までシンボリクリスエス的であり、ディープの要素は何処にあるのか分からないような状態です。
配合面では、ロベルトやイングリッシュプリンスは内回り向き、シアトルスルーやトニービンは外回り向きなので、内回り向きか外回り向きかは、一概には言えません。
復帰後の2走は、阪神の1800mと2400mということで、いずれも外回りですが、豪快に外差しを決めた未勝利戦はともかく、アザレア賞のほうは、超スローペースに業を煮やして、3~4コーナーから捲っていく内回り的なレース運びでした。
おそらく、こうした点でもシンボリクリスエス的な、内外兼用、1800mでも2400mでも問題なく、ハイペースの差す競馬にもスローペースの捲る展開にも対応できるということなのでしょう。良く言えば万能、悪く言えばなまくら四つ、ということなのだと思います。
こういったタイプの馬は、結局のところ、能力の絶対値が全てということになるでしょう。適性を考えようとしても、たいていのことには対応できてしまう一方で、これといった必勝パターンのようなものは持ちあわせていないのです。
能力の絶対値が高ければ、一気にG1まで駆け上がることもありえますし、そこそこの能力でしかないのであれば、取りこぼしが多く、2着3着を量産するタイプになってしまうでしょう。

(3)ハイインロー関連
前項では、アドミラブルをシンボリクリスエス的な馬として考えましたが、もちろん、両馬には違いもあります。
血統面から相違点を探すのであれば、ハイインローをベースとした欧州血脈の多寡でしょう。
まず目につくのは、ディープの祖母バークレアと、アドミラブルの母母母母父父ペティンゴとの組み合わせのクロス(ドナテロ、ハイペリオン+ローズレッド、フェアトライアル~サンインローが共通)です。当ブログでもお馴じみですが、望田潤氏の重視されているクロスで、成長力や大レースでの底力に期待できます。
それに次ぐのは、ディープの4代母ハイライトを中心とした、様々なクロスです。なお、ペティンゴ絡みのものは、上述のバークレアとのクロスで一まとめということで、ここでは省きます。

ハイライト(ディープの4代母)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000390923/pedigree/
モンパルナス(サンデーの母母父)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000336896/pedigree/
ヒラリー(サンデーの母母母父)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000334297/pedigree/
リージェント(シンボリクリスエスの母父母母)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000412453/pedigree/
ステイトペンション(トニービンの父母)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000391502/pedigree/
プリディフェア(トニービンの祖母)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000391503/pedigree/
フォルリ(サドラーズウェルズの母母父)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000390581/pedigree/

ハイライト&モンパルナス&フォルリは、ハイペリオン、サンインロー+アロペ(ディープの8代母)が共通の組み合わせのクロス。
ハイライト&ヒラリー&リージェント&フォルリは、ハイペリオン、サンインロー、テディが共通の組み合わせのクロス。
ハイライト&モンパルナス&リージェント&ステイトペンションは、ハイペリオン、サンインロー、スウィンフォード、マルコが共通の組み合わせのクロス。
こうした細かいクロスも、網の目のように張り巡らせてあれば、トータルでは相応の効果が期待できるでしょう。

(4)まとめ
シンボリクリスエスの配合は、ロベルト×ナスキロラトロと整理できますが、アドミラブルの場合、ハイインローの血が豊富で、さらにノーザンダンサーのクロスなどもあって、より奥行きのある配合となっています。
障害となる可能性のある、サンデー×ロベルトの相性問題も、配合的には解決されていると考えてよいでしょう。
以前、全姉イサベルを取りあげたさいに、4分の3同血の叔父&叔母である、シェイクスピア、トルストイ、ブルーダイアモンドとの比較について検討しました。3頭の母グレースアドマイヤは、皐月賞馬ヴィクトリーやG2を3勝したリンカーンを出した名繁殖牝馬ですが、ディープとの交配が高齢になってからだったとはいえ、3頭の成績は、あまりにもパッとしないもので、シェイクスピアとブルーダイアモンドは未勝利に終わり、トルストイも2勝どまりです。
それに対して、ディープ×スカーレットの3頭の産駒は、あきらかにレベルが違いますし、外れが無いという点も注目されます。
比較検討の結果として、ディープ×グレースアドマイヤの配合は、欧州血脈に偏ってしまい、日本の高速馬場に向かない産駒が出やすいのに対し、ディープ×スカーレットは、シンボリクリスエスを挟むことによって、欧州血脈と米国血脈のバランスがとれて、産駒が活躍する下地が整ったと言えそうです。

2歳
http://www.keibalab.jp/img/horse/2014105979/2014105979_01.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていきましょう。
先ほども少し触れましたが、体型的には、母父シンボリクリスエスの影響が支配的です。具体的には、雄大で威圧感のある前躯、短い背中のライン、特徴的なトモの形など、どのパーツもシンボリクリスエス似ですね。
さらに、500キロオーバーの大柄な馬格も、シンボリクリスエス譲りでしょう。
昨年のデイープの2歳産駒の馬体評価リストでは、牡馬の7位に取りあげました。

シンボリクリスエス(3歳、ジャパンC)
http://www.keibado.com/keibabook/021125/photo03.html
ディープインパクト(3歳、皐月賞)
https://livedoor.4.blogimg.jp/jrdbjp/imgs/2/e/2e0bbb10.gif

全頭勝ち上がり継続中

今回は、クリアザトラックの新馬戦を取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=VxUwn3EAdOY
http://db.netkeiba.com/race/201608050107/

さっと2番手につけると、直線もしっかり伸びて、危なげない勝利でした。
この勝利により、ディープ×母クロウキャニオンの配合による兄弟の全頭勝ち上がり記録は、7頭連続にまで伸びています。さらに、1歳下には全弟、2歳下には全妹が控えており、どこまで勝ち上がり記録が継続できるか、注目されますね。
更新が遅れている関係で、2~3戦目の結果も判っていますが、朝日杯は、デビュー戦と同じく好位につけたものの、終始かかりどおしで、直線で失速しての7着。
一息入れて、2ヶ月半ぶりの平場の500万下条件でも、やはり先行策から直線での叩き合いを鼻差で制して、2勝目をあげました。
正直、2戦目での朝日杯挑戦は、金子オーナーの意向に振り回された感があり(まだ朝日杯は勝っていないそうです)、いたしかたない結果だったと思います。
間隔をあけての3戦目は、プラス14キロの馬体重が示すように、今後のクラシック戦線での連戦を意識して、余裕を残しての仕上げだったため、2着馬に鼻差まで抵抗されましたが、実際にはかなりの力の差があったと思います。
次走は、今週末の毎日杯ですが、このレースの結果次第で、今後のローテーションも決まることになるでしょう。毎日杯は、サトノアーサーが出走するため、多くの陣営が回避して、なんと8頭立ての少頭数になりました。サトノアーサーを負かすのは容易ではありませんが、2着での賞金加算は充分に狙えるメンバー構成でしょう。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001186641/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきます。
母クロウキャニオンは、10戦1勝。ディープとの間に多くの活躍馬を輩出しています。
祖母クロカミは、重賞2勝を含む、23戦7勝。しかし、繁殖に上がってからは意外なほどの不振で、中央で勝ち上がったのは、クロウキャニオンとカレンスターボーイの2頭だけで、どちらも1勝どまりでした。
3代母ミルドは、仏8戦2勝。シンボリ牧場の和田共弘氏の海外での所有馬で、フランスで繁殖入りしましたが、すぐにアイルランドに移り、産駒の多くは日本へ輸入されました。晩年は、パカパカFによって購入され、日本でも2頭の産駒を出しています。産駒の中で競走馬として最も成功したのは、クロカミですが、繁殖牝馬としては、スイートミルドが重賞勝ち馬を出しています。
5代母マーグラヴィンは、G1で2着に来た実績があり、トレヴの4代母トリリオン(フリオーソの4代母でもあります)の全姉です。
母系は、トレヴ、ジェネラス、ギャラントフォックスなどの出た、名門マーガリート牝系。日本では、ディーマジェスティ、フリオーソ、カミノタサハラなどが出ています。

(1)ディープ×フレンチデピュティの教科書的配合
ディープ×母父フレンチデピュティの配合からは、重賞勝ち馬6頭が誕生しましたが、これは、重賞勝ち馬が7頭を数える、ディープ×母父ストームキャットの配合に次いで、2番目の好成績です。
6頭の重賞勝ち馬のうち、配合パターンが全く異質なショウナンパンドラを除き、他の5頭(マカヒキ、ウリウリ、カデナ、カミノタサハラ、ボレアス)には、3つの共通するパターンがあり、非常に類似した配合となっています。
1つ目の共通点は、サンデー系×フレンチデピュティの配合で自動的に発生する、ノーサードチャンスブルームーンの相似クロスを継続していること。ノーサードチャンス≒ブルームーンの相似クロスは、以前に何度も触れたように、フレンチデピュティという種牡馬にとって、配合の肝となるものです。このクロスが自動的に生じるため、必然的にサンデーとフレンチデピュティは好相性であると言えるわけです。
マカヒキ&ウリウリは、ノーサードチャンス≒ブルームーン5×5・7、カミノタサハラ&ボレアス(&クリアザトラック)は、ノーサードチャンス≒ブルームーン5×5・7・7、カデナは、ノーサードチャンス≒ブルームーン5×5・7となります。
2つ目の共通点は、母馬が、フレンチデピュティの持つグッドエグザンプルエイトサーティの相似クロスを継続していること。フレンチデピュティ自身の配合の核は、グッドエグザンプル≒エイトサーティ5×4の相似クロスで、このクロスを継続している繁殖牝馬は、ディープとの相性がよいようです。
マカヒキ&ウリウリの母ウィキウィキは、グッドエグザンプル≒エイトサーティ≒6・5×7、カミノタサハラ&ボレアス(&クリアザトラック)の母クロウキャニオンは、グッドエグザンプル≒エイトサーティ≒スピードボート6・5×8です。
問題は、カデナの母フレンチリヴィエラのケースですが、エイトサーティとは近親で配合も近いウォーアドミラルの血が複数あるものの、グッドエグザンプルとは関係性が薄いので、エイトサーティ≒ウォーアドミラル5×7・7・9と、やや不充分な形での継続となっています。
3つ目の共通点は、ディープの祖母バークレアとの組み合わせのクロス。このクロスは、望田潤氏が重視されているもので、成長力に期待が出来ます。
マカヒキ&ウリウリは、バークレアとフィッシュバーフェアアリシア、カミノタサハラ&ボレアス(&クリアザトラック)は、バークレアとオリオール、カデナは、バークレアとアレッジド(カデナの6代母)との組み合わせです。

(2)ディープ×ノーザンダンサー×ナスキロラトロ
ディープの母父として、ノーザンダンサー×ナスキロラトロ配合の種牡馬が好相性であることは、当ブログでも再三にわたって指摘してきました。具体的には、フレンチデピュティ&クロフネ、カーリアン、シングスピールなどですね。
クロウキャニオンは、父フレンチデピュティだけでなく、その母クロカミもノーザンダンサー×ナスキロラトロの配合パターンです。したがって、フレンチデピュティの威力が更に強化されていると考えてよいでしょう。

(3)フェオラのクロス
ディープの6代母フェオラの血を持つ繁殖牝馬は、ディープと好相性であるというのは、当ブログ独自の主張となります。
フェオラのクロスを持つ繁殖牝馬は、さらに相性度が高いと思われ、高確率でディープとの交配から活躍馬が出ています。具体的には、ペンカナプリンセス(ダノンジェラート&ワールドインパクトの母)、トゥーピー(サトノラーゼンの母)、ドリームオブジェニー(ファンディーナの母)などです。
クリアザトラックの場合、母ではなく、祖母クロカミフェオラ5×7がありますが、同じような効果があると考えてもかまわないと思います。

(4)まとめ
とにかく外れの出ないディープ×クロウキャニオンですが、以上のように、配合的な根拠もしっかりしているということですね。
あとは、いつG1馬が出るかということが焦点になってきますが、こればかりは運の問題もあり、なかなか一筋縄ではいきません。全兄弟の中で、これまでのところ最も能力の高かったと見られるカミノタサハラは、エピファネイアやキズナを負かした弥生賞の内容からしても、能力的にはG1級でしたが、故障により3歳春の時点で早々と引退してしまいました。運の問題も、意外に馬鹿に出来ないのです。
しかし、何度やっても成功する確率の高い配合であるのは確かで、特に、性別的には牡馬の方が走るようです。クリアザトラックは、久しぶりの牡ですから、期待したいですね。

2歳(朝日杯)
https://daily.c.yimg.jp/horse/horsecheck/photo/2016/12/12/Images/d_09745396.jpg

引き続き、馬体のほうも見ておきましょう。
体型的には、兄弟の中で1頭だけ筋肉隆々のボレアスは、例外として別扱いとなります。
あとは、サイズによって分類するのが判りやすく、大柄なカミノタサハラ&ベルキャニオン、中サイズのマウントシャスタ&クリアザトラック、牝馬の2頭はいくぶん小柄ということですね。
クリアザトラックは、マウントシャスタが比較対象となるわけですが、マウントシャスタの馬体は、トモの幅に欠けるところがあるので、そのぶんだけ、クリアザトラックのほうが馬体の面では上だと思います。
ただ、現時点では、まだまだ華奢な感じなので、もうすこし筋肉がついてくればというところでしょう。
昨年のデイープの2歳産駒の馬体評価リストでは、牡馬の10位タイに取りあげました。

ボレアス(3歳、レパードS)
http://www.keibado.com/keibabook/110822/photo04.html
マウントシャスタ(3歳、NHKマイル)
http://www.keibado.com/keibabook/120507/photo09.html
カミノタサハラ(2歳)
http://www.jbis.or.jp/horse/images/0001124109_3/
ベルキャニオン(2歳)
http://www.jbis.or.jp/horse/images/0001138880_2/
パラダイスリッジ(2歳)
http://uma-jin.net/pc/images/pc_umajin_news_12083.jpg
ラヴェンダーヴァレイ(2歳)
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/keiba/keiba/2015/assets_c/2015/09/ravender%20varey-thumb-500x354-106466.jpg

最後に、今後の展望について。
全兄姉6頭との最大の違いは、先行力があるということでしょう。朝日杯は少し引っかかってしまいましたが、他の2戦では、この血統らしくない立ち回りの上手さを披露しました。
こういう競馬の上手なタイプは、実力以上に勝ち星が転がり込んでくる傾向があるので、これから重賞で戦う上では大きな武器となるでしょう。
しかし、カミノタサハラの全弟ということですから、どこかで差す競馬を試す場面もあるかもしれません。ただ、現実問題として、サトノアーサーのようなキレキレの末脚を持つ馬が出てくる毎日杯で試すわけにもいきませんし、もし毎日杯で賞金が加算できれば、その次は本番ですから、春の段階では、このまま好位で立ち回る競馬を続けることになるでしょう。
カミノタサハラのようなスケールの大きさは、あまり感じられませんが、多頭数でごちゃつくクラシックでは、こういう脚質の馬にチャンスが回ってくることも多いので、そのあたりに期待したいところですね。

ディープ×キングマンボ×スペシャルのクロス

あいかわらず更新が遅れていますが、今回は、アンセムの勝った新馬戦を取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=fSJnYTP3NQY
http://db.netkeiba.com/race/201608040905/

前半5Fが63秒3のスローペースでしたが、道中は後方3番手を追走し、直線を向いたときには、とても届かないように見えましたが、抜群の末脚できっちり差し切りました。
更新が遅れている関係で、2戦目のシクラメン賞の結果も判っていますが、サトノアーサーとの末脚くらべに後れをとっての3着でした。
シクラメン賞を見るかぎり、スパッと切れるサトノアーサーの末脚に対して、アンセムのほうは息長く伸び続けるようなタイプの末脚のようですね。切れ味勝負では、サトノアーサーのほうが有利なので、消耗戦に持ち込む必要がありそうです。
全姉のピクシープリンセスは、エリザベス女王杯3着の実績がありますが、2歳秋にデビューしたものの、初勝利まで3戦を要し、2勝目をあげたのは、春のクラシックが終わったあとの夏競馬においてという晩成タイプでしたが、弟のアンセムの方は、デビュー勝ちしただけでなく、2勝目もすぐ手の届くレベルですから、姉とは少し違ったタイプのようです。あとで詳しく触れますが、ピクシープリンセスの体型は、もろにサドラーズウェルズの影響が出ているのに対して、アンセムの体型は、どちらかといえばディープ寄りですから、全姉弟といってもタイプがいくらか異なっているものと思われます。
なお、シクラメン賞の後、しばらくレース間隔が空きましたが、4月初頭のアザレア賞から復帰の予定だそうです。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001188317/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母オータムメロディーは、英3戦未勝利。代表産駒は、ピクシープリンセスや、ダートのオープン特別に勝ったジョヴァンニ(父アドマイヤムーン)あたりですが、まだ重賞勝ち馬は出ていません。
祖母ダンスオブリーヴズは、産駒からG1馬メダーリーが出ました。
3代母フォールアスペンは、20世紀を代表する名繁殖牝馬の1頭。G1馬4頭を含む、7頭もの重賞勝ち馬をおくり出し、孫の代からも超大物ドバイミレニアムが出ています。桜花賞馬レジネッタは、曽孫ということになりますね。
5代母ポーティジは、フォールアスペンの系統以外にも、ブルーカヌーの系統も繁栄しており、コジーン、テイエムオペラオー、ブルーメンブラッドなどが出でいます。
母系は、ドバイミレニアム、ティンバーカントリー、コジーンなどの出た、アメリカの名門オーディエンス牝系。日本では、テイエムオペラオー、レジネッタ、ブルーメンブラッドなどが出ています。

(1)ディープ×キングマンボ×スペシャルのクロス
配合面でまず目につくのは、デニムアンドルビーとの類似でしょう。

デニムアンドルビー
http://www.jbis.or.jp/horse/0001126790/pedigree/

アンセムとデニムアンドルビーの配合は、ディープ×キングマンボ×スペシャルのクロスという骨格が共通しています。アンセムの全姉ピクシープリンセスも活躍馬ですし、デニムアンドルビーの全妹ヤマノフェアリーもそこそこ走っており、再現性の高さも実証されています。
このパターンは、ディープ×エルコンドルパサーでも生じますが、マリアライトやアンビシャスといった活躍馬が出ており、優れた配合パターンと考えてよいでしょう。
もちろん、上記のパターンは、大きく見れば、栗山求氏の指摘される、ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャルのパターンにも当てはまっています。

(2)ディープ×ミスプロ×フォールアスペン×ノーザンダンサー
ディープとフォールアスペンの相性という点では、ディサイファやラストインパクトも参考になるでしょう。

ディサイファ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001110648/pedigree/
ラストインパクト
http://www.jbis.or.jp/horse/0001120507/pedigree/

ディサイファの母父ドバイミレニアムと、ラストインパクトの母父ティンバーカントリーは、アンセムの母オータムメロディーと同じく、父ミスプロ系×母フォールアスペン一族という点で共通しています。
ディサイファ&ラストインパクト&アンセムの配合を図式化すれば、ディープ×ミスプロ×フォールアスペン×ノーザンダンサーということになりますが、これも成功パターンの有力候補と言えそうです。

(3)ハイインロー関連
アンセムの配合には、フォールアスペン、スペシャル、フラワーベッド、ハイライトなど、ハイインローの血を基盤にした名牝が集められています。

フォールアスペン
http://www.jbis.or.jp/horse/0000410420/pedigree/
スペシャル(ヌレイエフの母&サドラーズウェルズの祖母)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000390581/pedigree/
フラワーボウル(グロースタークの母)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000387590/pedigree/
マウンテンフラワー(サンデーの3代母)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000393161/pedigree/
ハイライト(ディープの4代母)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000390923/pedigree/

以上の5頭の牝馬には、様々な組み合わせのクロスが発生して、相互に絡み合っています。
まず、フォールアスペン、マウンテンフラワー、ハイライトの3頭はハイペリオンのクロス、サンインロー、テディが共通しています。
フォールアスペン、フラワーボウル、マウンテンフラワーの3頭には、ハイペリオン、サンインロー+シナ、ロックサンドが共通。
スペシャルの父フォルリ、マウンテンフラワー、ハイライトは、ハイペリオン、サンインロー+アロペ(ディープの8代母)、テディ、マルコが共通です。
その他にも、もっと細かく分解して様々な組み合わせを作ることも出来ますが、煩雑になるのでやめておきます。しかし、上記の3つの組み合わせのクロスだけでも充分に強力で、成長力の配合的な基盤となってくれるでしょう。

(4)まとめ
アンセムの配合は、名牝たちの抱えるハイインロー血脈をベースに、ミスプロやサンデーのアメリカンな血を加えたもので、成長力や大きなレースでの底力などには、非常に期待が持てる配合です。
他方、配合の似ているデニムアンドルビーやマリアライトにくらべると、母オータムメロディーには、ナスキロ的な要素が弱いことも事実です。全姉ピクシープリンセスが、エリザベス女王杯3着というG1での好走歴がありながら、重賞どころか準オープンも勝てずに終わった決め手の無さは、そのあたりに由来するのかもしれません。
もちろん、デビューからの2戦を見るかぎり、アンセムは、姉よりもはるかに末脚に威力があるようですが、サトノアーサーのような切れ味が身上の馬にくらべると、やはり勝ち味の遅さが問題になってくる可能性もありそうです。こうしたタイプの馬が大きなレースに勝つには、力で捻じ伏せるような勝ち方が出来るかどうかが課題になってくると思われます。

新馬戦のパドック画像
https://livedoor.blogimg.jp/keiba100bai/imgs/0/e/0e661e30.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていきましょう。
ネット上には良い画像がないようですが、POG本には載っているものが多いと思いますので、お持ちのかたは参照してください。リンクしたのは、デビュー戦のパドック画像です。
体型的には、ディープとサドラーズウェルズを足して2で割ったような馬体だと思いますが、それ以上のことは、もっと良い画像が入手できたらということにさせてください。
ピクシープリンセスの2歳時の画像もありますが、こちらは胴長でサドラーズウェルズの影響が支配的です。あまりディープらしさは見られませんが、サドラーズウェルズは短足なので、脚が長いことだけはディープの影響でしょう。

ピクシープリンセス(2歳)
http://uma-furusato.com/var/cache/texttoimage/imageobject/8/c/5/8c54ea2a2b86e29c2e38f6f24c6348b3/.png

サドラーズウェルズ
http://www.blacktypepedigree.com/sites/default/files/field/image/sadlers_wells.jpg
ディープインパクト
https://livedoor.4.blogimg.jp/jrdbjp/imgs/2/e/2e0bbb10.gif

最後に、今後の展望について。
デビュー戦の差し切り勝ちは鮮やかでしたが、2戦目のサトノアーサーより後方に構えたポジション取りは、デビュー戦の印象に引き摺られた判断ミスだと思います。
母馬にナスキロ的な要素の乏しいアンセムが、この先、クラシック路線を目指すのであれば、中団あたりから強引に捻じ伏せるようなレースを出来るようになる必要があります。ナスキロに欠ける半面、ハイインローは豊富なわけですから、それは充分に可能だろうと思われます。
デビュー戦のようなレースを続けていると、今後は2着3着を大量生産してしまう可能性が高く、勝ち味の遅さが災いして大成できなかった姉ピクシープリンセスの二の舞になりかねません。
一刻も早くデビュー戦のイメージは捨てて、サトノアーサーのようなタイプと戦うさいには、中団から早めに押し上げて、消耗戦に持ち込む必要があるでしょう。
そうしたレースが出来るようになれば、シクラメン賞の後に一息入ったとはいえ、今からでもダービーに間に合わないこともないと思いますし、それ以上に、秋以降の成長が楽しみになってくることでしょう。

エルフィンS短評

今回は、サロニカの勝ったエルフィンSを取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=tKnd7KClYgk
http://db.netkeiba.com/race/201708020310/

更新が遅れている関係で、取りあげるのが間にあわないうちに、サロニカが2勝目をあげました。
デビュー戦は、牡馬との混合戦でしたが、2番手からすんなり抜け出す快勝。
2戦目の白梅賞も牡馬との混合戦で、このレースでは控える競馬を試みましたが、意外に伸びず3着に終わっています。
3戦目のエルフィンSは、オープン特別ということで、勝てば桜花賞への出走がほぼ確実になるため、例年ならそこそこのメンバーが集まるのですが、今年は、断然人気のミリッサを避ける陣営が多く、いっそうミリッサへの人気が集中しました。サロニカは3番人気で、今回は逃げの手に出ましたが、まんまと前半5F62秒1のスローペースに持ち込み、直線でも後続をしっかり振り切っての快勝でした。初戦&今回の鮮やかなレースぶりと、2戦目の案外な内容から、サロニカは先行策のほうが向いているようですね。
今回の勝利により、陣営から桜花賞直行のアナウンスがありました。余程のことがない限り、賞金は大丈夫だと思います。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001192898/pedigree/

母サロミナは、独オークス馬。サロニカが初仔です。
祖母サルデンティゲリンは、独伊仏17戦3勝。G3重賞に勝ち、オイロパ賞2着、独オークス3着。
3代母ザルデは、独8戦3勝。産駒から、重賞勝ち馬を2頭出しました。
母系は、サガス、スリップアンカー、ザグレブなどの出た、ドイツの名門シュヴァルツゴルト牝系(通称「Sライン」)。日本では、マンハッタンカフェ、ブエナビスタ、ジョワドヴィーヴルなどが出ています。

(1)ディープ×ニジンスキー系×シュヴァルツゴルト牝系
ディープ×シュヴァルツゴルト牝系というと、やはり、ジョワドヴィーヴルが思い浮かびます。

ジョワドヴィーヴル
http://www.jbis.or.jp/horse/0001102069/pedigree/

サロニカと比較してみると、ディープ×母父ニジンスキー系×シュヴァルツゴルト牝系という共通性があります。ビワハイジにサンデー系の種牡馬を付ければ、基本的に同じようなパターンになるわけですが、その配合から活躍馬が量産されたわけですから、好相性の配合パターンと言ってよいでしょう。
ただ、ビワハイジにくらべても、サロニカの母サロミナは、ドイツ色が濃いので、ジョワドヴィーヴルやブエナビスタのような末脚の切れよりも、底力で捻じ伏せるようなレースがあっているのかもしれません。

エックスマーク
http://www.jbis.or.jp/horse/0001111007/pedigree/

サロニカの母父ロミタスは、父ニジンスキー産駒×母父ズルムーですが、エックスマークの母ショアーは、父ズルムー産駒×母父ザミンストレル(ニジンスキーの4分の3同血の甥)という配合なので、類似性があります。ロミタスも、ディープと相性のよい血統だと考えてもよさそうです。

(2)ニニスキ≒デインヒル
サロミナの配合で注目すべきは、ニニスキデインヒル2×3の相似クロスでしょう。ノーザンダンサー、リボー、フレイミングページバックパサーライディンイージーフラワーベッド(ボウペア~サンインロー、マムタズビガム≒マームードが共通)などが共通ですね。
ディープは、こうした強いクロスを持つ繁殖牝馬とは好相性です。

デインドリーム
http://www.jbis.or.jp/horse/0001132748/pedigree/

また、ロミタスにとっても、代表産駒である凱旋門賞馬デインドリームが、ニニスキ≒デインヒル2×2の配合であるという点は示唆的でしょう。

(3)バークレアとオリオール
ハイインロー関連では、望田潤氏の重視される、ディープの祖母バークレアとの組み合わせのクロスがあります。クロスの対象馬は、なかでも最も実績のあるオリオールですね(ドナテロ、ハイペリオン、フェオラ~サンインローが共通)。トーセンラー&スピルバーグ、ビューティパーラー、ショウナンアデラ、カミノタサハラ、サトノラーゼン、ヴァンセンヌ、アキヒロなど、多くの成功例があります。
具体的な効果としては、成長力や大きなレースでの底力などに期待できるでしょう。

(4)まとめ
母サロミナの配合は、非常に重厚なドイツ血脈をベースに、ニニスキ≒デインヒル2×3という大胆なクロスでまとめたものです。ニニスキもデインヒルも、良質なアメリカ血脈を多く含んでおり、そうした血がドイツ血脈と出会うことで雑種強勢的な効果ももたらしています。サロミナの配合手法の優秀さは、デインドリームによって実証されていますが、フランケルの配合とも一脈通じるものがありそうです(デインヒルの持つ血をクロスで活用している点や、米独融合の要素がある点など)。
また、同じ母系出身のビワハイジと比較すると、ナスキロ的な要素には乏しく、末脚の切れ味にはあまり期待できないかもしれません。
そうしたサロミナとディープとの交配ということで、欧州的な底力と米国的な馬力の相乗効果で押し切るようなタイプが想定されるわけです。
サロニカは、残念ながらあまり馬格には恵まれていませんが、やはり先行押し切りの前受けタイプと考えてよいでしょう。

エルフィンSのパドック画像
https://livedoor.blogimg.jp/keiba100bai/imgs/4/f/4f973834.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていきたいのですが、残念ながら分かりやすい画像がありません。
パドックを見るかぎり、ディープの牝馬産駒によくある体型ですが、典型的なタイプを基準にすると、いくらか胴が長めかもしれません。これは、ニジンスキーの血の影響でしょう。
もうすこしウエイトアップ出来れば、さらに良いとは思いますが、牝馬の場合、430キロ前後あれば、クラシックでも充分に勝負になるので、現状から大きく減らすことがなければ問題なさそうです。

ニジンスキー
http://i805.photobucket.com/albums/yy340/MUDMONT/NORTHERN%20DANCER%20AND%20OFFSPRING/Nijinsky-1.jpg
ニニスキ
https://s-media-cache-ak0.pinimg.com/736x/ce/f7/a4/cef7a40d9747db3de0e60c2def51634a.jpg
ロミタス
http://sahorseracing.com/index/img/lomitas_(GB).jpg

ディープインパクト(3歳)
https://livedoor.4.blogimg.jp/jrdbjp/imgs/2/e/2e0bbb10.gif
ジョワドヴィーヴル(2歳)
https://livedoor.blogimg.jp/umajin_pog/imgs/4/6/4679b040.jpg

つばき賞短評

また前後しますが、更新が遅れて取りあげないうちに、ファンディーナが2連勝を飾ったので、2レースまとめて扱うことにします。

新馬戦
https://www.youtube.com/watch?v=fHMQQq1elbY
http://db.netkeiba.com/race/201708010706/


つばき賞
https://www.youtube.com/watch?v=00HhIsRHb10
http://db.netkeiba.com/race/201708020809/

まず、新馬戦ですが、ご覧の通り、持ったままでの9馬身差の圧勝でした。しかも、2歳戦が始まったばかりの時期ならともかく、年明けの除外ラッシュ真っ盛りの牡馬との混合戦で、持ったままの圧勝劇ですから驚きです。
以前に、ディープ産駒の新馬戦ベスト3として、マカヒキディープブリランテシャイニングレイの3頭をあげましたが、ファンディーナのデビュー戦も、これらと充分に匹敵する内容で、今後はベスト4ということになりそうですね。もちろん、牝馬では、断然のトップでしょう。


続いて、2戦目のつばき賞ですが、陣営のレース後のコメントによると、逃げずに控えるレースを試すことに決めていたそうで、タガノアスワドが前半5F64秒1の超スローペースに持ち込みましたが、ファンディーナは、上がり33秒フラットの末脚を繰り出し、あっさり差し切りました。
特筆すべきは、レースの上がり2Fのラップが、10秒7-11秒0ということなので、ファンディーナは、ラスト2Fをいずれも10秒台で走っており、しかもノーステッキで最後は流す余裕があったことです。2月の京都開催は、降雪などの影響で馬場が荒れており、いくらスローペースの展開とはいえ、ちょっと規格外の内容だったのではないでしょうか。
レース後、次走はフラワーCに向かうことがアナウンスされましたが、陣営としては、必ずしもローテーションが詰まる桜花賞にこだわっていないような雰囲気もあるようです。桜花賞なのか、オークス一本なのか、場合によっては牡馬路線なのか、陣営の選択が注目されるところですね。

http://www.jbis-1.jp/horse/0001191679/pedigree/


それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母ドリームオブジェニーは、未出走。産駒には、ヴィクトワールピサ産駒のナムラシングンがいます(11戦3勝、現役)。ちなみに、ナムラシングンも、つばき賞の勝ち馬です。
祖母ジラは、米仏10戦3勝。重賞で2着が2回あります。産駒には、これといった大物はいませんが、孫の代では、米G1戦4勝のエモリエントが出ました。
3代母クードジェニーは、マキャヴェリアンの全妹。G1馬デネボラを筆頭に、重賞勝ち馬3頭を出した名繁殖牝馬で、孫からも、凱旋門賞馬バゴやG1を2勝したマキシオスが出ています。
4代母クードフォリーは、マキャヴェリアンとエグジットトゥノーホウェアの2頭のG1馬を出しました。セントライト記念に勝ったシンコウカリドは、孫にあたります。
5代母レイズザスタンダードは、ノーザンダンサーの半妹。サトノダイヤモンドの母父オーペンは、孫になります。
母系は、名門フライバイナイト牝系。活躍馬は大量にいますが、ドリームオブジェニーの属する分枝は、ノーザンダンサー、ヘイロー、デインヒル、マキャヴェリアン、バゴなどの出た主流派の系統です。

(1)ヘイローのクロス
ファンディーナの配合は、注目すべき点がたくさんありますが、まずは目につきやすい、ヘイロー≒サーアイヴァー3・5×5の相似クロスから。ファンディーナの母母母母父がヘイローなのですが、サトノダイヤモンドマカヒキの活躍によって、ヘイローのクロスへの関心が高まっているようです。
ディープ産駒におけるヘイローのクロスの成功例は、ほぼ3つのパターンに集約されます。具体的には、ヘイロー×バラード、マキャヴェリアン、サザンヘイローの3つですが、ここでは、マキャヴェリアン(=クードジェニー)のケースに絞って見ていきましょう。

マキャヴェリアン(=クードジェニー)
http://www.jbis-1.jp/horse/0000337496/pedigree/

マキャヴェリアンの母父がヘイローですが、そのヘイローの血を活用したクロスは、ネオユニヴァース産駒のロジユニヴァースヴィクトワールピサが立て続けに活躍したことで、注目を集めました。
ディープ産駒では、ヴィルシーナ&ヴィブロス姉妹が代表例ですね。
マキャヴェリアンとヘイローとは、上述のように母系が同じで、マキャヴェリアンの母クードフォリーには、アルマームード(ヘイローの祖母&マキャヴェリアンの4代母)3×3という強いクロスがあります。このクロスの威力が、そのままマキャヴェリアン経由のヘイローのクロスが効果的である根拠となっているわけです。
ヘイローのクロスの効果としては、機動力の向上があげられます。ヴィルシーナやファンディーナが、ディープ産駒のわりに先行力があるのは、ヘイローのクロスのおかげでしょう。

(2)サーゲイロード≒セクレタリアト
ヴィルシーナの配合は、ヘイロー≒レッドゴッド3×4・5・5の内回り向きの機動力アップのクロスが支配的でしたが、ファンディーナの場合、外回り向きのナスキロの血も多く含んでおり、内回り向きか外回り向きかは、一概には言えません。
とくに、サーゲイロードセクレタリアト6×7・5・7の兄弟クロスや、レディレベッカライドザトレイルズ4×5の相似クロスは、ナスキロ配合のクロスで、血量的にも存在感があります。
つばき賞での豪快な末脚は、ナスキロの血に由来するものと考えられるでしょう。

(3)ステュフィダ~バスティノ~バステッド
ファンディーナにあるクロスでは、バステッド4×6の重厚なクロスも目を引きます。スタミナや重馬場適性の向上に効果が期待できるクロスです。
バステッドのクロスを持つディープ産駒としては、ディープブリランテや、ダノンジェラート&ワールドインパクトなどがあげられます。とくに、ダノンジェラート&ワールドインパクト兄弟は、母父ピヴォタル経由という点で共通していますね。
ピヴォタルに含まれるバステッドの血は、さらにバスティノからステュフィダへと展開していくのですが、これがディープとの関連性を深めていくことにもつながっています。

バスティノ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000336185/pedigree/

バスティノで注目すべきは、その母父母母フェオラが、ディープの6代母でもあるという点です。ファンディーナの母ドリームオブジェニーには、ラウンドテーブル(祖母フェオラ)の血もあるので、フェオラ8×8のクロスが生じます(ファンディーナとしては、フェオラ7×9・9)。ちなみに、ダノンジェラート&ワールドインパクトの母ペンカナプリンセスは、同じピヴォタル産駒というだけでなく、フェオラ8×9のクロスを持つという点においても、ドリームオブジェニーと共通しています。
フェオラの血を持つ馬は、ディープとの相性がよいというのは、当ブログ独自の主張になりますが、とくにフェオラを2本以上持つ場合、カミノタサハラの母クロウキャニオンや、ペンカナプリンセス、サトノラーゼンの母トゥーピーなど、高い確率でディープとの間に活躍馬を出しています。
ドリームオブジェニーも、ディープを付ければ、何回でも成功する確率の高い繁殖牝馬だと思われます。

ステュフィダ(ピヴォタルの祖母)
http://www.jbis-1.jp/horse/0000410547/pedigree/
バークレア(ディープの祖母)
http://www.jbis-1.jp/horse/0000394655/pedigree/

ディープの祖母バークレア絡みの組み合わせのクロスは、望田潤氏が重視されているものです。ピヴォタルの祖母であるステュフィダも、バークレアとは、バステッド~ドナテロ、ハイペリオン、フェアトライアル~サンインロー、フェオラ、ローズレッドなどが共通しており、組み合わせのクロスが生じています。
このクロスは、成長力に大きく寄与することが期待できるでしょう。

ピヴォタル(ドリームオブジェニーの父)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000365118/pedigree/
ウインドインハーヘア(ディープの母)
http://www.jbis-1.jp/horse/0000430846/pedigree/

この項の最後に、いくらか無理があるのは承知で、ピヴォタルとウインドインハーヘアとの共通性について見ておきます。具体的には、ノーザンダンサー、ライドザトレイルズ≒レディレベッカ、バステッド~ドナテロ、ハイペリオン、フェアトライアル~サンインロー、フェオラなどが4共通しています。
両馬の配合は、単純化すれば、ノーザンダンサー×ナスキロ×ハイインローという図式ですが、非常に共通する血が多いので、組み合わせのクロスと見なすことも不可能ではありません。
ウインドインハーヘアとピヴォタルの組み合わせのクロスと考えた場合、血量的にも非常に強力だと言えるでしょう。

(4)ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャル
ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャルは、栗山求氏の指摘されたパターンで、成功例としては、トーセンラー&スピルバーグ、ディープブリランテ、ミッキークイーン、ヴィルシーナ、ショウナンアデラ、マリアライト、デニムアンドルビー、アンビシャス、ヴァンキッシュランなどがあげられます。
もちろん、ファンディーナも当てはまっています。

(5)まとめ
ファンディーナの血統は、ディープの配合の二本柱である、ヘイロー≒サーアイヴァーのクロスと、バークレア周辺のハイインロー関連の血を、両方ともフォローしたものと考えられます。
しかも、ディープ産駒の成功したパターンをしっかり踏襲しているので、非常に成功しやすい配合だと言えるでしょう。
血統的には、大きなレースも狙える本格的な配合だと思います。


2歳
http://keiba-news.tv/system/item_images/images/000/018/433/medium/151c7610-a658-43e5-b841-a980b4374757.jpg


引き続き、馬体のほうも見ていきましょう。
牝馬にしては、非常に大柄ですが、シルエット的には、ディープ産駒らしさもうかがえます。しかしながら、それ以上に、兄ナムラシングンによく似ているのではないでしょうか。また、首差しから胸前にかけてのラインは、祖父サンデーにそっくりです。
大物感充分ですが、パドックを見るかぎり、現状ではまだまだ緩さが残っています。そのあたりがどこまで解消されてくるのかが、1つのポイントになってきそうですね。

ナムラシングン(3歳、皐月賞)
http://www.keibalab.jp/img/upload/focus/201604/160410_namurashingun.jpg

サンデーサイレンス
http://www.pharlap.net/wp-content/uploads/2012/06/sundaysilence2.jpg
ディープインパクト(3歳、皐月賞)
https://livedoor.4.blogimg.jp/jrdbjp/imgs/2/e/2e0bbb10.gif

マイル路線狙い?

今回は、アルアインの勝った新馬戦を取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=06qj2UalUZU
http://db.netkeiba.com/race/201608040805/

ムーア騎手を背に1番人気に推され、レースも中団から危なげなく差し切りました。
POGでも人気の高かった馬ですが、池江師がデビュー前からマイル路線を示唆したことは注目されます。更新が遅れている関係で、次走および次々走の結果も判っていますが、2戦目の千両賞は快勝、3戦目のシンザン記念は内で詰まって6着でした。
まあ、不利のあったシンザン記念は度外視してもよいと思いますが、その次のレースとしてアナウンスされたのは、スプリングSでした。結果次第で皐月賞挑戦に含みを持たせた選択だと思いますが、デビュー前の予定通りにマイル路線を進むのか、場合によってはクラシック路線に切り替えるのか、スプリングSの内容によって決まってきそうですね。

本編とは関係の無い、ちょっとしたお知らせなのですが、YouTubeにて、レース動画のアップロードを行なっていたアカウントが次々に停止され、大量のレース動画が削除されているようです。その影響で、当サイトからの動画リンクも、かなりの数が切れてしまっている状態です(とくに、新馬戦および未勝利戦は殆んど)。
今後の動向を見ながら、リンクの貼り直しなどの作業を行なっていきたいと思いますが、とうぶん予断を許さない状況のように思われます。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001191607/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母ドバイマジェスティは、米G1・ブリーダーズCフィリー&メアスプリント(ダート7F)に勝つなど、34戦12勝。アルアインの1つ上の全姉ジュベルアリは、未出走のまま繁殖にあがりました。
5代母サラセンミスは、自身の産駒にこれといった活躍馬はいませんが、全妹サラセンファーストとともに、この系統の主流派を形成し、勢力を拡大しました。
母系は、米国の中堅どころの、ナイツギャル牝系。ムタファーウエク、マニスティーク、サムロマンスなどが出ています。日本には、あまり入ってきていない系統のようです。

(1)母父エーピーインディ系
ディープ×エーピーインディ系の配合というと、今のところ、ハートレーくらいしか活躍馬が出ていません。

ハートレー
http://www.jbis.or.jp/horse/0001175214/pedigree/

ハートレーの母父コングラッツと、アルアインの母父父プルピットは、いずれも、エーピーインディ×母父ミスタープロスペクターの配合です。
また、ハートレーの母ウィキッドリーパーフェクトと、アルアインの母ドバイマジェスティは、どちらもナスキロラトロと米国血脈が主体の配合である点も似ています。
体型的にも、シアトルスルー(エーピーインディの父)由来の胴長な馬体であることも類似点でしょう。
違いとして目につくのは、ウィキッドリーパーフェクトには、ノーザンダンサー4×5のクロスがあるのに対し、ドバイマジェスティには、ノーザンダンサーの血が薄く1本あるだけということでしょう。この違いは、おそらく成長曲線に影響を与えるのではないかと思われます。ウィキッドリーパーフェクトは、2歳時にG1に勝ちましたが、ドバイマジェスティは、初重賞は古馬になってからで、G1に勝ったのは5歳時でした。
ドバイマジェスティの血統は、スピード+馬力の外回り向きの配合ですが、馬体に芯が通るのには時間がかかり、息子のアルアインも、もしかしたら本領発揮は古馬になってからという可能性もありそうです。

(2)まとめ
アルアインの配合は、ハートレーと較べても、ハイペリオンの要素が薄く、重賞には手が届いても、G1となると難しい面があります。
ハイペリオンの薄いディープ産駒のG1馬というと、リアルインパクトがいますが、配合的には、ノーサードチャンス≒ブルームーン5×4・5のクロスに全てを託したような、ギャンブル性の高いものだったかもしれません。
リアルインパクトの場合は、たまたまクロスが威力を発揮しましたが、アルアインは、5代までクロスの無いアウトブリード配合で、母ドバイマジェスティも5代までクロスがありません。
もっとも目立つクロスは、サーゲイロード≒セクレタリアト6×6・7の兄弟クロスで、全体的にもナスキロ色の強い配合ですから、外回り向きのストライドの大きい末脚が武器となりそうです。
ナスキロ主体という方向性は明確なものの、クロスは薄いものしかなく、ややパンチに欠ける配合かもしれません。

2歳
http://p.nikkansports.com/goku-uma/photo/news/00000001/2016/04/06/1627652-1.jpg

引き続き、馬体のほうも見ておきましょう。
先ほども少し触れたように、シアトルスルーの血の影響の強い胴長体型です。胴伸びはあるものの、ステイヤー的な胴の長さではなく、1600~2000mくらいに向いた体型でしょう。
ディープ産駒にしては、立派なトモをしており、末脚には威力がありそうです。

ハートレー(2歳)
http://uma-jin.net/pc/images/pc_pog_column_100323.jpg

プルピット(アルアインの母父父)
http://www.sporthorse-data.com/horse/10010103/103/Horse_Pulpit-big.jpg
エーピーインディ(アルアインの母父父父&ハートレーの母父父)
http://www.drf.com/sites/default/files/u77/apindygilbert.jpg

最後に、今後の展望について。
デビュー2連勝の内容を見ても、好素材であることは疑いようがありません。しかし、500キロオーバーの大型馬で、現状ではナスキロ的な緩さの残るのも事実です。
馬体に芯が通ってくれば、重賞でも活躍できると思いますが、成長曲線はゆっくりめの可能性も考えておくべきでしょう。
血統的には、大きなセールスポイントに欠けるので、雄大な馬体を活かして、フィジカル面での素質を伸ばしていくべきだと思います。
距離的には、マイラーと決めつける必要はないでしょう。2000mくらいまでなら、充分にこなせそうな馬体だと思います。

ハーツクライの近親

今回は、レッドルチアの勝ち上がった新馬戦を取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=ruiyiVBBDMw
http://db.netkeiba.com/race/201605040604/

レッドルチアとアルミレーナの2頭のディープ産駒が人気を分け、直線でも2頭が後続を引き離しての叩き合いとなりましたが、最後はレッドルチアが半馬身差で勝利を収めました。18頭フルゲートの大外枠でしたが、好スタートから中団につけ、上がり33秒8の末脚を披露しています。
レース内容は申し分なかったのですが、問題は、410キロの馬体重でしょう。全兄のレッドセインツ&レッドライジェルも馬格に恵まれませんでしたが、レッドルチアは牝馬ということで、さらにもう一回り小さいですね。馬体重を増やしていけるかが、今後の大きな課題となりそうです。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001190654/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母サセッティは、英5戦未勝利。産駒は、レッドルチアの2頭の全兄のレッドセインツ(15戦3勝、新潟2歳S3着)とレッドライジェル(16戦4勝、現役)や、半姉レッドセシリア(20戦5勝、阪神ジュベナイルフィリーズ3着)などがいます。
祖母マイポターズは、愛10戦1勝。産駒から、愛オークス馬ウィノナが出ました。
3代母マイビューパーズは、自身は未勝利に終わりましたが、産駒から2頭の重賞勝ち馬を出し、孫の代ではG1馬が2頭も出ました。日本では、ハーツクライの3代母として有名です。
母系は、米国の中堅どころの、ボナヴィア牝系。かつては全くパッとしない系統で、活躍馬が出るようになったのは、マイビューパーズの母プリンセスリヴォークトあたりからでしょうか。日本では、ハーツクライやミッキーアイルが出ました。

(1)一族の活躍馬との比較
マイビューパーズ一族の活躍馬を比較対照してみると、いくつかのパターンが浮かび上がってくるようです。

ミッキーアイル
http://www.jbis.or.jp/horse/0001141719/pedigree/
ウィノナ(愛オークス)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000444465/pedigree/
ハーツクライ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000722158/pedigree/
リファーズスペシャル(輸入種牡馬)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000333796/pedigree/

まず、ミッキーアイルの配合で目につくのは、ノーサードチャンスリヴォークト5×7(ブルーラークスパー、サーギャラハッド、ハイタイムが共通)と、ポカホンタスリヴァーレディ5×5(プリンスキロ、ローマンが共通)の相似クロスでしょうか
レッドルチアにも、ノーサードチャンス≒リヴォークト5×5ポカホンタス≒リヴァーレディ5×5のクロスがあります。
ウィノナの父アルザオは、ディープの母父であり、配合的には、ポカホンタス≒リヴァーレディ3×4のクロスが目立ちますね。
ハーツクライには、アルザオの父であるリファールの血があり、配合的には、ノーサードチャンス≒リヴォークト4×5のクロスがあります。
リファーズスペシャルは、ジェンティルドンナの母母父ですが、父がリファールで、ジェンティルドンナには、ノーサードチャンス≒リヴォークト5×6のクロスがあります。
以上をまとめると、大きな共通点として、リファールノーサードチャンス≒リヴォークトの相似クロス、ポカホンタス≒リヴァーレディの相似クロスの3点が注目されますが、レッドルチアには3つとも揃っています。
リファールについては、やはり、ウィノナの父がアルザオであるという点は示唆的です。ハーツクライやミッキーアイル、リファーズスペシャルなどの成功例もあり、この一族とリファールとの本質的な相性のよさが窺えます。
ノーサードチャンス≒リヴォークトの相似クロスは、もともとはサンデー産駒で成功した配合で、ハーツクライ、サイレンススズカ、ハットトリックなどが出ました。ディープ産駒でも、ジェンティルドンナ&ドナウブルー、ミッキーアイルなどが出ています
ポカホンタス≒リヴァーレディのクロスは、ふつうはリヴァーマン絡みで発生するものですが、たとえば、ミッキーアイルやフィエロ(マイビューパーズ一族ではありませんが)にリヴァーマンの血は無いにもかかわらず、それでもポカホンタス≒リヴァーレディのクロスが生じており、ディープ産駒における成功例は多いです(ディープブリランテ、ミッキーアイル、マリアライト、ミッキークイーン、ショウナンアデラ、タッチングスピーチ、アキヒロ、フィエロなど)。

(2)ハイインローの要素
成長力という観点からすると、ハイペリオンの血は欠かせないところですが、レッドルチアの母サセッティの場合、おもに父父セルカークに含まれており、単に含まれるだけはでなく、ディープ側と組み合わせのクロスを生じる形になっていて、より効果的であると言えるでしょう。

マウンテンフラワー(サンデーの祖母)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000393161/pedigree/
ハイライト(ディープの4代母)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000390923/pedigree/
シャーペンアップ(セルカークの父)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000336086/pedigree/

マウンテンフラワー&ハイライト&シャーペンアップは、ハイペリオンのクロス、サンインロー、アロペ(ディープの8代母)、テディ、スウィンフォード、マルコが共通する組み合わせのクロスになりますが、特に、ディープの母系の血(アロペ)を含んでいるところがポイントです。

(3)ヘイロー≒レッドゴッドとレディレベッカ≒リヴァーマン
レッドルチアには、ヘイロー≒レッドゴッド3×6の相似クロスがあります。このクロスは内回り向きですが、レッドルチアのデビュー戦にしても、2頭の全兄の戦績からしても、末脚の切れ味を活かす外回り向きのタイプのように思われます。
そうだとすると、その末脚の配合的根拠は何処にあるのでしょうか。

レディレベッカ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000394467/pedigree/
リヴァーマン
http://www.jbis.or.jp/horse/0000335664/pedigree/

望田潤氏によると、アルザオの母レディレベッカと、サセッティの母父父リヴァーマンとの間には、相似クロスが生じているとのことです(レッドルチアの場合、レディレベッカ≒リヴァーマン4×4)。共通するのは、ロイヤルチャージャー≒ナスルーラ、プリンスキロ、ローマン、マンノウォーなどです。
自分が知る限りでは、レディレベッカ≒リヴァーマンと考える研究者は望田氏だけですが、似たような例としては、ミッキークイーンのケースがあげられるでしょう。

ミッキークイーン
http://www.jbis.or.jp/horse/0001156953/pedigree/

ミッキークイーンにも、ヘイロー≒レッドゴッド3×5のクロスがありますが、タイプとしては、外回り向きの差し馬でしょう。そして、ミッキークイーンにも、レディレベッカ≒リヴァーマン4×6のクロスがあるわけです。
レディレベッカもリヴァーマンも、典型的なナスキロ配合ですから、レッドルチアとその全兄たちやミッキークイーンの末脚の根拠と考えることが出来そうです。
しかし、ヘイロー≒レッドゴッドの内回り向きの要素が、まったく表に出ていないかといえば、そうとは限らないかもしれません。ミッキークイーンの秋華賞のレースぶりや、レッドライジェルが中山コースも得意としているのは、ヘイロー≒レッドゴッドのクロスのおかげと考えられるでしょう。レッドルチアも、内回りのレースに出ることもあるでしょうが、意外な巧者ぶりを発揮する可能性があることは、念頭に置いておくべきかもしれませんね。

(4)まとめ
レッドルチアの配合は、ハーツクライやミッキーアイルを出したマイビューパーズ一族の成功パターンを踏襲したものです。全兄レッドセインツ&レッドライジェルもそこそこ走っているように、非常に成功しやすい配合と言えるでしょう。
ただ、血統表の印象は、いくらか地味さを感じさせるのも事実で、コンスタントに走るけれど、大物が出るかどうかは運次第といった配合でしょうか。
ちなみに、確実性より一発大物を狙うなら、サセッティの場合、やはりハーツクライということになるでしょう。すでに、レッドセシリアがいますが、マイビューパーズ4×3は実に魅力的で、是非もう1回くらい試してほしいと思います。

http://www.tokyo-tc.com/mng_h_img/org_kinkyo_Sasetti14_19.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていきましょう。
いかにもディープの牝馬産駒らしいシャープな体型ですね。全兄2頭とも似ているのですが、牝馬なので線の細い面があると思います。
今シーズンのディープの2歳産駒の馬体評価リストでは、あまりに馬体が小さいため選外としたものの、シルエット的には見どころがあったので、ウエイトアップすれば期待できる牝馬3頭の内の1頭として取りあげました。

レッドセインツ(2歳)
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/63/fd7c94067b63d3fd74acb7337b46ed89.jpg
レッドライジェル(2歳)
http://www.tokyo-tc.com/mng_h_img/org_kinkyo_Sasetti12_11.jpg

最後に、今後の展望について。
同じディープ産駒のアルミレーナとの叩き合いを制した新馬戦の内容は、よかったと思います。
血統的にも筋が通っていますし、やはり最大の問題は、馬体重ということに尽きるでしょう。
管囲が太い(20.8センチ)ので、もうすこし筋肉がついてくれば、あと10キロくらいは増えてくれるのではと期待しています。
この馬の将来は、1にも2にもウエイトアップ出来るかどうかにかかっていると思います。

未勝利戦ピックアップ~フローレスマジック

今回は、フローレスマジックの勝った未勝利戦を取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=m1qRh3CIu5I
http://db.netkeiba.com/race/201605040202/

デビュー戦は、ちぐはぐなレースで逃げ馬を鼻差とらえきれませんでしたが、今回は、ラスト2Fまで持ったままで、軽く追い出しただけで突き放す楽勝でした。
更新が遅れている関係で、3走目のアルテミスSの結果も判っていますが、大幅な馬体重減に悩まされながらも、勝ち馬のリスグラシューを追い詰めての2着でした。リスグラシューは、阪神ジュベナイルフィリーズでも、出遅れながら2着と好走、ソウルスターリングに次ぐ3歳牝馬ナンバー2の地位を固めているだけに、負けて強しといえるアルテミスS2着の価値は高いでしょう。
なお、アルテミスSでの馬体重減を受けて、年内は馬体回復のための休養にあてるという陣営の判断も、大正解だろうと思います。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001185754/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母マジックストームは、アメリカのダートG2(1800m)に勝っています。これまでの産駒は全て父親がディープですが、ラキシスはG1勝ち、サトノアラジンはG2を2勝、出遅れていたサトノケンシロウも強い勝ち方で2連勝中と、まったくハズレ無しの好成績です。
祖母フロッピーダンサーは、マジックストームが代表産駒ですが、その全妹キャットダンサーも、G1馬ドリルを出しました。
4代母ルイアナは、リトルカレント(米2冠馬)やプレイヤーズンプロミセズ(米G1戦2勝)を出した名繁殖牝馬です。
5代母バンケットベルは、米2冠馬シャトーゲイの母。
母系は、シャトーゲイ、リトルカレント、バーバロなどを出した、米国の名門タスカンレッド牝系。クモハタやゴールドシップの出た、日本の星旗牝系も、この母系から出ました。

(1)ストームバード≒ニジンスキー
ラキシスやサトノアラジンを取りあげた時にも指摘しましたが、母マジックストームが名繁殖牝馬たりえた最大の強味は、自身の持つストームバード≒ニジンスキー2×3の相似クロス(ノーザンダンサー、ブルページ、ギャラントフォックス、フェアプレイ、アルティマスが共通)にあると言ってよいでしょう。その証拠に、上述のように、全妹キャットダンサーもG1馬を出しています。マジックストームは、G2に勝った活躍馬ですが、キャットダンサーのほうは、ただの1勝馬にすぎないわけですから、基本的な配合が優れている証拠と考えられます。

マジックストーム(=キャットダンサー)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000719406/pedigree/

また、これも以前に指摘しましたが、ディープは、強めのクロスを持つ繁殖牝馬と相性がよいようです。具体的には、デニムアンドルビー(母馬にヌレイエフ4×2)、スマートロビン(母馬にノーザンダンサー2×3)、ハープスター(母馬にノーザンダンサー3×3)、ミッキーアイル(母馬にノーザンダンサー4・4×3)、ヴィルシーナ(母馬にヘイロー≒レッドゴッド3×4・4)、サトノダイヤモンド(母馬にヘイロー3×4)、ジェンティルドンナ&ドナウブルー(母馬にノーザンダンサー3×4)、トーセンラー&スピルバーグ(母馬にグフト4×4)、スマートレイアー(母馬にリファール3×4)、レッドオーヴァル(母馬にスマーテア4×3)など、あまり珍しくないノーザンダンサーのクロスはともかく、多くの成功例が見られます。

(2)サーアイヴァーとターリングアとセキロ
望田潤氏によると、ディープとファピアノ~アンブライドルド~アンブライドルズソングの相性がよいのは、ディープの持つサーアイヴァーの血と、ファピアノの3代母セキロの配合が似ているからだそうです(マームード、プリンスキロ、マンノウォー、サーギャラハッド=マルグリットドヴァロワが共通)。

サーアイヴァー
http://www.jbis.or.jp/horse/0000333957/pedigree/
ターリングア
http://www.jbis.or.jp/horse/0000393602/pedigree/
セキロ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000391086/pedigree/

この望田説にそって考えるなら、ストームキャットの母ターリングアもよく似た配合なので、フローレスマジックとしては、サーアイヴァーとターリングアとセキロの組み合わせのクロス(マームード≒マムタズビガム、プリンスキロ、マンノウォー、サーギャラハッド=マルグリットドヴァロワが共通)が生じていることになります。
ここで思い当たるのは、マジックストームの全妹キャットダンサーの出したG1馬ドリルの配合です。

ドリル
http://www.jbis.or.jp/horse/0001148262/pedigree/
ロードゲイロード
http://www.jbis.or.jp/horse/0000335914/pedigree/

ドリルの父母父父ロードゲイロードは、セキロの近親(セキロの祖母とロードゲイロードの3代母が同じ馬)で、配合にも共通性が見られます。したがって、ロードゲイロードとターリングアとセキロは、組み合わせのクロスの関係にあるわけです。
ドリルとフローレスマジック(=ラキシス&サトノアラジン)に同じようなクロスが生じていることは、おそらく偶然ではないでしょう。ディープ×ストームキャット×ファピアノ系の配合は、マジックストーム産駒以外でも、要注意のパターンと言えそうです。

(3)まとめ
ラキシス、サトノアラジン、サトノケンシロウに続き、フローレスマジックまでもが活躍したということで、ディープ×マジックストームの配合は、単なるディープとストームキャットのニックスといったレベルを超えた、抜群の好相性であることが明確になりました。
この配合の唯一の問題点は、本格化までに時間がかかるということでしたが、フローレスマジックは、すでに2歳の時点で同世代の牝馬の中でもトップクラスの素質を見せています。
今後の注目点としては、このままクラシックでも好走するのか、やっぱり本格化は秋以降なのか、ということでしょう。今年の3歳牝馬戦線は、ハイレベルな戦いが予想されるので、フローレスマジックの成長曲線がどのようなものになるのかが、重要なポイントになりそうです。

2歳
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/keiba/keiba/2016/assets_c/2016/07/6ffdad31eb6538a766848956e7a57caaf948d076-thumb-500xauto-166885.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていきましょう。
ディープの牝馬産駒らしいシルエットですが、やはりパワフルさを感じさせるのは、母マジックストームの影響でしょうか。
ラキシスやサトノアラジンに較べると、まとまりのよい体型ですが、サトノケンシロウほどコンパクトではないので、大きすぎず小さすぎず、バランスのよい馬体です。
今年シーズンのディープの2歳産駒の馬体評価リストでは、牝馬の2位に取りあげました。

ラキシス(2歳)
https://livedoor.blogimg.jp/umajin_pog/imgs/6/e/6e6dcb19.jpg
サトノアラジン(2歳)
http://www.jbis.or.jp/horse/images/0001137571_3/
サトノケンシロウ(2歳)
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/keiba/keiba/2016/assets_c/2016/01/satono%20kenshiro-thumb-500x377-116136.jpg

朝日杯フューチュリティS回顧

また前後しますが、今回は、朝日杯フューチュリティSを取りあげます。
サトノアレスは、今回の勝利で3連勝となりましたが、まだ1度も扱っていませんから、取り急ぎということで。

https://www.youtube.com/watch?v=fE7DYOraVx8
http://db.netkeiba.com/race/201609050611/

レースは、前半5Fが60秒6のスローペースで流れましたが、終わってみれば、後方に控えて大外を回したサトノアレスとモンドキャンノの1着2着でした。良馬場ではありましたが、中間に降った雨の影響もあり、力のいる馬場だったのかもしれません。
サトノアレスは、3戦目でようやく勝ち上がりましたが、そこから一気の3連勝でG1制覇となりました。今年の2歳戦線は、主役のはっきりした牝馬勢に対し、牡馬のほうは勢力図が不透明な状況のまま推移しました。年末のホープフルSも、例年に較べると登録馬のレベルが低く、このまま来年に持ち越しということになりそうです。


http://www.jbis.or.jp/horse/0001189935/pedigree/

では、血統のほうから見ていきましょう。
母サトノアマゾネスは、3戦1勝。ストームキャットの従妹&ロイヤルアカデミーの姪というのが、最大のセールスポイントですね。産駒は、サトノヒーロー(21戦4勝)とサトノフェラーリ(25戦3勝、現役)という2頭のサトノアレスの全兄がいます。
祖母プローンコックテイルは、未出走。ロイヤルアカデミーの半妹で、重賞勝ち馬を2頭出しています。
3代母クリムゾンセイントは、米11戦7勝で、ダートG3を勝っています。とくに、繁殖牝馬として大成功を収め、名種牡馬のロイヤルアカデミー(競走馬としてもG1戦2勝)を筆頭に、重賞勝ち馬を3頭出して、孫の代からもストームキャットが出ました。
母系は、米国の名門チェロキーローズ牝系。ただし、サトノアレスの属する分枝は、やや傍流なのですが、それでもストームキャットやロイヤルアカデミーなどの世界的な大種牡馬が出ています。日本では、オルフェーヴル&ドリームジャーニーの兄弟が有名ですが、こちらも主流からは少し外れた分枝の出身です。

(1)サトノアマゾネスとストームキャット
以前に、サトノアレスの全兄サトノフェラーリを取りあげた投稿でも触れたのですが、母サトノアマゾネスとストームキャットとは、たんに従兄妹の間柄というだけではなく、配合的にも類似点があります。

サトノアマゾネス
http://www.jbis.or.jp/horse/0001000909/pedigree/
ストームキャット
http://www.jbis.or.jp/horse/0000337102/pedigree/

具体的には、ノーザンダンサー、ボールドルーラー、プリンスキロ、クリムゾンセイントが共通しており、ノーザンダンサー×ナスキロのパターンになっています。サトノアマゾネス≒ストームキャットと見なすことも可能で、ディープとストームキャットのニックス関係を考えれば、ディープ×サトノアマゾネスも好相性の掛け合わせと言ってよいでしょう。

(2)母父デインヒル
ディープ×母父デインヒルの配合は、17頭がデビューして、14頭が勝ち上がり(うち3頭は地方)、平地重賞勝ち馬はサトノアレスが初。
ディープ×母父デインヒル系ということであれば、ミッキーアイルなどもいますが、母父デインヒル自身の場合、意外にもこれが平地重賞の初勝利(障害にはレッドキングダムがいます)でした。ただし、フィエロはマイルチャンピオンシップで2着2回、エバーブロッサムはオークス2着、ラスヴェンチュラスはローズS3着、ディープサウンドは共同通信杯3着といった具合で、重賞では2着3着の多い配合と言えるかもしれません。
いくらか決め手不足の馬が多い中、サトノアレスが末脚でG1タイトルを獲ったということは、外回り向きのナスキロの血がしっかり出ていると考えてよさそうです。デインヒルには、ラトロワンヌの血もありますから、厳密にはナスキロラトロですね。直線の坂を駆け上がるときの力強さは、ラトロワンヌの血のパワフルさによるものでしょう。当ブログでも再三にわたり指摘してきたように、ディープ×ノーザンダンサー×ナスキロラトロの配合は、典型的な成功パターンの1つです。

フィエロ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001110959/pedigree/

過去のディープ×デインヒルの成功例から、似たような配合をあげるとすれば、やはりフィエロということになるでしょう。具体的には、デインヒル、ボールドルーラー、プリンスキロ、エイトサーティが共通しています。

(3)まとめ
サトノアレスの配合は、ディープ×ノーザンダンサー×ナスキロラトロの基本に沿いつつ、そこへストームキャットとの相性がプラスされたものです。
しかし、フィエロの配合と比較すると、祖母プローンコックテイルがあまりにも米国血脈一辺倒なのが気になります。やはり、ハイペリオンなどの成長力の基盤となる血が不足しているのは否めません。
あとは、セールスポイントである、ストームキャットの近親という点が、どの程度の威力を発揮してくれるかでしょう。全兄のサトノヒーロー&サトノフェラーリは、準オープンで頭打ちとなりましたが、サトノアレスは、一気にG1にまで手が届きました。あとは、この勢いでどのレベルにまで達することが出来るかが焦点となります。勢いが止まってしまえば、そこが限界という可能性の高い配合なので、行けるところまで行ってしまうということが大切です。

http://www.keibado.com/keibabook/161219/photo10.html

引き続き、馬体のほうも見ていきましょう。
ディープ産駒らしい胸の深さもありますが、全体としてはデインヒル寄りでしょうか。

デインヒル
http://cdn.horsehosting.com/Domains/www.arrowfield.com.au/CMSFiles/Images/NewsFeatureImages/Danehill-1091996_resized.jpg
ディープインパクト(3歳、皐月賞)
https://livedoor.4.blogimg.jp/jrdbjp/imgs/2/e/2e0bbb10.gif

ただし、まだ馬体の完成度は低めで、筋肉のつき方もまだまだだと思います。大柄で筋肉量豊富という見方もあるようですが、量はともかく、質的には筋肉が浮き上がって見えるようなところが無いので、いかにも2歳馬という感じでしょう。
距離的には、マイルから2000mまでは問題ないと思いますが、その先となると、やってみないと判らないですね。

参考動画

ベゴニア賞
https://www.youtube.com/watch?v=fQJWVpvsed0
未勝利戦
https://www.youtube.com/watch?v=LA0-gK-0gYs

ダービー馬の半妹

前回も書きましたが、急な出張で更新が滞っているので、遅れを取り戻していきたいと思います。
今回は、オンリートゥモローの勝った新馬戦を取りあげましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=DI5o_LZfEx4
http://db.netkeiba.com/race/201605040105/

さっと好位の4番手あたりにつけると、直線であっさり抜け出し完勝でした。
更新が遅れている関係で、次戦の赤松賞の結果も判っていますが、後方からの競馬で、4角で外に膨らんだ上、直線でも伸びず7着に終わっています。
赤松賞の結果は案外でしたが、あきらかに後方一気のレースには不向きで、好位で流れに乗っていくタイプでしょう。馬主のコメントでは、まだ仕上がり途上の見切り発車的なデビューだったようで、今後の伸びしろにも期待できると思います。赤松賞の敗戦で見限るのは時期尚早でしょう。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001185988/pedigree/

母アコースティクスは、未出走。代表産駒は、ダービー馬ロジユニヴァースですが、それ以外の兄姉は、ほとんど活躍していません。ロジユニヴァースの全弟妹も3頭いますが、いずれもパッとしない成績です。また、1歳上にオンリートゥモローの全姉タイムレスメロディがいますが、馬格が無くて伸び悩んでいるようです(8戦1勝、現役)。
祖母ソニンクは、2頭の重賞勝ち馬を出し、他に重賞2着馬も2頭出ているので、名繁殖牝馬と言ってよいでしょう。
3代母ソニックレディは、マイル戦のG1を3勝しました。繁殖牝馬としても、重賞勝ち馬を2頭おくり出しています。
4代母スタンプトは、英9戦4勝。芝のマイルG3に勝ちました。
母系は、欧州の中堅どころの、ヴァーディクト牝系。ソーブレスドやアトラクションなどが出ましたが、近年は失速気味のようです。日本では、ソニンク一族以外、ほとんど見かけません。

(1)ヘイロー≒サーアイヴァー
アコースティクスの配合で目につくのは、まず、サーアイヴァー≒ヘイロー4×4でしょう。ディープの配合の核も、ヘイロー≒サーアイヴァー2×4ですから、相似クロスを丸ごと継続する形になっています。
ディープのヘイロー≒サーアイヴァーのクロスのどちらか一方を継続するケースは珍しくありませんが、両方とも継続するケースは稀だと思います。

グリーンデザート
http://www.jbis.or.jp/horse/0000336430/pedigree/
アルザオ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000339659/pedigree/

しかも、サーアイヴァーのほうは、母父父グリーンデザートの配合が、父ノーザンダンサー系×母父サーアイヴァーという形なので、ディープの母父アルザオと同じパターンになっており、より効果を発揮しやすいと考えられます。

(2)3代母ソニックレディ
3代母ソニックレディと、ディープの母ウインドインハーヘアは、一見さほど似ていないようですが、よくよく見ると配合的に近いものがあるようです。

ソニックレディ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000412591/pedigree/
ウインドインハーヘア
http://www.jbis.or.jp/horse/0000430846/pedigree/

共通点としては、ノーザンダンサー、バステッド、クレペロ、ハイペリオン、フェアトライアル~サンインロー、フォックスロー=アロウ(ディープの7代母)などです。これは、望田潤氏の重視される、ディープの祖母バークレア絡みの組み合わせのクロスを、ウインドインハーヘアまで拡大したものだと考えられるでしょう。
惜しむらくは、個々の血の対応関係が、やや雑然としていることですが、それでもここまで主要な血が共通していれば、一定以上の効果が期待できそうです。

(3)ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャル×ネヴァーベンド
ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャルの配合は、栗山求氏が指摘された成功パターンですが、ディープ×ノーザンダンサー×スペシャル×ネヴァーベンドという配合は、当ブログで最近プッシュしているパターンです。
ディープ×ノーザンダンサー×スペシャルの部分が共通しているので、2つのパターンに同時に当てはまるケースも多々あります。例としては、ディープブリランテマリアライトミッキークイーン、ショウナンアデラ、デニムアンドルビー、ヴァンキッシュランなどです。
オンリートゥモローも、もちろん両方のパターンに該当しています。

(4)まとめ
父ディープと母アコースティクスとは、配合の核となるヘイロー≒サーアイヴァーが共通しており、さらに母系という点でも(2)のような類似点があります。
配合的にそっくりとは言えないのですが、ポイントとなる血が共通した馬どうしであるとは言ってもよいでしょう。そうした父と母との交配は、共通する血を増幅する効果があると考えられそうです。父母の長所が増幅されれば、この配合は成功と言えるでしょう。

http://daily.c.yimg.jp/horse/toranomaki4/2016/05/06/Images/09056228.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていくことにします。
ディープ産駒らしい胸の深さがありますが、ダンジグ系の影響でしょうか、やや丸みを帯びた体型です。
全姉タイムレスメロディよりも馬格がありますし、なかなか大物感のある馬体だと思います。
今年のデイープの2歳産駒の馬体評価リストでは、牝馬の8位に取りあげました。

タイムレスメロディ(2歳)
http://yakifish.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/2015/04/04/201503_10.jpg
ロジユニヴァース(3歳、弥生賞)
http://www.keibado.com/keibabook/090309/photo06.html

最後に、今後の展望について。
レース内容や体型からすると、末脚の切れよりも機動力で勝負するタイプだと思います。ロジユニヴァースも機動力タイプなので、母系が強く出ているのかもしれません。コース形態としては、内回りの2000mがベストでしょうか。
赤松賞は凡走しましたが、配合的にも成長力に富んだタイプですから、これからまだまだ強くなりそうです。巻き返しに期待しましょう。

京都2歳S戦評

お久しぶりです。急に1ヶ月ほど出張をせねばならなくなり、更新に大きな穴をあけてしまいました。もちろん、出先での更新は可能ですが、なにぶん競馬関連の資料などが手元に一切ないので、いたしかたありませんでした。運が悪かったと諦めて、遅れを取り戻すよう頑張ります。

さて、復帰一発目の更新は、時系列的には前後するのですが、カデナの勝利した京都2歳Sを取りあげます。1度も扱わないうちに重賞に勝ってしまったので、急いでフォローしたいと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=-84nkxnKu-U
http://db.netkeiba.com/race/201608050711/

レースは、1番人気に支持されたヴァナヘイムが中団にかまえ、それを見る形でカデナが後方を進みます。ヴァナヘイムが直線で抜け出しにかかるところを目がけて、カデナが外から追い出し、きっちり差し切って重賞初制覇となりました。
カデナは、新馬戦を取りこぼし、前走の条件戦でも2着に敗れていたように、デビューからいきなり強さを見せるタイプではありませんが、勝ったり負けたりしながら、徐々に力をつけてきています。あとで血統も詳しく検討しますが、成長力充分な配合で、来年が楽しみですね。
オーナーは、ノースヒルズの前田幸治氏ですが、生産は、グランド牧場です。セレクトセールで、ディープの牡馬産駒としては、格安の3600万円で落札されました。その馬が重賞に勝つわけですから、ノースヒルズには目利きが揃っているのでしょう。
2着のヴァナヘイムは、母父がディープです。そろそろ、孫が活躍しはじめる時期なんですね。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001186808/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母フレンチリヴィエラは、米6戦4勝。ダート1200mのG3重賞に勝っています。代表産駒は、京王杯スプリングCに勝ったスズカコーズウェイ。
3代母アエルテュラは、自身は重賞2着が最高の成績でしたが、孫の代から、プリークネスSに勝ったレッドバレットが出ました。
5代母アレアは、伊1000ギニーの勝ち馬。
母系は、中堅どころの、メイドオブザミスト牝系。バカン、セントジャーマンズ、コマンチランなどが出ています。日本では、なんといっても、スピードシンボリが有名でしょう。

(1)母父フレンチデピュティ
ディープ×母父フレンチデピュティの相性のよさについては、スズカフロンティアの投稿でも取りあげたばかりです。今回のカデナの勝利で、この配合からの重賞ウイナーは6頭目となり、7頭のディープ×母父ストームキャットの配合を追い上げています。
これもスズカフロンティアの投稿で触れましたが、ディープ×母父フレンチデピュティの配合の成功パターンとして、ノーサードチャンス≒ブルームーンの相似クロスの補強、グッドエグザンプル≒エイトサーティの相似クロスの補強、ハイペリオンなど欧州血脈の補給の3点を指摘しました。
カデナの場合、ノーサードチャンス≒ブルームーンの相似クロスの補強(ノーサードチャンス≒ブルームーン5・5×7)と、ハイペリオンなど欧州血脈の補給に当てはまっています。

マカヒキ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001171707/pedigree/
カミノタサハラ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001124109/pedigree/

カデナの配合を、過去のディープ×母父フレンチデピュティの成功例と照らし合わせると、マカヒキ&カミノタサハラとの類似が浮かび上がってきます。具体的には、母馬がノーザンダンサー系×ナスキロラトロ配合(カミノタサハラは厳密にはロイキロラトロ)であること、ノーサードチャンス≒ブルームーンの相似クロスの補強、バークレア絡みの組み合わせのクロスの3点になります。
母馬がノーザンダンサー系×ナスキロラトロの配合というのは、母父フレンチデピュティに限らず、ディープ産駒全般に当てはまる成功パターンです。
ディープの祖母バークレアの血を活用した組み合わせのクロスは、望田潤氏が重視されているパターンで、成長力に効果が期待できます。マカヒキの場合は、フィッシュバーフェアアリシア、カミノタサハラの場合は、オリオールが相当しますが、カデナの場合は、6代母アレッジド(有名な種牡馬とは同名異馬です)が該当します。マカヒキやカミノタサハラと異なり、父ディープと母フレンチリヴィエラの双方の母系絡みのクロスということで、より大きな効果が生じる可能性があり、この点がカデナの配合面でのセールスポイントということになりそうです。

(2)まとめ
(1)で検討してきた内容を振り返ると、ディープ×母父フレンチデピュティの重賞勝ち馬6頭のうち、5頭(マカヒキ、カミノタサハラ、ボレアス、ウリウリ、カデナ)までもが非常に類似した配合であることが判ります。マカヒキ&カミノタサハラは、全兄弟からも活躍馬が出ており、そこへセレクトセールでは低評価だったカデナが重賞に勝ったということで、ディープ×母父フレンチデピュティの代表的な成功パターンと見なすことが出来るでしょう。
カデナが来春にどのくらいの走りを見せるのか、大いに注目したいと思います。

引き続き、馬体のほうも検討したいのですが、ネット上には良い画像がありません。POG本でも、ギャロップの丸ごとPOGに画像があるくらいでしょうか。
丸ごとの画像を見るかぎり、カミノタサハラ似の体型のように思えますが、詳細は良い画像が入手できたらということにさせてください。

参考動画

未勝利戦
https://www.youtube.com/watch?v=etpgANOCuMo

1着同着

今回は、スズカフロンティアとサトノアーサーが、新馬戦史上8度目の1着同着となったレースを取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=oS2UdtIfQf0
http://db.netkeiba.com/race/201609040705/

レースは、前半5F65秒3の超スローペースで進み、スズカフロンティアは5番手、サトノアーサーはその直後という位置取りでした。3角すぎからペースが上がり、直線を向いてスズカフロンティアとサトノアーサーも先頭に並びかけますが、スムースに加速していくスズカフロンティアに対し、サトノアーサーのほうはギアチェンジに手間取る感じで、その隙をついてスズカフロンティアが抜け出します。断然の人気を背負ったサトノアーサーも懸命に追いかけ、3着以下を5馬身引き離しての競り合いは、新馬戦史上8度目の1着同着の結末でした。同着が8度目ということは、同一種牡馬の産駒による同着は、もしかしたら史上初の可能性もありそうです(サンデー産駒あたりに前例があるかもしれませんが)。
結果は同着でしたが、内容的には、スズカフロンティアが終始リードしていたと思います。最後は首の上げ下げで同着になったものの、馬体はスズカフロンティアのほうが前に出ていました。
しかし、サトノアーサーも、コーナーで外を回らされたロスも考慮すれば、別に悲観する内容ではありません。なんといっても、3着以下は5馬身も離れてしまいましたからね。とはいえ、今年のPOGの人気馬で、調教でも好時計が出ており、単勝も圧倒的な1番人気でしたから、負けなくてよかったといったところでしょうか。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001192768/pedigree/

それでは、まず、サトノアーサーのほうから血統を見ていくことにしましょう。
母キングズローズは、新豪香23戦8勝。新1000ギニーに勝っています。サトノアーサーは初仔。
3代母ラカブは、英10戦1勝。産駒のヘソナイトはG3勝ち馬。孫の代からは、G1戦2勝のアナバンダナが出ています。
4代母リヴァーララバイは、重賞勝ち産駒を3頭出した名繁殖牝馬。
5代母アラダンサーは、産駒のラテンアメリカンがG1に勝ちました。
母系は、アメリカの中堅どころの、サンファラ牝系。クリプトクリアランス、デヴィルメイケア、ボールドネシアンなどが出ています。日本では、まだこれといった大物は出ておらず、メジロダーリングやマルカシェンクが目立つ程度。輸入種牡馬のフレンチデピュティも、この牝系の出身です。

(1)よく似た配合例
サトノアーサーの配合は、ディープ×母父デインヒル産駒×母母父ヌレイエフとなっていますが、これによく似ているのは、ミッキーアイルの配合でしょう。

ミッキーアイル
http://www.jbis.or.jp/horse/0001141719/pedigree/

同じく、ディープ×母父デインヒル産駒×母母父ヌレイエフの配合パターンであることが見てとれます。デインヒル×ヌレイエフの配合では、当ブログではお馴じみの、フラワーボウルスペシャルの組み合わせのクロスが発生します。名牝ミエスクを生み出したこのクロスの威力は、現代においても、ガリレオ×デインヒルのニックスの根拠として、怪物フランケルをおくり出したように、まったく衰えることがありません。
また、ミッキーアイルには、ノーザンダンサーの血が4本もありますが、サトノアーサーの場合、なんと6本ものノーザンダンサーの血があります。ノーザンダンサーのクロスを持つ母馬の産駒は、成長が早く(早熟という意味ではありません)、春のクラシックを戦うには有利な要素ですが、6本ともなると、ディープ産駒に前例があるのかどうか、とにかく注目していく必要があるでしょう。

ジェンティルドンナ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001110862/pedigree/

また、ジェンティルドンナの配合とも類似点が多く、ディープ×母父ダンジグ系×リファールのクロス×ネヴァーベンドが共通しています。

アキヒロ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001115451/pedigree/

アキヒロは、フランスでG3重賞に勝ち、その時の3着馬ナショナルディフェンスが、フランスの2歳戦の頂点であるジャンリュックラガルデール賞に勝利したため、さらに注目度が上がっていますが、ディープ×母父ダンジグ系×ニジンスキー×リヴァーマンという共通項があります。

こうして見ていくと、サトノアーサーの配合は、これまでのディープ×ダンジグ系の成功例を踏まえたものとなっており、再現性の高い配合と言えそうです。

(2)リファールのクロス
(1)でも少し触れましたが、サトノアーサーには、リファールのクロスがあります。当ブログでは、単独のリファールのクロスは、いかにディープ産駒といえども、あまりおすすめ出来ないという立場です。
やはり、レイズアネイティヴ系の血か、ヘイロー≒サーアイヴァーのクロスの継続などのサポートがあったほうが成功しやすいでしょう。
サトノアーサーの場合は、サーアイヴァーの血がある(ヘイロー≒サーアイヴァー3・5×6)ので、後者のケースということになります。

(3)ディープ×ノーザンダンサー×スペシャル×ネヴァーベンド
ディープ×ノーザンダンサー×スペシャル×ネヴァーベンドの配合パターンは、つい先ごろ思いついたばかりで、まだ充分に考えがまとまってないのですが、とにかく成功例は大量にあります。具体的には、ディープブリランテマリアライト、ミッキークイーン、シンハライト&アダムスピーク、ショウナンアデラ、デニムアンドルビー、ヴァンキッシュラン、タッチングスピーチ、アキヒロ、ファイナルフォーム、ベストディールなどですね。

(4)まとめ
サトノアーサーの配合は、これまでのディープ産駒の成功パターンを多く含んでおり、いかにも活躍しそうな配合であるのは確かです。
気になる点があるとすれば、ダンジグやリファールのクロスが内回り向きなのに対して、サーアイヴァーやリヴァーマンが外回り向きの血である点です。
初戦のレース内容を見るかぎり、コーナリングはさほど上手くはなさそうで、直線でのエンジンのかかりも遅めのようなので、やや外回り向きの血が強く出ているといった感じでしょうか。
ディープ×母父ダンジグ系のこれまでの産駒たちを見ても、丸っこい馬体からピッチ走法を繰り出す内回り向きのタイプは、なかなか重賞に勝てないようです。成功しているのは、馬体に伸びのあるタイプで、詳しくは後述ということにしますが、サトノアーサーは、その点においても成功パターンに当てはまっているようです。

https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/keiba/keiba/2016/assets_c/2016/09/satono-arser-thumb-550xauto-170746.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていきます。
パッと見でも多くの人を惹きつける、垢抜けした好馬体であることに異論はないでしょう。馬体画像が公開されるや、一気にPOG人気が急上昇したのも頷けるところです。
上の方でも少し触れたように、ディープ×母父ダンジグ系の産駒の体型は、割合だけならば、丸っこい馬体でピッチ寄りの走りをするタイプが多数派なのは間違いないと思います。しかし、この多数派に属する産駒は、なかなか重賞に勝てません。出世頭は、オークス2着のエバーブロッサムあたりですが、その次はと言われても、急には思いつかないくらいです。
逆に、活躍しているのは、胴伸びのある少数派で、かなり胴長のサトノダイヤモンドは極端な例としても、ジェンティルドンナにせよ、ミッキーアイルにせよ、しっかり胴の長さがあります。
サトノアーサーも胴伸びのしっかりあるタイプで、血統表を見せられなければ、まず母父ダンジグ系とは思わない体型でしょう。
今年のデイープの2歳産駒の馬体評価リストでは、牡馬の2位に取りあげましたが、そのさいには完成度の高い馬だと思ったのですが、今回のデビュー戦の内容やパドックの様子などを見るかぎり、むしろこれからの成長に期待したくなるタイプでしたね。

ジェンティルドンナ(3歳、オークス)
http://www.keibado.com/keibabook/120521/photo05.html
ミッキーアイル(3歳、シンザン記念)
http://www.keibado.com/keibabook/140114/photo07.html
サトノダイヤモンド(3歳、菊花賞)
http://www.keibado.com/keibabook/161024/photo01.html

エバーブロッサム(3歳、ローズS)
http://www.keibado.com/keibabook/130917/photo04.html

サトノアーサーの項の最後に、今後の展望について。
調教では好時計が出ていましたが、いざ実戦となると、未完成で荒削りな部分ばかりが目につきました。しかし、この時期はまだ荒削りくらいでちょうど良いと思うので、これから来春に向けての成長度がカギになるでしょう。その意味で注目されるのは、ノーザンダンサー6本入りの配合となります。これがどのような効果をもたらすのかで、結果が違ってきそうですね。
ぜひ、次走は、外回りコースでの走りを見てみたいと思います。その結果次第では、クラシックへの視界が開けていくかもしれません。

それでは、スズカフロンティアのほうに映りましょう。
まず、血統のほうから検討していきます。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001186396/pedigree/

母スズカフォイルは、26戦4勝。
祖母アンフォイルドは、17戦4勝。孫の代から、ダートG1戦10勝のホッコータルマエが出ました。
4代母パーフェクトフォイルは、自身は未勝利でしたが、産駒からは、重賞勝ち馬を2頭おくり出しています。
母系は、ダラカニ、ドバウィ、ロミタスなどの出た、名門セイントルーカー牝系。日本では、ホッコータルマエとリトルアマポーラが、G1に勝っています。

(1)フレンチデピュティとストームキャット
ディープ×フレンチデピュティは、ディープ×カーリアンやディープ×アンブライドルド(またはアンブライドルズソング)とともに、最も早い段階から知られたニックスです。
その後、ディープ×ストームキャットが一気に抬頭してきましたが、ここにあげた他の種牡馬たちと異なり、フレンチデピュティは輸入種牡馬なので、国内にお相手がたくさんいるというメリットがあります。

フレンチデピュティ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000362799/pedigree/
ストームキャット
http://www.jbis.or.jp/horse/0000337102/pedigree/

フレンチデピュティの比較対象として適当なのは、ストームキャットでしょう。共通点としては、ダートにも強い馬力型のノーザンダンサー系種牡馬であること、母馬がナスキロ配合であること、エイトサーティの血を持つこと、米国血脈中心でハイペリオンの血が不足気味であることなどです。
それでは、相違点というか個々のメリットについてはどうでしょうか。
まず、ストームキャットには、セクレタリアトの血があり、ディープにある半兄サーゲイロードと相似クロスが生じ、ナスキロ的な末脚の切れが強化されるため、キズナのような豪脚の持ち主が出たりします。
一方、フレンチデピュティの持つブルームーンの血は、サンデーの持つノーサードチャンスの血と相似クロスが発生し、アメリカンなパワーが強化されるので、ダート馬が出る場合も少なくありません。ディープ産駒唯一のダート重賞勝ち馬ボレアスは、母父フレンチデピュティです。

(2)ディープ×母父フレンチデピュティの成功例
ディープ×母父フレンチデピュティの配合のこれまでの成績は、37頭がデビューして30頭が勝ち上がり(うち2頭は地方)、重賞勝ち馬は5頭、G1馬はショウナンパンドラとマカヒキの2頭です。
重賞勝ち馬は5頭いるのですが、兄弟が2組いますから、実質3パターンというのは心もとないので、重賞2着の実績があるケイティープライドとアヴニールマルシェも加えて考えてみましょう。
まず、その前に、フレンチデピュティ×サンデー系の配合の基本を復習しておきます。

レジネッタ(フレンチデピュティ×サンデーの例として)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000887443/pedigree/

フレンチデピュティの配合の核は、グッドエグザンプルエイトサーティ5×4の相似クロスにあります。
また、(1)でも触れたように、サンデー系との配合では、エイトサーティの娘であるブルームーンと、サンデーの祖父ヘイルトゥリーズンの母ノーサードチャンスとの間に相似クロスが発生します(レジネッタの場合、ブルームーン≒ノーサードチャンス4×5)。
そして、エイトサーティとブルームーンの父娘関係により、グッドエグザンプル≒エイトサーティとブルームーン≒ノーサードチャンスの2つのクロスが結合されることがポイントであるのは、当ブログでも再三にわたって強調してきました。
しかし、ディープ×フレンチデピュティの配合を考える場合、さらなるプラスアルファが必要なようです。
そのプラスアルファとして、グッドエグザンプル≒エイトサーティあるいはノーサードチャンス≒ブルームーンのクロスを強化するというのは、1つのパターンとなっています。

マカヒキ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001171707/pedigree/
カミノタサハラ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001124109/pedigree/

マカヒキ&ウリウリの母母母父サザンヘイロー祖父はヘイルトゥリーズンですから、ノーサードチャンス≒ブルームーン5×5・7と継続されます。
また、マカヒキの祖母リアルナンバーにはエイトサーティの血があるので、母ウィキウィキとして、グッドエグザンプル≒エイトサーティ6・5×7と、こちらも継続されているわけです。
カミノタサハラと兄弟たちのの祖母クロカミの父カーリアンと母ミルドには、それぞれヘイルトゥリーズンの血があるので、ノーサードチャンス≒ブルームーン5×5・7・7と継続されています。
ケイティープライドは、祖母ケイティーズファーストに、ウォーレリックの血が2本あるので、母ケイティーズギフトとしては、グッドエグザンプル≒エイトサーティ≒ウォーレリック6・5×7・6と、やはり継続しています。
アヴニールマルシェは、母父ダンシングブレーヴの3代母チョコレートボウの配合が、ノーサードチャンス&ブルームーンと似ているので、ノーサードチャンス≒ブルームーン≒チョコレートボウ5×5・6となります。

もう1つの成功パターンとしては、フレンチデピュティに不足しているハイペリオンや欧州血脈を補うケースがあります。
手っ取り早いのは、望田潤氏が重視されている、バークレアがらみの組み合わせのクロスをつくることでしょう。
マカヒキはフィッシュバーフェアアリシア、カミノタサハラはオリオール、ケイティープライドはクリスの血が該当します。
他方、ショウナンパンドラの補強方法は独特です。

ショウナンパンドラ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001140190/pedigree/

キューティゴールドには、ヴァイスリージェントノーザンテースト3×3という強烈な相似クロスがあります。ノーザンテーストには、ハイペリオン4×3という強いクロスがあり、ハイペリオンの血の補給に最適です。
また、ショウナンパンドラ自身には、サンルスードロニック5×4という、きわめて欧州色の濃い相似クロスがあります。

さて、以上の検討を踏まえて、スズカフロンティアのケースは、どのように考えればよいでしょうか。
祖母アンフォイルドには、ウォーレリックの血が2本と、その全姉スピードボートの血もあるので、母スズカフォイルとして、グッドエグザンプル≒エイトサーティ≒ウォーレリック≒スピードボート6・5×8・8・8と継続しています。
また、アスピディストラバックパサーマイディアガールの3頭は、ノーサードチャンス&ブルームーンと配合が似ています。そっくりとまでは言えませんが、組み合わせのクロスとは言えなくもないでしょう。
しかし、母スズカフォイルの配合は、米国血脈一辺倒に近く、残念ながら、ハイペリオン不足&欧州血脈不足は否めないようです。
なにか他の要素を付け加える必要があります。

(3)母母父アンブライドルド
ディープ×アンブライドルド~アンブライドルズソングの相性のよさの原因は、望田潤氏によれば、サーアイヴァーセキロ(アンブライドルドの父ファピアノの3代母)との組み合わせのクロス(プリンスキロ、マームード、サーギャラハッド=マルグリットドヴァロワ、マンノウォーが共通)にあるとのことでした。
では、フレンチデピュティにもそれらに類する血がないかと探してみると、その母ミッテランの配合には、プリンスキロ、マムタズビガム(≒マームード)、サーギャラハッド、マンノウォーの血がありました。
ということは、サーアイヴァーとミッテランとセキロの組み合わせのクロスが成り立っていることになり、これは、スズカフロンティアの配合のセールスポイントになりうるでしょう。

(4)まとめ
スズカフロンティアの配合は、ハイペリオン不足は気になるものの、ディープ×フレンチデピュティと、ディープ×アンブライドルドの2つのニックスを併せ持ち、しかも、ディープとフレンチデピュティとアンブライドルドが、サーアイヴァーとミッテランとセキロの組み合わせのクロスによって結び付けられているという、なかなか興味深い配合となっています。
サーアイヴァーもミッテランもナスキロ配合ですから、外回りで切れ味の鋭さを見せてくれるようなら、この配合は成功でしょう。次走以降に注目です。

パドック
https://livedoor.blogimg.jp/keiba100bai/imgs/f/6/f6e89861.jpg
表彰式
http://keibalab.jp/img/upload/topics/201610/161001_suzukafrontier03.jpg

引き続き、馬体のほうも見ておきたいのですが、残念ながら、分かりやすい画像はありませんでした。
パドックや表彰式の画像を見るかぎり、コンパクトにまとまった、ディープの牝馬産駒に多いような体型のように見受けられます。しかし、これらの画像では不充分なので、詳細は、もっと見やすい画像が入手できたらということにさせてください。

スズカフロンティアの項の最後に、今後の展望について。
やはり、最大の問題点は、牡馬としてはいかにも軽量な424キロの馬体重でしょう。せめて、もう10キロは欲しいところです。
しかし、成長のためのブースターとなりうるハイペリオンの血が不足気味なのは痛い。
どこまでウエイトアップ出来るかに、この馬の将来がかかっているといっても過言ではありません。

評判馬対決を制したのは

今回は、ムーヴザワールドの勝った新馬戦を取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=LZCqpeE6Q3o
http://db.netkeiba.com/race/201609040605/

ムーヴザワールドの他にも、エアウィンザー、アドミラブル、ナイトバナレットなど、評判馬の揃ったレースとなりましたが、なかでも圧倒的な人気を集めたのは、エアウィンザーでした。エアスピネルの全弟という血統もさることながら、追い切りで古馬重賞級のタイムを連発しており、他に目を惹くような調教時計を出している馬がいないことから、一本かぶりの人気となったようです。
レースは、ムーヴザワールドが4~5番手の好位につけ、それを見るように直後にエアウィンザーという展開となりました。直線に入ると、ムーヴザワールド、エアウィンザー、ナイトバナレットが並んで逃げ馬に並びかけましたが、ここでムーヴザワールドの進路が狭くなり、エアウィンザーが先に抜け出します。遅れをとったムーヴザワールドは、態勢を立て直して狭いスペースに突っ込み、エアウィンザーとの叩き合いになりましたが、これを首差で制して新馬勝ちをおさめました。勝ち時計も、良馬場とはいえ、まだ前日の水分が充分に抜けきっていない時間帯のものとしては、まずまずのタイムだったと思います。
エアウィンザーの猛時計連発の調教に対して、ムーヴザワールドの仕上げは、新馬戦の勝ち負けにこだわらない石坂厩舎らしい控えめなものでしたし、春のクラシックには全く間に合わなかったタッチングスピーチの全弟という点からも、初戦から動けるのか疑問視されたところもありましたが、それでも競り勝ったということは、素質の高さを見せつけたものといってよいでしょう。
なお、次走は、東京スポーツ杯2歳Sの予定だそうです。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001191568/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母リッスンは、英G1・フィリーズマイル(芝8F)の勝ち馬。産駒には、ムーヴザワールドの全姉タッチングスピーチや全兄ニューワールドパワーがおり、さらに1歳下の全妹や2歳下の全弟もいます。
祖母ブリジッドは、仏5戦1勝。産駒は、シクウォイア&リッスンの全姉妹が、いずれもG1を勝ちました。シクウォイアの産駒からは、G1戦4勝のヘンリーザナヴィゲーターが出ています。また、シクウォイア&リッスンの半姉レディウィンダミアは、自身は未出走でしたが、孫にG1戦2勝のマジシャンが出ました。
3代母ラヴラヴィンは、ブリジッド以外にも、オアヴィジョンやリタニリヴァーなどの優れた繁殖牝馬を出し、そちらの分枝からもG1馬が出ています。
母系は、メダグリアドーロ、ヘンリーザナヴィゲーター、インディアンスキマーなどの出た、アメリカの名門アイドルファンシー牝系。日本には、まださほど入ってきていない系統で、G1馬は出ておらず、タッチングスピーチやアイポッパーが目立つくらいです。

(1)ディープ×サドラーズウェルズ
ディープ×母父サドラーズウェルズの配合は、これまでに10頭がデビューして、半数の5頭が勝ち上がり、重賞勝ち馬はタッチングスピーチだけ。勝ち上がり率も平凡で、大物もリッスン産駒が期待されているだけという状況です。
しかし、母父以外でサドラーズウェルズの血が入っているケースということになると、事態は一変します。トーセンラー&スピルバーグ、ディーマジェスティ、マリアライト、シンハライト&アダムスピーク、アンビシャス、ヴァンキッシュラン、パララサルーなど、数多くの活躍馬が出ているのです。ディープ×ヌレイエフの相性のよさや、ハープスターの例なども考え合わせると、ディープとサドラーズウェルズの相性が悪いとは、とうてい思えないでしょう。
やはり、問題になっているのは、配合的な相性ではなく、日本の高速馬場に向かない欧州的な重さということになります。成功馬の配合から考えると、そうした重さの対応策には、いくつかのパターンがあるようです。
まず、手っ取り早いのは、ミスプロの血を入れることでしょう。トーセンラー&スピルバーグやアンビシャス、マリアライト、ヴァンキッシュラン、パラサルーなどが該当します。
最近、増加傾向にあるパターンとしては、ヘイローがらみのクロスを作ること。シンハライト&アダムスピークやアンビシャスが、このパターンになります。
あとは、ミルリーフやリヴァーマンの血を入れて、ボールドリーズンネヴァーベンドの兄弟クロスを作るパターン。マリアライト、シンハライト&アダムスピーク、タッチングスピーチなどが当てはまり、ムーヴザワールドもこれになります。
付け加えるなら、タッチングスピーチ&ムーヴザワールドには、ミスプロの血は無いものの、その父のレイズアネイティヴの血はあります。
結論として、タッチングスピーチ&ムーヴザワールドの姉弟の場合、サドラーズウェルズの重さの処理は、それなりになされていると判断して良いでしょう。

(2)ディープ×ノーザンダンサー×スペシャル×ネヴァーベンド
ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャルは、栗山求氏の提唱された好配合パターンですが、ミスプロをネヴァーベンドに置き換えたらどうだろうか、というのは自分の思い付きです。サドラーズウェルズと、ミルリーフやリヴァーマンなどのネヴァーベンド産駒とが、ニックス関係にあることからヒントを得ています。
とはいえ、ノーザンダンサー×スペシャルといっても、ネヴァーベンドとの関係を考えると、サドラーズウェルズとヌレイエフとでは事情が違ってきます。サドラーズウェルズの場合、ボールドリーズン≒ネヴァーベンドの兄弟クロスが発生しますが、ヌレイエフにボールドリーズンの血はありません。しかし、サドラーズウェルズの血が、ガリレオを通して世界的に発展していく一方、ヌレイエフの父系が伸び悩んでいるのは、ボールドリーズンの血の不在にあると考えることも出来ます。したがって、ボールドリーズンの血を持たないヌレイエフは、それに類する血を切実に欲しているのではないかという仮説に辿り着くわけです。むしろ、ネヴァーベンドの血をプラスする意味は、ヌレイエフの場合の方が大きいのかもしれません。
さて、ディープ×ノーザンダンサー×スペシャル×ネヴァーベンドという配合パターンの成功例としては、ディープブリランテ、マリアライト、ミッキークイーン、シンハライト&アダムスピーク、ショウナンアデラ、デニムアンドルビー、ヴァンキッシュラン、タッチングスピーチ、ベストディールなどがあげられます。
ネヴァーベンドを追加する効果は、ナスキロラトロの配合形を作りやすいということです。ディープの末脚の配合的な根拠であるナスキロ配合に、ラトロワンヌのパワーも付加して、より効果を高めようということですね。

(3)トレヴとの類似点

トレヴ
http://www.pedigreequery.com/treve3

以前、タッチングスピーチを取りあげた時にも指摘したのですが、トレヴとは配合的な類似を感じます。具体的には、ノーザンダンサー+スペシャル、リヴァーマン、レイズアネイティヴ、レディビーグッド≒プレイヤーベル、ヘイルトゥリーズン、リファール、カミーニー≒サンルスー、セクレタリアト≒サーアイヴァー、フェオラ(ディープの6代母、モナーキーとオリオールの祖母)が共通しているわけです。
やはり、成功する配合には、なにかしらの共通点があるのでしょう。

(4)まとめ
タッチングスピーチは、春のクラシックに間に合いませんでしたし、セレクトセールで高額落札されたニューワールドパワーは、3歳の春になってようやくデビューしましたが、まだ使い込むことが出来ないようで、3戦未勝利の状態です。
いかにも、晩成血統という雰囲気が漂ってくるわけですが、案に相違して、ムーヴザワールドは、評判馬を撃破して新馬勝ちをおさめました。
たしかに、サドラーズウェルズの血を除いては、それほど晩成の血が多いわけではなく、春のクラシックに間に合ったとしても不思議ではありません。
ただ、デビュー戦の馬体は、いかにも緩い感じで、素質だけで強引に勝ち上がったという気もします。そのあたりが、今後の注目点ということになるでしょう。

https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/keiba/keiba/2016/assets_c/2016/09/38df0e98c389b94c626f0316b16d73649bd4335b-thumb-550xauto-169628.jpg

引き続き、馬体のほうも見ておきましょう。
お姉さんのタッチングスピーチは、サドラーズウェルズ色の濃い胴長体型でしたが、弟のほうは大柄ですが、あまりサドラーズウェルズの影響は感じられません。がっしりとした中距離体型でしょう。
一番の不安点は、馬体重が増えすぎたのではないかということでしたが、なんとか510キロでストップしてくれました。これならば、常識の範囲内のサイズでしょう。
今年のデイープの2歳産駒の馬体評価リストでは、牡馬の3位に取りあげました。

タッチングスピーチ(2歳)
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/keiba/keiba/2014/assets_c/2014/11/tacching%20speach-thumb-450x334-84557.jpg

サドラーズウェルズ
http://www.blacktypepedigree.com/sites/default/files/field/image/sadlers_wells.jpg

最後に、今後の展望について。
早々と次走の予定が発表になりましたが、いきなり東スポ杯ということは、陣営が今回のレース内容に手ごたえを感じている証拠でしょう。
しかし、東スポ杯ということなら、かなり厳しいメンバー構成になることは確実です。ムーヴザワールドの将来性を計る試金石となりますね。ここを通過できるようなら、クラシック候補として大きくクローズアップされることになるでしょう。
もちろん、晩成寄りの血統であることを考えると、完成度の差でやられるケースも考えられます。しかし、血統的な成長力を考えあわせるなら、ここでの勝敗はさほど重要ではなく、しっかり来春のクラシックにつながるレースをしてくれれば充分だと思います。

速報・シェーヌ賞

本日、フランスのシャンティイ競馬場で行われたG3・シェーヌ賞(芝1600m)にて、ディープ産駒のアキヒロが、1番人気に応えて優勝しました。
2歳世代の初重賞は、フランスの地からもたらされました。

https://www.youtube.com/watch?v=GPaDIkOT_CM
http://www.paris-turf.com/programme-courses/2016-09-08/reunion-chantilly/partants-pronostics/prix-des-chenes-995415
http://race.sanspo.com/keiba/news/20160910/ove16091005000001-n1.html

http://www.jbis.or.jp/horse/0001192769/pedigree/

レース動画は直線の模様だけですが、スタートは出負けして後方2番手からの展開となったものの、長い直線を活かして豪快に差し切っています。
今回は、重賞とはいえ6頭立ての少頭数で、しかもアキヒロが1番人気ということだったので、勝って当然という雰囲気もあったようですが、この勝利により次走はG1への挑戦が濃厚になりました。
その1つの候補として、凱旋門賞と同じ日にシャンティイで行われるG1・ジャンリュックラガルデール賞(芝1600m)への出走が有力視されていますが、もし出走が決まれば、マカヒキとの共演ということになりますね(ちなみに、凱旋門賞もジャンリュックラガルデール賞も、本来は改修中のロンシャンで行なわれるレースです)。
なお、アキヒロの血統などについては、デビュー戦についてのこちらの投稿を参照してください。

追記
レース全体をおさめた動画が見つかりましたので、差し替えておきます。

バステッドとの相性

今回は、ディープウォーリアの勝った新馬戦を取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=0MWKOr_k0cY
http://db.netkeiba.com/race/201601020205/

好位の3番手から、4角では早々と先頭に立ち、そのまま押し切って完勝でした。力のいる稍重馬場でしたが、むしろこういう馬場は得意そうですね。母馬がそこそこの活躍馬で、調教もそれなりの時計が出ていたわりには、6番人気という謎の低評価でしたが、蓋を開けてみれば快勝でした。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001188005/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母アマノチェリーランは、16戦3勝。フィリーズレビュー2着の実績があります。ディープウォーリア以前に3頭の産駒を出していますが、いずれも未勝利に終わっているだけでなく、レース内容も大きく離された惨敗ばかりということで、ディープウォーリアの不可解な6番人気につながったようです。
祖母ニキトートは、英5戦1勝。G1馬テリモンの4分の3姉にあたります。
3代母ニコラスグレイは、英伊23戦8勝。重賞勝ちはありませんが、伊オークス2着の実績があります。上述のように、英G1・インターナショナルSに勝ったテリモンを出しています。
母系は、欧州の中堅どころの、ラングサイン牝系。英愛リーディンサイアーに輝いたピットカーンや、英愛リーディング2位の実績のあるインヴィンシブルスピリットが出ていますが、日本には殆んど入っておらず、アマノチェリーランが唯一の活躍馬という状況です。

(1)テリモンとアマノチェリーラン
ラングサイン牝系の主流系統は、ピットカーンやインヴィンシブルスピリットの出た分枝で、テリモンやアマノチェリーランの属する分枝は、やや傍流であり、その一族から出たG1馬はテリモンだけです。
そのテリモンの4分の3姉ニキトートは、大いに期待されて輸入されたと思いますが、結果として、アマノチェリーラン以外は、パッとしない産駒ばかりでした。

テリモン
http://www.jbis.or.jp/horse/0000192974/pedigree/
アマノチェリーラン
http://www.jbis.or.jp/horse/0000806661/pedigree/

では、なぜアマノチェリーランだけが活躍できたのでしょうか。
アマノチェリーランの配合の核は、バステッド5×3にあります。しかも、父側のバステッドの血は、テリモンと同じバスティノ経由のものでした。このバステッドのクロスこそが、成功の主たる要因ではないかと推測されます。
繁殖にあがったアマノチェリーランには、ゴールドアリュール、ハーツクライ、クロフネといった一流種牡馬が交配されましたが、上述のように産駒の成績は惨憺たるものでした。後方に置かれたまま大敗する産駒ばかりで、3頭とも未勝利に終わりました。
たしかに、競走馬としては活躍しても、繁殖牝馬としては全く成果をあげられない馬がいるのは事実です。アマノチェリーランもそうしたタイプではないかとの疑念が、ディープウォーリアの6番人気という低評価ににじみ出ていたのかもしれません。
そうした低評価を覆す激走の原因を探ってみるならば、やはりここでもバステッドの血が浮かび上がってきます。ディープの側にもバステッドの血があるので、バステッド4×6・4と継続しているわけです。

アマノチェリーラン15
http://www.jbis.or.jp/horse/0001203997/pedigree/

ニキトート産駒の唯一の活躍馬が、バステッドのクロスを持つアマノチェリーランで、そのアマノチェリーラン産駒の唯一の活躍馬が、バステッドのクロスを継続したディープウォーリアというのは、はたして偶然なのでしょうか?
その疑問に答えを出せるのは、ディープウォーリアの半弟アマノチェリーラン15でしょう。ディープウォーリアが活躍しても、それは父ディープインパクトのおかげにすぎないという可能性もあります。しかし、父ヴィクトワールピサで、バステッド5×6・4(バスティノ4×5)と継続しているアマノチェリーラン15が活躍したとすれば、アマノチェリーラン一族におけるバステッドの血の重要性が実証されたと言ってもよいでしょう。

(2)ディープの母系とバステッド
アマノチェリーラン一族とバステッドとの相性を検討してきましたが、それでは、ディープ一族とバステッドの血の相性はどうでしょうか?

バークレア
http://www.jbis.or.jp/horse/0000394655/pedigree/
ハイトオブファッション
http://www.jbis.or.jp/horse/0000393122/pedigree/

ディープの祖母は、バステッドを父に持つバークレアですが、その4分の3妹ハイトオブファッション(父バスティノ)は、重賞3勝という競走成績の点でも、産駒からG1馬を3頭も出した繁殖実績という点でも、姉を圧倒する成果を残しました。しかし、姉妹の実績の比較が重要なのではなく、姉妹の父がバステッドおよびバステッド産駒ということがポイントです。ディープの母系も、バステッドの血との相性が抜群だということですね。

ディープブリランテ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001110554/pedigree/
ワールドインパクト
http://www.jbis.or.jp/horse/0001142303/pedigree/
ショウナンパンドラ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000798372/pedigree/

ディープ産駒で、バステッドのクロスを持つ馬というと、ディープブリランテやワールドインパクトが代表的でしょう。さらに、ディープブリランテの全姉ハブルバブルや、ワールドインパクトの全兄ダノンジェラートも活躍馬なので、再現性という点でも信頼度が高いようです。
ショウナンパンドラのケースは、バステッドドロニック4×4の相似クロス(ドナテロ、ドゥルセ、ワイルドリスク、ソラリオ、テディが共通)です。ドロニックの祖母ダルシマーは、バステッドの父クレペロの大叔母にあたります(ドナテロ、ドゥルセが共通)。ショウナンパンドラの従兄ラウンドワールドも活躍馬ですから、やはり信頼度の高いクロスでしょう。

(3)母父デザートキング
母父デザートキングの配合は、デインヒル×ヌレイエフです。デインヒルは、サドラーズウェルズやヌレイエフの血と相性がよく、その原因は、フラワーボウル(デインヒルの母父母)≒スペシャル(ヌレイエフの母)の相似クロス(ハイペリオン、サンインロー、マームード≒マムタズビガムが共通)が発生することにあります。この相似クロスは、名牝ミエスク(G1戦10勝、キングマンボの母)を生み出す原動力となりました(スペシャル≒フラワーボウル2×4)。
ディープとの関連でいえば、まず、フラワーボウルの血は、サンデーの3代母エーデルワイスと組み合わせのクロス(ハイぺリオン、サンインロー+シナ、スウィンフォード、ロックサンドが共通)となっており、また、ディープの祖母バークレアとの組み合わせのクロス(ブードワードナテロ、ハイペリオン、サンインローが共通)と見なすことも出来ます。
一方、スペシャルのほうは、その父フォルリの血が、サンデーの母母父モンパルナス&ディープの5代母ハイぺリカムと組み合わせのクロス(ハイぺリオン、サンインロー、フォックスロー=アロペ(ディープの8代母)が共通)の関係になっています。

ミッキーアイル
http://www.jbis.or.jp/horse/0001141719/pedigree/
エバーブロッサム
http://www.jbis.or.jp/horse/0001119361/pedigree/

ディープ×デインヒル×ヌレイエフという配合パターンで見ると、ミッキーアイルがあげられます。また、ディープ×デインヒル×ノーザンダンサー×スペシャルとすれば、エバーブロッサム(オークス2着)も該当します。

サバー
http://www.jbis.or.jp/horse/0000438825/pedigree/
ウインドインハーヘア
http://www.jbis.or.jp/horse/0001119361/pedigree/

また、かなり緩いというか甘めの解釈かもしれませんが、デザートキングの母サバーは、ディープの母ウインドインハーヘアと組み合わせのクロス(ノーザンダンサー、バステッド、ハイペリオン、サンインロー、フェオラ(ディープの6代母)、ナスルーラ≒ロイヤルチャージャー、ローズレッド=スウィートラヴェンダー、プリンスシャブリエ≒プリンスキロが共通)の関係にあると考えることも可能でしょう。

(4)まとめ
ディープウォーリアの母母父ムトトは、以前にも指摘したように、ディープの祖母バークレアと組み合わせのクロス(ドナテロ、ハイペリオン+ローズレッド、サンインロー、テディが共通)の関係をなしています。
(3)で検討したことも合わせて考えるならば、ディープウォーリアのバステッドのクロスは、それ自体で独立しているのではなく、父ディープや母アマノチェリーランにあるハイインロー関連の血と密接に結びついているので、より大きな影響力を発揮する可能性が高いと思われます。
トータルでは、やや重厚な欧州血脈が優勢で、母アマノチェリーランは短距離で活躍しましたが、ディープウォーリアは中距離配合と考えるべきだと思います。
また、洋芝や道悪にも強く、軌道に乗ればどんどん成長力を発揮しそうですが、その一方で、高速馬場への対応力は未知数なところがあります。もし、きちんと高速馬場に対応できれば、かなりの出世が見込めそうです。

新馬戦の表彰式
http://keibalab.jp/img/upload/topics/201608/160821_deepwarrior03.jpg

引き続き、馬体の検討に移りたいところですが、残念ながら、ネット上には良い画像がありません。ただし、たいていのPOG本には、ディープウォーリアの画像が掲載されているので、そちらを参照してください。
ディープの2歳牡馬によく見かける体型で、飛び抜けて素晴らしいというわけではありませんが、ある程度のレベルには充分に達していると思います。
詳しいことは、もうすこし良い画像が手に入ったらということにしましょう。

最後に、今後の展望について。
洋芝の道悪馬場という、ふつうのディープ産駒なら苦手にするケースも出てくる条件で快勝したことは評価すべきですが、血統的には、むしろ高速馬場への対応力を知りたくなる配合で、その点について今回は判らずじまいでした。
成長力や底力に期待できる配合なので、高速馬場でもたもたするようなことが無ければ、クラシック路線に乗ってくるでしょう。逆に、高速馬場で鈍さを見せてしまった場合、活躍範囲は、道悪や荒れて痛んだ馬場に限定されてしまうかもしれません。
その意味で、次走以降、高速馬場への対応をチェックしたいと思います。

新シーズン3頭目のデビュー勝ちは意外なところから

今年の2歳シーズンにおけるディープ産駒3頭目のデビュー戦勝ちを飾ったのは、フランスのアキヒロでした。
最近は、海外に輸出されるディープ産駒も珍しくなくなりましたが、母バーマは、フランスの生産者であるヴェルテメール兄弟が日本に預託してディープと交配されました。

http://www.france-sire.com/videocourse.php?idCourse=70745
http://www.paris-turf.com/programme-courses/2016-08-09/reunion-deauville/partants-pronostics/prix-de-creveczur-989472
http://db.netkeiba.com/horse/2014100003/
http://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=112971

レース動画は、今のところ直線の部分だけしか見あたらないのが残念ですが、合田直弘氏の記事によると、直線で逃げるネゲヴをかわしにかかったところ、ネゲヴが大きく斜行、そのままネゲヴが先頭でゴールしたものの、審議の結果、ネゲヴが降着となり、アキヒロの優勝となりました。動画では、前をカットされたアキヒロの騎手が立ち上がりかけている様子が映されています。
ちょっと後味の悪い勝利となりましたが、合田氏によれば、アキヒロのレース内容自体は、非常に高く評価されたとのこと。
なお、レース名は、クレヴクール賞となっていますが、日本における新馬戦のようなものだそうです。
ちなみに、生産者のヴェルテメール兄弟は、兄がアラン、弟はジェラールですが、登録名は「ヴェルテメール兄弟(Wertheimer et Frere)」で統一しているようです。ゴルディコヴァやコタシャーンの生産者として知られていますが、世間的には、ファッションブランドのシャネルのオーナーといったほうが早いようです。

追記
レース全体の動画が見つかりましたので、差し替えておきます。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001192769/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母バーマは、仏9戦3勝。初仔のラストゴールドは、3戦未勝利。アキヒロは2番仔になります。
祖母シルヴァーレインは、仏11戦4勝。代表産駒は、ドイツのG1で2着の実績があるオポジット。バーマとは8分の5同血です。
3代母リヴィエールダルジャンは、仏4戦1勝。産駒のシルヴァーファンは、G2勝ち馬。
4代母ゴールドリヴァーは、凱旋門賞などG1戦3勝の名牝。繁殖に上がってからも、G1馬リヴィエールドーロを出し、孫の代からもG1馬ゴールドスプラッシュが出ましたが、極めつけは、曽孫のゴルディコヴァで、G1戦14勝の欧州記録を打ちたてました。ちなみに、バーマとゴルディコヴァとは、16分の13同血の再従姉妹の関係になります。
5代母グラヌーズは、牝馬ながら仏ダービーに勝ちました。ちなみに、仏オークスは3着。
母系は、名門レディブリリアント牝系。活躍馬は数えきれませんが、グラヌーズ~ゴールドリヴァーの分枝の繁殖牝馬は、それほど多くは輸入されておらず、日本でこれといった活躍馬はまだ出ていません。

(1)ゴルディコヴァとミッキークイーン
バーマの最大のセールスポイントは、先にも指摘したように、名牝ゴルディコヴァと16分の13同血の近親であるということでしょう。

ミッキークイーン
http://www.jbis.or.jp/horse/0001156953/pedigree/

ディープ産駒の中から関連性のありそうな馬をあげるとすれば、ミッキークイーンということになりそうです。ミッキークイーンの母父ゴールドアウェイは、バーマとは8分の5同血にあたり、ゴールドアウェイの父ゴールドネイエフは、バーマの祖母リヴィエールダルジャンと4分の3姉弟の間柄となります。
つまり、ミッキークイーンから類推する限り、ディープとバーマの相性は、まずまず良好であると考えることが出来るでしょう。ミッキークイーンだけでなく、3頭いる全兄妹(インナーアージ、トーセンマタコイヤ、ルールブリタニア)も全て勝ち上がっており、なかでもトーセンマタコイヤはオープン級の素質を示しており、信頼性も高いと言えそうです。

(2)ヘイロー≒レッドゴッド
ミッキークイーンにもありますが、アキヒロには、ヘイロー≒レッドゴッド3×5の相似クロスがあります。ミッキークイーンの他にも、ビューティパーラー、ヴィルシーナ、アンビシャス、フレールジャック&マーティンボロ、クルミナル、ベストディールなど、非常に多くの成功例がありますね。
ヘイロー≒レッドゴッドのクロス自体は内回り向きですが、母バーマには、典型的なナスキロ配合のリヴァーマンの4×4クロスがあり、アキヒロにも、サーゲイロード6×6のクロスがあるので、全体としては、内外兼用という感じでしょうか。

(3)オリオール
ディープの祖母バークレアオリオールの組み合わせのクロス(ドナテロ、ハイペリオン、フェオラ~サンインローが共通)は、望田潤氏が重視されている配合パターンで、成長力や大レースでの底力に効果が期待できます。トーセンラー&スピルバーグ、ビューティパーラー、ショウナンアデラ、カミノタサハラ、サトノラーゼン、ヴァンセンヌなど、成功例も多いです。

(4)ディープ×母父ダンジグ系
ディープ×母父ダンジグ系の成功例というと、まず、ジェンティルドンナ&ドナウブルー姉妹ですが、他にも、ミッキーアイル、サトノダイヤモンド、エバーブロッサムなどが出ており、相性そのものは良いと思いますが、やや当たり外れが大きめなのも事実でしょう。ナスキロ的にストライドの伸びるディープと、丸っこい馬体からピッチ走法を繰り出すダンジグとは、時として噛み合わないケースも出てくるのだと思います。

アナバー
http://www.jbis.or.jp/horse/0000365067/pedigree/
バートリニ(ジェンティルドンナ&ドナウブルーの母父)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000369590/pedigree/
ロックオブジブラルタル(ミッキーアイルの母父)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000714421/pedigree/

アキヒロの母父アナバーは、(3)で触れたオリオールの血を持つということで、それだけでもディープとの相性という点でプラスですが、自身の配合という点で目につくのは、リヴァーマンの血です。
アナバーの母母父がリヴァーマンですが、バートリニにはリヴァーマンの血はないものの、母母父ネヴァーベンドは、リヴァーマンの父馬です。
また、ロックオブジブラルタルの祖母プッシュアバトゥンは、リヴァーマンの半妹で、父系は同じナスルーラ系なので、リヴァーマンに非常に近い血統構成になります。さらに、ロックオブジブラルタルには、オリオールと配合の似ている、フェアアリシアという馬の血があるので、その点でもアナバーとの類似性があるわけです。

クイーンズリング
http://www.jbis.or.jp/horse/0001156107/pedigree/

日本における母父アナバーの最高の成功例は、フィリーズレビューなど2つの重賞に勝ち、秋華賞2着の実績もある、マンハッタンカフェ産駒のクイーンズリングでしょう。
母アクアリングに、リヴァーマン4×3があるのは示唆的です。

(5)まとめ
ディープ×バーマの配合は、たんなる良血馬どうしの掛け合わせというだけでなく、ディープ産駒の配合のツボを押さえたものであり、海外の生産者の間でもディープという種牡馬の研究が進んでいることをうかがわせるものと言えるでしょう。
まだ1戦だけでは何とも言えませんが、配合的には、充分なポテンシャルと成長力を持っており、ビューティパーラー以来の海外クラシック制覇の可能性にも期待したいところです。

今回は、レース動画は一部だけで、馬体画像も入手できていませんので、血統中心に振り返って、それ以外のことについては、また別の機会にということさせてください。

牡馬の新馬勝ち第1号

今年の2歳戦のディープ牡馬の勝ち上がり一番手は、サトノクロノスでした。

https://www.youtube.com/watch?v=FvmeJsnSK-Y
http://db.netkeiba.com/race/201605030605/

好発から2~3番手で運び、直線で逃げ馬をとらえると、そのまま押し切る危な気ない完勝でした。正直、メンバーにも恵まれましたが、調教もそれほど速いところはやっておらず、デビュー戦としては申し分ないレースだったでしょう。
気になる点としては、POG本などに掲載された馬体重は、480キロということでしたが、レースでは、434キロでの出走となったこと。牧場からトレセンを経てレース出走となると、30キロくらいウエイトが落ちるのは普通ですが、46キロともなると、輸送減り(栗東→府中)の可能性も含めて、ちょっと注意しておくべきかもしれません。
なお、レース後、陣営より次走の予定のアナウンスがあり、中京2歳Sか新潟2歳Sを目標にして調整されるようです。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001185229/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母トゥーアイテムリミットは、アメリカのダートで重賞4勝。G1でも2着2回3着2回の実績があります。サトノクロノスの兄姉たちは8頭いますが、活躍馬といえるのは、米国時代に出したアリーナエルヴィラ(重賞2勝)くらいでしょうか。
4代母ブルーカヌーは、直仔に大物はいませんが、子孫からコジーン、テイエムオペラオー、ブルーメンブラッドなどが出ました。
5代母ポーティジは、競走馬としては凡庸でしたが、繁殖牝馬として一族の勢力を大きく広げました。とくに、孫のフォールアスペンは、20世紀を代表する名繁殖牝馬の1頭です。
母系は、ドバイミレニアム、ティンバーカントリー、コジーンなどの出た、アメリカの名門オーディエンス牝系。日本では、テイエムオペラオー、ブルーメンブラッド、レジネッタなどが出ています。

(1)サンデー×ミスプロ×ウォーアドミラル×ラトロワンヌ
父サンデー系×母父ミスプロ系の配合の場合、望田潤氏によれば、ウォーアドミラルとラトロワンヌの血を持つと成功しやすいようです。サンデー系もミスプロ系も、基本的には柔らかい体質なので、硬めのアメリカンな馬力型の血と相性がよいという理屈です。
サトノクロノスは、この基本パターンに当てはまっています。

(2)母系の配合の流れ
母トゥーアイテムリミットの血統は、一族の代々の配合の流れから考えていくと判りやすいでしょう。

ポーティジ(5代母)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000388461/pedigree/

まず、一族の繁栄の基盤をつくったポーティジの配合を確認しておきます。父はウォーアドミラルで、マンノウォーマッドハッター2×4の4分の3同血クロスが配合の核となっています。このポーティジの配合を活かすことが、重要なポイントになってくるようです。

ブルーカヌー(4代母)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000386295/pedigree/

ブルーカヌーの血統は、ポーティジの配合を継続して、フライアーロックマンノウォーマッドハッター4×3・5の相似クロス(ロックサンド、フェアリーゴールドが共通)が配合の核となっていますが、見方によっては、ブラックカールウォーアドミラルの組み合わせのクロス(ロックサンド、フェアリーゴールド、ベンブラッシュ、フェロークラフトスペンドスリフトが共通)と考えることもできます。なお、組み合わせのクロスとは、相似クロスほど共通する血が多いわけではないものの、いくつかの重要な血を共有する関係のことで、大雑把にいえば「弱い相似クロス」のようなものです。

サラトガフリート(3代母)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000421133/pedigree/

サラトガフリートには、これといった特徴的なクロスはなく、アウトブリードに近い配合ですが、父サーゲイロードはディープの側にもあるので、サトノクロノスとして、サーゲイロード6×4のクロスが生じています。

スパウォーニング(祖母)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000398082/pedigree/

なんといっても、ターントゥ4×3のクロスが目につきます。ターントゥは、サンデーの祖父でもあるので、サトノクロノスとしては、ターントゥ5×6・5となります。また、シャットアウトウォーアドミラルの組み合わせのクロス(オーヴァルマンノウォー、ベンブラッシュ、スペアミント、ドミノが共通)も、地味ですが重要でしょう。

トゥーアイテムリミット
http://www.jbis.or.jp/horse/0000621330/pedigree/

母馬のトゥーアイテムリミットまで辿りつきました。父のミスプロの血と、ナスキロラトロがベースとなっています。ナスキロラトロとは、望田潤氏の造語で、ナスルーラ×プリンスキロ×ラトロワンヌの相性のよい掛け合わせのことです。ナスルーラのスピード、プリンスキロの持久力、ラトロワンヌのパワーが、抜群の相性となります。
トゥーアイテムリミットの配合では、まず、ウォーアドミラル5×5ラトロワンヌ7×7が重要です。この2つの血により、(1)の配合パターンが生じるわけです。
しかし、ウォーアドミラルのクロスの重要性は、それだけではありません。一族の発展の基盤となったポーティジの父ウォーアドミラルの血を強化することは、この母系から大物を生み出すための配合的セオリーとなっているようです。いくつか代表的な例を見ていただきましょう。

ドバイミレニアム
http://www.jbis.or.jp/horse/0000372664/pedigree/
ティンバーカントリー
http://www.jbis.or.jp/horse/0000333901/pedigree/
ハマス
http://www.jbis.or.jp/horse/0000355892/pedigree/
インテロ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001194175/pedigree/
レジネッタ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000887443/pedigree/

一族の最強馬といえば、ドバイミレニアムですが、ウォーアドミラル5×7・5のクロスがあります。
ティンバーカントリーは、G1戦3勝の大物競走馬で、ウォーアドミラル5×6・4です。
ディキシーユニオンは、米国でG1戦2勝。ウォーアドミラル6×6・4です。
ハマスは、ジュライCの勝ち馬で、ウォーアドミラル6×6・4。
インテロは、3年前の仏ダービー馬ですから、かなり最近の馬ですが、ウォーアドミラル7×8・7・10・8。
日本の馬の例として、桜花賞馬のレジネッタをあげておきましょう。エイトサーティ≒ウォーアドミラル5×9・7。

トムロルフ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000334546/pedigree/
クイーンズサクリー
http://www.jbis.or.jp/horse/0000390763/pedigree/

その他では、リボー5×5も目につきます。リボーの血が含まれているのは、上にリンクを貼ったトムロルフとクイーンズサクリーですが、それぞれ、ディープとの間にクロスが発生しています。ポカホンタス(トムロルフの母)5×6と、コスマー(クイーンズサクリーの母)4×6ですね。
ポカホンタスのクロス(または相似クロス)を持つ、ディープ産駒の活躍馬としては、ディープブリランテ、ミッキークイーン、ヴィルシーナ、ミッキーアイル、マルセリーナ、フィエロなどで、定番のクロスといってよいでしょう。
コスマーは、ヘイローの母なので、ヘイローのクロスに付随してクロスが生じるケースは珍しくありませんが、片方がヘイローから切り離された形でのクロスは珍しく、これといった成功例はまだありません。しかしながら、先ほど見たように、祖母スパウォーニングには、ヘイローの祖父ターントゥのクロスがあり、そこへコスマーということですから、ヘイローの配合的な要素が勢揃いしていることになり、サトノクロノスには、疑似的にヘイローのクロスらしきものが生じていると考えることも出来そうです。
そして、サトノクロノスのポカホンタスのクロスとコスマーのクロスが、母馬のリボーのクロスと結び付けられていることにより、どのような効果がもたらされるかは、現時点では判然としませんが、なかなか面白い配合であることは確かでしょう。

(3)まとめ
サトノクロノスの配合は、一見しただけでは、(1)のパターンが目につくだけですが、母系の流れを代々確認していくと、なかなか細かい工夫が施されていることが浮かび上がってきます。
問題は、そうした地味な工夫が実際に効果を発揮するのか、それとも埋もれたまま明確には発現しないのか、ということになるでしょう。
デビュー戦の内容を見るかぎり、コスマーのクロスをベースにした、疑似的なヘイローのクロスが前面に出ているように思われます。そうなると、ヘイローとミスプロが中心的な役割を発揮していくことになり、器用ではあるものの、重賞などの大きなレースでは、ハイペリオンや欧州血脈の不足が心配の種となりそうです。
クラシック路線に乗るためには、例えば、母馬のリボーのクロスによる爆発力が表に出てくるとか、ハイペリオン不足を補うようなプラスアルファが必要になってくるでしょう。

引き続き、馬体のほうも検討していきたいのですが、ネット上には良い画像が無いようです。また、各種POG本にも殆んど掲載されず、自分の知る範囲では、ギャロップの丸ごとPOGに載っているくらいでしょうか。
その画像を見るかぎりでは、がっしりしたマイラー体型という印象ですが、今回はずいぶん痩せてスリムな状態で出走してきたので、ちょっと本来の体型がどういったものか掴みにくい現状です。
もっと新しい画像が入手できたら、その時に再検討したいと思います。

最後に、今後の展望について。
今回の新馬戦は、思ったより仕上がったので、とりあえず使ってみるかといった感じの出走過程だったように思われます。相手関係も楽でしたし、軽く一回りしたら勝っていたという、この時期の新馬戦によく見かける光景でした。
というわけで、今回のレースだけでは何とも言えないというのが正直なところで、次走の中京2歳Sなり新潟2歳Sなりのレース内容を見れば、かなりのことが分かってくるでしょう。
今回のレースだけで無理やりコメントするなら、器用な機動力タイプだろうということになりますが、まだあれこれ決めつけないほうが無難のように思います。

ディープ×ストームキャット、新シーズンも好発進

今年のディープ産駒の2歳新馬勝ち上がり第1号は、キャスパリーグでした。

https://www.youtube.com/watch?v=GtaAPqzs5Dg
http://db.netkeiba.com/race/201609030305/

スタートよく好位につけると、直線で先に抜け出した1番人気のアダムバローズに並びかけ、しっかり突き放しての快勝でした。
レース1週前の日曜日の追い切りで、重馬場にもかかわらず、馬なりで栗東の坂路4F51秒6の好時計をマークし、いちやく注目馬に浮上しましたが、けっきょく最終追い切りも含めて馬なり中心の仕上げに終始し、早期勝ち上がりを狙ってビシビシ追い切りを重ねてきたというタイプとは真逆の存在です。5月の遅生まれでもあり、今後の伸びしろも大きいだろうと思います。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001191240/pedigree/

では、血統のほうから見ていきましょう。
母レジェンドキャットは、外国産馬ですが、未勝利に終わりました。産駒では、リアルキング(父キングカメハメハ)が、7戦2勝(現役)。
祖母ケベルは、独オークス&独1000ギニーの2冠を制しました。ちなみに、独オークスは、現在はG1に昇格していますが、当時はG2でした(独1000ギニーは現在もG2)。G1では、ガネー賞(芝2100m)2着、アラルポカル(芝2400m)3着の実績があります。繁殖牝馬としても、2頭の重賞勝ち馬を出しました。
4代母クイロイヤルティは、自身は重賞では2着が最高でしたが、繁殖牝馬として、G1馬バカロフを出しています。
母系は、名門レディブリリアント牝系なのですが、この系統の主流は、レディブリリアントの娘のブラックレイから発展していった流れであり、キャスパリーグは、ブラックレイの姉ブラックジェムから派生した系統なので、やや傍流ではあります。ブラックジェムの系統は、日本ではまだこれといった大物が出ておらず、共同通信杯2着&朝日杯3着のアポインテッドデイや、京成杯2着のケルフロイデあたりが代表的な活躍馬です。

(1)ディープ×母父ストームキャット
POGも新シーズンということで、毎年のことですが、当ブログもシーズン替わりでは暫く基本的なこともおさらいしながら話を進めていくことにします。
というわけで、まず、ディープ×母父ストームキャットのニックスの復習からいきましょう。
ディープ産駒の母の父(ブルードメアサイアー)として、ストームキャットは、もっとも実績をあげている種牡馬です。これまでに、ディープ×母父ストームキャットの産駒は、36頭がデビューして、30頭が勝ち上がり(うち地方5頭)、重賞勝ち馬は7頭、G1馬は5頭(アユサン、キズナ、ラキシス、エイシンヒカリ、リアルスティール)です。ストームキャットは、ディープ産駒の母父として、重賞勝ち馬数およびG1勝ち馬数は、いずれもトップです。
また、ディープ×母父ストームキャットの配合は、海外レースでも強く、これまで海外G1勝ち馬が3頭出ています。さらに、仏1000ギニー馬ビューティパーラーの母父ジャイアンツコーズウェイは、ストームキャット産駒ですから、ディープ産駒の海外G1馬5頭中、4頭までが母父ストームキャット系ということになるわけです。

さて、それでは、なぜディープとストームキャットは、相性がよいのでしょうか。
馬体面からいえば、お互いの得意分野が、相手の不得意分野をカバーするような、相互補完の関係にあると考えられます。
ディープ産駒は、柔軟で切れ味鋭い末脚を持つ仔が多いですが、反面、小柄で非力だったり、ぐにゃぐにゃと柔らかすぎる仔が出る場合もあります。
一方、ストームキャットは、大柄で馬力のある産駒が多いですが、日本の高速馬場適性に欠ける場合も多く、レースぶりが一本調子で融通のきかない馬も少なくありません。
ストームキャットの血は、ディープ産駒にサイズ、硬さ、馬力などを補ってくれるわけです。

サーゲイロード
http://www.jbis.or.jp/horse/0000335850/pedigree/
セクレタリアト
http://www.jbis.or.jp/horse/0000333978/pedigree/

血統の側面から相性のよさを探ると、ディープ×母父ストームキャットでは、サーゲイロード(ディープの母父アルザオの母父父)≒セクレタリアト(ストームキャットの母父)6×4の相似クロスが生じる点に注目です。
サーゲイロードとセクレタリアトとは兄弟で、父は、サーゲイロードがロイヤルチャージャー~ターントゥの系統、セクレタリアトがナスルーラ~ボールドルーラーの系統になります。ロイヤルチャージャーは、ナスルーラの4分の3同血の甥にあたるので、サーゲイロードとセクレタリアトの関係は、たんなる半兄弟以上の強い結びつきがあることになります。
セクレタリアトの配合的な特徴は、典型的なナスキロ配合だということです。ナスキロとは、望田潤氏による略語で、ナスルーラ×プリンスキロの有名なニックスのことです。
ナスルーラは、20世紀の競馬にスピード革命をもたらした名牝マムタズマハルの孫で、種牡馬として最もよくマムタズマハルのスピードを受け継ぎました。
プリンスキロは、史上最高の種牡馬とも言われるセントサイモンの流れをくむ父系で、第二次大戦を避けてアメリカに渡ったものの、基本的には欧州的な中~長距離血統です。
ナスルーラ×プリンスキロの配合がここまで成功すると予測した人は、おそらく殆んどいなかったのではないかと思いますが、実際にやってみると爆発的な成功をおさめ、たんなるニックスの域を超えて、アメリカの馬産のレベルをワンランク引き上げるくらいの影響力を発揮しました。
ナスキロ配合の具体的特徴としては、外回り向きのストライド走法による末脚の爆発力があげられるでしょう。
セクレタリアトは、ナスキロ配合の最高傑作であり、アメリカ競馬史上最強馬の座を今も守り続けています。
兄サーゲイロードのほうは、厳密にはロイキロとでも呼ぶべきですが、広い意味でのナスキロ配合といってよいでしょう。広義のナスキロ配合として、もっともスピード豊かなのが、サーゲイロードの系統になります。
また、ディープの母父として、ストームキャット以外にも、フレンチデピュティカーリアンシングスピールダンシングブレーヴラストタイクーンなど、ノーザンダンサー×ナスキロ(ロイキロも含む広義の)の配合パターンの種牡馬が成功していることは、ぜひ押さえておいてください。

(2)ディープ×母父ストームキャットの補足
(1)では、ディープ×母父ストームキャットの成功の原因として、サーゲイロード≒セクレタリアトの相似クロスが発生することを指摘しました。
セクレタリアトは典型的なナスキロ配合ですし、サーゲイロードも広義のナスキロ配合ですから、ディープ×ストームキャットの配合の産駒は、さぞかし外回り向きのストライドの大きい末脚が武器なんだろうなと想像されることでしょう。具体的には、キズナやサトノアラジンのようなタイプです。
しかし、キャスパリーグの新馬戦での走りは、必ずしも外回り向きともストライド走法とも決めつけられないようなものではなかったでしょうか?
それには理由があって、ディープ×母父ストームキャットでは、アッティカ(サーアイヴァーの母)≒ファーストローズ(ストームキャットの4代母)6×6の相似クロスが発生することと関係しているのです。ファラモンドアルシバイアディズのような小回り向きの機動力タイプの血が共通しているため、このクロスが表面化した場合、内外兼用の産駒が出来やすいのです。
ただし、アッティカ≒ファーストローズのクロスは、サーゲイロード≒セクレタリアトのクロスにくらべると血量的に弱いので、必ずしも表に出て影響力を発揮できるとは限りません。
具体的には、ラキシスとサトノアラジンの姉弟のケースを考えてみると判りやすいでしょう。サトノアラジンは、あきらかに外回り向きの差し馬ですが、姉のラキシスのほうは、内回りもそつなくこなし、道悪適性も高いです。サーゲイロード≒セクレタリアトのクロスの影響が強いのはサトノアラジン、アッティカ≒ファーストローズのクロスも表面化しているのがラキシスと考えられるわけです。
では、キャスパリーグはどうかといえば、あくまで初戦だけの印象ですが、ラキシス寄りの内外兼用タイプの可能性が高いように思われます。

(3)ストームバード≒ニジンスキーの相似クロス
前項で、ラキシス&サトノアラジンの例を取りあげましたが、ここでは、姉弟の母マジックストームと、キャスパリーグの母レジェンドキャットの配合の共通点に注目してみましょう。

マジックストーム
http://www.jbis.or.jp/horse/0000719406/pedigree/
レジェンドキャット
http://www.jbis.or.jp/horse/0001100857/pedigree/

両馬の血統表を比較すると、ともに、ストームバードニジンスキー2×3の相似クロス(ノーザンダンサー、ブルペイジフレアズオマハなどが共通)を持っていることが判ります。
2×3というと、血量的にはかなり強いクロスです。こうした強いクロスは、競走馬にとっては、当たり外れの大きい不確定要素ですが、繁殖牝馬としては、優秀な血を増幅して持つことになるので、有利に働くことが多いようです。
ディープ×マジックストームの交配では、ラキシスにアラジンと立て続けに大物が出ましたが、同じ配合パターンのレジェンドキャットも、ディープとの掛け合わせで大物を出したとしても不思議ではないでしょう。

(4)まとめ
以上のように、キャスパリーグの配合は、ラキシス&サトノアラジンとの類似点が多いことが明らかになりました。
ディープ×マジックストームの配合から立て続けに活躍馬が出たので、ディープ×レジェンドキャットの配合にも期待をかけたくなりますが、キャスパリーグのデビュー戦は、その期待に違わぬものだったと思います。
今年のPOG本などでは、マジックストームやレジェンドキャットほど露骨でなくても、ニジンスキーのクロスまたは相似クロスを持つ母馬が、けっこう目につきました。ディープ×ニジンスキーのクロスの配合パターンは、今年のPOGの行方を大きく左右する可能性もあり、要チェックだと思います。

パドック画像
https://livedoor.blogimg.jp/keiba100bai/imgs/1/a/1abf2742.jpg

引き続き、馬体のほうも検討していきたいのですが、POG本などにはこの馬の画像は無く、ネットではかろうじてパドック画像が見つかりました。
いかにもディープ牝馬という体型をしていますが、詳しいことは、もうすこし見やすい画像が出てくるまで、ひとまず保留ということにさせてください。

最後に、今後の展望について。
冒頭でも触れましたが、馬なり中心の調整でいきなり鮮烈なデビューを果たしたので、今後はさらに期待できそうです。
くわえて、5月の遅生まれということですから、伸びしろはかなり大きいと思います。
もう10キロくらいウエイトアップできれば、クラシック戦線に乗ってくる可能性も高くなるでしょう。

ディープインパクト2歳産駒の馬体評価・2016年版

いよいよ、今週からPOGも新シーズンを迎えます。
今年のクラシックは、2012年の2年目世代以来のディープ産駒の当たり年だったと言ってよいでしょう。特に、牡馬のほうは、レベルの高い世代を完全に支配下に置いていました。
それとは対照的に、自分自身のPOG成績を振り返れば、なかなかPOGに時間を割くことができず、当ブログもしばしば更新休止状態になりました。必然的に結果は低調なもので、反省の一語に尽きます。
この教訓を活かし、新シーズンは巻き返しを図っていきたいと思います。
それでは、まず昨年版のリストの駄目出しからいきましょう。

牡馬(2015)
(1)リライアブルエース、(2)ケイブルグラム、(3)プロディガルサン、(4)マツリダバッハ、(5)ポルトフォイユ、(6)フォイヤーヴェルク、(7)ロイカバード、(8)レヴィンインパクト、(9)レーヴァテイン、(10)ロードプラチナム

牝馬(2015)
(1)ラルク、(2)パーシーズベスト、(3)リボンフラワー、(4)エイシンティンクル、(5)アッパレドンキ、(6)ミニョンレーヌ、(7)フォルテミニョン、(8)レッドアヴァンセ、(9)レッドアルカナ、(10)ニシノハナムスメorパローマorリーチザハイツ

まず、牡馬のほうから見ていくと、いちおう全頭が勝ち上がってはいるものの、重賞勝ち馬はおらず、低調そのものでしたが、それよりも情けないのは、10位候補として検討しつつも選外としてしまった馬たちが、大量に活躍してしまったことでしょう。ディーマジェスティ、サトノダイヤモンド、シルバーステート、ヴァンキッシュランなど、10位落選組でリストを組んだほうがいいくらいでした。もう1度、馬体画像と真摯に向き合っていく必要があります。
牝馬のほうは、活躍馬はレッドアヴァンセくらいですが、個人的な430キロ未満(POGの時点)縛りでリストからは除外したものの、シンハライトは名前をあげて「全兄(アダムスピーク)より出来がよい」と指摘しました。牝馬の馬体重問題については、昨年はミッキークイーンが430キロでオークスを制し、今年はシンハライトが422キロでオークスに勝つなど、430キロ未満縛りをどうするかは、非常に悩ましいところです。牡馬は継続&牝馬は廃止の折衷案も考えたのですが、もう1年は様子見ということにしました。来年、あらためて検討します。

さて、反省はこのくらいにして、今年度版の馬体評価リストのほうに話を移しましょう。

牡馬(2016)
(1)ダブルバインド(ラッシュラッシーズ14)、(2)サトノアーサー(キングスローズ14)、(3)ムーヴザワールド(リッスン14)、(4)ザウォルドルフ(ウィーミスフランキー14)、(5)ロードアルバータ(レディアルバローザ14)、(6)サラフィナ14、(7)アドミラブル(スカーレット14)、(8)サトノポラリス(モアザンベスト14)、(9)モクレレ(アパパネ14)、(10)グレンマクナス(ララア14)orクリアザトラック(クロウキャニオン14)

牝馬(2016)
(1)ジュンテオドーラ(アートプリンセス14)、(2)フローレスマジック(マジックストーム14)、(3)コケレール14、(4)ウィステリアアーチ14、(5)アルミレーナ(ナイトマジック14)、(6)オーロラエンブレム(ブラックエンブレム14)、(7)カデナダムール(ラヴズオンリーミー14)、(8)オンリートゥモロー(アコースティクス14)、(9)レッドオルガ(エリモピクシー14)、(10)ユイフィーユ(スクービドゥー14)orエレクトロニカ(エレクトラレーン14)orパールズシャイン(スペリオルパール14)

まず、全体的な傾向ですが、牡馬のほうは、POG本を見ても体型的に非常にバラエティに富んでおり、比較が難しそうです。
対照的に、牝馬のほうは、いかにもディープ産駒という体型の馬が大量にいて、なにやら金太郎飴のような状況です。それはそれで、細かな比較が要求されるので、牡馬とは別の意味で難しいラインアップでしょう。

それでは、牡馬のほうから1頭ずつ寸評を付けておきます。
今年の1位は、ダブルバインドとサトノアーサーで悩みましたが、セレクトセール以来、ずっと高い評価をしつづけてきた、ダブルバインドに決めました。皮膚が薄く、いかにもディープ産駒らしい馬体ですが、唯一の心配点は、POG本の時点での馬体重が、434キロと牡馬にしては小柄なことです。この体重については、最後まで悩みましたが、今年はこの馬に賭けてみることにしました。
ということで、2位はサトノアーサーです。非常に見栄えのする馬で、POG人気も急上昇中ですが、1つだけ引っかかったのは、現時点での完成度が高すぎるということです。毎年のように書いてますが、個人的には、この時期の2歳馬には未完成な要素があったほうが好ましいという考え方なので、その点だけ割り引いての2位としました。
3位のムーヴザワールドは、タッチングスピーチの全弟で、雄大な馬体は目を惹きますが、現時点で536キロということで、大きすぎてデビューが遅れるのではという心配があります。もう40~50キロ軽ければ、この馬を1位にしたかもしれません。
4位のザウォルドルフは、現時点では線が細いですが、体幹のしっかりしていそうな馬体で、体重も462キロあるので、これから筋肉がついてくれば楽しみでしょう。
5位にあげたロードアルバータは、あまり評判になっていないようですが、3歳になってからのディーマジェスティと雰囲気が似ています。今年の牡馬の穴馬は、これでしょう。
6位のサラフィナ14は、POG本には殆んど取りあげられておらず、自分が見かけた範囲では「優駿」5月号に画像があるくらいです。今年のディープ産駒の2歳牡馬では、もっともディープに似ている1頭だと思いますが、難点は、430キロかつかつの馬体重です。牝馬なら、そこまで気にしませんが、牡馬ですから、これからのウエイトアップは必須条件でしょう。
7位のアドミラブルは、タブレット&イサベルの全弟。上の2頭は、ともに素晴らしい内容でデビュー勝ちしましたが、脚元が弱く大成できませんでした。こちらの弟も好馬体ですが、脚元がどうかは走ってみないと判りません。
8位のサトノポラリスは、池江師が「サトノダイヤモンドに似ている」とコメントしたそうですが、個人的には、2歳時のキズナに体型が似ていると思います。母モアザンベストの産駒というと、「女版キズナ」と騒がれたデビュタントを思い出すかたも多いでしょうが、今から思えば、デビュタントとキズナは似ても似つかない体型でした。しかし、弟のサトノポラリスのほうは、見れば見るほどキズナによく似ています。今のところ、ネット上に画像はありませんが(有料画像ならあります)、鮮明な動画がありましたので、リンクしておきます(26分34秒あたりから)。
9位は、ディープ×アパパネの3冠馬どうしの配合で話題のモクレレにしました。馬の出来はよいですし、サイズも充分ですが、控えめに9位としたのは、母父キングカメハメハが前面に出た体型で、ディープらしさが殆んど無いからです。ただ、昨年は、母父が強く出てディープらしくない体型の馬を、片っ端から除外しすぎて失敗したので、その反省も踏まえての9位としました。
10位は、1頭に絞り切れなかったので、グレンマクナスとクリアザトラックの2頭とさせていただきます。
グレンマクナスのほうは、非常に粗削りな馬体で、これからの成長次第なところはありますが、大物感のある馬体ということで選んでみました。
クリアザトラックは、おなじみのクロウキャニオン産駒ですが、久しぶりの牡馬ということで期待できそうです。サラフィナ14同様、なぜかPOG本では殆んど見かけず、「優駿」5月号のみ馬体画像が掲載されています。

引き続き、牝馬のほうも一言ずつ。
1位は、いかにもディープ産駒の2歳牝馬らしい体型のジュンテオドーラにしました。サイズもしっかりあるので、期待できそうです。
2位のフローレスマジックは、ラキシスサトノアラジンの全妹。ラキシスとサトノアラジンは馬格にも恵まれ、非常に大物感のある馬体でしたが、POG期間内には全く間に合いませんでした。もう1頭の全兄サトノケンシロウは小柄な馬で、あるいは小さいほうがPOG向きなのかもという声もありましたが、今のところ勝ち切れないレースが続いています。フローレスマジックは、中くらいのサイズなので、今度こそPOGに間に合うのではないかと期待しています。
3位のコケレール14は、ラキシスに似て大柄で伸びのある体型です。コケレールと、ラキシスの母マジックストームは、ともにニジンスキー絡みの強い相似クロスがあり、それが産駒の体型に影響しているものと思われます。
4位にあげたウィステリアアーチ14は、6月に近い5月27日の遅生まれで、現時点ではかなり線が細く、あまり話題にもなっていませんが、先物買いする価値のある好馬体です。POGの穴馬として、ドラフト下位での指名を検討してみては如何でしょうか?
5位のアルミレーナは、昨年のドラフト最大の問題児であるフォイヤーベルクの全妹。自分も引っかかったくちですが、自分の場合は、母ナイトマジックが輸入された時から目をつけていたのであり、人気の落ちる今年こそ狙い目だと考えています。全兄とは違って、いかにもディープ産駒らしい体型で、今度こその期待をかけたいと思います。
6位のオーロラエンブレムは、テスタメントの全妹ですが、ディープ産駒らしい上品な馬体が魅力です。まだまだ線が細いので、これから実が入ってくれば楽しみでしょう。
7位のカデナダムールは、POG本に取りあげられた時点では、馬体重も430キロぎりぎりでしたが、その後、馬体重も増加傾向で、体型にも伸びやかさが出てきました。ここでリンクした画像では、全兄たちのどれとも似ていませんが、最近は急激にリアルスティールの2歳時に似てきました。どうやら成長期をむかえているようで、一気に飛躍していくかもしれません。
8位にあげたオンリートゥモローは、ダービー馬ロジユニヴァースの半妹&タイムレスメロディの全妹です。タイムレスメロディは馬格がなくて苦労していますが、妹のほうはサイズに恵まれ、非常に大物感があります。
9位のレッドオルガは、おなじみエリモピクシーの娘です。ディープ×エリモピクシーも4頭目になりますが、サトノルパンレッドベルダレッドアヴァンセの2歳時の馬体と較べてみると、好き嫌いでは、レッドオルガに最も惹かれます。エリモピクシー産駒悲願のクラシック制覇に期待したいですね。
10位は、1頭に絞れず3頭になってしまい、申し訳ありません。
ユイフィーユは、アネモネS2着のメイショウメイゲツの全妹。姉はサイズが小さくて伸び悩んでいますが、妹のほうは馬格に恵まれています。姉以上の活躍も期待できるでしょう。
エレクトロニカは、現状では線が細いですが、管囲が20センチと太いので、これからの成長に期待できそうです。ディープ×母父ドバウィの配合には、ニックスの期待をかけています。
パールズシャインは、ラストインパクトの全妹。兄の2歳時よりも、見た目はよいと思います。
最後に、馬体重問題対策として、現時点で430キロ未満ではあるものの、ウエイトアップすれば期待できる牝馬を3頭ほどあげておきます。
エリティエールは、ルージュバックの半妹&ケイブルグラムの全妹。ケイブルグラムには全く似ておらず、いかにもディープ牝馬という体型です。
レッドルチアは、レッドセインツレッドライジェルの全妹。全兄2頭も小柄でしたが、こちらの妹のほうは管囲が20.8センチもあるので、これから大きくなっていくと思います。
レーヴルシードは、エールデュレーヴの全妹。昨年の同時期の姉は、さらに小さかったので、あまり心配しなくてもよいかもしれません。馬体の出来も、姉より良いと思います。

参考・2011~2014年版

牡馬(2011)
(1)ダノンドリーム、(2)ディープブリランテ、(3)エックスマーク、(4)アーカイヴ、(5)トーセンホマレボシ、(6)モンテエクリプス、(7)ワールドエース、(8)ディサイファ、(9)アーデント、(10)ロードアクレイム
牝馬(2011)
(1)マトゥラー、(2)ジョワドヴィーヴル、(3)ジェンティルドンナ、(4)アンチュラス、(5)ヴィルシーナ、(6)エポキシ

牡馬(2012)
(1)カレンバッドボーイ、(2)キズナ、(3)アドマイヤキンカク、(4)トルストイ、(5)コメットシーカー、(6)ラウンドワールド、(7)ケイティープライド、(8)サトノノブレス、(9)ハッピーモーメント、(10)ジューヴルエールorサトノプレステージorラストインパクト
牝馬(2012)
(1)ラキシス、(2)ラストグルーヴ、(3)ファイアマーシャル、(4)ミライエ、(5)デニムアンドルビー、(6)バリローチェ、(7)レッドオーヴァル、(8)シュぺトレーゼ

牡馬(2013)
(1)ローハイド、(2)トーセンマタコイヤ、(3)キミノナハセンター、(4)トーセンスターダム、(5)サトノアラジン、(6)オリハルコン、(7)サトノルパン、(8)ベルキャニオン、(9)パリーアーク、(10)エーデルグランツorガリバルディ
牝馬(2013)
(1)レッドメイヴ、(2)ハープスター、(3)カノーロ、(4)エルノルテ、(5)キュリオスティー、(6)スナッチマインド、(7)サンドラバローズ、(8)サトノエカテリーナ、(9)クイーンズシアター、(10)ポーシアorディープラヴ

牡馬(2014)
(1)ラヴィダフェリース、(2)レゲンデ、(3)ティルナノーグ、(4)リアルスティール、(5)サトノシュプリーム、(6)モンドインテロ、(7)アヴニールマルシェ、(8)ポルトドートウィユ、(9)アンタラジー、(10)エイムハイorディープフォルツァ
牝馬(2014)
(1)タッチングスピーチ、(2)パラダイスリッジ、(3)マイスフォルテ、(4)ショウナンアデラ、(5)クルミナル、(6)デビュタント、(7)ステラスターライト、(8)サトノシャルマン、(9)コンテッサトゥーレ、(10)パピーラヴ

追記
見やすい画像が入手できた場合、画像の追加や差し替えは随時行なう予定です。

追々記
最後までスクロールしてくれた奇特な人のために、超大穴馬を牡牝2頭ずつ。
牡馬は、レッドヴィクター(レジュールダムール14)、アーザムブルー(エレンウィルモット14)。
牝馬は、ダークチェリー(チェリーフォレスト14)、クラリネット14
おまけの番外編なので、指名は自己責任でお願いします。

速報・セレクトセール2015~初日

今年も、ディープ産駒を中心に、セレクトセールをざっと振り返っておきたいと思います。
初日の1歳馬セールも、例年通り、ディープ産駒を中心に展開されたと言ってよいでしょう。
セール全体としても、売却率や平均価格も高く、非常に好調だったようです。

ジョコンダ14
http://www.jrha.or.jp/select/2015/107.html
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/64/77057b71ab880d65b817ed672b4fe8c1.jpg
https://youtu.be/TNbGzCsYL2c
http://www.jbis.or.jp/horse/0001191640/pedigree/

初日の最高価格は、サトノクラウンの半弟ジョコンダ14の2億3500万円でした。
落札したのは、サトノクラウンのオーナーでもある里見治氏。
サトノクラウンの活躍が価格を押し上げたのは確かですが、サトノクラウンの全姉ライトニングパールもG1ウイナーということで、大争奪戦になったようです。
個人的には、もう少しトモに厚みが欲しいかなという気はしますが、まだ1歳馬ですから、これからの成長に期待したいと思います。

ラッシュラッシーズ14
http://www.jrha.or.jp/select/2015/050.html
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/79/a2c3ba311fc317f0784c2f3394797b2f.jpg
https://www.youtube.com/watch?v=m7gA_TgKgxs
http://www.jbis.or.jp/horse/0001190743/pedigree/

ラッシュラッシーズ14は、本日のディープ産駒で2億円の大台を超えた2頭のうちの1頭で、価格もジョコンダ14とは僅か500万円差の2億3000万円でした。
落札したのは、ディープのオーナーでもあった、金子真人氏。2億円を超えるような高額馬には手を出さないと言われてきた金子氏ですが、今年は、本馬とシャンパンドーロ14(父タピット)の2頭の2億円超えの馬を落札しました。それだけ自信があったのかもしれません。
ラッシュラッシーズ14は、ラジオNIKKEI賞を制したアンビシャスの近親にあたります。
馬体的には、個人的な好みですが、初日のディープ1歳産駒で最も見栄えがする馬だと思います。

キングスローズ14
http://www.jrha.or.jp/select/2015/019.html
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/ea/9f52e6901c52437e2852b37987013032.jpg
https://www.youtube.com/watch?v=XhO8_qRL4vE
http://www.jbis.or.jp/horse/0001192768/pedigree/

本日のディープ産駒の落札価格3番手は、1億9500万円と惜しくも2億円に届かなかった、キングスローズ14です。
落札したのは、ジョンコンダ14と同じく、里見治氏でした。
ちょっと後膝の角度が深すぎる気もしますが、それを除けばかっちりした好馬体でしょう。

サラフィナ14
http://www.jrha.or.jp/select/2015/071.html
http://app.jra-van.jp/pictures/art/A004/ns150713_6.jpg
https://www.youtube.com/watch?v=HkT_vHqMyh4
http://www.jbis.or.jp/horse/0001191664/pedigree/

サラフィナ14は、個人的な予想では、ラッシュラッシーズ14と並ぶ今年の1歳馬の目玉だと思っていたのですが、やや伸び悩んでの1億6000万円にとどまりました(全体5位、ディープ産駒4位)。
馬体は惚れ惚れするような素晴らしさですが、欧州色の濃い配合に二の足を踏んだかたが多かったのかもしれませんね。

コケレール14
http://www.jrha.or.jp/select/2015/078.html
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/b6/0e267dc010dbeb4498f5c94a5298dd8c.jpg
http://www.jbis.or.jp/horse/0001191175/pedigree/

本日の牝馬の最高価格は、コケレール14の1億3500万円でした。
なかなかの好馬体ですが、この血統の牝馬でここまでの価格がつくとは驚きました。
ちょっと高いかもという印象。

コンテスティッド14
http://www.jrha.or.jp/select/2015/091.html
http://cimg.news.netkeiba.com/?pid=news_img&id=86491
http://www.jbis.or.jp/horse/0001192881/pedigree/

初日のディープ1歳馬の1億円超えは、6頭でした。
コンテスティッド14は、いかにもディープ×デピュティミニスター系の配合らしい馬体ですね。
母馬の競走成績からしても、1億500万円の価値は充分にあると思います。

参考動画

初日終了後の吉田勝己氏のインタビュー
https://www.youtube.com/watch?v=q2PTAcev8Ss

速報・セレクトセール2014~二日目

昨日に引き続き、セレクトセールの二日目について、ディープ産駒中心に触れておきます。
ただし、当歳の馬体の見方は、さっぱり判りませんから、ざっと眺めるだけということで。

アゼリ14

http://www.jrha.or.jp/select/2014/403.html
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/58/105a8affd92a8e5935d2097a634f0556.jpg
https://www.youtube.com/watch?v=RwAIeGVQWi4
http://www.jbis.or.jp/horse/0001185766/pedigree/

今年の当歳馬の最高落札価格馬は、アゼリ14でした。落札金額は、2億5千万円。
ディープ×アゼリといえば、昨年のセレクトセールの当歳の最高額馬も、全兄のアゼリ13(2億4千万円)でしたから、2年連続の快挙です。

アゼリ13(当歳・セレクトセール)
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/ea/07115bfbdee9730c360e4fdbc1e7638f.jpg

毛色の異なる兄弟ですが、体型はよく似ていると思います。
といっても、体型うんぬんというより、母アゼリが、アメリカでG1を11勝もして、牝馬ながら年度代表馬に輝いたという素晴らしい実績のほうが、はるかに大きいのでしょうね。
アゼリ14を落札したのは、アドマイヤの冠でお馴染み、近藤利一氏です。近藤氏は、昨日のリッスン13で競り負けたので、こちらで勝負をかけてきました。

アドマイヤキラメキ14

http://www.jrha.or.jp/select/2014/352.html
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/b6/7d00fdf04e7df42daa3e281dee5e474b.jpg
https://www.youtube.com/watch?v=y4OniNQ30fo
http://www.jbis.or.jp/horse/0001186747/pedigree/

本日2番目の高額馬は、2億2千万円で落札された、アドマイヤキラメキ14です。
トーセンスターダムの全弟で、落札者も同じく、島川隆哉氏でした。初日は目立った動きを見せなかった島川氏でしたが、ここで勝負に出ましたね。

トーセンスターダム(1歳・セレクトセール)
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/f8/12ede16615b0ba8c406162c1932877b0.jpg

トーセンスターダムは、1歳時にセレクトセールに出て、2億5千万円で落札されたので、アゼリ産駒に負けず劣らずの高額兄弟です。
お兄さんに続く活躍を期待しましょう。

ミュージカルウェイ14
http://www2.jrha.or.jp/select/2014/326.html
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/45/8c012ff3a012c417ae584851365efae6.jpg
https://www.youtube.com/watch?v=-I9SLRkAe1w
http://www.jbis.or.jp/horse/0001190040/pedigree/

落札価格第3位の1億8千万円をつけたのは、ミュージカルウェイ14。
トーセンマタコイヤの全弟にあたります。
全兄トーセンマタコイヤ、全姉ミュージカルウェイ12もセレクトセール出身で、兄9400万円、姉1億円でしたから、一気に価格が跳ね上がりましたね。

トーセンマタコイヤ(当歳・セレクトセール)
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/66/fe3da427653d57e6d44d8506fabfa122.jpg

ミュージカルウェイ12は1歳セールのほうに出たので、同じ当歳セールのトーセンマタコイヤの画像にだけリンクしておきました。価格は倍近くも違うのですが、出来に関しては、お兄さんの当歳時のほうが上のような気がします。もちろん、弟のほうも良い馬ですが、あくまで比較すればということですので。
落札したのは、昨日のリッスン13で話題となった、カタールのファハド・アル・サーニ殿下。昨日は、殿下の落札馬はリッスン13の1頭だけでしたが、今日は、一転して8頭もの馬を落札されたので、いよいよ本格的に日本進出の構えですね。
ちなみに、殿下の所有馬は、当面の間は栗東の中内田厩舎に一括して預けられることになっているとのこと。中内田師は、今年開業したばかりの若手調教師です。実家は、滋賀県の育成牧場である信楽牧場(ヒルサイドステーブルも運営)で、イギリスの大学で馬学を専攻、卒業後はアメリカにわたり、ロバート・フランケル厩舎およびロバート・スキャンロン厩舎で修業、フランケル厩舎時代には調教助手としてエンパイアメーカーを担当したそうです。日本に帰国後は、橋田厩舎で調教助手となり、調教師試験合格後は、藤原厩舎で技術調教師として2年間の研修を経て、今年の3月から開業の運びとなりました。
いきなりファハド殿下の馬を任されることになったわけですが、経歴を見るかぎり、開業して間もないという心配はしなくてもよさそうです。実家の関係から、ヒルサイドステーブルを自由に活用できそうなのは、非常に恵まれていると思います。ちなみに、ヒルサイドステーブルは、ノーザンFしがらきの施設内で開業しており、施設も完全に共用です。

ディープ産駒としては4番目、全体では5位タイの1億4000万円で落札されたのは、ウィーミスフランキー14です。

ウィーミスフランキー14
http://www.jrha.or.jp/select/2014/436.html
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/49/9fadf8d5a8e19878832f85fdf0cde914.jpg
https://www.youtube.com/watch?v=keZ0AkJBo84
http://www.jbis.or.jp/horse/0001192878/pedigree/

母ウィーミスフランキーは、アメリカでG1を2勝。
垢抜けた馬体ですが、個人的には、馬体よりも配合面の面白さのほうに目がいってしまうのですが、ここでは省略します。

ディープの当歳産駒の1億超えは以上の4頭ですが、全て牡馬なので、1億の大台には届かなかったものの、高額で落札された牝馬3頭を最後に紹介しておきましょう。

シャムロッカー14
http://www.jrha.or.jp/select/2014/463.html
http://keibalab.jp/img/old/pic/topics/140715_no463_shamrocker03.jpg
http://www.jbis.or.jp/horse/0001192895/pedigree/

アコースティクス14
http://www.jrha.or.jp/select/2014/379.html
http://jra-van.jp/fun/tokusyu/selectsale2014/imgs/kougaku/0s_140716_10.jpg
http://www.jbis.or.jp/horse/0001185988/pedigree/

ラヴアンドバブルズ14
http://www.jrha.or.jp/select/2014/430.html
http://www.winkeiba.jp/wp//files/wpid-rps20140715_144523.jpg
http://www.jbis.or.jp/horse/0001188231/pedigree/

シャムロッカー14は9200万円、アコースティクス14は8400万円、ラヴアンドバブルズ14は7800万円で落札されました。
シャムロッカー14の母は、オーストラリアでG1を2勝。
アコースティクス14は、ロジユニヴァースの半妹。
ラヴアンドバブルズ14は、ディープブリランテの全妹。
アコースティクスとラヴアンドバブルズは、それぞれ実績のある繁殖牝馬ですが、個人的には、シャムロッカーという繁殖牝馬は、ディープと非常に相性がいい可能性があると考えています。ここでは省略しますが、いずれシャムロッカー14がデビューすれば、その時にじっくり書きたいと思います。
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