DP-Blog

ディープインパクト産駒を研究してPOGでの勝利を目指すシロウト競馬ファンの奮闘記

2010年産

阪神牝馬S戦評(編集中)

スマートレイアーの勝った阪神牝馬Sを振り返っておきます。

https://www.youtube.com/watch?v=OxdVt5WSLA4
http://db.netkeiba.com/race/201609020511/

http://www.jbis.or.jp/horse/0001121015/pedigree/

5歳(エリザベス女王杯)
http://www.keibado.com/keibabook/151116/photo08.html

(以下、編集中)

CBC賞戦評(編集中)

ウリウリが、ディープ産駒として初の1200mの重賞を制した、CBC賞について振り返っておきます。

https://www.youtube.com/watch?v=RXdT_PIdSEk
http://db.netkeiba.com/race/201507030211/

http://www.jbis.or.jp/horse/0001125960/pedigree/

http://www.keibado.com/keibabook/150706/photo01.html

(以下、記事を編集中です)

金鯱賞レース結果

金鯱賞は、ラストインパクトが勝ち、2着もサトノノブレスということで、ディープ産駒のワンツーでした。
というわけで、本来はしっかりレビューすべきなのですが、11月下旬にひいた風邪をこじらせ長引かせてしまった関係で、ブログの更新に大幅な遅れが生じております。ラストインパクトもサトノノブレスも、今年は何度か取りあげた常連さんということで、申し訳ありませんが、今回はレース結果を記録として残しておくだけにとどめたいと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=aAE99GDqDHU
http://db.netkeiba.com/race/201407040111/

ラストインパクト
http://www.jbis.or.jp/horse/0001120507/pedigree/
サトノノブレス
http://www.jbis.or.jp/horse/0001110862/pedigree/

エリザベス女王杯回顧

すっかり風邪をこじらせてしまい、更新が大幅に遅れてしまっています。
なんとか追いつけるよう、元の更新ペースに戻すべく頑張ります。

間があいてしまいましたが、ラキシスが、エリザベス女王杯で念願の初タイトルを獲りましたので、振り返っておくことにしましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=gVNBnWzJ9Vw
http://db.netkeiba.com/race/201408050411/

ヌーヴォレコルトが内から早めに抜け出すところを、直後にピッタリつけていたラキシスが馬体を併せにかかり、最後はラキシスが競り落として、初重賞制覇がG1タイトルとなりました。
確かに、ヌーヴォレコルトは格好の目標にされてしまった意味もありますが、古馬のラキシスは2キロ余分に背負っての勝利ですから、胸を張っていいと思います。
いきなりのG1制覇という点では、ショウナンパンドラやスピルバーグと重なる面もあるのですが、G1出走歴の無かったショウナンパンドラや、G1で好走したことが無かったスピルバーグに対して、ラキシスは昨年の女王杯2着馬ですから、ちょっと事情が違うかもしれません。
なお、ラキシスの次走は、有馬記念出走が濃厚のようです。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001122688/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきましょう。
母マジックストームは、アメリカのダートのG2に勝っています。全妹キャットダンサーは、競走馬としては1勝どまりでしたが、ドリルという産駒が、デルマーフューチュリティS(米2歳G1、オールウェザー7F)に勝ち、姉より一足先にG1馬の母となりました。
4代母ルイアナは、リトルカレント(米2冠馬)やプレイヤーズンプロミシーズ(米G1戦2勝)を出した名繁殖牝馬です。
5代母バンケットベルは、シャトーゲイの母。
母系は、シャトーゲイ、リトルカレント、バーバロなどを出した、米国の名門タスカンレッド牝系。クモハタやゴールドシップの出た、日本の星旗牝系は、星旗がタスカンレッドの孫にあたります。

昨年ブレイクした、ディープ×母父ストームキャットから、今年もG1勝ち馬が出ました。アユサンキズナに続く3頭目のG1馬ということになります。
しかし、キズナやアユサンと較べると、これまでのディープ×母父ストームキャットの成功パターンからは、ちょっと外れているかもしれません。ディープ×ストームキャットの成功パターンとしては、栗山求氏は、それ以外の部分にスタミナを補完する欧州血統があることを、望田潤氏は、母馬にエイトサーティ関連のクロスがあることを、それぞれあげておられますが、母マジックストームは、ほぼ米国血脈一辺倒に近いですし、エイトサーティ≒ウォーアドミラル6×8の相似クロスはありますが、これまで実績のあったエイトサーティ≒ウォーレリックではないので、初めてのケースということになります。
個人的には、ラキシス~マジックストームの成功のポイントとして、ディープ×ストームキャットという配合から考えるよりも、マジックストームの配合そのものが優れているという点から見るべきではないかと思います。とくに、ストームバード≒ニジンスキー2×3の相似クロスにこそ、マジックストームが優れた繁殖牝馬となれた最大の要因がある考えています。
そのように考える理由は2つあり、1つは、ラキシスの体型です。詳しくは、後述の馬体の話を読んでいただきたいと思うのですが、ラキシスは、ディープやストームキャットではなく、ニジンスキーの影響が顕著な馬体をしています。なぜ、ニジンスキーのような、血統表ではいくらか引っ込んだ位置にある馬の体型が前面に出てくるのでしょうか。その問いかけに答えることは、マジックストームのストームバード≒ニジンスキー2×3のクロスを抜きにしては不可能でしょう。
もう1つは、先述のように、マジックストームの全妹キャットダンサーもG1馬の母となっている点です。いくら活気のある系統とはいえ、G2馬のマジックストームに対して、キャットダンサーは単なる1勝馬にすぎません。にもかかわらず、全姉妹そろってG1馬を出したわけですから、最も大切なポイントは、ラキシスやドリルの配合よりも、マジックストーム&キャットダンサー姉妹の配合のほうにあると考えるのは、きわめて自然なことだと思います。
以前にもしばしば触れてきましたが、特徴的で強いクロスを持つ牝馬は、競走馬としてもさることながら、とくに繁殖に上がって大きな成功をおさめやすい傾向があります。
ちなみに、ストームキャット×フォッピーダンサーという配合から生まれた全兄弟は、マジックストーム&キャットダンサーを含めて全部で4頭いますが、重賞に勝ったのはマジックストームだけです。しかし、産駒からG1ウイナーが既に2頭も出ているというのは、単なる牝系の活力からだけでは説明がつかないでしょう。
ディープ×強い特徴的なクロスの牝馬、という観点から過去の活躍馬を整理すると、トーセンラー&スピルバーグ(母馬にグフト4×4)、ハープスター(母馬にノーザンダンサー3×3)、ミッキーアイル(母馬にノーザンダンサー4・4×3)、ヴィルシーナ(母馬にヘイロー≒レッドゴッド3×4・4)、ジェンティルドンナ&ドナウブルー(母馬にノーザンダンサー3×4)、デニムアンドルビー(母馬にヌレイエフ4×2)、スマートレイアー(母馬にリファール3×4)、スマートロビン(母馬にノーザンダンサー2×3)、レッドオーヴァル(母馬にスマーテア4×3)などが代表的です。ありきたりのノーザンダンサーのクロスを別にしても、けっこうな成功例があることが判ります。

4歳・エリザベス女王杯
http://www.keibado.com/keibabook/141117/photo01.html
3歳・エリザベス女王杯
http://www.keibado.com/keibabook/131111/photo06.html
2歳
https://livedoor.blogimg.jp/umajin_pog/imgs/6/e/6e6dcb19.jpg

引き続き、馬体のほうも見ていくことにしましょう。
やはり、血統のほうでも触れたように、ニジンスキーの影響が強く出た体型です。
全弟サトノアラジンにも、多少はニジンスキーの要素もありますが、ラキシスのほうは、もしニジンスキーを牝馬にしたら、ラキシスになるんじゃないかというくらいですね。
ラキシスは、2歳の頃から好馬体で、当時のディープ2歳産駒の馬体評価リストでは、牝馬の1位に推しました。

サトノアラジン(3歳・神戸新聞杯)
http://www.keibado.com/keibabook/140929/photo04.html
サトノアラジン(2歳)
http://www.jbis.or.jp/horse/images/0001137571_2/

ディープインパクト
https://livedoor.4.blogimg.jp/jrdbjp/imgs/2/e/2e0bbb10.gif
ニジンスキー
http://i805.photobucket.com/albums/yy340/MUDMONT/NORTHERN%20DANCER%20AND%20OFFSPRING/Nijinsky-1.jpg

ストームキャット
http://www.sporthorse-data.com/horse/10005113/375/Horse_Storm_Cat-_3big.jpg
ストームバード
http://www.sporthorse-data.com/horse/10005209/673/Horse_Storm_Bird-big.jpg

最後に、次走についてですが、有馬記念への出走を予定しており、鞍上については、クリスチャン・デムーロ騎手と交渉中とのこと(主戦の川田騎手はエピファネイア)。
さすがに、牡馬の一線級ということになると簡単にはいかないでしょうが、今年は京都記念やオールカマーなどのG2でも牡馬相手に好勝負しており、まぎれる展開になるようなら、大番狂わせということも、まんざら夢とばかりも言えないかもしれませんね。

追記
書き忘れていましたが、ラキシスは、これまで3度だけ掲示板を外す凡走をしています(しかも、その内2走は、2桁着順の大敗)が、その原因は馬体重減です。
この馬は、450キロ台前半になったら黄信号、440キロ台になれば赤信号で大敗確実です。
というわけですから、馬体重は気を付けてチェックしておいてほしいと思いますが、将来的には、460キロ台で競馬できるようになれば理想的でしょう。馬体重が微妙に変動して不安定なタイプなので、しっかり食べたものが身になり、安定して460キロ台で走れるようになれば、自身にとっての全盛期を迎えるということになるでしょう。

京都大賞典戦評

ラストインパクトが、京都大賞典を勝ちましたので、振り返っておきましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=ADf0v__1CgA
http://db.netkeiba.com/race/201408040311/

レースは、人気薄だったトゥザグローリーが引き離しての逃げとなったので、有力馬が後方で牽制しあう展開となり、2番手のタマモベストプレイと3番手のラストインパクトの2頭に向いた流れとなりましたが、直線もその2頭の叩き合いとなり、ラストインパクトが競り勝って、重賞2勝目をあげました。
トーセンラーは、勝負どころでインに包まれて動けず、馬群をさばいて追い込んできたときには、すでに勝負が終わっていた感のある3着。
まあ、トーセンラーは、いかにも次が本番というレース運びでしたし、今回は、ラストインパクトのみ取りあげることにしましょう。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001120507/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきます。
母スペリオルパールは、3冠馬ナリタブライアンの半妹で、祖母はパシフィックプリンセスです。
母系は、フェアタームズ牝系ですが、日本でのほうが有名な系統でしょう。
ディープ×パシフィックプリンセス一族の配合からは、すでにキズナが出ていますが、繁殖牝馬としてファレノプシスを出して、すでに成功を収めていたキズナの母キャットクイルと異なり、スペリオルパールのほうは、ラストインパクト以前にこれといった産駒を出していないので、ディープとの相性という側面が大きいようです。
以前にも触れたのですが、パシフィックプリンセス一族は、お相手の種牡馬を選り好みするようなところがあります。まず、ブライアンズタイムをパートナーとして黄金時代を築きましたが、ブライアンズタイムの失速とともに、パシフィックプリンセス一族の勢いもピタッと止まってしまい、あのサンデーでさえ大きな結果を残すことが出来ませんでした。
そこへ現われたのが、ディープというわけで、ディープとのコンビで一族の第2の黄金時代が到来する可能性が出てきました。
なぜ、ブライアンズタイムやディープは良くて、サンデーでは駄目なのでしょうか?
そのポイントは、パシフィックプリンセスの母フィジーの配合にあると考えられます。

ナリタブライアン
http://www.jbis.or.jp/horse/0000249114/pedigree/

ブライアンズタイムのBMSグロースタークの母フラワーボウルと、3代母フィジーの間に、組み合わせのクロス(ブードワードナテロ、ハイぺリオン、サンインローボンゴが共通)が生じているのが見てとれます。これも以前に触れましたが、望田潤氏によれば、ブライアンズタイムの配合の鍵は、フラワーボウルの血の活用にあります。ナリタブライアンは、見事にツボを押さえた好配合と言えるでしょう。
そして、ブライアンズタイム×パシフィックプリンセス一族の配合なら、必ずこの組み合わせのクロスが発生することがポイントです。

キズナ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001120570/pedigree/

それでは、ディープの場合は、どうなのでしょうか。やはり、ディープの祖母バークレアとフィジーの組み合わせのクロス(ドナテロ、ハイぺリオン+ローズレッド、サンインロー≒ボンゴが共通)が生じています。
つまり、ブライアンズタイム×パシフィックプリンセス一族と、ディープ×パシフィックプリンセス一族とでは、配合上のキーポイントが同じであると見なすことが出来るわけです。
繰り返しになりますが、ディープというパートナーが得られたことで、パシフィックプリンセス牝系の第2次黄金時代が到来する可能性は、かなり高いのではないでしょうか。

ディサイファ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000880824/pedigree/

その他では、ラストインパクトの配合は、ディサイファとかなりの共通性があるようです。
まず、両馬のBMSであるティンバーカントリーとドバイミレニアムは、叔父と甥の関係にあり、その父の配合も、ミスプロ×BMSバックパサーと同じパターンになっています。
図式化するなら、「ミスプロ×バックパサー×フォールアスペン」となります。

ティンバーカントリー
http://www.jbis.or.jp/horse/0000333901/pedigree/
ドバイミレニアム
http://www.jbis.or.jp/horse/0000372664/pedigree/

また、ディサイファの母ミズナには、フラワーボウルの血があるので、バークレアとの間に組み合わせのクロス(ブードワー≒ドナテロ、ハイぺリオン、サンインローが共通)が発生するのも、ラストインパクトと同様です。
ディサイファもラストインパクトも、成長がゆっくりなタイプで、ナスキロ的な切れ味よりも、ハイインロー的な地力で勝負するところも似ています。
ここ1~2年ではっきりしてきた点の1つに、ディープ産駒の成長力のエンジンは、やはりハイインローの血にあるということです。この血を大量に抱えていれば、例えば、トーセンラーのような、ディープ×BMSリシウスという一見すると早熟っぽく見える配合でも、古馬になって大きく成長していくことが可能になるわけですね。

http://www.keibado.com/keibabook/141014/photo03.html

続いて、馬体のほうも見ていくことにしましょう。
以前は、かなりゴツゴツした感じの体型でしたが、ここにきて、随分とすっきりしてきたように見受けられます。4歳秋を迎えたということで、そろそろ円熟期に入ってきたのかもしれませんね。

3歳(神戸新聞杯)
http://www.keibado.com/keibabook/130923/photo04.html

ディープインパクト
https://livedoor.4.blogimg.jp/jrdbjp/imgs/2/e/2e0bbb10.gif
サンデーサイレンス
http://www.pharlap.net/wp-content/uploads/2012/06/sundaysilence2.jpg
ティンバーカントリー
http://www.jbis.or.jp/horse/images/0000333901_1/

小倉記念戦評

サトノノブレスが、小倉記念を制して重賞2勝目をあげましたので、振り返っておきましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=20Qcuxz661U
http://db.netkeiba.com/race/201410020411/

天皇賞以来、3ヶ月ぶりのレースとなりましたが、中団から捲っていって、そのまま押し切りました。
非常に強いレース内容でしたが、メンバー中唯一のG2ウイナーですし、小回り向きではないにせよ、ここでは力上位だったということでしょう。
なお、このレースには、ディープ産駒が6頭も出走し、2着のマーティンボロとでワンツーフィニッシュでしたが、今回はサトノノブレスに絞って扱うことにします。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001119611/pedigree/

まず、血統のほうから見ていきましょう。
母クライウィズジョイは、7戦未勝利。
母系は、フォアゴーやボールドフォーブズの出たネリーフラッグ牝系。日本では、ベガやシャダイソフィアなどの名牝が出たことで注目され、ベガの一族からは、アドマイヤベガ、アドマイヤドン、ハープスターなどが出ています。
ディープ×ネリーフラッグ牝系では、サトノノブレスとハープスターが出ており、どちらにもトニービンが絡んでいるという共通点があります。
クライウィズジョイの配合は、トニービンに象徴されるように、ハイぺリオンとナスルーラの融合が柱となっています。スピードのナスルーラと、持久力のハイぺリオンとは、基本中の基本の血ですが、シンプルにこの2つの血を活かそうとする配合でしょう。

トニービン
http://www.jbis.or.jp/horse/0000161740/pedigree/
オールウェイズランラッキー
http://www.jbis.or.jp/horse/0000342274/pedigree/
アンティックヴァリュー
http://www.jbis.or.jp/horse/0000383031/pedigree/

クライウィズジョイの父トニービン、BMSオールウェイズランラッキー、祖母アンティックヴァリューは、いずれも、ハイぺリオン+ナスルーラをベースに組み立てられており、合間に挟まったアイリッシュリヴァーだけがナスキロラトロ配合となっています。
以前にも触れましたが、ディープの配合の核は、ヘイローサーアイヴァーの相似クロスと、サンデーの祖母マウンテンフラワーとディープの4代母ハイライトの組み合わせのクロスにあります。ヘイロー≒サーアイヴァーの相似クロスは、マムタズマハル~ロイヤルチャージャー(ナスルーラと4分の3同血)のスピードの血を活用しており、マウンテンフラワーとハイライトの組み合わせのクロスは、ハイインローの持久力が基盤となっています。つまり、ディープの配合も、その基礎の部分を大雑把に見るなら、ロイヤルチャージャーとハイぺリオンを中心に組み立てられているのであり、トニービンとかスペシャルのような、ハイぺリオン+ナスルーラ型の配合の馬と相性がよいのは、必然であると言えるでしょう。
ただ、サトノノブレスの配合は、あまりにもシンプルすぎて、基本的な部分のハイぺリオン+ナスルーラの増幅以外には、これといった付加価値をもたらす要素に乏しく、例えて言うなら、ど真ん中の直球勝負のようなもので、通用するか否かは、純粋に能力の上下関係による部分が大きいと思います。つまり、まぐれでG1制覇といったタイプではなく、大きなレースに勝つには、自身がそのレベルにまで成長する必要があるということです。成長力に富むハイぺリオンの血が豊富なので、じわじわと強くなってきていますが、G1に手が届くためには更なる成長が求められるでしょう。もちろん、トーセンラーのように5歳の秋になって、ようやくG1制覇というケースもありますから、今後に注目していきたいと思います。

http://www.keibado.com/keibabook/140811/photo04.html

続いて、馬体のほうへ話を移しましょう。
以前にも触れたと思いますが、ディープにもBMSトニービンにも似ておらず、しいて言うなら、サンデー似だと思います。
明らかに、3歳時より馬体がしっかりしてきており、古馬になっての充実ぶりがうかがえますね。

天皇賞・春(4歳)
http://www.keibado.com/keibabook/140505/photo03.html
日経新春杯(4歳)
http://www.keibado.com/keibabook/140120/photo04.html
菊花賞(3歳)
http://www.keibado.com/keibabook/131021/photo04.html
2歳
http://www.jbis.or.jp/horse/images/0001119611_1/
1歳・セレクトセール
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/54/5e2b975ddc8db980cf3760722f7daa1d.jpg

サンデーサイレンス
http://www.pharlap.net/wp-content/uploads/2012/06/sundaysilence2.jpg
ディープインパクト
https://livedoor.4.blogimg.jp/jrdbjp/imgs/2/e/2e0bbb10.gif
トニービン
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/9/99/TonyBin.jpg

阪神牝馬S戦評

阪神牝馬Sにおいて、スマートレイアーが重賞初制覇を飾ったので、振り返っておきます。

http://www.youtube.com/watch?v=THbkjLHBMEc
http://db.netkeiba.com/race/201409020511/

見てのとおり、スタートで3馬身以上の豪快な出遅れでしたが、最後方から直線で全馬を抜き去る圧巻の勝利でした。
大阪杯のキズナを彷彿とさせる末脚でしたが、キズナは別に出遅れたわけではありませんし、今回の1400mという距離を考えても、スマートレイアーの強さが際立つレースだったと言えるでしょう。
2着のウリウリもディープ産駒で、見事なワンツーでした。
ウリウリについては京都牝馬Sのさいに触れましたので、今回はスマートレイアーについてだけ取りあげることにします。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001122688/pedigree/

それでは、血統から見ていきましょう。
やはり、目につくのは、アルザオ≒ダンシングブレーヴ3×3の相似クロスでしょう。アルザオは、リファール×BMSサーアイヴァー、ダンシングブレーヴは、リファール×BMSドローンですが、サーアイヴァーとドローンは、サーゲイロード、ファラモンド、アルシバイアディズ、マームード、サーギャラハッド=ブルドッグなどが共通する相似な関係にあるので、必然的に、アルザオ≒ダンシングブレーヴの関係が成り立つわけです。

アルザオ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000339659/pedigree/
ダンシングブレーヴ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000336853/pedigree/

このアルザオ≒ダンシングブレーヴという相似クロスは、大まかに2つの要素から構成されています。
1つは、両馬の父であるリファール4×4のクロス。リファールのクロスの粘りの効果については、当ブログでもたびたび触れてきました。
もう1つが、ディープにあるヘイローの血も巻き込んで、ヘイロー≒サーアイヴァー≒ドローン3・5×5の相似クロスとなっています。こちらは、切れ味鋭い末脚に寄与します。
この2つの要素が結びつくことにより、鋭いというよりも、追えば何処まででも伸びるような欧州的な末脚が表現されることになるわけです。そうした末脚は、ダンシングブレーヴの現役時代の最大の武器でした。

ダンシングブレーヴ(凱旋門賞、後方の赤い帽子)
http://www.youtube.com/watch?v=f5XaH1F1eII

アルザオ≒ダンシングブレーヴ以外では、ホワイトマズルのBMSエラマナムーが、父母相似配合になっているのですが、父ピットカーンも母ローズバーティンも、ドナテロ、ハイぺリオン、フェアトライアル~サンインローが共通しているので、つまり、両馬ともディープの祖母バークレアと組み合わせのクロスの関係になっています。単純に威力が2倍になるというものではありませんが、非常に強力な組み合わせのクロスであることは間違いありません。
こうして見ていくと、ディープ×BMSホワイトマズルの配合は、アルザオ≒ダンシングブレーヴの相似クロスと、バークレアとエラマナムーの二重の組み合わせのクロスとが同時発生することになり、あるいは、ニックスの可能性もあるのではないでしょうか。
この配合パターンは、現時点では他にもう1例、マスクオフがいるだけです。マスクオフは、5戦1勝2着3回3着1回という堅実な成績でしたが、屈腱炎で早くに引退してしまいました。初勝利の時の2着馬は、準オープン特別に勝っているので、マスクオフも現役を続けていれば、かなりの出世が見込めたと思われます。なお、今年の2歳馬には、この配合の馬が2頭いるので、ちょっと注目してみたいですね。

秋華賞(3歳)
http://www.keibado.com/keibabook/131015/photo03.html

続いて、馬体のほうへ移りましょう。
新しい画像は手に入らなかったので、秋華賞のもので代用します。
ディープ×ノーザンダンサー系の配合によく見られる体型で、なかなかの好馬体だと思います。
ただ、距離適性などは体型からは判断しにくいタイプです。1400mから2000mまで実績を残しているので、オールラウンドなタイプかもしれませんが、逆に言うと、この距離なら強いというものが無いという可能性もあるでしょう。

次走は、ヴィクトリアマイルになると思いますが、今回のレースからすると、有力候補の1頭であることは確かです。これまで、前に行ってみたり後方に待機してみたりと、脚質が定まらないところがありましたが、この勝ち方からすると、後方待機策があっているタイプのようですね。こういう脚質の馬は、武豊騎手の得意分野ですから、本番も楽しみになったと思います。

大阪杯戦評

PCの買い替えでバタバタしておりましたが、そろそろ通常運行に戻していきたいと思います。
キズナが、大阪杯で復帰初戦を飾りましたので、振り返っておきましょう。

http://www.youtube.com/watch?v=fzUKWUoQoUs
http://db.netkeiba.com/race/201409020411/

少頭数ながら、キズナ、エピファネイア、メイショウマンボ、ショウナンマイティらが顔をそろえ、なかなかの豪華メンバーとなりました。
レースは見てのとおり、キズナが最後方から悠然と進めて、直線で豪快に突き抜けての完勝でした。
エピファネイアとは、もっと際どい争いになるかと思いましたが、2歳時に敗れた阪神2000mのコースで、はっきり差をつけて勝ちましたね。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001120570/pedigree/

それでは、血統から見ていきましょう。
以前から指摘しているように、ディープとパシフィックプリンセス一族との相性のよさが、最大のポイントになります。ブライアンズタイムが衰えて以来というもの、相性のいいお相手が見つからず、やや鳴りを潜めていた感のあるパシフィックプリンセス一族ですが、ディープは久々に現われた好相性の種牡馬といえるでしょう。
配合的には、栗山求氏のようにハイライト(ディープの4代母)≒フィジー(パシフィックプリンセスの母)と見るか、望田潤氏のようにバークレア(ディープの祖母)≒フィジーと見るかの違いはあるにしても、ディープの牝系とパシフィックプリンセス一族との、ハイインローをベースにした共通性が好相性の基盤となっていることは間違いないところです。
また、パシフィックプリンセスの父ダマスカスは、バイジミニーブレイドオブタイム3×2の4分の3同血クロスが配合上の核ですが、サンデーの父ヘイローのBMSコズミックボムも同じく4分の3同血なので、ディープ×パシフィックプリンセス一族の配合では、自動的にコズミックボム≒バイジミニー≒ブレイドオブタイムの4分の3同血クロスが生じるのも、相性のよさに寄与しているものと思われます。
もちろん、ディープ×BMSストームキャットのニックスも大事ではありますが、たとえBMSがストームキャットでなくても、ディープ×パシフィックプリンセス一族の配合は成功する確率が高いということは、ラストインパクトが証明してくれています。

続いて、馬体のほうに移りましょう。

大阪杯
http://www.keibado.com/keibabook/140407/photo01.html
ダービー
http://www.keibado.com/keibabook/130527/photo03.html

今回の馬体重は、ダービーの時からプラス20キロという大幅増で、他の有力馬がきっちり馬体重を調整してきた中、数字だけでいえば目立っていましたが、パドックを見る限りでは、数字ほど太いようには見えませんでした。
プラス20キロのうち、かなりの割合が成長分であったように思います。
こうした馬体重の増え方は、いかにもハイぺリオン的であり、トーセンラーなどとも通じるところがあるでしょう(体型的には似ていませんが)。

大阪杯のレースぶりは、まさに完勝と言ってよく、年を越しての更なる成長を見せつけました。
次走は天皇賞ということになりますが、たしかに3200mはベストの距離ではないものの、道悪のロンシャンの馬場をこなしたことを考えると、ガス欠を起こすことは考えにくいでしょう。
あとは、脚質的な問題がどうかということだけだと思います。
キズナは、凱旋門賞でオルフェーヴルと2馬身+首の差でした。対して、ウインバリアシオンやゴールドシップは、有馬記念でオルフェーヴルにブッチ切られています。しかも、キズナは、あれから更なる成長を遂げているわけですから、問題は展開だけだと言えるのではないでしょうか。

条件戦ピックアップ~ヘルデンテノール、ベステゲシェンク、ハッピーモーメント、フィエロ

条件戦の勝ち馬の中から、ヘルデンテノール、ベステゲシェンク、ハッピーモーメント、フィエロの4頭を取りあげます。
まず、ヘルデンテノールから。

https://www.youtube.com/watch?v=vVVW3WMOYrQ
http://db.netkeiba.com/race/201406010912/

腱鞘炎による休養で10ヶ月ぶりのレースとなりましたが、4角を回る時の手応えも抜群で、余裕を持っての快勝でした。サンカルロの半弟として期待されていましたが、以前は不器用さばかりが目立つ感じで、なかなか勝ち切れないレースが続いていましたが、今回は1000万条件とはいえ素晴らしい内容だったので、休養中の成長がうかがえました。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001119618/pedigree/

まず、血統のほうから見ていきましょう。
母ディーバは、14戦3勝で下級条件どまりでした。
祖母ミスセクレトは、イタリアで重賞を3勝し、G1で2着1回3着1回。
半兄サンカルロは、阪神C連覇など重賞4勝。
ただし、母系はそれほどでもなく、近親を見回しても、ミスセクレトとサンカルロの2頭の成績だけが突出している感じです。サンカルロの弟だから良血、とは一概に言えないかもしれません。
配合面では、ディーバのクラフティプロスペクター×セクレト(ノーザンダンサー×セクレタリアト)という配合が、トーセンホマレボシの母エヴリウィスパーやヒストリカルの母ブリリアントベリーを思い起こさせます。

エヴリウィスパー
http://www.jbis.or.jp/horse/0000316487/pedigree/
ブリリアントベリー
http://www.jbis.or.jp/horse/0000232975/pedigree/

見てのとおり、エヴリウィスパー&ブリリアントベリーの配合は、ノーザンテースト×クラフティプロスペクター×セクレタリアトですから、ミスセクレトと類似性の高い配合パターンになっています。
以前にも触れましたが、ディープ×ストームキャットのニックスは、ストームキャットのノーザンダンサー系×セクレタリアトという配合にあり、ディープ×ノーザンダンサー×ナスキロの成功パターンを踏襲しているだけでなく、サーゲイロード≒セクレタリアトの相似クロスが生じるところにポイントがありました。
そして、その成功パターンにクラフティプロスペクターを加えた形でも成功例が続いているわけですから、ヘルデンテノールの配合は、過去の成功パターンに則した配合と考えることが出来ます。
その他では、こうした配合の場合、出来れば母馬にラトロワンヌの血があるとよいのですが、ディーバには残念ながらありません。しかし、そのかわりに、ディーバには、ウォーレリック6・6×5があります。これは、パワーを付加して全体を引き締めるという点で、なかなか効果的なクロスだと思います。

2歳11月頃
http://stat.ameba.jp/user_images/20120711/15/junsaiki/f9/62/j/o0474038412073681340.jpg

続いて、馬体のほうに移りましょう。
最近の画像はないのですが、2歳時の画像が見つかりました。
ナスキロ的な伸びやかさと、米国血脈的な硬さとが融合した感じの馬体ですね。
兄サンカルロには、それほど似ていないようです。

続いて、ベステゲシェンクです。

https://www.youtube.com/watch?v=qMxIRiy7LKs
http://db.netkeiba.com/race/201407020311/

後方から外を回して、直線では突き抜ける強い勝ち方でした。
今回もそうですが、勝つ時は非常に強い内容で期待させるのですが、どうも好走する時とそうでない時の差が激しい感じです。
ただし、ここ3戦の凡走の原因は、太め残りだった可能性が高く、460キロ台まで絞ったことで、末脚が蘇ったという面もあるでしょう。
コンスタントに力を発揮できるようになれば、素材としては、優にオープン級だと思います。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001126132/pedigree/

まず、血統から見ていきます。
母スーヴェニアギフトは、米国で重賞に勝っており、G1でも2着に入ったことがあります。
全姉シュプリームギフトは、オープン特別に勝ち、函館スプリントS2着など。
母系は、ドクターデヴィアスやダンシングレインの出たアルバード牝系で、日本では、シンコウキングやスズカフェニックスが出ています。
ベステゲシェンクの配合では、栗山求氏が指摘されている、ディープ×ミスプロ×ノーザンダンサー×スペシャルのパターンに当てはまっています。このパターンからは、ディープブリランテ、トーセンラー、ヴィルシーナ、デニムアンドルビー、パッションダンスなどが出ています。ミスプロではなくアリダーですが、ミッキーアイルも同じようなパターンと言えるかもしれません(ミスプロもアリダーも、レイズアネイティヴ×BMSナスルーラ系)。
その他では、ポカホンタス5×6や、当ブログでお馴じみ、ハイクレア(ディープの3代母)とフォルリ(ヌレイエフのBMS)の組み合わせのクロスなども効果的でしょう。
また、母スーヴェニアギフトにある、ウォーアドミラルとラトロワンヌをベースにした、ベターセルフ≒ストライキング≒ブッシャー6×6・6も、引き締めに効果があると思われます。

2歳
http://db.netkeiba.com/?pid=picture&type=o&id=25380

馬体のほうに移りますが、こちらも2歳時の画像があります。
ベステゲシェンクは牡馬ですが、ディープの牝馬産駒によく見られるような、いかにもバネのありそうな体型です。距離的には、1600~2000mあたりに向きそうです。
切れ味で勝負するマイラー~中距離馬でしょう。

次は、ハッピーモーメントです。

https://www.youtube.com/watch?v=SAHkXAlezw4
http://db.netkeiba.com/race/201409010707/

500万下の平場戦とはいえ、後方から大外に出しての差し切りは、豪快な内容でした。
4ケ月半ぶりの実戦で、プラス18キロと余裕残しの仕上げでしたが、まったく問題ありませんでしたね。
ディープ×トニービンにありがちな、勝ち味に遅いタイプですが、そのぶん古馬になっての成長に期待できると思います。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001120097/pedigree/

では、血統のほうから見ていきましょう。
母アドマイヤハッピーは、エアグルーヴの4分の3同血の姪にあたります。産駒としては、ウォータクティクスがダート重賞に勝ち、キタサンアミーゴは小倉記念で2着でした。
祖母カーリーエンジェルは、競走馬としては未勝利に終わりましたが、繁殖に上がってからは、オレハマッテルゼやエガオヲミセテなどの活躍馬を出しています。
ハッピーモーメントの配合は、ディープ×トニービン×ジャッジアンジェルーチ×ノーザンテーストですが、ディープ×トニービン×ノーザンテーストの組み合わせからは、グルヴェイグ(マーメイドS)、コティリオン(NHKマイル2着)、ラウンドワールド(オープン特別2勝)など出ました。とくに、グルヴェイグとは、8分の7同血の関係になります。
となると、間に挟まったジャッジアンジェルーチが、どういう種牡馬なのかということになるでしょう。社台Fが輸入した種牡馬のわりには成績はパッとしなかったのですが、BMSとしてはまずまずの成功で、3頭のG1馬を送り出し、とくにサンデー系との相性がよいようです。また、ノーザンテーストとの関係では、ヴィクトリアパークのクロスが発生するのは面白いです。
ジャッジアンジェルーチが挟まっている分、グルヴェイグと較べると、いくらかナスキロ色が強まっていると考えてよいでしょう。

2歳
http://ameblo.jp/rosadoheartscry/image-11278986019-12030781792.html

馬体のほうへ移りますが、またしても2歳の画像だけです。
しかし、いかにもディープ産駒らしい好馬体で、2010年産のディープ産駒の馬体評価リストでは、牡馬の9位にあげました。まだまだ成長の期待できる素材だと思います。

最後は、フィエロです。

https://www.youtube.com/watch?v=tZKXf3NBAfU
http://db.netkeiba.com/race/201408010210/

準オープンとしては、まずまずメンバーの揃った一戦でしたが、後方でじっくり構えて、最後は計ったようにきっちり前をとらえました。
2戦目で大敗した以外は、3着を外さない堅実派で、ついにオープン入りとなりましたが、今日の内容であれば、ハンデ戦のG3くらいなら即通用すると思います。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001110959/pedigree/

それでは、血統から見ていきましょう。
母ルビーは未出走で、ロックオブラルタルの全妹です。
3代母プッシュアボタンは、リヴァーマンの半妹にあたります。
母系は、リヴァーマン、イクスクルーシヴネイティヴ、デピュティミニスターなどが出た、名門コートドレス牝系。日本では、ショウワモダンやアスワンなどが出ています。
ルビーがロックオブラルタルの全妹ということは、変則的ではありますが、ミッキーアイルとは4分の3同血と言うことも出来るわけです。
ただ、血統表から受ける印象は、ずいぶん違います。
まず、ルビーの配合が、ノーザンダンサー(2本)×ナスキロラトロという、ディープと相性のよい形にまとまっている点が目につきます。
ディープ×ルビーでは、プリティウェイズレアトリート5×6(スタイミー、ブルドッグ=サーギャラハッド、ペナント=チェロキーローズが共通)、ポカホンタスリヴァーレディ5×4(プリンスキロ、ローマンが共通)、バークレアとフェアアリシアの組み合わせのクロス(ドナテロ、ハイペリオン、フェアトライアル~サンインローが共通)、エーデルワイスフラワーボウルの組み合わせのクロス(ハイペリオン、サンインロー+シナ、ロックサンド、スウィンフォードが共通)などが注目されるでしょう。
ルビー(=ロックオブジブラルタル)の、ノーザンダンサー×ハイインロー×ナスキロラトロという形が、ストレートに前面に出た配合だと思います。
ミッキーアイルに較べると、雑然とした部分が整理されており、素材の良し悪しが勝負という感じの配合でしょうか。

馬体については、使えそうな画像が無かったので、またの機会ということにします。

小倉大賞典戦評

ラストインパクトが、小倉大賞典で初重賞制覇を飾りましたので、振り返っておきましょう。

http://www.youtube.com/watch?v=N3S--m2T3h0
http://db.netkeiba.com/race/201410010611/

スタートで出負けしたものの、向こう正面で一気に先頭に立つと、そのまま押し切りました。
菊花賞4着の後、準オープン特別を快勝し、ここも危なげなく1番人気に応えています。
本来、ローカルG3を獲りにいくようなレベルの馬ではないと思いますが、オーナーサイドの意向もあるようで、手堅く初重賞制覇となりました。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001120507/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきます。
母スペリオルパールは、ナリタブライアンの半妹で、祖母はパシフィックプリンセス。
前にもキズナがらみの投稿で触れたのですが、ディープ×パシフィックプリンセス一族の相性は、抜群だと思います。キズナの母キャットクイルは、実績のある繁殖牝馬でしたが、スペリオルパールは、これまでさほどの活躍馬を出しておらず、それでも重賞勝ち馬が出るわけですから、今後もディープ×パシフィックプリンセス一族の配合には、大いに期待してよいでしょう。
ディープ×パシフィックプリンセス一族の配合の優れている点は、パシフィックプリンセスの母フィジーが、ディープの祖母バークレアと組み合わせのクロスになる(ドナテロ、ハイペリオンのクロスとハイペリオン&オールムーンシャインの4分の3兄妹クロス、ローズレッド、ボンゴ≒サンインロー、フェアウェイが共通)、あるいはディープの4代母ハイライトと相似クロスをなす(ハイペリオンのクロスとハイペリオン&オールムーンシャインの4分の3兄妹クロス、ローズレッド、ボンゴ≒サンインローが共通)ということにあります。バークレアとのクロスと見るのは望田潤氏の説で、ハイライトとのクロスと見るのは栗山求氏の説ですが、どちらにしても、ディープ牝系とパシフィックプリンセス~フィジーとの関係性は強力です(最大限に拡大解釈すれば、パシフィックプリンセスとバークレアの組み合わせのクロスとさえ見なすことも出来なくもありません)。
また、望田潤氏によると、パシフィックプリンセスの父ダマスカスは、ディープと好相性で、その血を持つ産駒としては、キズナ、カミノタサハラ、ファイナルフォームなどがあげられます。スマートなディープに、アメリカンな馬力をプラスしてくれる血です。また、ダマスカスの配合の核は、バイジミニーブレイドオブタイム3×2の4分の3同血クロス(ファラリス、セレーネ、ブルーラークスパーが共通)にありますが、サンデーの父ヘイローのBMSコズミックボムも同じ配合パターンなので、ラストインパクトでは、コズミックボム≒バイジミニー≒ブレイドオブタイム5×7・6の4分の3同血クロスとなります。
ディープと、パシフィックプリンセス~フィジーとの、こうした密接な関係を考えるならば、ディープ×パシフィックプリンセス牝系の配合は、何度やっても成功する鉄板配合だと思います。

BMSティンバーカントリーについては、菊花賞のさいの投稿でも触れたように、その母のフォールアスペンの血が重要です。
フォールアスペンは、G1勝ち産駒を4頭も出し、孫の代になってもドバイミレニアムのような超大物が出た、20世紀を代表する繁殖牝馬の1頭です。
その配合のポイントは、ハイペリオン3×4とサンインロー5×5という、ハイインローを両方ともクロスさせたところにあります。ディープの4代母ハイライトはハイペリオン3×2+サンインロー、フィジーはハイペリオン≒オールムーンシャイン3×3+ボンゴ(サンインローとは、ダークロナルド、ドノヴァン、マグダレン≒レティセンスが共通)ですから、フォールアスペン、ハイライト、フィジーの3頭のハイぺリオンのクロスを軸にしたつながりの配合は、かなりの威力があるでしょう。
また、ティンバーカントリーとしては、ハイインロー配合のスワップス4×3のクロスがありますが、サンデーの3代母エーデルワイスは、スワップスと配合が似ている(ハイペリオン+エクレア、サンインロー、マンノウォー、サーギャラハッドが共通)ので、ラストインパクトとしては、エーデルワイス≒スワップス5×6・5の相似クロスとなっています。

ディープ×BMSティンバーカントリーという見た目とは異なり、ラストインパクトの配合は、ハイインロー絡みでまとめられています。さらなる成長力にも期待できるでしょう。

神戸新聞杯・3歳
http://www.keibado.com/keibabook/130923/photo04.html
2歳
http://stage-sykes.c.blog.so-net.ne.jp/_images/blog/_dce/stage-sykes/E383A9E382B9E38388E382A4E383B3E38391E382AFE38388EFBC889E69C88E4BC9AE5A0B1EFBC89.jpg

続いて、馬体のほうに移りましょう。
といっても、新しい画像が手に入らなかったので、以前のもので代用しますが、ディープとサンデーとティンバーカントリーを足して3で割ったような体型かなという、やはり以前と同じ感想になってしまいますね。

ディープインパクト
https://livedoor.4.blogimg.jp/jrdbjp/imgs/2/e/2e0bbb10.gif
サンデーサイレンス
http://www.pharlap.net/wp-content/uploads/2012/06/sundaysilence2.jpg
ティンバーカントリー
http://www.jbis.or.jp/horse/images/0000333901_1/

このあと、ラストインパクトは、日経賞から天皇賞を目指していくようですが、天皇賞に関しては、折り合い面に不安があるとのコメントも出ています。さしあたり、日経賞の結果を見てから、正式なローテーションが決まりそうな雰囲気です。

京都牝馬S戦評

京都牝馬Sは、京都金杯に続いて、ディープ産駒のワンツーフィニッシュでした。

https://www.youtube.com/watch?v=GcAR8RBpYLg
http://db.netkeiba.com/race/201408010811/

先行して抜け出すトップハンデのドナウブルーを、最軽量のウリウリが内からすくう展開となり、最後はハンデ差を利して、ウリウリが初重賞制覇となりました。
ウリウリの勝因は、なんといっても、浜中騎手の好騎乗に尽きるでしょう。
引退レースとなったドナウブルーは、内容的には他のメンバーと力の差があることを見せつけましたが、ラストランを飾ることは出来ませんでした。しかし、思い起こせば、2年前の京都牝馬Sで、今回のウリウリと同じ52キロの軽ハンデを活かして初重賞を制覇したことが、その後のドナウブルーの飛躍につながったわけですから、同じディープ産駒の後輩にバトンタッチしたとも言えるのではないでしょうか。
今回は、勝ったウリウリと、引退レースで惜しくも2着のドナウブルーを取りあげます。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001125960/pedigree/

まず、ウリウリの血統から見ていきましょう。
以前、ローズSで3着した時にも少し検討しましたが、今回あらためて見直してみると、非常によく出来た配合のように思います。
母ウィキウィキは1勝馬でしたが、祖母リアルナンバー&3代母ヌメラリアは、ともにアルゼンチンのG1馬です。
母系は、プリンスパラタイン、ケンマーレ、アホヌーラなどが出た、レディライトフット牝系。
ウリウリの配合で目に付くのは、ヘイロー≒サーアイヴァー3・5×5と、ノーサードチャンスブルームーン5×5・7でしょう。ヘイロー≒サーアイヴァーの相似クロスは、ディープの配合上の核ですし、以前に検討したように、BMSのフレンチデピュティの配合のツボは、ブルームーンの血の活用です。この2つのポイントを、ヘイルトゥリーズン産駒のヘイローとヘイルトゥリーズンの母ノーサードチャンスの関係を利用して結合しているのは、巧妙な配合です。
さらに、ウィキウィキは、フレンチデピュティの配合の核である、エイトサーティグッドエグザンプルの相似クロスを6・5×7と継続しています。
エイトサーティとブルームーンの父娘関係を利用して、ノーサードチャンス≒ブルームーンとエイトサーティ≒グッドエグザンプルを結び付けるパターンは、リアルインパクトやカミノタサハラなどがありますし、フレンチデピュティ産駒でも成功していますが、ウリウリの場合、そこにノーサードチャンスとヘイローの関係も活かして、ヘイロー≒サーアイヴァーまで巻き込んだところがポイントだと思います。こうしたクロスが、個々にバラバラで存在するよりも、はるかに効果的でしょう。
その他では、フレンチデピュティの配合が、ノーザンダンサー×ナスキロラトロという、ディープと相性のよい形をしていることも重要です。
また、ウリウリにあるクロスでは、ノーザンダンサー≒ダンシングモス5×5・7・6・5ポカホンタス5×7バークレアフェアアリシアの組み合わせのクロス(ドナテロ、ハイペリオン、フェアトライアル~サンインローが共通)などは、どれも効果があると思われます。

http://race.sanspo.com/keiba/images/20131011/yos13101113290007-p1.jpg

続いて、馬体のほうも見ていきましょう。
残念ながら、今回の新しい画像は無いようなので、秋華賞のもので代用します。
胸の深いディープの特徴がよく出ていると思いますが、母方の米国血脈の影響で、牝馬にしてはがっちりした体型です。マイル~2000mくらいに向き、道悪もこなすでしょう。

続いて、ドナウブルーのほうに移ります。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001096852/pedigree/
http://db.netkeiba.com/horse/result/2008103250/

まず、血統のほうから見ていきますが、以前にジャパンCのさいに全妹ジェンティルドンナを検討しましたので、あらたに付け加えることもありませんが、ざっとおさらいしておきましょう。
母ドナブリーニは、2歳時に6FのG1を勝ったものの、3歳以降は頭打ちで、典型的な早熟スプリンターでした。
ドナブリーニの父バートリーニも母カルノーマズレディも、ノーザンダンサー×ナスルーラ×ラトロワンヌという配合で、まとまりすぎて伸びやかさに欠ける配合ですが、そこにプリンスキロを2本持つディープということで、馬体に伸びが出たのがドナウブルーであり、妹のジェンティルドンナということになるでしょう。
ドナウブルーの配合では、リファールのクロス+ミスプロのパターンと、ノーサードチャンスリヴォークト5×6の相似クロスが目に付きます。リファールのクロスの粘りは、ドナウブルーの大崩れしない走りに表れていると思います。

マイルCS(5歳秋)
http://www.keibado.com/keibabook/131118/photo02.html
ヴィクトリアマイル(5歳春)
http://www.keibado.com/keibabook/130513/photo08.html
マイルCS(4歳秋)
http://www.keibado.com/keibabook/121119/photo07.html
ヴィクトリアマイル(4歳春)
http://www.keibado.com/keibabook/120514/photo07.html
ローズS(3歳秋)
http://www.keibado.com/keibabook/110920/photo11.html
フィリーズレビュー(3歳春)
http://fromthelargeoutside.files.wordpress.com/2011/03/e38389e3838ae382a6e38396e383abe383bc.jpg

次に、馬体のほうも見ていきますが、ドナウブルーの成長の軌跡は、なかなか理解しづらかったディープ産駒の成長パターンを、身をもって示してくれた貴重な教材だと思います。
その点については、長くなるので、以前の投稿「ディープ産駒の成長曲線」をご覧ください。
ドナウブルーは、今回のレースを最後に引退となりますが、ぜひ良い産駒を出してほしいと思います。

参考動画・ドナウブルー

関屋記念(2012年)
https://www.youtube.com/watch?v=pN_-slh2I7A
京都牝馬S(2012年)
https://www.youtube.com/watch?v=j2advBiRXQg

マイルCS(3着、2012年)
https://www.youtube.com/watch?v=rbyZ7E3AOKc
ヴィクトリアマイル(2着、2012年)
https://www.youtube.com/watch?v=AZYTv_mPLAo

日経新春杯戦評

サトノノブレスが日経新春杯を制したので、振り返っておくことにします。

https://www.youtube.com/watch?v=NAhewMbPXCA
http://db.netkeiba.com/race/201408010711/

スタートから気合をつけて行く馬がおらず、意を決してサトノノブレスが逃げる展開となりましたが、そのまま押し切って重賞初制覇となりました。
菊花賞以来のプラス20キロは、成長分を差し引いても、かなり余裕のある馬体で、最後は2着馬に差し込まれましたが、なんとか残してくれましたね。
レース前、大きく離された菊花賞2着をどう評価するかが焦点だったと思いますが、1000万条件でも取りこぼしていたので、フロックと見る人たちがいたとしも仕方なかったでしょう。しかし、POGの頃から気にかけていた人たちならば、むしろ「こんなものじゃない」というもどかしい思いをされていたのではないでしょうか。とにかく勝ち味に遅い馬で、そこをどのように乗るかが難しい問題でしたが、さすがはルメール騎手でした。ただ、勝ち味に遅い=ジリ脚、ではないと思います。2400mの青葉賞でもメンバー最速の33.3秒の上がりが出せる馬を、ジリ脚と呼ぶのには無理があるのではないでしょうか。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001119611/pedigree/

それでは、血統のほうから見ていきます。
以前にも触れたように、母クライウィズジョイは、オークス馬ベガの近親です。

ベガ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000232957/pedigree/

ベガは、父トニービン×母アンティックヴァリューですから、クライウィズジョイは、トニービンとアンティックヴァリューの間に、オールウェイズランラッキーとアイリッシュリヴァーが挟まれた形になります。
アイリッシュリヴァーは、ナスキロラトロ配合ですから、ディープとの相性でいえば、あったほうがプラスでしょう。
しかし、オールウェイズランラッキーは、二流というよいり三流四流というべき種牡馬なので、血統の専門家の方々からの評判はよくないのですが、これも以前に触れたように、トニービンと配合の方向性が近い(ナスルーラ+ハイペリオン)ので、それほど大きなマイナスにはなっていないと思います。
クライウィズジョイは、全体的にハイペリオンとナスルーラの2つの血が目立つ配合で、良くも悪くも小細工のきかない真っ向勝負の血統ではないかと思います。そうした要素は、サトノノブレスにも伝わっており、勝つときは捻じ伏せるような勝ち方が出来ますが、器用な馬に上手く立ち回られて取りこぼすシーンは、これからも頻発しそうです。

日経新春杯
http://www.keibado.com/keibabook/140120/photo04.html
菊花賞
http://www.keibado.com/keibabook/131021/photo04.html

馬体のほうに移りましょう。
太め残りだったとはいえ、菊花賞からの馬体の成長は明らかです。菊花賞の画像は、前躯にくらべてトモが物足りない感じでしたが、ここにきてバランスが良くなってきました。
体型的には、あいかわらず、父ディープより祖父サンデーに似ていますね。トニービンには全く似ていないと思います。
ディープ×BMSトニービンは、古馬になっての成長が期待できるので、春までにどのくらい力をつけてくるかがポイントになるでしょう。

サンデーサイレンス
http://www.pharlap.net/wp-content/uploads/2012/06/sundaysilence2.jpg
ディープインパクト
https://livedoor.4.blogimg.jp/jrdbjp/imgs/2/e/2e0bbb10.gif
トニービン
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/9/99/TonyBin.jpg

京都金杯戦評

昨年のダノンシャークに続き、ディープ産駒のエキストラエンドが年頭の重賞に勝ちました。
しかも、今年は2着もディープ産駒のオースミナインということで、幸先よくワンツーフィニッシュのスタートとなりました。

http://www.youtube.com/watch?v=OYbxtYfx4Bo
http://db.netkeiba.com/race/201408010111/

スタートで出負けしたエキストラエンドは、そのまま後方2番手でじっとして、直線でルメール騎手が上手く内をすくって快勝でした。
ルメール騎手は、昨年のダノンシャークに続く2連覇です。
2着のオースミナインも、ほぼ同じような位置取りから、同じく内を狙いましたが、先に抜け出したエキストラエンドには届きませんでした。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001105315/pedigree/

まず、エキストラエンドの血統から見ていきましょう。
半兄ローエングリンは、重賞4勝もG1には勝てませんでしたが、なんといってもフランス遠征でのムーランドロンシャン賞2着が光ります。種牡馬としても、今年の皐月賞馬ロゴタイプを出しました。
全兄リベルタスは、3歳時に喉鳴りを発症してからは低迷が続いていますが、無事なら重賞に勝てたのは間違いないと思います。
その他では、サンデー産駒で4分の3兄になるブレーヴハートやレゴラスも、そこそこの活躍をしています。
母カーリングは、仏牝馬2冠馬でしたが、さほどの良血でなかったため日本に売られてしまったわけですが、繁殖成績は素晴らしく、手放した側ではさぞ後悔していることでしょう。
BMSガルドロワイヤルは、ミルリーフ産駒で、それほど成功した種牡馬というわけではありませんが、BMSとしてはまずまずの好成績で、仏ダービー馬ヴィジョンデタなどが出ています。ミルリーフは、ナスキロラトロ配合で、ディープとは好相性です。
カーリングは、ボールドルーラーの血以外、全体的に欧州血脈でまとめられており、どちらかというとブレーヴハートやレゴラスのように中~長距離向きの馬が出やすいように思うのですが、ローエングリンはマイラーで、この馬もマイル戦で初重賞となりました。
そのあたりについては、体型面で判断するのがいいかもしれません。
ということで、馬体のほうに話を移しましょう。

4歳・毎日王冠
http://keiba.nifty.com/cms_image/keiba/racephotodetail/131005977307/04.JPG

ネット上にはエキストラエンドのよい画像が見あたりませんが、胴長な全兄リベルタスとは異なり、がっちりしたタイプのようです。
ローエングリンは中距離体型に見えますが、それに較べてもマイラー寄りの体型と言えるかもしれません。
ただ、2着の同じディープ産駒のオースミナインほど典型的なマイラー体型という感じではないので、2000mくらいまでは守備範囲ではないでしょうか。

リベルタス(3歳・スプリングS)
http://www.keibado.ne.jp/keibabook/110328/photo06.html
ローエングリン(5歳・宝塚記念)
http://www.keibado.ne.jp/keibabook/040628/photo02.html

2着オースミナインも簡単に見ておきます。
まずは、血統から。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001119854/pedigree/

BMSノーザンテーストのディープ産駒としては、トーセンホマレボシとヒストリカルに成功例ですが、トーセンホマレボシとヒストリカルとは全く同じ配合なので、比較のしようがなく、ようやく別の比較可能な成功パターンが現われてくれたと言えそうです。
以前にも触れましたが、ノーザンテーストは、ハイペリオンと米国血脈が主体で、サンデー系×BMSノーザンテーストでは、まとまり過ぎて、サンデー系のしなやかな柔らかさが損なわれる可能性があります。しかし、ステイゴールドのようにノーザンテーストの血を上手く活かした例もあり、なかなか一概には言えないところです。
オースミナインは、馬体を見る限り、コンパクトにまとまって筋肉がしっかりついており、典型的なマイラーでしょう。サンデー×ノーザンテーストが上手くはまった例と言えそうです。
母エアイゾルデのこれまでの産駒の父は、アグネスタキオンやスペシャルウィークなど全てサンデー系種牡馬でしたが、オープン級の活躍馬はオースミナインが初めてで、このあたりもサンデー×ノーザンテーストの難しさが出ています。
エアイゾルデは平凡な競走馬でしたが、全兄ニフティダンサーや半姉ニフティニースは重賞勝ち馬で、母系は、ミスワキやホワイトマズル、セントニコラスアビーなどが出た、米国の名門オーヴァル牝系です。
配合的には、望田潤氏は、エアイゾルデにあるアービネラが、ディープの祖母バークレアと組み合わせのクロス(ドナテロ、ハイペリオン、フェアトライアル~サンインローが共通)になっていることを指摘されています。
また、オースミナインのスピードの源泉は、マムタズビガム≒マームード8・6・7・8・10・8×6・6・7・7の細かく張りめぐらされた相似クロスにあると思われます。

http://www.keibado.com/keibabook/140106/photo07.html

馬体については、先ほども少し触れたように、がっちりしたマイラー体型だと思います。
同じディープ産駒では、ダノンシャークに似たタイプの馬体でしょう(配合的には似ていませんが)。

ダノンシャーク(4歳・エプソムC)
http://www.keibado.com/keibabook/120611/photo04.html

ジャパンC回顧

今回は、ジャパンCを振り返ります。

http://www.youtube.com/watch?v=gbMA_lEuJcg
http://db.netkeiba.com/race/201305050811/

ジェンティルドンナが、ジャパンC史上初の2連覇を達成しただけでなく、2着にデニムアンドルビーが突っ込み、ディープ産駒のワンツーフィニッシュとなりました。
レース前には、岩田騎手からムーア騎手への乗り替わりが話題となりましたが、ジェンティルドンナが今年になって未勝利だった原因は、はたして岩田騎手の騎乗にあったのか疑問の残るところです。ドバイ遠征と宝塚記念の敗戦については、馬場に敗因を求める意見が多かったと思いますが、さすがに秋の天皇賞でも2着に敗れたということで、乗り替わりもやむなしという雰囲気はあったかもしれません。
しかし、個人的には、今年の連敗の原因について、まったく別の意見を持っていました。
それは、ジェンティルドンナは休み明けが苦手、ということです。
休み明けのレース(デビュー戦も含めて)では、6戦して1勝どまりであるのに対し、休み明け以外のレースでは、7戦全勝と負け知らずですから、一目瞭然としか言いようがないでしょう。もちろん、個々のレースごとの敗因というものもあるのでしょうけれど、ここまで対照的な数字が出ている以上、ジェンティルドンナが休み明けを苦手にしていることに疑問の余地はありません。
休み明けに弱い馬といえば、牝馬3冠の先輩であるアパパネが有名ですが、アパパネは休み明けでは2桁着順も珍しくないくらい派手に負けるのに対して、ジェンティルドンナは5着以下になったことがないので、これまで気付かれにくかったのだと思われます。

2着のデニムアンドルビーは、エリザベス女王杯から中1週の強行軍でしたが、ここ2戦のもどかしいレースぶりを払拭する目の覚めるような末脚で、ジェンティルドンナをハナ差まで追い詰めました。
現状では、安定して能力を発揮することが出来ていませんが、能力の上限値の高いタイプなのでしょう。成績にむらがありながらも、格上の強豪を負かしたりすることがある馬は、実績以上の潜在能力を秘めています。逆に、安定して能力を発揮するタイプの馬は、実力よりも競争成績が良いことが多いですが、自身より強い馬に対しては、抵抗できずにあっさり負けてしまうケースも珍しくありません。過去にデニムアンドルビーを負かしたことがあるからといって、ジャパンCで今回のデニムアンドルビーと同じようなパフォーマンスが可能であるとは限らないのは当然でしょう。

デニムアンドルビーについては、ローズSのさいに検討しましたので、今回は、ジェンティルドンナに絞って見ていくことにします。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001110862/pedigree/

まず、血統から検討していきましょう。
最初に目に付くのは、母ドナブリーニには、ラトロワンヌ産駒のバイムレックビジネスライク7×6・7の相似クロス(母馬がラトロワンヌで、父馬が祖父と孫の関係)があるということでしょう。ラトロワンヌの血が、ナスルーラやロイヤルチャージャーの柔らかい血の引き締めに最適であることは、当ブログでもしばしば触れてきました。
それに関連して、ドナブリーニの父バートリーニも母カルノーマズレディも、ノーザンダンサー×ナスルーラ×ラトロワンヌの配合パターンになっていることも指摘しておくべきでしょう。父母相似配合というほどには似ていませんが、配合の方向性が父母とも同じだとは言ってよさそうです。とすると、ドナブリーニには、この配合の形には必要度が高いはずのプリンスキロの血が無く、伸びやかさに欠けてまとまりすぎる弱みがありそうだということが分かります。ディープにはプリンスキロの血が2本あるので、ドナブリーニにとって喉から手が出るほどほしい血が供給されているということになるでしょう。
ちなみに、ドナブリーニには、ディープ以外の種牡馬との間にも2頭の産駒がいます。父馬は、ネオユニヴァースとゼンノロブロイですが、両馬ともプリンスキロが無く(ネオユニヴァースには、プリンスビオはあります)、とくにゼンノロブロイは、ミスプロとラトロワンヌと米国血脈が主体ということで、お互いに不足する血が全く補われていません。ディープ以外のドナブリーニのお相手を考えるなら、プリンスキロのあるマンハッタンカフェが良いと思います。

次に注目されるのは、当ブログでもお馴じみになってきましたが、リファールのクロス+レイズアネイティヴのパターンです。リファールのクロスを持つディープ産駒の重賞勝ち馬には、例外なく、ミスプロやアリダーなどのレイズアネイティヴ系の血があります。日本の高速馬場では、やや重苦しさもあるリファールのクロスなので、その重さの緩和に有効なのがレイズアネイティヴの血なのだと考えてよいでしょう。
重苦しささえ取り除ければ、リファールのクロスの粘りの威力は抜群です。2年連続で大接戦の叩き合いとなったジャパンCにおいて、ジェンティルドンナがいずれも競り勝つことが出来たのは、リファールのクロスの貢献するところが大きかったでしょう。

ドナブリーニには、かなりの量の米国血脈がありますが、先ほどのバイムレック≒ビジネスライクのクロスとともに重要なのは、ノーサードチャンスリヴォークト5×6の相似クロス(ブルーラークスパー、サーギャラハッド、ハイタイムが共通)でしょうか。このクロスは、ハーツクライの配合の核の1つであると、栗山求氏も望田潤氏も指摘されていますが、もちろんディープ産駒においても有効でしょう。また、ドナブリーニには、この相似クロスの構成要素であるブルーラークスパーやサーギャラハッド=ブルドッグの血が他にも大量にあるので、その点でも効果的だと思います。ノーサードチャンスの血を利用したディープ産駒としては、リアルインパクトのノーサードチャンス≒ブルームーン5×4・5の例や、カミノタサハラ(とその全兄弟たち)のノーサードチャンス≒ブルームーン5×5・7・7の例などを紹介しました(リアルインパクトはこちらで、カミノタサハラ兄弟はこちらです)。

それから、意外にあまり強調されませんが、ドナブリーニのBMSリファーズウィッシュは、ハーツクライの祖母ビューパーダンスの全兄にあたります。

まとめると、ドナブリーニは、父母ともノーザンダンサー×ナスルーラ×ラトロワンヌ×米国血脈のパワフルな配合で、ハイペリオンや欧州血脈はスパイス的な脇役にとどまっています。ドナブリーニ自身は、プリンスキロの不在やハイペリオン&欧州血脈の不足により、一本調子の単調な早熟スプリンターでしたが、ディープとの配合では、お互いの不足するものを上手く補完しあっていると言えるでしょう。
ディープとドナブリーニの接着剤的な役割としては、リファールのクロスやプリンスキロも重要ですが、見落とされがちなのは、ドナブリーニの父バートリーニにあるネヴァーベンドの血でしょう。ミルリーフやリヴァーマンの父としてお馴じみですが、半弟で相似な関係にあるボールドリーズンもあわせると、驚くほど多数のディープ産駒の活躍馬の血統表に顔を出しています。ディープ産駒の重賞勝ち馬28頭中、ネヴァーベンドまたはボールドリーズンの血を持つのは、ジェンティルドンナ、ディープブリランテ、トーセンラー、マルセリーナ、デニムアンドルビー、ダノンシャーク、カミノタサハラ、アダムスピーク、ファイナルフォーム、ベストディール、ハープスターなど13頭にもなるので、約2頭に1頭の割合でこの兄弟の血があることになるわけです。これは相当な高確率だと思いますが、考えられる原因としては、ネヴァーベンド(≒ボールドリーズン)のナスルーラ(≒ロイヤルチャージャー)×ラトロワンヌの配合の形が、ディープと相性のよいナスキロラトロのパターンを作るベースになりやすいことがあげられるでしょう。POG戦略としても、ネヴァーベンド持ちのディープ産駒は要チェックです。

続いて、馬体のほうに移ることにします。

ジャパンC・4歳
http://www.keibado.com/keibabook/131125/photo03.html
宝塚記念・4歳
http://www.keibado.com/keibabook/130624/photo02.html
ジャパンC・3歳
http://www.keibado.com/keibabook/121126/photo03.html
オークス・3歳
http://www.keibado.com/keibabook/120521/photo05.html
2歳
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/c3/0499548295a2adc1fd3e2caf13f0faa8.jpg
1歳・クラブ募集時
http://www.sundaytc.co.jp/photo/84141.jpg

2歳から3歳にかけては、かなりパワフルな感じがしたのですが、古馬になると余計な筋肉が削げ落ちてきて、非常にバランスのよい好馬体になったと思います。
ちなみに、ディープ産駒の2歳馬体評価リストでは、一昨年の牝馬3位にあげました。
全姉ドナウブルーとの比較で興味深いのは、ドナウブルーの場合、3歳くらいまでは線の細さが目立ったのですが、古馬になると急速にマッチョ化していったことで、妹の場合とは逆の方向性をたどったということでしょう。
ぜひ較べてみてください。

ドナウブルー(4歳・マイルチャンピオンシップ)
http://www.keibado.com/keibabook/121119/photo07.html
ドナウブルー(3歳・ローズS)
http://www.keibado.com/keibabook/110920/photo11.html
ドナウブルー(2歳)
https://livedoor.blogimg.jp/atd/imgs/1/b/1bdcd7c5.JPG
ドナウブルー(1歳・クラブ募集時)
http://www2.sundaytc.co.jp/photo/83146.jpg

ジェンティルドンナは今回のジャパンCで年内の出走を打ち止めとし、来年は2年連続でドバイ遠征を行なう予定だそうです。
休み明けが苦手なジェンティルドンナとしては、ドバイ前に一叩きしたヴィクトワールピサのパターンが好ましいように思うのですが、はたして陣営はいかなるローテーションで臨むのでしょうか。

参考動画

ジャパンC(2012年)
http://www.youtube.com/watch?v=HXMRtOLqHNY
秋華賞
http://www.youtube.com/watch?v=wOmJ6iZUnoQ
オークス
http://www.youtube.com/watch?v=xaQ19xdGyME
桜花賞
http://www.youtube.com/watch?v=GZ4192Cc77E
シンザン記念
http://www.youtube.com/watch?v=cps6Sz_RlYw

アンドロメダS短評

重賞ではありませんが、ラウンドワールドの復帰戦のアンドロメダSを取りあげます。

http://www.youtube.com/watch?v=6H6y6V-uMRM
http://db.netkeiba.com/race/201308050410/

9ヶ月ぶりの実戦となったラウンドワールドですが、直前の降雨で一気に重馬場まで悪化したのは、小柄なこの馬にとっては厳しい状況でした。道中は中団につけ、3~4角の中間あたりからマクっていくと、直線に向いてすぐに先頭に立ち、そのまま押し切りました。
馬体は一回り大きくなっていましたが、すべて成長分だと思います。
9ヶ月もの長期休養となりましたが、大きな故障があったわけではなく、細かな頓挫が積み重なったもので、不運な面もありましたが、休養前はクラシック候補と言われた馬ですから、これから巻き返してくれるでしょう。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001120085/pedigree/

まず、血統から見ていきます。
なんといっても目立つのは、母系がロイヤルサッシュ一族で、4分の3兄にドリームパスポート、伯父にステイゴールド、大伯父にサッカーボーイという、ビッグネームの並ぶ豪華な近親たちでしょう。
配合は、ディープ×BMSトニービンですが、さらにノーザンテーストをあわせ持つという点では、グルヴェイグやコティリオンがいます。ディープ×トニービン×ノーザンテーストのパターンは、これまで6頭がデビューし、5頭が勝ち上がり(全て中央)、グルヴェイグが重賞勝ち、コティリオンはG1で2着、ラウンドワールドはオープン特別2勝ですから、非常にアヴェレージの高い組み合わせだと言えるでしょう(この配合でただ1頭の未勝利馬は、ラウンドワールドの全姉ザグレースですが、6戦して2着3回と勝ち上がり目前で、故障→引退となったものです)。
望田潤氏は、トニービンを活かす配合は、トニービンの持つナスルーラとハイペリオンを両方ともフォローすることだと指摘されていますが、ラウンドワールドの母グレースランドの場合、プリンスリーギフトがナスルーラ系、ノーザンテーストはハイペリオン4×3ということで、条件を満たしています。
また、栗山求氏は、バステッド≒ドロニック4×4の相似クロス(ワイルドリスク、ドナテロ、ソラリオ、ドゥルセが共通)の重要性を指摘されています。バステッドのクロスを持つ例としては、ディープブリランテがいますが、相似クロスでも効果があると考えてよいでしょう。
それから、母のBMSディクタスについてですが、あまり強調されないものの、サンデー×BMSディクタスは、ニックスの関係にありました。
これまた意外に指摘されることが少ないのですが、ディクタスの配合のポイントは単純で、マームードに関連する血のクロスを作ることが基本です。サッカーボーイはマームード≒マムタズビガム5×6・5、スクラムダイナはマームード≒マムタズビガム≒マーイラン5×6・6・5・5、パリカラキ(アーリントンH)はマームード≒マムタズビガム5×4、イクノディクタスはマームード≒マムタズビガム≒バドラディン5×7・5、ムービースターはマームード≒マムタズビガム5×6・6、ディクターランドはマームード5×6×5といった具合です。ディクタスは、ハイペリオンの父ゲインズボローから出た重厚な欧州の父系で、そのままでは日本の高速馬場には対応できません。こういうタイプの種牡馬を日本に適応させるのに手っ取り早いのは、マムタズマハルのスピードの血を利用することです。さいわい、ディクタスにはマームード(マムタズマハルの孫)の血があるので、これを活用するのが鉄則となるわけです。
同じやり方で重厚な欧州父系を日本にマッチさせた例としては、シーホークがあげられます。シーホークもマームードの血があるので、代表産駒の多くはその血を活用しています。例えば、アイネスフウジンはマームード≒マムタズビガム5×5・6、ウィナーズサークルはマームード≒マムタズビガム5×8・6、ブルニ(英セントレジャー)はマームード≒マムタズビガム5×5、パウリスタ(ヴェルメイユ賞)はマームード≒バドラディン5×5、ラザンザラ(サンファンカピストラーノH)はマームード≒マムタズビガム≒マーイラン5×5・4、トラストホークはマームード≒マムタズビガム5×5、スダホークはマームード5×5という具合です。
そして、栗山求氏によれば、サンデーの父ヘイローの配合の基本も、ヘイローの持つマームードの血をクロスさせることが大原則だと指摘されています。もちろん、サンデーにも、マムタズビガム≒マームード6・4×5の相似クロスがあります。
つまり、ヘイロー~サンデーとディクタスとは、配合上のツボが同じであり、このことがニックスの根拠となっているのです。
ディクタスの血は、欧州血脈的な重さはあるものの、一発大物を生み出すことが出来る血であることは、サッカーボーイやステイゴールドで明らかでしょう。

まとめると、ラウンドワールドの配合的特徴は、ナスルーラとハイペリオンの両立、ディクタスやバステッド≒ドロニック4×4による欧州的な爆発力、ロイヤルサッシュ一族の3つのポイントがあると言えそうです。
ただ、ディープ×トニービンで問題とされるような、柔らかすぎて完成が遅いかもという点は、ラウンドワールドにも存在します。しかし、もうすぐ古馬になるような時期ですから、そうした問題は時期的に考えなくてもよい頃ではないでしょうか。

3歳8月頃、休養中の画像
http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/k/kokuo/20130831/20130831160933.jpg
2歳
http://blog.ownershorse.jp/wp-content/uploads/2012/08/09_RoundWorld.jpg

続いて、馬体の方に話を移します。
見ていただくと分かりますが、非常にトニービンの特徴がよく出た、細身で胴が長めの体型です。ディープ×トニービンの配合の馬たちの中でも、最もトニービン似だと思います。
ちなみに、4分の3兄ドリームパスポートとは全く似ていません。ドリームパスポートは、父フジキセキにもBMSトニービンにも似ておらず、おそらくフジキセキのBMSルファビュリューに似ているものと思われます。
休養中に馬体重が増えたのは良い兆候で、ハイペリオン的な成長力によるものでしょう。
5月の遅生まれであることも考えると、本領発揮はこれからだと思います。いずれ、大きな舞台で活躍してくれるものと期待しています。

ドリームパスポート(3歳・ジャパンC)
http://www.keibado.com/keibabook/061127/photo03.html

ディープインパクト
https://livedoor.4.blogimg.jp/jrdbjp/imgs/2/e/2e0bbb10.gif
トニービン
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/9/99/TonyBin.jpg

フジキセキ
http://www.jbis.or.jp/horse/images/0000262443_1/
ルファビュリュー
http://sporthorse-data.com/horse/727414/849/Horse_Le_Fabuleux-big.jpg

補足(予定)

本文においては、あまりにも長くて煩雑になりすぎるので、ロイヤルサッシュ一族の母系について遡って見ていくことは断念しましたが、ちょっと余裕が出来たら補足として書き足すかもしれません。
ロイヤルサッシュ一族は、19世紀の大種牡馬グレンコーを送り出した牝系なのです。
名脇役グレンコーの重要性は、どんなに強調してもしすぎではありませんが、一言でいうなら、欧州血脈と米国血脈との懸け橋のような存在です。
グレンコーについては、いずれ娘のポカホンタスとともに触れることになると思いますが、ここでは、その出身牝系を少しだけ覗いてみようかと思っています。
ただし、あくまでも「予定」なので、書けなかった時には御容赦ねがいます。

エリザベス女王杯回顧~マルセリーナの引退に寄せて

ディープ産駒のラキシスが2着にきたので、エリザベス女王杯を簡単に振り返っておきます。

https://www.youtube.com/watch?v=-o7ZGz8VoT0
http://db.netkeiba.com/race/201308050411/

直前の雨で道悪競馬となりましたが、秋華賞に引き続き、メイショウマンボが横綱相撲で快勝し、3つ目のタイトルを獲得しました。
ディープ産駒では、ラキシスが2着、デニムアンドルビーは5着、ヴィルシーナが10着、マルセリーナは15着という結果でした。
ラキシスは大外枠のため、終始、外を回らされる展開となりましたが、川田騎手の積極的な好騎乗で2着に突っ込んできました。ラキシスを条件戦ピックアップで取りあげてから、まだ2ヶ月もたっていませんが、さっそく大きな仕事をしてくれました。
デニムアンドルビーは、あいかわらず後方をついていくレースで、またしても不完全燃焼な5着。
ヴィルシーナは1番人気に推されましたが、前走の休み明けでプラス16キロという馬体重から、さらにプラス2キロというのが大誤算で、能力を発揮できませんでした。
マルセリーナは、オークス4着の実績もあるので、必ずしも2200mがこなせないわけではなく、道悪が大敗の原因だと思います。
メイショウマンボ、デニムアンドルビー、ヴィルシーナは以前に触れた(メイショウマンボはこちら、デニムアンドルビーはこちら、ヴィルシーナはこちら)ので、ラキシスと、今回が引退レースということなので、マルセリーナについても見ておきましょう。
まず、ラキシスから。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001122688/pedigree/

血統から見ていくと、まず、ディープ×BMSストームキャットが目に付きますが、当ブログでも何度も取りあげたように、スマートなディープにパワーを補いつつ、サーゲイロード≒セクレタリアトの相似クロスが発生するのがポイントです。ディープ×BMSノーザンダンサー系の配合は数が多いですが、繁殖牝馬の側にしっかりナスキロの血があることが大事なことも以前に何度か触れました
また、栗山求氏は、ラキシスの母マジックストームが、ストームバード≒ニジンスキー2×3の相似クロス(ノーザンダンサー、ブルページ、ギャラントフォックス、フェアプレイ、アルティマスなどが共通)を持つことの重要性を指摘されています。ラキシスに続いて全弟のサトノアラジンも素質を見せていることから、マジックストームの繁殖牝馬としての優秀性は疑問の余地が無く、その最大の特徴が、ストームバード≒ニジンスキー2×3の強い相似クロスにあることは確実でしょう。
サンデー×ストームキャット×ファピアノという配合パターンでは、カレンブラックヒルの成功例があります。

カレンブラックヒル
http://www.jbis.or.jp/horse/0001110454/pedigree/

カレンブラックヒルにはニジンスキーはありませんが、その代わりにノーザンテーストがあり、ノーザンテースト≒ストームバード3×4の相似クロス(ノーザンダンサー、チョップチョップ、スティミュラス、フェアプレイが共通)が配合の核の1つになっています。また、サーゲイロードの血があるので、セクレタリアトとの相似クロスが出来るのも同じです。
ストームキャットは、ファピアノ系の血と相性がよく、以前にもAJCオークス馬ワンスワーワイルドの例を紹介しましたが、日本でも、ニュージーランドTの勝ち馬エーシントップが、この組み合わせです。ワンスワーワイルドやエーシントップには、サンデーの血はありませんが、ラキシスといろいろ他の共通点もあります。例えば、ワンスワーワイルドにはニジンスキーの血があり、ストームバード≒ニジンスキーの相似クロスが発生していますし、セクレタリアトのボールドルーラー×プリンスキロの配合も、ナレイト(ヨハネスブルグの3代母)がフォローしています。エーシントップにもニジンスキーの血があり、セクレタリアトの血もフォローされています。ファピアノとストームキャットの関係は、まだまだ充分に解明されていませんが、かなり再現性のあるパターンかもしれません。

ワンスワーワイルド
http://www.jbis.or.jp/horse/0001160525/pedigree/
エーシントップ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001144181/pedigree/

馬体についても以前に触れたと思いますが、ラキシスも弟のサトノアラジンも非常に見栄えのする好馬体です。
ディープの2歳産駒の馬体評価リストでは、ラキシスは昨年の牝馬1位、サトノアラジンは今年の牡馬5位に取りあげました。

ラキシス(エリザベス女王杯)
http://www.keibado.com/keibabook/131111/photo06.html
ラキシス(2歳)
https://livedoor.blogimg.jp/umajin_pog/imgs/6/e/6e6dcb19.jpg

サトノアラジン(2歳)
http://www.jbis.or.jp/horse/images/0001137571_1/

続いて、マルセリーナに移りましょう。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001096817/pedigree/
http://db.netkeiba.com/horse/result/2008103009/

マルセリーナのBMSマルジュは、ラストタイクーン産駒ですが、ディープ産駒のデビュー前から栗山求氏は、ディープとラストタイクーンの相性のよさを指摘されていました。実際、初年度からマルセリーナが出て、他にもファイナルフォームが活躍していますし、ラストタイクーンの血を持つキングカメハメハとの間にもデニムアンドルビーが出ました。ラストタイクーンは、ノーザンダンサー×ナスキロラトロという、フレンチデピュティやカーリアン(厳密にはロイキロラトロですが)などと同じく、ディープと好相性の配合パターンになっているのがポイントでしょう。特に、ラストタイクーンは、ラトロワンヌの血が3本もあるので、柔らかいディープには打ってつけと言えそうです。
また、マルジュのBMSアーティアスも、ディープと相性のよさそうな配合になっています。
アーティアスは、ラウンドテーブル産駒ですが、ディープとラウンドテーブルの相性のよさは、当ブログでもしばしば指摘してきました。お互いに母系が同じことが相性のよさのベースになっています。
それにとどまらず、マルジュも、ラウンドテーブル&ディープと牝系が同じです。
さらに、マルジュには、自身の7代母&ラウンドテーブルの3代母であるアロウ(ディープの7代母でもあります)の全兄フォックスローの血もあります。
ディープ牝系に関連する血は、マルジュの母フレイムオブタラの側に集中しているので、フレイムオブタラには、アロウ=フォックスロー5・7×6の全兄妹クロスが生じていることになるわけです。
その他にもマルジュの祖母ウェルシュフレイムが、ディープの祖母バークレアと組み合わせのクロスの関係にある(ハイペリオンのクロス、ドナテロ、フェアトライアル~サンインロー、ブリュムー、ローズレッド、アロウが共通)ことや、アーティアスの母スタイリッシュパターンは、ディープの4代母ハイライトと配合が似ている(ハイペリオン、ローズレッド=スウィートラヴェンダー、サンインロー、アロペ、テディが共通)ことも、ディープとマルジュとの相性のよさに寄与しているでしょう。
トータルで見ると、ディープ×マルジュの相性のよさは、ちょっと尋常なレベルではないと思われ、あるいはストームキャットとの相性も凌ぐのではないかとすら思うのですが、この配合の産駒がマルセリーナ1頭だけというのでは、どうにもなりません。

さて、マルジュ以外の部分についても検討しておきましょう。
マルセリーナの祖母アムビエは、ナスキロとハイインローの二本柱で組み立てられています。
ナスキロ関連では、ナスルーラが4本、ロイヤルチャージャーが2本、プリンスキロが4本、プリンスビオが1本。
ハイインロー関連では、代表的なハイインロー種牡馬であるフォルリやテューダーミンストレルがありますし、ハイペリオンではホーンビームがあり、サンインローを含むフェアトライアルの血などもあります。
当ブログ的には、スペシャルの全弟サッチの名前があるのも注目でしょう。スぺシャルを軸にしたハイインローとナスキロの融合は、当ブログでも頻繁に検討してきたテーマです。さらに、アムビエには無いラトロワンヌの血が、マルジュの側には3本もあるので、マルセリーナの母マルバイユは、ハイインローとナスキロラトロの融合を実現していると考えてよいでしょう(マルバイユ自身もG1馬です)。ハイインロー+ナスキロラトロの形の配合の牝馬は、ディープのお相手として理想形の1つであり、マルセリーナの成功は、まさに配合の勝利と言ってよいと思います。
しかも、それにとどまらないのが、マルセリーナの血統の恐るべきところです。
マルセリーナの母系は、このブログでも何度も触れましたが、ディープと相性抜群のエスカッシャン牝系です。ディープ×エスカッシャン牝系からは、マルセリーナの他にも、アユサン、デニムアンドルビー、エタンダールなどが出ており、大きな成果をあげています。
ディープの交配相手として、マルバイユは、おそらくクロウキャニオンやラヴアンドバブルズに匹敵する、最良の繁殖牝馬の1頭でしょう。
マルバイユは、マルセリーナ以外にもグランデッツァが活躍していますが、ここ数年は産駒に恵まれていません。まだ13歳ですから、それほどの高齢とは言えませんので、是非ともマルセリーナの全弟妹の走りを見たいと願っています。
そして、今回で引退となるマルセリーナには、偉大な母の立派な後継者になってもらいたいですね。

マルセリーナ(エリザベス女王杯)
http://www.keibado.com/keibabook/131111/photo10.html
マルセリーナ(桜花賞)
http://www.keibado.com/keibabook/110411/photo09.html

参考動画

マルセリーナ(桜花賞)
https://www.youtube.com/watch?v=L_FFk16k5h8

菊花賞回顧

菊花賞を簡単に振り返っておきます。

https://www.youtube.com/watch?v=CeQAlwajBoQ
http://db.netkeiba.com/race/201308040711/

最後の1冠のレースにキズナもロゴタイプも不在とあれば、エピファネイアが断然の人気になるのは当然で、実際も人気どおりの圧勝でした。
気性面での成長は明らかで、道悪も得意だと思います。
ディープ産駒は、サトノノブレスが2着、ラストインパクトが4着と、まずまずの結果でした。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001124297/pedigree/

エピファネイアについて、ディープ産駒ではありませんが、すこしだけ見ておきます。
まず、シンボリクリスエス×BMSスペシャルウィークの配合は、他にもユールシンギングがセントライト記念に勝ち、いま注目のパターンです。シンボリクリスエスのBMSゴールドメリディアンは、典型的なナスキロラトロ配合のシアトルスルーの産駒です。スペシャルウィークもロイキロラトロの形なので、その点で相性がよかったのだろうと思います。エピファネイアの母のBMSが、ナスキロラトロ配合が大好物のサドラーズウェルズであることも、配合のキーポイントがナスキロラトロにあることを示唆しているでしょう。

エピファネイアの馬体については、ダービーの投稿で母シーザリオそっくりだということを指摘しましたが、ひと夏を越しても、あいかわらず似ていますね。

エピファネイア(菊花賞)
http://www.keibado.com/keibabook/131021/photo01.html
エピファネイア(2歳)
http://www.jbis.or.jp/horse/images/0001124297_3/
エピファネイア(1歳)
http://userdisk.webry.biglobe.ne.jp/023/485/56/N000/000/000/131659889895413105707.jpg

シーザリオ(オークス)
http://www.keibado.com/keibabook/050523/photo10.html
シンボリクリスエス(ダービー)
http://www.keibado.com/keibabook/020527/photo10.html

さて、2着サトノノブレスと4着ラストインパクトについても、これまで機会が無かったので、ここで触れておきましょう。
まずは、2着のサトノノブレスから。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001119611/pedigree/

はじめに血統から見ていくことにしますが、ディープ×BMSトニービンの配合で、母クライウィズジョイは、オークス馬ベガの近親にあたります。母クライウィズジョイの配合に注意しながら、順を追って検討してみましょう。

(1)ディープ×BMSトニービンの産駒の傾向
ディープ×BMSトニービンのパターンは、昨今のPOG戦術としては、本格化に時間がかかるので、ダービールールでは避けたほういいのではという見方もあるようです。
この配合は、これまで24頭がデビューして17頭が勝ち上がっている(すべて中央)ので、率としてはまずまずでしょう。
重賞勝ち馬はグルヴェイグだけですが、サトノノブレスが菊花賞2着、コティリオンがNHKマイル2着、ロードアクレイムが神戸新聞杯2着、ラウンドワールドが札幌2歳S2着と、やたらと2着が多いのも特徴です。これは、条件戦でも往々にして見られる現象で、未勝利に終わった6頭(1頭は現役)の中にも、2着には来たことがあるという馬が4頭もいるので、POGで指名するとストレスがたまるかもしれませんね。
ただ、こうして見ると、ディープ×BMSトニービンは勝ち上がり率も重賞での実績も上々で、あとは本格化に時間がかかることと勝ち味に遅いことを、どう考えるのかということになるでしょう。

(2)ベガとクライウィズジョイ
サトノノブレスの母クライウィズジョイは、ベガとは父が同じトニービンで、ベガの母アンティックヴァリューが、クライウィズジョイの3代母という関係になっています。
つまり、間にオールウェイズランラッキーとアイリッシュリヴァーの2頭の種牡馬が挟まっているわけです。
アイリッシュリヴァーは、ディープと相性のよいリヴァーマン産駒で、リヴァーマンの代表的な後継種牡馬の1頭です。アイリッシュリヴァーの母アイリッシュスターには、スウィートラヴェンダー3×5のクロスがあり、しかも母系はマーチェッタ~ラヴェンデュラ~スウィートラヴェンダー直系なので、スウィートラヴェンダー=ローズレッド7×8・7の全姉妹クロスを持つディープとは好相性でしょう。
問題は、オールウェイズランラッキーのほうです。競走馬しては、G3を1つ勝った程度の馬で、種牡馬としては、重賞勝ち馬を出せなかったようです。とりたてて良血馬というわけでもなく、二流種牡馬というより三流四流というレベルの種牡馬でしょう。となると、こういう種牡馬が血統表の中に入り込んだ場合、そこが血統のキズとなる心配が出てきます。
以前、ディープは血統のキズになりそうな馬でも、一流の血で構成されていれば、そこから一流の要素を引っぱり出せるということを指摘しました。しかし、オールウェイズランラッキーの父ホワットアラックは、二流種牡馬といっては気の毒かもしれませんが、けして一流種牡馬ではありませんでしたし、オールウェイズランラッキーの母系も平凡です。
そうなると、かなり危険な感じがするわけですが、個人的には、意外に大きなキズにはならずに済んでいるのではないかと考えています。その点について、次の(3)で検討してみましょう。

(3)トニービンとナスルーラとハイペリオン
トニービンが、ナスルーラ系×ハイペリオン系の配合であることは、当ブログでも何度も触れてきました。望田潤氏は、トニービンの配合相手にも、ナスルーラとハイペリオンの血が重要だと指摘されています。
その意味においては、オールウェイズランラッキーは、ナスルーラ系×BMSハイペリオン系の配合で、BMSデルタジャッジの配合もナスルーラ系×BMSハイペリオン系、母ビッグパドルズには、アリバイ(父ハイペリオン)3×4のクロスがあります。また、全体に米国血脈が多いので、欧州血脈主体のトニービンとは相性がよいのではないかと考えられるわけです。
したがって、オールウェイズランラッキーの血がキズになるとしても、最小限のキズにとどまっているのではないかと推測されます。

(4)ディープ×BMSトニービンに必要なもの
サンデー系×トニービンの配合の定石は、サンデー系×トニービン×ノーザンダンサー系の形であることは、以前に触れました。とにかく、サンデーとトニービンが柔らかいので、硬さを補うことが必要です。しかし、サンデー系種牡馬の中でも特に柔らかい部類のディープの場合、この基本定石だけでは、完成が遅れて古馬になってから活躍しだすということになりかねません。グルヴェイグは、その典型でしょう。
では、どうするかということなのですが、こういう場合の常套手段として、まずラトロワンヌの血を試してみたらどうかというのが1つの処方箋になります。ディープ×BMSトニービンの産駒には、ラトロワンヌの血を持つ馬が意外なほど少ないようです。その点では、サトノノブレスにはナスキロラトロのリヴァーマンの血があるので、合格点でしょうか。そういえば、ディープ×ファルヴラブ×ベガ(父トニービン)のハープスターは、2歳の時点で重賞に勝ちましたが、ファルヴラブにラトロワンヌが3本あるのが効いていると思われます。ハープスターを参考に、ディープ×BMSトニービンの配合では、ラトロワンヌの血の活用を積極的に試してみたら面白いのではないでしょうか。

サトノノブレス(菊花賞)
http://www.keibado.com/keibabook/131021/photo04.html
サトノノブレス(2歳)
http://www.jbis.or.jp/horse/images/0001119611_1/
サトノノブレス(1歳・セレクトセール)
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/54/5e2b975ddc8db980cf3760722f7daa1d.jpg

サンデーサイレンス
http://www.pharlap.net/wp-content/uploads/2012/06/sundaysilence2.jpg
ディープインパクト
https://livedoor.4.blogimg.jp/jrdbjp/imgs/2/e/2e0bbb10.gif
トニービン
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/9/99/TonyBin.jpg

さて、馬体についても見ておきます。
見てのとおりの好馬体で、昨年のディープ産駒の馬体評価リストでは、牡馬の8位にあげました。
気になるところがあるとすれば、父ディープにもBMSトニービンにも似ていないところですが、実は、祖父のサンデーに似ています。ディープは、あまりサンデーに似た産駒は出さないかもしれませんが、時折こうして祖父似の仔が出るようです。

続いて、4着のラストインパクトにも触れておきましょう。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001120507/pedigree/

まず血統から見ていくことにしますが、何といっても目立っているのは、母スペリオルパールが、3冠馬ナリタブライアンの半妹だということです。

ナリタブライアン
http://www.jbis.or.jp/horse/0000249114/pedigree/

ナリタブライアンの母系であるパシフィックプリンセスの一族が、ディープとの相性が抜群であるということは、キズナに関連した投稿で何度も指摘してきました
BMSのティンバーカントリーは、競走馬としては文句なく一流馬でしたが、種牡馬としてはアドマイヤドンが目立つだけの一発屋の感もあります。
しかし、注目すべきは、その母が偉大な繁殖牝馬であるフォールアスペンだということです。フォールアスペンは、自身もG1勝ち馬でしたが、母として4頭のG1馬を含む7頭の重賞勝ち馬を出し、孫の代になってもG1を5勝した超大物ドバイミレニアムなどG1馬が多く出て、日本でも曾孫のレジネッタが桜花賞に勝ちました。とにかく、恐るべき名牝といってよいでしょう。
そして、このフォールアスペンの血が、ディープとパシフィックプリンセス牝系の血との相互作用により、有効に機能しているのではないかと考えられるのです。
フォールアスペンの配合の核は、ハイペリオン3×4にあり、そこにサンインロー5×5も絡んだハイインローを両方ともクロスさせる形となっています。それだけでなく、ハイペリオンの半妹ハンターズムーンの血があるのもポイントが高いです。
これに対して、ディープの4代母ハイライトはハイペリオン3×2、ラストインパクトの4代母フィジーはハイペリオン≒オールムーンシャイン3×3の4分の3兄妹クロスということですから、フォールアスペン&ハイライト&フィジーの3頭の牝馬のハイペリオンによる結び付きは、強力というべきでしょう。
以前にも触れましたが、ディープは、母系に大量のハイペリオンを抱えた牝馬とは好相性です。マルセリーナ、トーセンラー、デニムアンドルビーなどが代表的な例としてあげられます。こうした大量のハイペリオンの血は、成長力にも大きなプラスなので、ラストインパクトは古馬になってもまだまだ力をつけていくと期待してよいと思います。
とにかく、「なんだ、BMSがティンバーなのか」というところで思考停止してしまったら、ラストインパクトの配合は理解できません。フォールアスペン&ハイライト&フィジーの3頭の関係のほうが、はるかに重要なのです。
なお、ディープとフォールアスペンの関係では、エリザベス女王杯3着のピクシープリンセスの3代母がフォールアスペンです。

ピクシープリンセス
http://www.jbis.or.jp/horse/0001096751/pedigree/

さて、馬体の方も見ておきましょう。

神戸新聞杯
http://www.keibado.com/keibabook/130923/photo04.html
2歳
http://yakifish.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/2012/04/27/201204.jpg
1歳
http://yakifish.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/2011/11/29/photo.jpg

あまりディープ産駒には見かけないような体型ですが、ディープとサンデーとティンバーカントリーを足して3で割ったような馬体という感じでしょうか。
昨年のディープ産駒の馬体評価リストでは、牡馬の10位タイにあげましたが、正直なところ、まだちょっと特徴を充分には把握できておらず、もどかしいところです。

ティンバーカントリー
http://www.jbis.or.jp/horse/images/0000333901_1/

秋華賞回顧

秋華賞を簡単に振り返っておきます。

http://www.youtube.com/watch?v=zM_tFH4qamA
http://db.netkeiba.com/race/201308040411/

2冠を制したメイショウマンボは、横綱相撲の強い競馬でした。正直、オークスはコース取りに恵まれた印象でしたが、今回は正攻法で勝ちきりましたね。
ディープ産駒では、スマートレイアーが出遅れの悔やまれる2着。すんなりスタートが切れていれば、接戦に持ち込めたと思います。
1番人気で4着に終わったデニムアンドルビーは、かえってハイペースが向かなかった印象でした。前半に行き脚のつかないタイプだけに、ハイペースは良さそうに思えるのですが、実際には追走に手間どってしまうデメリットの方が大きいようです。そういえば、ゴールドシップにも同じような傾向が見られるように思われます。
ウリウリの10着は、現時点での実力でしょう。着順は2ケタですが、0.4秒しか負けていないのですから、今後が楽しみです。
エバーブロッサムは、輸送が敗因であることが明らかになったレースでした。

秋華賞(GI) 出走予定馬「調教後の馬体重」
http://www.jra.go.jp/news/201310/101005.html

追い切り直後の馬体重が484キロで、レースでは458キロですから、30キロ近く減らしていることになります。これでは、まともなレースは出来ませんし、おそらく前走も同様だったと考えてもよさそうです。

これで今年の牝馬3冠が全て終了したわけですが、ディープ産駒は、1勝2着3回という好成績でした。
とくに桜花賞は2年連続のワンツーフィニッシュですし、やはりPOGはディープ産駒の攻略が不可欠です。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001123893/pedigree/

さて、ディープ産駒ではありませんが、メイショウマンボの配合は非常に興味深いので、ちょっとだけ見ておきましょう(次回の投稿の前フリにもなっています)。
多くの方が指摘されているように、なんといっても目に付くのは、スプリングマンボ≒ジェイドロバリー2×3の派手な相似クロスです(ミスプロ、ニジンスキー、スペシャルが共通)。
このブログでも何度も触れたように、こういう強いクロスは、クロスされた馬の個々の特徴もさることながら、非常に強い爆発力を秘めています。とくに、繁殖にあがってからに期待できますが、メイショウマンボは競走馬としても素晴らしいですね。
当ブログ的には、スペシャルがクロスされていることに注目したいところ。この名牝を利用したクロスについては、以前にも触れましたが、改めてその威力を見せ付けられました。
それから、サンデー×「ミスプロのクロス」という点では、トレイルブレイザーの例があげられます。

トレイルブレイザー
http://www.jbis.or.jp/horse/0001043182/pedigree/

ディープ産駒については、いずれも以前に触れた馬ばかりなので、今回は省略します。
スマートレイアーはこちら、デニムアンドルビーとウリウリはこちら、エバーブロッサムはこちらです。
ディープ産駒が勝てば、同じ話の繰り返しも厭わないのですが、今回は残念でしたのでまた別の機会にということにさせていただきます。

このあとは、エリザベス女王杯が控えていますが、今回取りあげた馬の中では、メイショウマンボとデニムアンドルビーが出走を表明しています。
古馬との力の比較に注目ですね。

参考画像

メイショウマンボ(秋華賞)
http://www.keibado.com/keibabook/131015/photo02.html
メイショウマンボ(オークス)
http://www.keibado.com/keibabook/130520/photo11.html

スマートレイアー
http://www.keibado.com/keibabook/131015/photo03.html

デニムアンドルビー(秋華賞)
http://www.keibado.com/keibabook/131015/photo01.html
デニムアンドルビー(オークス)
http://www.keibado.com/keibabook/130520/photo01.html

ウリウリ
http://www.keibado.com/keibabook/131015/photo06.html

エバーブロッサム(秋華賞)
http://www.keibado.com/keibabook/131015/photo05.html
エバーブロッサム(オークス)
http://www.keibado.com/keibabook/130520/photo06.html

凱旋門賞回顧

凱旋門賞について、簡単に振り返っておきます。
自分もテレビの前にかじり付いていた1人ですが、勝ったトレヴの強さに溜め息ばかりという結果に終わりました。
もちろん、2着のオルフェーヴルも4着のキズナも頑張ってくれましたし、日本馬が2着&4着でがっかり出来るというのも、ひと昔前なら考えられないことでしたが、それにしても今年こそという日本競馬界の願いは届きませんでした。

http://www.youtube.com/watch?v=JjBwncqAHdU
http://www.jra.go.jp/news/201310/100701.html

まず、トレヴの血統について、簡単に見ておきます。

http://www.pedigreequery.com/treve3

父モティヴェイターは、モンジュー産駒で、サドラーズウェルズの系統です。欧州2400mの大レースにおいては、サドラーズウェルズの血の威力は計り知れないものがあります。
母系は、ギャラントフォックス、トリプティク、ジェネラスなどを出した名門マーガリート牝系。日本では、フリオーソやカミノタサハラなどが出ています。
トレヴの祖母トレヴィラリは、凱旋門賞などG1を9勝した名牝トリプティクの4分の3同血の姪。

トリプティク
http://www.jbis.or.jp/horse/0000151254/pedigree/

また、栗山求氏の指摘によれば、トレヴの母トレヴィーズは、G1を14勝した名牝ゴルディコヴァと配合的によく似ているとのこと。

ゴルディコヴァ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001083621/pedigree/
トレヴィーズ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000979563/pedigree/

2着オルフェーヴルの血統については、多くの専門家が解説してきましたし、今さら素人の自分が付け加えることもありません。
ステイゴールド×BMSメジロマックイーンの謎の多いニックスや、ノーザンテースト4×3のクロスが、配合の核となっています。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001090360/pedigree/

無理やり誰も言ってなさそうなことを付け加えるとしたら、日本の3冠馬のうち、オルフェーヴルはロイヤルチャージャー系×BMSトゥルビヨン系、シンボリルドルフはトゥルビヨン系×BMSロイヤルチャージャー系の組み合わせで誕生しました。ナスルーラやロイヤルチャージャーの系統は、トゥルビヨン系と非常に相性がよいのですが、その原因については長くなるので、また機会を改めてということします。
オルフェーヴルは、年内一杯で引退し、来年からは種牡馬入りというという予定だそうです。

4着キズナも善戦だったと言えるでしょう。
ニエル賞で戦った馬たちの今回の結果は、英ダービー馬ルーラーオブザワールドは7着、パリ大賞典馬フリントシャーが8着、ニエル賞3着馬オコヴァンゴは13着でしたから、キズナの頑張りは際立っています。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001120570/pedigree/

血統は、「ダービー回顧」の記事で詳細に検討しました。
要約すると主なポイントは3つほどあり、(1)ディープ×BMSストームキャット、(2)ディープの4代母ハイライトとパシフィックプリンセス&フィジー母娘の配合的類似、(3)スウィートラヴェンダー=ローズレッド8・9・8×8・6の全姉妹クロス、といったところです。
(3)は血量的に影響力が小さいように感じるかもしれませんが、牝馬クロスは、主に相性の点で大きな役割を果たすので、スピードがどうとか成長力がどうとかいった実用的な役割の問題と違って、血量の多寡で推し量ることは出来ません。
とはいえ、影響力の大きさという点では、なんといっても(2)が重要です。

ハイライト
http://www.jbis.or.jp/horse/0000390923/pedigree/
パシフィックプリンセス
http://www.jbis.or.jp/horse/0000393762/pedigree/

このハイライトとパシフィックプリンセス&フィジーの配合上の類似関係がある以上、ディープとパシフィックプリンセス一族の相性は鉄板と言ってよいでしょう。ともすると、流行の(1)のニックスに目を奪われがちですが、BMSが他の種牡馬でも活躍馬の出せる組み合わせだと思います。

あと、「ダービー回顧」の投稿の見落としとして、スウィートラヴェンダーとローズレッドの娘たちの役割について、少しだけ補足させてください。
ディープとパシフィックプリンセスにあるスウィートラヴェンダーとローズレッドの全姉妹の血は、全てそれぞれの娘であるラヴェンデュラ(母スウィートラヴェンダー)とオーロラ(母ローズレッド)を経由しています。
母同士の派手な全姉妹クロスに気を取られて、娘たちの役割を見逃してはいけませんでした。
ダービー回顧」では、パシフィックプリンセスの配合の核として、ファラモンド=シックル≒ファロス=フェアウェイ5・6・4×5・5の4分の3同血クロスと、母フィジーの持つ、ハイペリオン≒オールムーンシャイン3×3の4分の3兄妹クロスとが、シックル、ファラモンド、ハイペリオン、オールムーンシャインの4兄妹の母セレーネの血によって見事に統合されていることを指摘しました。
しかし、ラヴェンデュラの父がファロスであり、オーロラの父がハイペリオンであることを見落とすべきではなかったのです。ファロスとハイペリオンによって、スウィートラヴェンダーもローズレッドも、大きな配合の網の目に組み込まれていたことの重要性に気付くべきでした。

さて、ついでですので、ニエル賞の回顧も簡単に行なっておきましょう。

http://www.youtube.com/watch?v=dXo390ZNgU8
http://www.jra.go.jp/news/201309/091603.html#1

英ダービー馬ルーラーオブザワールドとパリ大賞典馬フリントシャーが顔を揃えたニエル賞は、3歳牡馬の代表決定戦のような形になりましたが、キズナの実力を世界にアピールする結果となりました。
ただ、レース前に心配だったのは、相手関係よりも馬場適性だったかもしれません。あいにくの重馬場ということで、芝2400mで2分37秒台の決着となりましたが、この力のいる馬場をこなしてくれたことで、本番が楽しみになったと言えるでしょう。

オルフェーヴルは今年で引退しますが、早くもキズナやゴールドシップが来年の凱旋門賞挑戦に意欲を見せています。
トレヴも凱旋門賞連覇を目標に掲げて、現役を続行するようです。しかし、古馬になるトレヴは、負担重量が3.5キロ増えますので、絶対に手の届かない存在とまでは言えないでしょう。
勝つまで挑戦する――これに尽きます。

速報・凱旋門賞

ロンシャン競馬場で行われた凱旋門賞(仏G1・芝2400m)は、フランスの3歳牝馬トレヴが優勝しました。
オルフェーヴルは2着、キズナは4着でした。
詳細は、また後ほど。

http://www.youtube.com/watch?v=JjBwncqAHdU
http://www.jra.go.jp/news/201310/100701.html
http://race.sanspo.com/keiba/news/20131006/ove13100623200005-n1.html

トレヴ
http://www.pedigreequery.com/treve3

条件戦ピックアップ~スマートレイアー

今回は、スマートレイアーの勝った夕月特別を取りあげます。

http://www.youtube.com/watch?v=DiQL19Go5m4
http://db.netkeiba.com/race/201309040610/

休み明けの前走を取りこぼしたスマートレイアーにとって、秋華賞へ出走するためには絶対に落とせない背水の陣の一戦となりましたが、ご覧の通りの楽勝でした。
前走で先着を許したアドマイヤギャラン(今回の4着馬)にも、きっちりお返しを果たしています。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001121015/pedigree/

さて、血統についてですが、ディープ産駒の配合を考えるさい、有効と思われる2つのポイントをしっかり押さえています。
1つは、ディープの持つヘイロー≒サーアイヴァーの相似クロスの継続で、もう1つは、昨年ブレイクしたリファールのクロスです。
実は、ディープ×BMSダンシングブレーヴ系の配合ならば、必ずこのパターンになるのですが、BMSダンシングブレーヴ系というと、これまではダイワメジャー産駒で成功例が多く、ディープ産駒としては最初のはっきりした成功例と言えるかもしれません(そもそも頭数自体が少なかったのですが)。
スマートレイアーのBMSはホワイトマズルですから、ヘイロー≒サーアイヴァー≒ドローン3・5×5となり、非常に切れ味のありそうなクロスです。スマートレイアーの2戦目で見せた上がり32.8秒の豪脚は、まさにこの相似クロスの威力と考えてよいでしょう。この相似クロスのパターンは、栗山求氏が以前から注目されていたもので、いよいよその真価を発揮してくれそうな馬が登場したと言えそうです。
もう1つの、リファールのクロスについては、今さら説明の必要もないでしょう。リファールらしい粘りに効果があるクロスです。スマートレイアーの場合、グルームダンサーにもリファールの血があるので、リファール4×4・5という3本クロスになっています。へたすると鈍重になりかねないリスクもあるのですが、そこはヘイロー≒サーアイヴァー≒ドローンの相似クロスの軽さがフォローしてくれているのでしょう。

その他では、栗山求氏は、アルザオ≒ダンシングブレーヴ3×3の相似クロスと見なすべきであると主張されています。アルザオはリファール×BMSサーアイヴァー、ダンシングブレーヴはリファール×BMSドローンですから、先ほどのサーアイヴァー≒ドローンのニアリーな関係性を踏まえるなら、アルザオ≒ダンシングブレーヴという主張もうなづけるところです。
また、望田潤氏は、ピットカーンとディープの祖母バークレアが、ハイペリオン、ドナテロ、フェアトライアル~サンインローの組み合わせのクロスになっていると指摘されています。
組み合わせのクロスとは、相似クロスほどには血量的な共通性が大きいわけではないのですが、お互いに何頭かの同じ祖先を共有している関係のことです。我々はシロウトですから、厳密性を犠牲にして大雑把に「弱い相似クロスのようなもの」と考えておけばよいでしょう。相似クロスほど鮮やかな即効性は期待できませんが、配合の基盤を下支えする裏方的な効果は充分にあると思います。
ディープ関連の組み合わせのクロスとしては、祖母バークレアとオリオール(ハイペリオン、ドナテロ、フェアトライアル、フェオラが共通)が有名ですが、内容的には、先ほどのバークレアとピットカーンの関係に似ていますね。バークレアとオリオールの組み合わせのクロスは、ディープとヴェイグリーノーブルのニックスの配合的根拠と考えられています(オリオールはヴェイグリーノーブルの祖父)。

ヴェイグリーノーブル
http://www.jbis.or.jp/horse/0000333923/pedigree/

さて、馬体のほうへ話を移しましょう。

5月の平場戦のパドック画像
http://tar144bing288.blog.fc2.com/img/2013050618383220a.jpg/

ディープ産駒らしいスマートな体型で、いかにも切れそうなタイプです。
2戦目の平場戦では、スローペースに対応して2番手のポジションで競馬をするなど、差し脚の切れだけに頼らない自在性も魅力でしょう。
いきなりG1挑戦となりますが、例年、古馬相手の1000万条件で強い勝ち方をした馬は、本番の秋華賞でも通用しているので、スマートレイアーにも期待したいと思います。

ローズS戦評

今回は、デニムアンドルビーの勝ったローズSを取りあげます。
今年の秋華賞のトライアルは、他のレースに分散せず、ローズSに有力馬が集結しましたが、あいにくの道悪馬場となりました。

http://www.youtube.com/watch?v=4I0cMgkIlLo
http://db.netkeiba.com/race/201309040411/

見てのとおり、デニムアンドルビーは豪快で強い内容でしたが、内回りの京都2000mの秋華賞が心配になる強引なレース運びでもありました。陣営は、レース前には中団での競馬を試すと明言していたので、馬の側の気分の問題なのでしょう。
本番で同じ乗り方をすれば、オークスの二の舞になりかねないだけに、陣営がどういう手を打ってくるのか、注目されるところです。内田博騎手は、同じような心配をされた宝塚記念では、ゴールドシップにまさかの先行策をとらせて、あっと言わせましたが、秋華賞はどう乗ってくるでしょうか。
ただし、フローラSも同様のレース運びではありましたが、今回は出走メンバーのレベルが段違いなので、それをああいう競馬で捻じ伏せたということは、ひと夏を越しての成長には著しいものがあると思います。
あとは、序盤でエンジンが全くかからない気性の問題だけでしょう。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001126790/pedigree/

血統は、「オークス回顧」でも簡単に触れましたが、もう一度おさらいしておきます。
個人的に5つほど気になるポイントがあるので、順を追って見ていくことにしましょう。

(1)ディープ×BMSキングカメハメハ
以前にも触れましたが、ディープ×BMSキングカメハメハの配合は、ニックス級の成功の可能性があるのではないかと期待しています。キングカメハメハを構成する血は、ミスプロ、ラストタイクーン、ヌレイエフ、ミルリーフ、ニジンスキー、ラトロワンヌなど、どれもディープと相性のよさそうなものばかりです。
例えば、ラストタイクーンは、ディープが種牡馬デビューする前から、栗山求氏がディープとの相性のよさを指摘されていました。実際に、ディープとラストタイクーンの配合からは、マルセリーナ(BMSマルジュがラストタイクーン産駒)やファイナルフォーム(BMSファイナルディスティネーションはラストタイクーンの孫)などの活躍馬が出ています。
また、キングカメハメハの母系が、レディブリリアント系というのも面白そうなところでしょう。レディブリリアント系といえば、ミルリーフやブラッシンググルーム、日本ではフジキセキなどが有名です。ディープの母系とレディブリリアント牝系が相性がよさそうだという実例として、ナシュワンの例を当ブログでは何度か取りあげてきました。さらなる補強材料として、ディープは同じレディブリリアント牝系のミルリーフと相性がよいことや、サンデー系×レディブリリアント牝系からはフジキセキが出ていることも付け加えておきます。キングカメハメハの興味深いところは、自身の母系がレディブリリアント牝系というだけでなく、同じレディブリリアント牝系のミルリーフの血も持っているということで、なおさら無視できない要素と言えるでしょう。

(2)トゥザグローリーとは4分の3同血
母ベネンシアドールは、キングカメハメハ産駒で、トゥザヴィクトリーの半妹ですから、サンデー産駒の種牡馬と交配されると、その配合から産まれた仔は、自動的にトゥザグローリー(父キングカメハメハ×母トゥザヴィクトリー)と4分の3同血の従兄弟ということになります。

トゥザグローリー
http://www.jbis.or.jp/horse/0001043831/pedigree/

勝ったレースの豪快さは、両馬の共通点と言えるかもしれません。
トゥザグローリーは、そうした豪快さの陰に隠れて目立たないものの、実は非常に万能タイプの馬でした。先行しても差しても競馬ができますし、内回りコースにも外回りコースにも対応できました。あまり実績はありませんが、マイルやダートや道悪などにも、それなりに対応できた可能性が高かったのではないでしょうか。
その理由としては、さまざまなタイプの血を抱え込んでいることが考えられます。例えば、先ほど触れたラストタイクーンの血は、小回り向きのマイラー血統です。しかし、ナスキロラトロの外回り向きの血もありますし、本格派の欧州血脈も、ダート向きのアメリカンなパワーの血もあります。
となると、勝ち方の豪快さの裏側に、器用貧乏的な側面が隠れている可能性もあるかもしれません。トゥザグローリーやデニムアンドルビーは、器用貧乏という言葉とは対極にある存在のように思えるかもしれませんが、トゥザグローリーのG2大将的な成績は、器用貧乏的な要素の反映なのかもしれないということは、頭の片隅に置いておくべきでしょう。

(3)エスカッシャン牝系
以前にも触れましたが、最近4年間の桜花賞において、アパパネ、マルセリーナ、アユサンと3頭もの勝ち馬が、このエスカッシャン牝系から出ています
この牝系からは、フェアリードール一族(トゥザヴィクトリー、サイレントディール、トゥザグローリーなど)やエリモシューテング一族(エリモシック、エリモピクシー、エリモダンディー、リディル、クラレントなど)の人気系統が出ているため、以前からPOGファンによく知られた牝系ではあったのですが、逆に言うと、フェアリードールとエリモシューテングの周辺だけチェックしていればいいという風潮があったのも事実でしょう。
しかし、いま名前をあげた3頭の桜花賞馬は、フェアリードール一族にもエリモシューテング一族にも属さないだけでなく、お互いも別々の分枝から出ていたことで、エスカッシャン牝系の広がりと勢いが再認識されたのです。
さらに注目されるのは、ディープとエスカッシャン牝系との相性のよさです。マルセリーナとアユサンの2頭の桜花賞馬を出し、さらにデニムアンドルビーがG2を2勝ですから、相性のよさは本物でしょう。
ついでに指摘すると、エスカッシャン牝系の日本でのG1勝ち馬は、今のところ牝馬ばかりです。世界的に見ても、スルーオゴールドのような牡馬のG1馬もいるとはいえ、やはり牝馬の活躍が目立ちます。牝系の中には、活躍馬に牡馬が多く、そのため系統が伸びていかないケースもありますが、エスカッシャン牝系は、その逆のパターンと言えそうです。
それから、(1)との関連でいうと、アパパネは、ディープと同じ金子オーナーの所有馬だった(キングカメハメハも)のですから、ディープ×アパパネの金子オーナー3冠馬配合が連発されることが予想されます。

ディープインパクト×アパパネ
http://www.jbis.or.jp/topics/simulation/result/?sire=0000742976&broodmare=0001049318&x=93&y=13

ディープ×アパパネの配合は、デニムアンドルビーと同じ父・同じBMS・同じ母系ということになり、きわめてよく似た配合であると言えるでしょう。デニムアンドルビーの活躍は、近い将来に必ず生じるであろう、ディープ×アパパネの子供をPOGで指名すべきかという問題に、大きなヒントを与えてくれました。

(4)母ベネンシアドールのヌレイエフ4×2のクロス
母ベネンシアドールの配合的な特徴として、まず誰もが目をとめるのは、ヌレイエフ4×2という強いクロスです。以前にも触れたように、この手の強いクロスは、血の凝縮による爆発力に期待できます。優秀な繁殖牝馬には、自分自身か、あるいは数代以内の母系の祖先(3代母とか4代母とか)に、こうした強いクロスのあるケースが頻繁に見られるのです。その意味で、ベネンシアドールは、非常に繁殖牝馬向きの配合だと言えるでしょう。
ところで、それとは別の角度からもヌレイエフのクロスを考えてみたいと思います。つまり、もう少し一般化して、スペシャル(ヌレイエフの母)のクロスとして見てみたらどうかということです。そうすれば、サドラーズウェルズやフェアリーキング、さらには、スペシャルの全弟妹のサッチやリサデルなどにも応用がきくことになるでしょう。
このパターンの成功例としては、まずエルコンドルパサーが思い浮かびます。

エルコンドルパサー
http://www.jbis.or.jp/horse/0000299155/pedigree/

スペシャル=リサデル4×4・3の全姉妹クロスは、初めて目にした時には、強烈な印象を受けたものです。エルコンドルパサーのBMSはサドラーズウェルズですが、キングマンボ×BMSサドラーズウェルズはニックスの関係にあり、この配合からは多くのG1馬が出ています。キングマンボ×BMSフェアリーキング(サドラーズウェルズの全弟)の配合からもG1馬が出ているので、相性のよさは疑いないところです。
別の例としては、クロスの片方の馬がサドラーズウェルズやヌレイエフを経由しない、純粋にスペシャルのクロスの威力が発揮されたケースもあります。

アーキペンコ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001030153/pedigree/

アーキペンコは、香港の国際G1・クイーンエリザベス2世Cなど、英愛米ドバイなど世界中で走って重賞5勝をあげた強豪ですが、スペシャル4×2という強烈なクロスを持っていました。アーキペンコは、日本に輸入されたサクラフブキ(エイジアンウインズの祖母)の半弟にあたります。
また、ディープとスペシャルのクロスの配合パターンとしては、青葉賞2着のエタンダールがいます。

エタンダール
http://www.jbis.or.jp/horse/0001110567/pedigree/

スペシャルのクロスは、ヌレイエフの血を持つキングカメハメハやジャングルポケットと違って、ディープの場合、それほど頻繁に現れるパターンではないかもしれませんが、ディープとヌレイエフとの相性のよさからしても、要注目の配合だと考えています。

(5)血統表の奥に潜む大量のハイペリオン
何度か触れてきましたが、ハイペリオンの血は、成長力に大きく関わってきます
オルフェーヴルの成長力は、ノーザンテースト4×3のクロスによるところが大きいと思われますが、それでは、そのノーザンテーストの成長力の源は何かといえば、最終的にはハイペリオンの血に行き着くことになります。ノーザンテーストの配合的な核は、ハイペリオン4×3のクロスにあるのです。
デニムアンドルビーの場合、祖母フェアリードールが、ハイぺリオン5・5×7・5・7・7・6・6というクロスを持っているのが大きな特徴となっています。
ディープは、こうした母方に多量のハイペリオンを抱えた牝馬との相性がよく、マルセリーナの母マルバイユ、トーセンラーの母プリンセスオリビア、ディサイファの母ミズナなどの例があります。

続いて、馬体面について触れるとすれば、馬体重が14キロも増えたことでしょう。休み明けということもあるかもしれませんが、それほど太め残りという印象はなく、成長分が大半だとすれば、やはりハイペリオン的な体重の増え方ではないでしょうか。

ローズS
http://www.keibado.com/keibabook/130917/photo02.html
オークス
http://www.keibado.com/keibabook/130520/photo01.html
2歳
http://www.jbis.or.jp/horse/images/0001126790_2/

走法的には、ピッチ走法とまでは決めつけられないものの、前脚をかき込むようなところがあり、小回りや道悪への対応力は高いと思います。

本番の秋華賞への展望としては、血統や走法の面からは、世間的に強調されているほど京都2000mの対応力に不安があるとは思えません。
問題は、スタートしてからしばらくは全く走る気にならない気性面だけだと思います。
最初にも触れたように、今回のローズSと春のフローラSとの最大の違いは、出走メンバーの構成です。ローズSは、本番の主役たちが勢揃いしていたわけですから、価値は高いと思います。

最後に、ローズSに出走していた他のディープ産駒たちにも一言ずつコメントしておきましょう。
まず、3着のウリウリですが、4着メイショウマンボと同じような位置から伸びて、秋華賞出走の権利を獲得しました。
春もアネモネS4着など、素質は見せていましたが、ひと夏を越しての成長が見られますね。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001125960/pedigree/

ウリウリの血統表で目につくのは、BMSフレンチデピュティと、ヘイロー≒サーアイヴァー3・5×5の相似クロスでしょうか。
ディープ×BMSフレンチデピュティは、早くから相性のよさを示し、現時点でデビュー馬17頭のうち14頭が勝ち上がる(全て中央)というアヴェレージの高さを誇っています。ディープ×BMSストームキャットも勝ち上がり率は高いですが、かなり地方馬が混ざっているので、中央限定ならばフレンチデピュティのほうが高率です。
相性のよさの要因としては、ノーザンダンサー系種牡馬×ナスキロ配合牝馬というフレンチデピュティの配合にあると思います。ストームキャット、カーリアン、ラストタイクーンなど、ディープと好相性とされるノーザンダンサー系の種牡馬は、みな同じパターン(父ノーザンダンサー系×母ナスキロ配合)と見なせるでしょう。
ディープの持つヘイロー≒サーアイヴァー3×5を母側でも継続するパターンは、ヴィルシーナ、ダノンバラード、フレールジャックなどの成功例があり、末脚の強化に効果的です。
それ以外では、母ウィキウィキにあるグッドエグザンプル≒エイトサーティ6・5×7の相似クロスと、祖母リアルナンバーのリボー5×5のクロスでしょうか。
エイトサーティ、グッドエグザンプル、ウォーレリックの相似関係は、望田潤氏がずっと強調されてきたもので、ラトロワンヌ同様、柔らかい血にパワーと硬さを補う効果があるようです。
リボーのクロスは、諸刃の剣のようなもので、一発大物を出せる底力をもつ反面、気性難に悩まされる可能性もあります。
ウリウリの配合は、硬さと柔らかさのバランスが取れていますが、欲を言えば、もう少しハイペリオンの血が多めだったら、なお良かったでしょう。

13着レッドオーヴァルは、いくぶん距離が長いにしても、ここまで負ける馬ではないので、馬場適性の問題でしょう。なお、次走は秋華賞には向かわず、スワンSになる模様。

14着エバーブロッサムも同様ですが、ただ、こちらは輸送で大幅に馬体重を減らしたのが敗因との話もあるようです。オークスと較べるとマイナス2キロにすぎませんが、夏場に馬体重が大きく増えたようで、そのあたりも含めて秋華賞で確認したいと思います。
レッドオーヴァルとエバーブロッサムについては、「オークス回顧」で検討したので、今回は省略します。

最後に、17着アサクサティアラに触れておきます。
新馬戦でティアーモ、2戦目の未勝利戦ではデニムアンドルビーに敗れて、ともに2着だったとはいえ、悪くない内容でしたし、その後もイリュミナンスを負かしたりしているので、今回の17着は負けすぎでしょう。
やはり、道悪に泣かされた1頭だと思います。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001119914/pedigree/

半兄ファイングレインは、高松宮記念の勝ち馬ですが、母ミルグレインの全姉ピュアグレインは、愛オークス&ヨークシャーオークスに勝っているので、距離適性はまだよく判りませんが、良血馬であることは間違いありません。
まだまだ、これからの馬でしょう。

参考・フローラS
http://www.youtube.com/watch?v=P7t_qLiX5NU

条件戦ピックアップ~ラキシス・エックスマーク・ディサイファ

2歳~ダービー終了までのディープ産駒の勝った条件戦は、なるべく個別に取りあげますが、それ以降についても注目すべき内容のものについては、まとめて定期的にフォローしていこうと思います。
今回は、ラキシスの勝った甲武特別と、エックスマークの勝ったレインボーSについてです。

まず、ラキシスの甲武特別から。

https://www.youtube.com/watch?v=AFCtH8OaAZw
http://db.netkeiba.com/race/201309040509/

中団でじっくり構え、直線で豪快に抜け出すと、あとは流す余裕がありました。
もともと素晴らしい内容で新馬戦を勝ちあがり、将来を期待されていた馬でしたが、その後は馬体細化に悩まされ苦戦していました。しかし、今回は馬体を立て直してきたので、このクラスでは力が違ったという感じでしょう。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001122688/pedigree/

ラキシスは、サトノアラジンの全姉にあたります。配合などについての詳細は、サトノアラジンの新馬戦の投稿を参照してください。ここでは2点だけ。まず、母のBMSファピアノは、ミスプロ系ながらも、ナスキロラトロの血を内包しているので、サーゲイロード≒セクレタリアトの相似クロスを増幅させる要素になると思います。また、栗山求氏の指摘によると、母マジックストームの持つストームバード≒ニジンスキー2×3の相似クロスは、かなりの威力が期待できそうです。

ラキシス(2歳)
https://livedoor.blogimg.jp/umajin_pog/imgs/6/e/6e6dcb19.jpg
サトノアラジン(2歳)
http://www.jbis.or.jp/horse/images/0001137571_1/

馬体の面では、460キロ前後の中くらいのサイズながら、非常に大きく見せる好馬体で、ニジンスキーの影響を感じさせます。
昨年のPOGの馬体評価では、ディープ牝馬の1位に推しました。

今後の展望としては、今回の458キロではまだまだ線が細く感じさせるので、もう10キロくらい馬体重を増やしたいところです。
馬体重が460キロ台で安定してくれば、牝馬どうしなら重賞級だと思います。

参考・新馬
http://www.youtube.com/watch?v=TpdeQDuRNAs

続いて、エックスマーク(1着)とディサイファ(2着)のレインボーSについて見ていきます。

http://www.youtube.com/watch?v=I0E9LaRiCJk
http://db.netkeiba.com/race/201306040311/

道中はディサイファが4番手につけ、その直後にエックスマークという展開でしたが、直線でいち早く仕掛けたディサイファが抜け出したところを、最後にエックスマークが差し切りました。
エックスマークは、POGでも人気を集めた素質馬でしたが、使い込めない時期もあったりと、やや出世が遅れていました。しかし、ここにきて完全に軌道にのったと思います。
ディサイファもPOGではそこそこ人気のあった馬でしたが、3歳秋~4歳春に500万条件で低迷し、期待を裏切ったかに思われましたが、夏場に3連勝で一気に準オープンまでクラスを上げ、昇級初戦の今回もエックスマークをあわやというところまで追い詰めました。

エックスマーク
http://www.jbis.or.jp/horse/0001111007/pedigree/

エックスマークの血統は、ディープ×ドイツ産馬の配合で、栗山求氏によれば、ディープとドイツ血統の相性は抜群とのことです。
BMSアカテナンゴはドイツのリーディングサイアーのタイトルを5度も獲得した大種牡馬で、父系はドイツを代表する名門として知られ、ダークロナルド(独リーディングサイアー5回)~ヘロルド(同2回)~アルヒミスト(同2回)~ビルクハーン(同4回)~ズルムー(同6回、アカテナンゴの父)は、いずれもドイツの競馬史に大きな足跡を残した名種牡馬です。ダークロナルドの父は、ハイペリオンやサンインロー(ダークロナルド産駒)を出した父系の起点となったベイロナルド。
ディープ×BMSアカテナンゴの配合では、ワールドエースの成功例があります。
エックスマークは、アカテナンゴやタップオンウッドのような異系血脈と、ザミンストレルやナスキロ(プリンステンダーフット)などの主流血脈とが混在しており、米国血脈と欧州血脈も同居しているので、異種格闘技戦のような配合です。こういう配合は、雑種強勢であり、確実性には欠けますが、予想外の大物を出す可能性があります。
母ショアーは、ブリーダーズCターフや独ダービーなどG1を4勝したシロッコの半姉にあたります。
母系は、意外にもドイツの牝系ではなく、祖母ソーセデュラスは米国産馬で、のちにドイツへ輸入されました。インディアナなどを出したガーガニー牝系で、もともとはイギリスの中堅どころの系統です。

エックスマーク(2歳)
http://image.news.livedoor.com/newsimage/2/6/26d9e_772_a2484ce9a645892e723ef737d212716f.jpg

馬体は、非常に見栄えがして大物感があります。
一昨年のPOGの馬体評価では、ディープ牡馬の3位にあげました。

ディサイファ
http://www.jbis.or.jp/horse/0001110648/pedigree/

ディサイファの血統表は、きらびやかな名血のかたまりです。
BMSドバイミレニアムは、芝とダートの両方で圧倒的な強さを誇り、種牡馬としては僅か1年しか産駒を残せなかったにもかかわらず、ドバウィという大物をおくり出して父系をつなげました。
ドバイミレニアムの父シーキングザゴールドは、サンデー系と相性がよいとされるミスプロ×バックパサーの配合(有名なニックスでもあります)で、母ミズナのBMSシャリーフダンサーにはサーアイヴァーの血があるので、ディープの持つヘイロー≒サーアイヴァーの相似クロスを継続します(ヘイロー≒サーアイヴァー3・5×6)。
ディサイファの母系は、バラード一族やグラスワンダー、タイキシャトルなどが出た名門リンドスオホス牝系。ディープとバラード一族の相性のよさは以前にも取りあげましたが、ミズナの母系も同系ということで、ディープとの相性には期待できそうです。
見た目は派手な血統ですが、奥にハイインローの血が大量にあるのがポイントで、非常に成長力がありそうな配合です。半兄アドマイヤタイシも、じわじわと成長を続けて5歳でようやくオープン入りし、重賞で5走連続2着という珍しい記録を作りました。

ディサイファ(3歳・新馬戦のパドック画像)
http://farm8.staticflickr.com/7065/6930362146_eedc978285.jpg

馬体は、すっきりとした無駄の無い体型です。
スケールの大きさに欠けるという意見もあるかとは思いますが、個人的には好きなタイプで、一昨年のPOGの馬体評価では、ディープ牡馬の8位にあげました。

最後に、2頭の今後の展望について。
エックスマークは、今回の勝利でオープン入りとなりましたが、重賞でも充分に通用する素材です。
今後の成長次第ですが、G1戦線に顔を出せるような存在になってほしいと思っています。
ディサイファは、最下級条件から一気に準オープンで勝ち負けするところまで急成長しましたが、母馬にあるハイインローの血の成長力で、まだまだ上を狙えるでしょう。
いずれは、重賞のタイトルにも手が届きそうです。

速報・ニエル賞

ロンシャン競馬場で行われたニエル賞(仏G2・芝2400m)で、キズナが優勝しました。
2着はルーラーオブザワールド、3着はオコヴァンゴでした。
詳しくは、また後ほど。

http://www.youtube.com/watch?v=dXo390ZNgU8
http://www.jra.go.jp/news/201309/091603.html#1
http://race.sanspo.com/keiba/news/20130915/ove13091521490002-n1.html

ダービー回顧

長らくタイトルだけで本文の無い状況で放置してしまいましたが、9月も終わりの今頃、ひっそりと本文をアップします。

http://www.youtube.com/watch?v=lsaKdmPb2Yg
http://db.netkeiba.com/race/201305021210/

スタートから後方に下げたキズナは、道中はずっと後ろから3~4番手の位置でじっとしていましたが、直線に入ると外へ持ち出し、豪快に2着エピファネイア以下を差し切り、ディープインパクト産駒のダービー2年連続制覇を成し遂げました。
こう書くと何の問題もなく終わったかのように見えますが、勝ったキズナと2着のエピファネイアは、ともに1度ずつ大きな不利がありました。
先に不利があったのはエピファネイアで、3コーナーあたりで躓き、大きくバランスを崩すシーンがありました。さいわい、ポジションが下がるようなことはありませんでしたが、不利があったことは確かです。
一方、キズナの不利は、直線で外に持ち出すときに発生しました。いざゴーサインという時に、タマモベストプレイが外にヨレて、キズナの進路がカットされたのです。動画を何度か見直したのですが、どうやらコディーノが外に出した時に、ミヤジタイガが弾かれて外にフクれ、それに押されてタマモベストプレイがキズナの進路に被さってくるという、玉突き型の連鎖になっていたようです。追い出すタイミングで前をカットされたキズナは、いったん後方2番手まで下がってしまい、そこからエンジンをかけ直しての追い込みとなったので、やはり大きな不利だったと言えるでしょう(パトロールビデオの2分10秒すぎあたりです)。
どちらの不利のダメージが大きかったかは一概には言えませんが、もし両馬とも不利なくスムースにレースが運べていれば、2頭で後続を引き離しての叩きあいになっていたことだけは確実です。戦前には「4強対決」との下馬評でしたが、東京2400mという条件においては、1~2着馬の力が抜けていたと思います。


http://www.jbis.or.jp/horse/0001120570/pedigree/

さて、キズナの血統を見ていきましょう。
桜花賞馬ファレノプシスの半弟で、従兄弟にはナリタブライアンやビワハヤヒデがいます。早田牧場がブレイクさせたパスフィックプリンセス一族ですが、早田牧場の倒産後は何となく勢いに欠ける状況が続き、一族の馬としては久しぶりのG1タイトルとなります。
配合は、アユサンやヒラボクディープなど、今年注目を集めたディープ×BMSストームキャットです。
以下、パシフィックプリンセス牝系とBMSストームキャットの2点に絞って見ていくことにします。


(1)パシフィックプリンセス一族
先ほど「早田牧場がブレイクさせた」と書きましたが、実際、海外ではそれほど大きな実績があるわけでもない牝系です。少なくとも、ビワハヤヒデ、ナリタブライアン、ファレノプシスと立て続けに大物を輩出させるようなレベルの系統ではなかったはずなのです。
しかし、パシフィックプリンセスは米G2・デラウェアオークスに勝ち、その母フィジーはコローネーションS(現在は英G1)に勝っているので、ブレイクの兆しのようなものはありました。パシフィカス(パシフィックプリンセスの娘&ナリタブライアンの母)は、競争成績も輸入前の繁殖成績も平凡でしたが、購入に踏み切った早田牧場の先見の明の勝利だと言えるでしょう。
パシフィカスの成功を受けて、その妹たちが根こそぎ日本に輸入されていきますが、ノースヒルズの牧場名がまだマエコウファームだった時代に輸入されたのが、パシフィカスの半妹にしてキズナの母のキャットクイルでした。
それでは、まずパシフィックプリンセスの血統について検討していきます。

パシフィックプリンセス
http://www.jbis.or.jp/horse/0000393762/pedigree/

パシフィックプリンセスの母フィジーが、コロネーションSに勝ち、繁殖牝馬としてもフリートワヒネ(ヨークシャーオークス)のようなG1馬を出したことが、のちのこの系統のブレイクへの第1歩となりました。
まず、フィジーの母リフィフィがファロス=フェアウェイ3×3、フィジーの3代母フェアタームズはチョーサー3×3と、強いクロスで活力を蓄積させてきたことは見逃せません。
そうした蓄積を受けて、フィジーは、ハイペリオン≒オールムーンシャイン3×3の4分の3兄妹クロスで、一気に溜め込んだ活力を爆発させることに成功しました。
血統表を見ていただくと分かるのですが、ハイペリオン&オールムーンシャイン兄妹の母セレーネはチョーサー産駒ですし、ファロス&フェアウェイの全兄弟の母スカパフローもチョーサー産駒ですから、ここに全ての活力が有機的に結びつけられたのです。
チョーサーはセントサイモン産駒で、20世紀最高のBMSと言われ、ファラリス×BMSチョーサーのニックスからナスルーラ系、ノーザンダンサー系、ミスプロ系など現代の有力父系が送り出されました。
ハイペリオンはこのブログにもよく登場しますが、父系はハンプトン系とはいえ、その配合的な核はセントサイモン4×3にあります。
さて、パシフィックプリンセスは、そうしたハイペリオン~セントサイモン色の強い母フィジーに、米国ダート血統のダマスカスを交配することで誕生しました。
典型的な、米国血脈×欧州血脈の配合ですが、欧州と米国をうまく融和させるような工夫もなされています。それが、ファラモンド=シックル≒ファロス=フェアウェイ5・6・4×5・5の4分の3同血クロスと、スウィートラヴェンダー=ローズレッド6×4の全姉妹クロスです。
ファラモンド、シックル、ファロス、フェアウェイは、ファラリス×BMSチョーサーから生み出された種牡馬の四天王的な存在で、ファラモンドとシックル、ファロスとフェアウェイが、それぞれ全兄弟となります。この4頭の血は、どこにでも当たり前のように出てくるので、多少のクロスが発生しても「またか」という感じでスルーされてしまうことも多いのですが、4頭の揃い踏みによる4分の3同血クロスは珍しいでしょうし、配合の核心に関わってくるケースですから無視は出来ません。さらに重要なのは、ファラモンド&シックルの母セレーネは、ハイペリオン&オールムーンシャインの母でもあるということです。
この有機的に絡みあう配合の素晴らしさは、もともとの牝系が中堅級であったことを考えると、配合によって牝系を人為的にグレードアップさせたといっても過言ではありません。この見事な配合によって、パシフィックプリンセス一族のブレイクの準備は完了したと考えてよいでしょう。
それに較べると、スウィートラヴェンダー=ローズレッド6×4の全姉妹クロスの役割は、あまりにも小さいもののように見えますし、実際、パシフィックプリンセスのことだけを考えるならば、その通りでしょう。しかし、最終的にキズナの父がディープであることを考慮するなら、とたんに重要性が増してくるのです。ディープには、スウィートラヴェンダー=ローズレッド7×8・7の全姉妹クロスがあるので、ディープとパシフィックプリンセス牝系の相性という点において、決してその役割は小さくはないのです。


(2)ディープ×BMSストームキャット
今年、一気にブレイクしたこの配合については、これまでにも触れてきましたし、今さら付け加えることがあるわけでもありません。簡単におさらいするなら、スマートなディープにパワーを補いつつ、サーゲイロード≒セクレタリアト6×4の相似クロスが発生するのがポイントです。
ここでは、母キャットクイルのストームキャット×パシフィックプリンセスの配合について、ディープとの関係も考慮しつつ検討することにしましょう。
ストームキャットは、ストームバード×BMSセクレタリアトの配合で、祖母クリムゾンセイントは、名種牡馬ロイヤルアカデミーの母でもあります。
母系は、米国の名門チェロキーローズ牝系で、日本ではこの系統からオルフェーヴル&ドリームジャーニー兄弟が出ました。
配合的には、クリムゾンセイントとストームバードの母サウスオーシャンは、米国血脈中心で、特にサウスオーシャンはテディ系の血が濃厚です。
そのため、ストームキャットは、ダート血統のように思われてきたのですが、昨今テイルオブザキャットやヨハネスブルクの産駒の日本での活躍を見ると、安直にダート血統と決め付けてよいかには問題が残ります。ストームキャットの父ストームバードや代表産駒ジャイアンツコーズウェイは、現役時代は芝で活躍しましたし、産駒にも芝での活躍馬が多く出ています。ストームキャットも、種牡馬としては、芝のG1勝ち馬も少なくないのです。
にもかかわらず、ストームキャットはダート向きと思ってしまうのは、ストームキャットの米国血脈の中でも特に濃厚なテディの血に対して、なんらかの誤解があるのかもしれません。
テディ系というと、マンノウォー系やヒムヤー系とともに、アメリカの古くからの土着父系の代表的な存在であるかのように思われがちなのですが、実は、テディ自身はフランス産馬で、フランスのリーディングサイアーを獲得したこともあるのです(1923年)。代表産駒のサーギャラハッド&ブルドッグ兄弟もフランス産馬で、サーギャラハッドは仏2000ギニーに勝っています。のちに、この兄弟がアメリカに輸出され、兄弟そろって北米リーディングサイアーになることで、一気にアメリカでテディ系のブームが爆発することになるのです。
テディ自身は、晩年までフランスで暮らしていましたが、1931年に大恐慌の影響でオーナーが破産しアメリカに売却されました。すでに18歳と高齢だったので、さほどの活躍馬を出せませんでしたが、サンテディという現在のG3相当の重賞を2つ勝った程度の馬が、結果的に今日まで断絶せずに残ったテディ系の唯一の後継分枝を築き上げることになります。
さて、あまり強調されないことですが、テディの代表産駒の母馬たちは、ほとんどがセントサイモンの血を抱えています。セントサイモンの血の流行の凄まじさからすれば、それもある程度は理解できるのですが、ほぼ全てという状況は、やはり注目せざるをえないだろうと思われます。
こうした傾向の要因は、テディの配合に求められるでしょう。19世紀後半から20世紀前半の血統的な流行は、ストックウェルとセントサイモンの19世紀の2大巨頭の血の融合にあったことは、以前にも触れました。しかし、テディの場合、その父も母も、ストックウェルとセントサイモンではなく、ストックウェルとガロピン(セントサイモンの父)の組み合わせになっているのです。しかも、テディの3代父オームの母アンジェリカは、セントサイモンの全姉にあたります。


テディ
http://www.jbis.or.jp/horse/0000334918/pedigree/

したがって、テディという種牡馬は、お相手にセントサイモンを持つ牝馬との交配がピッタリだったと考えられます。テディの血統全体が、セントサイモンの血を欲しがっているという感じでしょうか。
というわけで、テディの血を多く抱え込んでいる馬は、必然的にセントサイモンの血ももれなく付随している可能性が高いのです。
そして、それは、パシフィックプリンセスの父ダマスカスにも当てはまります。ダマスカスは、先ほど名前のあがったサンテディの系統で、テディ系を現代に伝える後継者の役割を背負った馬です。競走馬としても恐るべき強さを発揮した馬でしたが、先に見たように、配合はファラモンド≒ファロス≒シックル4×6・3の4分の3同血クロスが核になっています。ファラモンド&シックルのBMSチョーサーがセントサイモン産駒なのも、先ほど確認したとおりです。
さらに、ストームキャットの血統的な軸であるノーザンダンサーとセクレタリアトについても、簡単に触れておきます。ノーザンダンサーもセクレタリアトも、父系はファラリス×BMSチョーサーのファロスから出ています。ノーザンダンサーの父ニアークティックのBMSはハイペリオンですから、トータルとして、ノーザンダンサーもかなりセントサイモンの血が入ってます。他方、セクレタリアトのBMSプリンスキロは、父系を遡ればセントサイモンの直系です。
こうして見てくると、キャットクイルの血統は、ストームキャット×BMSダマスカスという、いかにもダート向きのような配合に見えて、その裏には、セントサイモンの血が充満していたことが理解されるのです。
最後にディープの血統についても確認しておくと、父系もBMSの父系もファラリス×BMSチョーサーのファロスから出ていますし、母系にはハイペリオンの血が大量にあります。
とくに注目されるのは、ディープの4代母ハイライトの配合です。ハイライトの父ボレアリスは、ブリュムー×オーロラですが、ブリュムーはテディ系で、オーロラはパシフィックプリンセスのBMSの母でもあります。そして、ハイライトには、ハイペリオン3×2という強いクロスがあります。
血統表を較べてみると、ハイライトの配合は、パシフィックプリンセスやフィジーの配合と大きな共通性があることが見えてくるでしょう。このハイライトとフィジー~パシフィックプリンセス母娘との配合的な類似性は、ディープ×パシフィックプリンセス一族という配合を支える大きな基盤となっているのです。

ハイライト
http://www.jbis.or.jp/horse/0000390923/pedigree/

こうして順を追って辿ってみると、ディープとパシフィックプリンセス一族は、きわめて相性がよさそうだということが分かります。とくに、ハイライトとフィジー~パシフィックプリンセス母娘との配合的な類似と、スウィートラヴェンダー=ローズレッドの全姉妹クロスの継続の2点は重要です。
それを裏付けるかのように、今年の3歳馬には、もう1頭のディープ×パシフィックプリンセス一族の活躍馬がいます。それが、青葉賞3着のラストインパクトです。

ラストインパクト
http://www.jbis.or.jp/horse/0001120507/pedigree/

こちらは、母スペリオルパールが、ナリタブライアンの半妹になります。
ディープ×パシフィックプリンセス一族から立て続けに活躍馬が出ているのは、決して偶然ではないのです。今後もこの配合パターンはちょくちょく見かけることになると思いますが、前評判がよければ逆らわずに取りにいくべきでしょう。

さて、馬体面にも触れておくと、ディープとストームキャットの良いところ取りといった感じです。
ディープ×ストームキャットの配合では、ストームキャット丸出しといったゴツい馬も多いのですが、キズナは、胸前の筋肉の立派さはストームキャット、バネのありそうなトモはディープと、両方の良さを受け継いでいます。
昨年の馬体評価では、ディープ牡馬の2位にあげました。


ダービー
http://www.keibado.com/keibabook/130527/photo03.html

弥生賞
http://www.keibado.com/keibabook/130304/photo09.html


最後に、4強対決と言われた他の3頭についても、ひと言ずつコメントしておきます。
まず、2着エピファネイアですが、皐月賞に続いての2着ということで、G1制覇のためには、かかり癖をどこまで改善できるかでしょう。
とはいえ、そういう分かりきったことだけ書いても面白くないので、ちょっと馬体について気付いたことを記しておきます。
もっと強調されてもいいと思うのですが、エピファネイアの馬体は、母シーザリオそっくりです。父シンボリクリスエスの要素はどこにあるのか判らないくらい、シーザリオと瓜二つです。
「本当かな」と思われる方は、是非ご自分の目で確認してみてください。

エピファネイア(皐月賞)

http://www.keibado.com/keibabook/130415/photo03.html
シーザリオ(オークス)

http://www.keibado.com/keibabook/050523/photo10.html

シンボリクリスエス(ダービー)

http://www.keibado.com/keibabook/020527/photo10.html

5着ロゴタイプは、距離が長かったというのも事実だと思いますが、望田潤氏は、府中より中山向きの配合だと指摘されています。
あらゆる意味で、ダービーより皐月賞向きの馬だったということなのでしょう。

ロゴタイプ

http://www.jbis.or.jp/horse/0001124405/pedigree/

9着コディーノも、距離が長かったとは思うのですが、もっと大きな問題が他にあるのではないでしょうか。
それは、札幌2歳Sのころから馬体の成長が、ほとんど感じられないということです。
そこで思い出されるのは、昨年のダービーで10着だったグランデッツァです。コディーノもグランデッツァも、札幌2歳Sのころの馬体の完成度は飛び抜けており、1頭だけ3歳馬が紛れこんだのではないかというほどでした。しかし、その後は馬体の成長が感じられず、徐々に他馬に追いつかれ、最終的には追い抜かれてしまったということなのでしょう。
コディーノに関しては、もう成長は打ち止めなのか、それともまだ伸びしろがあるのかということが、今後の行方を左右することになると思います。

コディーノ(ダービー)
http://www.keibado.com/keibabook/130527/photo04.html

コディーノ(札幌2歳S)
http://www.keibado.com/keibabook/120903/photo13.html


参考動画

皐月賞
http://www.youtube.com/watch?v=5q1Z9CICC7g

京都新聞杯
http://www.youtube.com/watch?v=rl50zsMO27o

毎日杯
http://www.youtube.com/watch?v=hjdGoYUkA78

弥生賞
http://www.youtube.com/watch?v=ySK1Uw_JLbY

ラジオNIKKEI杯2歳S
http://www.youtube.com/watch?v=gRejacLIhp8

黄菊賞
http://www.youtube.com/watch?v=JvY9l0Lc1oE

新馬(キズナ)
http://www.youtube.com/watch?v=JUEA4iDQNx0

オークス回顧

せっかくブログを立ちあげたのですが、POGドラフトの準備で更新が滞っているうちに、オークスとダービーが終了してしまいました。
とりあえず、手短に両レースの回顧を行ない、来年以降への糧としたいと思います。

http://www.youtube.com/watch?v=cMZubATfOT0
http://db.netkeiba.com/race/201305021011/

まずは、オークスから振り返ってみましょう。
勝ったメイショウマンボは見事でしたが、これはオークスで定期的に現れる「オークス向きの勝ち馬」の典型でしょう。
4コーナーをロスなく内を回り、直線で早めに外に持ち出した武幸四郎騎手の乗り方も完璧すぎです。
しかし、POG的に重要なのは、こういう馬は指名不可能だということ。非常にマニアックに深く研究されている方なら、あるいは指名できるのかもしれませんが、このブログの扱うレベルの範囲を大きく外れていることは確かでしょう。

となると、やはり2~4着をディープ産駒が占めたことが重要です。残念ながらブービーに大敗したレッドオーヴァルも、桜花賞は2着ですから、POGで指名できれば大きな戦力でしょう。
実は、3世代目となる今年のディープ3歳馬は、POGの時点では苦戦の可能性も予測されていました。
その理由は、いわゆる“谷間の世代”であるからです。
新種牡馬にとって、初年度~2年目の世代は、種牡馬として成功させるため、繋養する側もお相手に良質の繁殖牝馬を集めるよう努力します。しかし、3~4年目となると、どうしても様子見ムードとなり、繁殖牝馬の質が低下するのが通例です。あのサンデーサイレンスでさえ、3年目の世代からは3歳クラシックの勝ち馬が出ていません。
ディープの場合も御多分にもれず、3世代目の繁殖牝馬の質は1~2年目にかなり及ばないという評価で、量的にも初年度147頭、2年目159頭の登録に対して、3年目は117頭にとどまりました。
こうした状況ですから、今年の3月の初め頃まで3世代目のディープ産駒が重賞未勝利だったのも、一部では「仕方ない」という声があったのは事実です。
しかし、ディープ産駒はそこから怒涛の快進撃を開始し、ダービー&桜花賞の2つのG1を含む重賞7勝の荒稼ぎでした。
「やっぱり、POGはディープだな」という感想を持たれた方も多かったのではないでしょうか。
ということで、本ブログでは、出走した4頭のディープ産駒について、POG的な視点からから簡単にまとめておくことにします。

まず、2着のエバーブロサッムですが、この超良血馬はPOG的には全くのノーマークとなってしまいました。ほとんどのPOG本で、せいぜい「エイジアンウインズの妹」といった一言コメントだけで、馬体画像もなければ育成の進捗状況も不明という、無い無い尽くしだったからです。デビューが遅かったことから推測すると、育成段階でもかなりの遅れがあったのでしょう。
ですから、この馬を指名するとすれば、血統だけを信じて気合で選ぶよりありません。
しかし、この馬の血統は、そうする価値があったのも事実です。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001119361/pedigree/

ヴィクトリアマイルに勝ったエイジアンウインズの4分の3妹というのもさることながら、なんといっても、4代母があのスペシャルなのです。
スペシャルは、20世紀を代表する名繁殖牝馬の1頭で、ヌレイエフの母であり、サドラーズウェルズの祖母にあたります。一族も超名門で細かくあげたらキリがないのですが、全弟サッチは種牡馬として成功し、全妹リサデルはエルコンドルパサーの3代母にあたります。
この超名牝の直系の繁殖牝馬が日本にいるだけでも大したものですが、エイジアンウインズやエバーブロッサムなど活躍馬を次々に送り出していることは、さらに素晴らしいことです。
配合的には、どうでしょうか。
ディープ×BMSダンジグ系は、ジェンティルドンナをはじめとして成功例は多いですが、個人的な印象としては、当たり外れのはっきりした組み合わせのように思います。POG的には、アヴェレージよりホームラン狙いというところでしょうか。
祖母サクラフブキは、ミスプロ系種牡馬×祖母スペシャルの配合ですが、血統研究家の栗山求氏によれば、ディープ+ミスプロ+スペシャルの組み合わせは、ディープブリランテ、ヴィルシーナ、トーセンラーなど、非常に相性が良いということです。
また、母サクラサクにあるリボー5×5のクロスは、当たれば大物が期待できますが、気性難の可能性もある諸刃の剣です。
それから、スペシャルの母系は欧州の名門ですが、母サクラサクにはトータルとしては米国血脈が多めで、そのあたりがエイジアンウインズのスピードのバックボーンになっているようです。
ただ、姉エイジアンウインズとは父が変わったことで、距離の柔軟性は妹の方があるようで、それが今回の好走につながったのでしょう。
最後に、馬体面を見ると、いかにもディープ牝馬らしい体型をしています。

http://www.keibado.com/keibabook/130520/photo06.html

馬体画像のリンクは、競馬ブック誌のフォトパドックのものです。
ディープ産駒らしさの1点目は、胸の深さです。
次の画像を見てください。

http://umaroda.jpn.org/cgi/up/img/umaroda19308.jpg

父ディープインパクトの現役時代の画像に、こちらで赤と青の矢印を引っぱったものです。
赤の矢印の長さが、青の矢印にくらべて圧倒的に長いことにお気付きでしょう。
この胸が深いという特徴は、優秀な産駒のほとんどに受け継がれています。
2点目は、逆三角形の体型です。

http://umaroda.jpn.org/cgi/up/img/umaroda19309.jpg

画像は先ほどと同じディープ自身のもので、胸の深いディープは、必然的に三角形の体型となります。
サラブレッドの代表的な体型は、ディープのような逆三角形型と、胴と背中のラインが平行な長方形型の2パターンあります。
といっても、文字では分かりにくいので、画像でみていただきましょう。
まず、逆三角形型の代表として、ハイペリオンをご覧ください。

http://www.blazingcoloursfarm.com/Hyperion.jpg

次は、長方形型の代表として、ミスタープロスペクターをどうぞ。

http://www.sporthorse-data.com/horse/10005075/857/Horse_Mr_Prospector-big.jpg

もちろん、現役の馬は、きちんと絞ってあれば三角に見えやすいのも事実で、実際に分かりやすいのはPOG用の2歳馬の画像です。
次の2枚の画像をくらべて見てください。

http://blogs.yahoo.co.jp/aerosonde/GALLERY/show_image_v2.html?id=http%3A%2F%2Fimg5.blogs.yahoo.co.jp%2Fybi%2F1%2F22%2F48%2Faerosonde%2Ffolder%2F1206708%2Fimg_1206708_34075318_0%3F1277730453&i=1
http://www.jbis.or.jp/horse/images/0001123075_2/

前者は、ディープ産駒のコティリオンの2歳時の画像で、後者は、昨年のPOGで大人気だったトーセンパワフルの画像です。違いは、歴然でしょう。
トーセンパワフルはネオユニヴァース産駒なので、ディープ産駒の基準を当てはめるわけにはいきませんが、とにかく違いがはっきりしているということだけ押さえておいてください。
エバーブロッサムの馬体は、いくらか寸が詰まっている(胴がやや短め)ので、ベストは1600~2000mではないかと思いますが、オークスのレース内容を見る限り、距離延長にも対応できるタイプでしょう。
メイショウマンボとの差は、内ピッタリを回したメイショウマンボと、外を回さざるをえなかったエバーブロッサムとの、枠順の差としか言いようがないと思います。
あとは、秋に向けての伸びしろについてですが、まだキ甲が充分に抜けておらず、いくらか腰高なところがあるので、まだまだ成長しそうです。
キ甲というのは肩の最も出っ張っているところですが、2歳春くらいまではほとんど出っ張っておらず、年齢とともに盛り上がってきます(キ甲が抜ける)が、もちろん個体差があり、早くからキ甲の盛り上がっている馬は完成度が高く、いつまでたってもキ甲の抜けない馬は晩成の傾向があります。
キ甲と腰の一番高い部分との高低の比較では、2歳春くらいまでは腰のほうが高いのが普通で、2歳秋から3歳くらいになるとキ甲のほうが高くなるのが通例です(ときどき体型として腰高な馬がいますが、例外と考えてください)。

http://www.jbis.or.jp/horse/images/0001126790_2/

上の画像はデニムアンドルビーの2歳時のものですが、キ甲はのあたりはなめらかで盛り上がりが無く、腰のほうが高いのも確認してください。
一般に、2歳の春頃なのにキ甲が抜け始めていて、腰のほうが低くなっているような馬は、早熟を疑ったほうがよいでしょう。

次に3着のデニムアンドルビーですが、トライアルと同じく最後方からマクっていきましたが、さすがにちょっとやりすぎな感じもありました。しかし、レース後の内田騎手の談話では、馬のほうが進んでいってくれなかったとのことですから、まだ精神的に子供なのかもしれません。
この馬は、エバーブロッサムと較べても、キ甲の抜けが遅れており、腰も高いです。秋から古馬になっても、まだまだ成長していくと思います。

http://www.keibado.com/keibabook/130520/photo01.html

画像リンクは、競馬ブック誌のものですが、注意してほしいのは、前脚と後脚の高さが揃っていないことで、脳内補正が必要です。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001126790/pedigree/

続いて、血統面ですが、まず注目されるのは、BMSキングカメハメハでしょう。まだ数が少ないですし、とくにディープ×BMSキングカメハメハは、デニムアンドルビーが最初の産駒です。
したがって、どうしても推測を交えた話になってしまうのですが、あえて言うなら、ディープ×BMSキングカメハメハの配合は、ニックス級の成功までありうると考えています。
その根拠ですが、まずキングカメハメハを構成する血の要素が、ことごとくディープと相性がよさそうだということ。ミスプロ、ラストタイクーン、ヌレイエフ、ミルリーフ、ニジンスキー、ラトロワンヌなど、いずれもディープとの組み合わせで実績のある血ばかりです。
さらに、キングカメハメハの母系が、レディブリリアント系というのも面白そうなところでしょう。
レディブリリアント系といえば、ミルリーフやブラッシンググルーム、日本ではフジキセキなどが有名です。
ここで思い出していただきたいのは、前回の投稿「ヴィルシーナの血統」でふれた種牡馬ナシュワンの血統です。
ここで、ナシュワンの血統表を再度リンクしておきます。

http://www.pedigreequery.com/nashwan

レディブリリアント牝系のブラッシンググルーム×ディープインパクトの牝系の配合であることが見てとれるでしょう。
さらに補強すると、ディープは同じレディブリリアント牝系のミルリーフと相性がよく、サンデー系×レディブリリアント牝系からは、フジキセキが出ています。
キングカメハメハの興味深いところは、母系がレディブリリアント牝系というだけでなく、同じレディブリリアント牝系のミルリーフの血も持っているということで、なおさら無視できない要素となっています。
デニムアンドルビーの血統のポイントの2つめは、母ベネンシアドールが、ヌレイエフ4×2の強いクロスを持っているということ。いくらディープとヌレイエフの相性がいいといっても、ここまで強力なクロスがあると、ちょっとやそっとの相性では駄目でしょう。その点で、デニムアンドルビーが活躍したということは、ディープとヌレイエフの相性は本物と言えそうですね。
ポイントその3は、母系がフェアリードール一族だということ。
この一族は、POGファンにはお馴じみの人気牝系ですが、もう一歩奥まで踏み込むと、さらに面白い事実が浮かび上がってきます。
牝系を遡っていくと、エスカッシャンという名繁殖牝馬の名前に行きあたるのですが、この牝系がいま日本で猛威をふるっているのです。
エスカッシャン牝系といえば、トゥザヴィクトリーなどのフェアリードール一族と、エリモピクシーなどのエリモシューテング一族との人気の2系統を目配りしておけばよいという風潮は、アパパネの登場によって一変しました。
アパパネは、フェアリードールやエリモシューテング以外の系統でありながら、同じエスカッシャン牝系ということで、この牝系の勢いと日本適性が本物であることが明らかになってきたのです。
さらに、その次の年には、マルセリーナが桜花賞に勝ち、同一牝系から2年連続で桜花賞馬が出たことになります。マルセリーナは、エスカッシャン牝系ながら、フェアリードールともエリモシューテングともアパパネとも違う分枝から出ました。
その2年後には、アユサンとデニムアンドルビーです。デニムアンドルビーは、フェアリードール一族ですが、アユサンは、フェアリードールでもエリモシューテングでもアパパネでもマルセリーナでもない分枝から出ています。
桜花賞は、最近4年間で3頭の勝ち馬が、エスカッシャン牝系から出たことになるわけです。
しかも、マルセリーナとアユサンはディープ産駒ですから、ディープ×エスカッシャン牝系の抜群の相性がお分かりいただけるかと思います。
ついでになりますが、ディープとアパパネは、ともに金子オーナーの持ち馬でした。
ディープ×クロウキャニオンや、ディープ×オイスターチケットの前例から容易に予測されるのは、ディープ×アパパネの配合が連発されるだろうということです。
この配合は、デニムアンドルビーとは、同じ父・同じBMS・同じ牝系という、きわめて相似的な血統です。
POG的には、ディープ×アパパネは、無条件で指名すべき馬ということになりそうですね。

続いて、4着のアユサンです。
この馬の体型は、いかにもディープ産駒らしい他の3頭とは異なり、母のBMSアファームドが出た胴長の体型です。胴長というと、すぐに長距離向きというふうに考えがちですが、レイズアネイティヴ系やマンノウォー系は、胴長であっても適距離は1600~2000mです。
したがって、オークスはすこし距離が長いのですが、距離についてはほとんどの出走馬も不安を抱えているので、最大の敗因とは言えないでしょう。

http://www.keibado.com/keibabook/130520/photo02.html

この馬の第一の敗因は、桜花賞が究極の仕上げであったということだと思います。
桜花賞を獲りにいって、きっちり制覇したのは素晴らしいことですが、あとは下るしかありません。
陣営も懸命に現状維持に努力したと思いますが、わずかに及ばなかったということでしょう。
桜花賞組は、メイショウマンボ以外は全て返り討ちにしたわけですから、桜花賞はフロックではありません。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001126009/pedigree/

血統面のポイントは、ディープ×BMSストームキャットと、エスカッシャン牝系の2点ですが、エスカッシャン牝系については既にふれたので、ここではディープ×BMSストームキャットについて考えてみましょう。
キズナ、アユサン、ヒラボクディープなど、突如として今年ブレイクした感のあるディープ×BMSストームキャットの配合ですが、一部の専門家やファンの間では、昨年の段階からその驚異的な勝ち上がり率の高さが話題になっていました。自分もそうした話を目にしたことはあるのですが、なんといっても当時はまだ大物が出ていなかったので、もう1つ盛り上がりに欠けたのは仕方ありません。
しかし、ついにキズナとアユサンの2頭のG1馬が出た以上、その相性のよさの仕組みを整理する必要があるでしょう。
ストームキャットといえば、北米リーディングサイアーに2度も輝き、息子のジャイアンツコーズウェイも北米リーディングを3度制するなど、押しも押されぬ世界的大種牡馬ですが、なにぶん日本の競馬に向いていないため、どこか軽く扱われることが多かったように思います。
サンデー系との相性も、サンデー自身やアグネスタキオンとの相性はパッとせず、やっぱり日本には向かないのかなという感じでした。
風向きが変わったのは、スペシャルウィークやマンハッタンカフェのBMSとして活躍馬が出始めたことで、ついにはディープのBMSとして日本でもブレイクするに至りました。
さて、そこでですが、サンデー自身やアグネスタキオンと、スペシャルウィークやマンハッタンカフェやディープとでは、なにが違ったのでしょうか。
キーワードは、ナスキロだと思います。
ナスキロは、このブログでも頻繁に出てきますが、ナスルーラとプリンスキロのニックスのことで、末脚の切れに効果ありとされています。
ここでもう1つ注意しておいてほしいのは、ナスルーラとロイヤルチャージャーが4分の3同血(血量的に75%が同じ)の伯父と甥の間柄だということです。
ナスルーラは、ボールドルーラー、ネヴァーベンド、グレイソヴリン、レッドゴッド、プリンスリーギフトなどの父です。
ロイヤルチャージャーは、ヘイロー系(サンデーはヘイロー産駒です)、ロベルト系、サーゲイロード系などの元祖です。
両者の血統表をあげておきましょう。

ナスルーラ
http://www.pedigreequery.com/nasrullah
ロイヤルチャージャー
http://www.pedigreequery.com/royal+charger

ロイヤルチャージャー×プリンスキロは、ナスキロのような派手な成功はしませんでしたが、ディープインパクトの配合的な核の1つが、ヘイロー≒サーアイヴァーの相似クロスであり、サーアイヴァーの父サーゲイロードは、ロイキロ(という言い方はポピュラーではありませんが)の最大の成功例です。
以上を踏まえて注目すべきは点は、ストームキャットのBMSが、ナスキロ最大の成功例であるセクレタリアトであるということと、スペシャルウィーク・マンハッタンカフェ・ディープの3頭に共通するのは、母方にプリンスキロの血を持つということです。
セクレタリアトは、いまだにアメリカ競馬史上最強馬の座を保持しつづけている偉大な競走馬でしたが、種牡馬としては、失敗ではないものの、周囲の大きな期待ほどには成功しませんでした。
当時は、名競走馬は必ずしも名種牡馬にあらず、といった言い方で片付けられていましたが、今の時点から振り返ると、もっとマムタズマハルの血を重ねていく必要があったのです。
このことは、ホワットアプレジャー、ラジャババ、シアトルスルー、エーピーインディなどのボールドルーラー系の代表的な種牡馬の配合を見るとよく分かりますし、別の角度からでも、ヘイローの代表産駒はマームードのクロスを持つということからも分かるのですが、今は脱線になるのでやめておきます。
しかし、セクレタリアトの血は母系に潜って力を発揮しはじめ、1992年には北米リーディングブルードメアサイアーに輝きます。
有名な種牡馬のBMSとしても、ストームキャットの他にも、エーピーインディ、ゴーンウエスト、セクレト、チーフズクラウンなど送り出し、素晴らしい成果をあげているのです。
セクレタリアトがナスキロの代表的な成功例であることは先述のとおりですが、プリンスキロを持つことでロイキロ(≒ナスキロ)の配合となったマンハッタンカフェやスペシャルウィークは、ストームキャットのBMSセクレタリアトの部分を継続することになり、そのため好相性となったと考えられます。
同じことはディープにも当てはまるわけですが、ディープの場合、サーゲイロードの血を持つことで、さらにセクレタリアトとの相性度がアップしていると考えられます。
サーゲイロードは、セクレタリアトの半兄であり、サーゲイロードがロイヤルチャージャー系、セクレタリアトがナスルーラ系なので、血量的にも半兄弟以上の非常に近い関係にあるのです。

サーゲイロード
http://www.pedigreequery.com/sir+gaylord
セクレタリアト
http://www.pedigreequery.com/secretariat

ということで、ディープ×ストームキャットは、理論的にもスペシャルウィークやマンハッタンカフェを超える相性の良さであることが裏付けられるわけです。

最後になりますが、ブービーに終わったレッドオーヴァルについても振り返っておきます。
敗因は、距離もさることながら、やはり馬体細化でしょう。426キロのチューリップ賞でも7着に敗れましたが、今回は422キロですから、戦う前から勝負ありでした。

http://www.jbis.or.jp/horse/0001121755/pedigree/

血統的には、母コートアウトが、スマーテア4×3のクロスを持つことと、ディープと相性の良いヴェイグリーノーブルの血があることの2点がポイントです。
後者のヴェイグリーノーブルとの相性のよさは、栗山求氏の発見によるもので、すっかり有名になったと思うので省略します。
スマーテアのクロスについては、種牡馬のクロスというのは珍しくないのですが、名牝のクロスは比較的珍しいでしょう。
牝馬クロスを武器にした生産者としては、マルセル・ブサックが有名ですが、日本でも牝馬クロスの威力は、ノーザンテースト(レディアンジェラ3×2)やエルコンドルパサー(スペシャル=リサデル4×4・3)で知れ渡っていますね。
スマーテアは、いわゆるハイインロー(ハイペリオンとサンインロー)のニックス配合で、それをクロスさせることで、成長力や持久力に効果があると考えられます。
コートアウトの代表産駒ストロングリターンが、年を経るごとに成長を続け、ついに6歳でG1馬にまで上り詰めた成長力は、スマーテア4×3によるところが大きいでしょう。
ということは、レッドオーヴァルもまだまだ成長を期待してよいと思います。

参考・桜花賞
http://www.youtube.com/watch?v=Zywip0RplNI
http://db.netkeiba.com/race/201309020611/
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