DP-Blog

ディープインパクト産駒を研究してPOGでの勝利を目指すシロウト競馬ファンの奮闘記

2016年産

速報・香港C(編集中)

ラヴズオンリーユーが、香港Cを制し、海外G1を年間3勝という日本馬初の快挙を達成しました。
2着も日本馬のヒシイグアスでしたから、昨年に続いて2年連続の日本馬ワンツーでしたね。
ラヴズオンリーユーは、これが引退レースということで、見事に有終の美を飾りました。

https://www.youtube.com/watch?v=BWgeM6t_EIw
https://www.racingpost.com/results/416/sha-tin/2021-12-12/800183
https://world.jra-van.jp/race/hkir/2021/cup/result/

https://www.jbis.or.jp/horse/0001221351/pedigree/

(以下、編集中)

速報・クイーンエリザベス2世C

ディープ産駒の、ラヴズオンリーユー&グローリーヴェイズが、クイーンエリザベス2世Cで、ワンツーフィニッシュを決めてくれました。

https://www.youtube.com/watch?v=vDLahQT-UzI
https://www.jra.go.jp/keiba/overseas/race/2021hkch/2021qe2/kaiko.html

https://www.jbis.or.jp/horse/0001221351/pedigree/

上位4頭は日本勢の独占でした。
ラヴズオンリーユーは、全兄リアルスティールに続いての海外国際G1制覇ですね。
これで、ディープ産駒の海外国際G1馬は、合計13頭(ビューティパーラー、ジェンティルドンナ、リアルインパクト、エイシンヒカリ、リアルスティール、 ヴィブロス、トーセンスターダム、サクソンウォリアー、スタディオブマン、フィアスインパクト、 グローリーヴェイズ、ファンシーブルー、ラヴズオンリーユー)となりました。
ずっと日本で繋養されながら、これだけの数の海外国際G1馬を送り出せる種牡馬は、今後も当分は現われないと思います。

2億8000万円ホースのその後

ダービー最終便の京都新聞杯&プリンシパルS出走予定馬のなかから、まだ取りあげていなかった馬を検討する第2弾は、セレクトセールで2億8000万円という超高額で落札されて話題となった、サトノソロモンです。

https://www.youtube.com/watch?v=7HjN0DTpAeo
https://db.netkeiba.com/race/201908010406/

デビュー戦は、1番人気に応えての快勝でしたが、正直、その勝ちっぷりよりも、552キロという馬体重のほうに驚きました。もちろん、適正体重が552キロであるのなら、それは仕方のないことですが、パドックを見るかぎり、もう一絞りも二絞りも出来そうな感じではなかったでしょうか?
その心配が表面化したのが、2戦目の大寒桜賞でした。いちおう、マイナス体重の546キロではありましたが、まだまだ太め残りで、直線では、体重を持て余して伸び切れずの7着。
3戦目の今回、ダービー出走の最終切符をかけて京都新聞杯に出走しますが、最低でも、530キロ台まで絞れていなければ、おそらく勝負にならないでしょう。理想は、530キロ台前半ですね。そこまで絞れていれば、現時点における実力は出し切れるんじゃでしょうか。
池江厩舎の巨漢ディープ産駒といえば、トーセンホマレボシが思い起こされます。2歳の年末という遅いデビューで、しかも勝ち上がりまでに3戦を要し、勝ち上がった次の条件戦でも5着に凡走したりしましたが、最終的には、京都新聞杯を当時の日本レコードで勝ち、ダービーでも3着でした。デビュー戦の馬体重は520キロですが、京都新聞杯では498キロまで絞れていましたね。けっして、間に合わないことはないのです。

https://www.jbis.or.jp/horse/0001221898/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母イルーシヴウェーヴは、仏1000ギニー馬。繁殖牝馬としては、サトノソロモン以前に4頭の産駒がいて、父馬も、ガリレオ、フランケル、ディープなど大物ぞろいですが、まだこれといった活躍馬は出ていません。
3代母エコーズは、仏20戦2勝。G3重賞に勝っています。孫のイッテツは、京阪杯の勝ち馬。
母系は、オーダーオブセントジョージ、フィットトゥファイト、デイアトザスパなどの出た、フライアーズカース牝系。日本では、ハットトリックと、コパノリッキーがG1に勝っています。

(1)ディープ×母父イルーシヴクオリティ系
ディープ×母父イルーシヴクオリティ系イルーシヴクオリティ自身とその産駒)の配合は、これまでに7頭がデビューし、7頭すべてが勝ち上がり(うち1頭は海外)、3頭が重賞に勝ち(うち1頭は海外)、ショウナンアデラケイアイノーテックはG1に勝っています。
これが、いかに凄い数字かは、言うまでもありません。新しいニックス候補と見なしてもよいでしょう。POGファンの中には、ゴーンウエストを過剰なまでに軽んじる人がいらっしゃるようで、イルーシヴクオリティよりも、その父親のゴーンウエストのほうに敏感に反応するケースが見られますが、いつまでもノーザンダンサー系と一くくりにしておくことが出来ないように、ゴーンウエスト系と一まとめにしておくことも、もはや出来なくなっているのです。

アルザオ(ディープの母父)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000339659/pedigree/
タッチオブグレイトネス(イルーシヴクオリティの母)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000428861/pedigree/

ディープとイルーシヴクオリティとの相性のよさには、ちゃんと配合的な根拠があり、アルザオとタッチオブグレイトネスとの間に相似クロス(ノーザンダンサー、サーアイヴァー、ポカホンタス≒ナタシュカが共通)が発生するのがポイント。サトノソロモンの場合は、アルザオ≒タッチオブグレイトネス3×4となります。

(2)ヘイロー≒レッドゴッド
サトノソロモンには、ディープと好相性のブラッシンググルームの血があるので、ヘイローレッドゴッド3×5の相似クロスが成立しています。
ディープの配合的な核の1つは、ヘイロー≒サーアイヴァー2×4の相似クロスにあるわけですが、(1)と(2)によって、ヘイローとサーアイヴァーの双方の要素を継続していると考えることが出来るでしょう。ヘイローは内回り向きの機動力を、サーアイヴァーは外回り向きの末脚を伝えるので、サトノソロモンの場合、そのどちらが強く表面化しているかを見極める必要があります。今のところ、ヘイロー的な要素のほうが優勢のようにも見えますが、ウエイトオーバーな現状では、確かなことは言えません。今後のレースぶりに注目していく必要があるでしょう。

(3)フェオラのクロス
イルーシヴウェーヴには、ラウンドテーブル7×4のクロスがあるので、必然的に、フェオラ(ディープの6代母&ラウンドテーブルの祖母)9×6のクロスを持っていることになります。
当ブログ独自の主張になりますが、フェオラのクロスを持つ繁殖牝馬は、ディープと相性がよいと考えています。具体的には、タピッツフライ(グランアレグリアの母)、モシーン(プリモシーンの母)、ドリームオブジェニー(ファンディーナの母)、クロカミ(カミノタサハラの祖母)、ターピテュード(サトノラーゼンの祖母)、ペンカナプリンセス(ワールドインパクトの母)、ブルーミンバー(トーセンブレスの母)などですね。
したがって、イルーシヴウェーヴも、ディープのお相手として成功する可能性は充分でしょう。

(4)母馬のノーザンダンサーのクロス
これは基本のおさらいになりますが、成長がややゆっくりなディープ産駒を、春のクラシックに間に合わせるためには、お相手の母馬にノーザンダンサーのクロスがあったほうがベターです。
母イルーシヴウェーヴには、ノーザンダンサー5・5×5があるので、問題ありませんね。

(5)まとめ
大まかな配合の枠組みとしては、(1)と(2)が注目されまますが、全体的に好配合だと思います。ただ、あの馬体重を見せられると、細かい配合の検討より、ダイエットのほうが重要なんじゃないかという気がしてなりません。
配合のまとめで言うことじゃありませんが、当日の馬体重が530キロ台まで減っているのかが、最大の注目点でしょう。

2歳
https://umatokuimg.hochi.co.jp/horseimages/2016/2016104413/2016104413_201804111724052.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていくことにします。
昨年のディープの2歳産駒の馬体評価リストでは、6位に取りあげましたが、そのさいに指摘したのが、アンバランスなまでのトモの巨大さです。どちらかといえば、トモの寂しげな産駒の多いディープにとって、これまでにお目にかかったことのないトモだと思います。
しかし、いくらトモが立派でも、550キロ超の馬体重は支えきれません。同じことの繰り返しで申し訳ありませんが、「目指せ!530キロ台」ということに尽きるでしょう。

未勝利戦ピックアップ~フランクリン

御無沙汰しております。昨年の秋ごろから何かと多忙で、なかなか更新の時間が取れずに間隔があいてしまい、申し訳ありません。来シーズンこそはということで、各種POG本をチェックしている日々です。
本日は、平成最後の日ということもあり、なにかしら更新しようと思い、ダービー最終便の京都新聞杯&プリンシパルS出走予定馬のなかから、まだ取りあげていなかった馬について触れておくことにしました。
まず、最初は、フランクリンから。

https://www.youtube.com/watch?v=_Ean1QcaCaA
https://db.netkeiba.com/race/201909020604/

フランクリンは、POGでもそこそこ人気のあった馬でしたが、昨年9月のデビュー戦は離された4着に終わりました。凡走の原因は喉鳴りということで、陣営は手術を決断します。
思いのほか復帰に時間を要しましたが、今月7日の未勝利戦で再起戦を白星で飾り、京都新聞杯に登録してきました。常識的には、厳しい戦いが予想されますし、1勝馬なので2着では賞金的にダービー出走は難しく、とにかく勝利が絶対条件のレースとなりました。ここで思い出されるのは、16分の13同血の従兄アドミラブルです。たんに血統が似ているだけでなく、POGで人気→デビュー戦凡走→喉鳴りの手術→復帰してダービー出走を目指す、というところまで似たような状況となっています。アドミラブルはトライアルの青葉賞に快勝し、ダービーでも3着と好走しましたが、はたしてフランクリンは従兄のあとに続くことが出来るでしょうか。

https://www.jbis.or.jp/horse/0001219661/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていくことにします。
母ロベルタは、12戦3勝。産駒は、これまでに2頭いて、いずれもディープ産駒です。初仔のコペルニクスは、いったん地方に転出したものの、既定の勝利数をあげて中央に復帰しています(15戦3勝、現役)。2番仔のフランツは、昨年の京都新聞杯5着の後、長期休養に入っていましたが今年2月に復帰、先月には準オープン特別で2着し、オープン入り目前の状況です(6戦3勝、現役)。
祖母グレースアドマイヤは、15戦3勝。皐月賞馬ヴィクトリーや、G2重賞を3勝したリンカーンを出しました。
3代母バレークイーンは、ダービー馬フサイチコンコルドと、皐月賞馬アンライバルドの2頭のG1馬を出した名繁殖牝馬。
4代母サンプリンセスは、G1戦3勝の活躍馬で、繁殖にあがってからも、G1勝ち馬を出しています。
5代母サニーヴァレイは、サンプリンセスとサドラーズホールの2頭のG1馬を出しました。
母系は、サンプリンセス、ストリートクライ、コンデュイットなどが出た、ラヴオイル牝系。日本では、ネオユニヴァース、フサイチコンコルド、レディパステルなどが出ています。

(1)アドミラブルと16分の13同血
はじめのほうでも触れたように、フランクリンは、従兄のアドミラブルとは、16分の13同血です。

アドミラブル
https://www.jbis.or.jp/horse/0001188522/pedigree/

母父も同じロベルト系ということで、血量以上に近い関係と言えるでしょう。
ただし、あとで触れるように、体型的には全く似ていません。おたがい、それぞれの母父の体型にそっくりで、アドミラブルはシンボリクリスエス似、フランクリンはブライアンズタイム似です。

(2)母父ブライアンズタイム
ディープ×母父ブライアンズタイムは、37頭がデビューし、28頭が勝ち上がり(うち6頭は地方)、2頭が重賞に勝ち、ディーマジェスティが皐月賞を制しました。
アヴェレージはそれほどでもない感じですが、サンデー系×ロベルト系の相性の問題については、一時期、このブログでも集中的に取りあげました。結論としては、サンデー系×ロベルト系の配合で自動的に発生する、ラランブラ≒ラフランス(2本)の相似クロス(ディープ×ロベルト系なら、ラランブラ≒ラフランス(2本)≒ブラックデヴィルの相似クロス)を、何らかの形で継続することが重要ということでした。
フランクリンの場合、サドラーズウェルズの血があるので、ラランブララフランス(2本)≒ブラックデヴィルフレアズ9・8・8×8・9と相似クロスが継続されるので、相性問題は発生しないと考えれます。

(3)バークレアとペティンゴの組み合わせのクロス
ディープの祖母バークレアの血の活用を重視されているのは、望田潤氏です。具体的には、成長力や、大レースでの底力などの効果が見込めるでしょう。

バークレア(ディープの祖母)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000394655/pedigree/
ペティンゴ(フランクリンの母母母母父父)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000334415/pedigree/

フランクリンの場合、バークレアとペティンゴとの間に、組み合わせのクロス(ドナテロ、ハイぺリオン+ローズレッド、フェアトライアル~サンインローが共通)が発生しています。

(4)まとめ
フランクリンとアドミラブルは、血量的に非常に近いのですが、相違点としては、ナスキロ色の強いアドミラブルに対して、フランクリンはナスキロ色が薄いということでしょう。
そのため、アドミラブルには、外回り向きの末脚が期待できるのに対し、フランクリンのほうは、ブライアンズタイム的な内回り向きの要素が強調されやすい傾向にあります。
今回の京都新聞杯は、外回りコースですから、末脚の切れ味くらべになると分が悪いと思われるので、はやめにロングスパートをかけていく必要がありそうですね。

2歳
https://umatokuimg.hochi.co.jp/horseimages/2016/2016104682/2016104682_201804111727482.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていきましょう。
全兄2頭もそうでしたし、今年2歳の全弟プラトンも同様ですが、ディープよりも、母父ブライアンズタイムの影響が濃い体型だと思います。
ただし、2頭の全兄は、牡馬としては小さめだったのに対し、フランクリンは、そこそこサイズがあるので、より大物感があるとは言えるでしょう。
なお、上述のように、アドミラブルは、母父シンボリクリスエスにそっくりで、ディープにもフランクリンにも似ていませんね。

コペルニクス(2歳)
https://pc-cache.keibalab.jp/img/horse/2014106253/2014106253_01.jpg
アドミラブル(2歳)
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/keiba/keiba/2017/assets_c/2017/04/adomirabul-thumb-550xauto-184137.jpg

ディープインパクト(3歳、皐月賞)
https://livedoor.4.blogimg.jp/jrdbjp/imgs/2/e/2e0bbb10.gif
ブライアンズタイム
https://www.jbis.or.jp/horse/images/0000333844_1/
シンボリクリスエス(3歳、ジャパンC)
http://www.keibado.com/keibabook/021125/photo03.html

未勝利戦ピックアップ~メイショウテンゲン

レース当日になってしまいましたが、弥生賞の出走予定馬の最後は、メイショウテンゲンです。

未勝利戦
https://www.youtube.com/watch?v=Ec_bQNGk-jI
https://db.netkeiba.com/race/201809050903/

デビュー戦は、ワールドプレミアを首差まで追い詰めての2着ということで、すぐにも勝ち上がるかと思われましたが、足踏みして4戦目での未勝利脱出は、陣営としては想定外だったかもしれません。
続戦して、きさらぎ賞で重賞に挑戦したものの、思いのほか弾けず、5着に終わりました。
一息いれるタイミングのように見えましたが、さらに弥生賞に出走というのは意外でした。デビュー戦や初勝利の4戦目くらい走れば、3着までの権利取りくらいは何とかなるかもしれませんが、問題は、きさらぎ賞で調子が下降線に入った兆しが見られたことでしょう。仮に、ここでパッとしないレースだったとしても、見限る必要はありません。いずれ頭角を現してくる素質馬だと思います。

https://www.jbis.or.jp/horse/0001217510/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母メイショウベルーガは、35戦7勝。京都大賞典&日経新春杯に勝ち、エリザベス女王杯は2着。産駒は、初仔のメイショウジーターが未勝利、メイショウテンゲンの全兄メイショウテンシャは23戦2勝(現役)。
4代母オルメクは、米7戦5勝。2頭の重賞勝ち産駒を出し、孫の代からはダンシングブレーヴが出ました。
母系は、ダンシングブレーヴ、ラッキーデボネア、ストラヴィンスキーなどが出た、ストールンキス牝系。日本では、デルタブルースとヌーヴォレコルトが、G1に勝っています。

(1)ディープ×フレンチデピュティ
ディープ×母父フレンチデピュティの産駒は、44頭がデビューして、38頭が勝ち上がり(うち3頭は地方)、重賞勝ち馬が7頭、ショウナンパンドラ&マカヒキ&アンジュデジールがG1に勝ちました。
注目されるのは、たった2頭しかいないディープ産駒のダート重賞勝ち馬は、どちらも母父フレンチデピュティだったということでしょうか(アンジュデジール&ボレアス)。

ディープ×フレンチデピュティの配合の活躍馬には、いくつかの共通する成功パターンがあります。
まず、1つ目のパターンは、サンデー系×フレンチデピュティの配合で自動的に発生する、ノーサードチャンス≒ブルームーンの相似クロスを継続していること。マカヒキ&ウリウリ(ノーサードチャンス≒ブルームーン5×5・7)、カミノタサハラ&ボレアス(ノーサードチャンス≒ブルームーン5×5・7)、カデナ(ノーサードチャンス≒ブルームーン5×5・7・)などが該当しますが、メイショウテンゲンも当てはまっています(ノーサードチャンス≒ブルームーン5×5・7)。
2つ目は、母馬が、フレンチデピュティの持つグッドエグザンプル≒エイトサーティの相似クロスを継続していること。マカヒキ&ウリウリの母ウィキウィキ(グッドエグザンプル≒エイトサーティ6・5×7)、カミノタサハラ&ボレアスの母クロウキャニオン(グッドエグザンプル≒エイトサーティ≒スピードボート6・5×8)、アンジュデジールの母ティックルピンク(グッドエグザンプル≒エイトサーティ≒ウォーレリック6・5×7・7)などが該当していますが、メイショウテンゲンの母メイショウベルーガは当てはまっていません。
3つ目は、ディープの祖母バークレアとの組み合わせのクロス。マカヒキ&ウリウリ(バークレアとフィッシュバーフェアアリシア)、カミノタサハラ&ボレアス(バークレアとオリオール)、カデナ(バークレアとアレッジド)が該当していますが、メイショウテンゲンは当てはまりません。
メイショウテンゲンは、3つの内1つしか該当していませんが、そのかわり、これまでのディープ×フレンチデピュティの活躍馬にはない興味深い配合がなされています。

(2)アルザオ≒パパゴ
(1)以外で、まず目につくのは、アルザオパパゴ3×2の相似クロス(ノーザンダンサー、サーアイヴァー≒ドローンが共通)でしょう。血量的にも強力ですが、次の(3)との関係も考慮するなら、より一層の威力を発揮する可能性もあります。

(3)ダンシングブレーヴの再現
メイショウテンゲンの3代母パソクォマディは、ダンシングブレーヴの母ナバホプリンセスの全妹に当たります。ということは、あとリファールの血があれば、ダンシングブレーヴの配合が再現できるわけですが、ディープの母父アルザオは、リファール産駒です。

ダンシングブレーヴ
https://www.jbis.or.jp/horse/0000336853/pedigree/

したがって、ディープ×メイショウベルーガの配合は、血統表の中でダンシングブレーヴの配合を再現しているということになるわけです。

(4)まとめ
メイショウテンゲンの配合は、ディープ×フレンチデピュティのニックスをベースに、アルザオ≒パパゴ3×2のクロスによる爆発力を付け加えたものとなります。この配合が成功するかどうかは、アルザオ≒パパゴ3×2のクロスのクロスが機能するかにかかっています。
その意味では、全兄メイショウテンシャの場合、クロスは不発に終わったと言うしかないでしょう。しかし、メイショウテンゲンの場合は、デビュー戦や初勝利をあげたレースでは、クロスの爆発力の片鱗がうかがえました。まだまだ、成長途上の馬ではありますが、このあたりに磨きがかかってくれば、かなりの出世も期待できるのではないでしょうか。
ただ、クラシックに間に合わせるための押せ押せローテが、成長の芽を摘んでしまわないかは、少々心配ではあります。

https://www.keibalab.jp/img/upload/focus/201902/190224_meishotengen.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていきましょう。
ディープ×フレンチデピュティの配合でよく見かける体型ですが、やや曲飛がきつめになってきているようにも見えます。
昨年のディープの2歳産駒の馬体評価リストでは、牡馬の10位タイに取りあげました。

梅花賞短評

弥生賞出走予定馬の第2弾は、サトノラディウスです。

梅花賞
https://www.youtube.com/watch?v=fx1GPNzPcR4
https://db.netkeiba.com/race/201908020109/

新馬戦
https://www.youtube.com/watch?v=zYQ-1sQasuA
https://db.netkeiba.com/race/201805050405/

デビュー戦は、前半5F68秒1という超スローペースで、勝ちタイムも2分8秒3という遅さでしたが、しっかり勝ち切り、1番人気に応えました。
2戦目の葉牡丹賞は、3着に敗れたものの、勝ち馬のシークレットランは京成杯で4着、2着ランフォーザローゼスは京成杯でも2着ということで、レースのレベルはまずまずだったようです。
3戦目の梅花賞は、5頭立ての少頭数となりましたが、接戦を制して2勝目をあげました。
まだまだ発展途上という感じですが、葉牡丹賞で戦ったメンバーは、京成杯でも好走しており、今回の弥生賞では、京成杯の勝ち馬であるラストドラフトの1番人気が予想されるので、通用しても不思議ではありません。しかし、もうすこし長い目で見たほうがよいかもしれませんね。

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母アーヴェイは、英愛米加日15戦5勝。米G1・フラワーボウルS(芝10F)に勝ちました。産駒は、今のところ、これといった活躍馬は出ていません。アーヴェイの全兄アンバーグリスキーは38戦1勝、全姉エールグリーツは4戦1勝(現役)。
3代母アンナオブサクソニーは、英G3に勝ち、産駒からも、重賞勝ち馬が出ています。
4代母アンナマトルースカは、未出走に終わりましたが、2頭の重賞勝ち産駒を出し、孫の代からG1馬が3頭も出ています。
母系は、マイナーな、アルキペ牝系。G1馬が頻繁に出るような系統ではありません。日本には、あまり入ってきていない系統で、ガンコあたりが目立つ程度でしょうか。

(1)ディープ×デインヒル×サドラーズウェルズ
サクソンウォリアーセプテンバーの成功により、日本でも増えてくる可能性のある、ディープ×デインヒル×サドラーズウェルズの配合ですが、ガリレオのようにミスプロを含む場合はともかく、ミスプロ無しのケースについては、日本の高速馬場に向かないサドラーズウェルズの問題点が前面に出てくる可能性もあります。
母アーヴェイは、ミスプロを持たないので、アンバーグリスキーやエールグリーツは、あまりパッとしませんでした。サトノラディウスも、梅花賞のような長めの距離に活路を見出すことになる可能性もあるでしょう。

(2)バークレアの血の活用
ディープの祖母バークレアの血の活用は、望田潤氏が重視しており、成長力や大レースでの底力に効果が期待できます。

バークレア(ディープの祖母)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000394655/pedigree/
ピットカーン(サトノラディウスの母母母父父)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000333626/pedigree/
ローズバーティン(サトノラディウスの母母母父母)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000391477/pedigree/

サトノラディウスの場合、バークレア&ピットカーン&ローズバーティンが組み合わせのクロス(ドナテロ、ハイぺリオン+ローズレッド、フェアトライアルが共通)となっています。

(3)ディープ×ノーザンダンサー×スペシャル×ネヴァーベンド
サトノルークスを扱ったときにも触れたのですが、ディープ×ノーザンダンサー×スペシャル×ネヴァーベンドの配合パターンは、当ブログ独自の主張になりなす。具体的には、ディープブリランテ、マリアライト、ミッキークイーン、シンハライト&アダムスピーク、ショウナンアデラ、デニムアンドルビー、ヴァンキッシュラン、タッチングスピーチ、サトノアーサー、ジェニアル、ベストディールなど、かなりの活躍馬が出ています。
とくに、ヌレイエフではなく、サドラーズウェルズの場合、ボールドリーズンネヴァーベンドの兄弟クロスが生じるので、なかなか効果的でしょう。

(4)まとめ
母馬の持つ、サドラーズウェルズやエラマナムーといった重量級の欧州血脈が、どのような影響を及ぼすかが焦点となりそうです。重苦しさと出るのか、成長力や底力の豊富さと出るのか、見きわめる必要があると思います。

https://www.keibalab.jp/img/upload/focus/201902/190224_satonoradius.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていきます。
画像を見るかぎり、がっちり型のディープ産駒に、よく見られる体型でしょう。
サドラーズウェルズの影響は、あまり感じられませんね。

ディープインパクト
https://livedoor.4.blogimg.jp/jrdbjp/imgs/2/e/2e0bbb10.gif
デインヒルダンサー
https://www.justhorseracing.com.au/wp-content/uploads/Danehill-Dancer.jpg
サドラーズウェルズ
https://cdn-images.bloodhorse.com/i/bloodhorse-images/2015/04/f82528684cca47df8c655671fb7995ec.jpg
エラマナムー
http://www.kznbreeders.co.za/Images/ela1.jpg

セントポーリア賞短評

またPCが故障して、修理に出していました。今度こそ買い替えようとも思ったのですが、けっきょく修理ということに。更新の間があいてしまい、申し訳ありませんでした。

とりあえず、日曜の弥生賞に出走予定のメンバーについて、ざっと触れておきます。
まず、ダービー馬の全弟カントルから。

セントポーリア賞
https://www.youtube.com/watch?v=AXLHSPiliuU
https://db.netkeiba.com/race/201905010209/

未勝利戦
https://www.youtube.com/watch?v=vJHXwkR6uyM
https://db.netkeiba.com/race/201808050104/

デビュー戦は、1番人気に推され、逃げの手に出ましたが、ゴール前で捕まっての2着。
続く未勝利戦では、後方に控える競馬となりましたが、なかなかエンジンがかからず冷や冷やさせる展開。ラスト1Fでようやくエンジン点火、するとあっさり前を捕まえ、さらに2馬身差をつけて初勝利を飾りました。
3戦目は、平場の条件戦でしたが、そのわりにメンバーが揃ったレースで、サトノルークスの3着に終わりました。このレースでも、エンジンのかかりの遅さは目につき、陣営からも、真面目さに欠けるといったコメントも出たようです。なお、サトノルークスは、すみれSも制して3勝目をあげています。
年が明けて、セントポーリア賞では、久々の先行策でしたが、アドマイヤスコールに競り勝ち、2勝目をあげました。
ここまでのレースを見ると、追い出しても上体が浮いたままで、ゴール手前あたりでようやくぐっと沈み込む感じですが、そういう状態になるまでに時間がかかりすぎています。これが、性格的なものなのか、走るフォームの問題なのか、現状では何とも言えませんが、1戦ごとに改善はされてきていると思います。
まだまだ未完成な状態ではありますが、今年の弥生賞は、例年よりもメンバーが手薄なので、権利取りはもちろん、勝ち負けまでありうるでしょう。ただ、その先の本番となると、もっとスムースに騎手のゴーサインに反応できるようになる必要がありそうです。

https://www.jbis.or.jp/horse/0001205273/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母ミスアンコールは、9戦1勝。産駒には、カントルの全姉兄が3頭います。ワグネリアンは、ダービーに勝ち、テンダリーヴォイスも、アネモネSに勝つなど、まずまずの成績です。ミンネザングは、まだ現役ではありますが、残念ながら空振りでしょうか。
祖母ブロードアピールは、ダート重賞に6勝もしましたが、芝の重賞でも2着が3回あります。
5代母ウォータークラスは、2頭のG1馬を出した名繁殖牝馬。
母系は、スワーヴダンサー、ハビタット、ダンサーズイメージなどが出た、ロイヤルメッセージ牝系。日本では、ワグネリアンとサクセスブロッケンが、G1に勝ちました。

(1)ついにダービー馬が出た、ディープ×キンカメハメハ
ディープ×母父キングカメハメハは、これまで27頭がデビューし、22頭が勝ち上がり(うち1頭は地方)、2頭が重賞に勝ち、ワグネリアンがG1に勝ちました。未勝利の5頭のうち、2頭はキャリア2戦の3歳馬で、内容的にもそのうちに勝ち上がれそうな感じです。
ブログ開設当初からニックス候補に推してきた、ディープ×キングカメハメハの配合ですが、昨年はワグネリアンがダービーを制覇し、ついにブレイクしたと言ってもよいでしょう。ただし、やたらと全兄弟が目につくのは、同じ母馬と何度も交配しているからで、27頭の産駒数に対して、母馬の数は僅か9頭にすぎません。もっと多くのキングカメハメハ牝馬に試してもらいたい配合だと思います。

(2)レディレベッカとヘイパッチャーとアルーリングガール
カントルの配合は、なかなか軸が見えてこないのですが、レディレベッカとヘイパッチャーとアルーリングガールとは、かなり似通った血で構成されており、組み合わせのクロスと見なせなくもないでしょう。

レディレベッカ(ディープの母父母)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000394467/pedigree/
ヘイパッチャー(カントルの母母父母)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000412609/pedigree/
アルーリングガール(カントルの4代母)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000396888/pedigree/

3頭に共通するのは、ターントゥ、プリンスキロ、ローマン、マンノウォーなどですが、アメリカンな末脚の切れが期待できそうです。
カントルの祖母ブロードアピールは、強烈な末脚で人気のあった馬ですが、その末脚を生み出したのが、ターントゥ4・4×5、プリンスキロ5・7×5、ローマン6×6のクロスであり、それを、ディープ側のレディレベッカが継続した形ですね。

(3)広い意味での父母相似配合
父ディープと、母ミスアンコールとは、それほど配合が似ているようには見えません。しかし、配合の目指す方向性には、共通点がありそうです。

ヘイロー(カントルの3代父)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000335154/pedigree/
ブロードアピール(カントルの祖母)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000287786/pedigree/

ヘイローの血統は、マムタズマハル~ロイヤルチャージャーのスピードと、米国血脈をあわせたもので、ハイインローの要素はありません。
一方、ブロードアピールも、ナスキロに米国血脈というシンプルな配合で、ハイぺリオンの血は薄く1本あるだけです。

サンデーサイレンス(カントルの祖父)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000333862/pedigree/
ディープインパクト(カントルの父)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000742976/pedigree/
ミスアンコール(カントルの母)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000989953/pedigree/

サンデーサイレンスは、ヘイローにハイインローの血を補ったもので、いわゆるナスぺリオン配合になっています。そのディープも、ナスぺリオン配合という点では同じですが、サンデーには無いプリンスキロの血をプラスして、ナスキロの形にしており、大まかには、ノーザンダンサー+ナスキロ+ハイインローの配合です。
ミスアンコールのほうも、キングカメハメハから大量のハイインローの血を補給して、ノーザンダンサー+ミスプロ+ナスキロラトロ+ハイインローの形になりました。
ミスプロの有無は相違点ですが、ごりごりの米国血脈から出発して、ハイインローの血を補っていく方向性は、同じような流れであると見なしてもよいでしょう。これを父母相似配合と言い切ってしまうのは、拡大解釈すぎると思いますが、大まかな配合の流れは、似たようなものであるとは言えるのではないでしょうか。

(4)まとめ
(3)で配合の流れにこだわったのは、ディープ×ブロードアピールのブロードピークが念頭にあったからです。ブロードピークに限りませんが、ブロードアピールは、優れた競争成績とは裏腹に、繁殖牝馬としてはこれといった活躍馬を出せませんでした。一方、娘のミスアンコールは、競走馬としてはさっぱりでしたが、繁殖に上がってからは、ワグネリアンだけでなく、テンダリーヴォイスやカントルもそこそこ走っているので、ブロードアピールとは比較にならないほどの成功を収めています。
その原因は、ナスキロと米国血脈に片寄りすぎたブロードアピールに対して、ハイインローや欧州血脈をうまく取り込んだミスアンコールのバランスの良さにあるのだと考えられるでしょう。
そうしたバランスの良さは、ディープの特徴でもあり、ディープの交配相手として成功した繁殖牝馬の多くにも見られるものです。
競走馬としての成功と、繁殖牝馬としての成功は、もちろん一致する場合も多いのですが、ミスアンコール&ブロードアピール母娘のように、まったく正反対に分かれてしまうこともあり、配合の世界というのは奥が深いものですね。

(5)おまけ
血量的には薄いので、どこまで効果が表面化しているか判らないのですが、カントルにあるちょっと面白い相似クロスを紹介しておきます。
ラランブララフランスブラックデヴィルフレアズオマハ9・8・8×9・10・11・9(サーギャラハッド、ララブリフランベットラパリナが共通)の相似クロスは、カントルの血統表の父父・父母・母父・母母の4つのパートにまんべんなく含まれていて、5頭の異なる相似な血が7本も張り巡らされています。

3歳
https://www.keibalab.jp/img/upload/focus/201902/190224_cantor.jpg
2歳
https://umanity.jp/img_view_horse.php?code=2016104632

引き続き、馬体のほうも見ていきましょう。
2歳のPOGシーズンの頃は、線の細いディープ寄りの馬体に思えたのですが、3歳になってみると、がっしりとしたキングカメハメハ色の強い馬体になっていました。
兄ワグネリアンも、キングカメハメハ似ですが、姉テンダリーヴォイスは、ディープのほうに似ているようです。

ワグネリアン(3歳、弥生賞)
https://www.keibalab.jp/img/upload/focus/201802/180225_wagnerian.jpg
テンダリーヴォイス(3歳、桜花賞)
http://www.keibado.com/keibabook/150413/photo02.html

ディープインパクト(3歳、皐月賞)
https://livedoor.4.blogimg.jp/jrdbjp/imgs/2/e/2e0bbb10.gif
キングカメハメハ(3歳)
https://livedoor.blogimg.jp/keiba100bai/imgs/0/5/05d4a195.jpg

条件戦ピックアップ~サトノルークス

昨日に引き続き、年末年始の集中更新の第3弾です。
今回は、サトノルークスを取りあげます。

未勝利戦
https://www.youtube.com/watch?v=-Xoyz4mwAgA
https://db.netkeiba.com/race/201808050704/

2歳500万下戦
https://www.youtube.com/watch?v=-Wx_Y1XYj7k
https://db.netkeiba.com/race/201809050906/

デビュー戦は、中団につけましたが、直線で進路を確保するのに手間取り、僅差の2着に敗れました。
続く、未勝利戦では、モレイラ騎手が積極的に先行し、直線では早々と先頭に立つと、3馬身半差の楽勝でした。
昇級戦として陣営が選択したのは、年末の平場戦でしたが、POGで人気になったディープ産駒3頭で人気を分けました。ここでも、4~5番手の好位につけ、直線では内から伸びて、後続の追撃を振り切り、2連勝を飾りました。
ここ2戦は先行策で結果を出しましたが、後ほど詳しく触れますが、体型的にいっても、差し・追い込みよりも、先行する競馬のほうが合っていると思います。
母リッスンの産駒というと、とにかく晩成傾向が強く、2歳戦で2勝目をあげたのは、サトノルークスが初めてとなります。池江師は、成長がゆっくりだとの姿勢を崩していませんが、リッスン産駒として初の春のクラシック出走も視野に入ってきました。素質は確かだと思われるので、あとは、今後の成長曲線がどのようなものになるか次第でしょう。

https://www.jbis.or.jp/horse/0001221390/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきます。
母リッスンは、英愛6戦2勝。英G1・フィリーズマイルに勝ちました。産駒は、初仔を除いて、父親はディープです。タッチングスピーチは、ローズSに勝ち、エリザベス女王杯は3着(18戦3勝)。ムーヴザワールドも重賞級の素質を見せていましたが、屈腱炎で長期休養に追い込まれてしまいました(7戦3勝、現役)。
祖母ブリジッドは、仏5戦1勝。産駒は、リッスンと、その全姉シクウォイアが、G1に勝ちました。シクウォイアの産駒からは、G1戦4勝のヘンリーザナヴィゲーターが出ています。
3代母ラヴラヴィンは、ブリジッド以外にも、オアヴィジョンやリタニリヴァーなどの優れた繁殖牝馬を出し、そちらの分枝からもG1馬が出ています。
母系は、メダグリアドーロ、ヘンリーザナヴィゲーター、インディアンスキマーなどの出た、アメリカの名門アイドルファンシー牝系。日本には、まだそれほど入ってきておらず、タッチングスピーチやアイポッパーが目立つくらいでしょうか。

(1)母父サドラーズウェルズ
ディープ×母父サドラーズウェルズは、15頭がデビューして、8頭が勝ち上がり(中央7頭、海外1頭)、タッチングスピーチが重賞勝ち。
正直、物足りない内容ですが、4分の3同血のヌレイエフは、ディープと相性がよいので、相性の問題というよりも、日本の高速馬場への対応力の問題だと考えるべきでしょう。
対策としては、ミスプロの血を入れるのが手っ取り早いと思いますが、サトノルークスにミスプロの血はありません。しかし、ディープ×母リッスンの産駒は、5頭がデビューして、5頭すべて勝ち上がっています(うち1頭は海外)。そのあたりを、次の(2)で考えてみることにしましょう。

(2)ディープ×ノーザンダンサー×スペシャル×ネヴァーベンド
ディープ×ノーザンダンサー×スペシャル×ネヴァーベンドの配合パターンは、当ブログ独自の主張になりますが、ディープとネヴァーベンドの相性のよさや、サドラーズウェルズとミルリーフ(父ネヴァーベンド)のニックスからヒントを得て思いついたものです。具体的には、ディープブリランテ、マリアライト、ミッキークイーン、シンハライト&アダムスピーク、ショウナンアデラ、デニムアンドルビー、ヴァンキッシュラン、タッチングスピーチ、サトノアーサー、ジェニアル、ベストディールなど、かなりの活躍馬が出ています。
とくに、ヌレイエフではなく、サドラーズウェルズの場合、母馬にボールドリーズンネヴァーベンドの兄弟クロスが生じるので、さらに威力があると思います。ボールドリーズン≒ネヴァーベンドのクロスは、サドラーズウェルズとミルリーフのニックスの、配合的な根拠と考えられます。

(3)トレヴとの配合的な類似
タッチングスピーチやムーヴザワールドを取りあげた際にも触れたのですが、凱旋門賞2連覇のトレヴとは、配合的な共通点が多いようです。

トレヴ
https://www.jbis.or.jp/horse/0001299272/pedigree/

具体的には、サドラーズウェルズ、リヴァーマン、レイズアネイティヴ、レディビーグッド≒プレイヤーベル、ヘイルトゥリーズン、リファール、カミーニー≒サンルスー、セクレタリアト≒サーアイヴァー、フェオラ(ディープの6代母、モナーキーとオリオールの祖母)が共通です。
トレヴとサトノルークスの配合は、パッと見、それほど似ているようには思えないのですが、これだけ共通項があるというのは、ちょっと驚かされます。ディープ×母リッスンが、勝ち上がり率100%を維持しているのには、ここらへんも関係しているのかもしれません。

(4)まとめ
サトノルークスの血統は、ディープとサドラーズウェルズとの間を、両馬と相性のよいネヴァーベンドが仲を取り持った配合と言えそうです。
ただ、あれこれ工夫をほどこすというよりも、ベスト・トゥ・ベストと割り切った配合なので、サドラーズウェルズが日本の競馬向きでないという問題点は、充分にカバーできていない面もあります。母リッスンが、自身は2歳G1に勝っているにもかかわらず、ディープとの産駒がみんな晩成傾向なのも、その表れでしょう。
良くも悪くも、両親のポテンシャルの高さに頼った配合と言えそうです。

サトノルークス(2歳)
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/keiba/keiba/2018/assets_c/2018/09/satono-rukus-thumb-550xauto-208870.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていきましょう。
リッスンの産駒は、1頭ごとにかなり体型が違っているので、一概には言いにくいところがあります。
サトノルークスの場合、まず指摘すべきは、ディープよりも全兄ブラックタイドのほうに似ているということでしょう。具体的には、早い段階からトモよりキ甲のほうが高いこと、曲飛であること、トモの形が斜尻ではないことの3点です。
あれこれ言うよりも、参考画像として、ブラックタイドや、代表産駒のキタサンブラックの画像にリンクしておきましたので、比較してみてください。
ブラックタイド似のディープ産駒の特徴としては、あまり末脚の切れに期待しないほうがよいということでしょう。ブラックタイドの体型は、リファールに由来しているので、むしろ、リファール的な先行粘り込みの競馬が合っている可能性が高いです。姉タッチングスピーチは、ディープ産駒らしい追い込み脚質でしたが、サトノルークスのほうは、冒頭でも触れたように、先行脚質が合っていると思います。先入観にとらわれず、そのことを一発で見抜いたモレイラ騎手は、さすがと言わざるをえませんね。

ブラックタイド(種牡馬入り直後)
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/22/dfbbfd7bf5b288d7ff4f3fd9a8688620.jpg
キタサンブラック(種牡馬入り直後)
https://uma-furusato.com/var/cache/texttoimage/imageobject/0/d/e/0debeec2c7a9c18a853711a7731474c4/.png

ディープインパクト(3歳、皐月賞)
https://livedoor.4.blogimg.jp/jrdbjp/imgs/2/e/2e0bbb10.gif
タッチングスピーチ(2歳)
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/keiba/keiba/2014/assets_c/2014/11/tacching%20speach-thumb-450x334-84557.jpg
ムーヴザワールド(2歳)
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/keiba/keiba/2016/assets_c/2016/09/38df0e98c389b94c626f0316b16d73649bd4335b-thumb-550xauto-169628.jpg
リンフォルツァンド(2歳)
https://umatokuimg.hochi.co.jp/horseimages/2015/2015105069/2015105069_201705031804579.jpg

ひいらぎ賞短評

昨日に引き続き、年末年始の連続更新の第2弾です。
今回は、新馬→ひいらぎ賞で2連勝を飾った、ダノンキングリーを取りあげましょう。

新馬戦
https://www.youtube.com/watch?v=mitgTaYn9QQ
https://db.netkeiba.com/race/201805040305/

ひいらぎ賞
https://www.youtube.com/watch?v=QyNHZvruwCY
https://db.netkeiba.com/race/201806050509/

デビュー戦は、さっと前につけて、直線でも早々と抜け出しましたが、同じディープ産駒のカレンブーケドールに追い上げられ、かろうじて頭差で振り切っての辛勝でした。
続く、ひいらぎ賞では、デビュー戦の勝ち方が危なっかしかったことや、中山のマイル戦では不利な外枠ということもあって、2番人気にとどまりました。道中は中団につけ、4角では外を回して追い上げましたが、直線ではあっさり突き放すと、最後は流して3馬身半差の圧勝でした。1番人気だったドラウプニルは、サウジアラビアロイヤルCで4着の実績がありましたが、これを子供扱いということで、デビュー戦を一叩きして、がらりと変わったということですね。
今年のディープ2歳世代は、活躍馬が牝馬に片寄っており、牡馬は現状ではかなり手薄な状況ですが、ひいらぎ賞での変わり身を見ると、かなり期待できるのではないでしょうか。

https://www.jbis.or.jp/horse/0001221761/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていくことにしましょう。
母マイグッドネスは、米6戦1勝。交流G1・JBCスプリントを制した、ダノンレジェンドを出しました。ダノンキングリーの全姉ミッキーグッドネス(19戦3勝、現役)と、全弟ミッキーマインド(12戦1勝、現役)は、いずれもあまり活躍できていません。
祖母カレシングは、米18戦5勝。米G1・ブリーダーズCジュヴナイルフィリーズに勝ちました。
4代母フォレストプリンセスは、米16戦1勝。自身の競走成績や繁殖成績は平凡でしたが、孫の代がブレイクしました。そのおかげで、この母系の主流派にのし上がったと言えるでしょう。
母系は、米国のマイナーな、ファオナ牝系。G1馬はめったに出ない系統で、カレシングや、その従弟のシーカデットあたりが、数少ないG1馬ということになります。日本にはあまり入っていない系統で、ダノンレジェンドが唯一のG1馬でしょう。

(1)リファールのクロス
ダノンキングリーの血統表で、パッと目に付くのは、母父ストームキャットと、リファール4×6のクロスでしょう。どちらも、ディープ産駒の代表的な成功パターンですが、両方を併せ持っているケースは珍しいかもしれません。
当ブログでは、単独のリファールのクロスは重苦しいので、レイズアネイティヴの血と併用するとか、ディープの持つヘイロー≒サーアイヴァーの相似クロスを継続するといった対策が必要との立場ですが、ダノンキングリーの場合、レイズアネイティヴの血を持っているので、問題ないですね。

(2)サーアイヴァーとセキロとゴンファロン
望田潤氏によると、ディープ×アンブライドルド~アンブライドルズソングのニックスの根拠は、サーアイヴァーとセキロの組み合わせのクロスが生じるからだそうです。

サーアイヴァー(ディープの母父母父)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000333957/pedigree/
セキロ(ダノンキグリーの母母父母母母母)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000391086/pedigree/
ゴンファロン(ダノンキグリーの母母父母母)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000395081/pedigree/

ダノンキングリーには、アインブライドルド~アンブライドルズソング親仔の血はありませんが、単独でセキロの血を持っています。
しかし、もう一歩すすめて考えると、セキロの孫である、ゴンファロンも、サーアイヴァーと組み合わせのクロスの関係にあると言えるのではないでしょうか。具体的には、ロイヤルチャージャー、プリンスキロ、マームード、マンノウォー、サーギャラハッド=マルグリットドヴァロワ、ロワエロド、コマンドーが共通です。

(3)アルザオとフェアトゥオール
(2)では、サーアイヴァーとゴンファロンとが、組みあわせのクロスになるのではないかということを検討しましたが、(1)で触れたリファールのクロスも絡めて考えてみるとどうなるでしょうか。

アルザオ(ディープの母父)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000339659/pedigree/
フェアトゥオール(ダノンキグリーの母母父母)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000435979/pedigree/

サーアイヴァーとゴンファロンが組みあわせのクロスということならば、そこにリファールを付け加えて、アルザオとフェアトゥオールも組み合わせのクロスと見なすことも可能だと思います。
別々でもそれぞれ一定の効力のあるクロスですが、ひとまとめになっているということであれば、さらに威力が増す可能性もありそうです。

(4)ディープ×ストームキャット×ウォーレリック
ディープ×ストームキャットのニックスですが、望田潤氏によれば、ストームキャットの持つエイトサーティの血を活かすことが出来れば、さらに効果的だそうです。具体的には、母馬の血統表の中に、エイトサーティと相似クロスをなすような馬の血(ウォーレリック、グッドエグザンプル、ウォーアドミラルなど)があればよいということになります。

エイトサーティ
https://www.jbis.or.jp/horse/0000335050/pedigree/
ウォーレリック(=スピードボート=アンカーズアヘッド=ウォーキット)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000335088/pedigree/
グッドエグザンプル
https://www.jbis.or.jp/horse/0000387709/pedigree/
ウォーアドミラル
https://www.jbis.or.jp/horse/0000334576/pedigree/

なかでも、ウォーレリックを持つパターンの成功例が目立っており、キズナ(厳密には、ウォーレリックの全姉スピードボートですが)、エイシンヒカリ、アユサン&マウレア、ヒラボクディープなどですね。
ダノンキグリーにも、ウォーレリックの血があります。

(5)まとめ
ダノンキングリーは、母父ストームキャットと、リファールのクロスという、ディープ産駒の代表的な配合パターンを併せ持つ、ちょっとレアなケースなのですが、全姉兄の2頭が空振りに終わっているところからも判るように、成功パターンをあれこれ詰め込めばよいとは限らない面もあるようです。
ディープ×ストームキャットは、外回り向きの末脚を強化する方向に働きやすいのに対して、リファールのクロスは、内回り向きの粘りを強調しやすいので、両パターンの関係は、水と油とまでは言いませんが、虻蜂とらずになる危険性があるとは言えるでしょう。
したがって、両方のパターンを同居させることは、確率論でいえば、むしろ成功する確率を下げている可能性があり、その失敗例が、全姉ミッキーマインド&全兄ミッキーグッドネスなのかもしれません。
しかし、ダノンキングリーの場合、初戦は先行して粘り込み、ひいらぎ賞では末脚の切れを見せました。面白いのは、府中で先行し、中山で差し切ったことでしょう。今のところ、内回りと外回りの両方に対応できていると言えそうです。ただし、これから相手が強化されてくると、いつまでも二刀流が通用するのかは不透明でしょう。そのあたりが、今後の注目点となりそうです。

https://umanity.jp/image/horse/s_20161021794956.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていきましょう。
ディープ産駒らしい、スマートで胸が深く、斜尻のシルエットです。
全兄ミッキーマインドは、もっとがっちりとして、胴の寸も詰まった体型でした。
ダノンキグリーは、体型だけでいえば、1600~2000m向きの差し馬という印象ですが、血統のほうで触れたように、単純には決めつけられないところもあるようです。
距離適性の面でも、皐月賞までは問題ないとして、ちょっと気は早いですが、ダービーなのかNHKマイルなのかという問題はあるかもしれません。
素質の高さは疑いようがないと思いますが、適性の面では注視が必要でしょう。

白菊賞短評

1ヶ月以上も更新できず、申し訳ありませんでした。年末年始の休みを利用して、まだ取りあげていない注目馬について、出来るかぎりレビューしていきたいと思います。
まず、新馬→白菊賞を連勝した、ラヴズオンリーユーを取りあげましょう。

新馬戦
https://www.youtube.com/watch?v=ualifHOpwgo
https://db.netkeiba.com/race/201808050107/

白菊賞
https://www.youtube.com/watch?v=azdhRhbPUv4
https://db.netkeiba.com/race/201808050809/

デビュー戦は、アーデンフォレストと人気を分けましたが、終わってみれば、ノーステッキの快勝でした。
これを受けて、白菊賞では圧倒的な1番人気に推されましたが、馬体重のマイナス14キロは、誤算だったかもしれません。おまけに、スタートで大きく出遅れましたが、慌てず騒がず、徐々に押し上げて、直線では余裕で抜け出しました。2着のランブリングアレーは、同じディープ産駒で、かなりの素質馬だと思いますが、何もさせずに完勝でしたね。
レースは2走とも楽勝でしたが、馬体重減ということで、年内は出走を見送り、翌年のエルフィンSかクイーンCからの再始動ということになりました。矢作師も手応えを感じておられるようですが、今年の2歳牝馬には、ディープ産駒の素質馬が多く、これらとの争いということになりそうです。レース内容からは、いずれ重賞を勝つのは間違いなさそうで、あとは、クラシックでどういう走りが出来るのかということでしょう。全兄リアルスティールは、ドゥラメンテやキタサンブラックといった大物に跳ね返され、クラシックの夢はかないませんでしたが、妹が、兄の果たせなかったクラッシック制覇を成し遂げる可能性は、充分にあると思います。

https://www.jbis.or.jp/horse/0001221351/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母ラヴズオンリーミーは、未出走。産駒は、リアルスティールがG1勝ち、ラングレー&プロディガルサンがオープン特別に勝っています。ディープ産駒以外にも、2頭の産駒がいますが、いずれもパッとしない成績です。
祖母モネヴァシアは、キングマンボの全妹。競走馬としては、未勝利に終わりましたが、繁殖牝馬として、欧州最優秀2歳牝馬のランプルスティルツキンを出しました。
3代母ミエスクは、G1戦10勝の超大物競走馬でしたが、繁殖に上がってからも、キングマンボ&イーストオブザムーンの2頭のG1馬を出しました。また、セカンドハピネスは、競走馬としては未勝利に終わったものの、ディープとの交配で、仏ダービー馬スタディオブマンを出しました。スタディオブマンは、血量的には、リアルスティールやラヴズオンリーユーとは、8分の7同血ということになります。
母系は、ミエスク、キングマンボ、カラコンティなどが出た、ナウホワット牝系。ミエスク以前と以後とでは、まったく別の系統かと思ってしまうくらいの違いがあります。ミエスクは、競走馬としてだけでなく、繁殖牝馬としても歴史的名牝だったということでしょう。日本では、ミエスク経由のG1馬は、リアルスティールだけで、トーヨーシアトルやローマンレジェンドは、別系統から出ています。

(1)ディープ×ラヴズオンリーミーは鉄板配合
ディープ×ラヴズオンリーミーの配合による産駒は、これまでに5頭いますが、体質が弱くて僅か3走しただけで引退してしまったカデナダムールを除けば、いずれもオープンまで出世しており、リアルスティールは、ドバイターフを制して、種牡馬入りとなりました。
対して、ディープ以外が父馬の2頭は、上述のように今ひとつの成績で、中央で勝ち上がれず、地方に転出しています。父馬のデインヒルダンサーとハーツクライは、いずれも一流種牡馬ですから、やはり、ディープとラヴズオンリーミーには、特別な相性の存在を認めざるをえないでしょう。

(2)母父ストームキャット
ディープ×母父ストームキャットのニックス配合は、今年の2歳世代でも好調で、ラヴズオンリーユーとダノンキングリーが、強い勝ち方でデビュー2連勝を飾っています。
トータルでは、57頭がデビューして、45頭が勝ち上がり、8頭が重賞勝ち、7頭がG1に勝っています。海外で強いのも特徴で、エイシンヒカリ、リアルスティール、スタディオブマンの3頭が、海外でG1に勝ちました(キズナもG2に勝ち、凱旋門賞でも4着でしたね)。

(3)ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャル
ディープ×ラヴズオンリーミーの強みは、母父ストームキャットだけでなく、ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャルのパターンも同時に成り立っていることにあります。
栗山求氏が指摘されている配合パターンで、具体的には、サクソンウォリアー、トーセンラー&スピルバーグ、ディープブリランテ、ワグネリアン、リアルスティール、ヴィルシーナ&ヴィブロス、マリアライト、ミッキークイーン、ショウナンアデラ、デニムアンドルビー、アンビシャス、ヴァンキッシュランなど。

(4)ストームキャットとハイぺリオン
栗山求氏によれば、ストームキャットは、米国血脈主体の配合なので、ディープとの掛け合わせを成功させるためには、それ以外の部分(血統表のディープ×ストームキャット以外の残り4分の1)に、ハイぺリオンの血がしっかりあることが望ましいそうです。

キズナ
https://www.jbis.or.jp/horse/0001120570/pedigree/

典型例は、キズナですが、リアルスティールやラヴズオンリーユー、スタディオブマンなどの場合も、ミエスクがハイぺリオンの塊のような馬なので、充分に当てはまっているでしょう。

(5)まとめ
ラヴズオンリーユーの血統は、ディープ産駒の成功パターンの中でも活躍例の多い、(2)と(3)のパターンを併せ持っているので、何回やっても成功しやすい配合です。スタディオブマンの場合、8分の7同血とはいっても、(3)のパターンは欠けているので、配合的な成功確率という点では、同列には扱えません。
素質が高いのは、レースぶりからも明らかで、あとは、クラシックを獲れるのか、善戦で終わるのかが焦点になるでしょう。

https://umatokuimg.hochi.co.jp/horseimages/2016/2016104648/2016104648_201804111727246.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていきます。
適度に胴伸びがあり、トモのサイズも充分で、非常に見栄えのする好馬体です。
ただ、同時期の全兄姉たちに較べると、あきらかに馬体が緩く、逆に言えば、伸びしろが大きいと考えることもできるでしょう。
今年のディープの2歳産駒の馬体評価リストでは、牝馬の8位に取りあげました。

ラングレー
https://www.jbis.or.jp/horse/images/0001142765_3/
リアルスティール
http://uma-jin.net/pc/horse_img/2012104889.jpg
プロディガルサン
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/keiba/keiba/2015/assets_c/2015/06/prody%20garzan-thumb-500x354-99861.jpg
カデナダムール
https://www.keibalab.jp/img/horse/2014106194/2014106194_01.jpg

夢の続き

今回は、京都2歳Sに出走予定の、ワールドプレミアを取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=HU9gv_or1fQ
http://db.netkeiba.com/race/201808040705/

デビューは、有力馬が集まることで知られる菊花賞当日の新馬戦を選択し、ディープ産駒だけでも4頭がエントリーする中で、ワールドエースの全弟という期待感もあり、単勝1倍台の圧倒的な人気となりました。スタートすると、中団後方にじっくりと構え、直線では、同じディープ産駒のメイショウテンゲンとの追いくらべを制し、断然の1番人気に応えました。友道師によれば、まだまだ真面目に走らないところがあるようで、そのあたりの改善が必要とのこと。年内は、京都2歳Sの1走のみの予定だそうです。

https://www.jbis.or.jp/horse/0001218645/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母マンデラは、独仏米11戦3勝。独オークスで3着に入りました。代表産駒は、ワールドエースですが、実は、その他の産駒の成績は、あまりパッとしません。ワールドプレミアは、久しぶりの大物となるのでしょうか。
祖母マンデリヒトは、G1を3勝した、マンデュロの母。
5代母マリアポリスは、英14戦4勝。英オークス馬ジネヴラの母ゼストとは、4分の3同血の姉妹になります。
母系は、ややマイナーな、フィグリアストラ牝系。忘れた頃に大物が出るといった感じの系統で、アヴェレージは高くありません。日本では、ワールドエースを除けば、ジネヴラの曽孫のマジックリボンが、交流G3に勝ったのが目立つ程度でしょうか。

(1)3代母マンデルアウゲの配合
3代母マンデルアウゲは、ディープの祖母バークレアと関連の深い配合になっています。

マンデルアウゲ
https://www.jbis.or.jp/horse/0001000957/pedigree/

エジーナ≒マリアポリス3×2の相似クロスは、すぐ目につくところですが、そのエジーナとマリアポリスの両方が、バークレアと組み合わせのクロス(ドナテロ、ハイぺリオン+ローズレッド、サンインロー、テディが共通)の関係になっているのです。

エジーナ
https://www.jbis.or.jp/horse/0000418324/pedigree/
マリアポリス
https://www.jbis.or.jp/horse/0000409577/pedigree/
バークレア
https://www.jbis.or.jp/horse/0000394655/pedigree/

マリアポリスは、ワールドプレミアの5代母ですから、ディープの祖母バークレアとのクロスには、かなりの威力があり、それをエジーナが更に増強する構図となっています。
また、先ほども少し触れましたが、マリアポリスの4分の3妹で、英オークス馬ジネヴラの母でもある、ゼストの配合も考えあわせると、ドナテロ+ハイぺリオン+サンインローの組み合わせは、この一族にとっても大きな意味を持つようです。そのことは、この牝系最大の大物であるマンデュロの配合を見ても明らかでしょう。

マンデュロ
https://www.jbis.or.jp/horse/0001000961/pedigree/
オーティ(マンデュロの父母母父)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000336195/pedigree/

マンデュロの配合の核の1つが、オーティ&エジーナ&マリアポリスの組み合わせのクロスにあるのは一目瞭然ですが、そのオーティの配合の核は、フェオラ(ディープの6代母)3×4にあるのです。
つまり、マンデュロと、ワールドエース&ワールドプレミアとは、配合のポイントが同一であると考えることができるでしょう。たまにしか大物の出ない母系の中でも、最強クラスの実力馬であるマンデュロとワールドエースとが、同じ配合パターンから生み出されたことの意味は、とてつもなく大きいと言わざるをえません。

(2)プリティウェイズ≒レアトリート
ワールドプレミアの配合は、欧州血脈中心なのですが、そのなかでアメリカンな要素としては、プリティウェイズレアトリート5×5の相似クロス(スタイミー、サーギャラハッド=ブルドッグが共通)が指摘できるでしょう。ミッキーアイルやフィエロ、ぜーヴィントなどにあるクロスで、笠雄二郎氏によれば、アメリカンな切れを伝えるクロスだそうです。

(3)まとめ
ワールドプレミアの配合のポイントは、(1)で見たように、バークレア&エジーナ&マリアポリスのクロスにあり、強力であるだけでなく、再現性も高そうです。マンデラの産駒は、ワールドエース以外は殆んど活躍していないのですが、久しぶりにディープと交配すると、あっさりワールドプレミアが新馬勝ちということになるわけです。
とにかく、成長力の塊のような配合ですが、心配な点としては、欧州血脈に片寄りすぎではないかということでしょう。ワールドエースは、マイラーズCを1分31秒2の好タイムで勝っているように、スピード面でも素晴らしい能力がありましたが、弟のワールドプレミアにもそうした要素が受け継がれているかは未知数であり、注視していく必要がありそうです。

https://umanity.jp/image/horse/20161048544934.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていくことにします。
体型的には、スマートで胸が深く、斜尻といった点も含めて、ディープ寄りの馬体で、全兄ワールドエースにも似ています。
ただ、ワールドエースと較べると、胴回りに線の細さが感じられるのは気になるところです。このあたりが解消されてくれば、さらにスケールアップということになるのですが。

ワールドエース(3歳、ダービー)
https://www.keibado.ne.jp/keibabook/120528/photo11.html

最後に、今後の展望について。
新馬戦の勝ちっぷりは、兄ワールドエースほどではありませんでしたが、メンバーも揃っていましたし、時計面からもまずまずの好内容だったと言えるでしょう。
とはいえ、いきなりの重賞挑戦ということで、はたしてどこまで通用するかということになるわけですが、配合的な成長力を考慮すれば、たとえ現時点で及ばなくても、いずれ大きく成長して、追いつき、追い越していくことも期待できるでしょう。
したがって、今回のレースのポイントは、そこそこの競馬が出来るかどうかとなります。あまりにも差があるようだと、基本的なポテンシャルが疑われますが、デビュー戦の内容を見るかぎり、その心配はいらないと思われます。逆に、ここを勝ってしまうようなら、一気に来春のクラシックの有力候補として注目されることになるでしょう。
また、ワールドエースが、屈腱炎による長期休養を乗り越え、古馬になっても活躍したように、血統的な成長力は大きな財産であり、健康面に問題がなければ、長期にわたっての活躍を期待してよいと思います。

仏オークス馬の仔&仏重賞勝ち馬の弟

東京スポーツ杯2歳S出走予定馬シリーズ、最後は、ゴータイミングです。

https://www.youtube.com/watch?v=LBjni5LIEnU
http://db.netkeiba.com/race/201809040805/

デビュー戦は、他にもディープ産駒の高額馬などもいて、5番人気にとどまりましたが、中団から直線でもよく伸びて、サトノルークスの追撃を首差で退けました。サトノルークスは、道中ではゴータイミングのすぐ前にいたのですが、直線の入り口で武豊騎手に上手く進路を閉められて、追い出しが遅れてしまいましたね。
武豊騎手の技ありの騎乗による勝利という感もありますが、全兄ジェニアルは、4戦目でようやく勝ち上がったので、それにくらべれば順調なスタートと言えるでしょう。新馬戦は重馬場でしたが、あまり馬格のあるほうではないので、良馬場のほうが力を出しやすいと思います。

https://www.jbis.or.jp/horse/0001221771/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母サラフィナは、仏オークスなどG1戦3勝の名牝。初子のジェニアルは、ゴータイミングの全兄になりますが、フランスでG3重賞に勝利しました。
祖母サナリヤは、英5戦未勝利。繁殖牝馬としては、サラフィナの他にも、サンダジアがG3に勝ち、サナーヤはG1で2着に入りました。
5代母スルスムコルダは、G1を2勝したスメアの母。
母系は、アルカング、アクアレリスト、サラフィナなどが出た、ウルティマラシオ牝系。日本には、あまり入ってきておらず、これといった大物も出ていません。ディープ産駒としては、ジェニアルとアクアマリンの2頭の重賞勝ち馬が出ています。

(1)ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャル
ゴータイミングの母父リフューズトゥベンドには、サドラーズウェルズとミスプロの血があるので、栗山求氏の指摘されている、ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャルのパターンに該当しています。
サクソンウォリアー、トーセンラー&スピルバーグ、ディープブリランテ、ワグネリアン、ヴィルシーナ&ヴィブロス、マリアライト、ミッキークイーン、ショウナンアデラ、デニムアンドルビー、アンビシャス、ヴァンキッシュランなど、数多くの成功例のある配合パターンですね。
今回の東京スポーツ杯2歳Sに出走する4頭のうち、3頭がこのパターンに当てはまっているのは、偶然というよりも、ディープの配合研究が進んできていることの反映だと考えるべきでしょう。

(2)サラフィナの配合
サラフィナの配合は、サドラーズウェルズの代表的な2つのニックスを活用したものです。

サラフィナ
https://www.jbis.or.jp/horse/0001157829/pedigree/

1つは、サドラーズウェルズ×ミルリーフのニックス、もう1つは、サドラーズウェルズ×ハイトップのニックスです。
その2つのニックスだけだと、ディープのお相手の繁殖牝馬としては、すこし重たい感じなのですが、ミスプロの血が入ることで、それなりに緩和されていると思われます。
ただ、全兄ジェニアルが、日本よりもフランスで結果を出したように、日本の高速馬場に対応できるかどうかは、重要なポイントになるでしょう。

(3)ディープ×ノーザンダンサー×スペシャル×ネヴァーベンド
ディープ×ノーザンダンサー×スペシャル×ネヴァーベンドという配合パターンは、当ブログ独自の主張になりますが、かなりの成功例があります。
具体的には、ディープブリランテマリアライト、ミッキークイーン、シンハライト&アダムスピーク、ショウナンアデラ、デニムアンドルビー、ヴァンキッシュラン、タッチングスピーチ、サトノアーサー、ジェニアル、ベストディールなどです。

(4)まとめ
ゴータイミングの配合は、あまりややこしいことはせず、好配合パターンを用いてシンプルにまとめたものです。したがって、配合的には、これ以上に付け加える話も殆んどありませんし、あとは、個体ごとの出来不出来の問題になるでしょう。
全兄ジェニアルは、デビューも遅かったし、勝ち上がるのにも時間を要しました。その意味では、ゴータイミングのほうが、より期待できるのではないかと思いますが、もうしばらく成り行きを見守る必要がありそうですね。

新馬戦のパドック動画
https://www.youtube.com/watch?v=tgTHgNNnfZc

引き続き、馬体のほうも見ていきましょう。
POG本やウェブ上には見やすい画像が無いようなので、新馬戦のパドック動画にリンクしておきました。
全兄ジェニアルは、体型的にはディープ似でしたが、この動画を見ると、弟のほうも、やはりディープ似だと思います。
しかし、ジェニアルの場合、ディープ似の見た目のわりには、日本の高速馬場よりもフランスの力のいる馬場に向いていたようです。ゴータイミングのほうは、はたしてどうなのか気になるところですね。

最後に、今後の展望について。
今回の東京スポーツ杯2歳S出走の4頭の中で、デビュー戦の勝ち方に最も余裕がなかったのが、ゴータイミングです。その意味では、一叩きして2戦目の変わり身が必要になってくるでしょう。ただ、初戦は重馬場だったので、良馬場で走れそうなのは、上積みポイントになりそうです。東京スポーツ杯では、勝敗はともかく、しっかり内容のある競馬が出来るかに注目でしょう。
もちろん、ジェニアルの成長曲線がそうであったように、弟のほうも晩成タイプという可能性もありうるので、このレースだけで全てを決めつけることは出来ませんが、クラシックに間に合うかどうかの目安にはなると思います。

ニックスの周辺

引き続き、東京スポーツ杯2歳S出走予定馬の3頭目、ヴァンドギャルドを取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=-gnaE3naVmo
http://db.netkeiba.com/race/201809040605/

デビュー戦は、あいにくの重馬場で、しかもスタートが決まらず後方からの競馬、さらにスローペースと厳しい条件が重なりましたが、馬群を割って1頭だけ上がり33秒台の末脚を繰り出し、新馬勝ちをおさめました。
シェーングランツを筆頭に、今年はなかなか好調な社台Fのディープ産駒ですが、POG的には人気落ちの今が狙い目です。今年の馬体評価リストでは、社台F出身の2歳馬を5頭も選びましたが、不振の最大の原因である育成過程が見直されてきており、馬体にもはっきりとその兆候が表れてきています。3~4年前の社台ディープといえば、POG本の画像でも明らかにもっさりしていて、どうしてこういうことになったのかと心配されたものですが、さすがにその状態を野放しにはせず、改善に努めてきたものと思われます。しかし、POG的には、まだまだ社台Fのディープ産駒の人気は低迷しているので、今年や来年あたりは、一本釣り指名でライバルたちを出し抜くチャンスではないでしょうか。
話が脇にそれましたが、元に戻します。2戦目にメンバーの揃う東京スポーツ杯を選んだのは、やや意外な感じでしたが、慎重派の藤原師が決断したのですから、それなりの理由があるのでしょう。どのような競馬をするのか、注目したいと思います。

https://www.jbis.or.jp/horse/0001221954/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母スキアは、仏16戦3勝。G3重賞に勝っています。
3代母グリームオブライトは、G2重賞の勝ち馬を出しました。
5代母アフリカンドールは、英愛2000ギニーを制覇した、ドントフォゲットミーの母。
母系は、フランケル、ハービンジャー、ムトトなどが出た、ジョージア牝系。1970年代くらいまでは、まずまずといった程度の牝系でしたが、ムトトが出たあたりから勢いが加速、ついにフランケルを出してブレイクしました。ただし、日本には、あまり入ってきていない系統で、これといった大物も出ていないようです。

(1)モティヴェイターとモンジュー
母父モティヴェイターは、凱旋門賞を連覇したトレヴの父として注目されましたが、競走馬としても英ダービーに勝っており、モンジューの代表産駒の1頭です。ただし、種牡馬としては、トレヴ以外にG1馬は出ておらず、重賞勝ち馬も両手で足りるほどで(しかも、牝馬と騸馬ばかり)、どうやら一発屋で終わりそうな気配です。
ディープ×母父モティヴェイターも、これが初めてのケースということで、データが全くありません。
ディープ×母父モンジューでも、4頭がデビューし、3頭が中央で勝ち上がり、残りの1頭もデビュー戦で3着の1レースだけで引退したので、無事ならそのうちに勝ち上がれたと思われますが、4頭とも同じ母馬の産駒なので、サンプル不足の感は否めません。
モンジュー~モティヴェイター父仔に共通する好相性の馬としては、リファールがあげられます。モンジューのG1勝ち産駒24頭中、リファールの血を持つ馬が5頭もおり、トレヴにもリファールの血があります。もちろん、ディープにもリファールの血があるので、ディープとモンジュー~モティヴェイターとの間を取り持つ役目を果たしてくれるかもしれません。

モティヴェイター
https://www.jbis.or.jp/horse/0000897467/pedigree/
ガリレオ
https://www.jbis.or.jp/horse/0000714343/pedigree/

モティヴェイターの配合は、いくらかガリレオに似ているようです。具体的には、サドラーズウェルズ、ミスプロ、バックパサーが共通しています。ディープ×ガリレオということでは、サクソンウォリアー、ヴァンキッシュラン、カンタービレなどが出て、はやくもニックス候補ではないかと見られています。
もちろん、欧州ナンバーワン種牡馬のガリレオと、一発屋疑惑のモティヴェイターを同列に扱うわけにはいきませんが、モティヴェイターだってトレヴを出したわけですから、秘めたるポテンシャルのようなものは持っているのではないでしょうか。

(2)サドラーズウェルズ×デインヒル
昨年、イギリスの2歳戦線で、サクソンウォリアーとセプテンバーが活躍したことから、ディープのお相手の繁殖牝馬として、サドラーズウェルズ×デインヒルのニックス配合の牝馬が注目されることになりました。

サクソンウォリアー
https://www.jbis.or.jp/horse/0001208401/pedigree/
セプテンバー
https://www.jbis.or.jp/horse/0001206794/pedigree/

といっても、サドラーズウェルズではなく、ヌレイエフ×デインヒルの配合の繁殖牝馬ということなら、すでにディープとの交配で充分な実績を残しています。具体的には、ミッキーアイル、サトノアーサー、プリモシーンなどです。ヌレイエフとサドラーズウェルズとは、4分の3同血の叔父と甥の間柄ですから、類似の配合と考えてもよいでしょう。したがって、今後、ディープ×サドラーズウェルズ×デインヒルの配合は、さかんに試みられることになりそうですね。
なお、ヴァンドギャルドは、セプテンバーとは、サドラーズウェルズ、デインヒル、ブラッシンググルームが共通で、プリモシーンとは、サドラーズウェルズ≒ヌレイエフ、デインヒル、ブラッシンググルーム、ニジンスキーが共通です。

(3)ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャル
(1)で触れたように、ディープ×母父モティヴェイターは、初のケースなので比較しようにもデータが無いのですが、それでも、この配合は上手くいく可能性が充分にあると予想されます。その根拠として、モティヴェイターには、サドラーズウェルズとミスプロの血があるので、栗山求氏の指摘される、ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャルのパターンに自動的に当てはまるからです。
この配合パターンの成功例としては、サクソンウォリアー、トーセンラー&スピルバーグ、ディープブリランテ、ワグネリアン、ヴィルシーナ&ヴィブロス、マリアライト、ミッキークイーン、ショウナンアデラ、デニムアンドルビー、アンビシャス、ヴァンキッシュランなどがあげられます。この中で、ヴァンドギャルドの配合と似ているのは、ワグネリアン(ミスプロ、サドラーズウェルズ、グリーンダンサー、セクレタリアトが共通)、ヴァンキッシュラン(ミスプロ、サドラーズウェルズ、バックパサー、グリーンダンサーが共通)、デニムアンドルビー(ミスプロ、ヌレイエフ≒サドラーズウェルズ、シャーペンアップ、グリーンダンサーが共通)、アンビシャス(ミスプロ、サドラーズウェルズ、ブラッシンググルーム、シャーペンアップが共通)などでしょうか。

(4)ヘイロー≒レッドゴッド
ヴァンドギャルドには、ヘイローレッドゴッド3×6の相似クロスがあります。
機動力の向上に効果があり、ビューティパーラー、ミッキークイーン、ヴィルシーナ&ヴィブロス、アンビシャス、プリモシーン、フレールジャック&マーティンボロ、セプテンバー、クルミナル、ベストディールなど、多数の成功例があります。
デビュー戦で、最内枠をものともせずに馬群を割ってきたのは、このクロスのおかげもあるでしょう。

(5)まとめ
ディープ×母父モティヴェイターは、初めてのケースですが、ディープ産駒の配合的な成功パターンをいくつも持っているので、大物も狙える好配合だと思います。
当たり外れはありそうな血統ですが、デビュー戦の内容を見る限り、まったくの外れということはありえませんから、たとえ東京スポーツ杯で結果が出なくても、これから来春にかけて更に成長が期待できるでしょう。

新馬戦のパドック動画
https://www.youtube.com/watch?v=auPhueNttn8

引き続き、馬体のほうも見ていくことにします。
POG本やウェブ上には見やすい画像が無いようなので、新馬戦のパドック動画にリンクしておきました。
この動画を見る限り、サドラーズウェルズよりも、デインヒルが強く出た体型のようです。ヘイロー≒レッドゴッドのクロスも考えあわせると、外差しよりも、馬群を割って抜け出してくるような機動力タイプの可能性が高いかもしれませんね。

デインヒル
https://championsbydesign.com.au/wp-content/uploads/2017/08/DANEHILL.png
サドラーズウェルズ
https://cdn-images.bloodhorse.com/i/bloodhorse-images/2015/04/f82528684cca47df8c655671fb7995ec.jpg

最後に、今後の展望について。
デビュー戦は道悪だったので、東京スポーツ杯2歳Sでは、良馬場の高速決着にどのように対応できるかが焦点となるでしょう。スピード競馬にも対応できるようなら、このレースの結果の如何にかかわらず、クラシック路線に乗ってくるのではないかと思います。
個人的には、翌週の京都2歳Sのほうが適鞍のような気もするのですが、藤原師がここを使ってきた意味に注目したいですね。

突然変異的な名牝の仔

東京スポーツ杯2歳S出走予定馬の第2弾、ダノンラスターを取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=HY_MbF7FFfQ
http://db.netkeiba.com/race/201805040205/

スタートを決めて好位につけると、前半5F63秒8のスローとなり、早めに抜け出して、しっかり後続を振り切りました。展開に恵まれたので、もうすこし楽勝してもいいのではという見方もあると思いますが、厩舎事情により前倒しのデビューとなった関係で、さほど速い調教タイムも出さないまま急遽の出走でしたから、このレースの内容はそれほど重要でないというか、まあ、取りこぼさなくて良かったという感じでしょう。
というわけで、一叩きして2戦目の東京スポーツ杯は、この馬の真価が問われるレースとなります。現状、どの程度の力があるのか、注目されるところですね。

https://www.jbis.or.jp/horse/0001222577/pedigree/
https://www.pedigreequery.com/danon+luster

それでは、血統のほうから見ていきましょう。なお、JBISの血統表の一部に空欄があるので、英語ですが、きちんとした血統表を追加でリンクしておきました。
母プリンセスオブシルマーは、米15戦9勝。アメリカの2大オークスである、CCAオークスとケンタッキーオークスの両方を制覇しました。
3代母ゴールデンウェイヴバンドは、G3重賞の勝ち馬を出しています。
母系は、かなりマイナーな、アグネスエアーズ牝系。とにかく、ブラックタイプが真っ白という感じで、プリンセスオブシルマーのような名牝が出る系統ではありません。この投稿のタイトルにもしたように、プリンセスオブシルマーは、突然変異的に現れた名牝というしかないでしょう。

(1)突然変異が発生した理由
上述のように、プリンセスオブシルマーの母系は、貧弱としか言いようがなく、なぜこのレベルの大物が誕生したのか、その理由を考えるところから始めるのがよさそうです。

プリンセスオブシルマー
https://www.jbis.or.jp/horse/0001209429/pedigree/

パッと見で目につくのは、おびただしい大量のクロスでしょう。ディキシーランドバンド4×3(ノーザンダンサー5×5・4)、セクレタリアト≒サーゲイロード4・6×5・5、ミスプロ4×4、ブサンダブルーアイドモモ6・6×7など、ふつうなら、クロスがうるさいと言われかねないところです。
しかし、貧弱な母系から大物を捻りだそうとするなら、近親交配の活力による一発を期待するしかありません。ホームランか三振かという、ギャンブル的な配合とも言えそうですが、プリンセスオブシルマーの誕生は、その賭けに勝利したという証でしょう。

(2)ストームキャットの活用
プリンセスオブシルマーには、ディープと相性のよいストームキャットの血がありますが、そこに、先ほどのディキーシランドバンドや、セクレタリアト≒サーゲイロードのクロスを重ね合わせてみると、新しい側面が見えてきます。

スピニングラウンド(プリンセスオブシルマーの父母母)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000404788/pedigree/
ストームキャット(プリンセスオブシルマーの母父父)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000337102/pedigree/
ゴールデンウェイヴバンド(プリンセスオブシルマーの祖母)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000621716/pedigree/

こうして並べてみると、スピニングラウンド≒ストームキャット≒ゴールデンウェイヴバンド3×3・2の相似クロス(ノーザンダンサー、セクレタリアト≒サーゲイロード、エイトサーティが共通)と考えることも可能でしょう。
ディープと相性のよいストームキャットを軸にした強力なクロスは、多重クロスから生まれたプリンセスオブシルマーの配合的な活力を、ディープ側に橋渡しするものと考えられます。
プリンセスオブシルマーは、本当の意味での良血馬ではないので、競走馬としては成功したとしても、繁殖牝馬としても成功するかは未知数で、成功のためには配合的な工夫をこらす必要があります。その1つが、ストームキャットの血の活用というわけなのですが、もう1つの工夫を、次の(3)で検討していくことにしましょう。

(3)アルザオの血
(2)で触れた、プリンセスオブシルマーの祖母ゴールデンウェイヴバンドは、ディープの母父アルザオと相似クロスの関係にあります。アルザオ≒ゴールデンウェイヴバンド3×3という強い相似クロス(ノーザンダンサー、サーアイヴァードローン、ローマンが共通)は、大きな影響力を持つでしょう。
こうして見ていくと、ダノンラスターの配合のポイントは、ゴールデンウェイヴバンドにあると言えそうです。アルザオ≒ゴールデンウェイヴバンド3×3と、スピニングラウンド≒ストームキャット≒ゴールデンウェイヴバンド3×3・2という、2つの強力なクロスが、ゴールデンウェイヴバンドを軸に結合されていると考えられるでしょう。

(4)まとめ
名牝プリンセスオブシルマーは、けっして良血馬ではなく、配合的な工夫によって作り出された活躍馬です。こういうタイプの馬は、競走馬としては成功しても、繁殖牝馬としてはさっぱりということになりかねないリスクを抱えています。
繁殖としても成功させるためには、プリンセスオブシルマーの配合的な工夫を、産駒にも継続させることが肝要です。その継続のためのカギが、アルザオ≒ゴールデンウェイヴバンド3×3のクロスによって、ディープと、スピニングラウンド≒ストームキャット≒ゴールデンウェイヴバンド3×3・2のクロスを関連させるという、手の込んだ配合ということになるわけです。
こうして工夫を重ねることで、凡庸な牝系に活力を蓄積していくことも可能であり、ダノンラスターが活躍すれば、工夫の方向性は間違っていないということになるでしょう。

新馬戦のパドック動画
https://www.youtube.com/watch?v=a0ML9R8dmdk

引き続き、馬体のほうも見ていきます。
POG本にもウェブ上にも見やすい画像が無いようなので、新馬戦のパドック動画をリンクしておきました。
サイズはありますが、体型的にはディープ似で、画面越しにも皮膚の薄さが伝わってきます。ただ、もう一絞りも二絞りもできそうな余裕のある馬体で、そのあたりは、前倒しのデビューと関係がありそうですね。

最後に、今後の展望について。
デビュー戦は、ごくごく普通の内容だったので、東京スポーツ杯は試金石の一戦となります。一気に相手が強化されるので、どこまでやれるかは未知数ですが、勝てないまでも良い競馬が出来るようなら、クラシック路線に乗ってくることになるでしょう。
プリンセスオブシルマーにある、ディキシーランドバンドの血は、非常にハイぺリオンが豊富です。その血をしっかりクロスさせたことが、プリンセスオブシルマーの成長力の源であり、ダノンラスターの成長エンジンともなりうるはずです。たとえ、現時点では力が及ばなくても、これから来春にかけて、強烈に成長していく可能性もあると思います。

ワラウカドに待望の大物候補が登場

ディープ産駒が、東京スポーツ杯2歳Sに4頭も登録してきましたので、週末までにチェックしていきたいと思います。
まずは、ルヴォルグから。

https://www.youtube.com/watch?v=Rl70qnSMlH0
http://db.netkeiba.com/race/201805040905/

さっと好位につけると、直線は軽く気合をつけただけで後続を突き放し、最後は流して4馬身差の圧勝でした。
デビュー戦の内容は、パカパカFの先輩であるディープブリランテと比較しても遜色なく、立ち上げ2世代目のワラウカドとしても、待望の大物候補といえるでしょう。好メンバーの揃う東京スポーツ杯でも、人気の一角を占めることになりそうですが、ここで結果を出すことが出来れば、クラシックの有力候補として注目されることになるでしょう。

https://www.jbis.or.jp/horse/0001222590/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていくことに
母キトゥンカブードルは、米6戦1勝。唯一の勝利は、芝のG3重賞でした。
5代母モーゲイズは、米30戦10勝。重賞を3勝しています。
母系は、ややマイナーな、ケアレス牝系。コンスタントに重賞勝ち馬は出していますが、あまりG1馬の出ない系統です。日本では、メイショウドトウやローエングリンなどが活躍しました。

(1)アルザオ≒エルプラド
ルヴォルグの血統表を見て、まず目につくのは、アルザオエルプラド3×3の相似クロス(ノーザンダンサー、サーアイヴァーが共通)でしょうか。
このクロスを持つディープ産駒は、ジークカイザー&ヴェルテアシャフト、ブラゾンダムール、ジューヴルエール、カザンなど、そこそこいるのですが、まだはっきりとした成功例は出ていません。ヴェルテアシャフトなんかは、まずまず素質がありそうですし、いずれ活躍馬も出ると思いますが、現状では、サドラーズウェルズ的な、高速馬場への対応力に欠ける産駒が多い印象です。
しかし、ルヴォルグには、サドラーズウェルズの重苦しさを緩和するミスプロの血があり、初戦のレースぶりも、とくにスピード競馬に問題がありそうには見えなかったので、初の成功例ということになるかもしれません。

(2)ニジンスキーの活用
ニジンスキーは、小柄で短足な馬の多かったノーザンダンサーの産駒の中では、例外的に、大柄で脚が長く、胴伸びもありました。ディープとの相性もよく、コンパクトでスマートなディープ的体型に、サイズや筋肉量、胴伸びなどをプラスする効果があります。
ニジンスキーの血を活用するには、ニンジンスキーのクロスまたは相似クロスを持つ繁殖牝馬を、お相手に起用するのも有力な手法です。

マジックストーム(ラキシス&サトノアラジンの母)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000719406/pedigree/

マジックストームは、ストームバードニジンスキー2×3という強いクロスを持ち、これが産駒に活力をもたらし、ラキシスやサトノアラジンなど、ディープ産駒にしては大柄な活躍馬を出しました。
今年の2歳世代においても、グランアレグリアの母タピッツフライには、ニジンスキー6・4×4のクロスがあります。

キトゥンカブードル
https://www.jbis.or.jp/horse/0001209607/pedigree/

では、ルヴォルグの母キトゥンカブードルの場合は、どうでしょうか。血統表を見ると、ランジョルールエルグランセニョールニジンスキー4×4・4の相似クロス(ノーザンダンサー、バックパサーフレイミングペイジが共通)があります。ランジョルールは、ノーザンダンサーとバックパサーの位置が逆なので、うっかりしやすいかもしれません。
ルヴォルグの大柄な馬体は、母のニジンスキーの血が上手く活用された結果と言えるでしょう。

(3)ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャル
(1)で触れたように、ルヴォルグには、サドラーズウェルズとミスプロの血があるので、栗山求氏の指摘される、ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャルのパターンに当てはまっています。
具体的には、サクソンウォリアー、トーセンラー&スピルバーグ、ディープブリランテ、ワグネリアン、ヴィルシーナ&ヴィブロス、マリアライト、ミッキークイーン、ショウナンアデラ、デニムアンドルビー、アンビシャス、ヴァンキッシュランなど、大量の成功例があります。

(4)まとめ
ルヴォルグの母キトゥンカブードルの配合は、米国血脈主体ながらも、ノーザンダンサー4・6×5・5のクロスなどにより、ハイぺリオンの血も確保され、ナスキロラトロの血も豊富ということで、サドラーズウェルズの重ささえ緩和できれば、ディープ向きの配合の繁殖牝馬と言えそうです。
ルヴォルグ自身も、充分に大物が期待できる配合でしょう。

https://wims.waraukado.club/horse-images/4/aee93f31-a409-5cdf-8a01-0d5304df13d3.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていくことにします。 
リンクした画像は、今年の4月頃のもので、この頃から馬体は大きかったようですが、体型的にはディープ寄りで、皮膚の薄さも目につきます。米国血脈主体の大柄馬に見られるような無骨さもありませんし、なかなかの好馬体だと思います。
同じく大柄だったディープブリランテが、父親にはあまり似ていなかったのと対照的ですね。

ディープインパクト(3歳、皐月賞)
https://livedoor.4.blogimg.jp/jrdbjp/imgs/2/e/2e0bbb10.gif
ディープブリランテ(3歳、引退直後の画像)
https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/ca/9057eb94fa73798c772da0931552e515.jpg

最後に、今後の展望について。
東京スポーツ杯2歳Sでは、一気に相手が強化されますが、新馬戦の内容からは、じゅうぶん通用すると思います。あとは、勝ち切れるのか、それとも惜しかったとなるのかということでしょう。
内容次第では、サートゥルナーリアの独走に待ったをかける存在へと浮上してくることになります。
もちろん、ここを落としたとしても、成長力充分の配合なので、来年春に向けて巻き返しが期待できるはずです。

姉妹そろってグッドルッキング

ダノンファンタジーに引き続き、ファンタジーS出走予定のもう1頭、レッドベレーザを取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=7TnLbrN0mlQ
http://db.netkeiba.com/race/201808040303/

全姉レッドランディーニは出遅れ癖があり、後方一気のレースを余儀なくされることが多いのですが、妹のほうは、しっかりスタートを決めると、中団から早めに押し上げて、危な気の無い勝利でした。
お姉さんに較べると、一回り小さいのですが、皮膚が薄くて整ったシルエットは姉妹共通ですね。お姉さんと違って、スタートは問題なさそうですが、出来れば、もう10キロくらいは馬体重が増えてほしいところ。馬体の成長が、今後のカギとなりそうですね。

https://www.jbis.or.jp/horse/0001221446/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母レッドメデューサは、未出走。初仔も未出走で、2番仔が、全姉レッドランディーニ(9戦2勝、現役)です。レッドランディーニは出遅れ癖があるので、勝率はよくないのですが、エルフィンS3着、チューリップ賞5着など、勝率の数字以上の素質を感じさせる馬ですね。
祖母キャッチアズキャッチキャンは、英4戦4勝。英G1・ヨークシャーオークスの勝ち馬です。
4代母カタルパは、英9戦2勝。G2重賞に勝っています。
母系は、パールカップ、ニニスキ、ベルメッツなどの出た、パールメイデン牝系。日本では、ニットウチドリやレッドディザイアが、この牝系の出身です。

(1)リファールのクロス
ダノンファンタジーもそうでしたが、レッドベレーザにも、リファール4×6のクロスがあります。
注意点も同様で、単独のリファールのクロスは重苦しいのですが、こちらは、ミスプロの血があるので、まったく問題ないでしょう。

(2)ヘイロー≒レッドゴッド
お姉さんは出遅れ癖があるので、ヘイロー≒レッドゴッド3×6のクロスの特色を活かしきれていませんが、本来は、機動力に効果のあるクロスです。レースの展開に合わせて自在に動けるのがポイントでしょう。

(3)バークレアとカタルパ
4代母カタルパは、ディープの祖母バークレアと組み合わせのクロス(クレペロカントリーハウス、ハイぺイオン、フェアトライアル~サンインロー、フォックスロー=アロウ(ディープの7代母)、スウィートラヴェンダー=ローズレッド、ソラリオが共通)をなしています。

バークレア(ディープの祖母)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000394655/pedigree/
カタルパ(レッドベレーザの4代母)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000395118/pedigree/

バークレアの血の活用を重視されているのは、望田潤氏です。成長力や大レースでの底力に効果が期待できるでしょう。

(4)まとめ
リファールのクロスと、バークレアの組み合わせのクロスを併せ持つ例としては、トーセンラー&スピルバーグや、サトノワルキューレ、グローリーヴェイズなどがあげられます。
ヘイロー≒レッドゴッドのクロスも、ヴィルシーナ&ヴィブロスや、ミッキークイーン、プリモシーンなど、実績のある配合パターンです。
その他にも、ブラッシンググルーム、ニジンスキー、ミルリーフなどは、いずれもディープと好相性の血があります。
配合的には、大物も期待できると思いますが、問題は、やはりサイズの小ささということになるでしょう。

http://www.tokyo-tc.com/mng_h_img/org_kinkyo_redmedousa16_15.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていくことにします。
いかにもディープの牝馬産駒らしい、皮膚の薄いスマートな馬体ですね。トモの張りもしっかりしています。
お姉さんよりコンパクトな造りですが、クラブ募集時の測尺の数値は、姉妹でほとんど差はなかったはずなので、もう10キロくらいのウエイトアップは期待してもよいのではないでしょうか。
たかが10キロと思われるかもしれませんが、ディープ産駒の場合、420キロ台と430キロ台とでは、大きな溝があると思います。したがって、クラシック路線に乗れるかどうかは、その「たかが10キロ」のウエイトアップにかかってくるでしょう。

レッドランディーニ(2歳)
http://www.tokyo-tc.com/mng_h_img/org_kinkyo_RedMedousa15_11.jpg

未勝利戦ピックアップ~ダノンファンタジー

今週末にファンタジーSに出走する2頭を取りあげます。
まず、ダノンファンタジーから。

https://www.youtube.com/watch?v=kSp17Kr2HWU
http://db.netkeiba.com/race/201809040403/

デビュー戦は、グランアレグリアとの対戦ということで、いかにも相手が悪かったですね。ただ、関西馬で、地元にも適鞍があったのに、わざわざ関東へ遠征してきたのは、ちょっと行き過ぎだったかもしれません。
一息いれての2戦目は、プラス18キロと大幅に馬体重が増えていましたが、持ったまま一回りの圧勝でした。陣営によれば、馬体増の殆んどは成長分とのこと。
新馬戦も、グランアレグリアに敗れたとはいえ、自身の出した1分33秒9というタイムは、この時期のなみの2歳馬に出せるものではありません。この馬も非常に高い資質があるのは間違いないでしょう。

https://www.jbis.or.jp/horse/0001221856/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母ライフフォーセールは、伯10戦8勝。ブラジルのG1を2勝しています。
4代母ディマニは、伯12戦4勝。自身もブラジルのG1馬ですが、産駒からもブラジルのG1勝ち馬を出しています。
5代母オシラカオは、ブルターニュとディマニの2頭の伯G1馬を出しました。
母系は、マイナーな、ダドルズ牝系。もともとは欧州の牝系ですが、この分枝は、7代母ルーセットがブラジルに輸出されたものです。ブラジルでは、そこそこ栄えているようですが、日本には、ほとんど入ってきておらず、重賞勝ち馬も出ていません。

(1)リファールのクロス
ダノンファンタジーの血統表を見て、パッと目につくのは、リファール4×5のクロスでしょう。当ブログでは、単独のリファールのクロスは、やや重苦しいので、ディープの持つヘイロー≒サーアイヴァー2×4の相似クロスを継続するか、レイズアネイティヴの血を入れることを推奨していますが、ダノンファンタジーは、そのどちらにも当てはまりません。
しかし、母ライフフォーセールには、サーアイヴァーの父サーゲイロードの血が2本あり、そのうちの1本は、ダノンファンタジーの母母母父ガデールの中で、リファールと近い位置にあり、ディープの母父アルザオと似たような配合パターンになっています。相似クロスとまでは言えませんが、組み合わせのクロスとは言ってもかまわないでしょう(リファール、サーゲイロード、サーギャラハッド=ブルドッグが共通)。これにより、リファールのクロスの重苦しさは、じゅうぶん軽減されていると思われます。
したがって、ダノンファンタジーの配合の核は、リファールのクロスというよりも、アルザオとガデールの組み合わせのクロスにあると考えるべきでしょう。

アルザオ(ディープの母父)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000339659/pedigree/
ガデール(ダノンファンタジーの母母母父)
https://www.jbis.or.jp/horse/0000339748/pedigree/

(2)ナスぺリオン
ナスぺリオンというのは、望田潤氏による略称で、ナスルーラ×ハイぺリオンのことです。望田氏は、ナスキロとかハイインロー、グレビオ、クロぺリオンなど、数々のニックスの略称をキャッチフレーズ化してきましたが、ナスぺリオンだけは、ちょっと毛色が異なります。なぜなら、ナスルーラとハイぺリオンは、ニックスではないからです。
ナスルーラのスピードと、ハイぺリオンの持続力とは、両者を兼ね備えれば鬼に金棒かもしれませんが、まったく水と油のようで、相性はよくありません。その原因は、ナスルーラの体質が柔らかいのに対し、ハイぺリオンの体質が硬いことにあると思われます。
しかし、まれに、ナスルーラとハイぺリオンの融合が上手くいく場合もあり、そうなると恐るべき影響力を発揮します。具体例としては、ネアルコ+ハイぺリオン=ノーザンダンサー、ミスプロ+ハイぺリオン=ドバイミレニアム&キングマンボ&アンブライドルズソング、ヘイロー+ハイぺリオン=サンデー、レッドゴッド+ハイぺリオン=ブラッシンググルーム、ネヴァーベンド+ハイぺリオン=ミルリーフ、ボールドルーラー+ハイぺリオン=プルピット~タピット、といった具合で、現代の主要な父系を支える基幹種牡馬たちは、ナスぺリオンのケミストリーの恩恵を受けていることが判ります。20世紀後半~21世紀前半の種牡馬界は、ナスぺリオンの時代であったといっても過言ではないのです。
日本において、ナスぺリオンの破壊力を最初に見せつけたのは、テスコボーイ~トウショウボーイの親仔でしょう。プリンスリーギフトと、その仔&孫であるテスコボーイトウショウボーイの最大の違いは、ハイぺリオンの血の有無にあります。
ただし、ナスルーラとハイぺリオンとは、ニックスではないので、血統表の中にこの2頭の名前が同居していたからといって、ただちにナスぺリオンの出来上がりというわけではありません。

ライフフォーセール
https://www.jbis.or.jp/horse/0001177691/pedigree/

さて、母ライフフォーセールの血統ですが、父ノットフォーセール、母父スキーチャンプ、母母父ガデールは、いずれもナスぺリオン配合で、3代母ディマニだけがアウトサイダーな血脈です。4分の1異形配合の考え方を応用すれば、8分の1異形配合と言うことも可能でしょう。
父ディープのほうも、典型的なナスぺリオン配合なので、ダノンファンタジーの血統表は、ディマニ以外の16分の15の部分は、ナスぺリオンで固められている考えられます。
ダノンファンタジーが、ナスぺリオン的な資質を持っていることは、ここまでのレースぶりからも確実だと思われるので、ナスルーラ+ハイぺリオンの持続力のあるスピードは、先行しても差しにまわっても、大きな威力を発揮することでしょう。

(3)ノーザンダンサーのクロスを持つ牝馬
ディープ産駒は、ハーツクライやマンハッタンカフェの産駒ほどではないにせよ、成長速度がゆっくりめなので、そのままでは春のクラシックに間に合わないおそれがあります。その対応策として有力なのは、ノーザンダンサーのクロスを持つ牝馬をお相手とすることです。
ライフフォーセールには、ノーザンダンサーのクロスはありませんが、祖母ダウトファイアーには、アイスカペイドノーザンダンサー2×4という強い4分の3同血クロスがあるので、条件にぴったり当てはまっているわけではなくても、それに準ずるものと考えてもよいでしょう。

(4)まとめ
デビュー戦ではグランアレグリアに屈したものの、非常に成長力にとんだ配合なので、今後の成長次第では逆転できる可能性もあるでしょう。
また、グランアレグリア陣営からのアナウンスによると、年末は朝日杯への出走が有力とのことなので、ファンタジーSで結果を出せば、この馬が阪神ジュベナイルフィリーズの最有力候補となるかもしれません。
古馬になってからも成長が期待できるので、末永く活躍してくれそうですね。

http://nakauchida.com/CMS/wp-content/uploads/2018/04/DanonFantasy.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていきましょう。
いかにもディープの牝馬産駒という、スマートでコンパクトな体型ですが、目につくのは、中内田厩舎のトレードマークともいえる、パンとしたトモの筋肉の張りですね。ディープ産駒には、トモの筋肉が見劣りするケースが往々にしてあるのですが、ダノンファンタジーは全く違います。
ディープ産駒らしさに、中内田厩舎流のトモの張りがプラスされて、どのような化学反応を引き起こすのか、非常に楽しみですね。

未勝利戦ピックアップ~シェーングランツ

ミディオーサに引き続き、今週末にアルテミスSに出走するもう1頭、シェーングランツを取りあげましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=6pvQqj_lv74
http://db.netkeiba.com/race/201801020102/

デビュー戦は、後方から押し上げていったものの、思いのほか伸びず、期待外れの5着に終わりました。
続く2戦目は、ルメール騎手に乗り替わったので、好位につけるのかと思いきや、前走同様の後方待機から、4角で捲っていく形となりましたが、直線では後続を突き放す一方の圧勝でした。かなりズブいところがあるようで、途中からルメール騎手も追い通しでしたが、エンジンがかかってからは、初戦の凡走ぶりが嘘のような末脚を披露してくれましたね。
となると、あのパッとしない新馬戦は何だったのかということになりますが、考えられることとしては、叩き良化型で、初戦からは動けないタイプということなのかもしれません。今週末のアルテミスSは、レース間隔としては2ヶ月ぶりという微妙なところですが、どうのような走りを見せてくれるのか、注目されますね。未勝利戦の内容からは、じゅうぶんに通用するのではないかと思いますが、先週の府中の馬場状態は、差しの効きにくい前残り馬場だったので、そのあたりがどうなるかでしょう。

https://www.jbis.or.jp/horse/0001221379/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていくことにします。
母スタセリタは、仏英米中18戦10勝。仏オークスなどG1戦5勝の大物競走馬でした。繁殖入り後も、ソウルスターリングを出して、ポテンシャルの高さを見せています。
3代母シュイヴェは、2頭の重賞勝ち馬を出しました。
5代母サザンシーズは、G1を4勝した、スタンランの母。
母系は、ドイツの名門、シュヴァルツゴルト牝系。サガス、スリップアンカー、スタンランなどが出ています。日本でも、マンハッタカフェ、ブエナビスタ、ソウルスターリングなどが活躍しました。

(1)母父モンズーン
モンズーンは、ドイツの大種牡馬で、長く低迷の続いたブランドフォード系にもう1度スポットライトを当てる役割も果たしました。
ディープ×母父モンズーンは、16頭がデビューして、11頭が勝ち上がり(すべて中央)、重賞勝ち馬はまだ出ていません。
個人的には、大いに期待していた配合パターンだったのですが、今のところ期待したような結果は出ていません。
その原因は、サドラーズウェルズの場合と同じで、あまりにも欧州色が強すぎて、日本の高速馬場への対応力に問題があるのだと思われます。解決策として考えられるのは、やはり、ミスプロの血を入れることでしょう。サドラーズウェルズにミスプロの血が加わったガリレオは、ディープとの掛け合わせでニックス級の成功をおさめています。

モンズーン
https://www.jbis.or.jp/horse/0000361091/pedigree/

ディープとの関連性という観点からモンズーンの配合を見ていくと、母母父オーティの配合に目がいきます。ディープの祖母バークレアと組み合わせのクロスをなすので、ここが機能するようなら、大物も期待できるのではないでしょうか。

(2)ディープ×モンズーン×ダッシングブレイド
シェーングランツの配合は、ディープ×母父モンズーン×母母父ダッシングブレイドですが、全く同様の配合パターンの馬が、これまでに4頭出ています。

ノーブルコロネット(=ノーブルプラネット=ステラスターライト)
https://www.jbis.or.jp/horse/0001126929/pedigree/
ゼーゲン
https://www.jbis.or.jp/horse/0001208303/pedigree/

シェーングランツと、ノーブルコロネット&ノーブルプラネット&ステラスターライトと、ゼーゲンとは、8分の7同血ということになりますが、3頭の異なる母馬から生まれた、8分の7同血の産駒5頭が、すべてが勝ち上がったということは、ディープ×モンズーン全体の勝ち上がり率に較べ、かなり優秀だと言えそうです。
この配合が、他のディープ×モンズーンのパターンよりどこが優れているのかは、まだはっきりしないのですが、今後の研究課題でしょう。

(3)シュヴァルツゴルト牝系
マンハッタンカフェやブエナビスタの活躍により、日本でも注目されることとなったドイツの名門シュヴァルツゴルト牝系ですが、ディープ産駒からも、トーセンレーヴ&ジョワドヴィーヴルの兄妹や、サラキア、メイショウメイゲツなどが活躍しています。
非常に活力のある牝系で、ディープとの相性も良好ということであれば、母系の面からも期待できそうですね。

(4)まとめ
非常に重厚な配合で、日本の高速馬場への対応には不安も残るところですが、当たればホームランも期待できると思います。デビューから2戦は、札幌の洋芝だったので、今回のアルテミスSが初の高速馬場ということになりますが、うまく対応できるようなら、クラシック路線に乗ってくるでしょう。

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引き続き、馬体のほうも見ていきましょう。
見栄えのする馬体ではあるのですが、では何に似ているのかといわれると、ちょっと困ってしまいますね。
姉ソウルスターリングは、かなりモンズーン色が濃く、シェーングランツにもモンズーンの影響が見てとれますが、姉よりは影響度は小さいと思います。
今年のディープの2歳産駒の馬体評価リストでは、牝馬の6位に取りあげました。

ソウルスターリング(2歳)
https://i.daily.jp/horse/pog_toku/2016/05/03/Images/d_09048812.jpg
モンズーン
https://www.blacktypepedigree.com/sites/default/files/styles/articleimage-full/public/field/image/Monsun.jpg

未勝利戦ピックアップ~ミディオーサ

今週末にアルテミスSに挑戦することが決まった2頭を取りあげます。
まず、ミディオーサのほうから。

https://www.youtube.com/watch?v=32O_YUXnJDU
http://db.netkeiba.com/race/201804020301/

デビュー戦は、ポジション取りが後方すぎて、首差とどきませんでした。今春の東京開催は、ワグネリアンがダービーで先行策をとったように、後方一気では話にならない馬場状態だったので、乗り損ないと言われても仕方ないと思います。なお、勝ち馬のエメラルファイトのその後の成績は、札幌2歳S4着、アイビーS3着ということで、オープンでも通用しているようです。
2戦目の未勝利戦は、デムーロ騎手が好位のポジションを確保した時点で勝負ありという感じで、最後は流す余裕もありましたね。
その後、一息いれての重賞初挑戦ということになりますが、1番人気が予想されるグレイシアは、強い勝ち方でデビューから2連勝ということで、現時点での能力を計る一戦となりそうです。素質的には、じゅうぶん通用すると思いますし、鞍上がモレイラ騎手というのも頼もしいでしょう。来春を見すえて、出来れば賞金を加算しておきたいところですね。

https://www.jbis.or.jp/horse/0001221900/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていくことにしましょう。
母ミスエーニョは、米4戦2勝。2歳時にオールウェザーのG1に勝っています。代表産駒は、ミスエルテということになりますが、気性の悪さが出世の妨げになっているようです。妹のミディオーサは、今のところはそうした面を見せていないようですが、注意は必要でしょう。
祖母マッドキャップエスカペイドは、米9戦7勝。ダートのG1・アシュランドSに勝って、ケンタッキーオークスは3着。繁殖牝馬としても、ミスエーニョがG1馬になりました。
3代母サシーパンツは、米22戦8勝。産駒から、マッドキャップエスカペイドとドバイエスカペイドの2頭のG1馬が出ています。
母系は、米国中心に栄えている、ブルームフラワー牝系。マーリン、アイルハヴアナザー、ビホルダーなどが出ました。日本では、まだこれといった大物は出ておらず、重賞勝ち馬もミスエルテだけのようです。

(1)母父プルピット
プルピットは、いまや北米を代表する種牡馬タピットの父です。父系は、ナスルーラ~ボールドルーラー~シアトルスルー~エーピーインディという、ボールドルーラー系の本流ですね。母系は、ディープと同じ系統で、6代母がともにフェオラです。
ディープ×母父プルピットは、まだサンプルが少なく、2頭がデビューして、2頭とも中央で勝ち上がり、重賞勝ち馬はまだ出ていません。
ディープ×母父父プルピットということでは、アルアインやグランアレグリアが出ているので、基本的には好相性と考えてもよいでしょう。

(2)グランアレグリアとの類似点
ミディオーサの母ミスエーニョは、グランアレグリアの母タピッツフライと配合が似ています。

ミスエーニョ
https://www.jbis.or.jp/horse/0001192950/pedigree/
タピッツフライ
https://www.jbis.or.jp/horse/0001115215/pedigree/

具体的には、ニジンスキーのクロスを持つこと、セクレタリアトのクロスを持つこと、ディープの祖母バークレアと組み合わせのクロスになる血を持つこと(ミスエーニョはアービネラ、タピッツフライはオリオール)の3点です。
細かいことかもしれませんが、もう1つ付け加えれば、タピッツフライの母父マーリンは、前述のように、ミスエーニョと同じ母系ですね。

(3)母母父ヘネシー
ヘネシーは、ディープと相性のよいストームキャットの産駒ですが、ディープ×ヘネシーも、新たなニックスの候補として注目しておくべきかもしれません。
(2)でも触れたように、ヘネシーの持つアービネラの血は、ディープの祖母バークレアと組み合わせのクロス(ドナテロ、ハイぺリオン+ローズレッド、フェアトライアル~サンインロー、テディが共通)をなすので、この血を標準装備しているのは大きいと思います。
同様に、ヘネシー産駒のヨハネスブルグや、ヨハネスブルグ産駒のスキャットダディも、ニックス候補として今から注目しておくべきでしょう。

(4)まとめ
血統的には、ナスキロと米国血脈が強いのですが、適度にハイぺリオンの血もあり、バランスはとれていると思います。
外回り向きの差し馬である可能性が高いですが、機動力のあるアメリカンな血も豊富なので、案外、内回りも苦にしないかもしれません。
配合面で似たところのあるグランアレグリアも活躍しており、クラシック路線に乗ってくるものと期待しています。

https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/keiba/keiba/2018/assets_c/2018/06/midiohsa-thumb-550xauto-204466.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていきましょう。
ディープの牝馬産駒らしいスマートな体型ですが、馬体重はしっかりあり(未勝利戦では482キロ)、とくにトモの力強さは目につきます。
シルエット的には、父ディープと姉ミスエルテの良いところ取りといった感じで、非常に大物感がありますね。
今年のディープの2歳産駒の馬体評価リストでは、牝馬の1位に推しました。

ミスエルテ(2歳)
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/keiba/keiba/2016/assets_c/2016/09/miss-erute-thumb-550xauto-170395.jpg
ディープインパクト(3歳、皐月賞)
https://livedoor.4.blogimg.jp/jrdbjp/imgs/2/e/2e0bbb10.gif

未勝利戦ピックアップ~トーセンカンビーナ

また時系列が前後しますが、今週のアイビーSに出走予定の、トーセンカンビーナを取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=hvu4YXEwcV0
http://db.netkeiba.com/race/201809040702/

デビュー戦は、道悪の超スローペースに巻き込まれて2着に敗れましたが、一息いれて2ヶ月半ぶりの未勝利戦は、軽く気合をつけただけで5馬身差の楽勝でした。
新馬戦は不運が重なった感じで、個人的には、取りこぼしに近いと考えていますが、勝ち馬のカテドラルは、続く野路菊賞も快勝しており、弱メン相手に負けたというわけではありません。未勝利戦の内容は素晴らしく、アイビーSでも人気になると思いますが、しっかりクリアーしてもらいたいところです。しいて注意点をあげるとすれば、関東遠征2連発ということで、馬体重がこれ以上減るとちょっと問題かもしれません。ともあれ、来年につながるレースを期待しています。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001221901/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母カンビーナは、愛米22戦6勝。芝のG1・アメリカンオークスに勝っています。産駒は、持ち込みの初仔が未勝利、2番仔になるトーセンカンビーナの全姉カーロバンビーナも7戦1勝(現役)ですが、初仔のほうは体質が弱く、わずか1戦で引退、カーロバンビーナは、400キロぎりぎりで馬格に恵まれませんでした。3番仔のトーセンカンビーナは、母の繁殖としての資質が問われることになりそうです。
4代母タフレディは、英9戦1勝。産駒から重賞勝ち馬が出ましたが、孫や曽孫の代からも活躍馬が出ています。
母系は、マイナーな、ファイアーフィンド牝系。あまりG1に縁のない系統で、オセアニアでG1を勝ちまくり、ジャパンCにも参戦した、ラフハビットあたりが一番の大物でしょうか。日本には、ほとんど入ってきていない系統で、これといった活躍馬も出ていないようです。

(1)ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャル
ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャルの配合は、栗山求氏が指摘された成功パターンです。具体的には、サクソンウォリアー、トーセンラー&スピルバーグ、ディープブリランテ、ワグネリアン、ヴィルシーナ&ヴィブロス、マリアライト、ミッキークイーン、ショウナンアデラ、デニムアンドルビー、アンビシャス、ヴァンキッシュランなど、大量の成功例があります。

(2)バークレア~ウインドインハーヘアとの組み合わせのクロス
ディープの祖母バークレアの血を活用した組み合わせのクロスは、望田潤氏が重視されているものですが、トーセンカンビーナの場合、母母母父グレンスタルの祖母フィッシュバーが該当します(ドナテロ、ハイぺリオン、フェオラ~サンインローが共通)。成長力や大レースでの底力に効果が期待できるでしょう。

ウインドインハーヘア(ディープの母)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000430846/pedigree/
グレンスタル(トーセンカンビーナの母母母父)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000337485/pedigree/

さらに、グレンスタルには、ノーザンダンサーやサーアイヴァーの血もあるので、ディープの母ウインドインハーヘアとの組み合わせのクロスと見なすこともできます。ウインドインハーヘアの血を活用した組み合わせのクロスの成功例として、望田潤氏は、ホワイトマズルを指摘されています。ディープ×母父ホワイトマズルの配合の活躍馬としては、スマートレイアーやカツジが出ており、岡田スタッドの得意とするパターンですね。

(3)ノーザンダンサーのクロスを持つ繁殖牝馬
ディープ、ハーツクライ、マンハッタンカフェなどは、母馬の配合が重厚なので、どうしても産駒の成長がゆっくりめな傾向があり、春のクラシックに間に合わせるには、多少の工夫が必要なようです。そうした工夫の1つとして、ノーザンダンサーのクロスを持つ牝馬をお相手に選ぶという手法があり、実績をあげているようです。
カンビーナの場合、ノーザンダンサー5×4・4ということで、パターンに当てはまっていますね。

(4)まとめ
ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャル、バークレアとの組み合わせのクロス、ノーザンダンサーのクロスを持つ母馬、この3つのパターンを併せ持つ例としては、トーセンラー&スピルバーグの兄弟があげられます。兄弟そろってG1馬ということですから、再現性もかなり高いと考えてよいでしょう。
トーセンカンビーナの配合は、さらに一歩進めて、ウインドインハーヘアとグレンスタルの組み合わせのクロスとなっており、その成否が注目されるところです。社台Fは、この配合に自信を持っているようで、4年連続でディープ×カンビーナの交配を行なっています。ノーザンFならともかく、社台Fが同じ繁殖牝馬に4年も続けてディープを付けるというのは、かなりのレアケースなので、それだけ期待も大きいということなのでしょう。個人的にも、この配合は大物が期待できると考えています。姉のカーロバンビーナは、馬格に恵まれませんでしたが、弟のほうは、大きすぎず小さすぎずということで、クラシック路線での活躍が望めるでしょう。

https://jra-van.jp/fun/pog2018y/imgs/07-02.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていくことにします。
馬格は中くらいのサイズですが、わりとがっちりしており、力強さも感じられます。大物感充分でしょう。
今年のディープの2歳産駒の馬体評価リストでは、牡馬の2位に取りあげました。

ジェンティルドンナの従弟

また間隔があいてしまい、申し訳ありません。
今回は、時系列は前後しますが、明日の特別戦に出走予定の、ロジャーバローズを取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=2oOwBc8j0pM
http://db.netkeiba.com/race/201804020705/

ジェンティルドンナの8分の7同血の従弟ということで注目されていた、ロジャーバローズですが、1番人気に応えて危な気ない勝利でした。生産は飛野牧場ですが、ノーザンFで育成されていたという点も、人気を集める要因になっていたと思います。
ドナウブルー&ジェンティルドンナの姉妹が立て続けに活躍したことで、一時は大いに注目されたものの、母ドナブリーニが高齢となり、そろそろ下火ではとの声も出始めていたのは事実でしょう。しかし、ジェンティルドンナの全妹ドナアトラエンテの新馬勝ちに続き、従弟のロジャーバローズも強い勝ち方でデビューを飾り、再び、この一族から目が離せなくなりそうですね。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001221464/pedigree/

それでは、血統の方から見ていくことにしましょう。
母リトルブックは、英10戦未勝利。4分の3同血の姉ドナブリーニはG1馬ですから、競走成績では雲泥の差がありますが、ロジャーバローズが新馬戦を快勝ということで、繁殖牝馬としては、かなりのポテンシャルがあることを証明しました。
祖母カルノーマズレディは、英愛17戦3勝。代表産駒は、もちろんドナブリーニですが、他にもG3重賞に勝った、マジカルを出しています。
5代母フェアアストロノマーは、アイルランドの最優秀2歳牝馬。
母系は、イギリスの中堅どころの、モリーマローン牝系。ただし、有力な活躍馬の殆んどは、フェアアストロノマーの分枝からしか出ていないようです。

(1)ジェンティルドンナと8分の7同血
ドナブリーニとリトルブックとは、4分の3同血の姉妹ですから、必然的に、ドナウブルー&ジェンティルドンナとロジャーバローズとは、8分の7同血の従姉弟ということになります。

ドナブリーニ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000906036/pedigree/
リトルブック
http://www.jbis.or.jp/horse/0001132814/pedigree/

見てのとおり、ドナブリーニもリトルブックも、父系は同じダンジグ系ですから、異なっているのは父の母である、アクウィリジアミステリアルの個所になるわけです。
2頭の相違点として、まず目につくのは、ミステリアルにリファールの血があることでしょう。ドナブリーニ&リトルブックの母カルノーマズレディには、リファールの血があるわけですが、リトルブックには、リファールの血が更にもう1本あるというわけです。この点だけに注目すれば、リトルブックのほうが、より粘っこいレースをする産駒を出しやすいということになるでしょう。
しかし、アクウィリジアとリトルブックのもう1つの相違点として、リトルブックの配合が、ノーザンダンサー×ナスキロラトロの形になっていることがあげられます。以前にも指摘しましたが、ドナブリーニの配合の大きな特徴は、プリンスキロの血を持たないことにあります。しかし、リトルブックのほうには、プリンスキロの血が3本もあり、外回り向きの末脚をもつ産駒を出す可能性も充分にあるでしょう。
ドナブリーニは、どちらかといえば、リファールの特徴の出やすい配合パターンですが、リトルブックのほうは、リファールの血が1本多いにもかかわらず、ナスキロ色の強い配合なので、どういったタイプの産駒が出るかは、やってみないと判らない面がありそうです。
また、リトルブックの父母ミステリアルと祖母カルノーマズレディとは、リファールを中心とした相似的な配合と考えることも可能で、その場合、リトルブックの配合は、4分の1異形配合(ミステリアル&カルノーマズレディが同質、ダンジグは異質)というパターンに当てはまります。これは、ドナブリーニには無い特徴と言えるでしょう。

(2)リファールの血の影響
(1)で見たように、リトルブックには、リファール5×3のクロスがあり、ロジャーバローズとしては、リファール4×6・4のクロスということになります。

アルザオ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000339659/pedigree/
ミステリアル
http://www.jbis.or.jp/horse/0000439185/pedigree/

ディープの母父アルザオの配合と、ロジャーバローズの母父母ミステリアルの配合を比較すると、そっくりとまでは言えないにしても、かなりの共通点(リファール、ロイヤルチャージャー×プリンスキロ、ポカホンタス、シンクアセプトが共通)があります。ちょっと強引かもしれませんが、アルザオとミステリアルとは、組み合わせのクロスと言えなくもないので、そう考えると、末脚の切れの強化に資する配合と見なすことも可能です。
リファール4×6・4のクロスと見るか、アルザオとミステリアルの組み合わせのクロスと見るかでは、大きく違ってくるので、どちらの要素が強く出ているのかは、実際のレース内容で判断していく必要がありそうです。

(3)まとめ
ジェンティルドンナの配合との類似点と相違点に絞って見てきましたが、ジェンティルドンナの場合、若い頃は末脚の切れ味を活かしたレースも見られたものの(オークスなど)、競走馬として完成に近づくにつれて、機動力を活かして好位で立ち回って粘りこむレースが増えていきました(有馬記念など)。
ロジャーバローズの血統は、ナスキロ的な外回り向きの末脚の側面も、リファールのクロス的な内回り向きの粘り強さの側面も、両方とも強化される配合パターンとなっており、どちらが前面に出てくるのかは、血統表からでは判断しにくいところがあります。繰り返しになりますが、今後のレースぶりを慎重に見きわめる必要があるでしょう。

パドック動画(11秒すぎから)
https://www.youtube.com/watch?v=JOJ1GOTv9cE

引き続き、馬体のほうも見ていくことにします。
ロジャーバローズの画像は、ネット上には見やすいものが無く、POG本も「最強のPOG」にしか掲載されていないようです。ここでは、新馬戦のパドック動画にリンクしておきました。
ジェンティルドンナをスマートにしたような体型ですが、馬体重は484キロとしっかりあるので、もうすこし筋肉がついて線の細さが解消してくれば、さらに力を発揮できるでしょう。
今年のディープの2歳産駒の馬体評価リストでは、番外編の大穴コーナーで取りあげました。

最後に、今後の展望について。
デビュー戦は、それほど強力なメンバーではなかったので、明日の紫菊賞が試金石となりそうです。
ジェンティルドンナの従弟という血統背景や、すこし線は細いものの大柄で伸びのある馬体は、かなりの大物感があります。
2戦目も簡単に突破するようなら、クラシック路線に乗ってくるでしょうし、たとえ敗れたとしても、見所のある内容であれば、いずれクラシック戦線に名乗りをあげる時が来るでしょう。

馬体の成長がカギに

また間隔があいてしまって申し訳ありませんが、今回は、ディーブラッドの新馬戦を取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=kT6S5xFzApA
http://db.netkeiba.com/race/201810020406/

スタートで行き脚がつかなかったものの、徐々に押し上げて、直線でも鋭い末脚を見せて先頭に立つと、最後は流しての完勝でした。
パドックでは、やや馬体が細く見えましたし、1200mという距離も、武豊騎手によれば「ちょっと忙しかった」ようですが、内容的には余裕の勝利だったと思います。今回は、相手関係もそれほどではなかったし、この馬自身も仕上がり途上の感があり、次走が真価を問われるレースになりそうです(陣営のコメントによれば、距離をマイルに延ばして、サフラン賞に使う予定とのこと)。

それでは、血統のほうから見ていくことにしましょう。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001215784/pedigree/

母グローリーブラッドは、17戦2勝。産駒は、ディーブラッド以前に6頭がデビューしていますが、中央で1~2勝止まりという感じです。ディーブラッドの全姉アングルティールは、現時点で、8戦1勝(現役)。
祖母スカイダンサーは、米31戦6勝。芝のG3重賞を2勝していますが、ダートでもG1で2着1回3着1回と好走しています。
3代母ダンスソングは、競走馬としては1勝止まりでしたが、繁殖に上がると2頭の重賞ウイナーを出しました。
母系は、アメリカで栄えている、アイドルファンシー牝系。メダグリアドーロ、ジャワゴールド、インディアンスキマーなどが出ています。日本では、まだG1馬が出ておらず、G2に勝ったのも、アイポッパーとタッチングスピーチの2頭だけのようです。

(1)母父ゴーンウエスト
ディープ×母父ゴーンウエストの配合は、これまでに14頭がデビューし、9頭が勝ち上がり(うち1頭は地方)、重賞勝ち馬は出ていません。
この数字だけを見ると、あまりパッとしない感じですが、ディープ×母父ゴーンウエスト系ということでは、すでに2頭のG1ウイナーが出ています(ケイアイノーテックショウナンアデラ)。ディープとゴーンウエストとは、母系が同じなので、基本的な相性は悪くないと思います。

(2)類似の配合
ディーブラッドに配合が似ている馬を探してみると、ガリバルディ(中京記念)が近いかもしれません。

ガリバルディ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001136028/pedigree/

ディーブラッドの母母父父は、ニジンスキーですが、ガリバルディには、4分の3同血の甥ザミンストレルの血があります。全体的に、米国血脈中心にまとめられているところも、似ていると言えそうです。
ガリバルディは、末脚を武器にマイル路線で活躍しましたが、ディーブラッドも、配合的にはそのようなタイプに成長しそうですね。

(3)まとめ
ディーブラッドの配合は、アメリカンなパワー血脈は豊富ですが、ハイインロー的な血には乏しいので、いったん頭打ちになると、そこから再び成長軌道に乗ることは滅多にないタイプです。どこで頭打ちになるかで、将来が決まってくるでしょう。
デビュー戦の内容は、かなりの素質を感じさせるものだったので、行けるところま行ってしまうことが肝要です。POG的には(あるいは馬券的には)、天井が見えた時点で、あとは深追いしないのが良いでしょう。

新馬戦の表彰式
https://www.keibalab.jp/img/upload/topics/201808/180805_dblood03.jpg

引き続き、馬体のほうも見ておきます。
たいていのPOG本には、この馬の画像が載っていると思いますが、ネット上には見やすい画像が無かったので、新馬戦の表彰式の画像をリンクしておきました。
コンパクトながら、しっかり胸の深さがあり、いかにもディープの牝馬産駒らしい体型です。末脚の切れにも期待できるでしょう。
問題は、やはり馬格に欠けることで、もう10キロくらいは馬体重を増やしたいところですね。

未勝利戦ピックアップ~コントラチェック

今回は、コントラチェックの未勝利戦を取りあげます。

https://www.youtube.com/watch?v=0HVX9bfaSxo
http://db.netkeiba.com/race/201801010101/

デビュー戦は、スローな展開の中、好位でじっくり進めたものの、直線では思ったほど伸びず、断然の1番人気を裏切る3着に終わりました。
これを受けて、2戦目の今回は、スローペースに付き合わないという意思表示の逃げを打ち、後続を寄せつけず、持ったまま7馬身差をつける圧勝でした。ルメール騎手は、前走の内容から、抑えて切れるタイプではなく、身体能力で圧倒するタイプと判断したようですね。
デビュー戦こそ、ちょっと心配になる内容でしたが、今回の圧勝劇は、この馬の素質の確かさを証明したものだと思います。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001217731/pedigree/

それでは、血統の方から見ていきましょう。
母リッチダンサーは、英6戦未勝利。繁殖牝馬としては、バウンスシャッセ&ムーンクエイクの2頭の重賞勝ち馬を出して成功しています。
祖母フェアリーフライトは、競走馬としては1勝どまりでしたが、繁殖に上がって重賞勝ち馬を出しました。
4代母ナイアードクイーンは、G1馬キングパーシャンを出しています。
母系は、欧州の中堅どころの、ガーガニー牝系。重賞勝ち馬は出るものの、なかなかG1馬の出にくい系統で、大物と呼べるのは、シロッコくらいでしょうか。日本では、まだG1馬は出ておらず、バウンスシャッセ&ムーンクエイクの姉弟が、出世頭のようですね。

(1)母父ホーリング
母父ホーリングは、現役時代はG1戦5勝の大物で、種牡馬としても期待されましたが、思ったほどには成功せず、といっても失敗というほどでもなく、中途半端な成績に終わりました。
父系は、シャーペンアップ~ネイティヴダンサーの系統です。ネイティヴダンサーといえば、米年度代表馬に2度も輝き、レイズアネイティヴの父&ミスタープロスペクターの祖父として父系を拡大していきましたが、珍しく欧州で系統を伸ばしたのが、シャーペンアップ系になります。
いかにもダート血統のネイティヴダンサーが、どのように欧州で勢力を拡大したかということですが、ハイぺリオンの血と結びつくことで、ダート専用血統から脱却することに成功しました。

シャーペンアップ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000336086/pedigree/
クリス(=ダイイシス)
http://www.jbis.or.jp/horse/0000336087/pedigree/

シャーペンアップの配合の核は、ハイぺリオン5×3であることは一目瞭然です。シャーペンアップの産駒では、クリス&ダイイシス(ホーリングの父)の兄弟が種牡馬として成功し、父系としても一時はかなりの勢いがあったのですが、近年はやや失速気味のようです。

ネオユニヴァース
http://www.jbis.or.jp/horse/0000701577/pedigree/
ロジユニヴァース
http://www.jbis.or.jp/horse/0000996482/pedigree/
アンライバルド
http://www.jbis.or.jp/horse/0000993502/pedigree/

さて、サンデー系×シャーペンアップ系の成功例というと、何といっても、ネオユニヴァースでしょう。ネオユニヴァースの代表産駒ということでは、ヴィクトワールピサ、ロジユニヴァース、アンライバルド、ネオリアリズムなどがあげられますが、コントラチェックとの関係で注目されるのは、ロジユニヴァースとアンライバルドです。コントラチェックにはフェアリーキングの血がありますが、ロジユニヴァースには4分の3同血のヌレイエフ、アンライバルドには全兄サドラーズウェルズの血があります。つまり、コントラチェックと、ロジユニヴァース&アンライバルドとは、サンデー、ダイイシス=クリス、フェアリーキング=サドラーズウェルズ≒ヌレイエフが共通していることになり、配合的な枠組みは、非常に近いと言ってもよいでしょう。

(2)ヘイロー≒レッドゴッド
母リッチダンサーには、レッドゴッドの血があるので、コントラチェックとしては、ヘイローレッドゴッド3×5の相似クロスが発生します。機動力に効果が期待できるでしょう。
サンデー系との配合では、自動的にこのクロスが生じますが、ムーンクエイクの父アドマイムーンのように、父系はサンデー系でなくても、サンデーの血を持つ種牡馬の場合も、同様にクロスが成り立ちます。ちなみに、ムーンクエイクの場合、クリス≒ダイイシス4×3の全兄弟クロスも発生しており、非常に素晴らしい配合だと思います。

(3)ノーザンダンサーのクロスを持つ母馬
ディープ、マンハッタンカフェ、ハーツクライなど、成長がゆっくりめの種牡馬の産駒を、なんとか春のクラシックに間に合わせようとする場合、ノーザンダンサーのクロスを持つ母馬をお相手として起用するのは、有効とされる手法です。
リッチダンサーは、ノーザンダンサー5・5×3のクロスがあるので、条件を満たしていますね。

(4)バークレアとの組み合わせのクロス
このブログでもお馴じみとなってきましたが、ディープの祖母バークレアの血を活用して組み合わせのクロスを生じさせるのは、成長力や、大レースでの底力などに有効です。
コントラチェックの場合、バークレアダイイシスとが組み合わせのクロスとなっています(クレペロ、ハイぺリオン、サンインロー、アロペ(ディープの8代母)が共通)。

(5)まとめ
コントラチェックは、ハイインローの血が豊富な反面、ナスキロ的な要素は薄く、ヘイロー≒レッドゴッドのようなクロスもあるので、ディープの牝馬産駒らしい末脚の切れといった要素は、あまり期待できないでしょう。そのかわり、豊富なハイインローの血を活用して、早めに動いて底力で捻じ伏せるようなレースが得意パターンとなりそうです。馬格もそこそこありますし、クラシック路線に乗っていくことは、じゅうぶん期待してよいでしょう。
半姉バウンスシャッセは、G1には手が届きませんでしたが、父がディープに変わったことで、配合的には大きなレースも狙える本格的なものになったと思います。

https://umatokuimg.hochi.co.jp/horseimages/2016/2016104880/2016104880_201804111713388.jpg

引き続き、馬体の方も見ていきましょう。
体型的には、父ディープにはあまり似ておらず、どちらかといえば、姉バウンスシャッセのほうに近いと思います。
馬体重は、もう少し増えてきそうですし、大物感充分でしょう。
今年のデイープの2歳産駒の馬体評価リストでは、牝馬の9位に取りあげました。

バウンスシャッセ(3歳、皐月賞)
http://www.keibado.ne.jp/keibabook/140421/photo05.html

今シーズンの牡馬産駒の新馬勝ち第1号

間隔があいてしまいましたが、ようやく更新時間が取れそうなので、追いついていこうと思います。
まず、今シーズンのディープの牡馬産駒の新馬勝ち第1号、ボスジラを取りあげましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=ZBTu4nXugrA
http://db.netkeiba.com/race/201803020705/

1番人気に推されたボスジラですが、道中は好位の3番手につけ、直線も早めに抜け出し、危な気のない完勝でした。デビュー戦からビシビシ仕上げたりはしない国枝厩舎の所属馬ですから、余裕残しの理想的な内容だったと思います。なお、次走は、芙蓉Sの予定。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001215220/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母ミスパスカリは、クロフネの半妹で、22戦3勝。重賞でも、マーメイドS3着や愛知杯4着などの実績があります。産駒は、ボスジラを含めて7頭がデビューしましたが、勝ち星を挙げているのディープ産駒の5頭だけです。とくに、マウントロブソンは、スプリングSに勝ち、ポポカテペトルは、菊花賞で3着と善戦しました。ボスジラもそうですが、兄弟たちはみんな大柄で、ディープよりも、伯父のクロフネのほうに似ているようです。
祖母ブルーアヴェニューは、米20戦5勝。クロフネの母なのは言うまでもないのですが、その他にも、クロフネの全妹ベラベルッチが、アメリカで重賞を2勝しています。
3代母エリザブルーは、アメリカでG1を2勝した、ブロートツウマインドを出しました。
母系は、オセアニアの土着系統である、レディロイス牝系。5代母カターニアが、アメリカに輸出されて、アメリカでも勢力を拡大させました。

(1)母ミスパスカリ
ディープ×クロフネの相性のよさは有名ですが、相性のベースになっているのは、両者の父どうしの関係性、つまり、サンデー×フレンチデピュティの相性のよさにあります。
しかし、ミスパスカリには、フレンチデピュティの血はありません。にもかかわらず、マウントロブソンやポポカテペトルなどの活躍馬が出ているというのは、どういうことなのでしょうか。

ミスパスカリ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000728495/pedigree/

ミスパスカリの配合は、かなり雑然としていますが、骨格としては、ミスプロ×アイスカペイド×ナスキロラトロと整理できるでしょう。アイスカペイドは、ノーザンダンサーと4分の3同血です。
フレンチデピュティは、典型的な、ノーザンダンサー×ナスキロラトロ配合なので、クロフネも同じように、ノーザンダンサー×ナスキロラトロ配合と考えられます。
ミスパスカリは、ノーザンダンサーの代わりにアイスカペイドが入り、さらにミスプロという影響力の大きい血もプラスされていますが、広い意味で、クロフネと同傾向の配合と見なすことができそうです。
ただし、ミスパスカリとクロフネの血統表を比較対照してみると、やはり、ミスパスカリの配合は取っ散らかっている印象は拭えず、成功する確率という点では、やや落ちると言わざるをえません。マウントロブソンやポポカテペトルが活躍しているのに対し、ハワイアンソルトやシエラネバダがパッとしないというのは、ミスパスカリの配合の乱雑さも原因の1つなのでしょう。

(2)ディープ×ロベルト×ミスプロ
ポポカテペトルの菊花賞3着の実績は、ちょっと配合的には意外な気もします。やはり、2000m前後のパワータイプの中距離馬という印象の配合なので、3000m級のレースで好走する要素はどこにあるのかという疑問が浮かびます。
その疑問のヒントとしては、クロフネ産駒は意外に障害レースに強いということがあげられます。とくに、アップトゥデイトは、オジュウチョウサンが登場しなければ、歴史的な障害の王者として名を残したことでしょう。しかし、父フレンチデピュティの産駒には、障害の重賞に勝った馬はいません。
おそらく、クロフネやミスパスカリの母系にあるロベルトの血が、スタミナを供給している可能性が高いでしょう。ちなみに、オジュウチョウサンも、母父シンボリクリスエスは、ロベルト系の種牡馬です。
サンデー系とロベルト系の相性問題は、一時期、集中的に取り上げましたが、両系統の掛け合わせで生じる、フリーフランスジョンズタウンの相似クロスを、何らかの形で補強することが肝要だというのが、当ブログの結論でした。ミスパスカリは、ミスプロの血があるので、ジョンズタウンの血がもう1本追加されることになり、相性問題は発生しないということになります。
ミスパスカリの持つロベルトの血が活用できているので、血統表の見た目よりも長めの距離への適応性は高そうだと考えてよいでしょう。

(3)まとめ
ディープ×クロフネは、好相性ではあるのですが、ディープ×フレンチデピュティのように、G1まで突き抜けるような産駒は、まだ出ていません。
いいところまで出世するのですが、なかなかG1馬が出ないというのは、クロフネ&ミスパスカリの母ブルーアヴェニューの配合が雑然としている点に原因がありそうです。なかなか、ピタッと焦点を合わせるのが難しいのでしょう。ただ、それは確率の問題であり、いつになるかは分かりませんが、G1馬が出てもおかしくはないと思いますし、実際、シャイニングレイやステファノスなんかは、G1に手が届いても不思議ではない能力の持ち主でした(ステファノスは、まだ現役ですが)。
ボスジラも、デビュー戦の内容からすれば、クラシック路線に乗ってきてもおかしくないのですが、どうしても、本番よりトライアルといった雰囲気の配合なので、そこをどう乗り越えられるかでしょう。

新馬戦のパドック動画(0分51秒~)
https://www.youtube.com/watch?v=WuVVdQVXPg4

引き続き、馬体の方も見ていきたいのですが、POG本には画像の掲載はありませんでした。
リンクを貼ったのは、デビュー戦のパドック動画ですが、これを見る限りでは、マウントロブソンやポポカテペトルに似た体型だと思います。ただ、詳細については、もっと見やすい画像が入手できてからということにさせてください。

マウントロブソン(3歳、ダービー)
http://www.keibado.com/keibabook/160530/photo02.html
ポポカテペトル(3歳、菊花賞)
http://www.keibado.com/keibabook/171023/photo12.html
クロフネ(3歳、ダービー)
http://www.keibado.com/keibabook/010528/images/pp01.jpg

いきなり桜花賞の有力候補が登場

今年度のディープ産駒の新馬勝ち第1号は、グランアレグリアでした。
この時期としては途方もない勝ちタイムで、いきなり桜花賞の有力候補登場といった感じですね。

https://www.youtube.com/watch?v=JcjSDS0bTLg
http://db.netkeiba.com/race/201805030205/

好発からすんなり好位につけると、抑えきれない手応えで直線に向くや早々に先頭に立ち、同じディープ産駒のダノンファンタジーが追いすがってきたので、一発だけ鞭を入れましたが、終始余裕のあるまま押し切りました。
勝ちタイムの1分33秒6は、いかに馬場状態が良いといっても、ちょっと途轍もない時計で、この時期の新馬戦では目にしたことがないものですが、あとで判明したとことでは、東京競馬場の新馬戦レコードだそうです。
時計の速さもさることながら、その時計を余裕たっぷりに出してしまう内容が素晴らしく、気が早いようですが、この時点で桜花賞の有力候補と言っても、けっして大袈裟ではないと思います。
なお、同じディープ産駒の2着ダノンファンタジーも、グランアレグリアさえいなければ、ニューヒロインの登場と称賛されていたことでしょう。いかにも相手が悪かった感じですが、まだまだ本番まで時間はたっぷりあるので、今後の成長次第では、逆転だって充分ありうるかもしれませんね。

https://www.jbis.or.jp/horse/0001220947/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母タピッツフライは、米24戦7勝。芝のG1を2勝しています。初仔は登録される前に亡くなったようで、グランアレグリアは2番仔になります。
5代母パーフェクトピジョンは、ジャパンCを制したゴールデンフェザントの母。
母系は、カロ、シャーラスタニ、メディシアンなどの出た、ジーンズフォリー牝系。日本では、これといった大物は出ていないようで、帝王賞に勝ったコンサートボーイが目立つ程度でしょうか。

(1)母タピッツフライの配合
グランアレグリアの母父タピットは、2014年から3年連続で北米リーディングサイアーの座に就き、いまや全米ナンバーワンの種付け料で供用されており、アメリカを代表する種牡馬です。父系は、ボールドルーラー系ですが、一時期かなり衰退しつつあったこの系統を支えてきたのが、シアトルスルー~エーピーインディ~プルピット~タピットの系統です。現在では、ボールドルーラー系といえば、このラインを指すといっても過言ではありません。
タピットの配合的特徴として、まず目につくのは、ミスプロ3×4のクロスと、ニジンスキー5×3のクロスでしょう。

タピッツフライ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001115215/pedigree/

母タピッツフライは、その父タピットの持つクロスを継続しているのが特徴で、ミスプロ4・5×5のクロスと、ニジンスキー6・4×4のクロスとなっています。
さらに、セクレタリアト5×5のクロスもありますが、タピットの父プルピットは、ボールドルーラー系の多重クロスが特徴(ボールドルーラー5・4×5)なので、その点も継続しているわけです。
したがって、タピッツフライの配合は、タピットの特徴をそのまま継続している点にあると言えるでしょう。
ディープ×母父タピットの配合は、これまで6頭がデビューして、4頭が勝ち上がり(全て中央)、まだ重賞勝ち馬は出ていませんが、現3歳のアルーシャは、クイーンCで3着に入るなど、6戦2勝2着1回3着2回とまずまずの活躍を見せています。

(2)バークレアの組み合わせのクロス
ディープの祖母バークレアの血の活用を重視されているのは、望田淳氏ですが、タピッツフライにはオリオールの血があるので、バークレアとの組み合わせのクロス(ドナテロ、ハイぺリオン、フェオラ~サンインローが共通)が生じています。
成長力や大レースでの底力などが期待できるでしょう。

(3)フェオラのクロス
母タピッツフライの配合の特徴として、当ブログ的には、フェオラ(ディープの6代母)8×9・7のクロスを持つことも指摘しておきたいところです。フェオラのクロスを持つ繁殖牝馬は、ディープと好相性というのは、当ブログ独自の主張ですが、具体例としては、モシーン(プリモシーンの母)、ドリームオブジェニー(ファンディーナの母)、クロカミ(カミノタサハラの祖母)、ターピテュード(サトノラーゼンの祖母)、ペンカナプリンセス(ワールドインパクトの母)、ブルーミンバー(トーセンブレスの母)などがあげられます。

(4)まとめ
母タピッツフライは、タピットの要素を増幅したシンプルな配合ですが、(2)や(3)で見た通り、ディープとの相性のよさも確保されており、なかなかの好配合でしょう。大物も狙える配合だと思いますが、しいて言うなら、ナスルーラやロイヤルチャージャー、ミスプロなどの柔らかい血が多めで、馬体に芯が通るまでに時間がかかる面があるかもしれません。しかし、現時点でもこれほどの走りが出来るのですから、さほど心配はいらないかもしれませんね。

https://ameblo.jp/gurigurikun1/image-12357864218-14143799229.html

引き続き、馬体のほうも見ていきましょう。
馬体画像は、自分が見た範囲では、「POGの王道」にしか載っていないようです。いかにもディープ産駒の2歳牝馬という体型で、あまり母方の要素は表に出ていないように思われます。
POG本に記載されていた馬体重は、452キロでしたが、デビュー戦の馬体重は、458キロでした。ふつう、北海道から本州の育成場に移り、トレセンに入厩し、デビュー戦を迎えるまでには、20~30キロは馬体重が減るものです。しかし、僅かとはいえ馬体重が増加しているということは、ほんの2ヶ月ちょっとの間に、大幅に馬体重が増えたことを意味します。そうした成長力も、今回の圧勝劇につながっているのでしょう。

最後に、今後の展望について。
現時点では、とくに言うことは何もありません。故障さえ無ければ、ふつうに桜花賞の有力候補でしょう。
あとは、距離が伸びてのオークスがどうかということですが、この時期にそれを考えるのは、時期尚早ですよね。まずは、暮れの阪神ジュベナイルフィリーズを目標に進めていくことになるでしょう。

ディープインパクト2歳産駒の馬体評価・2018年版

ダービーも終わり、いよいよPOGも新シーズンですね。
今シーズンは、更新に時間が取れないことも多く、申し訳ありませんでした。来シーズンこそは、うまく時間のやり繰りをしていきたいと思います。
まず、クラシックの結果を踏まえて、昨年のチョイスの駄目出しからいきましょう。

牡馬(2017)
(1)ブレステイキング、(2)ヘンリーバローズ、(3)ヴィンツェンツィオ、(4)スーパーフェザー、(5)ピボットポイント、(6)ヴェルテアシャフト、(7)フィエールマン、(8)ブレイニーラン、(9)カザン、(10)ジナンボーorロードマドリードorグレートウォリアー

牝馬(2017)
(1)リンフォルツァンド、(2)サラキア、(3)ダノンチェリー、(4)プラーナ、(5)サトノワルキューレ、(6)スターリーステージ、(7)レッドヴァール、(8)レッドランディーニ、(9)ヴィルトゥース、(10)プリモシーンorガールズバンドorカーロバンビーナ

牡馬のほうから見ていきますが、今シーズンのディープの牡馬産駒は、POG期間内にG1勝ち馬が3頭(ワグネリアン、ダノンプレミアム、ケーアイノーテック)も出る活躍でしたが、なんと3頭ともPOG本に画像が掲載されていませんでした。これでは、馬体リストをいくら作ってみても、むなしいだけですよね。近年、POGの盛り上がりとは反比例するように、POG取材の難しさも表面化しつつあるようですが、この件などは、そのことを象徴するケースと言えるかもしれません。
リストに取りあげた馬たちでは、ブレステイキング、スーパーフェザー、フィエールマン、グレートウォリアーなどは、それなりに活躍してくれましたし、ヘンリーバローズやジナンボーも、長期休養中ですが、復帰してくれれば大いに期待できると思います。
牝馬戦線のほうは、アーモンドアイという怪物が現われたため、他の馬たちはノーチャンスとなってしまいました。リストの中では、サトノワルキューレとプリモシーンの2頭の重賞勝ち馬が出ています。昨年は、好馬体の牝馬が多く、惜しくも選外となった馬たちも、あえて名前をあげてみたのですが、その中からも、カンタービレ、レッドサクヤ、オールフォーラヴなどが出ており、チョイスの方向性は間違っていなかったと思います。

それでは、反省はそのくらいにして、来シーズンのリストに移りましょう。
なお、ディープ産駒は、土曜日の新馬戦に登録が無かったので、ぎりぎりまで粘らせてもらいましたが、これで最終確定とします。ここ数日タイトルにあった「暫定」の2文字を削り、以後、順位を変更することはありません。

牡馬(2018)
(1)ダノンチェイサー(サミター16)、(2)トーセンカンビーナ(カンビーナ16)、(3)サターン(シャンロッサ16)、(4)サトノジェネシス(マルペンサ16)、(5)セントレオナード(リリーオブザヴァレー16)、(6)サトノソロモン(イルーシヴウェーヴ16)、(7)キタノインパクト(ボンバルリーナ16)、(8)リスト(シルヴァースカヤ16)、(9)サラミス(サロミナ16)、(10)メイショウベルーガ16orサトノエルドール(ミゼリコルデ16)orエールディヴァン(ワイ16)

牝馬(2018)
(1)ミディオーサ(ミスエーニョ16)、(2)ドナアトラエンテ(ドナブリーニ16)、(3)アルテラローザ(レディアルバローザ16)、(4)ミッキーバディーラ(バディーラ16)、(5)ランブリングアレー(ブルーミングアレー16)、(6)シェーングランツ(16)、(7)メッシーナ(シユーマ16)、(8)ラヴズオンリーユー(ラヴズオンリーミー16)、(9)コントラチェック(リッチダンサー16)、(10)ヴァイオリンソナタ(ファーストバイオリン16)orトーホウルス(トーホウガイア16)orダイアナブライト(チェリーコレクト16)

まず、全体的な傾向から。
牡馬は、例年なみの水準だと思いますが、今年の特徴としては、POG本などで話題になっている馬たちの体型が非常にバラエティに富んでおり、逆に言うと、いかにもディープ産駒といった体型の馬が少なめだと思われます。それはそれで悪いことではないのですが、馬体の比較の難易度は高くなっています。
牝馬のほうは、昨年の好馬体の大量ラッシュには及ばないものの、なかなか粒ぞろいでしょう。
牡牝共通の傾向としては、今年はトモの立派な馬が多いのが目につきます。ディープ産駒といえば、スマートで格好いいけれど、トモのボリュームはもうひとつという馬が多いのが相場でした。しかし、今年は過去の通例とは異なるケースが目立つので、注意が必要でしょう。

それでは、牡馬のほうから1頭ずつコメントを付けていきます。
牡馬の1位については、今年は迷うことなく、ダノンチェイサーに決めました。誰が見てもいい馬だと感じるはずですし、それでいてディープ産駒らしさも失っていません。しいて、POG的な注意点をあげるとすれば、ダービーよりもNHKマイルという可能性はあるでしょう。とはいえ、皐月賞は問題ないと思いますし、それほど心配する必要はないと思います。
2位のトーセンカンビーナは、ダノンチェイサーと同じくセレクトセールの高額落札馬ですが、価格に見合ったほどには話題になっていないような気もします。まず、全姉カーロバンビーナが現時点で未勝利という点ですが、400キロを切るか切らないかという馬格の無さが原因で、こちらの弟のほうは、そこそこサイズがあるので問題ないでしょう。それから、ほとんどPOG本に画像が掲載されていない点については、3月の段階で早くも山元トレセンに移動したため、取材が間に合わなかったということのようです。自分が知る限りでは、「POGの王道」に画像が載っていますが、トモの立派さは目を引きますし、性別は違いますが、ちょっとハープスターを思わせるような、パンチのある馬体だと思います。
3位は、かなり迷いましたが、サターンにしました。全姉カンタービレは、フラワーC に勝っています。体型的には、お姉さんそっくりですが、小柄だった姉に対して、弟のほうは現時点で500キロを超える恵まれた体格ということで、より大物感がありますね。三嶋牧場の生産馬ですが、育成はノーザンFで行われているというのもポイントでしょう(姉は三嶋牧場での育成でした)。
4位のサトノジェネシスは、サトノダイヤモンドの全弟です。POG本では、やたらと全兄には似ていないというコメントが並んでいるようですが、個々のパーツごとに比較すれば、むしろ共通点のほうが圧倒的に多いのではないでしょうか。にもかかわらず、兄弟の体型が違って見える最大の理由は、胴の長さにありそうです。お兄さんは、ディープ産駒の中でも、かなり胴長の部類でしょう。弟のほうは、標準的な胴の長さなので、その違いがどうしても目につくのだと思います。しかし、サトノダイヤモンドは、その極端な胴長体型のせいで、かえって好き嫌いの分かれる馬体だったとも言えます(自分もすっかり惑わされてしまいました)。サトノジェネシスのほうは、その点では、馬体のよさがストレートに伝わりやすいと思います。POG本の「似てない」コメントは、あまり気にしすぎないほうがよいでしょう。
5位のセントレオナードは、ヴァンキッシュランの全弟。体型的には、非常によく似ていると思いますが、あえて言うなら、弟のほうがいくらかスマートでしょうか。セントレオナードも、POG本に馬体画像がほとんど載っておらず、掲載されているのは「丸ごとPOG」くらいです。トーセンカンビーナと違って、掲載誌の少ない理由は不明。
6位のサトノソロモンは、馬体のバランスが明らかにおかしいです。前躯は、ディープ産駒らしいスマートなシルエットなのですが、それに対して、トモのサイズは、ちょっと常軌を逸した巨大さなのです。前述のように、今年のディープの2歳産駒には、トモの立派な馬が多いのですが、サトノソロモンの場合、立派とか何とかいう範囲には到底おさまりきらないでしょう。前例の無いケースなので、どう評価してよいか迷ったのですが、こういう得体の知れない馬は、とりあえずリストに入れておいた方がよさそうだという結論です。
7位のキタノインパクトは、全兄が3頭もいながら、トータルで1勝もしていないという点をどう考えるかでしょう。ふつうなら、地雷案件として処理すべきなのかもしれませんが、そうするには、馬体の出来が良すぎます。4度目の正直を期待して、リストに入れておくことにします。
8位のリストは、オリハルコンシルバーステートヘンリーバローズの全弟。体型的には、シルバーステートに似ています。この一族の問題は、やはり脚元の弱さでしょう。昨年のヘンリーバローズも、ワグネリアンがダービー馬になったことを考えれば、無事だったらと思ってしまいますよね。
9位のサラミスは、サロニカ&サラキアの全弟。しかし、体型的には、まったく似ていません。小柄な姉たちに対して、弟は現時点で520キロもあり、体型的にも胴の長さが目立ちます。小柄なのも心配ですが、520キロというのも大きすぎてデビューが遅れるのではないかという不安があります。馬体は大物感がありますし、配合的にも再現性が高そうなので、空振りしにくいタイプですが、あとは大きすぎないかどうかの判断だけですね。
10位は、1頭に絞りきれず、3頭を10位タイとさせてもらいました。
メイショウベルーガ16は、メイショウテンシャの全弟。お兄さんの成績が平凡なので、あまり話題になっていないようですが、馬体の出来は、弟のほうが数段上だと思います。人気の盲点になりそうなので、中~下位でフルスイングしても面白そうですね。
サトノエルドールも、全姉兄があまり活躍していないので、サトノ軍団のわりには、そこまで人気にならなさそうです。しかし、いかにもディープ産駒らしい、コンパクトでシャープな体型は目を惹きます。画像は、ネット上には見当たりませんでしたが(有料画像ならあります)、こちらの動画が、きちんと静止した映像を撮ってくれているので、画像の代わりにどうぞ(37分12秒すぎから)。
エールディヴァンは、ちょっとサドラーズウェルズ色が強めなのは気になりますが、ホームランか三振かというタイプでしょう。多少のリスクを怖れず、思い切りバットを長く持って振り回してみたい人にお薦めします。こちらも、画像の代わりに、先ほどの動画にリンクしておきます(36分7秒すぎから)。

引き続き、牝馬のほうもコメントを。
1位に選んだミディオーサは、全体的には、いかにもディープの牝馬産駒という体型ですが、この手のタイプには珍しくトモが立派で、馬格にも恵まれています。馬体面では、非の打ち所がないでしょう。
2位のドナアトラエンテは、お馴じみのドナブリーニ産駒。さすがに年齢が高くなってきたので、もう打ち止めだろうという声もありますが、ドナアトラエンテは、ジェンティルドンナほどではないにせよ、そこそこサイズもありますし、皮膚の薄い美しいシルエットは、目を惹きつけます。トモのボリュームもありますし、久しぶりの当たりではないでしょうか。
3位のアルテラローザは、ロードアルバータオールフォーラヴの全妹。体型的には、オールフォーラヴのほうに似ていますが、こちらの妹のほうが大物感があります。ディープ×母父キングカメハメハの配合は、ワグネリアンがダービー馬になるなど、このところ絶好調ですね。
4位のミッキーバディーラは、ダノンプラチナ&リボンフラワーの全妹。馬体は、こちらの妹が最も出来がよいと思います。ダノンプラチナを上回る活躍を期待したいですね。
5位のランブリングアレーは、非常に馬格に恵まれています。シンボリクリスエスの血が入った馬は、とにかくある程度以上のサイズがないと話にならない側面があります。その点、全姉や全兄は、それほど大きくなかったので、あまり活躍できませんでした。一方、こちらの妹のほうは、現時点で490キロもあるので、条件はクリアしています。
6位のシェーングランツは、ソウルスターリングの半妹。正直、2歳のPOGシーズンのソウルスターリングの馬体は、いかにももっさりしていて、とても後のG1馬とは思えません。この時期の馬体の出来という点では、妹のシェーングランツのほうが、数等上だと言ってかまわないでしょう。
7位のメッシーナは、ヘリファルテブレステイキングの全妹。いかにも、ディープの牝馬産駒らしい、皮膚の薄いスマートな馬体ですね。ただ、全兄は2頭とも素質に恵まれているものの、デビューが遅めという問題点がありました。POG的には、少し気になりますね。
8位のラヴズオンリーユーは、ラングレーリアルスティールプロディガルサンカデナダムールの全妹。全兄姉の中では、牝馬のカデナダムールだけが空振りということで、すこし心配されている人もいらっしゃるかもしれません。しかし、カデナダムールの問題点は体質の弱さで、とくに故障があったわけでもないのに、たった3戦で引退となってしまいました。体質の弱さは、画像からは判断できませんが、すくなくとも、牝馬だから駄目だったというわけではありません。ラヴズオンリーユーは、牝馬にしてはそこそこサイズもありますし、馬体の出来もよいと思います。
9位のコントラチェックは、バウンスシャッセやムーンクエイクの半妹。牝馬ながら、馬格に恵まれていて、大物感のある馬体です。
10位は、牝馬のほうも1頭に絞り切れず、申し訳ありませんが、3頭を10位タイとさせてもらいます。
ヴァイオリンソナタは、牝馬にしては力強さがあり、飛節のキレのよさは目立ちます。全兄バリオラージュは、あまり走っていませんが、こちらの妹の馬体の出来はよいと思います。
トーホウルスは、菊花賞馬トーホウジャッカルの半妹。クラシックホースの妹のわりには、あまり話題になっていないようですが、牝馬にしては非常に馬格に恵まれています。体型的には、ディープ×母父アンブライドルズソングの配合でよく見かけるシルエットで、今年でいえば、ミッキーバディーラと同傾向の馬体です。
ダイアナブライトは、ダノングレースの全妹。お姉さんは馬格がなくて苦労しており、妹のほうも大きいとは言い難いので、サイズ面の不安はあります。しかし、体型的には、ダノングレースより数段上でしょう。

参考・2011~2016年版

牡馬(2011)
(1)ダノンドリーム、(2)ディープブリランテ、(3)エックスマーク、(4)アーカイヴ、(5)トーセンホマレボシ、(6)モンテエクリプス、(7)ワールドエース、(8)ディサイファ、(9)アーデント、(10)ロードアクレイム
牝馬(2011)
(1)マトゥラー、(2)ジョワドヴィーヴル、(3)ジェンティルドンナ、(4)アンチュラス、(5)ヴィルシーナ、(6)エポキシ

牡馬(2012)
(1)カレンバッドボーイ、(2)キズナ、(3)アドマイヤキンカク、(4)トルストイ、(5)コメットシーカー、(6)ラウンドワールド、(7)ケイティープライド、(8)サトノノブレス、(9)ハッピーモーメント、(10)ジューヴルエールorサトノプレステージorラストインパクト
牝馬(2012)
(1)ラキシス、(2)ラストグルーヴ、(3)ファイアマーシャル、(4)ミライエ、(5)デニムアンドルビー、(6)バリローチェ、(7)レッドオーヴァル、(8)シュぺトレーゼ

牡馬(2013)
(1)ローハイド、(2)トーセンマタコイヤ、(3)キミノナハセンター、(4)トーセンスターダム、(5)サトノアラジン、(6)オリハルコン、(7)サトノルパン、(8)ベルキャニオン、(9)パリーアーク、(10)エーデルグランツorガリバルディ
牝馬(2013)
(1)レッドメイヴ、(2)ハープスター、(3)カノーロ、(4)エルノルテ、(5)キュリオスティー、(6)スナッチマインド、(7)サンドラバローズ、(8)サトノエカテリーナ、(9)クイーンズシアター、(10)ポーシアorディープラヴ

牡馬(2014)
(1)ラヴィダフェリース、(2)レゲンデ、(3)ティルナノーグ、(4)リアルスティール、(5)サトノシュプリーム、(6)モンドインテロ、(7)アヴニールマルシェ、(8)ポルトドートウィユ、(9)アンタラジー、(10)エイムハイorディープフォルツァ
牝馬(2014)
(1)タッチングスピーチ、(2)パラダイスリッジ、(3)マイスフォルテ、(4)ショウナンアデラ、(5)クルミナル、(6)デビュタント、(7)ステラスターライト、(8)サトノシャルマン、(9)コンテッサトゥーレ、(10)パピーラヴ

牡馬(2015)
(1)リライアブルエース、(2)ケイブルグラム、(3)プロディガルサン、(4)マツリダバッハ、(5)ポルトフォイユ、(6)フォイヤーヴェルク、(7)ロイカバード、(8)レヴィンインパクト、(9)レーヴァテイン、(10)ロードプラチナム
牝馬(2015)
(1)ラルク、(2)パーシーズベスト、(3)リボンフラワー、(4)エイシンティンクル、(5)アッパレドンキ、(6)ミニョンレーヌ、(7)フォルテミニョン、(8)レッドアヴァンセ、(9)レッドアルカナ、(10)ニシノハナムスメorパローマorリーチザハイツ

牡馬(2016)
(1)ダブルバインド、(2)サトノアーサー、(3)ムーヴザワールド、(4)ザウォルドルフ、(5)ロードアルバータ、(6)ジェニアル、(7)アドミラブル、(8)サトノポラリス、(9)モクレレ、(10)グレンマクナスorクリアザトラック
牝馬(2016)
(1)ジュンテオドーラ、(2)フローレスマジック、(3)ヴィニー、(4)アーキタイプ、(5)アルミレーナ、(6)オーロラエンブレム、(7)カデナダムール、(8)オンリートゥモロー、(9)レッドオルガ、(10)ユイフィーユorエレクトロニカorパールズシャイン

追記
見やすい画像が入手できた場合、画像の追加や差し替えは随時行なう予定です。

追々記
ここ2年ほど、番外編としてひっそり行なっている、馬体の大穴企画ですが、昨年は4頭を取りあげ、勝ち上がったのは1頭だけでした。ダノンフォーチュンは、けっこういい線まで行きそうだったのですが、3戦目で大敗したあとに休養に追い込まれてしまったので、なにかアクシデントがあったのでしょう。
例年、牡牝2頭ずつあげていますが、今年は特別に牡馬を1頭増やして、5頭あげてみたいと思います。

牡馬
ロジャーバローズ(リトルブック16)、インランジェリー16、エデリー(ヴァレリカ16)
牝馬
ダンサリーノ(グッドウッドマーチ16)、キープオンゴーイン(レディジョアン16)

ロジャーバローズは、ジェンティルドンナの8分の7同血の従弟にあたります。飛野牧場の生産馬ですが、育成はノーザンFで行われています。馬体画像は、「最強のPOG」にしか載っていないようですが、それを見るかぎり、すこし線は細いものの、そこそこジェンティルドンナに似た体型のようです(そっくりというほどではありませんが)。
インランジェリー16は、今年の千葉サラブレッドセールの目玉と期待されていましたが、5000万円で声がかからず、まさかの主取りに終わりました。社台Fのブランド力の低下を示す衝撃的なシーンでしたが、しかし、この馬体の出来で5000万円なら、個人的には格安だと思います。けっして天邪鬼というわけではなく、ふつうに好馬体だと思いますので、主取りの件でPOG的には人気が暴落しそうですから、例年4頭の大穴コーナーの枠を1つ増やして、こちらで取りあげることにしました。
エデリーは、ワールドエースの4分の3同血の甥。大穴というほどではないかもしれませんが、今年の2歳にはワールドエースの全弟もいるので、非社台系のこちらは、案外、人気の盲点になりそうな気配です。
ダンサリーノは、香港やイギリスでG1戦2着4回のゴールドファンの半妹。これも、意外なほど話題になっていません。本来なら、大穴コーナーで扱ってはいけないレベルの馬だと思うのですが。
キープオンゴーインは、全姉兄4頭で、合わせて1勝という、キタノインパクト同様の地雷物件。しかし、この妹の馬体の出来はなかなかで、5度目の正直に期待します。

POG新シーズン、いよいよ始動

桜花賞&皐月賞が終わりましたが、はやくも来期のPOGが動き始めています。
各種POG本の発売も、例年より多少早めのようですし、ネットでは、すでに2歳馬の馬体画像の公開を始めたところもあるようです。
今回は、馬トクとウマニティの2歳馬画像特集を紹介します(ウマニティのほうは無料登録が必要)。ぜひチェックしてみてください。

馬トクPOG 2歳馬 牧場別特集&一口クラブ特集
https://umatoku.hochi.co.jp/pog_pickup2018

ウマニティPOG カラーパドック
http://pog.umanity.jp/2018/search/special/paddock.php

速報・セレクトセール2017~初日

今年も、ディープ産駒を中心に、セレクトセール初日の模様を振り返っておきましょう。
初日の売り上げは非常に好調で、過去最高だった昨年の初日を上回る新記録だったそうです。

リッスン16
http://www.jrha.or.jp/select/2017/107.html
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/ae/cec18dc2f4ce4440af3881118e9761e7.jpg
https://www.youtube.com/watch?v=Pco9FDv4kYI
http://www.jbis.or.jp/horse/0001221390/pedigree/

初日の最高落札価格は、リッスン16の2億7000万円でした。
落札者は、里見治氏。
素晴らしい出来で、個人的には初日に上場されたディープ産駒の中で最も良く見えました。リッスンの牡馬産駒としても、1歳の時点では過去最高の出来だと思います。
どうしても春のクラシックに間に合わない晩成血統という問題点はありますが、これぽどの出来ならば、この価格も仕方ないでしょう。
なお、池江厩舎に預けられる予定とのこと。

シルヴァースカヤ16
http://www.jrha.or.jp/select/2017/013.html
http://www.keibalab.jp/img/upload/topics/201707/170710select013.jpg
http://www.jbis.or.jp/horse/0001217012/pedigree/

初日の2番目の高額落札は、シルヴァースカヤ16の2億6000万円。
落札者は、キーファーズでした。
1歳上の全兄ヘンリーバローズは、2年前のセレクトセールの当歳の部に出て、1億2000万円でしたから、大幅に値上がりしましたね。もちろん、シルバーステートの復帰後の快進撃が背景にあると思われますし、ヘンリーバローズの順調な成長ぶりも影響があったでしょう。体型的には、シルバーステートの1歳時に似ていますね。
キーファーズが落札ということは、鞍上は武豊騎手で決まりでしょうか。

サミター16
http://www.jrha.or.jp/select/2017/053.html
http://www.keibalab.jp/img/upload/topics/201707/170710select053.jpg
http://www.jbis.or.jp/horse/0001221718/pedigree/

初日の3番目の高額落札馬は、サミター16で、金額は2億5000万円。
落札者は、ダノックス。
馬体の出来が素晴らしく、高額落札が予想されていたようですが、前評判どおりの結果となりました。
ディープ×母父ロックオブジブラルタルというと、ミッキーアイルが思い出されますが、配合的には、こちらのほうが個人的に好みです。ちなみに、ミッキーアイルもセレクトセールの出身で、7600万円で落札されています。

シャンパンドーロ16
http://www.jrha.or.jp/select/2017/098.html
http://www.keibalab.jp/img/upload/topics/201707/170710select098.jpg
http://www.jbis.or.jp/horse/0001221899/pedigree/

初日の落札額第4位は、シャンパンドーロ16の1億9500万円。
シャンパンドーロの産駒は、毎年のように高額で落札されており、昨年も全兄カザンが、2億3500万円の値を付けました。今年の弟も、馬体面では遜色なく、この価格もやむなしでしょう。

ラヴズオンリーミー16
http://www.jrha.or.jp/select/2017/078.html
http://www.keibalab.jp/img/upload/topics/201707/170710select078.jpg
http://www.jbis.or.jp/horse/0001221351/pedigree/

初日7番目(牝馬ではトップ)の高額落札馬は、ラヴズオンリーミー16で、価格は1億6000万円。
落札者は、DMM.com。
おなじみのラヴズオンリーミー産駒は、今年も良い出来でした。
落札者のDMM.comから、一口馬主クラブの設立が発表され、本馬も募集ラインアップに加わるようです。

初日に1億円の大台を超えたのは、ディープ産駒8頭、キングカメハメハ産駒3頭、ハーツクライ産駒3頭、ロードカナロア産駒1頭でした。
ディープとキングカメハメハについては、例年通りの活躍でしたが、今年はハーツクライの健闘も目につきましたね。また、新馬戦での好調ぶりを受けて、ロードカナロア産駒の評価も上昇してきたようです。
明日の当歳の部は、どうのような展開になるのでしょうか。

参考動画

セール初日終了後の吉田勝己氏のインタビュー
https://www.youtube.com/watch?v=F9Cn1kBAMmo

速報・セレクトセール2016~二日目

初日に続き、セレクトセールの二日目について、ディープ産駒を中心に見ておきましょう。
二日目の売り上げも好調で、初日と合わせたセール全体の売り上げは、史上最高記録を更新しました(日刊スポーツ)。

イルーシヴウェーヴ16
http://www2.jrha.or.jp/select/2016/328.html
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/15/3c9d5b107c4d3e65b990fb0e93696a84.jpg
https://www.youtube.com/watch?v=v-2_fiEyqDQ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001221898/pedigree/

二日目の最高価格馬は、イルーシヴウェーヴ16とマルペンサ16の2頭で、落札額は、2億8000万円でした。
落札者は、2頭ともに、里見治氏です。
まず、イルーシヴウェーヴ16のほうから見ていきますが、母イルーシヴウェーヴは、仏1000ギニーなど重賞4勝。1歳上の全姉は、昨日のセレクトセール初日に、5400万円でキャロットファームに落札されています。
正直、当歳馬の良し悪しは、さっぱり判りませんが、昨日のお姉さんは非常に見栄えのする馬で、5400万円はお買い得だったと思いますが、性別が違うとはいえ、それをはるかに上回る評価を得たわけですから、期待してよいのでしょう。
見た目だけでいえば、サトノアラジンの当歳時に似ていると思います。
また、里見氏と競り合ったのは、いまや世界トップクラスの生産者であるクールモアだったようです。

マルペンサ16
http://www.jrha.or.jp/select/2016/389.html
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/e5/586317f4f44e2b214d4e87510f2688df.jpg
https://www.youtube.com/watch?v=hfnnUUq5Kw4
http://www.jbis.or.jp/horse/0001221695/pedigree/

もう1頭の最高価格馬である、マルペンサ16は、サトノダイヤモンドの全弟であり、急逝した母マルペンサの最後の産駒ともなりました。
そうした経緯から、里見氏が競り落としにいくだろうと予想され、実際そのとおりになりました。
サトノダイヤモンドも3年前のセレクトセールの当歳の部に出場し、2億3000万円の高額で落札されましたが、この兄弟は瓜二つといってよいくらい似ていますね。
素人目には、イルーシヴウェーヴ16よりも良さの判りやすい馬ですね。誰が見ても好馬体だと思うのではないでしょうか。

マンデラ16
http://www.jrha.or.jp/select/2016/485.html
http://keibalab.jp/img/upload/topics/201607/160712_mandela2016.jpg
http://www.jbis.or.jp/horse/0001218645/pedigree/

本日3番目の落札価格となったのは、マンデラ16の2億4000万円でした。
落札者は、大塚亮一氏。
ワールドエースの全弟ですが、なかなか上品な馬体だと思います。

カンビーナ16
http://www.jrha.or.jp/select/2016/378.html
http://keibalab.jp/img/upload/topics/201607/160712_cambina2016.jpg
http://www.jbis.or.jp/horse/0001221901/pedigree/

本日4番目となる2億3000万円で落札されたのは、カンビーナ16です。
落札者は、ここまで鳴りを潜めていた島川隆哉氏。
馬体的には、あまり大きな特徴は無いように思われますが、アルザオグレンスタル3×4の相似クロスは興味深いです。

セリメーヌ16
http://www.jrha.or.jp/select/2016/357.html
https://pbs.twimg.com/media/CnIkLI0UcAEJRDC.jpg
http://www.jbis.or.jp/horse/0001221650/pedigree/

本日第5位の落札価格馬は、セリメーヌ16でした。落札額は、1億8000万円です。
落札者は、ダノックス。
個人的には、やや高めかも。

ファイナルスコア16
http://www.jrha.or.jp/select/2016/346.html
http://keibalab.jp/img/upload/topics/201607/160712_finalscore2016.jpg
http://www.jbis.or.jp/horse/0001222569/pedigree/

二日目の牝馬の最高価格馬は、ファイナルスコア16でした。落札額の1億5500万円は、当歳全体では7番目の価格です。
牝馬らしくて、非常に美しい馬だと思います。

ディープ産駒の勢いは、二日目も健在で、1億円の大台を超えた馬は9頭でした。初日の1億円馬は10頭でしたから、セール全体で19頭もの1億円ホースが誕生したわけです。しかしながら、それらのすべてが活躍するわけではないのも確かであり、いずれ明暗くっきり分かれる時が来るでしょう。はたして、真の勝利者となるのは、どの馬なのでしょうか。

参考動画

セール終了後の吉田照哉氏のインタビュー
https://www.youtube.com/watch?v=QxD7rDr39Kc
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